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海外旅行先としての大阪

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海外旅行先としての大阪

著者

紙谷 鈴代

雑誌名

堺・南大阪地域学の世界

6

ページ

66-84

発行年

2007-03-31

URL

http://hdl.handle.net/10466/10392

(2)

大阪大谷大学人間社会学部教授 紙谷 鈴代

1 はじめに

平成18年版国土交通省編の『観光白書』によると、平成17年の訪日

外国人は、673万人、旅行形態比率では、個人旅行84.1%、団体旅行

15.9%(そのうちパック旅行11.3%)であった。上位の5か国、6地域

の訪日旅行者の概数と、それが全訪日旅行者に占める割合(構成比)

それを旅行形態からみた、個人旅行者と、団体旅行者およびそのうち

のパック旅行者の割合が下表である。アジアの国々と地域では、団

体・パック旅行の比率が高く、欧米では低いことがわかる。

各国(地域)とも、旅行形態比率では、団体・パック旅行は低い。

しかし、それらの観光コースを把握することによって、旅行者が日本

のどのような観光スポットを訪れることを望んでいるかや、旅行にお

ける国民の嗜好、特性を把握することが可能である。そこで、インタ

ーネット上に掲載されているパック旅行の旅程を調べることにした。

そこにあげられたツアーは、原則として、催行日が明示されている

ものを示した。しかし、これらのツアーは一定の参加者がなければ、

催行されないから、実際にどの程度催行されたのかはわからない。ツ

海外旅行先としての大阪

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175 ਁੱ (26.0㧑) 81.4㧑

18.6%(13.5㧑)  

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127 ਁੱ (18.9㧑) 55.0㧑

45.0㧑(36.1㧑)  

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82 ਁੱ (12.2㧑) 95.0㧑

5.0%(2.6㧑)  

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65 ਁੱ (9.7㧑) 80.4㧑

19.6%(11.2㧑)  

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30 ਁੱ (4.4㧑) 67.6㧑

32.4%(27.3㧑)  

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22 ਁੱ (3.3㧑) 98.5㧑

1.5%(0.6㧑)  

(3)

アーの募集が実際の催行日以上に多く広告に掲載されているものも多

いはずである。しかし、それらのことは、本稿の目的にとっては支障

はないものと考えた。なお、本稿では、それらのツアーの旅程を一覧

することができるように表に示した。ツアーの旅程については正確に

表に記入するようにしたが、旅行社がWebサイトに発表した旅程表に

よると、募集時点では宿泊地や施設が決定されていないツアーがある

だけでなく、記述の明らかな誤りや、脱落などの不備もしばしば見ら

れる。そこで、明らかな誤記の場合には訂正したが、脱落などで不明

なときには、そのままの形であげることにした。本稿では、紙面の都

合上、韓国、台湾、米国、中国、英国の5か国のツアーをとりあげる

ことにした。

2 韓国(ソウル)発のツアー

韓国のツアーは、ソウルと釜山から多く催行されているが、以下は、

ソウル発のコースについて見ることにした。本稿でとりあげたのは、

韓国のNextourとHANA TOURの2社のツアーのうち、3月中に催行

される予定のものであるが、それぞれの日本向けツアーを可能な限り

表にのせることによって、日本向けのツアーの輪郭をとらえることが

できると思われる。なお、HANA TOURの場合には、Webサイト上で

はツアー名とその催行日を一覧できるようになっていないため、本稿

では、1ツアーについて催行日を1日しかあげられなかったが、これは

すべての催行日を把握できなかったためであって、催行の回数を反映

しているものではない。

韓国は、日本から最も近いこともあり、韓国人が日本を旅行する機

会は多いが、日本の景色は韓国の人にとっては魅力となっているよう

である。そのため、ツアーの目的地も、東京や大阪の都市の観光とと

もに、全国の特色ある観光スポットに設定されている。また、特定の

観光地に連泊して、そこで自由観光を行ったり、その周辺の観光スポ

ットをめぐったりするコースも多く、それも日本各地にわたって設定

されている。ツアーの期間は、どの地域へのツアーでも、2泊3日、

(4)

