• 検索結果がありません。

A new validation method for microscopic car models affecting to the natural environment

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "A new validation method for microscopic car models affecting to the natural environment "

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

応用力学論文集Vol.x, pp.xx-xx (2005年8月) 土木学会

自然環境への影響を考慮したミクロ交通流モデルの新しい妥当性検証手法

A new validation method for microscopic car models affecting to the natural environment

白山  晋*,市橋  立**

*RACE, the University of Tokyo

**Accenture

*工博, 東京大学助教授, 人工物工学研究センター(〒160-0004千葉県柏市柏の葉5-1-5)

** 工修,アクセンチュア株式会社, 戦略部門(〒107-8672東京都港区赤坂7-1-16 日本生命赤坂第2ビル)

The simulation intended for the real social systems has been performed on each domain. However, it is necessary to deal with as one system including natural environment to understand the entire intertwined object complexly. In this paper, interaction of a traffic system and natural environment is inquired by integrating a traffic simulation system and a local area wind energy prediction system. In that case, several issues will occur owing to a difference of the scale to be governed in the events. Therefore, we may separate scale-dependent effects in each event, and assume model on each scale. And then, a method of verification or validation of the models is considered. At this point, we need model validation method linking between each scale. This paper describes a micro-level validation method in a traffic simulation including interaction of natural environment. Clustering spatio-temporal datasets is proposed as the validation method. It is shown that a spatio-temporal data obtained from the movement of each vehicle can be clustered in a space constructed from the summation of absolute values of the accelerations and the average of OV function proposed by Bando et al., or the average of the velocities.

Key Words: Validation, Traffic simulation, Microscopic car model, Natural environment

  キーワード:検証,検証手法,交通流シミュレーション,ミクロ交通流モデル,自然環境

1.はじめに

社会という複雑に絡み合った対象全体を理解するには,

自然環境を含めて,相互作用を考慮した一つのシステム として扱わなければならない.このシステムを扱うため に,事象毎のスケール分離によりスケール毎にモデル化 を行い,スケール毎の異なるアプローチを統合し,シス テム全体を構成するという戦略が採られることが多い.

この際に問題になるのは,分離したスケール内での検証 と,スケール間の干渉である.あるスケールにおけるモ デルの検証を考えた場合,そのスケールでは十分と考え られる検証であってもスケール間の干渉によって検証が 不十分になるという可能性がある.このため,あるスケ ール内に着目したとしても,スケールを繋ぐようなモデ ルの検証手法が必要になる.特に,複数の異なるスケー ル,あるいはアプローチのシミュレーション群の統合を 行う場合,信頼性のある分析・予測システムを構築するた めには検証手法を確立することが必須である.

シミュレーションにおける検証は,正当性の検証と妥 当性の検証に分類される1),2),3),4)

.正確な検証のためには,

正当性検証と妥当性検証を同じスケールで行わなければ ならない.しかしながら,多くのシミュレーションにお いて,ミクロレベルに対する妥当性検証手法が不足して いる.また,異なる思想のシミュレーションを統合して 一つのシステムを構築する場合,シミュレーション統合 の段階において,ミクロレベルでの妥当性検証で検討し たミクロな挙動が,スケール間の相互作用に及ぼす影響 を検証する必要がある.

本稿では,交通システムと自然環境の相互作用を,交 通流シミュレーションと環境シミュレーションの統合に よって分析する際に必要となるミクロレベルの検証手法 について検討し,ミクロ交通流モデルに対する新しい妥 当性検証手法を提案する.

2.交通流シミュレーションの検証手法

検 証 は , 正 当 性 検 証 (Verification)と 妥 当 性 検 証 (Validation) の二つに分類される.Sargent3),4)によれば,

正当性検証は,「コンピュータモデルとその実装のプロ グラムが正しいことの確認」とされ,妥当性の検証は,

(2)

「適用領域において,コンピュータモデルが,モデルの 使用目的に対して満足できる範囲の正確さを有している ことの立証」とされている.Sargentは,モデル化と検証 のプロセスを二つのモデルに分類している.その一つを 図-1に示す.図-1における検証プロセスでは,概念モデ ルに対する妥当性検証(Conceptual Model Validation),

コンピュータモデルに対する正当性検証(Computerized Model Verification),運用上の妥当性検証(Operational Validation),データに対する妥当性検証(Data Validity)

の四通りの検証が存在する.

