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大学生における健康食品の摂取と食生活

−健康への配慮による比較−

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こ **** * 修士課程健康科学専攻・** くらしき作陽大学食文化学部・*** 貴島中央病院・**** 生活環境講座 (平成20年4月1日 受付) 大学生の健康食品の摂取と食生活の実態状況を把握するため質問紙調査を行い,男子204名,女子 203名の回答を分析した。「健康のために気をつけていること」に関して,食事・運動・休養の3要素 以外の項目をあげた者と特になしの者を非要素群,3要素のいずれかに回答した者を要素群として比 較した。健康食品の現在摂取者は,非要素群より要素群が多く,食品摂取は,動・植物性食品の摂取 得点が非要素群より要素群の方が高く,調理済み食品は,非要素群の摂取得点が要素群よりも高かっ た。健康食品の摂取や食生活は,性差だけではなく,健康への配慮をしているかどうかによる違いが 明らかとなり,適切な健康教育を行う必要性が示唆された。 キーワード:健康食品,食生活,大学生,健康への配慮 Ⅰ 緒言 生活習慣の変化や不規則で偏った食生活などから,食事のバランスが崩れ,その問題点 が取り上げられることが多い。食事内容の問題は,食品や栄養の偏りだけでなく加工食品 や調理済み食品の利用が増加し,健康食品の摂取が増加するなど多面的になっている [1]。 健康食品を選択するという行為の背景にある要因については,様々な側面から検討する必 要性がある[2]。近年,サプリメントなど健康食品に関する一般向けの雑誌の対象が若年 女性であり[3][4],新聞,雑誌,テレビなどのマスメディアでは,健康,美容,ダイエッ トを取り扱うものが多いことから,特に美容やダイエットに敏感であると考えられる女子 学生を対象にした調査が増えてきている。那須[5],加藤ら[6],大島[7],齋藤[8]の女子短 期大学生を対象に,杉山ら[9]は女子大学生を対象に調査を行っている。健康食品の摂取 や食生活は,美容やダイエットなどの点から,性別により異なると考えられるので,女子 学生のみに着目するのではなく,男子と女子との比較からその違いを検討した結果[10], 健康食品の摂取では,男子に比べて女子の方が摂取経験が多く,使用した費用の総額は, 男子より女子では5千円未満が多く半数以上と有意に多かった。摂取品目とその摂取目的 は,スポーツ飲料は何となく,疲労回復,栄養ドリンクは疲労回復など,男女とも上位の 摂取品目と目的はほぼ同じであったが,ニアウォーターやゼリー飲料の目的に,女子では ダイエットを目的としている者がみられた。体格では,日本肥満学会の診断基準[11]によ るBMIの分布は男女とも約8割は普通体重であったが,男子に比べて女子は低体重の者が

