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(1)

『摧邪輪』

(日本思想大系巻十五『鎌倉旧仏

一向専修宗選択

邪輪巻

*

31 7 下

専修宗選択集

の中

邪を

摧く輪

巻上

夫仏日

没、余

隠。法水雖

乾、遺潤

尚存。三印分

邪正

ヽ 一 夫れ 仏日没すと雖も、余輝未だ隠 れ ず。 法水乾くと雖 も 、遣潤なほ存せり。 三 印 、 44

五分別

内外

我等依

之嘗

甘露

毒酔

良如

梵音

ヽ 一

二 邪正 を分 ち、五分 、内 外を 別す 。我 等 こ れ に よつ て 、 甘露 を嘗め 、 毒酔を 醒 ます。ま

金容

之為

種智

円因

ヽ 一

之萌

無上覚芽

豈非

幸耶

、非

こ と に 梵 音 を 聞くが ご とし、金容 に対 へるに 似 たり 。こ れ を 以 て 種 智 の円因と し、 こ

耶。

愍敍

愚子

適値

慈父

而悶

絶、

失心

狂子

良薬

以不

れを 以て 無上 の 覚 芽を 萌 す 。 あ に幸 にあらずや 、 喜 に あらずや 。 然 り と 雖 も 、 愍 跰の レ

嘗。何其

咄耶。爰

上人

ヽ 一

一巻書

名曰

選択本願

愚子は、 たま た ま 慈父に値 ひて悶絶し 、 失心の狂子は、 希 に 良 薬を受け て 以 て嘗め ず 。 ○

惑於経論

ヽ 一

誑乎諸人

往生行

上レ

宗、反妨

礙往

何ぞ そ れ 拙き や 。

生行

矣。高辨年来於

聖人

深懐

仰信

為所

聞種種邪見、

こ こ に近代、上人あり、 一 巻の書を 作る。名づけ て 選 択本願念仏集と 曰 ふ 。 経論に

家男

女等、仮

上人高名

妄説

一言

謗上人

設雖

迷 惑 して 、諸 人を 欺 誑 せ り 。 往 生の 行を 以て 宗 と すと 雖も 、反 って 往 生 の 行 を 妨 礙せ レ

他人

ヽ 一

必信

用之

然近

日披

閲此

ヽ 一

悲嘆甚

り。 高 弁 、 年 来 、 聖 人 に お いて 、深 く 仰 信 を 懐 け り 。 聞 ゆ る と こ ろ の 種 種 の 邪 見 は 、

深。聞

名之始、喜

乎上人妙釈

巻之今、恨

乎念仏

在家の男女等、上人の高名を仮り て 、 妄説すると こ ろ な りとお も ひき。未だ一 言を出

今詳知、在家出家千万門流所

起種種邪

見、皆起

此書

一 し て も、上人 を誹謗せず。た と ひ 他人の談説を聞く と雖も、未だ必 ず し も こ れ を信用

上人入滅

之項

ヽ 一

興行倍盛。

于板印

ヽ 一

以為

後代重宝

せず。 し かるに、 近日 こ の 選択 集を 披閲 す る に、悲嘆甚だ探し 。 ○

於一

ヽ 一

而敬

重如

仏経

惣以

為往生宗之肝要、念仏者

名を 聞き し の 始めには、上 人の妙釈を礼せむこ と を喜ぶ。巻 を 披くの今 は、念仏の

之適

難者

ヽ 一

過於

乎念

希値

信人

ヽ 一

徳於

二 真 宗 を黷せりと恨 む。今、 詳かに知りぬ、在 家 出 家千万の門流、起す と こ ろ の種種の

乎往生

遂使

一味法雨分

甘醎之

ヽ 一

和合

衆僧成

不同之失

何其

邪見は、皆 こ の書 よ り 起れ りといふ ことを。上 人 入滅の頃に 至 っ て 、 興 行倍盛ん 45

悲乎

或処

講経説法次、出

二難

彼書

一 〈就 二文義多種 なり 。 専 ら 板 印 に 鏤 め て 、 以 て 後 代 の 重 宝 と す 。 永 く 一門 に 流 して 、敬 重 す るこ と 仏 心 謬 一 且置 レ之。 唯出 二大邪見 過 一 邪説亦多種、且出 二二種也。但有人云、 経のごとし 。 惣じ て 往 生宗の肝要、 念 仏者の秘府なりとおも へ り。 これ によっ て 、 た ○ 此書更 非 二上人 製作 ヽ 一 是門 弟所 レ 也 云云。然 者彼集 奥 文云、而今不 レ図蒙

*

31 8 上 また ま難ずる者 あ れば 、過を念 仏 を 難 ず るに負はす 。 希に信ず る人に値 ひて は、徳を ○ レ仰辞 謝 無 レ地。 仍今 跟 集 二念仏 要 義 一 唯顧 二命旨 ヽ 一 不 レ不敏 一 是即 無慚無 往生 を信 ずる に擬 せり 。遂に一 味の法 雨 に甘醎 の 味 を 分 ち 、 和 合 衆 僧に不 同 の失 を成 愧之 甚也 。 庶 幾一経 二高覧之後 、 埋 二于壁底 ヽ 一 莫 レ窓前 一 恐為 レ さし む。 何ぞ それ悲し きや。 仍 つ て 或 る 処におい て 講 経説法 の 次に、三の難を 出 し て 、 法之 人 堕 二於悪 道 一也。 〈 己 上〉既有 二此文 一 須 下請人作者 名字 上也。 かの書を破す 。 有人云、 上人雖 レ深智 ヽ 一 不 レ文章 一 仍無 二自製之書記云云 。設上人自 〈 文 義に つい て 、 多種 の紕謬 あ り。且 く こ れ を 置 く。 た だ 大 邪 見の 過を 出す.邪 説 も また 多種 、且 く二 種を 雖 レ筆、若印可之者、 更不 レ其過 一 若上人 不 二印可者、何 故 迄 二 出すなり 。ただし有る 人の云 く 、「 こ の 書、さ らに 上人の 製 作 に あ ら ず 、 是れ門弟の撰 する と こ ろ な り 」 と 云 滅後 一于板 印 ヽ 一 以為 二亀鏡乎。 若 又 雖 レ上人 忸 門弟 所 ヽ 一 彼一門 有 三 云 。 し か らば、かの集の 奥 の 文 に云 く 、「しかるに 今 、図らざるに仰を蒙る、辞謝 するに 地 なし 。 仍 つ て 今、 摧 邪輪 巻上 尽 二 第 三 門決 一