図-1  検証とモデル化の枠組3),4)

交通流シミュレーションにおいては,赤羽らがネット ワークモデルに対する検証手法を提案している5).また,

花房らは市街地交通流シミュレータAVENUE6)に対して 発進波と停止波の理論値との比較や検証用データセット の構築を行っている7),8),9).これらをミクロモデルとマク ロモデルに分け,VerificationとValidationに対応させる と表-1になる.概念,およびコンピュータモデルの正当 性検証の項目としては交通流における衝撃波的波動の伝 播状況,渋滞時の合流/分流比,飽和交通流量,経路コス トと経路選択確率の関係などがある.運用,およびデー タに対する妥当性の検証項目は,リンク交通流,合分流 や交差点の方向別交通量,リンク旅行時間などである.

表-1 交通流シミュレーションにおける検証 Verification Validation ミ ク ロ

レベル

車両挙動の検証 リンク旅行時間 リンク間平均流量 マ ク ロ

レベル

交通流特性の検証 渋滞の発生

実 際 の 交 通 統 計 量 と の比較

ミクロレベルの正当性検証における車両挙動の検証と は,例えば,前後する二つの車両の挙動をモデル化する 際に理論的に不具合のない車間距離の変化などを確かめ るものである10).車両群となったときに,個別車両の挙 動がどのように影響するかについては,交通流における 衝撃波的波動の伝播状況などをマクロレベルの正当性検

証として調べるということが行われている.

一方,妥当性の検証に関しては,表-1に示すように統 計量を用いたものが主である.ミクロモデルにおいては,

ミクロレベルでの個々の車両挙動を分離したような検証 は行われていない.図-1のSargent の検証モデルの立場 からは,データの妥当性検証を中核とした実空間での個 別の車両挙動との比較が考えられるが,現実的ではなく,

その前段階での検証手法が必要となる.

本稿では,ミクロモデルの妥当性検証に対して,概念 モデルに対する妥当性の検証と運用上の妥当性の検証が 不十分であると考え,個々の車両挙動の影響が反映され る特性量を導き,その特性量を利用した妥当性検証手法 について提案する.また,この際に自然環境との相互作 用を考慮する.この場合,交通流シミュレーション単独 でミクロレベルの構造を考えるだけでは不十分であり,

レベル間を繋ぐような特性量の導出と検証手法が必要に なる.

3.ミクロモデルに対する妥当性検証手法

3.1 交通流シミュレーション

本稿では,ネットワーク型のミクロ交通流モデルによ ってシミュレーションを行う.道路ネットワークはリン クとノードからなり,リンクは任意数の車線を持つもの とする.ノードは複数のリンクがあれば交差点として機 能するが,現時点では信号モデルを含めておらず,今後 の検討課題としている.車両挙動モデルは様々なものが あるが,車両移動,車線変更,経路選択行動に大別して 提唱されることが多い.また,車両移動は,Q-Kモデル と追従モデルに分けられる.

Q-Kモデルの代表であるブロック密度法11)は,以下の ようなモデルである.はじめに,リンクを細かなブロッ クに分割し,その間を流体近似する.次に交通流の移動 量を,交通量(Q)と交通流密度(K)関係と交通量の保存則 を用いて求める.例えば,時間刻み幅をdt,自由流速度Vfとして、ブロック長をdL=Vfdtとして車線毎に分割 する.各ブロックiには交通量Qiと密度Kiの関係が設定 されており,この関係をQi=f(Ki)で表す.一般的には図-2 のような関係を用いる.

交通量

i 密度

Kj

Qci

Kc

i

V

f 交通量

密度 交通量

i 密度

Kj

Qci

Kc

i

Qci

Kc

i

V

ff

V

図-2  Q-Kの関係図

Qciはリンクの交通容量,Kciは臨界密度,Kjiはジャム

(3)

密度を示す.密度が Kci以下の領域は自由流領域と呼ば れ,各車両が自由流速度で走行している状態である.密 度が Kci以上の領域は渋滞領域と呼ばれ,渋滞が発生し ており密度が増えるほど交通量は減少する.時間ステッ プ毎に式(1)に従って各ブロックの密度 Kiを更新してい く.ここでdQi(t)は時刻tにブロックiに流入してくる流 量である.

⎜⎜⎝

⎛ ≤

=

⎜⎜⎝

⎛ ≤

=

+ +

+ +

+ +

otherwise Qc

Kc K if t K T f

otherwise t

K f

Kc K

if T Qc

i

i i i

i i

i i

i i

i i

) (

)) ( (

)) ( (

) (

1

!

