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牛垣雄矢 JR 0 池袋駅 新宿駅 渋谷駅 総 上野駅秋葉原駅 5(km) 皇居東京駅 品川駅 武 線 中央通 り 山靖国通り手線 京浜皇居東北線 0 500(m) 上野駅 秋葉原駅 神 つくば EX 田 秋葉原地区 川 1 牛垣 BCDEF 1 Ⅱ 1 4

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なショッピングセンターの台頭が著しいが,個々の店舗 に取扱商品等の意思決定権がある自然発生的に形成され た商業集積地は,特定のコンセプトがある大規模な商業 施設内の店舗に比べて,時代の変化に対応した取扱商品 の変更が容易で迅速であり,その柔軟性も強みとされて いる (石原 2000)。 このように秋葉原地区は,固有の地域的性格を有する という点でも,また商業集積地としての優位性を有する という点でも特徴があるが,その形成過程について空間 的・実証的に分析した研究は管見できない。先に報告し た拙稿 (牛垣 2012) では,①第二次世界大戦後 (以後, 戦前・戦後とする) の電気街形成に関する地価の面での 分析,②新しい業種が集積した際の担い手が,既存店に よる取扱商品の変化か新規店の出店かの違いと,それら の店舗の空間的な分布傾向に関する分析,③2006年時 点で雑居ビルに入居する店舗の業種別・地区別・階層別 の分布傾向に関する分析を行った。しかし時代の変化の 中で新しい業種を扱う商店が発生し集積する背景につい ては検討することができなかった。また,秋葉原地区で は同業種店が集積してサブクラスターが形成されると指 Ⅰ はじめに 日本国内の商業集積地ではチェーン店の増加により景 観的・機能的な均質化が進んでいる (リッツア 1999)。 空間的性格を差別化させるための演出がいち早く実施さ れた渋谷においても (吉見 1987),駅前や商業集積地内 の中心的な地点には資本の論理に従い国内外の大手 チェーン店が出店するなど (吉見 2005),渋谷固有の空 間的性格が消失しつつある。大規模な商業集積地は鉄道 交通の要所に位置して不特定多数の人々が訪れるため, それらの人々をターゲットとして大手チェーン店が立地 しやすいと考えられる。そのような近年における状況の 中で,本研究で対象地域とする秋葉原地区は,家電,パ ソコン,アニメ関係の店舗の集積が著しく,これらが特 徴的な外観であるため,景観的にも取扱商品の面でも地 域固有の性格を有する点に関心がもたれる。 また,商学分野の商業集積論においては,同業種型の 商業集積地では特に競争と依存の関係により売買が集中 する強みをもち,その代表的な事例が秋葉原地区と指摘 されている (石原 2000,山下 2001)。近年では,大規模

牛 垣 雄 矢

This study analyzes the actual situation and background of commercial accumulation in the Akihabara district which demonstrates the region’s characteristics. The results indicate the following:

1. Commercial accumulation is contingent on shopkeepers innovations and circumstances and regional conditions. 2. Shopkeepers consider personal interest such as profits before opening a store.

3. New shops introduce new businesses, which are popularized throughout the Akihabara district. 4. New businesses influence existing business in the district.

Keywords: commercial accumulation, regional characteristics, personal computers, animation, Akihabara district

東京都千代田区秋葉原地区における商業集積の

実態と背景に関する一考察

Research on Actual Situation and Background of Commercial Accumulation in the Akihabara District,

Chiyoda Ward, Tokyo

Yuya USHIGAKI

(Accepted November 14, 2012)

Department of Geography, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan 日本大学文理学部地理学科:

