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大村湾の海洋学的並びに浮游生物学的性状に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

大村湾 の海洋 学的並び に浮游 生物学的 性 状 に 関 す る 研 究

(予 報II)湾 口 附近 水 域 に 於 け る植 物 性 プ ラ ン ク トン量 と気 象 要 因 との 関 係 に 就 い て*1 入 江 彦 ・ 飯 塚 昭 二

Studies  on  the  oceanographic  and  planktological characteristics  of  the  Bay  of  Omura

(Preliminary  II)  Relation  between  the  quantity  of phytoplankton  and  the  meteorological  factors in  the  neighboring  waters  of  the  entrance  of the  Bay

Haruhiko  IRIE  &  Syδzi  IZUKA

Authors  carried  on  daily  observation  to  elucidate  relation  between  the quantity  of  phytoplankton  and  the  meteorogical  factors,  especially  sun‑shine  and precipitation,  in  the  neighboring  waters  of  the  entrance  of  the  Bay  of  Omura,

During  rainy  seasons(June  to  July,  &  September),  the  quantity  of  phyto‑

plankton  increased  when  fine days  continued  after  rainy  days.  It did'nt  vary so  remarkably  when  the  meteorological  conditions  were  stable  after  October.

3 長崎大学水産学部研究報告 昭 和 30 6

1.緒 1=1 

W.R.  G .  ATKINS.

l)は植物性フ。ランクトンの増殖に関与する,即ち水界の

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を規定する生理的要因の内の

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を挙げ,営養物質が豊富で、叉水温が適当していても,光の量が或る限度以下であれば,

プランクトンの増殖は起らないとしている 2)

倉茂,喜多村3)は中海に於いて,叉倉茂りは東京湾、に於いて気象要因と植物性プランク トン増殖との関係を追究し, 降水がプランクトン増殖を促す原因は酸素及び、営養物質以外 にあり, 塩介変化が珪藻の分裂増殖機能に刺戟的な効果を及ぼすのではないかと暗示をし ている.

著者等は大村湾の海洋学的並びに、浮悦生物学的性状を明かにする一助として,大村湾出 入口の一つである早岐水道附近に位置する一地点に於いて,

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月に,原則的に日々観測を行い,プランクトン量と日照時間*2及び、降水量 との関係を見た. 本水域を取聞む陸地は耕地が極めて少く,叉流入河川も不恒存性が強い.

*1 

本稿は昭和

2 9

年度日本水産学会九州支部秋期大会

( 1 9 5 4

1 1

5

日,於熊本県富岡町)に於 いて口述したものを補正したものである.

*2 

長崎,佐世保地方には本研究期間中の日射量

( g c a l / c m

りの資料が無いので,やむなく佐世保 測候所の記録による日照時聞を用いて論議した.

(2)

2

長崎大学水産学部研究報告  第3号

 プランクトン採集には北原式定量網を用い,二定点を結ぶ約500mの直線コース(水深 約9m)のところを,表層及び底層の二層に分けて水平に一定速度(約2MPH)で曳網し 採集物をフォルマリン固定して沈澱管に入れて,24時闇討の沈澱量を読取った.潮時によ

る影響を出来るだけ少くする為に,可能な限り観測は昼間の高潮時に行った.

2 考

 (1)梅雨季を含む6月7日から7月13日の間は日照時間及び降水量共に大きいが,そ の間でも6月14日から29日までは連日の降水で,その間の累積降水量は著しく大きく,

その後約一週間はほとんど降水がなくて晴天が続き,その後に表層・底層共にプランクト ン量は著しく増加した.これはその直後の降水によって一時減少したが,それに続く好天 で再び増大している.6月4日から6日にわたる多量の降水の後7日から9日にかけての 比較的好天に,プランクトン量は急激に増加しているが,その後に更に続く好天には特に 著しい増加は見られず,全体としては反って減少している.

 降水による塩分変化との関係を見ると,何れも変化傾度の大きかった後にプランクトン 量の増加が見られる.

 水温変化の傾度はあまり大きくないので,これとの相関は判然とはつかみ得ない.全般 的に表層より底層に多くなっているのは,降水による沈降を反映しているものであろう.