3泊4日のものが多い。

韓国からのツアーには、東京、大阪などの都会の観光ツアーもある。

その場合には、自由観光とすることが多い。また、32、34、35のよう

に、それらの地域で廉価な宿泊施設を利用するものもある。さらに、

55のように、羽田発着の深夜便を利用した、1泊3日の自由観光のコ

ースもある。しかし、都市への観光でも、東京ディズニーランドや

USJなどのテーマパークを組み込んだコースは意外に少ない。そのほ

か、東京の観光のばあいでも、31、53のように、仙台や福島から入国

して、日光を経由して東京に入るツアーがあるなど、旅程が工夫され

ていることがうかがわれる。

韓国からのツアーのうち、韓国と距離的に近い九州をめぐるツアー

は特に多く設定されている。湯布院、別府、阿蘇、雲仙、霧島、指宿

など、日本の代表的な温泉をめぐるツアーがほとんどで、これらの温

泉間を短時間で移動できる九州の特色を巧みに利用している。また、

39、69のように、一部には、ハウステンボスを組み込んだツアーも見

られるが、このようなテーマパークを組み込んだツアーの数は、他国

とくらべても少ない。

韓国からは、九州以外にも全国各地の温泉をめぐるツアーが多いが、

それらは、ソウルからの直行便のある日本の各地の空港を利用してい

る。また、特定の観光スポットに限定したツアーも多く、スキーツア

ー以外でも、29、49、50、58、66、のように、同じ温泉に連泊するツ

アーもある。

韓国では、日本のスキー場は人気があり、冬季には、北海道、東北、

中部への2∼3泊の滞在型のスキーツアーも多く設定されている。

韓国の場合、世界遺産をめぐる旅は、京都の観光のなかで金閣寺を

めぐる以外には、白川郷や吉野・熊野へのツアーは見られない。

総じて韓国のツアーは多様であって、その目的地には、個性をもっ

た観光スポットも多く見受けられる。中国の多くのツアーや、台湾の

一部のツアーに見られるような、東京から富士・箱根で一泊し、京阪

神へ通して観光するというような類型的なコースは見られない。

(5)

韓国発のツアーはソウルと釜山から出発している。釜山からのツア

ーは飛行機によって日本に入国することもあるが、日本の西日本にむ

かうツアーには航路をとるものが多く見られる。釜山−博多間は、ジ

ェットフォイルでは3時間程度であり、釜山−下関・博多間は、フェ

リーで13∼14時間程度の距離であるから、船中で一泊することもでき

る。

一方、ソウルから日本に入国するには、空路を利用することが多い。

また、日本の主要都市とソウル(仁川)との間には定期便があるため、

日本の観光スポットに向かうには、最寄りの空港まで、短時間で着く

ことができる。また、41、67のように、一部のツアーでは、釜山を経

由して日本に航路で入出国することがある。その場合、ソウル―釜山

間は高速鉄道KTXが利用されている。

3 台湾(台北)発ツアー

台湾では海外旅行がさかんに行われていて、パックツアーも多く催

されている。日本にむけたパックツアーも多くあるが、本稿では、

「東

南旅行社」

「五福綜合旅行社」の2旅行社の催行する台北発のツアーに

ついて見ることにする。

台湾は、日本から近いだけではなく、広く海外旅行が好まれるよう

であって、台湾から日本を旅行する機会は多いようである。そのため、

ツアーの目的地も、都市の観光だけでなく、特色のある地方の観光地

をめぐるものが多く、それが日本各地にわたっている。

東京、大阪などの都市を観光する場合には、自由観光にすることが

多い。また、都市に入る経路についても工夫されているものがある。

京阪神の観光の場合にも、121のように、関西空港から入国して、第1

泊目を南紀南部とし、その後、引き返して京阪神に入るなど旅程が工

夫されていることがうかがわれる。南紀南部は、南部梅林によって著

名な観光スポットであるが、関西空港からは距離的にも比較的近く、

早春の観梅という季節の特徴を巧みに利用してコースが組み立てられ

ている。桜の季節には、大阪城や円山公園の夜桜、造幣局の桜の通り

(6)