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摘される中で (山下 2001),アニメ関係店の集積が進み メイド喫茶といった新たな業態が発生した時点の商業集 積の空間的実態について,ビルを占有する店舗と雑居ビ ルのテナントを合わせて考察することができなかった。 そこで本研究では,家電,パソコン,アニメ,メイド 喫茶といった業種・業態の発生や集積に大きく影響した 商店に対して,その開業や秋葉原地区へ立地した背景を 考察することで,同地区における業種の発生・集積メカ ニズムの一端を究明することを目的とする。また,これ らの業種の拡大の結果として,2006年時点の商業集積の 空間的実態については,先の報告の補足的に考察する。 本研究の対象地域の概要を図1 に示す。JR秋葉原駅は 京浜東北線,山手線,総武線がとおり,東京中心部から 東西南北方面へのアクセスが良く,鉄道交通の要衝であ る。江戸期から様々な方面へ通じる街道の結節点に位置 するため交通の要衝とされ,それが盛り場の形成や貨物 駅の設置に関わってくる。 第Ⅲ章において店舗の分布傾向を把握するため,分析 の便宜上,秋葉原地区内を,中央通り沿いのうち駅に近 い地区からA・B地区,同様に裏通りをC・D・E・F地 区と区分した。また,本研究では規模の異なる店舗を同 じ1 店舗として扱うことを避けるため,単一の店舗が建 物全体を占有している建物を 「占有ビル」,複数の商店・ オフィス・住居が入居する建物を「雑居ビル」と区分す る。更に,本文中で触れる店舗名や施設名は,便宜上す べて現在の名称とする。 新しい業種・業態の店舗が発生・集積した背景につい ては,創業者など関係者の当時の考え方を知る必要があ るが,今日は大・中企業に成長した企業に対してヒアリ ング調査を実施するのは困難である。そこで,これらの 人々の考え方を社史,自叙伝,経済誌,各種文献より把 握し,これらの出展は全て注で示す。なお,これらの資 料的性格として,自らの企業のアピールや雑誌そのもの の面白さのために誇張して表現される可能性があるた め,そのような可能性のある記述については基本的に使 用しないこととする。 Ⅱ 商業集積の背景 1 .電気街形成の背景 秋葉原地区に電気関係の専門店街が形成されたのは戦 後間もない時期である。戦前は電気関係の商店は4 店程 度といわれている中で戦後に電気店が集積したのは,戦 前から同地区に立地しラジオ関係の有力店であった廣瀬 無線電機やヤマギワが,戦後にいち早く営業を再開し, ここに全国から多くの人々が訪れ,その人々を狙って同 業の商店が中央通り沿いに立地したためとされている1) 両店が有力店であったことを裏付ける一つの資料2) は,広瀬無線の広瀬太吉は1939年に東京ラジオ卸商連 盟の理事長に就任し,「販路の如き全国に普し卸問屋と して東都に覇を唱うるに至った」と記され,ヤマギワは 「業界での老舗…卸業界における先駆者」と記されてい る。両店から仕入れた製品を売る同業の商店が中央通り 沿いに立地したことについて,千代田区史3)では同地区 一帯は神田地区内の中で比較的発展が遅れていて地価が 安かったためと指摘している。拙稿においても戦前の地 価資料を用いて言及したように,神田一帯における秋葉 原地区の相対的地価の低さが,ラジオ店の集積に影響し たと考えられる。 当時のラジオは社会状況を知るための必需品で,戦後 の物資統制下においても電気器具だけは自由取引が認め られて新規開業が容易であり4),GHQ (連合国軍最高司 令官総司令部) からは400万台のラジオを1946年度中に 生産するようにと指示されたこともある5)。廣瀬無線電 機を1925年に創業した廣瀬太吉がラジオに目を付けた

秋葉原駅

上野駅

皇居

靖国通り

つくばEX

0

500(m)

5(km) 0 秋葉原駅上野駅 池袋駅 品川駅 新宿駅 東京駅皇居 渋谷駅 秋葉原地区 中 央 通 り A B C D E F 蔵 前 橋 通 り 万世橋 昌平橋 図1  秋葉原地区の位置 注:牛垣(2012)地理学評論85 (4) より転載。

