調 査
販売会社を有するメ−カーの数,1975年*
瀬 戸 廣 明
本稿は,1970年及び1975年末のそれぞれにおける資本金1億円以上の我国製造企業(た だし,出版,阻軋 同閑適産業を除く)のうち,販売会社(この定義を,自社製品を国内 市場において販売させる目的で,製造企兼が出資・設立した商事会社とする)を有するも のの数,割合の調査結果を示す。この調査で販売会社を有する製造企兼(以下ではメ−・カ
ーと呼ぶ)を確定できたので,これを母集団としてメ−か−とその販売会社紅関するいろ いろな調査を実施することが可能となっ琴。
Ⅰ調査の方法,対象,回収状況
第1回1971年7月5日より1972年1月10日までの6ケ月にわたり郵送質問紙法紅より 行った(往復来賓を用いた)。対象ほ1970年3月末現在の資本金1億円以上の我国メーーカ
−・(ただし,出版,印刷,同関連産業を除く)の全部である。
7月5日に販売会社の有無を問う調査3,172通を発送し(往復葉書),7月下旬,9月,IO 月,11月の4回の督促の結果,回答数2,969,回答なし75,宛先不明128で回収率97・54%
(75/3,044)であった。そして販売会社有りの回答先に対し,どのような有し方をしてい るか紅ついで層別調査をやほり往復斐番に.よる郵送で行った。調査がこのよう紅二重紅な ったのは販売会社に.関する情報がそれまで殆んどなかったことによる。
欝2回 大蔵省法人企業統計調査票(法人名簿)の使用許可を受けて,1977年2月12日 より同年9月初旬までの7ケ月弱にわたり郵送質問紙法により行った。対象は1976年3月
* 行政管理庁長官の許可を得て大蔵省法人企業統計調査調査票(法人名簿)を使用し,
香川大学経済学部島木村 等教授の御指導の下紅香川大学経済学部管理科学科助手高橋 知子,仝 中村邦彦,仝 安藤博子,技官藤本和子の諸氏,経済学部学生応本優子,柴 田れい子,橋本清子,吉川恭子,杉田泰子の諸嬢の御協力を得て完了した調査結果の一・
部である9
第50巻 第3・4弓
ーヱ5−2− 478
現在の資本金1億円以上の我国メーか−(ただし,出版,印刷,同関連産業を除く)の全 部である。
2月12日に.販売会社の有無及び,有している場合にはその有し方に/ついての層別を問う 調査票4,488通を発送し(往復焚書),3月,5月,7月及び8月の4回の督促の結果,回 答数3,967,回答なし421,宛先不明槌,調査対象として不適当12で回収率90.4%(宗(3,967/
4,388)×100)であった。ただし前回(1971年)の調査で販売会社を有しているととが分
ったメ−・か−・に対しては親メーカーの産米別売上とうち販売会社への産業別売上割合等を 問う郵送調査の姶果を用いた。この結果1970年に.販売会社を有していたメーカーで5年後 の1975年末現在で販売会社を親メ−カー・(調査対象)に.吸収合併していた等で販売会社な
しとの回答もあり,販売会社有りと無しを上述の回答数に加え.ると,調査対象メ−・カ−
4845社,回答数4210,宛先不明89,回収率88・・5%となる。しかし,以下では回答のなかっ た会社ほ依然販売会社を有しているとしてこれを販売会社を有する会社数ぬ含也て扱う。
ⅠⅠ結 果
集計結果の表に使用される層別,産業別,地域別及び規模別の意味をまず示す。
層別
努1屑 製品種類の全部またほ大部分を1つの販売会社紅扱わせている(例,トヨタ自 動車工業とトヨタ自動車販売)
第2層 製造部門に・よってほ販売会社を設け1一手紅扱わせている(例,日立製作所と 日立家電販売,東京芝浦電気と東芝商事)
欝3層
社)
第4層 特定の地区紅販売会社斉出資・設立している 籍5屑 上の4つのいずれ紅もあてはまらない 産業別
1970年
1・食料品 2小 紙雉 3・パルプ・紙 4.化学
5・窯業・土石 6・鉄鋼 7.非鉄金属 8.金属製品
9・械械 10・電機(器) 11・輸送用礫器 12.その他
\
販売会社を有するメーカーの数,1975年 −J53−
479
1975年
18・食料品 20・繊維工業 21小 衣服・その他 22.木材木製品
の繊維
24・パルプ・紙 26・化学工業 27・石油・石炭 30小 窯兼・土石製品 31.鉄鋼業 32.非鉄金属製造 33。金属製品 34..一般機械器具 35・電気機械器具 36・輸送用機械器具37・精密機械器具 38.船舶製造・修理 39.その他の製造業
規模別 A 資本金1億円〜10億円未満
B 〝 10 〝 50 〝
C 〝 50 〝 以上 地域別