1 1

1 1

) , min(

)

( 1

1 +

+ = i i

i t T T

dQ      

dL dt t dQ dL

dt t t dQ K dt t

Ki i i() i ()

) ( )

( + = + − +1   (1)

追従モデルは,前方車両との速度差により加速度を制 御するモデルが基本となる.車両の識別子をmとし,m 番目の車両の速度vmを次の方程式で与える.

( ) ( ( ) ( ))

1 t v t

v dt a

T t dv

m m

m + = −

+   (2) ここで,a は感応度,T は反応時間の遅れを示す.パラ メータ依存性が大きいので,このままの形式が利用され ることは少ない.いくつかの工夫がなされ,追従モデル の研究は現在でも続けられている12)

本稿では,二つのモデルに着目する.一つは,速度と 車間距離を結びつけたモデルである(SV モデルと呼ぶ ことにする).SV モデルでは,次のステップの速度を 車間距離から直接的に求める追従モデルである.いくつ かの形式があるが,宮田ら13)によって提唱された次の形 式を用いることにする.xを車両の一次元座標とし,(・)nnステップの量を表すものとすると,

( )

2 )

)) 39 . 1 / 39 . 0 ( exp( ( 39 . 1

39 . 0 39 . 1 ) 1 (

) 70 ( 5

. 142

) 70 ( 25

6 . 0 ) (

2 2 2

2 1

25 . 0 1 . 0 1

1

σ α σ

α α

α α

− −

= −

=

<

=

=

+

+

+

P

X v

X e

X v

x x X

n m

X n

m

n m n m

   (3)

となる.ここで,P(α)は係数αの確率分布で,東名高速 道路と中央自動車道における実測値から推定している.

式(2)の感応度に車間距離を加味したモデルもある14)

(

( )( () )

) (

( ) ()

)

) (

1 1

1 v t v t

t x t x

T t a v

dt T t dv

m l m

m m

m

m

′ + + =

+ +

+

α

β (4)

もう一つのモデルとして,Bandoら15)のOV(Optimal Velocity)モデルを扱う.本稿では,主としてこのモデル を用いる.OV モデルは前方の車両との車間距離に応じ て加速度を制御するモデルである.車両の加速度は,

{ }

⎟⎟⎠

⎜⎜ ⎞

+ +

⋅ −

=

=

) tanh(

1

) tanh(

) / ) tanh((

) (

, ) (

max c

c b

c V x

x V

v x V dt a

dv n n

n

δ δ

δ

(5)

と表される.ここで,δx (=xm+1−xm)は車間距離,V(δx) は,OV 関数と呼ばれるもので,車間距離に応じた最適 速度を求める関数である.また,a は感応度を表し,b,

c は適当な定数である.Vmaxは最高速度を示す.物理的 には排除効果(衝突回避),相互作用の非対称性(追従挙動),

応答の非可逆性(散逸系)を表すものとされている15). 車線変更に関しては,図-3に示すように前車との車間 距離が一定値以下であり,移動する隣の車線における移 動後の車間距離が長く,かつ隣の車線に変更しても前後 の車両と衝突しなければ移動するというモデルを採用す る.定式化すると,車線変更を予定している車両を i,

前方車両をj1,隣接車線の前方車両を j2,後方車両をj3

とすると,

3 3

2 2 1 1

, , d x x

d x x

d x x

j i

i j

i j

>

>

<

  (6) となり,d1,d2,及びd3をパラメータとして扱う.

図-3  車線変更モデル

経路選択モデルとは,車両が出発地から目的地までど のような経路を辿るかをモデル化するものであり,内部 で生成されるもの(内生モデル)と外部で生成されるも の(外生モデル)がある.ノードが流入部に相当する場 合は,定められた確率にしたがって車両を流入させるこ とにし,経路選択は内生モデルを採用することにした.

運用上の妥当性検証とデータ妥当性検証に対しては,こ のモデルを充分に吟味する必要があるが,車両個別の挙 動を追うことは難しく,統計量を用いた検証にならざる を得ない.

最後に,交通流シミュレーションの計算手順を図-4に 示す.