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時の露店商の一人は,仕入れ先は立川の米軍基地および その周辺の商店であり,米兵と300個1,000円で話をつ けたとコメントしている19)。これらによると,千葉や立 川方面の米軍基地や復員兵から流れてきた軍用物資が小 川町および神保町界隈に集まっており,これは両地区が 東西南北方面へ通じる鉄道交通の要所である秋葉原駅に 近いことも影響していると考えられる。 2 .パソコン店の発生と集積の背景 秋葉原地区に集積したラジオ店は,高度経済成長期に かけていわゆる三種の神器を中心とした家電製品へと取 扱業種を転換させて爆発的な売り上げをみせた。そして 1980年代には徐々にパソコン店が集積し,1994年には 秋葉原地区の売上でパソコン製品が家電製品を上回るこ ととなる20)。秋葉原地区におけるパソコン店の発祥は, 1976年にNECビットインが秋葉原駅前のラジオ会館 2 階に3.5坪の店舗を開業したことに始まり,これが大成 功を収めることとなる。同店が秋葉原地区に出店したの は,顧客として家電や工作機メーカーの人々を狙ってい たこと,ビットインの運営を任せた日本電子販売の担当 者から家電で生きるには秋葉原は無視できないと助言さ れたことが影響している。ビットインの成功はこの運営 担当者の影響が大きいと言われており,彼自身もパソコ ンに惹かれたことで熱心に取り組んだとコメントしてい る。この成功により,開業当初は冷ややかだった他社 メーカーが参入し,秋葉原地区はパソコン販売の拠点と なる21) それ以降,秋葉原地区ではパソコン専門店が集積し, 1989年の 7 店から2000年には43店に増加しているが (牛垣 2012),そのうち最も多店舗展開を進めたのがソ フマップである。1982年に秋葉原地区の雑居ビルで開 業し,2000年には同地区内に占有ビル 8 店舗を有してい る22)。ソフマップ創業者の鈴木慶は,自身が無知なソフ トウエアのレンタルから始め23),著作権の問題で業種転 換を考えた際に,秋葉原地区で中古パソコンの販売が好 調で「1日500万は儲かる」と聞き,販売を決断してい る24) また戦後の家電店から始まったラオックスは,1990年 4月にザ・コンピュータ館を開館し,1994年にはこれが 一館当たりのパソコン販売額で日本一になっている。当 時,家電専門店の最大手であったラオックスが秋葉原地 区で最大規模のパソコン専門店を開業したのは,孫正義 に講演を依頼した際にその必要性を痛感したためとされ ている25) のも,雑誌「商業界」で成長する業種として紹介されて いたことが影響している6) 電気店の集積地ではなかった戦前の秋葉原地区に,業 界を代表する商店が2 店も存在した背景については明ら かにされていない。この点に関して,秋葉原地区を拠点 とした家電店として一時は最大手にまで成長したラオッ クスの社史7)には,注文が多いときには貸車1∼3 台も の注文があったと記されており,秋葉原貨物駅に近接す る地理的条件が両店の成長に関係したと考えることもで きる。秋葉原貨物駅の発送品と周辺地域の関係性につい て,千代田区史8)では,大正10年当時は鉄鋼製品や綿織 物類が多く,神田区内に関係する問屋街があるためであ ろうと考察しており,貨物駅の存在が地域に影響を与え ることは十分に考えられる。 以上の中央通りにおけるラジオ店の集積のほか,秋葉 原地区における電気街の形成は,戦後の小川町や神保町 に集積した電気部品の露店が,GHQによる露店撤廃命 令の際に秋葉原地区へ移転したことが影響している。こ の地区に露店を開いていた山菊商会は,近隣の東京電機 大学の学生をターゲットとしてラジオ関係商品を扱い始 め,これが爆発的に売れたとされている9)。露店は他の 店舗と共存する必要から,取扱商品を勝手に変更するこ とができない中,一帯を仕切っていた山本長蔵は同店に よる取扱商品の変更をとがめず,山菊商会の売れ行きを 見て,同業種を扱う露店を集めたという10)。ちなみに, この山本が小川町で露店を開いたのは,学生時代を過ご した中央大学に近く,学生相手の商売ができると考えた ためである11)。一方,戦後の秋葉原地区の露店を仕切っ ていた野村誠一は,同地区を他の歓楽街のようにしては ならないと考え,バラックを飲食店街にする計画に反対 しており12),電気関係の露店を同地区へ移転するよう山 本に依頼していた13)。山本は,秋葉原地区にはすでにラ ジオ店が集積していたこともあり,同地区へ移転するこ とを決定した14)。戦後の秋葉原地区におけるラジオ店の 集積が,更なる同業種店の集積をもたらしたといえる。 戦後の露店の多くは食料品などが中心だった中で15) 小川町や神保町においてはラジオ関係の露店が集積した 背景として,千代田区史16)には千葉方面から運ばれて きた軍用通信関連機器の放出品がこの一帯に大量に出 回ったと記されている。山本長蔵の孫に当たる人物が店 主を勤めるミマツ音響のウェブサイト17)には,復員兵 の中で技術的な兵役についていた人々がラジオ部品を持 ち寄り露店を開いたと記されている。また,フルタカ電 気の会長は,当時の真空管は「アメ玉ルート」と呼ばれ る米軍基地からの横流し品であったとコメントし18),当