1.北海道,青森,岩手;秋田,山形,宮城,福島 2.群馬,栃木,茨城,埼玉,東京,千葉,神奈川,山梨 3.福井,石川,富山,静岡,愛知,岐阜,新潟,長野 4.滋賀,京都,大阪,兵庫,奈良,和歌山,三屋
5 中国,四国,九州の諸県
1970年と1豆75年の両年の調査の産業分類が相異なることから,この両年の比較は限られ た範囲で行われる。
販売会社を有する会社(メー・カーのとと)は1970年の357社から1975年にほ723社に増加
(1)
している(表1,2)?これを規模別に載れば,1970年においてAが191,Bが107,そして Cが59社であるに対し,1975年K,おいてはAが437,Bが178,そしてCが108へと増えて いる。またこれを産業別に.みれば,1970年においで食料品30,繊維23,パルプ・紙7,化 学51,窯業・土石12,鉄鋼7,非鉄金属10,金属製品27,機械41,電機(器)46,輸送用 機器32,そしてその他製造業61社である。これに対し1975年に.おいて,食料品63,繊維 工業34,衣服その他の繊維16,木材木製品8,パルプ・紙20,化学工業100,石油・石 炭9,窯業・土石製品31,鉄鋼栄26,非鉄金属製造19,金属製晶63,一般機械器具鑓,
電気機械器具馳,輸送用機械器具45,糖蜜機械器具30,船舶製造・修理5,そしてその 他の製造菓88へと増えている。
(1)1970年の統計紅ついてほ〔2〕の再録の形をとって−いる。
貸50巻 努3・4号 衷1販売会社を有する会社数,1970年
…ヱ54− 480
産業別・規模別
叫、− ̄
\− 、\、規
封‖ A
産 菓 、
、→\、、
言「
表2 販売会社を有する会社,1975年
販売会社を有するメ−・カ−・の数,1975年 一ヱ55−
表3 販売会社を有しない会社数,1970年 481
産業別・規模別
産 業「、、\】
2,519】 2,101 食 料 品
ル プ.
化 学
窯 業・土 石
鉄 鋼
非 鉄 金 属 品 金 属 製
機 械
機(器)
輸 送 用 機 器
そ の 他
05632 59︵=047
21 41 52041 17734
21 31 O1517 321︵︾2 52184 44137 67
2
42︵∂16 57
48563 80 1 122 1327051 31
16529 57
1 121 12 ︵O l︼7300 69
21 33 22
1975年の分類紅おいて繊維工業と衣服その他の繊維を1つ紅まとめ(50社)てこれを197∪
年の織維匿対応させ,木覇木製品,石油・石炭及び精密械械器具をそ・の他の製造業に.合 せ(計135社)てこれを1970年のその他製造業に対応させ,輸送用機械器具と船舶製造・
修理をまとめ(冨持0社)てこれを1970年の輸送用機器に対応させることザできるであろ う。全体が2.025(=723/357)倍に.なっているので,この偲より大きい産業を挙げると,大
きい順にパルプ・紙2.857,窯業・土石2..500,金属製品2.333,その他製造米2.213,繊 維2け174,そして食料品2・100である。以下ほ,機械2・000,化学工業1.961,非鉄金属 1.900,電機(器)1.826,輸送用機器1.563,そしで最後が鉄鋼1.529の順となっている。
ここで販売会社を有する会社は販売会社を有するメ一丸−の主たる製造品目により分類 されている。したがって,この分類は必しも販売会社に扱わせている製造品目と−L致しな い。メ・−カーの資本金規模に.よる分類ではこのように.定義せざるを得ない。
1970年に販売会社を有していた会社で,5年後の1975年にほ有していない会社の数は35 だが未回答のなかに.も回答あったものと同じ割合で存在するとすると50社となりこの5年 間に.14%減少したことになる。0.14=50ノ357。
さて,表1〜4を用いて産業別・規模別の販売会社を有する会社の割合を示すことがで
きる。これが表5,6である。これ紅よれば,割合は1970年が0n12であり,1975年は0.17
−ヱ56− 482
掛爪卜巴−克朝′︶βJ鯉舟#朝眠婁 寸嘱
販売会社を有するメーカーの数,1975年 −J∂7−
483
\
である。しかし1975年の723社のうち約100社は販売会社を萌していないと推定される。調 査でほ1975年末現在で販売会社を有している会社を販売会社を有するとして取扱っている のであるが,回答のなかには1976年に入って設立した会社の中に版売会社を有していると 回答しているものもあることが,この調査の後紅行って.いる(1977年10月時点でほぼ終了)