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多く,体重を意識している者,ダイエットへの関心・経験がある者が有意に多かった。食 生活については,朝食の摂取はほとんど食べないと答えた者が男子では女子よりも有意に 多く,食品摂取において,男子は女子に比べて卵類,野菜類を毎日摂取する者が少なく, 豆・豆製品,海藻・きのこ類,果物は週1日未満の者が多かった。このように健康食品の 摂取,食生活,体格などについては性別により異なることが明らかになった。そこで,本 研究では,大学生の実態をより具体的なものにするため,同対象者を健康に気をつけてい るかどうかという観点で,2群に分け,健康食品の摂取状況と食生活状況について検討を 行った。 従来の公衆衛生行政の思想は,疾病予防治療対策を重点としていたが,「健康をより健 康に」「自分の健康は自分で守る」を主眼とする健康増進施策への転換は,国の大きな進 歩である。これが,1978年に全国展開された第一次国民健康づくり対策で,小児から高齢 者まで幅広く各人が日常生活において栄養・運動・休養のバランスをとることを基調とし て,地域住民に密着した総合的健康づくり対策の積極的推進の必要性から実施された。 1988年から推進されている“アクティブ80ヘルスプラン”と称される第二次国民健康づく りは第一次対策に上積みされた対策である[12]。 第二次対策は,基本は栄養,運動,休養の3要素が日常生活のすべての面でバランスの とれた健康的なライフサイクルに形成されることを目標としており,それにより活動的な 80歳を迎えようというものである。この対策の特徴は,従来の健康づくりが栄養施策一辺 倒であるかのような印象をもたれていたため,とくに“運動”および“休養”に重点的に 施策の比重を移したものともいわれている。しかし,あくまでも健康づくりの3要素は, 栄養・運動・休養の調和のとれた健康的な生活習慣の確立をはかることが基本であり,第 二次施策もこの考えに重点をおいていることを忘れてはならない。このように,厚生労働 省がすすめている健康増進施策は,健康増進のための重要項目として,「バランスのとれ た栄養」,「適度の運動」,「十分な休養」の3点を柱としている[13]。 そして,21世紀における国民健康づくり運動として健康日本21がある。21世紀に,すべ ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため,壮年期死亡の減少,健 康寿命の延伸,およびQOL(生活の質)の向上を目的として2000年より開始されている。 九つの重点分野について2010年までに達成すべき70目標が設定されている。(1)栄養・食 生活,(2)身体活動・運動,(3)休養・こころの健康づくりの3要素が最初の重点分野と して定められており,この柱が基本となっている。 したがって,今回はこの3要素に着目し,3つの柱のいずれかを意識している者とそう でない者との比較を試みた。 Ⅱ 方法 1.対象者 2004年1月から4月,兵庫と岡山県内の大学2校において1回生から4回生を対象に健 康食品摂取と食生活に関する質問紙調査を行った[10]。欠損値があった者を除いた有効回 答数は407名で,18歳から22歳の男子204名,女子203名を対象とし,「健康のために気をつ けていること」に関して,食事・運動・休養の3要素以外の項目をあげた者と特になしの 者238名を非要素群(男子92名,女子77名),食事・運動・休養の3要素のうちいずれかに 回答した者238名を要素群(男子112名,女子126名)とした。両群の性別についてΧ2検定

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を行ったところ,男女の人数の割合に有意な相違はなかったので,男女をまとめて2群間 の分析を行った。 2.調査方法 質問紙は無記名とし,授業中に教員が学生に内容を説明して調査を行った[10]。①回答 者属性(4項目),②健康食品(8項目),③生活習慣(4項目),④食生活(13項目),⑤ ダイエット(8項目)に関する内容を質問した。 健康食品の摂取については,摂取品目毎の摂取者の割合は非要素群,要素群内で求め, 品目別摂取目的,使用金額,摂取動機,入手経路については現在または過去において健康 食品の摂取経験がある者を摂取ありとして摂取者のみを検討した。食品摂取頻度について は,各食品群の比較に加え,「毎日」4点,「週3-6日」3点,「週1-2日」2点,「週1 日未満」1点として得点化を行い,肉類,魚介類,卵類,牛乳・乳製品を動物性食品とし, 豆・豆製品,緑黄色野菜,淡色野菜,海藻・きのこ類,果物を植物性食品とした項目の合 計得点をその項目数で割った平均得点についての比較を行った。 対象者の属性のスケールデータは,平均値±標準偏差で示し,t検定を行った。食品摂 取頻度を得点化した順序データは,平均値±標準偏差で示し,Mann-WhitneyのU検定を 行い,群内の比較は,Friedman検定を行った。Friedman検定にて有意差の認められた項 目については,さらにWilcoxonのT検定を行い,Bonferroniの補正を行った。名義データ は,人数と割合で表し,Χ2検定を行った。Χ検定にて有意差の認められた項目のうちカ テゴリーが3つ以上の項目はカテゴリーを特定化するため,残差分析を行い,調整された 残差を求め,標準正規偏差値と比較した。有意水準はP<0.05とした。 Ⅲ 結果 1.対象者の身体状況 対象者の属性は表1に示すとおりであった。年齢,身長,体重など対象者の属性におい て有意な差はみられなかった。 健康のために気をつけていることがあるかとの質問では,特になしと答えた者は138名 と対象者407名のうち34%であった(表2)。食事・運動・休養以外の項目のみを意識して いたものは,31名で全体の7.6%であった。要素群では,食事に気をつけている者が最も多 く,運動,休養の順であった。食事・運動・休養の3項目すべてを回答した者は26名で全 体の6.4%であった。 表1 対象者の属性