抜けを他の季節のコースと入れかえているツアーも見られる。

その一方では、日本の代表的な都市である東京から、富士・箱根で

宿泊して京阪神にいたる典型的なコースも設定されている。93、116∼

118はそのようなツアーであるが、120では、富士・箱根で宿泊するか

わりに、世界遺産で人気の高い白川郷を経由して飛騨高山で宿泊する

ようになっている。また、台湾の場合には、中部国際空港を出入国地

にすることが多いので、113のような中部から東京までのコースもある。

北海道、東北、関東地方では、それらの温泉をめぐるツアーが多数

設定されている。宿泊も、107、108のように、東京から東北地方へ移

動するために寝台特急を利用するものもある。

九州も多くの温泉が集中しており、人気の高い地域である。台北か

らの直行便の多い福岡から入出国することが多いが、雲仙、阿蘇、別

府、霧島、指宿の各温泉のほか、ハウステンボスを宿泊地とした4泊5

日のツアーが多い。

沖縄は台北からは1時間30分程度の距離にあるが、3泊4日で、沖

縄本島北部・中部・南部をめぐるコースが設定されている。

以上のような、ツアーに組み入れられることの多い観光スポットに

対して、ほとんど組み入れられていない地域もある。たとえば、中部

国際空港を多く使う台湾のツアーも伊勢志摩には行っていない。中国

地方のツアーは限られているし、四国では、道後温泉、奥道後温泉を

除いてはほとんどがツアーに組み入れられていない。

台湾発のツアーには、日本のテーマパークを取り入れたものが多く

見られ、ディズニーランド、USJ、ハウステンボスが入っている。テ

ーマパークの入場も、他国のツアーでは、オプションとして、料金に

入っていないことが多いのに対して、台湾発のツアーでは旅行費用に

組み込まれていて、事前に利用しないことを申し出た場合には返金さ

れるようになっている。

なお、この時期には、雪景色を見るためのツアーは多いが、スキー

のために日本にくるツアーは見あたらない。

台湾からのツアーは、沖縄の場合は3泊4日であるが、その他の地

(7)

域は4泊5日のものが多数を占める。

4 中国(北京)発のツアー

中国発のツアーは中国各地から出発しているが、北京出発のコース

に限って見ることにした。催行する旅行社は多数にのぼるが、本稿で

は、中国の三大旅行社「国旅」

「中旅」

「青旅」の各企業集団に属する

旅行社を中心にデータを集めた。

中国から日本へのパックツアーは、中国の旅行社の募集状況を見る

限り、世界の他の国・地域にくらべて低調である。また、日本にくる

ツアーのなかにも、日本だけではなく、日韓両国を目的地とするもの

もある。その中で、日本だけを目的地とするものは6日間に設定され

たものが圧倒的に多いが、4日間のものもある。また、日韓両国を目

的地とするものには、10日間のツアーが多いが、それは、日本だけの

ツアーに多く見られる6日間の行程の最終日に韓国に向けて出国した

り、またその逆に韓国の5日目の行程を終えて、韓国から入国するコ

ースが多い。また、159のように、日本での観光のあと、グアム・サイ

パンに向かうコースも発売されている。

各社によって催行されるツアーの中には、同一コースが恒常的に催

行されるものがあり、

「経典游」などと呼ばれている。その行程は類型

的であって、6日間の行程で東京または大阪から入国して、その逆か

ら出国するケースが大半をしめる。その場合、宿泊地は、大阪、京都、

富士・箱根、東京、成田となり、それらをバスでめぐることが中心に

なる。大阪、京都、東京、成田の場合には、その近郊に宿泊する場合

もふくめて、洋式のホテルでの宿泊となるが、富士・箱根地区では日

本式のホテルと温泉を利用することになり、それを体験することがツ

アーの一つの目的になっている。

それらのツアーの旅行費用は、10日のもので10000元程度からある。

6日のものでは、6000元程度であるから、一日につき1000元程度が普

通であるが、オプションを多く設定することによって、価格を実際以

上に低く抑えたものが多い。そのため実態とはかなりかけはなれた価

(8)