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係を図5 に,雑居ビルに入居する店舗の業種と地価額の 関係を図6 に示す。店舗の分布と地価額との関係は拙著 でも考察したが,現地調査を実施した2006年の占有ビ ルと雑居ビルの店舗を含めた分布図を提示することがで きず,業種別の分布傾向を十分に考察することができな かったため,本稿にて補足したい。 まず図2 より業種別に店舗の分布傾向をみる。家電 店,パソコン店,アニメ関係店,メイド喫茶の全体的な 分布として,JR秋葉原駅と表通りに当たる中央通りを 中心として集積が進んでいる。裏通りでは,駅に近いD 地区と,駅から遠いF地区の中でも駅よりの地区で集積 している。F地区の駅から遠い地点や裏通りのスペース が少ないC・E地区では商業集積が顕著ではない。この 全体的な分布傾向をみると,秋葉原地区への集積が著し いこれらの業種の店舗は,集中して立地する傾向がある といえる。また表通りの中央通り沿いでも,JR秋葉原 駅に近い地点では占有ビルの店舗が多くを占めるのに対 して,駅から離れた地点には雑居ビルの店舗が多くを占 めている。駅から遠い裏通りのうち,中央通り東側のE 地区よりも同西側のF地区の方が比較的店舗の集積がみ られるが,両地区で地価額の差はそれほどなくいずれも 低い値である (図 3)。ほぼ地価額が等しい中で関係す る業種店が集積しているF地区は,比較的これらの業種 店を開業しやすい条件にあるといえる。それは雑居ビル の空室率を示した図4 をみても,F地区のうち特に駅か ら遠い地点で空室率の高い雑居ビルが多く,入居のしや すさが伺える。裏通りでも駅に近いD地区では空室率 の高い建物は少なく,入居できる建物は限られている。 アニメ関係店についてみると,占有ビルの店舗はA地 区に当たる中央通り沿いの東側とJR秋葉原駅付近の数 か所に集積し,雑居ビルに入居する店舗はB地区の中央 通り沿い西側に集積している。パソコン専門店について は,占有ビルの店舗が中央通りより西側の裏通りD地 区とF地区にそれぞれ集積地点みられる。このようにア ニメ関係やパソコン店などは同業種が空間的にまとまる 傾向がみられる。個々の雑居ビルをみても,同一の業種 が同一の建物に入居する傾向にあり,アニメ関係店やメ イド喫茶は特にそれが顕著である。商業集積論の観点か ら,主にアニメ関係店の集積以前の秋葉原地区について 考察した研究 (山下 2001) では,商業集積地の内部で同 業種が集まりサブクラスターを形成すると指摘してお り,アニメ関係店が集積した2006年時点でも同様の傾 向がみられる。 次に,図5 より占有ビルの店舗の業種と地価額との関 係についてみる。まず,アニメ関係店の多くが地価額の 3 .アニメ関係店の発生と集積の背景 秋葉原地区におけるアニメ関係店の発生は,虎の穴が 1994年に裏通りの雑居ビルへ出店したことに始まる。 創業者の吉田博高は秋葉原地区のソフマップに勤めてお り,アニメ系ソフトが売れ始めた頃に,ソフト,書籍, レコード,フィギュアなどアニメに関する様々な商品全 般を扱う店舗がなく26),自身もこの分野に興味をもって いたことが,創業のきっかけとされている27)。また, 1997年にはゲーマーズの 4 号店が同じく裏通りの雑居 ビルで開業している。ゲーマーズ社長の木谷高明は,友 人に連れられてアマチュア漫画の展示会へ参加した際 に,その熱気に圧倒されてビジネスになると直感してお り,それが創業のきっかけとされている28)。両者とも後 に占有ビルを有する商店に成長し表通りへ進出してい る。なお,ラジオ会館の海洋堂が,秋葉原地区における アニメ関係店集積の先駆けになったとの指摘もある が (森川 2003),いずれにしても秋葉原地区がアニメ街 化するに当たって影響を及ぼした店舗は雑居ビルのテナ ントから発生している。 近年の秋葉原地区ではメイド喫茶29)が注目されてお り,これらは雑居ビルへ入居する傾向にある。メイド喫 茶の発生は,アニメ関係店のゲーマーズを運営するブ ロッコリーが,イベントでテレビゲームのキャラクター をコスプレとして使ったのをきっかけとして,2001年に キュアメイドを開業したことに始まる。次いで,パソコ ン店のT-ZONEが30),ゲームソフトを扱う商店としてメ イリッシュを2002年に開業し,後にメイド喫茶に業種 転換している。メイリッシュ創業者の佐々木俊一は,創 業以前はテレビゲームやコンピュータソフトの流通に携 わっていた。ゲームソフトの体験版を配る際に,ゲーム キャラクターのコスプレ女性を参加させたところ客が急 増したことをきっかけにメイド喫茶を開業させた。同氏 は,秋葉原地区においてコスプレは10年以上前から当 たり前の風景とコメントしている31)。また,ここで働く ウエイトレスは,自身がゲームやアニメキャラクターの コスプレに興味をもっていた32)。このようにメイド喫茶 の発生と成長は,秋葉原地区に集積していたアニメや ゲーム関係といった業種との関係が強いといえる。 Ⅲ 商業集積の実態 ここでは,秋葉原地区における2006年時点での商業 集積の実態として,業種別の店舗分布,地価,雑居ビル の空室率の関係について考察する。そこで業種別の店舗 分布を図2 に,路線地価額を図 3 に,雑居ビルの空室率 を図4 に,占有ビルに入居する店舗の業種と地価額の関