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2.健康食品の摂取状況 健康食品の摂取は両群間に有意な差がみられ,非要素群は現在摂取している者が21.3% であるのに対して要素群では34.5%と多く,一方摂取なしの者は非要素群では37.3%で, 要素群の24.8%と比べて多かった(表3)。摂取品目は上位6品目までは両群とも同じで, スポーツ飲料が最も多く,次いでスティックフード,栄養ドリンク,ニアウォーター,ゼ リー飲料,ビタミンCと続いた(表4)。摂取品目別の目的では,上位の品目のスポーツ 飲料,スティックフード,ゼリー飲料では,非要素群では何となく摂取している者が最も 多く,要素群では疲労回復や,栄養補給など目的をもって摂取している者が多かった。栄 養ドリンク,ニアウォーター,ブルーベリーでは,両群ともほぼ同様の目的であったが, ビタミンC,カルシウムについて,非要素群では健康によいが最も多かったが,要素群で は肌荒れ,栄養補給などより具体的な目的であった。両群とも,費用総額は5千円未満, 摂取効果はありとする者がいずれも最も多かった(表3)。摂取動機は,両群とも家族・ 知人・友人の勧めが非要素群59.4%,要素群67.6%で最も多く,テレビ・ラジオが続いた。 入手経路については,非要素群はコンビニエンスストアが最も多く,スーパーマーケット, 薬局・薬店があとに続いたが,要素群で最も多かったのは薬局・薬店で,続いてコンビニ エンスストアとスーパーマーケットであった(表5)。 表2 健康のために気をつけていること(複数回答) 表3 現在または過去における健康食品の摂取状況

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3.食生活状況 朝食の摂取は両群とも食べると答えた者が半数以上で最も多かった。非要素群では,ほ とんど食べない者が20%と,要素群の13%に比べて多かったが有意な差はみられなかった (表6)。1日の主食に何を食べるかについては,両群とも朝パン・昼夕米飯食が4割強と 最も多く,次いで3食米飯食であった。 食品摂取の状況では,肉類,卵類は両群とも週3-6日と答えた者が5割前後と最も多 かった。魚介類では週2日以下の者が両群とも7割強を占めていた。牛乳・乳製品は毎日 摂取する者が最も多かったが,非要素群の29%に対して要素群では42%と有意な違いがみ られた。豆・豆製品は毎日摂取する者が,非要素群では5.9%であるのに対して,要素群で 14.7%と有意に多かった。緑黄色・淡色野菜では,両群間に有意な差があり,非要素群で は週3日以上の者が約6割であったが,要素群では7割前後と多かった。海藻・きのこ類で は両群とも週1日未満と答えた者が最も多く,有意な差はなかった。果物では,週3日以 上の者が非要素群は2割強であるのに比べて,要素群では4割弱と有意に多かった。調理 済み食品については,週3日以上の者が非要素群では5割弱と多かったが,要素群では4 割弱と両群間に有意な違いがみられた。動物性食品と植物性食品ともに非要素群より要素 群で摂取得点が有意に高かった(表7)。非要素群の調理済み食品の摂取得点は,要素群 より有意に高かった。 表5 現在または過去における健康食品の入手経路(複数回答)

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4.体型とダイエット状況 体重を意識しているかとの質問では,両群とも7割弱の者が意識をしていた(表8)。 体型についてどう思っているかでは,両群とも普通と答えた者が最も多かったが,やや太 っている・太っていると答えた者をあわせると半数以上を占めていた。ダイエットに関心 があるかとの問いでは,両群とも半数以上があると答えていた。ダイエットをしたことが あるかとの質問では,あると答えた者は非要素群では31.4%,要素群では39.5%であった が,両群間に有意な差はみられなかった。運動習慣のある者は非要素群の26.0%に対して, 要素群では57.6%と半数以上と有意に多かった。 Ⅳ 考察 「バランスのとれた栄養」,「適度の運動」,「十分な休養」の健康増進のための3要素に 焦点をあて,「健康のために気をつけていること」に対する質問への回答において,食 事・運動・休養の3要素以外の項目をあげた者と特になしの者を非要素群とし,食事・運 表7 動物・植物性食品と調理済み食品の摂取得点比較 表8 体型とダイエット状況