車両挙動の計算

加速度・速度・位置計算 車線変更判断

目的リンク決定

車両挙動の計算

加速度・速度・位置計算 車線変更判断

目的リンク決定

終了判断 車両状態の更新

車両生成・消去 位置・速度更新

車線変更処理

車両状態の更新

車両生成・消去 位置・速度更新

車線変更処理

車両状態の記録

終了

図-4  交通流シミュレーション全体のながれ

(4)

3.2 自然環境との相互作用

交通流と自然環境との相互干渉は,シミュレーション という観点からは異なる思想のシミュレーションを統合 することによって検討されることが多い16),17).本稿にお いては,交通流は前節で述べたネットワーク型のシミュ レーション手法によって扱う.環境シミュレーションに 関してはオイラー的な方法によるものを考える(図-5).

図-5 自然環境と交通流の相互作用

図-5のAは,交通流シミュレーション側で得られる諸 量の環境シミュレーション側への受け渡しを示している.

例えば,車両からの排出ガスである.図中Bは環境シミ ュレーションで得られた風況情報を車両挙動に反映させ ることを示している.

車両からの排出ガスの影響を見積もる方法としては,

交通流側から得られるリンク間の時間当たりの交通量を 環境シミュレーションの排出ガスの発生源のモデルとし て扱うという方法が一般的である17).個別車両の挙動ま でを考慮した交通流シミュレーションと環境シミュレー ションの統合例は少ない.これは双方のシミュレーショ ンにおいて時空間のスケールが異なるため,一台一台の 車両の影響を個別に考慮する必要がないためである.し かしながら,現在の環境シミュレーションは,ネスティ ングと呼ばれる方法を使って局所的に高解像度を実現し ており,その領域の時空間の最小スケールは,数秒,数 十メートルであり,さらに高解像度化を目指している18). 近い将来において1秒以下の時間分解能と数メートルの 空間分解能が実現されれば,個々の車両挙動が意味を持 つようになる.したがって,自然環境との相互作用を正 確に算出するためには,個別車両挙動を扱った相互干渉 の評価が必要になる.

そこで,PM (Particle Matter : 粒子状物質)を対象として,

車両から排出拡散されていく様子を,交通流シミュレー ションと環境シミュレーションの一つである風況予測シ ミュレーションの統合によって調べることを試みる.PM 排出モデルとして,Shirahama らのモデル 19)をもとに,

勾配を考慮しないように変更した次式のモデルを用いる.

) ( 07086 . 0 ) ( 04652 . 0

) ( 41796 . 0

) ( 00023328 .

0 ) ( 009072 . 0

) ( 1782 . 0 1247 . 2 )) ( ln(

3 2

t D t

D t a

t v t

v

t v t

E

i d

PM

+

− +

+

+

=

    (7)

ここで,EPM (t)は時刻tにおけるPM瞬間排出量であり,

v(t)は時刻tにおける速度,a(t)は時刻tにおける加速度で

ある.また,Dd(t),Di(t)は減速時及びアイドリング時の ダミー変数であり,ダミー変数は条件が満たされれば1,

それ以外は0とする.このモデルでは速度と加速度から 各時刻各地点でのPM排出量が求められる.

各時刻において排出されたPMに関するデータは,交 通流シミュレーションの時空間のスケールとなっている.

これを環境シミュレーションへの時空間的スケールへと 変換しなければならない.以下のように単純に面積比を 用いることで近傍格子への寄与分を算出することにした.

PMの単位時間,単位面積あたりの排出量をEとし,

PMの濃度をCとする.図-5の環境シミュレーション側 の格子点を(i,j)で表す.ある時間において車両が図-6 の 計算セル内に存在する場合,その車両から排出された PMによって周囲の格子点の PM濃度が以下のように変 化するものとする.

 

. )

1 (

, , ) 1

(

, ) 1

)(

1 (

2

1

, ,

1 , 1 ,

2

1

, ,

1 , 1 1 , 1

2

1

, ,

, 1 , 1

2

1

, ,

, ,

∑ ∑

∑ ∑

∑ ∑

∑ ∑

=

+ +

=

+ + + +

=

+ +

=

Δ

− Δ

− − +

=

Δ

− Δ

− +

=

Δ

− − Δ

− +

=

Δ

− − Δ

− − +

=

n

n n mCell

j i n m j i n n m m N

j i N

j i

n

n n mCell

j i n m j i n m n m N

j i N

j i

n

n n mCell

j i n m j i n n m m N

j i N

j i

n

n n mCell

j i n m j i n m n m N

j i N

j i

y y y x

x E x

C C

y y y x

x E x C C

y y y x

x E x C C

y y y x

x E x

C C

α α α α

  (8)

ここで,Nは環境シミュレーションにおける時間ステッ プ,n は交通流シミュレーションにおける時間ステップ である.環境シミュレーションの時間刻み幅(Δt)は交 通流シミュレーションのもの(Δτ)よりも大きいとす る.n1,n2は環境シミュレーションの1ステップ間の交 通流シミュレーションの時間ステップを示す.mは,こ の間にこの計算セル内に存在する車両である.Δx,Δy は格子幅である.αは排出量から濃度への変換係数で,

時間刻み幅,格子幅によって決められる.