(2)

摧 邪輪 巻上 学此 書 ヽ 一 尚不 レ其過也。 若上人 都 無 レ知者 、唯破 二此邪書也。 更 不 跟 に念仏 の 要義を 集 む 。 た だ 命旨 を顧みて 、 不 敏を 顧み ず。是れ即 ち 無 漸 無愧 の 甚 しきな り 。 庶 幾は くは 、 レ別其作 者 一也。 〉 一 た び高覧 を 経 て の後は、壁 の 底に埋 み て、 窓の 前に遺すこと なかれ。恐 ら く は 、破法の人 を し て 、 悪 道に堕 せしめざらん がためな り 。」 〈 已上 〉既にこの 文 あり。すべ か ら く 請 ふ 人 に 対 し て、作者の名字 を 問 ふ べきなり。 有る 人の云 く 、「 上 人 、深 智ありと雖 も、文章 に善 か ら ず 。 仍 つ て 白 製 の 書記な し 」と云 云 。 た とひ 上人、自 ら 筆 を 執 らず と雖も、も し こ れ を印可 せ ば 、 さ ら に そ の過を 免 れ ず .も し上人、印可せずは、何 が 故 ぞ 、減後 に迄っ て 、板 印に鏤め て 、 以 て 亀 鏡 と す るや 。 も しまた、上人ならびに門 弟 の 所 撰に あらず と 雖も、かの一 門、 こ の 書 を 受 学 す る こ と あ ら は 、 尚 し そ の 過 を 免 れ ざ る な り 。 も し 上 人 、 都 て 知 る こ と な く は 、 た だ こ の 邪 書 を 破するなり。 さ ら にそ の作者 を 簡別すべ か ら ざる な り 。〉

一撥

去菩提心

過失。

〈此 過者、処処吐 レ言。教義 倶分明也。 〉 一は、 菩 提心を 撥 去する 過 失 。 〈 こ の 過 は 、 処処に言を吐けり.教義供 に分 明なり 。〉 はっ き ょ 46

二以

聖道門

群賊

過失

〈此 過者、勘 二一言 陳 下 意 許 一之。 〉 二は、 聖 道 門 を 以 て群 賊 に 譬うる過失。 〈 この過は、一の言陳の 下 の意許を勘へ てこれを出す 。〉

