九州工業大学研究報告(工学)No.261973年3月 143
いくつかの制御系における最適な
パルス変調制御について
(昭和47年10月2◎日 原稿受理)
九州工業大学電気工学教室軽部 出 九州工業大学電気工学大学院石川克己
On Optimal Pulse Modulated Control of Some Systems by Izuru KARUBE Katsumi ISHIKAWA
During the past ten yeaどs, closed4◇◎p stab迫ty analysis of I)碇se m◎dulated system
is treated.
This paper iロve§tigates a pulse−modulated c◎Dtrol of s◎me sy8tems・
Piecewise constant controls such as PAM, PWM, PFM and PA・PWM are especia1.
1y aPPlied t◎systems with delay.
Using a reachable reagion technique, time optimal control problem is also discussed.
ここで X:η次元状態ベクトル
1・ まえがき 灘:スカラー操作ベクトル 区分的に一定な操作量すなわち,パルスによ 4b:適当な大きさの定数行列
って駆動される制御系の解析は,閉ループ系の安 目標点は簡単の為原点とする。 κ(の一〇 定問題などを扱うと言う形では以前にさかんに取 初期条件:x(心一κ。 (2)
り扱われていた鵬しかし・髄制御問題とし 操鷹の大きさに制限川望があるとする.操 て扱った剛蝋的少なくぼ近になぷ㌔ くつ
ニ姻は,各醸調形式によって次のように
か論文が出てきている・操作量にノくルスを恥る 分類される.但しτはサンカング醐を表わ
いわゆるパルス変調制御系は,その情報の形態のす。
竃㌶㌶慾;㌶蕊輔;i)ルス艦調(PAM)
系にディジタル計撒をオソラ剖こ縫込む際 ω声( 一1)「タ< τ (3)
には必ずディジタル信号を取り扱わなければなら 均 パルス幅変調(PWM)
覆二㌶鷲畔めておくことは今後必⇒溌諜灘τ㌔)
この論文ではいろいろな変調系の最短時間問題 iii)パルス振幅一幅変調(PA・PWM)
‡慧竺だ時間を含む緬いて噸 ⇒:(レ1)r≦×(〃−1)W+τカ(為一1)τ+。、≦r<カ7 (5)
. iv) パルス周波数変調(PFM)
講㌶で表わされるような系とする.姻一{±㌫篭認)τ㌔
元講メX十加 臼) ここでのばは一定のパルス持続幅
この他にもパルス形式を変えることによって異 でR(『)は各段で曲線を形成することになる,更
った形の変調方式が考えることが出来るがここで にPA−PWMの場合には, PAM及びPWMの は述べない・上からわかるように・PAMの問題 場合の双方の性質を兼ねそなえているので到達可
はパルス持続幅は一定(サンプリング周期)なの 能領域は上記のそれぞれの場合よりは拡がり,双で振幅と極性のみが問題となり・PWMはパルス 方のR(りの和集合の形で領域を形成する。しか 幅と極性・PA−PWMは振幅・パルス幅及び極 もこの場合はパルスの大きさ及び持続時間の2要 性・そして・PFMは極性とパルスの数が問題に 素を調整出来るので到達可能領域は1段の場合で
なってくる・ここでは主に(i)・(ii)・(iv)の場 さえも面積をもつようになる。 PFMの場合は,
合について論じる・ ここでは,PAMあるいはPWMの特殊な場合
つぎに,この系の制御問題に関する評価関数を と考えることが出来る為あまり意味を持たない。
次式のように定義する。 例題 次の微分方程式で与えられる系を考えて
」一轤茶ニ(聯)直 (7)みる゜.