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J R 秋 葉 原 駅

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蔵 前 橋 通 り

用途(占有ビル)

家電

パソコン店

家電専門店

その他

用途

(雑居ビル)

パソコン

取扱店

家電取扱店

アニメ関係

取扱店

1店

パソコン専門店

5店以上

2-4店

メイド喫茶

テナント数

● ● ● 図2  秋葉原地区における店舗分布(2006年) 注:占有ビルは単一の店舗が建物全体を占有している建物とし,雑居ビルと区別する。 資料:現地調査,2,500分の1地形図。

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図4  秋葉原地区における雑居ビルの空室率(2006年) 資料:現地調査,2,500分の1地形図。 図3  秋葉原地区における路線地価(2006年) 資料:『財産評価基準書 路線価図』(2006年),「2,500分の1地形図」。 0 2 4 6 8 10 12 14 - 499 500-999 1000-1499 1500-1999 2000-2499 2500-2999 3000-3499 4000-4499 4500-4999 路線価 (千円/㎡) 図5  秋葉原地区における業種別・地価額別の店舗数(占有ビル:2006年) 注: 占有ビルとは,単一の店舗が建物全体を占有している建物を意味し,雑居ビルと区別する。アニメ関係店とアダルト取扱店は,そ れぞれの製品を取扱う店舗の数を意味しており,一部家電パソコン店,家電専門店,パソコン専門店と重複している。 資料:現地調査,『財産評価基準書 路線価図』(2006年)。 0 5 10 15 20 25 30 35 -499 500-999 1000-1499 1500-1999 2000-2499 2500-2999 3000-3499 4000-4499 4500-4999 路線価 (千円/㎡) 図6  秋葉原地区における業種別・地価額別の店舗数(雑居ビル:2006年) 注:各業種・業態を扱う店舗数を示している。複数の業種を扱う店舗はいずれもカウントしている。 資料:現地調査,『財産評価基準書 路線価図』(2006年)。

