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新英語プレイスメントテスト導入と 2017 年度結果報告

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(1)

新英語プレイスメントテスト導入と 2017 年度結果報告

田村朋子

Abstract:

The Result of the English Placement Test (EPT) for AY2017 and the Introduction of the New Test, CASEC

Seisen University has administered the English Placement Test (EPT) twice a year. For AY2017, the EPTs were held in January, 2017 (1

st

EPT) and January, 2018 (2

nd

EPT) for 2

nd

year students and in March, 2017 (1

st

EPT) and January, 2018 (2

nd

EPT) for 1

st

year students. This paper mainly aims to compare the scores of the 1

st

and 2

nd

EPTs. The EPT results are mainly referred to when placing the 1

st

and 2

nd

year students in appropriate English-level groups of the Interdepartmental English (Kyotsu Kiso Eigo) Program. Also, the EPT results are used as a data to measure the growth of 1

st

and 2

nd

year students’ English proficiency. The TOEFL ITP had been conducted as the EPT for many years.

However, starting in AY2016, a new test, CASEC was used as the EPT. In this

paper, firstly, the details of the introduction of CASEC are explained and then the

main features of CASEC are described by comparing it with the features of

TOEFL ITP. Secondly, some curriculum changes to AY 2017 Kyotsu Kiso Eigo

are explained. Thirdly, the results of the two EPTs held in AY2017 are analyzed

taking the curriculum changes in account. Especially, the scores were closely

compared in regard to their improvement. The results of the analysis indicate the

following two points: 1) it is obvious that the scores for the sections (skills) that

are not covered in the Kyotsu Kiso Eigo curriculum did not improve; 2) the

current Kyotsu Kiso Eigo curriculum is appropriate for Japanese and Cultural

History majors, but not challenging enough to further improve English, Spanish,

Global Citizenship majors’ English language skills. Lastly, this paper raises

issues with the current Kyotsu Kiso Eigo curriculum and proposes some ideas to

improve it.

(2)

要旨:

本学では、年に2回英語プレイスメントテスト(

EPT

)を実施している。本稿で は、2017年度(2017

1

月/3月、2018

1

月)に行われた2回の

EPT

のスコア の伸びに着目しながら分析を行った。

EPT

の結果は、主に1、2年生の共通基礎 英語科目等のクラス分けに使用するとともに、学生の英語力の傾向や伸びを把握 するためのデータとしても活用している。長年

TOEFL ITP

EPT

として実施して きたが、2016年度より

EPT

として

CASEC

を導入した。本稿では、まず、CASEC の導入の経緯と

CASEC

のテストの特徴について

TOEFL ITP

と比較しながら述べ た。次に、2017年度に行われた共通基礎英語のカリキュラムを変更点について説 明し、それを踏まえて、

2017

年度の

EPT

の結果を分析した。分析の結果、1)共 通基礎英語のカリキュラムで扱っていないスキルについては、

CASEC

のスコアは 顕著には伸びていない、2)現状の共通基礎英語のカリキュラムは、日本語日本 文学科、文化史学科の学生にとっては、適当であり英語力を伸ばすようなもので あった、他方、英語英文学科、スペイン語スペイン文学科、地球市民学科の学生 にとっては、もともと持っていた英語力を伸ばすようなカリキュラムとなってい ない可能性がある、といったことが推察された。最後に、分析結果を踏まえて今 後の共通基礎英語カリキュラムの改善すべき課題を提示した。

キーワード:

英語プレイスメントテスト(EPT) スコア分析、共通基礎英語カリキュラム

English Placement Test, score analysis, Interdepartmental English curriculum

1.

はじめに

本学では、1、2年生は全員、英語プレイスメントテスト(以下「

EPT

とする)の受験を必須としている。1年生は入学前の3月と後期の1月、

2年生は後期の1月に全学生が受験する。

2016

年度の

EPT

から、自宅等イ ンターネットに接続された学外のパソコンからでも受験可能なシステムを 導入したため、その導入の経緯とともに、

2017

年度

EPT

の結果を報告する。

2.