格のツアーもある。

つぎに、日本国内を移動する手段であるが、これはバスの専用車の

利用がほとんどである。ツアーの大半が大阪と東京の間を移動するの

で、その間にある観光スポットに直行できるなど、効率的で有利なた

めである。そのため、移動に新幹線を使うことはほとんどない。特に

東京、横浜と富士・箱根間では観光スポットを短時間で結ぶことがで

きるためにほとんどがバスを利用している。京阪神と富士・箱根の間

でもバスによる移動が主であって、行程によっては、その中間の豊橋、

浜名湖などで、一泊することもある。しかし、154のように、移動が楽

にできるように、京都から乗車して、富士・箱根にいたるまでの間で

新幹線を利用することをうたったコースもわずかながら見られる。

中国からのツアーでは、新幹線に乗ることが希望されるようで、新

幹線を体験するために短い区間で乗車することをオプションで提供す

ることが多い。その場合には、行程の一部を、バスから新幹線に乗り

換えることになるが、主として、駅間の距離が短く、列車の本数が多

くて便利な大阪−京都間を新幹線自由席に乗ることによって行われて

いる。その場合、新幹線大阪−京都間の新幹線自由席の料金は高額と

は言えないにもかかわらず、ツアーでは新幹線の乗車とそれにともな

う伊勢丹展望台など他の施設の利用料金とあわせて、日本円で4000円

程度のかなり高額なものとなっている。ツアーでオプションの東京の

ディズニーリゾートの入場料として設定されることの多い金額8000円

の半額ほどの割高なものである。

5 米国、英国のツアー

米英の旅行社の企画による日本のパックツアーにおける最も顕著な

特徴は、東京と京都に宿泊地が集中し、長いものは5泊もしているこ

とである。次いで富士・箱根が人気で、ほとんどのツアーに組み込ま

れ、2泊するものもある。そこから、バスで三島か小田原に出て新幹

線で京都入りするものの他、高山から白川郷を訪ねることも人気が高

いが、それには世界遺産登録と、安房トンネルの開通が大きな要因と

(9)

なっている。金沢や、14のように和倉温泉まで北上し有名旅館に宿泊

するものもある。伝統的な日本旅館は、16では宮島が組み入れられ、

オプションとして、京都滞在中に提供されているものもある。22では、

旅館が9泊、高野山の宿坊に2泊する。少なくともこれらの旅程に関

するかぎり、英国系のほうが変化に富んでいるようである。この背後

には、旅館側の多大な努力があったことがうかがえる。

米英のツアーでは、40%ほどが広島、宮島方面をコースに設定して

おり、新幹線を利用することが多い。広島に対する思いが強いことは、

コース説明文にもみられる他、旅程を延長して見学することを可能に

しているツアーがあることにも見てとれる。なお、22と23は安価に設

定されているが、Japan rail passが必携とされている。

他に、園芸を好む英国民性を表すような、日本庭園を特集したツア

ーも19の旅行社によって別途提供されている。

JTBは、Sunrise Tour として外国人向けの国内旅行を展開している

が、旅程の組み方は米英のツアーと酷似している。関西国際空港を利

用するものも多いが、大阪観光を入れているものは少ない。

近鉄インターナショナルの場合は、Ichiban という商品名のツアーを

設定している。企業の基盤にたって、名古屋から伊勢志摩、京都およ

び奈良と、系列の近畿日本鉄道のレイルパスを利用することによって、

大阪を重要な観光地として取り上げている。

6 観光スポットの特色

観光スポットごとにみられる特色を京阪神から東京に向かって順に

見ていくとつぎのようである。

【関西空港】

海外旅行では、入出国にともなって、空港周辺で宿泊することが多

いが、成田空港でもその周辺での宿泊が多い。それに対して、関空の

場合には、宿泊地の詳細が明示されていないことが多いので、正確に

はわからないが、明示されているものに限って見れば、空港周辺での

宿泊は少ないようである。また、関空周辺で宿泊する場合には、近隣

(10)