(Fig. 1.).

 (2)9月号降水期にも同様な傾向が比較的判然と見られるが,10月に入り晴天が続い て降:水がほとんど無く,塩素量は17〜18 %oでほとんど変化なく,水温は24℃前後で6〜

7月半りも全般的に高いにもかかわらず変動が少い為に,プランクトン量も安定して著し い変動が無い.然しその間でも多少とも降水のあった後にはプランクトン量がやや増加し

ている傾向はうかがわれる(Fig.2.).

 (3)11月から1月にかけては晴天が続き,降水は著しく少く塩分はほとんど一・回して,

水温も徐々に低下の一途をたどり,プランクトン量もそれに対応してほとんど変化がない。

然し前述と同様に,多少とも降水を見た後にはプランクトン量がやはり増加している傾向

はうかがわれる(Fig.3.).

3.プランクトン相の遷移

 プランクトン相の遷移については精査し尽されていないが,巨視的に云って6〜7月及 び9月の二つの降水期を境にしてプランクトン相が大きく変貌する.これについては別報

の予定である.

4.結

 以上の事から,植物性プランクトンの増殖には第一義的には困る限界以上の日射量を必 要とするが,倉茂等が既に指摘している様に,その限界以上でもたとえ環境条件がよくて も,安定した条件の継続は決してプランクトンの活磯な増殖を促さず,その安定を破る様 な条件が与えられて初めて,それが生理的な刺戟となって増殖が著しく活性化される.

 叉環境条件が悪くてもそこに多少とも急激な変化が起れば,やはり刺戟となってそれに

相応した増殖が起る.』

(3)

佐 世 保 湾 内 の 大村 湾 口附 近 に於 い て 日 々観 測 を行 い,日 照 時 間 及び 降 水 量 と植 物 性 プ ラ ン ク トン量 増 減 との関 係 を 見 た.

6〜7月 の 梅 雨 季 に は,降 水 が続 い た後 に 晴天 が続 く時,必 ず プ ラン ク トン量 の著 しい 増 加 が 見 られ,9月 の降 水 期 に も此 の傾 向は 認 め られ る.

10月 以 降 気 象 条 件 が 比 較 的 安 定 して 晴 天 が続 き,水 温 条件 は6月 頃 と同程 度 で も,プ ラ ン ク トン量の 著 しい増 減 は 見 られ ず,11〜12月 及 び1月 の冬 期 間 も同様 で あ る.然 し此 の 期 間 で も,多 少 とも降 水 を見 た 後 に は プ ラ ン ク トン量 が や や増 加 し てい る 傾 向は うか が わ

れ る.

植 物 性 プラ ン ク トンの増 殖 に は或 る限 界 以 上 の 日射 量 は 必 要 とす るが,そ の 限 界 以 上で も,安 定 した 環 境 条件の 継 続は 活溌 な増 殖 を 促 さず,そ の安 定 を破 る様 な条 件が 与 え られ て初 めて 増 殖 が 著 し く活 性 化 され る.

入江春彦・飯塚昭二一大村湾U海 洋 学 的 並 ♂iこ、伊瀧生物学的性歌に関する研究(予報H)

5 .

要 約

観測資料の縦覧及び利用を許された佐世保測候所に対し,特に同所の佐々木,中尾両技官に対し深 謝の意を表する.

文 献

1) W. R .   G .  

ATKINS. 1. 

d .   C .

, 

2

99‑126 ( 1 9 2 6 ) .   2)

相川広秋 日水誌,

1 ‑ 4

191‑198 

(1

9 2 6 ) .  

3)

倉茂英次郎・喜多村一男気集, lI

‑X

lI 

6

287‑300 ( 1 9 ?  ) .  

4)

倉茂英次郎海時,

I I 1 ‑ 1

5 9   ( 1 9 3 1 ) .  

(4)

4

長崎大学水産学部研究報告

第3男・

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入江春彦・飯塚昭ニー大村湾の海洋学的並びに淳游生物学的性欺に関する研究(予報韮)

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