後日伝聞、彼座

専修門人

ヽ 一

大起

忿諍

曰、

集中

二 後日伝 へ 聞 く 、か の座 席に 専 修 の 門 人あ っ て 、大 い に 忿 諍を起 し て 曰 く 、「 選 択 集

此義

此出

自僻

也云

云。

余因

此事

ヽ 一

邪正

ヽ 一

粗記

二 の中 に 全 く こ の義なし。こ れは自ら僻見を 出 すなり 」 と 云 云。 余、 こ の 事を聞くに因ん

一二

夫蛇

水成

毒、牛飲

水成

乳。邪人

法成

項悩

ヽ 一

正人

で 、 邪正 を糺 さん がために、 ほ ぼ一 二 を 記 す 。夫 れ 蛇 は水 を飲 んで毒と成し、牛 は水

法成

菩提

其邪

正易

迷、

善悪難

分。若得

分別

者、二利道

を 飲 ん で 乳と 成 す 。 邪 人 は 法を 聞 い て 煩 悩 と 成 し 、 正 人 は 法を 聞 い て 菩 提 と 成 す 。 そ

是満

。是

故於

諸行

皆有

誑偽

学者宜

准簡

自心

一レ

中。

の 邪 正迷 ひ 易 く、善悪分ち難し 。もし分別す ることを 得 ば 、二利の道 是 に 満 ず。 こ の

香象大師梵網経疏、約

三学

及雑行

ヽ 一

各別引

経論文

其咎

二 故に、諸行に おい て 、 皆誑 偽あり。学 者 宜しく准簡すべし 。 自 心 を し て 中に墜さし む ○

大賊

然戒

三学

別相

第四出

雑行

云、四雑行者、

るこ と な か れ 。

亦有

二類

一約

福行

者、謂

質直

ヽ 一

苟姧

奇福

二 香象大師の梵網経の疏 に 、 三学 およ び 雑 行に約 し て 、 おの おの経論の文を引い て そ

耀世

引重儭

意在

少呼

一レ

多。用

此活

命。既遂

其所

ヽ 一 の咎 を出し て 大賊 の名 を立 つ 。 し か る に 戒定慧 の 三 学 は 、 お の お の 別相あ り 。 第 四 に

即恃

此起

慢。凌

蔑余

人無

利養

悉以

苟非

利養

既爾名

雑行の 過 を 出 し て 云く 、「 四 に 雑行 とは 、また 二 類 あ り。 一に福 行 に 約 せば 、謂く 、 性 、

亦然。此是売

仏法

賊。出

迦葉

二約

余行

者、謂性非

慧悟

ヽ 一

*

31 8 下 質 直 に あ ら ず して 、 筍 く も 姧 計 して 共 に 奇 福 を 崇 む 。 世 人 を 眩 耀 し て 重 儭 を 招 引 す。

随学

一法

即便封著。眩

此所学

ヽ 一

以招

名利

ヽ 一

余所

修皆

二 意 は 少 を 以 て 多を呼ぶに在り 。 これを用つ て 活命す 。 既にその所求を遂げ て 、即 ちこ

究竟

此亦

愚人

害仏

賊也

。此

中於

雑行

ヽ 一

亦有

二類

一 れを恃ん で 慢 を起 す。余人 の利 養な き者 を 凌 蔑す 。 こ と ご とく 以て苟くも利 養にあ ら

今称名行、当

第二類

然其

心不

正理

相応

者、亦可

二 ず。既に爾 り 、名聞もまた然 り 。 こ れは是 れ 仏法 を売 る 賊 。 迦 葉経に出 でたり 。 二は

害仏

若有

此過

者、

良薬

上レ

病。

何療

之。

下 余行 に 約 せ ば 、 謂 く 、 性 、 慧 悟 に あ ら ず して 、 随 つて 一 法 を 学 して 即 便 ち 封 著 す 。 こ

水中

上レ

火。以

何滅

之。仏

等諸

経、

大誠

此大

の所学を眩し て 、 以 て 名利を招い て 、 余 の所修は皆究寛にあ ら ずと撥す。 こ れ は ま た

他宗

盛所

引釈

也。

思乎此文

ヽ 一

用心

間断

正理

唯一

門、

愚人、仏 法 を 毒害する賊なり。 」 文 。 47

行者是千万、入者尠、迷

聖教

察此

集宗

ヽ 一

大違

二 こ の 中に雑行の 中におい て 、 また二類あり。今の称名の行は、第二類に 当 れ り 。 し

背法印

ヽ 一

順邪

帰信

人荷

重罪

之愚

僧天性

二 かれ ども その 心 正 理と 相 応 せざ れは 、また 仏 法を 毒害 する 過あ るべ し。 も し こ の 過 あ

於執筆

ヽ 一

試撰

一章

ヽ 一

聊決

邪正

哀哉、悲哉。日月如

矢走奪

らは、良薬 を 服し て 病 を 起 すが ごとし 。 何 を 以てか こ れを療せん 。 水中 に入っ て 火 を

(3)

摧 邪輪 巻上

短命

頭燃

解脱

何遑

自他

偏執

乎。是故

二 出すに似たり 。 何 を 以 て か これを 滅 せん。 仏 蔵・十輪等の諸 経 には、大いに こ の 大 罪

称名

ヽ 一

善導

正念正見念仏者

ヽ 一

悉奉

帰命頂礼

ヽ 一

を 誡 め た り 。 自他宗の章 疏 に 盛 んに引 き 釈すると こ ろ なり。恩 を こ の文に懸 け て 、 用

来世

引導

然若

雑乱

、一

切有縁

当根

尽、

心間 断する こ とな かれ 。正理は ただ一 門 、行 者は是 れ 千万、入 る者 は尠く、 迷ふ人 は

一切根器、不

当有縁仏法

竭。依

之減

三宝

ヽ 一

国土

善神

多し 。今聖 教 によっ て こ の 集の宗 要 を撿察するに、 大 い に 法印に違背し、邪道 に 相

国、

悪鬼

国、輿

三災

ヽ 一

十善

基無

之。

〈抄 二至相 順ぜ り。 ま さ に 帰 信 の 人を して 重罪を 荷 せ し めん と す 。こ れ に よ っ て 、 愚 僧 、天 性執 五十要 問 答 意 一也。