英語プレイスメントテスト(

EPT

)の目的

EPT

実施の目的は、1、2年生の共通基礎英語科目等のクラス分けの基 準とすることと、学生の英語力の傾向や伸びを把握するためのデータとし て活用することである。なお、

EPT

のスコアは、1、2年生の共通基礎英 語科目、英語

I, II

(講読)と基礎英語(総合)のクラスの成績の

10%

に含む こととしている。再履修者および英語以外の外国語必修を選択した学生に 対しても

EPT

の受験を促し、

2017

年度の英語

I

の再履修者については、

EPT

(3)

のスコアを参照しながら英語

I

の各グループにクラス分けを行った(従来設 置されていた再履修クラス(Rクラス)は

2017

年度から段階的に廃止した。

正規学生に混じって再履修者が学習することで、再履修者の学習意欲を高 める目的があった。)。本学では、制度上、英語以外の外国語を必修外国語 とすることが可能であるが、1年生が英語以外の外国語を必修とするため には、EPT で一定のスコアを取得することが求められている。4月の履修 相談の際に、英語以外の外国語を必修として履修可能か判断するにあたり

EPT

のスコアが参照される。また、2年次に必修外国語を英語に変更する ことを希望する学生についても、EPT のスコアに応じた英語のグループに 振り分けている。

3.

新テスト

CASEC

導入の経緯

本学の共通基礎英語では、長年、

EPT

に「TOEFL ITPテスト Level-B」(以

TOEFL ITP)を使用してきた

1。TOEFL ITPは、紙ベースのテストである

ことから、入学直前の新1年生全員に一斉に学内で受験させるため、多く の受験教室の確保や大人数の試験監督を確保する必要があった。全校放送 でリスニングの放送を行っていたため、教室ごとの放送環境を事前に整備 する必要があり、その準備に多くの時間を費やしていた。さらに、業者に よる集計結果の納入に最短4日を要するため、各学科のガイダンスや合宿 までに、1年生の共通基礎英語科目のクラス分けを行うことは大変困難で あった。

このような課題を解消し、学生の負担も軽減するため、2016 年度に、イ ンターネットに接続した学外のパソコンからでも受験可能なシステムを提 供する

CASEC(Computerized Assessment System for English Communication)

を導入した2。これにより、新入生でも3月末までに自宅で受験し、直ちに 結果をパソコン画面上で確認して入学時の自分の英語力を把握することが

1

ETS

Educational Testing Service

)が作成する

TOEFL

Test of English as a Foreign Language)試験の 1

つで、団体向けに提供されている(Institutional

Testing Program

)。

2公益財団法人日本英語検定協会が基礎開発し、現在、株式会社教育測定研 究所が開発・運営しているインターネット上で受験できる英語コミュニケ ーション能力判定テスト。

(4)

できるようになった。また、受験した全学生の

EPT

の結果は、即日インター ネット経由で入手できることから、クラス分けの調整に関わる負荷が大幅 に軽減され、未受験学生の把握も容易になった。なお、1年生と

2

年生の 後期(1月)の

EPT

のスコアは、1、2年生の講読と基礎英語の成績の10%

に含まれるため、公平性を考慮し学内受験としている。また、スコアは、

速やかに授業担当者に通知できるようになった。

4. CASEC

の出題形式

CASEC

の出題形式を以下に整理し、TOEFL ITPと比較する。

CASEC

は4セクションで構成され、セクション1および2は、語彙の知

識、表現の知識等のリーディング能力が問われ、セクション3および4は、

リスニングのセクションであり、大意把握能力および具体情報の聞き取り 能力を測る問題が出題される。セクション1〜3は選択肢から回答を選ぶ 形式、セクション4は、聞きとった英文をタイプして入力するディクテー ション(書き取り)形式である(各セクションの出題形式の詳細について は、表1を参照)。一方、2015年度まで使用していた

TOEFL ITP

は、リス ニング、文法構造と文章表現及びリーディングと語彙の3セクションで構 成されている。

両テストの大きな相違点は、TOEFL ITP はペーパーテストで全員同じ問 題のテストを受験するのに対し、CASECは受験者それぞれの能力に応じて 問題が変わっていく、適応型のテストであることである。適応型のテスト とは、コンピューターによる調整によって、設問に正解すると次の設問の 難易度が上がり、不正解だと次は易しい問題が出題されるといったもので ある。CASEC のホームページによると、「最終的には提示された問題の難 易度と各問題に対する正答誤答のパターンをもとにして受験者が安定して 正解できるぎりぎりの難易度を推定し、スコアに換算」して最終スコアを 算出している。テスト時間は、