親メーーカーの産業別売上とうち販売会社への売上割合等に関する調査から分ってきた。ま たこの100社にほ自社では.なく顛メーカーが販売会社を有していて,その兢メーカーに・い
ったん製品を売上げ,その親メ−カーが今度ほ販売会社紅販売して−いる場合紅も販売会社 有りと回答しているものがあり,本調査でほこれを誤答として処理している。そこで723 を620でおきかえると,0.14=620/4300となる。0.12から0小14に増加したとするのが妥当 なところであろう。以下ではこの100が規模別・産業別に周し割合で分布していると仮定 して議論を進めよう。
規模別にみれば,1970年にはAにおいて0.08,Bにおいて0.24,そしてCにおいて0・45 であったのが,1975年にはAにおいて0.13,B紅おいて0小26,そしてC紅おいて0.48とな
っている。0.862=1−0.138拍。138=100/723)をこれらの数値に乗ずれは,それぞれ0.11,
0.22及び0.41に減少する。このように両年を比較すれば,Aにおける5年間の増加が日立 つ。ただしこれはあくまで誤答の100社が全て−の規模に同じ割合で分布していると仮定し た上でのことである。しかしここでは,販売会社を有する割合ほ規模とともに.大きくなる
という関係に変化がない,という結果紅意味がある。
産業別に.みれば,1970年においては食料品0・・11,繊維0・11,パルプ・紙0.08,化学 0.10,窯業・土石0・07,鉄鋼0・11,非鉄金属0・11,金属製品0・15,機械0・14,電機(器)
0.16,輸送用機械0.15,そ・してその他製造業0.17となっている。これが1975年に.は,食 料品0.15,繊維工巣0・13,衣服・その他の繊維0・24,木材木製品0.10,パルプ・紙0.13,
化学工糞0..15,石油・石炭0.17,窯兼・土石製品0.12,鉄鋼業0.11,非鉄金属製造0.11,
金属製品0.21,一般械械器具0;18,電気機械器具0.19,輸送用機械器具0.18,精密機械
器具0.30,船舶製造・修理0.09,そしてその他製造業0.27となる。これらの数値紅上述
の0.862を乗ずれば,食料品0・・13,繊維工業011,衣服・そ・の他の繊維0.21,木材木製品
0.09,パルプ・紙0・11,化学工業0−′13,石油・石炭0り15,窯業・土石製品0小10,鉄鋼業
0巾09,非鉄金属製造0・09,金属製品0・18,一般機械器具0・・16,電気機機器具0.16,輸送用
機械器具0.16,糖密機械器具0り26,船舶製造・修理0.08;そしてその他製造業0.23に減
少す−る。電気機械器具と輸送用機械器具については5年前と殆ど変らないこととなる。
算50巻 欝3・4号
ーJ5β− 484
表5 産業別・規模別に占める販売会社を有する会社の割合,1970年
〜一、\一 岳 計
._
B 】 C 0.241 0.45 食 料 品
ル プ.
化 学
窯 業・土 石
鉄 鋼
非 鉄 金 属 金 属 品 機 製
電 械
機(器)
輸 送 用 機 器
そ の 他
l10007 11546 57 1101〇 一⊥l l l
00000 00000 00 77575 00100 50716
23121
00000 00750
55610
00000
300302 72 00111 01 5︵0674 66
10322 23
00000 00
93033 70 64565 65 00000 00表6 産業別・規模別に占める販売会社を有する会社の割合,1975年
≡二二云二⊥ 産 業、\ 規模1 計 】 A B
IC
0.17【 0.13【 0.26【 0.48
販売会社を有するメーカ−の数,1975年 −ヱ59−
485
表5,表6紅特徴的なことは規模C(資本金50億円以上)にやける鱒売会社を有する会 社割合の大きいことである。0.5以下の産業は1970年で化学,窯業・土石,非鉄金属の3 産業にすぎず,1975年で繊維工業,化学工業,石油・石炭,窯業・土石製品,非鉄金属製 造,・その他製造菜の6産業を数えるにすぜないのである。
販売会社を有するメ−カ川−・について層別・規模別にその数と百分比をみたものが表7−
1,7−2,8−−1,8−2である。表7−1と8−1は列方向の苫分比,表7一云と8
−2は行方向の百分比を掲げている。列方向の百分比を掲げる表7−Iと8−1から各層 の百分比ほ1970年において1層25%,2層19%,3層8%,4層26%,そして5層21%