況大邪

害自他

ヽ 一

師及

弟子倶堕

筆に倦し と雖 も 、 試みに一 章 を 撰し て、い さ さか邪正 を決す 。

地獄

是大聖金説、勿

疑滞

是故若欲

速生

浄土

者、須

二 哀なるかな や 、悲し き かな や。日 月 矢のごとくに走っ て わ が短命を奪ふ。ま さ に 頭

正見

邪正

雑乱

、往

期。決

分明

、解

大望

燃を救 っ て 解 脱を求むべ し。 何ぞ自他の偏 執 を 作すに遑あらん や 。 こ の故に称名の行

也。謂

捨此撰択集

也。何者

善悪諸業依

作法

得之

一 を も 非せず、善導 の釈を も 背かず。 正念 正見 の 念 仏 者 にお い て は 、 こ と ご と く帰 命頂 ○

菩提

心亦

此義

心義云、長耳三蔵云、初習種姓発心有

礼し奉 り 、 必ず 来世 の 引 導を 蒙 る べ し 。 し かる にも し邪 正雑 乱 す れば 、一 切の 有 縁 の レ

三。一仮

軽想発

三信想発。初仮想発者、由

三種

一 仏法は、根機 に 相 当 ら ずし て 尽 きぬ、 一 切の根器は、有線の 仏 法に相当 らずし て 竭 き

一善

友力、謂

善知識。二行力、謂受律儀。三法力、通別二因

。通

*

31 9 上 ぬ。 こ れ によ って 三 宝 を 滅 し、 国 士 を 損 ず 。 善 神 、国 を 捨 て 、 悪 鬼 、 国 に 入 って 、 三

謂如来蔵内熏之

等五根。

此三力

ヽ 一

仮起

求菩提

一 災 を 興し、十善 を 廃 す 。基 これ によ らざる ことなし。 〈至相 の 五十要問答の意を抄 す るなり 。〉

自利利他、漸次修習等云云。謂近代女人等之念

此邪書

一 況んや 大 邪 見 の過は、自他の善根を 損 害 し て 、師およ び弟子倶に大地獄に堕つ。 是

行力

ヽ 一

此邪

正儀

自不

邪正

ヽ 一

心漸背

仏法

ヽ 一

適謂

れ 大 聖 の 金説、疑滞 を 生ずる ことな かれ。 こ の 故 にもし速かに浄土に生 ぜ ん と欲は ば 、 48 レ

無上乗

ヽ 一

誤住

邪見

何其悲乎。須

手念仏

幸不

二 すべからく正 見を 好 む べ し 。邪 正雑乱すれば 、往 生期し難 し 。 決断 分明ならば 、 解 脱

此邪

ヽ 一

是亦

偏執

智人

思量

而已。

自 ら 到 ら ん。 大望た だ 一事の た め なり。謂く こ の選択集を 棄 捨 す べき なり。何とな らば 、善悪の諸業は 作 法によつ てこれを受 得 す。菩提心にまた こ の 義あり。 不空の菩 提心義 に 云 く 、「 長耳三 蔵 の 云 く 、 初 習 種 姓 発 心 に三 あり。一 に仮想発 、二 に軽想発 、 三に信 憑 発。 初めに仮 想 発 とは、三 種の力 に ょ る 。 一 に善友力 、謂く 善 知 識 。二 に行 力 、 謂く受律儀。 三 に 法力 、通別二因あり。 通とは謂く如 来蔵内熏 の 性 、 別とは謂く 信等 の五根。こ の 三力 によつ て 、仮り に 求菩 提の 相 を 起 す 。 自 利利他 し て 、 漸 次 に修 習す」等 と云云 謂く、近代 女 人 等 の念仏者、 こ の邪書 を 持する を 行力とす、 こ の邪律を受くる を 正 儀と す。 自 ら は 邪 正を弁 へ ず 、 心 漸 く 仏 法を 背 く 、た ま た ま 無 上 乗 に 入 る と 謂 ヘ ど も 、 誤っ て 邪 見の道に住す。 何 ぞそ れ 悲 し き や。 すべからく手を拱 い て 念仏すべ し。幸に この 邪 書 を 捧 げ ざ れ。是 れ ま た 偏執に似たり。智 人 思 量を垂れ よのみ。

大文

去菩提心

過失者、彼集一

多処有

此文

今出

二 大文第一に菩提心 を 撥 去 す る過失とは、かの集一巻の 中に多処 に こ の文 あ り 。今 五

五段文

之。

中有

五種大過

一以

菩提心

往生極楽

段の 文 を 出して こ れ を 破 す 。 中 にお い て 五 種 の 大 過あ り。 一は菩 提 心を 以て 往生極 楽

過、

二言

弥陀

本願中無

菩提心

過、

三以

菩提心

有上

の行とせざる過、 二は 弥陀 の本願 の 中に 菩提 心な しと言ふ過、 三は 菩 提 心 を 以 て 有上

(4)