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葉原地区における主たる業種とは言えない。 なお,雑居ビルの店舗に関しては,家電取扱店が最も 地価額の高い地区へ集積している。これは戦後に小川町 や神保町から移転してきた電気関係の露店が入居したラ ジオ会館やラジオセンター等の存在が大きい。森川 (2003) では,秋葉原地区がアニメ街化する中でラジオ会 館もアニメ関係の店舗で埋められていく過程が示されて いるが,古い業種といえる家電店も依然として地価額の 高い駅周辺に残されている。 Ⅳ 考察 第Ⅱ章で考察した内容を,商業集積の拡大に深く関 わった関係者,その社会状況や地理的条件,前業種から の系譜について整理し,これを表1 に示す。ラジオ・電 気店,パソコン店,アニメ関係店いずれも,業種の発生 および集積に大きく関係した人物は,業界誌や知人から の情報により同業種が以後の成長業種と認識していた。 それに加えて,パソコン店とアニメ関係店の場合は,開 業に深く関わった人物が個人的にも当該業種に強く興味 を抱いていた。 先の拙稿にて,新しい業種の店舗が集積する初期は既 存店が取扱商品を変化させたことが大きく,同業種店の 集積が進む段階では新たに開業した店舗の存在が大きい ことを指摘したが,これは秋葉原地区の全体的な動向で ある。パソコン店やアニメ関係店の発生や集積に最初に 深く関わった個別の主体をみると,いずれも新たに開業 した商店であった。したがって秋葉原地区における業種 の発生・集積の過程は,新規の商店が新しい業種の店舗 を開業し,その成功をみて駅前や表通りに立地する既存 の電気店がその業種を取扱うようになると,その次には 新規商店の集積が進むという経過をたどることが,先の 拙稿と合わせて指摘できる。 秋葉原地区における業種の拡大は,ラジオ・電気店, パソコン店,アニメ関係店,メイド喫茶と異なる業種に みえるが,業種拡大の系譜をみると,いずれもすでに集 積していた業種との関係の中で発生している。新規の商 店によって新たな業種の店舗が開業されたとしても,そ の業種は突如表れたのではなく,既存の業種との関係性 の中で生じていたといえる。 戦後に電気関係の商業集積地が形成されてからは,パ ソコン,アニメ関係,メイド喫茶など,ある系譜の中で 成長したが,最初にラジオ店が集積した際には,その他 の要素が関わっている。まず当時のラジオが生活必需品 であるとともに生産しやすいという社会的状況が関係し ている。また,そのラジオ関係の有力店に成長したり, 高い地区に立地しているのに対して,パソコン専門店の 多くが地価額の低い地区に立地している傾向が読み取れ る。図2 の店舗分布より,アニメ関係店が表通りに当た る中央通り沿いに,パソコン専門店が裏通りにサブクラ スターを形成しているのをみたが,地価額の高低がそれ ぞれに対応している。アダルト製品の取扱店は一般的に 地価額の低い裏通りに立地するが,秋葉原地区における アダルト取扱店の多くはアニメ関係店であるため,地価 額の高い地区に多くの店舗が立地している。家電パソコ ン店や家電専門店は,パソコン専門店と比べると地価額 の高い地区への立地も多く,これらは戦後から立地する 老舗の電気店といえる。このように地価額の高い地区に は,最も新しい業種であるアニメ関係の店舗や古い業種 である家電店が多いのに対して,その間の業種であるパ ソコン専門店は少ない。 図6 より雑居ビルに入居する店舗の業種と地価額との 関係をみると,雑居ビルの店舗についても占有ビルの店 舗と同様の傾向がみられる。すなわちパソコン取扱店は 地価額の低い地区に立地し,アニメ関係店やアダルト取 扱店は地価額の高い地区に立地している。図2 にて雑居 ビルに入居するアニメ関係店が表通りに当たる中央通り 沿いにもサブクラスターをみせていること,雑居ビルの パソコン取扱店が駅から離れた裏通りへ集積する傾向を みせていることと対応している。 一般的に,資本力が弱いと言われる雑居ビルに入居す る店舗でも,地価が高くテナント賃料が高い表通り沿い の雑居ビルに入居することができるのは,それだけの需 要が見込めるためである。アンケート調査により秋葉原 における消費者の購買行動を分析した研究では,マニア 的な店舗に訪れる消費者は支出額が高いと指摘している (田中 2007)。また,雑居ビルの上層階という立地上不 利な場所でも,マニア層は商品を求めて店舗を訪れるた め,エレベータがなくとも立地上の不利は生じないこと が指摘されている (山下 2001)。雑居ビルのアニメ関係 店やそのアダルト取扱店が地価額の高い地区に入居する という傾向は,顧客の大半がマニア層という特殊な地域 条件であるがゆえに成立すると考えられる。 一方,アダルト取扱店と同様の分布傾向が予測される メイド喫茶については,図2 をみると秋葉原駅から離れ た裏通りへ立地する場合が多く,図6 からは地価額の低 い地区に立地する店舗が多いことが分かる。アダルト製 品も扱うアニメ関係店が,秋葉原地区に訪れる人々に広 く受け入れられているために表通りに堂々と立地してい るのに対して,メイド喫茶はまだまだ地価の安い裏通り の雑居ビルへの入居が主であり,その分布傾向からは秋