40

分から

50

分と短時間の受験で済み、

TOEFL

ITP

の約

70

分に比べて学生の負担も軽減された(CASEC

TOEFL ITP

比較については表2を参照)。

(5)

表1:

CASEC

の各セクションの出題形式

(CASECのウェブサイトに掲載されている、試験概要及びサンプル問題の 解説などから抜粋し、筆者編集)

セクション 出題形式・内容など

Section 1

(リーディング) 語彙の知識:(日常生活・学校生活・ビジネス

の場などでの)コミュニケーションに必要な 語彙の知識を測定する。英文を読み、空所に

「最も適切だと思われる単語」を

4

つの選択 肢から選ぶ

Section 2

(リーディング) 表現の知識:日常生活・学校生活・ビジネス

の場などでの)コミュニケーションに必要な

表現(

set phrase

)の知識」を測定する。画面

に表示されるイラストを参考に表示される英 会話文を読み、空所に当てはまる「最も適切 だと思われる表現」を

4

つの選択肢から選ぶ

Section 3

(リスニング) リスニングでの大意把握力:(日常生活・学校

生活・ビジネスの場などに密着したシチュエ ーションの会話やニュース・機内放送などの)

ナチュラルスピードの会話・情報を聞き、画 面に表示された質問文に対して「最も適切だ と思われる解答」を4つの選択肢の中から選

Section 4(リスニング)

具体情報の聞き取り能力(ディクテーショ

ン):日常生活・学校生活・ビジネスの場など に密着したシチュエーションのナチュラルス ピードの会話・情報を聞き、画面に表示され ている「音声と同じ内容の英文の空所に当て はまる単語」をキーボードから入力して解答

(6)

表2:

CASEC

TOEFL ITP

の比較

CASEC TOEFL ITP

セクション 語彙の知識(四肢択一

16

問)

リスニング(四肢択一

30

問)

表現の知識(四肢択一

16

問)

文 法 構 造 と 文 章 表 現

(四肢択一25問)

リ ス ニ ン グ で の 大 意 把 握力

(

四肢択一

16

)

リーディングと語彙

(

肢択一

40

)

具 体 情 報 の 聞 き 取 り 能 力(書き取り

11

問)

全問題数 60 問(各セクション1〜

2 問 採 点 さ れ な い 問 題 がある)

95

点数の範囲

1000

点満点

200

- 500

解答時間

40

分〜

50

70

テストの媒体 パ ソ コン (web ま た は

CD-ROM)

ペーパーテスト

テスト実施の方式 自宅受験/学内受験 学内受験のみ

難易度の調整 適応型 なし

5. 2017

年度からの共通基礎英語科目のカリキュラム変更点

共通基礎英語科目は、「上級英語」

I, II

「英語」

I, II

「基礎英語」

I, II

3つのレベルで構成されている。科目名の大きな変更点はないが、

2017

度から下記の5点についてカリキュラムの変更を行った。(以下、学科名は 西文(スペイン語スペイン文学科)、英文(英語英文学科)、地民(地球市 民学科)、日文(日本語日本文学科)、文化史(文化史学科)と表記する。)

1.2017

年から1年生の科目を半期化した

2.

英語

I, II

(講読)、英語

I

(会話)、英語

I

(作文)を統一シラバスとした

3.

英語

I, II

(講読)で文法の副読本を指定して文法の強化を行った

(7)

4.

英語

I

(会話)にディスカッションを導入した

5.英語 I

の再履修者クラスを廃止し、再履修者は前年度受講したグループ を参考に各グループに振り分けた

2017

年度より、年次進行に従って、今まで通年で行われてきた1年生の 共通基礎英語科目は全て半期化された。従って、

2017

年度より、1年生の 科目は、上級英語

I ab

(講読)(

a

は前期、

b

は後期。以下同様)、上級英語

I ab(会話・作文)

、英語

I ab(講読)

、英語

I(会話)

、英語

I(作文)

、基礎

英語

I ab(会話)