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動・休養の3要素のうちいずれかに回答した者を要素群として2群に分け,健康食品の摂 取と食生活状況についての検討を行った。健康食品については現在摂取している者が非要 素群より要素群の方が多く,現在・過去にも摂取経験のない者は非要素群の方が要素群に 比べて有意に多かったことから,健康に対して気をつけている者の方が健康食品を摂取し ている者が多いことが示された。摂取品目については,スポーツ飲料が最も多く,スティ ックフード,栄養ドリンクと続き,上位6品目までは両群とも同じで,使用した金額,摂 取効果に有意な違いはみられなかったが,その摂取目的については,非要素群では何とな くスポーツ飲料やスティックフード,ゼリー飲料を摂取している者が多かったのに対して, 要素群では疲労回復や栄養補給など目的をもって摂取している者が多かった。栄養ドリン クやブルーベリーなどでは,謳われている宣伝文句などから期待する効果や効能が限定的 なものに関しては両群ともその目的は同様であったが,ビタミンCやカルシウムでは,非 要素群では健康によいと答えた者が最も多かった。要素群では肌荒れや栄養補給と答えて いる者が最も多く,より具体的な目的をもって摂取している者が多かった。この摂取目的 の違いを反映しているのが,健康食品の入手経路において,非要素群ではコンビニエンス トアと答えた者が最も多かったのに比べて,要素群では薬局・薬店と答えた者が多かった 結果に現れているのではないかと考えられる。このようなことから,健康のために食事, 運動,休養のいずれかに気をつけている者は,そうでない者よりも目的をもって健康食品 を摂取している者が多いことがうかがわれる。 本調査における健康食品の摂取で最も多かったものはスポーツ飲料であった。このスポ ーツ飲料は,スポーツをする人を対象にしているものであるが,スポーツ選手がサプリメ ントを使用する目的は,2つに大別することができるとされている[14]。1つは激しいト レーニングのなかで多くのエネルギーを必要とするが,食事によって十分にその不足分を 補いきれないため,不足分をサプリメントによって補うという,いわゆる栄養補助食品の 用途である。もう1つは,特定成分の体内含有量を増やすことで競技能力向上を期待する エルゴジェニック・エイド的な用途が挙げられるとしている。サプリメントにはさまざま な形状があり,競技場面や環境もしくは選手の好みに応じて使い分けられ,スポーツ用サ プリメントを形状によって分類すると,スポーツドリンク,プロテインパウダー,アミノ 酸タブレット,エネルギーゼリー,ビタミン・ミネラルのタブレット・カプセル等,バ ー・ブロック等に分けられている[14]。これらの主たる宣伝文句には筋肉量の増強,脂肪 燃焼効果,免疫能の向上,エネルギー供給,回復力強化などがあげられ,いずれの使用目 的で使ったとしても,現在のところスポーツ選手のための各栄養素やサプリメントの使用 基準量は定められていないとされている[14]。これらのサプリメントのうち,生体内で不 足していることが明らかなものは,摂取することで栄養状態の改善を図ることができるだ ろうが,科学的根拠が認められていないものも多く,エルゴジェニック・エイドに関して は一般人の必要量さえ明らかにされていないものが多いとしている[14]。飲めば飲むほど 効くのではないかというイメージや,これだけ飲んでおけば安心,もしくは強い選手が飲 んでいるから飲めば強くなるという思い込みをいだかせるような,サプリメントの製造・ 販売会社の誇大広告が後を絶たないのが現状である[14]。 本調査対象者のスポーツ飲料摂取者が,スポーツ時に水分補給として使用しているので あれば,特定成分が濃縮されたタブレットやカプセル形態の栄養素ではないので,さほど 大きな問題はないと考えられる。しかし,非要素群,要素群ともにスポーツ飲料の摂取が 多かったにもかかわらず,運動習慣のある者は,非要素群では要素群に比べて少なく,要