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性を有する地域として秋葉原地区を位置づけ,その形 成・変容の過程を考察してきたが,ここで考察したのは 地域形成過程の個別のケースである。今後,地域的個性 の形成過程を理論化するには,それを有する地域を対象 とした研究を積み重ねることや,理論化のための枠組み を提示する必要がある。また,本稿で考察した商業集積 の背景は,各種資料から得られた情報を基に指摘したも のであり,実際には本稿で指摘した以外の要素が関係し ていることも大いに考えられるため,引き続き情報収集 に努めたい。更に,秋葉原地区における近年の動向とし て,IT分野を始めとして産業集積が拡大している点や, 同地区内に劇場をもつAKB48の人気により関連ショッ プが集積し始めている点など,新しい変化もみられる。 地域的個性の形成過程の理論化という視点に立ち,これ らの点についても今後の課題としたい。 本研究は,平成24年度日本大学地理学会秋季学術大会に おいて発表した内容を骨子としている。この際にご意見をい ただいた先生方に厚くお礼申し上げます。本研究を行うに当 たり,日本大学文理学部自然科学研究所研究費を使用させて いただきました。 本研究は,2007年1月に日本大学へ提出した博士論文の一 部を加筆・修正したものである。学生時代から主査としてご 指導いただいた佐野充先生を始め日本大学地理学教室の先生 方や同僚の皆様には,日頃より様々な面でご指導・ご支援を 賜りました。ここに記してお礼申し上げます。 同店舗が集積したのは,大学や旅客・貨物駅としての秋 葉原駅の存在など周辺地域との関係や,神田一帯の中で 相対的に地価が安かったといった地理的条件が影響して いた可能性が指摘できる。特徴のない商業地であった秋 葉原地区において,創始者のアイデアのほか社会的状況 や地理的条件が影響して特定の業種が著しく集積し,そ の後は時代の変化の中で系譜にしたがって業種を転換・ 拡大したと言えよう。 秋葉原地区における商業集積の実態として,山下 (2001) が指摘する商業集積内のサブクラスターは,アニ メ関係店が集積した2006年においても見られた。一方 で,アニメ関係店の集積が著しい地区であることで,ア ダルトな製品を扱う商店が地価の高い表通りや駅前に立 地したり,地価の高い表通りの雑居ビルにアニメ関係や アダルト製品を扱う資本力の小さな店舗が多数入居する など,一般的な商業集積地の傾向とは異なると考えられ る実態をみせている。特徴的な業種構成という点で固有 の性格を有する商業集積地では,店舗の立地でも固有の 傾向を見せている。 以上,商業集積地として特徴的な機能と景観を有する 秋葉原地区を対象に,業種の発生・集積の背景と2006 年時点の商業集積実態について,先の拙稿の補足的に考 察したが,依然として以下の課題が残されている。まず 特徴的な機能的性格を有し固有の地域的性格≒地域的個 表1  秋葉原地区における業種の発生と集積の諸側面 関係者 社会状況 地理的条件 系譜 ラジオ・家電店 業界誌より成長業種 と判断。 飲食店街化に反対。 生活必需品。 開業容易。 周辺施設(大学・旅客 貨物駅)との関係。 安い地価。 電気店集積により 同露店が移転。 パソコン店 他人からの情報より 成長業種と判断。 PCに惹かれる。 家電メーカーを ターゲット。 アニメ関係店 イベント参加により 成長業種と判断。 アニメに興味。 パソコン店に 勤務。 メイド喫茶 ゲーム,アニメ店 が開業。 アニメ街化でコス プレが流行。

