屋内環境におけるゴキブリアレルゲン汚染の実態調査

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屋内環境におけるゴキブリアレルゲン汚染の実態調査

Survey of cockroach allergen infestation in the indoor environment in Japan 橋本知幸*,佐々木健**,元木 貢**

Tomoyuki HASHIMOTO*, Takeshi SASAKI** and Mitsugu MOTOKI**

【要約】飲食店 2 店舗,一般住宅 5 戸,学校 7 校を含む屋内環境中のゴキブリ由来のアレルゲン Bla g1 を,

チャバネゴキブリやクロゴキブリの飼育容器内から採取した糞を陽性対照として比較測定した.その結果,

飲食店のうち 1 店舗では,厨房床や店舗入口部において,20U/g を超える Bla g1 が検出された.このアレル ゲン濃度は,飼育容器内の糞に匹敵することが認められた.この他一般住宅 3 戸,学校環境 5 校でもゴキブ リアレルゲンが検出されたが,その濃度は比較的低値であった.クロゴキブリの糞が Bla g1 抗体に反応する ことが認められたことと,今回の調査対象の一般住宅や学校環境では,チャバネゴキブリの生息は考えにく いことから,一般住宅や学校では,屋内環境中のゴキブリ属Periplaneta の糞の分布を反映して反応したこ とが示唆された.

キーワード:チャバネゴキブリ,クロゴキブリ,アレルゲン,屋内環境,Bla g1,ELISA

1.はじめに

人 の 住 環 境 で は ヒ ョ ウ ヒ ダ ニ 類 が 喘 息 や ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 等 の 重 要 な ア レ ル ゲ ン で あ る こ と が 知 ら れ ,わ が 国 で も ダ ニ 類 や そ の ア レ ル ゲ ン 汚 染 の 実 態 調 査 が 数 多 く 実 施 さ れ て き た

( 田 中 ら ,2006).

こ れ ら の ダ ニ 類 に 加 え て ,住 環 境 に は 様 々 な ア レ ル ゲ ン が 存 在 す る .そ の 一 つ と し て ,ゴ キ ブ リ 由 来 の ア レ ル ゲ ン が ,喘 息 の 増 悪 に 影 響 を 与 え る こ と が 知 ら れ て い る .米 国 で は ゴ キ ブ リ ア レ ル ギ ー の 発 症 率 が 17~ 41% に 上 り , 住 環 境 の ゴ キ ブ リ 対 策 が ,ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン へ の 感 作 や 発 症 に 強 く 影 響 す る こ と が 示 唆 さ れ て い る ( Gelber et al., 1993; Rosenstreich et al., 1997).ア ジ ア で も ,中 国 南 部 の 熱 帯 地 方 で 11~ 98% の 家 屋 で ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン が 検 出 さ れ ( Zheng et al., 2015), 台 湾 で は 喘 息 患 者 の 58% が ワ モ ン ゴ キ ブ リ 由 来 の ア レ ル ゲ ン Per a1 に 感 作 さ れ て い た と い う 報 告 が 示 さ れ て い る ( Lee et al., 2012).

わ が 国 で も ,喘 息 や ア ト ピ ー 性 皮 膚 炎 の 小 児 に 対 し て 35 種 ア レ ル ゲ ン に 対 す る IgE 抗 体 保 有 状 況 の 調 査 が 行 わ れ ,吸 入 性 ア レ ル ゲ ン と し て ,ヒ ョ ウ ヒ ダ ニ ,イ ヌ 上 皮 に 次 い で ,ゴ キ ブ リ に 対 す る 抗 体 保 有 率 が 高 い こ と が 示 さ れ て

い る ( 西 間 ら , 2006).