の大型店舗での買い物をあわせて行うことが多いようである。

【大阪】

大阪の訪問地は、大阪城と心斎橋・道頓堀がほとんどをしめる。心

斎橋・道頓堀は代表的な商業地として紹介されているが、宿泊場所に

よっては、近いこともある。大阪城は、ふつうは登城しないので、実

際には大阪城公園にとどまることになる。時期によっては、夜桜の鑑

賞に設定されることもある。日本橋電器街は免税店などの関係で、案

内されることがあるようだが、組み込まれているツアーは少ない。ツ

アーが東京−大阪間に設定される場合には、日本の電子・電器製品を

購入するための場所としてはむしろ、秋葉原電器街が組み込まれるこ

とが多い。大阪で立ち寄る観光施設・商業施設としては、以上のもの

がほとんどで、わずかではあるが、空中庭園がコースに入れられるこ

とがある。また季節によっては、造幣局、桜宮公園が組み入れられる

こともある。なお、USJが大阪にありながらほとんどのコースに組

み込まれないのは、テーマパークのテーマのちがいによることが大き

いだろうが、東京ディズニーリゾートが、多くのコースに組み込まれ

ているのとくらべても、その違いは大きい。また、日本人には人気の

ある海遊館なども選択されることはないようである。

【神戸】

神戸が観光や宿泊地になることは多くない。市内の観光は中華街が

中心であるが、明石大橋をめぐるものもある。神戸では、神戸牛が注

目されていて、神戸の夜景を見ながら神戸牛を味わうというオプショ

ンが用意されていることがある。ただ、神戸牛は、関西だけでなく、

関東でもよく知られているので、阪神地区だけでなく、東京でも神戸

牛の食事がオプションで用意されることがある。

【京都】

京都の観光施設では、西陣織会館、金閣寺、清水寺、平安神宮、嵐

山が多くのコースに組み入れられている。二条城、御所はほとんど無

い。数は少ないが、祇園で芸妓の鑑賞を組み込んだものもある。また、

周恩来の詩碑のある嵐山も人気が高く、コースに組み込まれることが

(11)