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1) 日経産業新聞(1982)『THE 秋葉原 電子産業の縮図』 日本経済新聞社,pp.66-67より。 2) 岩間政雄(1944)『ラジオ産業廿年史』無線合同新聞社 事業部,p.51, p.116より。 3) 千代田区(1960)『千代田区史 下巻』千代田区役所, pp.288-289より。 4) 東京百年史編集委員会(1979)『東京百年史 第六巻』 p.850より。 5) 松本 聖(1978)『回顧と前進』電波新聞社,p.284よ り。 6) 廣瀬太吉(1966)『自我像 第一巻』金剛出版,pp.192- 193より。 7) ラオックス株式会社50年史編纂委員会(1981)『ラオッ クス50年史』ラオックス株式会社,pp.24-25より。 8) 千代田区(1998)『新編 千代田区史 通史編』p.900よ り。 9) 日経産業新聞(1982)『THE 秋葉原 電子産業の縮図』 日本経済新聞社,pp.61-62より。 10) 山根一眞(1986)「アキハバラ電気村の神々電気露店の 陰陽道」IN POCKET 9月号:pp.136-152より。 11) 山根一眞(1986)「アキハバラ電気村の神々電気露店の 陰陽道」IN POCKET 9月号:p.149より。 12) ラオックス株式会社50年史編纂委員会(1981)『ラオッ クス50年史』p.19には,当時の秋葉原地区は,よしず 張りの食べ物屋の露天が立ち並び,闇市が跋扈する殺風 景な場所だったと記している。 13) 山根一眞(1987)「アキハバラ電気村の神々 二十八年 目の天国」IN POCKET1月号:pp.102-121より。 14) 山根一眞(1987)「アキハバラ電気村の神々 雨漏り工 場のスピリット」IN POCKET2月号:pp.112-128より。 15) 下記文献には東京における全露店商の8.55%に当たる 5,102名に対して行った調査が示されている。業種別の 店 舗 割 合 を 見 る と, 食 料 関 係40.7%,日用雑貨関係 38.7%,家庭金物関係4.2%に対して,電気器具関係は 1.7%と極めて少ない。大河内一男編(1950)『戦後社会 の実態分析』日本評論社,p.223より。 16) 千代田区(1998)『新編 千代田区史 通史編』千代田 区,p.1072より。 17) http://www.mimatsu.co.jp/intro/act_02.htm (最終閲覧日 :2006年11月12日)より。 18) 日経産業新聞(1982)『THE 秋葉原 電子産業の縮図』 日本経済新聞社,pp.68-69より。 注 19) ①山根一眞(1986)「アキハバラ電気村の神々 雨漏り 工場のスピリット」IN POCKET 10月号:p.127および, ②株式会社電波広研編(1998)『東京ラジオデパート創 立50年史 元気、東ラジ物語』株式会社東京ラジオデ パート,p.24より。 20) 秋葉原電気街振興会ウェブサイトによるhttp://www. akiba.or.jp/archives/index07.html(最終閲覧日:2011年 3月1日)。 21) ①コンピュータ・ニュース社編(1988)『ザ・PCの系譜 : 100万人の謎を解く』p.58および,②秋葉原電気街振興 会ウェブサイトによるhttp://www.akiba.or.jp/archives/ index07.html(最終閲覧日:2011年3月1日)より。 22) 『秋葉原攻略ハンドブック』(メディアワークス,2000 年),『秋葉原主義!秋葉原お買いもの・お楽しみガイ ド』(オーム社,1998年),ゼンリン住宅地図(2000年) を参考に集計した。 23) http://www.ijinden.com/_c_13/Suzuki_Kei.html(最終閲 覧日:2011年3月23日)。 24) 「快進撃カンパニー 第 3 回 ソフマップ」日経ベンチャー 141(1996年):pp.42-45より。 25) 高橋範夫(1995)『ラオックス ザ・コンピュータ館』 光栄より。 26) 柳下要司郎(2009)『アキバを創った12人の侍』株式会 社グラフ社,p.54より。 27) 「起業人 吉田博高(虎の穴社長) クリエーターと消費者 の橋渡しで成功をつかんだ「オタク」市場の革命児」週 刊ダイヤモンド94(20)(2006年):pp.104-105より。 28) 「起業人 木谷高明(ブロッコリー)―マニア向けグッ ズ市場で制作と小売りを両輪に快走」週刊ダイヤモンド 87(47) (1999年):pp.116-117より。 29) 主に喫茶店においてメイド服を着た女性店員が接客を行 う商店を意味するが,このブームから派生して同様のコ ンセプトでマッサージや美容室などの商店が存在してお り,本研究ではこれらを含めて「メイド喫茶」とする。 30) 三宅理一(2010)『秋葉原は今』芸術新聞社,pp.152-153より。 31) ①小林たかや(2006)『秋葉原人 アキバゲンジン』 エール出版社,pp.98-109および,②前掲注26)pp.56-58 より。 32) 「 企 業 研 究 そ の2 メ イ リ ッ シ ュ」 商 業 界58(6)(2005 年):pp.116-119より。 石原武政(2000)『商業組織の内部編成』千倉書房。 牛垣雄矢(2012)「東京都千代田区秋葉原地区における商業 集積地の形成と変容」地理学評論85:383-396。 田中辰雄(2007)「秋葉系オタクの行動パターン―ジャンル 履歴とアキバ回遊」(『2008 オタク産業白書』90-113, メディアクリエイト)。 森川嘉一郎(2003)『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』 幻冬舎。 山下裕子(2001)「商業集積のダイナミズム 秋葉原から考 引用文献 える」一橋ビズネスレビュー49(2):74-94。 吉見俊哉(1987)『都市のドラマトゥルギー―東京・盛り場 の社会史―』弘文堂。 吉見俊哉(2005)「都市の死 文化の場所」(植田和弘・神野 直 彦・ 西 村 幸 夫・ 間 宮 陽 介 編『 都 市 と は 何 か 』101-128,岩波書店)。 リッツア,J.著,正岡寛司監訳(1999)『マクドナルド化す る 社 会 』 早 稲 田 大 学 出 版 部。Ritzer,J. 1996. The Mc-Donaldization of society. California:Pine Forge Press.

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図 4  秋葉原地区における雑居ビルの空室率(2006年) 資料:現地調査,2,500分の1地形図。図3  秋葉原地区における路線地価(2006年)資料:『財産評価基準書 路線価図』(2006年),「2,500分の1地形図」。 02468101214         - 499  500-999 1000-14991500-19992000-24992500-29993000-3499 4000-4499 4500-4999路線価(千円/㎡) 図 5  秋葉原地区における業種別・地価額別の店舗数(占有ビル:

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