日 本 の 一 般 住 宅 で は , 沖 縄 か ら 北 海 道 ま で , ゴ キ ブ リ 属 Periplaneta の 種 類 が 低 密 度 な が ら も 普 遍 的 に 見 ら れ る .し か し ,同 じ 建 物 内 で 飲 食 店 と 一 般 住 宅 が 入 居 す る よ う な 集 合 住 宅 を 除 け ば ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ 属Blattella に 属 す る チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ Blattela germanica が 一 般 住 宅 で 見 つ か る こ と は 稀 で あ る .そ の 一 方 で ,飲 食 店 で は ,真 冬 の 夜 間 で も 一 定 の 室 温 が 維 持 さ れ る こ と に よ り ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 越 冬 が 可 能 な 店 舗 が 多 く ,北 海 道 で も 雑 居 ビ ル や 地 下 街 な ど ,厳 冬 期 で も 比 較 的 保 温 性 の 高 い 屋 内 環 境 で は ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ が 生 息 す る .こ う し た 飲 食 店 は ,屋 内 環 境 の 中 で も 最 も 高 濃 度 の ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン が 存 在 す る リ ス ク の 高 い 場 所 と 考 え ら れ る .し か し な が ら ,こ れ ま で 日 本 の 飲 食 店 に お け る ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン 汚 染 の 実 態 は 不 明 で あ っ た .

今 般 ,飲 食 店 ,一 般 住 宅 ,及 び 学 校 を 含 む 屋 内 塵 中 の チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 糞 由 来 ア レ ル ゲ ン Bla g1 を 測 定 す る 機 会 を 得 た の で , 一 つ の 調 査 事 例 と し て 報 告 す る .

2.方 法 2.1 調査対象

2004~2011 年の間に,東京都及び静岡県内の居 酒屋各 1 店舗,神奈川県内の一般住宅 5 戸(戸建 3 戸,マンション 2 戸),東京都内の小学校 7 校か ら,掃除機で採取した屋内塵をアレルゲン測定の 対象とした.居酒屋においては,ホールや厨房内 床面,店舗入口のマット,カウンター,座敷,冷

* 一般財団法人日本環境衛生センター 東日本支局環境生物・住環境部 Environmental Biology and Living

Environment Dept., East Branch, JESC

** アペックス産業株式会社 APEX Pest Control Co. Ltd.

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蔵庫など,採取日当日に掃除などで濡れていない 部分から採取した.一般住宅では,各家屋で使用 されている掃除機の集塵袋のゴミを用いた.学校 においては,教室や用務員室等から掃除機を使っ て採取した屋内塵 25 検体を用いた.このうち,

神奈川県内の 1 戸の一般住宅は,1 階部分がそば 屋の店舗となっており,その 2 階の住居部分より,

屋内塵を採取した.この一般住宅と居酒屋 2 店舗 の計 5 戸以外は,チャバネゴキブリの生息は確認 されていなかった.採取した屋内塵は,検査まで

-20℃で保管した.

また,当部で飼育しているチャバネゴキブリの 糞及び虫体,さらにクロゴキブリの糞を陽性対照 として測定とした.

2.2 Bla g1 抽出と測定

採取した屋内塵は 9-200 メッシュの組合せで篩 分し,200 メッシュ上に残った細塵を測定に供し た.細塵は重量精秤後,0.05%Tween20 含有のリ ン酸緩衝液(PBS-T)と 1mg:10µL の割合で混和し,

4℃16 時間で振とうした.振とう後の懸濁液は,

900×g で 10 分間遠沈し,その上清部を測定まで

-20℃に保存した.

Bla g1 の測定はサンドイッチ ELISA により行っ

1 次抗体

(抗 Bla g1/Per a1 抗原マウスモノクローナル血清) 4℃・一晩

ブロッキング (牛血清アルブミン)

室温・30 分 測定サンプル添加

室温・1 時間 2 次抗体

(抗 Bla g1 抗原ウサギポリクローナル血清) 室温・1 時間 ペルオキシダーゼ標識抗ウサギヤギ血清

室温・1 時間 発色

(ABTS-H2O2クエン酸緩衝液)

吸光度測定(OD 405nm)

図1 Bla g1 測定のための ELISA 手順

た.測定は INDOOR biotechnologies 製 EL-BG1 を 用い,測定手順は図 1 に示した.なお,Bla g1 の 検出限界は約 0.0020U/mL(0.020U/g dust 相当)で,

解析は ELISA 解析ソフト(Bio-Rad Microplate Manager ver. 5.2.1)により行った.

3.結 果

各 屋 内 塵 中 の Bla g1 検 出 結 果 を 表 1 に 示 し た .