摧 邪輪 巻上

過、四言

双観経

一レ

菩提心

弥陀一教

菩提

の小利とする 過 、 四は双観経 に 菩提心 を 説かずと言 ひ 、なら び に弥陀一教止住の時 、

過、五言

菩提心抑

念仏

過也。

菩提 心な し と 言ふ過、五は菩提心、念仏を 抑 ふと言ふ過なり 。

第一

菩提心

往生極楽行

過者

、集

曰、

第一 に 、 菩 提 心 を 以 て 往生 極 楽 の 行 と せ ざる 過 と は 、 集に 曰 く 、 49

弥陀如来不

余行

往生本願

ヽ 上

唯以

念仏

往生本願

之文。

「弥 陀 如 来 、 余 行 を以 て往生 の 本 願 と せ ずし て、 た だ 念 仏 を 以 て往生 の 本 願 と す る

無量

寿経

上云

、設

の文 。

観念

法門

上文

言、苦我成仏○

無量寿経 上に 云く 、設我 得 仏 ○

往生礼讃岡引

上文

云、○

観 念 法門に上の 文 を引 いて云 く 、 若 我成仏 ○ 往 生 礼讃 に同 じ く 上 の 文を 引いて 云 く 、 ○

私云、○問曰、弥陀如来於

何時何仏所

此願

乎。答曰、寿

私に云 く 、 ○ 問 ひ て曰く、弥陀 如来、 何 の時、何 の仏の所に お い て か、 この願 を 発

経云

、仏

阿難

ヽ 一

○於

是世

自在

王仏

二百

一十億諸

す や 。答へ て 日く、寿 経に 云く、仏、阿難に 告 ぐ 、○是におい て 世 自 在 王仏 、即 ちため

刹土

人天之善悪国土

麤妙

ヽ 一

○又大阿弥陀経云、其仏即選

択二

に広く二百一 十 億 の諸仏の刹土、人天 の 善悪、国土の麤妙を説く、○また大 阿弥陀 経

十億仏国土中諸天人民之善悪国土之好醜

択心

中所

に云 く、 その 仏 即 ち 二 百 一 十億の 仏 国 土 の 中 の 諸 天人民の 善悪 、国 土の 好醜 を 選 択す。

ヽ 一

楼夷亘羅仏

〈此 云 二世自 在 王 仏 一 〉

経畢。曇摩迦

〈此云 二法蔵 一 〉

便

心中所欲の願 を選択せしめんがために、 楼夷亘羅仏 〈ここに、 世 自 在 王仏と云ふ 〉 、経を 説 き

其心

ヽ 一

即得

天眼

徹視、悉自見

二百一十億諸仏国土中諸

*

31 9 下 畢んぬ。曇摩迦 〈こ こ に 、 法 蔵 と 云ふ 〉 、 便 ちそ の 心 を一 に し て、 即 ち 天 眼 を得 て徹 視し て、

民之

善悪

国土

ヽ 一

即選

択心中所願

ヽ 一

便結

得是二十四願経

一 こと ごとく自ら二百一 十億 の諸仏の国土 の中 の諸 天人民 の 善悪、 国 土の好醜 を見 て 、 〈平 等 覚 経 亦 復同 レ之。

此中選択者、即是取捨義也。謂於

二百

一十

即ち 心 中 の 所 願を 選 択 して 、便ち こ の二 十 四 願経 を 結 得 す 。 〈平等覚経、亦 復 これに同 じ 。〉

仏浄土中

ヽ 一

人天

ヽ 一

人天

ヽ 一

国土之醜

ヽ 一

この 中 の 選択とは、即 ち 是 れ取捨の義なり。謂く、 二 百一十億の諸仏の浄土 の中にお

土之

也。

大阿

弥陀

経選

択義

是。双観

亦有

選択

い て 、人天の悪 を 捨て て 、 人天の善 を取 る、 国土の醜 を捨 てて、国 土の好 を 取るなり。

取二百一十億諸仏妙土清浄之

是也。選択与

摂取

ヽ 一

其言

大阿弥陀 経の選択の義、是の ご とし。双観経 の意、 ま た 選 択 の 義あり。謂く、 二 百 一

異、

不清浄

ヽ 一

清浄

之行

也。

十億の諸仏の妙 土 清浄 の 行 を摂 取すと 云 ふ 、 是れなり。 選 択と摂 取と 、そ の言は 異 な

之善悪国土之麤妙、

然。

之応

知。夫約

四十八顧

一往

りと雖も 、その意 、是 れ同じ。 しから ば 不清 浄の 行を捨てて 、 清浄 の行を 取 るなり 。 50

各論

選択摂取之義

者、

第一

無三

悪趣

願者

覩見

之二

百一

上 の 天 人 の善悪、 国土 の麤妙 、 そ の 義ま た然り 。 こ れ に 准 じ て まさに知る べ し 。 夫 れ

十億

土中

ヽ 上

或有

三悪趣

之国土

ヽ 上

或有

三悪

之国

四十八願 に約し て 、一 往お のお の選択 摂 取の 義 を 論 ぜ ば、 第一 に無 三悪 趣の願 と は、

捨其有

三悪趣

麤悪国土

ヽ 上

取其無

三悪趣

善妙国土

故、

覩 見 す る と こ ろ の 二 百 一 十 億の 土の 中に お い て 、 或 い は三 悪趣 あ る の 国 土 あ り、 或 い

撰択

也。

第二

願者

彼諸

仏土中

ヽ 一

或有

縦雖

は 三 悪趣な き の国土あ り。即 ち その三悪趣あ る麤悪 の 国土 を選捨 し て 、 その 三悪趣な ○

中無

三悪道

ヽ 一

其国

人天寿終

之後、従

其国

去復更

三悪趣

之土

ヽ 上 き善 妙の国土 を選取する が 故に、 選 択 と 云 ふ な り 。第 二に不 更 悪 趣 の願 とは、 か の 諸

或有

悪道

之土

即選

捨其

悪道

麤悪国土

ヽ 上

取其不

仏土 の中におい て 、或 いはたと ひ 国 中に三悪道なし と 雖も 、その国の 人 天 寿 終つ て の レ

悪趣

善妙国土

故、云

選択

也。○

念仏往

願者、

後、その国よ り 去 ってまた三悪趣に更 る の 土 あり、或 いは悪道 に更 らざ るの土あり。

彼諸

仏土中

ヽ 一

或有

布施

往生行

之土

ヽ 上

或有

持戒

一 即 ち そ の 悪道に更る麤悪の国土を選捨し て 、 その悪 趣 に 更 ら ざ る善妙の国土を選 取 す

往生行

之土

云云

〈忍辱精進禅定 般 若出 レ之。乃至〉

或有

菩提

るが故に、選択と云 ふ なり 。○乃至、第十八 の 念 仏往生 の 願とは、 か の 諸仏土の中に

(5)

摧 邪輪 巻上

往生行

之土

○即今選

捨前布施持

等諸

お い て 、 或い は布 施 を 以 て 往生 の行 と す る の 土あ り、 或い は 持 戒 を 以 て 往生 の行 と す

ヽ 一

取専

仏号

故、云

選択

也。

〈己上 集 文 。〉 るの 土あ り と云云 。 〈忍 辱 ・ 精 進 ・ 禅 定 ・ 般若 こ れ を 出 す 。 乃 至 〉 或い は 菩 提心を 以 て 往 生 の 行 と するの 土 あり。○即ち今 、 前の 布施・ 持 戒 乃 至孝養 父 母等の諸行を選捨 し て 、専ら 仏 号を称する を 選取するが故に、選択と云ふなり。 」 〈已 上 、 集の文 。〉