以上の蹴もとにしてある_調系0こ対 :ぱ一訟:〕÷1ト
する問題は次のように言える。
「・つの・・ルス麺系に於て(・)(2)で表わさ state t「a砿え゜n mat「ixは
れる系で(7)を最小にするパルスの列を求めよ。」 1 1◎(1−¢覗( 一 ⑥})
ψ( ,ξo)=
O e−o・1(f㎜ o}
3. 最短時間問題
(i)線形連続系及びサンプル値系 上述の議論により・到達可能領域は・サンプリン
通常言われている許容鞠を使肌て系(、) グ醐7=1頃大パルス搬民とすると下
の最短時間問題を扱った論文はいろいろある.こ 図の如くなる・
こでは操作量をパルスとして与える為,例えば 一こ: ズエ
Desoer, wing3)の論文のように各段のパルスで 、へ 、 ル〆泌与榊
ヂリ トカひハのロエ ぷピタぷガ
到達出来る領域を状態空間に求めることによって 、 §ぶ・ 一一醐川・
議論が出来る。その為には条件(2)の下で系(1) ㎡ . A 一 ;s
の解が陽の形で出ていればよい,すなわち時刻∫ ∂・ さ V ・ ・、 ・ ・ 、
ぽ イ ロ がヘヘ ヲペ
で原点に到達可能な点の集合は ・ ?プー ワ Rω一{ぬ㊨・( ・τ・)∫:。φ( τ)b・4・}(8) ・
ぐ
》ミ ぐ 茜
クチ ヘへ
dふ芯 1φ
♂ 、 ⑨ ∂子 、、、 )t
但し, φ( , o):State transition matrix ・・
となり,操作量〃は,各サンプリング区間で一定 Fig 1
霊鷲巖巖諜;簑鑓灘㌶的解法は_形で
される方向ベハルがよ朔融表糎るの磯議論されているが・・,上述胴じ殼方が適用出 何学的にはっきりと襯出来る・ところで洛種来る.糠する系は
変調方式によるR(のの相違について述べると先 .
ずPAMによるものは操作量の大きさでのみ調 x(の=メx(「)+βκ( −m)+Cμ(r) (9)
整する為 各段で1直線方向しか到達出来ず, X:n次元ベクトル,〃:スカラーベクトル,
R(τ)も凸体となる。これに対して,PWMの場 m:一定のむだ時間
合はパルスの持続時間τ鳶が可変となっているの メ,β,C:定数行列145
初期条件{蕊の蕊蜘(・・)。≦㌶ぽ㌫莞
系(9),(10)が時刻rで原点に到達出来る点の
れユ集合R(τ)は x(〃)づ(椥ゐ)一メ鳶+拐x°+4鶏メ℃〃(〃1−1−∫)
Rω一{xlx−一κ1(『0,∫)× +封ガc。(腓柏一り
苦o [∫
o十堺
x(3,オ)8φ(ぷ一m)45 賜 舞一瞬
オ。 +Σ∠ξ3Σぷ∫〃φ(后一2−∫一戊一7π)
栖O J昧0
+∫1輌c・⑭]}(・・)ここで (15)
ち魎(f㌫㌶艮竺鷲㍗』(・+勲一βメー)φ(・)
ここでκ(ぷ,の 。≦8≦ξは次式の解である。
ゆぽ
昔κ(5,9)十x(3,りぷ十K(5十胡,匡)β一・ +騨βφ(−1− )
(12) +メ+・iヨλ ガ£r メ・βφ(ゐ一2+ノーm)
κ(ぷ,r)=0 :τ≦∫≦ 十θ ⇒ 」騨o K(∫,り=∫ したがって,この場合も
実際の計算は複雑になるが,理論的には(11)式 γ 一・4℃+1)fr 『−0・1・…〃2+ −1
より到達可能領域は求められる。少し具体的な形 のようなm+カベクトルによって決まる領域が とする為に次の場合を考える。 求まる。ここで
( 案は耀歴篇瓢ご罐姻 峠{をβ←ゴ:1:震1
嵐2恥 ㈹ 丁度。一贈サガル醐で原献酬出来る
鰍むだ醐の存在するステ・プ数 ように考えたが,これらのことはどのタイプの変
(正の整数値とする) 調系についても共通に言えることであり,むだ時この場合には・むだ時間が存在するステップの大 間の存在しない場合の拡張として考察出来る。
きさmと,制御が完了するステップ数nとの相
対的な大きさによって解の形が全く変化するので A La蟹雛ge型の最適問題
次の2つの場合を考える・ 一般に(7)式で表わされる評価を最小にする
(・)o女動の時 問題を考える.最終時刻τ、Nrは固定とし最 地)一一メ・升£1κ・(。・一匡㈹ 懸鰍綻とする・
倒 (1)PFMの場合
ただし (6)式で与えたように,1サンプル周期の聞で _κLφ(0)+iゴぷ 一・βφ(_卿+η_1_∫) 一定の振幅耽パルス持続時間τ及びdead time ⇒ ばをもつような標準パルスを用いて最適問題を扱 φ(0)=x。 ったOnyshkoらは次のような修正最大原理を導