であり,1975年に.おいては1層23%,2層13%,3層8%,4層34%,そしで5層22%
となり,2屑の減少と4層の増加が目を惹くが,これにさらに1・2層ゐ和の減少(1970 年の44%から1975年にほ36%へと減少)が加わる。
1975年Ⅶ・おいて,列方向の百分比ほ1層23%,2層13%,3層8%,4鱒34%,
22%であり,こ.れらの数値より大きい規模は,1層でA27%,2層でC24%,B14%,
3層でC16%,Bll%,4屑でA39%,そして5層でB25%,.C25%である。す・なわ ちAでほ1層と4層,Bでは2層と3層,CではBと同じく2屑と3層が目立つ。規模ゐ
小さいAのメーカーには尊Tの製造部門しかなく,規模の大きいメ−カーほ複数の製造部 門をもっており,その1つの製造部門がAのメ−カ−の単一・の製造部門に生産規模に.おい
表7−1層別・規模別販売会社を有する会社,数と百分比,1970年
舞50巻 第3・4号 486
−ヱ60−
表7−2 層別・規模別販売会社を有サーる会社,数と百分比,1970年
表8−・1層別・親模別販売会社を有■す−る会社,数と百分比,1975年
て相当するのである。さらにAの4屑,B,Cの3層の問題ほ,4屑から3層への移行と
いうメ−か−の規模による市場支配の程度の差をうかがわせるが4層には東京・神奈川と
京阪神(就中前者)以外のところに・本社をもつメーーカ−が東京・神奈川と京阪神を戦略地
販売会社を有するメーカーの数,1975年 −ヱ6ユー 表8−2 層別・規模別販売会社を有する会社,数と百分比,1975年
487
域として自社出資の販売会社をもつという事情もある(表9−1,9−2)。地区販売会社
(3層と4層に属する販売会社)を有するメーカ−が特定の地区への販売会社の設届から 次第に地区販売会社の数を増やして,やがて全国の市場をカグアーサる妃至るという方向 性があるかという問題には早急な解答は無理であるが,1970年に4屑の販売会社を有して いたメ−・か−の1社当り販売会社数が5年後に.どのよう紅変化しているかほ1つの指棟に
表9−1層別・地域別販売会社を有する会社,数と百分比,1975年
寛50巻 罪3・4号
表9−2 層別・地域別販売会社を有する会社,数と百分比,1975年
−ヱ62−− 488
はなろう。この点についてほ顆メーカ−の産業別売上とうち販売会社への売上割合等に・関 する調査で明らか紅なるであろう。
表9−2より1975年において,4層を地域別にみると,東京・神奈川中心の第2地域が 44%,京阪神の第4地域が26%,中京・北陸の籍3地域が18%となり,大都市に本社をも つメーカ−ほど特定の地区(はば都道府県単位と考えて−よい)に販売会社を有しているの であるが,表9−1よりそれぞれの地域毎に.4層の百分比をみると,算1地域(北海道・
東北)40%,第2地域(衆京・神奈川中心)29%,第3地域(東海・中部・北陸)40%,
第4地域(京阪神中心)38%,第5地域44%となり,第2地域の値の小さいのが目につ
(2)
く。表9−1と表9・−2を綜合していえることほ,大都市に本社の所在するメーカ・−はど 特定の地区紅販売会社をもつ傾向にあること,他方地方に・本社をもつメ−カ−が特声の戦
略的に重要な地区(具体的紅は東京,大阪,名古屋)に販売会社を設立するという傾向
(1970年調査でもこうしたことがいえたので傾向という)があるということである。4層 にほこの2つの傾向がうかがえる。
表7−2と8−2は行方向の百分比を示しているが,ここで目立つのは3屑におけるこ の5年間の変化である。1970年には3屑ではCが50%▲と高率であったのが,1975年に.はA
(2)1970年の層別・地域別統計については〔1:〕202貢を参照されたい。
販売会社を有するメ−・カ−・の数,1975年 −ヱ63−
489
37%,B33%,そしてC30%と比較的規模の小さいメ−カ−が地区販売会社で全国の市 場をカグァ−しはじめている動きである。この層の地区販売会社設立の目的,親メ−・カー に対する役割等の規模に.よる相違について−の面接調査結果を稿をあらためて公表する予定 である。
1975年に.おいて計の行方向の扇分比はA60%,B25%,・そしてC15%であり,とれら 表10−1層別・産業別販売会社を有する会社,数と百分比,1970年
繊維‡紙重化学産業去 非鉄,金画嘲矧輸機
、→牽警計 その他
61 100
23 38
7