決曰、

定菩提心義

間曰、言

菩提心

者、

何為

義。

答。

決し て 曰 く、まづすべから く菩提心 の義を弁定す べ し 。問 ひて曰く、菩提心 と言ふ

経論所説章疏解釈、広博無際。今須

大綱

且就

浄土家

ヽ 一

二 は、何 をか義 と す る 。 答ふ。経論の所 説 、章 疏の解釈、広博 無 際なり。今、すべか ら く

善導観経疏第

発菩提心

者、此明

衆生欣心趣大

*

32 0 上 大綱 を 標 すべ し。 且 く 浄 土 家に つ く に 、 善 導 の 観 経の 疏 の 第 二 に 云 ふ が ご と し 。 「発

浅発

小因

広発

弘心

ヽ 一

何能

菩提

相会

唯願我身

菩 提 心と言ふは、 こ れ は衆生の欣 心 趣 大 を 明 か す 。 浅く小因を発 す べからず。 広 く弘

身同

虚空

ヽ 一

心斉

法界

ヽ 一

衆生性

我以

身業

ヽ 一

恭敬供

礼拝

心 を 発すに あ ら ざ るよりは、何ぞ 能 く 菩 提と相 会 する ことを得ん。ただ願はくは、 わ 51

送来

運度令

尽。

口業

ヽ 一

讃嘆説法、皆受

我化

ヽ 一

が 身 、 身 は虚空に 同じく、 心は法界に 斉 し く 、衆 生性 を尽 さん。我 、身 業を 以 て 、 恭 敬

下得

道者

尽。又

意業

ヽ 一

定観

察、

身法界

ヽ 一

機而

供 養 し礼 拝し て 来 去 を 迎送し て 、 運 度 し て 尽 さしめ ん 。ま た我、 口 業 を 以 て 、 讃 嘆 説

度、

一不

一レ

尽。

此願

運運

増長、猶如

虚空

処不

一レ

遍。

法 し て、皆 わ が化 を受け、 言 下 に道 を得 ん 者 をし て尽 さしめ ん 。ま た我、意 業 を 以 て 、

行流無尽

、徹

窮後際

ヽ 一

身無

疲倦

ヽ 一

心無

厭足

又言

菩提

者、即

定に入 り て観察し て 、 身 を 法界に分つ て 、機 に応 じ て 度し、一 と し て 尽 さ ざ る こ とな

是仏果之名、又言

心者、即是

生能

求之心故、

発菩提心

也。

か ら ん。 我、こ の 願を 発 す 。運 運に 増長 して 、猶 し虚 空の ごと し。 処 と して 遍せ ざ る 〈己上 〉

解曰、此惣説

菩提心行相

名義

也。

又元

暁師

遊心

こ と な し。 行流 無 尽 にして 、 後際を 徹 窮せば 、 身、疲 倦 なく 、 心 、厭 足な から ん。 ま ○

云、

言正

因、

無上菩提心

也。即不

世間富楽及与

二 た 菩 提 と 言 ふ は 、 即ち 是れ 仏 果 の 名 、また 心 と 言 ふ ほ 、 即 ち 是 れ 衆 生の 能 求 の 心 なる

二乗

菩提涅槃

ヽ 一

一向志

願三

ヽ 一

無上

菩提

之心

惣標

が故 に、発 菩 提 心 と 云 ふ な り 。 」 〈已上 〉 解して曰 く 、 こ れ は惣じ て 菩提 心の 行相ならび レ

然、

中有

二。一者随事発

理発心。言

随事

者、煩

に名義を 説くなり 。

悩無数、欲

悉断

一レ

之、

善法

無量

悉修

一レ

之、

衆生

ま た 元 暁 師の 遊心 安 楽 道 に 、菩 提 心 にお いて 惣 別 の 行 相を 出す 。 即 ち 安 楽 道 に 云

一レ

之。

此三事

ヽ 一

決定期願。初是如来断徳正

因、次是如来智徳

く 、「 言 ふと ころの正 因は、謂く無上菩提 心 を 発すなり。即 ち 世 間の富 楽 とおよ び 二乗

、第三心者恩徳正

因。三徳合為

無上菩提

即是三心惣為

の菩提・涅槃 とを顧みず 、 一向に三身 の 菩提 を志願する を 、 無 上菩提の心と名づく 。

上菩

因異

異、広長量斉等。無

遺、無

包故

惣標 然りと雖も 、 中におい て二 あり。 一 は随事発 心 、 二は順理発 心 。 随 事と 言ふは、 ○ 〈乃至〉

言順

解諸法皆如

幻夢

ヽ 一

非有

非無

離言

煩悩 の 無 数なる、 こ と ご と くこ れ を 断ぜん と 欲ふ 、善 法の 無 量 な る 、 こ とご とくこ れ

此信解

ヽ 一

広大心

等云云。菩提心行相略説如

是。此二

を修せんと 願 す、衆生 の無辺 な る 、 こと ごとく こ れ を 度 せ ん と 願 す 。 こ の三事 に お い

発心

行相

、広

説経論

要言

之、言

菩提

者、

即是

仏果

て、決定し て 期願す 。 初 め は是 れ如来 断 徳の 正因 、次 は是 れ如来 智 徳 の 正因 、第 三心 ○

切智智、言

心者、

此一切智智

希求心

此云

菩提

一 は恩徳の正因 。三徳合し て 無上菩提と す 。即 ちこ の三心 を 惣 じ て 無 上菩提の因とす 。

一切

仏法

此心

生起

此希求心

、随

初後位

浅深

因果異な りと雖も、広長 の量、 斉等な り 。遣ると ころなく、包ね ざ る こ とな き が 故に 。 52

其不

ヽ 一

亦有

多種

今且依

一説

ヽ 一

華厳

四発心

*

320 下 〈乃至〉 言ふとこ ろ の 順 理 発 心 とは 、話 法は皆 幻 夢 の ご と し、非有 非無、 離 言絶慮 な りと

一縁

発心

、謂仰

縁菩提

而発心求、名

縁発

ヽ 一

位前也。二解

信解す 。 この信解によっ て 、 広 大 の 心 を 発す 」等 と云 云 。

発心、

一切法悉

是菩提

ヽ 一

解発

ヽ 一

十信十解位也。三行発

菩 提 心の行相、略説するに 是 の ご とし 。 こ の二発心の行相は、広くは諸経論に説く

(6)