よって,γ ≡4∠一・C(〆−0,1,…π一1)によって決 びいている。
るπベクトル方向に励振されるような領域が決 定理5> え=躍X+φ(の,X,φ:力ベクトル 定出来る。 0≦τ≦ち
なる系で,標準パルスを使用してP◎負廿yagin J一ψ(x(T), x(2τ),…κ(Nτ))
関数 @ 。.、 _ +∫::㌦(ちの4・ (2・)
S竜q鵡( 1) (16) に対してのPAM PWMあるいはPA.PWM
を最小(大)化することと,次のスカラー関数 に対しての最適操作量の決定法はKirk7)や
方一∫増丑(りφ(の透 翼麗ぽ?㍊違論璽欝芒雲‡雰き
繰大化すること時価である.・ここで,君ぱ一 はないが・ここでは・むだ時間系(13)の評価 1,2,_)は補助変数である。この定理は,一応終 (7)に対する髄なPWMについての考察をカ・
端未定の問題に対するものであるが,終端を指定 えることにする。
した場合には,制約が加わったことになりLag一 パルスは必ず各サンプル時刻で立ち上り・τ鳶時
。ang。の乗数鱒入すれば形式的に}ま終端綻刻だ嚇続するものとする・振幅は一定であるの
暢合調型に鰭する。 で変量は・切換時刻のみとなる・(2°)式の補助この定理を線形サンプル値系に拡張すれば,次 変数を考慮した評価は・
の巖得られる゜ 潜一∫海陸ぷx御一)綱〕漉
(22)
姫+1)づ④+β・(ゐ)カ=1,a パ18) 訊を第蝦目で考えて,
解は 告_θ+〆(淑+8x(オーm)+C・)(23)
カ
x(丘)=ノ輌盈x(o)十Σ宴一多βμ(∫−1) とおくと丘段目での評価は i=1
であるから次碗理が示される・ 」妻一∫:1二:1 〔鼎〆泌
定理6)
固鷲三瓢㌶麟ぷ讃慧 +/∴,」一ぽ〕直 (24)
の問題は ここでパルス持続時間τパこδちなる変分を与え 々糾1 ると次式となる。
ΣΣ』㌧(ξ)βψ3◎ (19)
戸゜ゴ=1 δ」仁〔θ(τご)一θぴξ)〕δτ向
;蕊襟㌶願麓:巖む +∫:∵[一票δ一∂x暮竺m)δκ()
だ時間を含む系(9)式に対しても同様に成立つ
と考えてよい.ただし,その際の醐変撫(・) +〆砕+∫:_L票δx
は次式の解でなければならない。
繭ω一一ρω一吻(、概)、,。≦、≦、rm 一δx2{詰δx(・−m)+〆δ元]4・ (25)
ρ(り=一4T @) :τ1−m≦τ≦τ1 以下の段階は現在考慮中であるが,上式のδκを (2の 消去する形にもって行きδ躍一〇なる為のいくつ
(11)PAM, PWA及びPA−PWM かの条件が,最適なPWMの為の必要条件とな
(7)式なる評価関数,あるいは更に一般的に, ろう。PAMの場合も振幅の変分を与える形で考
各段の状態値あるいは最終値の条件をも考慮に入 察すれば同様の過程をふんで議論できる。
れた評価関数
147
Ba§i¢Eng.84−2.71/841§62.
5. む す び 3)Desoer c. A.&wing J.:The Minimal Time Regulator Problem for Linear Sampled Data パルス変調系の場合の最短時間問題の解析は到 Systems.:General Theory.∫. of Franklin 達可能領域を求めることでほぼ解決がつくことを Inst・272−3・208/2281961・
示した・む満間を含ぽについての糠を断 4)時霞㌶講㌶歴耀鷺;駕嶽
に加えた・条件をexpllcltに求めることと・適
5)Onyshk。 S. et aL:Optimizati◇n。f Pulse 当な計算アルゴリズムを見つけることが今後の課 F「equency Moduiated Cont「01 System via魁なろう・ 漂:汀㌶um P「 ndple IEE且T凱AC≡
参考文献 6)軽部出:むだ時間を含むパルス変調系の最適問
題第15回自動制御連合大会,1972.
1)Nelson, W. L:Pulse−Width Relay Contro1 7)Kirk, D. E.:Optimization of Systems with