多い。そのほか、季節によっては円山公園、宿泊場所によっては四条

河原町などの繁華街が組み入れられることがある。しかし、それ以外

の京都の観光地は概して人気が無く、日本人には好まれる閑静な京都

の寺社は、ほとんど組み込まれていない。

【奈良】

奈良は、米英のツアーでは入れられているが、それ以外ではほとん

ど組み込まれていない。東京と京阪神の間を移動するツアーでは、奈

良が日程に組み入れにくいことや、奈良市内への道路事情がよくない

ことにもよると思われる。そのため、157のように、4日程度で関西だ

けをめぐるコースに組み込まれる程度である。

【豊橋・浜松】

中国発の多くのツアーの行程は京阪と東京の間であり、その途中の

富士・箱根で一泊することが多いが、さらに富士・箱根と京阪神の間

でもう一泊するところとして、その中間に位置する豊橋、浜松が宿泊

地になることがある。とくに、富士・箱根で宿泊したあと、富士・箱

根周辺の観光に重点がおかれたり、富士山五合目までのオプショナル

ツアーが組まれるなどの理由で、かなり多くの時間がさかれている場

合には、京阪神と富士・箱根の中間でさらにもう一泊する必要がでて

くる。そのような場合に、これらの地域が宿泊地とされることがある。

なお、豊橋よりさらに西寄りの地区が選ばれることもある。

【富士・箱根】

中国発のツアーは、京阪と東京の間に設定されることが多いが、富

士・箱根はツアーのなかで最も風光明媚なところであるとともに、日

本式の温泉とホテル・旅館を体験する場所として選ばれている。東京

と京阪神のあいだのツアーでは、日本式のホテルや本格的な食事はこ

の宿泊に限られる。宿泊する観光スポットは、富士・箱根の広い範囲

にわたっているが、箱根・芦ノ湖周辺や河口湖周辺が多い。伊豆は118

のツアーのように、わずかに見られるだけである。さらに、富士山五

合目までのオプショナルツアーが組まれることが多く、それによって

かなり多くの時間がさかれている。米英のツアーでは、前述のように

(12)

最も人気が高く、2泊しているものもある。

なお、東京、京阪間を移動しない各国のコースでは、東京から日帰

りで設定されることもある。

【東京】

東京の訪問地としては、浅草・皇居・銀座・都庁舎が選ばれること

が多い。また、近年、お台場海浜公園の人気が高く、フジテレビにも

人気があるが、トヨタの展示場であるメガウェブは、特に中国発での

ツアーでは、自動車の増加が著しいことを反映して、多数のコースに

入れられている。新宿方面では、都内を見渡す展望台として都庁舎、

夜は歓楽街としての新宿歌舞伎町が好まれ、多数のコースに組み入れ

られている。

【成田】

飛行機の搭乗の便がよいことから、成田は、夜間に入国した場合の

当日の宿泊、早朝に出国する場合の前日の宿泊に選ばれることが多い。

また、成田では、宿泊の翌日、搭乗するまでに時間の余裕がある場合

があるが、その場合には、近くの商業施設に案内することも行われて

いる。

7 おわりに

今回、主要訪日国のツアーを比較したが、それによれば、中国の場

合は、名所型、発展型で、これから国力が増して行くような国に見ら

れる形態であるのに対して、台湾の人たちは日本人でも知る人の少な

い土地を訪ねるような、いわゆる観光旅行の成熟期の様相を呈してい

るといえる。

また、英米の団体旅行やパック旅行の、旅行形態に占める率が非常

に低いこと、旅行社が最大12名の小グループのツアーであるなどと明

記して少人数で募集しているものがあることによってもわかるように、

米英系のツアーは、アジア系とは異なって旅行の面でも個人主義的な

傾向が強いことがうかがえる。

歴史的なものを好む傾向がある米英の旅行者には、大阪は、京都や

(13)

奈良のようには魅力的な都市には映らないらしく、出入国に利用する

関西国際空港がなければ、観光地としてはさほど顧みられていないよ

うである。今後は、旅客誘致にさらに英知を結集し、工夫を多方面か

ら凝らすことが望まれる。

現在、外国人旅行者が提示することによって、博物館、飲食店その

他の施設や交通機関で優待を受けることができる「ウェルカムカード」

の有効地域に、大阪は18年版『観光白書』では入っていない。このよ

うな一見些細なことの改善の積み重ねも、大きな視点とともに求めら

れるのではないだろうか。

一方、表からも見てとれるように、中国は、大阪を多数のツアーで

取り入れている。21世紀は中国、インドの時代と言われており、日本

に近いこと、人口が日本の10倍ほどと莫大であることから、将来最大

の市場となることが予想されるため、中国という巨大市場を大切にす

れば、多くの分野で相乗効果が期待できるだろう。そのためには、表

面的な利益追求とならない、人間としてのつながりをわかち合え、共

感できるような文化的な要素を共有することが不可欠と思われる。今

年は、小野妹子が隋に渡って2千年にあたる。日中の今後を考える好

機である。

また、ここには取り上げていないビジネスの来阪者はかなりの数に

のぼると思われることから、大阪の伝統的なビジネス上の地位をさら

に生かして発展させる努力が必要と思われる。

(14)

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参照

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