、基礎英語 I ab(総合)が開講されている(2017年度共通

基礎英語科目については表3参照。

2018

年度からは、

2

年生の科目も半期 化された。)。そのうち、上級英語(1クラス)と基礎英語(2クラス)に ついては例年、履修を希望した学生の中から

EPT

の点数を考慮して、受講 者を決定している。上級英語は、ネイティブ・スピーカー教員が行うレベ ルの高い授業である。また基礎英語は、いわゆる一から英語を復習したい 学生のための授業で、日本人教員が海外で出版された英語初学者用の教科 書(Side by Sideシリーズ、English in Actionシリーズ)を使って、一から丁 寧に復習を行い、学生の英語基礎力を伸ばすことが目的の授業となってい る。上級英語は全学科対象で基礎英語は日文と文化史の学生が履修できる 科目である。上級英語と基礎英語については、

2017

年度はカリキュラム改 革を行っていない。共通基礎英語科目のカリキュラム改革の対象としたの は、多くの学生が受講している英語

I, II

の授業である。英語

I, II

は、EPT のスコアを用いて、グループ分けを行った。1年生対象の英語

I

16

グループ に振り分け、そのうち1

~10

グループについては、英文、西文、地民(英・

西・地)の学生を

EPT

のスコアに基づきそれぞれのグループに振り分け、

11~16

グループについては日文・文化史(日・史)の学生を

EPT

のスコア

に基づき振り分けた。2年生対象の英語

II

は同じ要領で

15

グループに振り 分けた(英・西・地:1

~9

グループ、日・史:

10~15

グループ)(上級英 語、基礎英語、英語を受講している学生の

CASEC

のスコアは

Appendix 1

を参照)2017年から実施された英語

I, II

の授業内容の変更については次の 2点である。1点目は、通年であった英語

I

(会話・作文)では、

90

分の授 業で会話と作文の両方を扱うことになっていたが、半期化により前期が英

I(会話)

、後期が英語

I

(作文)というように、前期は会話、後期は作

(8)

文を扱うようなカリキュラムに変更した。従来の英語

I

(会話・作文)では、

教員によって会話と作文を扱う比重が異なっていた。特に会話の授業で扱 われる内容は、教員によって様々で、日常会話を取り上げたり、映画の台 詞から英語表現を学んだりといったことが行われていた。この授業を担当 している非常勤の教員から、1年生のうちに自分の意見を述べられる、批 判的思考力を身につけられるような授業内容にしたらどうかという意見が 以前からあり、前期の会話を、学生にとって身近なトピックでディスカッ ションを行い、自分の意見を述べることを目標とした授業に統一した。ま た、後期の作文では、

topic sentence、 supporting sentences、 concluding sentence

の役割を理解し、英文パラグラフの構造を用いて1段落の作文(パラグラ フ)を書けることを目標としている。両者とも統一シラバスを作成して、

どのグループも到達目標が達成できるように教科書も指定した。2 点目は、

英語

I, II

(講読)で文法の副読本を指定して文法の強化を行ったことである。

文法の教科書は、学生が自主学習できるように、各文法項目の解説と練習 問題が両方掲載されているものを指定した。基本的には、学生は授業外で、

指定教科書を使って自習をし、授業内では、練習問題の答えの確認と小テ ストを行った。

表3:

2017

年度共通基礎英語科目一覧

年次 レベル 開講科目名

前期 後期

1年次

(

半期

)

上級英語 上級英語 Ia(講読)

上級英語

Ia (

会話・作文

)

上級英語 Ib (講読)

上級英語

Ib (

会話・作文

)

英語 英語

Ia (講読)

英語

I (

会話

)

英語 Ib (講読) 英語

I (

作文

)

基礎英語 基礎英語 Ia (文法)

基礎英語 Ia (総合)

基礎英語 Ib (文法) 基礎英語 Ib (総合)

2年次

(通年)

上級英語 上級英語

II (

講読

)

上級英語 II (会話・作文)

英語 英語

II (講読)

英語

II (会話・作文)

基礎英語 基礎英語

II (講読)

基礎英語

II (

会話・作文

)

(9)

6.

スコア分析と考察

本稿では、2年生(1回目:1年次の

2017

1

月、

2

回目:2年次の

2018

1

月)と1年生(1回目:入学前の

2017

年3月、2回目:1年次の

2018

1

月)のスコアを学科別に比較することとした。1回目と

2

回目のスコ アの伸びを学科ごとに見るため、2回とも受験した学生のみを分析対象と した。表4は2年生、表5は1年生の学科別スコア比較である。それぞれ の表には、学科ごとの分析対象とする受験者数とその合計、各セクション

(Section 1~4)の1回目と2回目の平均点及び全体の平均点、さらに1回目 と2回目の点差が示した。なお、表4、表5ともに、上級英語、英語、基 礎英語の履修者も含まれている。

6.1.