図-6 データ補間の模式図

式(8)の問題は,計算セルが大きい場合に計算セル内で の移流拡散挙動が反映されないことである.本稿では,

(5)

高精度化のために,図-7のような補助格子を用いること にした.

図-7 補助格子を用いた自然環境シミュレーション

交通流シミュレーションから環境シミュレーションへ のデータの受け渡しの終了後,環境シミュレーションに おいて時間を進める.本稿の目的は,自然環境との相互 作用を考慮した場合のミクロ交通流モデルの検証手法の 提案と,検証のフレームワークを示すことにある.概念 モデルに対する妥当性検証手法の考察を主体とするため に環境シミュレーションとしては,最も単純な移流拡散 シミュレーションを用いることにする.離散化した移流 拡散方程式として式(9)を用いる.

2 ) ( 2

2 2 2

2 2 2

2 1 , , 1 , 2

, 1 , , 1

1 , , 1 , 1 , 1 ,

, 1 , , 1 ,

1 , 1 ,

1 ,

y C C C x

C C D C

y C C vC

y C vC

x C C uC

x C uC

t C C

N j i N

j i N

j i N

j i N

j i N

j i

N j i N

j i N

j i N

j i N

j i

N j i N

j i N

j i N

j i N

j i N

j i N

j i

Δ + + −

Δ +

= −

Δ +

− − Δ + −

Δ +

− − Δ + −

Δ

+

+

+

+

+

+ +

(9)

ここで,Dは拡散係数である.

3.3 移動軌跡データとクラスタ分析による検証 簡単のため,乱数によって車両を流入させた二車線一 リンクのシミュレーション結果を用いて提案手法を説明 する.なお,車線変更モデル,経路選択モデル,交差点 モデルなどについては,それぞれに対して正当性検証 (Verification)が必要になる.一般的にはVerification後に

Validationを行うのだが,図-1に示したSargentのフレー

ムワークのように,分けて検討する場合もある.本稿で は,表-1に示すようにミクロモデルのValidation手法が ほとんどないことから,Verificationはできているという 仮定のもとで,手法,および方法論の提案を行う.

図-8上図はある瞬間の車両の位置を示している.図-8 下図はある一定時間内にこの区間を通過した車両の流入 から流出までを時間と流入位置からの旅行距離の時間変 化をグラフで表したものである.図-8下図を分析すると,

このような単純なシミュレーションであっても,通過車 両の挙動がいくつかのパターンを持つことを示せる.そ こで,図-8下図を移動軌跡データとみなすことで移動軌 跡データの分析を試みる.

図-8 車両位置のスナップショット(上)と各車両の旅行位 置の時間変化(下)

はじめに,この移動軌跡データCm(x0,・・・, xn,xn+1,・・・) をいくつかの指標によって分類する.ここで,mを個別 車両の識別子とした.また,x0は区間の始まり,n はこ の車両が区間に入ってからの時間ステップを表すものと する.図-8下図のように変曲点と傾きが移動軌跡データ の特徴となっている.しかしながら,個々の車両を識別 するようなパターンを分析することは,ミクロレベルに 対する検証といっても粒度が小さく,現実的ではない.

そこで,いくつかの特徴量によって移動軌跡データを 分類することを試みる.移動軌跡データを図-8下図のよ うに表示した場合,変曲点は加速度の変化に対応する.

したがって,符号を考慮し,一つ目の指標として次式で 算出される加速度の絶対値の総和を用いることにした.

これをSaと表記する.

Sam=

xmn+1Δ2

τ

xmn2+xmn1 ,      (10)

となる.図-8下図で示す移動軌跡データの傾きは速度の 変化に対応するが,OVモデルの場合は,OV関数値がそ れを表すことになる.二つ目の指標としては,OV 関数 値の平均値(Vaと表記する):

T t x Va V

n m m

τ

δ

Δ

=

( ( )) (11a) あるいは,より一般的に速度の平均値:

T x x Va

n m n m m

Δ

=

+

τ

1

(11b)

とする.ここで,Tは正規化のための定数である.