摧 邪輪 巻上

心、謂一切行

皆合

菩提

ヽ 一

行発心

ヽ 一

十行十向位也。四体発

が ご とし 。要 を 取 っ て これを言へ ば 、 菩 提と言ふほ、即 ち 是 れ 仏果 の一 切 智 智、心 と

亦名

証発

謂証

一切性

ヽ 一

即是菩提自体

顕発、

体発心

也。

言 ふ は 、 この一切智智におい て 希求の心 を起す 。 こ れ を指し て 菩提心と云 ふ 。一切の

初地已上至

金剛

是也。今依

善導意

ヽ 一

浄土家

ヽ 一

縁発

仏法 、 皆 この心 に よっ て生 起す る こ と を 得 。 この 希求 の心 、 初 後の 位に 随っ て、 浅 深

何者、出

九品

ヽ 一

諸師配

大小次位

ヽ 一

唯一

向取

凡夫

の不 同あ り 。 そ の 不 同 を言ふに、 ま た 多 種あ り 。 今 且 く 一 説 に よるに、 華 厳 の 表 公 、

上品

云、

正是仏去

世後

大乗

極善

云云。

四 発 心 を 出 す 。 「 一 は 縁 発 心 、 謂 く 菩提 を仰縁し て発 心し て求 むる を、 縁 発 心と 名 づ く、

品倍劣

此。上品既不

次位

然云

道俗

時衆等各発

上心

ヽ 一 未人位の前な り。 二は解発心、 謂く一 切 の法、 こ と ご とく是 れ 菩提なりと解する を、

菩提心

往生正

故。明知於

四発

心中

ヽ 一

縁発

也。

解 発 心 と 名 づ く、十信十解の位なり。三は行発 心 、 謂 く一切の行、皆菩提に 合するを 、

又安

、明

発菩提心義

内有

四番

解釈

一出

菩提心功

行 発 心 と 名 づ く、 十行 十 向 の位な り 。四 は体 発心、 ま た証 発心 と名 づく 。謂く一 切 の

ヽ 一

二出

菩提名体

三顧

菩提心有

一レ

異。四問答解釈。

第一者、

性を 証す、即ち 是 れ 菩 提の自体 顕発 するを 、 名づ け て 体発 心 と するなり。 初 地已上よ

大経

云、

凡欲

生浄土

ヽ 一

要須

菩提心

上レ

原。

云何

菩提者、

り金剛心に至るま で 、 是 れ なり 。」 今善導の意によ る に 、 浄土家におい て は 、縁発 心 を

乃是無上仏道之名也等云云。第二番出

三身菩提

第三番

発心

取るべし 。何 と な らば 、九品の人 を 出 す に、諸師の大小の次 位 に配する を破し て 、 た

三種

謂理

悲為

三也。此之三因、能与

大菩提

相応

だ 一 向 に 凡 夫 を取る 。 ま づ 上 品 上生 の人 を判 じ て 云 く 、「 正 し く是 れ仏 世 を 去っ て 後

故、名

発菩

提心

又拠

浄土論

云、

今言

発菩

提心

者、

正是

願作

の大 乗極善 の 上品 の凡 夫」 と云云 。以下の八品は、 倍 こ れ よ りも劣な り。 上品既に次 位

作仏

心者、即是

衆生心。

生心

者、

即摂

取衆

ヽ 一 を 配 せず。しか る に「 道俗時衆 等各 発無上 心 」等 と云 つ て 、 菩 提心を 以 て 往 生 の 正 因

有仏

心。

浄土

故、

先須

菩提心

也。

第四

とす るが 故に 。明 らか に知 りぬ 、 四 発心 の中 にお い て 、線 発心 を取るな り。 53

番解釈文広多、具可

正文

又天

親無量

寿

、説

三種達菩提

また 安楽集の上巻 に、 発菩 提心の義を明かす 。内に四番の解 釈 あ り 。 「 一は菩提心

門法

謂依

智慧慈悲方

便

三門

離自利

故。

三種

の功 用を 出し、二 は菩 提の名 体 を 出 す。三 は 菩 提 心に異ある こ とを 顕はす。四は問答

門法

謂依

無染

清浄

心安

清浄心

ヽ 一

利他

本故。

解釈。第一は、大 経 に 云く、およそ浄土 に往生せんと欲はば 、 要ずすべからく菩提心

此等解釈、不

具出

其綱

要如

前両師解釈説

而已。

*

32 1 上 を 発 すを 原と すべ し。 いか んが 菩提 とは 、乃ち 是 れ無 上仏 道の 名 な り」 等 と云云 。第 二 番 に 三 身 の 菩 提 を 出 す 。第 三番 に 発 心 の 異 を 顕は す に 三種 あ り 。 謂 く理 ・行 ・慈 悲 を 三とするなり。 「 こ の 三因 、能 く 大 菩 提 と 相 応するが故に、発菩提 心 と 名づ く。 また 浄 土 論 に 拠 るに云く、今発菩 提心と言ふは、正しく こ の 願 作仏の 心なり。 願作 仏の 心と は 、 即ち 是れ 度 衆 生 の 心 な り。 虔 衆 生の心 と は 、 即ち 衆 生 を 摂 取 し て 、 有 仏 の 国 土 に 生れ しむ る心 な り 。 今 既 に 浄 土 に 生 れ ん と 願 す る が 故 に 、 ま づ す べ か ら く 菩 提 心 を 発 すべ き な り 。」 第 四 番 の 解 釈 の 文、 広 多 な り 、具には正文 を見るべし 。 また天親 の無量 寿経 論 に 、三種の 違菩 提門 の 法 を 説 く。 謂 く 、智 慧・ 慈悲・方便 の 三 門 に よ つて 、自 利 を 遠 離 するが故に 。 ま た 三 種 の順 菩提 門の法 を 説 く 。謂く無染清浄心 ・安 清浄心 ・ 楽清浄心 の三 門 に よっ て 、 利他 を以 て 本 とす るが故に 。 こ れら の解 釈、具に出 す に 遑 あらず。 そ の 綱要 、前の 両 師の 解釈 に 説 くがご と きの み 。

問曰

、此

諸教

差別

乎。答

三乗

行者、於

二 問ひて 日 く、 こ の 菩 提 心、 諸 教 におい て 差別ありとやせんや。

(7)