2年生のスコア分析

総合点(Total)は、特に、英文(+10.3)、日文が(+19.0)とスコアの伸 びが大きい。一見すると日文の方がスコアの伸びが大きいように見える。

しかし、1回目のスコアに着目すると、英文が

565.1

で日文が

453.9

となっ ており、英文の方が日文に比べて1回目のスコアが高い。従って、1回目 のスコアが高い英文のスコア差+10.3の方が、1回目のスコアが英文に比べ て低い日文のスコア差+19.0よりも伸び率が高いと言える。これはどのセク ションにも言えることだが、日文、文化史はもとになる第1回目(2017

1

月受験)のスコアが英文、西文、地民に比べて低い傾向にある。従って、

1回目と2回目のスコアの差がもし同点であっても、1回目のスコアが高 い傾向にある英文、西文、地民の方が伸び率が高いと解釈可能と考える。

Section 1

(コミュニケーションに必要な語彙)では、日文以外の学科のス

コアが下がっている。共通基礎英語のカリキュラムでは、どの学科に対し ても語彙に特化した授業を行っていなかったため、スコアが伸び悩んだと 言える。日文に関しては、1回目のスコアが

114.1

と英文、西文、地民のス コアと比較すると高くないため、+5.0 の伸びはあまり顕著ではないと言え る。

Section 2

(コミュニケーションに必要な表現の知識)では、総合的にはス

コアの伸びが緩やか(+1.4)であるが、地民(+4.9)はスコアが顕著に伸び ている。これは、学科の英語カリキュラムで、表現の知識を獲得できるよ うな科目が開講されていたということも要因だと考えられる。

(10)
(11)
(12)

Section3

(リスニングの大意把握)は全体的にスコアが伸びているが、英 文(+1.7)と西文(-1.4)のあまり伸びていない。逆に、日文(+8.3)と文 化史(+4.3)は、顕著に伸びている。ここから読み取れることは、日文、文 化史は、共通基礎英語のカリキュラムが学生のレベルに合っており、学生 のリスニング力が伸びたと言える。しかし、英文、西文のような1回目の 点数が高くもともとある程度のリスニング力を有していた学生のリスニン グ力が伸びなかったということは、共通基礎英語のカリキュラムが英文、

西文の学生にとっては容易なもの、すなわちレベルが合っていなかったと 言えるだろう。

Section

4(ディクテーション)は、英文は、+6.3ポイントと顕著に上が

っている。西文も+11.0と点数が伸びているが、1回目の点数が英文の

136.7

と比べて

118.3

と低く、英文ほど顕著に点数が伸びたと言えない。共通基礎

英語のカリキュラムでは、学生はディクテーションの練習をする機会はほ とんどないが、英文学科では学科が独自に行っているディクテーションコ ンテストなどを通じて学生が普段からディクテーションに慣れ親しんでお り、そのことが点数の伸びに影響したと考えられる。全体的に日文は1回 目の点数が低いとはいえ、点数が他の学科と比べても顕著に伸びている

(+19.0)。

6.2.

1年生のスコア分析

総合点(Total)を見てみると、2年生と同様に、英文(+18.4)と日文(+5.8)

は他の学科に比べてスコアの伸びが大きい。

Section 1

(コミュニケーションに必要な語彙)は地民のスコアが+3.2と伸

びている。地民のスコアは、1回目(入学前

2017

3

月)も

132.1

と高い ことから、スコアの伸び率が顕著であると言えるが、他の学科はスコアが 下がっている。これは、共通基礎英語のカリキュラムが語彙に特化したも のを扱っていなかったからだと言える。英文(128.7)、西文(136.2)は、

入学前の1回目のスコアが高いことから、もともと英文、西文の学生は他 学科の学生よりも英語の語彙力があったと言える。しかし、2回目の

EPT

のスコアが、英文(-1.2)、西文(-0.4)ともに下がっている。ここから、共 通基礎英語のカリキュラムが、英文、西文のような、もともと比較的高い

(13)