陽 性 対照 のチ ャ バネ ゴキ ブ リの 糞や 虫 体か ら は,1g 当たり 30U 以上の濃度で Bla g1 が 検 出 さ れ た .ク ロ ゴ キ ブ リ 糞 に つ い て も ,11U と や や 低 値 で は あ る が 反 応 が あ り ,今 回 用 い た 抗 体 が ゴ キ ブ リ 属 の 糞 に も 反 応 し て い る こ と が 確 認 さ れ た .

屋 内 塵 に つ い て は ,都 内 の 居 酒 屋 A に お い て , 陽 性 対 照 の チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ 糞 よ り も 高 濃 度 の Bla g1 が , 厨 房 床 面 か ら 検 出 さ れ た . こ の 店 舗 で は , 店 舗 入 口 に お い て も 21U/g を 示 し , 今 回 調 査 を 行 っ た 中 で は ,突 出 し て 高 い レ ベ ル で Bla g1 に 汚 染 さ れ て い た . 一 方 , 居 酒 屋 B で は 屋 内 塵 の 採 取 箇 所 が 居 酒 屋 A と は 異 な っ た が , Bla g1 濃 度 は 比 較 的 低 値 で あ っ た . し か し な が ら ,カ ウ ン タ ー 上 や 客 室 テ ー ブ ル 上 か ら も ア レ ル ゲ ン が 検 出 さ れ ,こ れ ら の 居 酒 屋 2 店 舗 で は ,全 て の 箇 所 で ア レ ル ゲ ン が 検 出 さ れ た .

一 般 住 宅 5 戸 に つ い て は ,戸 建 住 宅 3 戸 の み ア レ ル ゲ ン が 検 出 さ れ た が ,い ず れ も 低 値 で あ っ た .

小 学 校 7 校 で は 5 校 か ら 検 出 さ れ た が ,一 般 住 宅 と 同 様 に , そ の 値 は 低 か っ た .

4.考 察

4.1 飲 食 店 に お け る ア レ ル ゲ ン 汚 染 状 況 今 回 の 調 査 結 果 で , ま ず 注 目 す べ き こ と は , チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ が 生 息 す る 飲 食 店 で は ,ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン が 多 量 に 存 在 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た こ と で あ る . 店 舗 内 の 屋 内 塵 1g 当 た り の 濃 度 は ,ゴ キ ブ リ 飼 育 容 器 内 の 環 境 に 匹 敵 す る も の で あ っ た . Bla g1 に よ る 健 康 影 響 の 指 標 と し て , 2U/g が ゴ キ ブ リ ア レ ル ギ ー へ の 感 作 ( sensitization), 8U/g が 喘 息 へ の 罹 患 レ ベ ル ( morbidity) と し て , 提 起 さ れ て い る

( Rosenstreich et al., 1997). こ れ に 照 合 す

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表 1 屋 内 塵 中 の Bla g1 濃 度

る と ,居 酒 屋 A の 屋 内 塵 は こ れ ら の 閾 値 を 超 え て い た .今 回 調 査 し た 飲 食 店 の う ち ,居 酒 屋 A は ,ゴ キ ブ リ の 生 息 状 況 を 示 す ゴ キ ブ リ 指 数( 1 日 ・ 1 ト ラ ッ プ に 捕 獲 さ れ る ゴ キ ブ リ の 数 )が 10 以 上 の 比 較 的 高 密 度 の 生 息 状 況 を 示 す 店 舗 で あ っ た が ,居 酒 屋 B は 指 数 2 以 下 の ご く 普 通 の 店 舗 で あ っ た .屋 内 塵 の 採 取 条 件 が 異 な る た め ,単 純 な 比 較 は で き な い が ,ゴ キ ブ リ の 生 息 状 況 を 反 映 し て ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン の 蓄 積 状 況 が 異 な っ て い た 可 能 性 は あ る .し か し 今 回 測 定 し た Bla g1 は , 室 温 レ ベ ル で は 変 性 し に く い た め ( Erban et al., 2010), ゴ キ ブ リ の 生 息 数 が 減 っ て も ,残 っ た 糞 が 物 理 的 に 除 去 さ れ な い 限 り ,環 境 中 に 蓄 積 し 続 け る も の と 考 え ら れ る .し た が っ て ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 瞬 間 的 な 生 息 状 況 と は 一 致 し な い こ と も 考 え ら れ る . い ず れ に し て も ,こ の よ う な 飲 食 店 に お け る ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン の 実 態 調 査 は こ れ ま で に 知 ら れ て お ら ず ,こ う し た 飲 食 店 で は ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン の 曝 露 リ ス ク が 高 い こ と が 示 唆 さ れ

た .