  これらの指標は,前節で述べた環境シミュレーション との統合からも妥当であると考えられる.式(7)のように 交通流シミュレーションにおける各車両の速度と加速度 が,環境予測シミュレーションに対してPMの排出量と いう形で影響を与えている.また,環境が車両挙動に与

(6)

える影響は(現時点では主として速度規制などの制約条 件である場合がほとんどであるが),モデルの精緻化と ともに風が車両に与える影響がエンジンの回転数やトル クなどサブミクロスケールのモデルを介してミクロスケ ールに伝達される可能性がある.その場合は追従性に影 響するだろう.このように自然環境との相互作用を加味 した場合も,加速度と追従性(OV関数,あるいは速度)

に関連した量を特徴量として扱うことに意味があるもの と考えられる.

そこで,SaとVaを座標軸とした空間を考え,それを 特徴空間と呼ぶことにする.車両 m は特徴空間上の点

(Sam ,Vam)に写像される.図-8下図に示した移動軌跡デー

タを特徴空間で表したものが図-9である.

図-9  特徴空間上の移動軌跡データの散布図

図からは,クラスタが形成され,何かしらのパターン を有していることがわかる.次にクラスタ分析を行う.

クラスタリングには階層的クラスタリング手法の一つで あるウォード法20)を用いる.図-9に対して4つのクラス タが形成された例を図-10 に示す.図-8 上図の車両のプ ロットの時間変化からこのような情報を読み取ることは 難しい.

図-10 ウォード法によるクラスタ分析

3.4 環境シミュレーションを考慮した検証

  図-11 は,同一リンクで車線数を変えた場合の PM 濃 度分布を示している.車両は左方向から右方向に移動す る.移流はなく,拡散計算のみとした.図-12 は対応す る移動軌跡データの散布図である.

1車線のシミュレーションでは,領域内のPM総排出

量は4247 ,計算要素内での総和の最大値が275であっ

た.4車線の場合は,総排出量が4558,最大値が269で あった.濃度分布図においては,1車線,4車線ともに,

流入側から少し離れた部分に高濃度の領域が現れている.

1車線の場合,その後,徐々に濃度が低下するが,4車 線の場合はほぼ一定値となっている.図-12 から1車線 では加速度の絶対値の総和が広く分布していることがわ かる.これは軽度の渋滞の存在を示しており,式(4)から 加速度項を介して濃度分布に影響していることが予想で きる.また,1車線の場合の最大値が大きい理由でもあ る.一方,総排出量の違いは,図-10,図-11と式(7)から 速度項からの寄与であると考えられる.

このように,移動軌跡データの散布図と濃度分布には 相関があることを示唆できる.詳細な分析には,濃度の 空間分布のパターン化が必要になるが,個別車両に対す るモデル,パラメータの差違は表現できる.車線の違い,

排出モデルの違いなど,交通流シミュレーションと環境 シミュレーションの結合に対して,概念モデルの妥当性 検証は可能であると考えられる.また,運用上に対して はその可能性があるものと思われる.

図-11  PM濃度分布図  1車線(左),4車線(右)

図-12  移動軌跡データの散布図 1車線(上),4車線(下)

4.数値実験と考察 4.1 車両移動モデル

  2車線1リンクの場合について,車両移動モデルの違 いによる速度の平均値によるパターンの変化を調べる.

リンク長は5km,時間刻み幅Δtは1秒,総実行ステッ プ数は4600ステップで,流入間隔は平均10ステップに 1台としている.1000ステップ後のデータに対して分析 を行う.

図-13上図は,OVモデルの結果である.図中の点線は,

速度平均と加速度総和が比例する領域を示している.他 の数値実験の結果でもこのような領域が現れており,こ

Ⅰ  Ⅱ  Ⅲ        Ⅳ

(7)

れが追従モデルの特徴であると考えられる.クラスタ分 析は,他のパラメータの場合をふまえて,4つとして行 ったが,この場合のクラスタは,大きくわけると比例部 分とそれ以外の部分にあると考えられる.この点に関し ては今後の検討が必要である.図-13下図は,SVモデル の結果を示している.図からわかるようにOVモデルと 同様の傾向が示されているが,図中の矢印で示すように 速度の平均が離散的に現れている.

このような特徴は,従来のミクロモデルの指標からは 読み取ることはできない.表-2に示すように,同じ条件 で行ったQ-Kモデルを含めた平均旅行時間では,3つの モデルの有意な違いを見出すことは難しい.