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素群の方が目的をもって摂取している者が多いとはいえ,4割強は運動習慣のない者であ ることから,必ずしもスポーツ時に摂取しているわけではないことがうかがえる。今後, 摂取の継続期間や摂取量,具体的な使用場面などについて調査することも課題であるが, スポーツ目的であろうとなかろうとその栄養補給の基本は食事であり,栄養補助食品に対 する知識を含めた食事の大切さを学ぶ機会が必要であると考えられる。 食品摂取の状況では,牛乳・乳製品,豆・豆製品では毎日摂取する者が非要素群よりも 要素群で有意に多かった。緑黄色・淡色野菜について,非要素群では週3日以上の者が約 6割であったのに対して,要素群では7割前後と有意に多かった。果物でも,週3日以上 の者が非要素群は2割強であるのに比べて,要素群では4割弱と有意に多かった。調理済 み食品については,週3日以上の者が非要素群では5割弱と多かったが,要素群では4割 弱と両群間に有意な違いがみられた。動物性食品と植物性食品ともに非要素群より要素群 で摂取頻度が有意に多かった。以上のようなことから,非要素群に比べて要素群では,特 に乳類,豆類,野菜類,果物の摂取頻度が高く,要素群では健康のために食事に気をつけ ている者が最も多かったことから,動・植物性食品のどちらも摂取頻度が多く,調理済み 食品の摂取頻度が少ないという望ましい傾向がみられた。 体重と体型への意識,ダイエットへの関心と経験についてはいずれも両群間に有意な差 はみられなかった。非要素群と要素群では性別の人数割合に有意な違いはなかったことか ら,体重や体型認識への関心は性差の影響が大きく,女子においてその意識が強いことが 再確認された。運動については,両群間に有意な差があり,非要素群では運動習慣のある 者が26%であったのに対して,要素群では58%と2倍以上であった。 本研究を通して,健康のために,食事・運動・休養のいずれかに気をつけている者はそ うでない者に比べて,健康食品を現在摂取している者が多く,また食品摂取や運動につい ても気をつけているだけでなく,望ましい行動を実際に行っている者が多いことが示唆さ れた。そして,健康食品の摂取についても,ただ何となく摂取しているのではなく,薬 局・薬店などで購入し,目的をもって摂取している者が多いことがうかがわれた。しかし, 本調査対象者の健康食品の摂取経験者すべてが,目的をもって摂取し,摂取している者は 食生活や運動にも気をつけて望ましい行動をしているわけではない。大学生の要素群では 望ましい行動をしている者が多かったとはいえ,食品摂取頻度についてみると,両群とも 肉類,卵類は週3-6日と答えた者が5割前後と最も多かったが,魚介類では週2日以下 の者が両群とも7割強を占めていた。また,海藻・きのこ類では両群とも週1日未満と答 えた者が最も多く,4割前後であったことなどから考えても決して望ましい食生活である とは言えないのが現状である。 対面式の聞き取り調査を20∼25歳の男女について行い,若者の生活スタイルと食意識を 調査した結果では,家庭外で調理,供される食事(外食全般および調理済み食品,コンビ ニエンスストアなどの中食)に依存する傾向を指す「食の外部化」の高いものは,夜型の 生活,朝食の欠食,過密な生活時間など「生活の乱れ」と結びつきやすい特徴があったと 報告している[15]。ただしこの調査においては半数が就労者であり,長時間労働や,深夜 労働などが朝食欠食の理由である者が17%いたことから,今日の若者は学生も含めて,食 の外部化に依存した就業形態に一定程度就かざるを得ないような状況にいること,それが, 生活スタイルや食意識に影響を及ぼしていることが示唆されたとしている。本調査の学生 においても朝食欠食者は少なくなく,非要素群ではほとんど食べないとする者が2割で, 調理済み食品を週3日以上摂取する者は半数に近いことから,休養やアルバイトに関する,

