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スポーツ参加者の環境配慮行動:

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学) 概要書. スポーツ参加者の環境配慮行動: トライアスロン参加者を事例として Pro-environmental behavior of sport participants: The case of triathlon participants. 2013年1月 早稲田大学大学院. スポーツ科学研究科. 松井 くるみ MATSUI, Kurumi 研究指導教員:. 原田. 宗彦. 教授.

(2) 背景と目的 近年、社会的に地球環境問題への関心が高まっており、民間企業がその社会的責任 (Corporate Social Responsibility)を果たす行動の 1 つとして、環境配慮行動が取り上げら れることがある。スポーツにおいても、スポーツイベントの開催など自然環境に負荷を与 えていることから、社会的組織としての倫理、スポーツ組織が持つ特殊性などを理由に環 境問題に取り組むことの重要性が述べられている(e.g. Chalip, 2006; Iokimidis, 2007; Thibault, 2009)。しかしながら、スポーツイベントへの参加やスポーツの実施は、スポー ツ参加者自身の行動であるにも関わらず、スポーツ参加者と環境問題の関係は論じられて いない。また、スポーツには教育的価値があると言われるが、スポーツ組織が環境配慮を 推進する中、スポーツ参加者は環境配慮行動を身につけているのであろうか。スポーツと 類似した概念を持つレクリエーションでは、アウトドア・レクリエーションを通して、参 加者が環境意識を高める傾向にあることが明らかにされている(e.g. Brookes, 2005; Thapa, 2010)。 そこで本研究では、レクリエーション研究を参考に、スポーツ参加者の環境配慮行動を 明らかにすることを目的とした。具体的には、トライアスロン参加者を事例に、トライア スロンを実施することで環境配慮行動が高まっているのかを検証した。 方法と対象 上記の目的を明らかにするため、本研究は以下の 3 つの研究を実施した。 研究 1:ライフスタイル変数を用いて、トライアスロン参加者の行動特性を明らかにし、 環境配慮行動に関する視座を得る 研究 2:トライアスロン参加者の環境配慮行動に影響を与える要因を検証する 研究 3:専門志向化の概念を用いて、トライアスロンの実施と環境配慮行動の関係を明ら かにする データは、2010 年(研究 1、研究 2)および、2011 年(研究 3)に日本国内で開催されたトラ イアスロン大会において、参加者を対象に質問紙調査を実施し、収集した。調査の実施に 際しては、日本トライアスロン連合の協力を得て、大会エントリー時に質問紙を配布し、 その場で記入、回収した。2010 年は 1,435 部、2011 年は 380 部を回収し、そのうち各研 究の検証に用いる質問項目すべてに回答したデータのみ用いて分析を行った。 結果 研究 1 では、トライアスロン参加者のライフスタイルという観点から、参加者の環境配 慮行動に対する意識の有無を明らかにした。確認的因子分析の結果、ライフスタイル尺度 は 7 因子 27 項目で構成され、環境配慮行動因子が 7 因子を構成する 1 つの因子として出現 し、その妥当性が確認された。ライフスタイル 7 因子それぞれの得点を比較すると、環境 配慮行動因子が他の因子として比較して高い傾向にあることが明らかになった。したがっ て、トライアスロン参加者が日常的に環境配慮行動を実践していることが示唆された。 研究 2 では、トライアスロン参加者の環境配慮行動に影響を与える要因の解明を試み、 人口統計的変数、トライアスロンの実施経験(競技年数、競技開始年齢、大会参加回数)によ.

(3) る環境配慮行動の違い、および、環境配慮行動との関係性を検証した。t 検定と一元配置分 散分析を行ったところ、性別、年齢、大会参加回数、競技年数によって環境配慮行動に違 いがあることが明らかになった。重回帰分析を実施した結果、性別、年齢が回帰式に投入 され、参加者の環境配慮行動に影響を与えていることが示された。したがって、参加者の 環境配慮行動は性別、年齢によって規定され、トライアスロンの実施は環境配慮行動を高 める要因にはならないと結論づけられる。しかし、重回帰分析の決定係数は低く、研究 2 の結果のみで、その影響力を断定することはできない。 そこで、研究 3 では競技の実施という行動的側面のみならず、トライアスロンに対する 関与などの心理的側面からの影響を考慮するため、専門志向化の概念を用いて、トライア スロン参加者と環境配慮行動の関係を検証した。一元配置分散分析、および、共分散構造 分析を行った結果、専門志向化 3 局面のうち感情局面のみが環境配慮行動に予測力を持つ ことが明らかになった。つまり、参加者がトライアスロンに対する感情的な関与を高める ほど、環境配慮行動を実践するようになる可能性が示唆された。 結論 以上の結果より、トライアスロンを実施しても参加者の環境配慮行動は高まらず、トラ イアスロンに対する関与が高まっている場合のみ、環境配慮行動が高くなる可能性が示唆 された。 「スポーツを通した人格形成」という表現がよく用いられるが、スポーツを通して、 環境にやさしい人格が形成されてはいないと考察できる。この結果は、スポーツ組織の社 会的責任のあり方に対して課題を示すものであり、今後はスポーツ組織がその参加者に環 境配慮行動を促し、アスリートとしての社会的責任を啓発していくことも重要ではないだ ろうか。また、スポーツ参加者と環境問題をテーマとする研究も少ないことから、本研究 の結果を糸口とし、さらなる研究の実施も必要である。.

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