4.2 チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ 非 生 息 環 境 に お け る ア レ ル ゲ ン 汚 染 状 況 と 交 差 抗 原 性

一 口 に ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン と 言 っ て も ,ゴ キ ブ リ 種 に よ っ て 抗 原 性 の 異 な る 可 能 性 が あ る . 今 回 の 調 査 対 象 家 屋 の う ち ,実 際 に チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 生 息 が 確 認 さ れ て い た の は 居 酒 屋 2 軒 と 住 居 兼 店 舗 と な っ て い る 一 般 住 宅 C の み で あ っ た .こ の 他 の 家 屋 に 関 し て は ,冬 季 夜 間 の 温 度 状 況 を 考 え れ ば ,ゴ キ ブ リ 属 の 生 息 可 能 性 は あ り 得 る も の の ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 生 息 は 考 え に く い .ま た ,今 回 ,陽 性 対 照 と し た ク ロ ゴ キ ブ リ の 糞 で も , Bla g1 抗 体 に 反 応 し て い る こ と か ら ,一 般 住 宅 A,B と 学 校 A,B,C,

E, F で は , ク ロ ゴ キ ブ リ 等 の ゴ キ ブ リ 属 由 来 の ア レ ル ゲ ン に 反 応 し た も の と 考 え ら れ る .川 上 ら ( 1989), 村 上 ・ 松 野 ( 1994) は , チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ 抗 原 と 他 の ゴ キ ブ リ 属 の 抗 原 に 交 差 性 が あ る こ と を 示 し て い る . 近 年 , Bla g1 の 構 造 が 明 ら か に な っ て く る 過 程 で , Bla g1

Bla g1 (U/g dust)

飼育容器内 チャバネゴキブリ 糞 35

虫体(死骸・脱皮殻) 31

クロゴキブリ 糞 11

飲食店 居酒屋A(東京) 冷蔵庫上 9.0

客室床 8.0

厨房床 62

店舗入口 21

居酒屋B(静岡) 棚 0.12

カウンター上 0.36 椅子クッション上 0.08 客室テーブル上 1.1

座敷床 0.67

酒サーバー上 1.1

一般住宅 戸建A(神奈川) 床面 0.45

戸建B(神奈川) 床面 0.066

戸建C(神奈川) 2階床面(1階そば店) 0.23

マンションD(神奈川) 床面 -

マンションE(神奈川) 床面 -

小学校 A(東京) 教室 0.050

B(東京) 教室 0.10

C(東京) 教室 0.15

D(東京) 教室 -

E(東京) 教室 0.70

F(東京) プレイルーム 0.27

G(東京) 用務員室 -

-:検出限界(0.020U/g dust)未満 採集場所

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が ワ モ ン ゴ キ ブ リPeriplaneta americana の 糞 由 来 ア レ ル ゲ ン Per a1 と , 類 似 の 構 造 や , 抗 体 と 結 合 す る リ ガ ン ド を 有 す る も の と 推 測 さ れ て い る ( Mueller et al., 2013). 一 般 的 に は ,ワ モ ン ゴ キ ブ リ と 同 属 の ク ロ ゴ キ ブ リ で も , 糞 由 来 の 抗 原 Per f1 に つ い て は , そ の 構 造 や 抗 原 の 相 同 性 が 強 く 予 測 さ れ る .こ の た め ,チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 生 息 し て い な い と み ら れ る 屋 内 環 境 で Bla g1 が 検 出 さ れ た こ と に は , 日 本 で 広 く 分 布 す る ク ロ ゴ キ ブ リ に 由 来 す る 抗 原 が 反 応 し て い た こ と が 示 唆 さ れ ,そ の ク ロ ゴ キ ブ リ に よ っ て も ゴ キ ブ リ ア レ ル ギ ー が 惹 起 さ れ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .