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生活時間調査を行うことも必要であると考えられた。 また,門田[16]が高校生に対する健康習慣の意識,知識,態度について行った調査では, 食物摂取頻度をみると,魚・肉,淡色野菜,豆腐・豆類,卵の摂取頻度は高く,緑黄色野 菜,果物,牛乳,海藻類の摂取は低かったが,食物摂取得点では,大学生と比べて高かっ たと報告している。大学生は高校卒業後,自律的な食生活が要求される者が多くなるので 高校生の時期に健康的な食生活の指導が必要であると述べている。高校生の健康意識・行 動について,健康の自己評価,睡眠,運動,栄養などからみた健康意識のレベルは高いと は言えず,朝食欠食,夜食摂取,運動不足などの問題もみられたとしている。このことか ら,早期の健康教育が必要であることももちろんであるが,高校から大学へステップアッ プをはかっているはずが,食生活においては,悪化しているということが明らかになって いるのは大きな問題である。 したがって,やはり大学生への食をはじめとした健康教育が急務の課題であることに変 わりはない。本研究から健康のために気をつけていることに関して食事,運動,休養のい ずれかに配慮をしているかどうかの比較では,3要素のいずれかに配慮のある者は,健康 食品の現在摂取者が多く,食品摂取頻度についても望ましい傾向の者や運動習慣のある者 が非要素群より多いことが明らかになった。属性や性に有意差はなく,体型,体重への意 識やダイエットに関しては有意な差がなかったことから,健康に配慮していることがある かどうかという意識の違いが,食生活や健康食品の摂取,運動への違いに影響を及ぼす可 能性が示唆された。食事,運動,休養のいずれかに気をつけている者では,健康食品を現 在摂取している者が多く,食生活,運動も,非要素群に比べて望ましい者が多かったが, この3要素の組み合わせを含めた検討を行っていくことが,より具体的な違いを明らかに し,効果的な教育への一助とする足がかりになるものと思われる。 大学生への食教育を考える際に,もうひとつ忘れてはならないことに消費者教育があげ られる。国民生活センターは市販されているイチョウ葉食品のアレルギー反応などの有害 作用をきたす成分含量を調べたところ,日本の製品の中にはドイツの基準を200倍以上も 上回る商品もあることが判明し,日本では健康食品について安全基準はなく,常に健康障 害の危険性をはらんでいる [17]。徳山[18]は薬物代謝への影響が懸念される食品・サプリ メントにはイチョウ葉,エキナセアなど数種のハーブ類において報告があるとしている。 また,三上ら[19]は2003年にダイエット効果を標ぼうしている中国製の健康食品を個人輸 入し,医薬品成分の添加を調べたところ,依然として国内で未承認の医薬品成分である食 欲抑制剤などの添加されているものが存在し,製品はインターネットにより比較的容易に 入手できたとしている。本調査対象者の大学生においてはスポーツ飲料などの栄養調整食 品の摂取が多いが,イチョウ葉を摂取している者も少数であるがみられ,またダイエット 製品については具体的な商品名では尋ねていないため詳細は不明であるが,ニアウォータ ーやゼリー飲料ではダイエット目的で摂取していた者がいたことから,その他のダイエッ ト製品を摂取していないとは断言できない。このように海外製品でさえ,簡単に入手がで きるようになり,より身近な存在になっている健康食品の安易な摂取は危険を伴うことを どれくらい知っている者がいるだろうか。 独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページでは「健康食品」の安全性・有効性 情報が提供され,このサイトの活用により違法製品の摂取が避けられることが願われてい る。健康食品の摂取者が増えている今日,インターネットでの情報公開によりすぐに新し い情報を得ることができても,利用者が主体的に行動しなければ知り得ないのであれば,