語彙力を有している学生の語彙力をさらに伸ばす内容ではなかったと言え のではないかと考えられる。日文(-3.3)、文化史(-6.6)はスコアが顕著に 下がっている。日文、文化史の1年生は、共通基礎英語科目以外に英語の 授業を履修していないことから、共通基礎英語のカリキュラムでは、語彙 力を身につけることができなかったと言える。

Section2(コミュニケーションに必要な表現の知識)のスコアは、英文

が(+6.6)と顕著に伸びている。英文以外の学科は、スコアが伸びていない ことから、英文のスコアの伸びが顕著であるのは、英文の学科の必修の英 語のカリキュラムが影響していたと言える。逆に、英文以外の学科のスコ アが伸びていないのは、1年生の共通英語のカリキュラムがコミュニケー ションに必要な表現の知識を扱っていなかったことが表れていると言える。

2017

年度より、英語

I

(会話)にディスカッションを導入したことで、学生 は、ディスカッションに使用する英語表現は学習したが、日常会話で使用 されるイディオムや表現については学習する機会がなかった。

Section 3(リスニングの大意把握)は文化史(-0.1)のスコアが下がって

いる一方、英文(+6.9)、西文(+5.8)は顕著に伸びている。日文(+6.1)の スコアは伸びているが、1回目のスコアが英文、西文に比べて低いので顕 著に伸びているとは言えない。共通基礎英語のカリキュラムでは、リスニ ングに特化した授業は行っていなかった。従って、英語を学習する機会が 共通基礎英語科目しかない日文、文化史の学生のスコアには、その影響が 顕著に現れていると言える。

Section 4

(ディクテーション)の英文(+6.1)のスコアが伸びているのは、

学科の必修科目である

Listening Skills

でディクテーションを行っていたこ とが影響したと言える。日文(+4.7)のスコアが伸びている一方で、同じグ ループの文化史(+0.4)のスコアがあまり伸びていない。同じグループで授 業を受けていたのにもかかわらず、日文と文化史のスコアの伸びに差が出 た原因に教員差が関係していると推測される。すなわち、日文の学生の割 合が多いクラスに、ディクテーションの能力を引き上げた教員が割り当て られていた可能性があるということだ。これを検証するためには、次の段 階として英語

I

のグループごとの点数の伸びの違いを見ていく必要がある。

(14)

7.

まとめと今後の課題

全体的にスコアの伸びがそれほど著しくなかった理由として、共通基礎 英語カリキュラムでは、1年生、2年生とも文法力の向上、1年生はそれ に加えて自己発信力の向上に力を入れたことが考えられる。すなわち、文 法、ライティング、スピーキングを問うセクションがない

CASEC

では学生 の文法力、自己発信力の向上がスコアに十分に反映されていない可能性が ある。その中で、2年生のリスニングセクション(Section3,4)のスコア が全体的に上がったのは、2年生の会話・作文の授業の会話では、映画の 英語表現や日常会話の表現を扱っていたためと考えられる。

また、本稿のスコア分析から、英文、西文、地民の学生にとっては、共 通基礎英語のカリキュラムがものたりない(学生の英語力を向上させるも のとなっていない)と考えられる。一方で、日文、文化史の学生にとって は、共通基礎英語が提供しているカリキュラムのレベルが適当であったと 思われる。このことから、共通基礎英語を英文、西文、地民の学生のレベ ルに対応したカリキュラムに改善しなければ、学生がもともと持っている 英語力をさらに向上させることは難しいのではないかと考える。この解決 策として、例えば、スコアの高い学生は、所属学科に関係なく各グループ に振り分け、それぞれの学生の英語力が伸びるカリキュラムを提供する。

学科のカリキュラムに英語科目が含まれている英文、地民の学生には、さ らに英語力を引き上げるためのレベルの高い授業を提供することなどが考 えられる。

今後も

EPT

のスコアの分析を蓄積し、それを踏まえ、共通基礎英語のカ リキュラムやクラス編成のあり方等について検討や提言を継続していきた い。

謝辞

スコア分析にあたり、本学の情報環境センターの白石哲也氏より貴重なご 意見をいただきました。感謝申し上げます。

(15)

参考文献

CASEC http://casec.evidus.com/test-summary/

CASEC

ガイドツアー

http://casec.evidus.com/3step/guide.html

TOEFL ITP https://wwwcieej.or.jp/toefl/itp/

(16)

Appendix 1

参照

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