図-13  移動軌跡データの散布図  OVモデル(上),SV モデル(下)

表-2 平均旅行時間の違い

モデル OVモデル SVモデル Q-Kモデル 平均旅行

時間(秒) 175 198 178

一方,提案した指標では,実際の車両群と比較した場 合に,全体の傾向が一致し,速度平均の離散的な構造が あれば,SVモデル,なければ,OVモデルが適当である というような検証から,段階的に詳細度を高めることに よって,車両全体から車両群,車両群から個別車両へと 検証を進めることができるものと考えられる.

最終的には,実データとの比較が必要になるが,この ような方法で概念的にモデルの妥当性を検証することが できる.これは,図-1の概念モデルの妥当性検証に相当 する.

4.2 自然環境との相互作用

  図-14 は十字路を含む場合における PM 濃度分布と移

動軌跡データの散布図を示している.リンク長が2.5km,

上3下2の5車線を持つリンク4本を連結している.信 号モデルはなく,交差点では適当な確率で経路を選択す るようにしたが,車間距離の保持と車線変更によって衝 突は生じていない.その他の条件は前節のシミュレーシ ョンと同じである.環境シミュレーションは拡散シミュ レーションとしている.

0 5 10 15 20 25 30

0 20 40 60 80

加速度総和

速度平均

図-14 PM濃度分布図と移動軌跡データの散布図

次に流入頻度を2倍(平均5ステップに1台)にして 実行した結果を図-15に示す.

0 5 10 15 20 25 30

0 20 40 60 80

加速度総和

速度平

図-15 移動軌跡データの散布図(流入頻度2倍の場合)

 

流入頻度が2倍になると,領域内のPM総排出量,計 算要素内の総和の最大値はともに約2倍となったが,PM の濃度分布のパターンには図-14 との差違が見られなか った.排出量に対しては関連性があるが,移動軌跡デー タの散布図における加速度総和の広がりというパターン の変化と濃度分布のパターンには相関は見られない.た だし,明確な相関のない場合であっても,交通流シミュ

(8)

レーションにおいて車両群に対するパターンが求められ ているので,排出モデルの変更に対する数値解の変化を 確かめることはできる.したがって,概念モデルに対す る妥当性の検証は可能になるものと考えられる.

一方,移動軌跡データの散布図は系全体のものを示し ており,濃度分布からは交差点近傍が重要であることが わかる.これは,局所的な特徴量の必要性を示唆してい る.この点については検討が必要である.

5.まとめ

ミクロ交通流モデルの妥当性検証手法の提案を行った.

個別車両の移動軌跡データに注目し,加速度の絶対値の 総和と,OV 関数の平均,あるいは速度平均という二つ の指標から特徴空間を形成した.その空間上の個別車両 の分布をクラスタリングすることで,従来のリンク間の 平均旅行時間や平均旅行速度といった粒度の大きなもの ではなく,最小粒度の一つである個別車両の挙動をより 直接的に検証に反映できることを示した.

また,環境シミュレーションというスケールやアプロ ーチの異なるシミュレーションとの統合について検討し た結果,移動軌跡データのクラスタと排出ガス分布に何 かしらの相関が得られれば,提案した特徴量が二つのス ケール間の相互作用に対しての妥当性検証手法にとって も重要な量であることを,概念モデルのレベルで明らか にした.提案手法の位置づけを示すと表-3となる.これ により,実測値との比較ができれば従来よりも詳細に妥 当性の検証が可能になるものと考えられる.

表-3 提案手法の位置づけ

Verification Validation ミ ク ロ

レベル

車両挙動の検証 移動軌跡データ分析 移 動 軌 跡 デ ー タ と 他 の ス ケ ー ル で の 空 間 分布との相関

マ ク ロ レベル

交通流特性の検証 渋滞の発生

実 際 の 交 通 統 計 量 と の比較

参考文献

1) Sargent, R.G.: An assessment procedure and a set of criteria for use in the evaluation of computerized models and computer-based modeling tools, Final Technical Report RADC-TR-80-409, 1981.

2) Boehm, B.W.: Verifying and validating software requirements and design specifications, IEEE Software, Vol.1, No.1, pp.75-88, 1984.

3) Sargent, R.G.: Some approaches and paradigms for verifying and validating simulation models, Proceeding of 2001 Winter Simulation Conference, pp.106-104, 2001.