4.3 ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン の 調 査 範 囲

家 屋 内 で の 調 査 例 と し て , Sakaguchi et al.(1994)は , 喘 息 患 者 宅 の 屋 内 塵 中 の ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン を 調 査 し ,ワ モ ン ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン Per a1 が , 10 家 屋 中 8 家 屋 で 検 出 さ れ , チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ の 虫 体 由 来 の Bla g2 が 3 家 屋 で 検 出 さ れ た こ と を 報 告 し て い る .こ れ ら の 調 査 対 象 家 屋 に お け る ゴ キ ブ リ の 生 息 状 況 は 不 明 で あ る が ,床 面 や 寝 具 表 面 よ り 採 取 さ れ た 屋 内 塵 を 測 定 し て い た . ま た 安 枝 ( 2005) は , 気 管 支 喘 息 患 者 65 例 の 寝 具 中 の ア レ ル ゲ ン 量 を 調 査 し , Bla g2 は 全 く 検 出 さ れ な か っ た こ と を 示 し て い る .

Bla g1 と Bla g2 で は 虫 体 内 で の 機 能 や IgE エ ピ ト ー プ( 抗 原 決 定 基 )が 異 な る が ,ゴ キ ブ リ に 由 来 す る ア レ ル ゲ ン と し て 発 生 源 は 類 似 し て い る と 考 え ら れ る .寝 具 は 子 供 の 接 触 時 間 が 長 い た め ,一 般 的 に は 重 要 な 調 査 対 象 で は あ る .し か し ,ゴ キ ブ リ 類 は ヒ ョ ウ ヒ ダ ニ 類 と は 異 な り ,寝 具 に 潜 む 可 能 性 は 低 い た め ,寝 具 で は ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン 量 は 少 な い も の と 考 え ら れ る .言 い 換 え れ ば ,寝 具 表 面 の ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン が 陰 性 で も , 家 屋 全 体 と し て み れ ば , ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン へ の 曝 露 リ ス ク が 低 い と は 限 ら な い .ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン を 対 象 と す る 際 に は ,ゴ キ ブ リ の 潜 み 場 所 と な り う る 箇 所 か ら の サ ン プ リ ン グ が 必 要 で あ る と 考 え る .

な お , チ ャ バ ネ ゴ キ ブ リ ア レ ル ゲ ン Bla g1 は 分 子 量 46kDa で ,非 特 異 的 に 脂 質 の 運 搬 に 関 連 す る タ ン パ ク で あ る ( Do et al., 2016). こ れ ま で Bla g1 の 測 定 単 位 は , 任 意 の 単 位 「 U

( ユ ニ ッ ト )」 で 示 さ れ て き た が , 今 回 調 査 に

用 い た INDOOR biotechnologies 製 の Bla g1 の 1U は , 104ng に 相 当 す る こ と が 示 さ れ て い る

( Mueller et al., 2013).

謝 辞

本研究は日本環境衛生センター平成 22 年度研 究奨励金制度による助成を受けて実施された.ま た,屋内塵採取に当たり,環境生物・住環境部職 員にご協力頂いたので,厚くお礼申し上げる.

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Summary

Cockroach allergen levels in house dusts, which were collected from 2 izakayas (Japanese pub), 5 residences and 7 elementary schools, were evaluated. Bla g1 derived from German cockroach, Blattella germanica, was measured by sandwich ELISA with the feces collected from breeding containers of the German cockroach and smoky brown cockroach, Periplaneta fuliginosa, as positive control. The Bla g1 of more than 20 U/g, comparable to the cockroach container level, was detected from one of the izakaya. The allergen levels in residences and schools were, however, less than 1 U/g. The German cockroach is not ubiquitous in Japanese home environments, whereas nationwide distribution of the smoky brown cockroach.

Since the extract from the smoky brown cockroach feces was also react to the Bla g1 antibodies, it was considered that the cockroach allergen derived from Periplaneta were detected as Bla g1.

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