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教科・領域教育専攻 言語系(国語)コース

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Academic year: 2021

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モンゴノレ語話者の日本語習得過程に関する研究 一助詞の「に j と「で J を中心に一

教科・領域教育専攻 言語系(国語)コース

森 ま ど か

モンゴル語と日本語は文法構造や語順など似 ている部分が多いため、初級レベルのモンゴ、ノレ 人日本語学習者はモンゴ、ル語に頼りがちである。

しかし、モンゴル語と日本語は対応しない部分 もあり、それがモンゴル人日本語学習者のつま ずきになっている面は否めない。その中でも本研究 では、モンゴル人日本語学習者の多くが助詞の

「に」と「でjで混乱していることに鑑み、発話資料及 び文字資料から助詞「にJ~r でj の習得過程に関

する分析を試みた。

まず序章では、研究の目的や研究の方法を述べ ると共に、モンゴルの教育における問題点やモンゴ、

ノレにおける日本語教育事情について明らかにし た。

続く第1章では、モンゴ、ノレ人の高校生・大学 生の日本語学習動機を解明すること、そして成 績との関係を明らかにすることを目的に、アン ケートを実施した。アンケートは3グループρ(8 高等学校、 N学校、 M国立大学)に行い、日本 語学習動機や成績との関係について分析した。

モンゴル人日本語学習者の日本語学習動機の上 位3位は、 「 視 野 を 広 げ て く れ る か ら 文 化 人になりたし、から日本で勉強したし、から」

であり、動機付けの下位3イ立は「日本人と結婚 したし1か ら 友 人 に 影 響 さ れ た か ら 中 学 で日本語を勉強していたから」であった。次に、

日本語学習動機の37項目を因子分析にかけた ところ、 7因子が抽出された。 S高 校 生 は5因

指 導 教 員 小 野 由 美 子

子の値が他のグループより有意に低く、全体的 に動機付けが低いことが明らかになった。これ はN学校の学生よりも日本語学習年数が短く、

大学生ほど日本語と将来の仕事を結び付けてい ないためであると推測される。また、 S高校生 では成績と学習動機の間にはほとんど相関が認 められなかった。これはモンゴ、ル人が成績とい うものに対してそこまで執着しないからではな いかと考えられる。成績上位者と成績下位者を 因子別に比較したところ、有意差が観察された のは、因子4

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道具的志向J

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日本で働きた し 、 か ら 日 本 人 の 考 え 方 や 生 活 様 式 を 知 り た し、から日本に住みたし、からJなど)のみで あった。成績上位者の方が成績下位者よりもよ り具体的で積極的な動機を有している、という ことができる。

第2章では、 S高等学校1年生と 2年 生 、 計 8名のモンゴ、ル語話者から半年間にわたって収 集した発話資料を用いて、文節数や誤用数がど のように変化していくのか、またどのような誤 用が多いのかについて分析した。そして、発話 中に多く誤用として現れた助詞の「に」と「で」

を取り上げ、 1年生と 2年生の違いを中心に考 察した。書き起こした発話資料をもとに 1年 生 と2年生の文節数を比較してみると、 2年生の 方が 1年生よりも文節数は多い傾向にあり、こ れ は2年生の方が日本語学習歴が長いことによ るものであると考えられる。また、 1年生では4

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(2)

人の平均文節数はほぼ同じであったが、 2年 生 になると学習者によって文節数に違いが見られ た。日本語学習歴が半年では学習者による文節 数の大きな違いは観察されなかったが、 1年以 上が経過すると文節数に違いが見られるように なってくると言うことができる。誤用数におい ては、 2年生の方が 1年生よりも多少誤用数は 少ないが、大きな差は見られなかった。 2 年 生 になっても依然として誤用は残っており、日本 語学習を進めたからといって誤用数が減るわけ ではないことが分かつた。また、 1年生の誤用 では「モンゴ、ノレ語の使用Jが最も多かったが、 2 年生では「不適切な表現Jの占める割合が多か った。これは2年生になるとモンゴ、ル語や英語 のみに頼ることなく、間違えていても日本語で 表現しようという姿勢の表れであると考えられ る。1年生と2年生で同じ傾向だと言えるのは、

成績上位者や日本語で話そうとする意欲のある 者は「発話の修正jの割合が多く、日本語を自 己訂正する能力を備えているということであっ た。

次に、発話資料の中に誤用として多く表れた 助詞 r~こ J と「で」について分析した。 1 年生

では助詞の「に!と「でJを使用すること自体 が少なかったが、 2年生になると「に」と「で」

を使用する場面が増え、誤選択をする用法も増 えることが分かつた。また、 1年生では助詞「にj

と「で」の正答率に大きな差は見られなかった が、 2年生では助詞「で」の方が助詞「に」よ りも正答率が高い傾向にあり、助詞「にJにお いてより多くの誤用が見られた。また、助詞「にj

は学習が進むにつれて使用できる用法にも広が りが見られるが、助言可「でJは使用する用法が 限定されていた。特に場所を表す助言司「に」と

「で」で多くの誤用が見受けられたが、それら

の誤用は前半だけに観察されるものではなく、

どの学習者においても最後まで誤用の多い用法 であることが分かつた。場所を表す助詞「に」

と「で」は誤用が化石化しており、モンゴル人 日本語学習者に対して、有用な指導法を考案す る必要性が明らかになった。

3章では、第2章で、データの少なかったS高 校l年生を主な対象者として、助詞「にJ

e : r

で」に関 するテスト問題を作成し、モンゴ、ル語話者が助詞

「に」と「でJをどの程度正しく理解しているのかテス トを行った。1年生が学習済みの用法のみをテスト 問題とし、「に」は7用法、「で」は5用法の理解度を 見るテスト問題を作成した。その結果、初級・中級 のモンゴ、ル語話者は学習年数に関係なく、助言司

「にJよりも助詞「で」の方が正答率が低いと いうことが分かつた。これは第2章の発話資料 の分析とは異なるものであり、文字資料では「動 作・出来事の行われる場所(位置+で)Jが3年 生になっても正答率が低く、 f位置+に」とする 傾向が見られた。その原因として教科書の影響 が示唆された。教科書には「前+にJや 「 中 + に」の例文は比較的多いものの、「前+でjや「中 +で」の文は少なく、教科書に頼っているモン ゴル人日本語学習者には「位置+に」の概念が 刷り込まれかねない。また、同一意味機能で正 答率に有意差の見られたものを分析すると、モ ンゴ、ル語話者は文の意味よりも、文型や構文で 助詞をとらえる傾向があるということが示唆さ れた。

そして結章では、以上の研究結果をもとに、

モンゴル人日本語学習者に対して助詞「にJと

「でJをどのように教えれば効果的であるのか、

その指導法を提案した。

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