4) Sargent, R.G.: Verification and validation of simulation models, Proceedings of the 2003 Winter Simulation Conference, pp.37-48, 2003.

5) 赤羽弘和,大口敬,吉井稔雄,堀口良太:交通シミュ レーションモデルの実用化に向けての課題,土木計画 学研究講演集,Vol.20, No.1, pp.521-523, 1997.

6) AVENUE:http://www.i-transportlab.jp/products/avenue/

7) 花房比佐友,山口智浩,赤羽弘和,吉井稔雄:交通シ ミュレーションシステムの再現性検証用データセット の構築,土木学会第52回年次学術講演会第IV部門論 文集,pp.150-151,1997.

8) 花房比佐友,吉井稔雄,堀口良太,赤羽弘和:”交通 シミュレーションシステム再現性検証用データセット の構築,土木学会第53回年次学術講演会第IV部門論 文集,pp.534-535, 1998.

9) 花房久佐友,吉井稔雄,堀口良太,赤羽弘和,片倉正 彦,桑原雅夫,尾崎晴男,大口敬,西川功:交通シミ ュレーション再現性検証用データセットの構築,土木 学会論文集Ⅳ,Vol.688, No.53, pp.115-123, 2001.

10) 杉山雄規:交通流の物理,ながれ,Vol.22, pp.95-108, 2003.

11) 桑原雅夫,吉井稔雄,堀口良太:ブロック密度法を 用いた交通流の表現方法について”,交通工学, Vol.32, No.4, pp.39-44, 1997.

12) 鈴木宏典,鈴木忠:道路環境シミュレーションのた めの車両追従モデルの構築,自動車研究,Vol.26, No.5, 2004.

13) 宮田秀明,石井智憲,吉村篤彦,武市祥司:物流と 輸送システム計画のための完全離散型交通シミュレー ション法の開発,第54回理論応用力学講演会講演論文 集,pp.479-480, 2005.

14) Gazis, D.C., Herman, R. and Potts, R.: Car-Following Theory of Steady-State Traffic Flow, Operation Research, Vol.7, No.4, pp.499-505, 1959.

15) Bando, M., Hasebe, K., Nakayama, A., Shibata, A., Sugiyama, Y.: Dynamical model of traffic congestion and numerical simulation, Phys. Rev. E 51, pp.1035-1042, 1995.

16) 伊川雅彦,後藤幸夫,熊澤宏之,古澤春樹:異種分 散シミュレーションによるITS開発環境の構築,情報 処理学会論文誌,Vol.45, No.12, pp.2805-2814, 2004.

17) 斉藤威,森健二:交通制御による大気汚染軽減効果 の評価用実用型シミュレータに関する研究,平成4年 度環境保全研究成果集(Ⅰ),pp.1-18, 1993.

18) 村上周三,持田  灯,加藤信介,木村敦子:局所風 況予測システムLAWEPSの開発と検証,ながれ,Vol.22,

pp.375-386, 2003.

19) Shirahama, Y., Yai, T., Fukuda, D. and Tazaki, S.:

Integrated Modeling System of Traffic and Air Quality for Wide Area Network Using Microscopic Simulation, Proceedings of the 83rd Transportation Research Board Annual Meeting, CD-ROM, 2004.

20) 田中  豊,脇本和昌:多変量統計解析法,現代数学 社,1983.

(2005415日受付)

参照

関連したドキュメント

The main contributions of this paper include: In this paper a new approach is proposed based on the pointer network (Vinyals, Fortunato, and Jaitly 2015) jointly with an

Besides the traditional desktop environment and conventional augmented environment, the users reported that it would be much meaningful to compare the asymmetric augmented

Moving on to case comparison, three factors, including engagement tendency, need for interaction with service employee and perceived risk, were identified as crucial to the perceived

リンク.. Akamatsu.: Dynamic Equilibrium Assignment with Queues for a One-to-Many OD Pat- tern,Transportation and Traffic Theory, Proceedings of the 12 th International Symposium on

This chapter is a sequel to the previous one, in which only a single progenitor was investi- gated. The systematic comparison of multiple progenitors in this paper has confirmed

[r]

In this study, based on the assumption that the changes brought to the cyber range by the behavior of the participants are considered as differences, we propose a method

Noon: A gentle introduction to quantile regression for ecologics, Frontiers in Ecology and the Environment, 1-8, 412/420 (2003). 101 ) M.Shioya and K.Uchida: Prediction Model