摧 邪輪 巻上

三乗菩提

ヽ 一

希求心

其三根差別

ヽ 一

三種菩提

謂声

聞菩

答ふ。三乗の行 者 、 三 乗 の 菩提におい て 、 希 求 の 心 を 起す。その 三 根 の 差別に随つ

提、縁覚菩提、諸仏菩提。此如

十地論等説

此中所

論者、正

二 て 、 三 種 の菩 提を 出 す 。 謂 く、声 聞 の 菩 提 、 縁 覚 の菩 提 、 諸 仏 の 菩 提。こ れ は 十 地 論 等

諸仏

菩提

諸菩薩所起菩提心也。

分位不同

ヽ 一

甘心

に 説 くがご と し。こ の 中に論ず る と こ ろ は 、 正 しくは諸仏の菩提を 取 る。 即 ち 走れ 大 ○ 54

体無

差別

也。

乗の諸菩薩 の 所起の菩提心なり。分位 の 不同ありと 雖 も、 そ の 心 体 、差別な きなり 。

問。見

引表

ヽ 一

此四発心外、亦出

三発

ヽ 一

亦出

六発

問ふ 。 引 くと ころの表公の 解釈 を見るに、 こ の四 発 心 の外に、また三発心 を 出す、

又見

経説

ヽ 一

観身過患発菩提心思惟諸

発菩提心等多種不

また 六発 心を出 す 。 ま た経 説を見 る に、観身 過患 発菩 提心・思惟諸仏発菩 提 心等の多

又見

論説

ヽ 一

或云

願心分位心二種

ヽ 一

或云

直心

深心

種 の 不 同 を明 かす 。 誉 た論 説 を 見るに、 或い は願心 ・ 分 位 心 の 二種 あ り と云 ひ 、 或い

悲心三相

諸宗

釈文

不同

何云

無差別

乎。

答。

彼中

は直心・深 心 ・大 悲 心 の三相ありと云ふ 。 諸 宗の釈文、また以 て 不 同 な るべ し 。 何ぞ

因起

ヽ 一

或説

行相

ヽ 一

此不同

其体

者、於

応得等三仏性

無差別と云 ふ や。

ヽ 一

即是

加行

因性

仏性

比因

性、

若有

差別

者、

応得

答ふ 。 か の中に 或 いは因起 を 説 き 、 或いは行相 を 説 く に、 こ の 不 同 あり。そ の体を

円満因

差別

苦言

爾者、応得因者、即是

空所

如、

謂はば 、応得 等 の 三仏性の中におい て、即 ち 是 れ 加行因性な り 。仏性論に説くがごと

円満

差別

乎。

し 。 この 因 性 、 も し差別あ ら ば 、応得因・円満因、 また差別ある べし 。もし 爾 りと言

心者

自性

空為

義。

空法即無

差別

也。

樹大

聖造

菩提

はば 、応得因とは 、 即 ち 是 れ 二空所現の 真 如、円満因とは、即 ち 是 れ 十地・十波羅密

心離相論

ヽ 一

菩提心性無相義

即如

彼論云

菩提心者、離

等。これ あ に 差別あるぺけん や 。しかのみならず 、 菩 提心 と は 自性空を義とす 。 空法

問曰、此中云何離一切性。答。謂蘊処界離

諸取捨

ヽ 一

法無

は即ち 差 別 あ るこ と な き な り。こ れ に よ つて 竜 樹 大聖 、菩 提 心 離 相 論 を 造 っ て 、 菩 提

我平等、自心本来不生。自性空故等云云。解曰、此約

大乗

心性無相の義 を 演 ぶ。 即 ち かの論に云 ふ がご と し 。 「 菩 提 心 と は、一切を離せる性 。

提心

法無我理

相応心、指

此云

菩提

一 問 ひ て曰く、 こ の 中にいかんが離 一 切性。答ふ。謂く蘊・処・ 界、諸の取捨 を離れて 、 法無我 平 等にし て 、自心本来不生なり。自 性 空なるが故に」等 と云云 。解し て 曰く、 こ れは大 乗 に 約 し て 菩提心 の 体 を 説 く 。法 無我 の理と 相 応 す る 心 、 こ れを指し て菩 提 心 と云ふ。

問曰、此心最為

甚深

我等未

法無我等道理

何発

菩提心

一 問ひ て 日 く 、 こ の 心、 最 も 甚深 な り とす 。 我 等 未 だ 法 無 我 等の 道理 を 知 ら ず 。 何 ぞ 55

乎。

答。

甚深

謂行

善縁

ヽ 一

率爾

仏境

ヽ 一

毛竪

流涕

菩提 心 を 発さんや。

希求心

撿此

心自

ヽ 一

法無

所依

更非

*

321 下 答ふ。 こ の心甚探にあら ず 。謂く、行 者 善縁に 遇 ひて 、率爾に仏境 を縁じ て 、毛竪

自知

法無我等理

也。是故同

下文云、又復識法是無常

、従

二 流涕 し て 、 希 求 の 心 を 発す 。 こ の 心 の 自 性 を 推撿 するに、法 無 我 の 理 を 以 て 所 依 と す

無常

生。彼無常性即菩提心。此説

空義

ヽ 一

亦不

相違

若無

常性

と言 ふ 。 さ ら に 自 ら 法 無 我 等 の 理を 知 る と 謂 ふ と に は あら ざ る な り 。 こ の 故 に同 論 の

菩提心者、若愛

楽菩提

ヽ 一

是心平

而亦不

楽彼

下の文に云く、 「 又復 識る、法は是 れ無常 の 法、無常より生 ず 。 か の 無 常の性、即 ち 菩

之心

、当

云何

知本来自性真実、一切成

就菩提心義

云云

提心 な り 。こ れ は 空の義を 説く なり 、また 相 違せず。も し 無常の性、即ち 菩提心なら

此等約

大乗

菩提

ヽ 一

其体性

也。

即此

心順

二無

我理

ヽ 一

ば、 もし 菩提 を愛 楽す る 、 この心 平 等に し て 、 ま た か の 空 を愛 楽す と 説 か ず 。 空 を取

大用

識説

所依

者、即業識

薫習心。以

此心

ヽ 一

菩薩菩提

るの 心、 まさ に い か ん が 得 べき 。ま さに 知 る べ し 、本 来自 性真 実 に して 、 一 切菩 提 心

也。

若順

人無

我理

ヽ 一

広大用

識説

所依

者、即

別事

の義を成就せり」 と云 云 。こ れ ら は 、 大乗 の菩提 心 に 約 し て 、 そ の体性 を 説 く なり。

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