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意味がない。健康食品については,栄養だけでなく消費者教育を含めての対応を考えてい かなければならないことがうかがわれる。年々拡大する健康食品の市場,そして氾濫する 健康情報から正しい情報を取捨選択できる能力を身につけることは大切なことであるが, まず基本である食生活を見直し,具体的に実践できるような生活習慣や食への正しい知識 を身につける機会を作ること,そして健康食品についての知識やその利用についても食教 育の中に取り入れ,現状に即した教育を考えていかなければならないだろう。 いずれにせよ健康食品の摂取経験者は半数を超え,食生活状況では全体的にみて望まし いとは言い難い状況であることが再確認された。意識を高めるためには正しい知識を持つ ことが必要不可欠であり,これから社会人として歩み出す大学生に対して食を含めた健康 教育を行うことが重要である。 謝辞 本調査にご協力いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。 参考文献 [1]堀尾公子,八幡美保他:学生・一般・糖尿病患者の健康食品等の使用状況,園田学園 女子大学論文集,39,77-83(2006) [2]池上幸江:栄養補助食品をどう活用するか−栄養学研究の立場から,臨床栄養,97 (2),146-150(2000) [3]オレンジページムック:元気がでるサプリメントの本,(株)オレンジページ(2000) [4]今井章:きれいと元気に効くサプリメント,旺文社(2000) [5]那須恵子:若年成人を対象とした健康食品利用実態調査,静岡県立大学短期大学部特 別研究報告書,1-10(2003) [6]加藤恵子,三浦英雄,藤田公和:女子短大生(栄養士専攻)の栄養補助食品(サプリ メント)利用と栄養・食物摂取状況について,名古屋文理短期大学紀要,28,31-37 (2004) [7]大島博人:本学学生のサプリメントについて,名古屋女子文化短期大学研究紀要,29, 32-35(2004) [8]齋藤憲:青年期女子のサプリメントの利用実態および食習慣と保健行動,岩手県立大 学盛岡短期大学部研究論集,7,9-14(2005) [9]杉山寿美,岡松久美,廣田彩:女子大学生の食意識とサプリメント利用の関連,広島 文教女子大学紀要,40,93-102(2005) [10]堀尾公子,坪井修平,福山悦子,奥田豊子:男子および女子大学生における食生活と 健康食品利用の比較,大阪教育大学紀要 第Ⅱ部門,56(2),35-47(2008) [11]日本肥満学会肥満症診断基準検討委員会,新しい肥満の判定と肥満症の診断基準,肥 満研究,6,18-28(2000) [12]田中平三:新・健康管理概論,医歯薬出版(2000) [13]日本健康教育学会:健康教育 ヘルスプロモーションの展開,保健同人社(2005) [14]木村典代:スポーツとサプリメント,臨床栄養,108(2),155-160(2006) [15]梶原公子:食の外部化における若者の生活スタイルと食意識に関する調査,日本食生

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活学会誌,17(1),59-67(2006) [16]門田新一郎:高校生の健康習慣に関する意識,知識,態度について−食物摂取頻度調 査との関連−,栄養学雑誌,62(1),9-18(2004) [17]小内亨:健康食品の見分け方−その情報の問題と対処法−,日本補完代替医療学会誌, 2(1),23-36(2005) [18]徳山尚吾:くすりと食品・サプリメントの相互作用,ファルマシア,42(9)(2006) [19]三上栄一,大野勉他:個人輸入したダイエット食品に検出された医薬品成分に関する 検討,医療薬学,31(1),52-57(2005)

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Dietary Supplements Use and the Current Dietary Life of the University Students ―Comparison by Consideration for Health―

HORIO Kimiko* , TSUBOI Shuhei** , FUKUYAMA Etuko*** , OKUDA Toyoko****

* Health Sciences, Graduate School of Education, Osaka Kyoiku University, ** Kurashiki Sakuyo University, *** Kishima Chuouhospital,

**** Life and Environment, Osaka Kyoiku University

To clarify the use of dietary supplements containing non-vitamin, non-mineral supplements and the current dietary life of the university students, a questionnaire survey was conducted between January and April 2004 on 204 male students and 203 female students. About“taking care of health”, those who mentioned items other than the three main elements; namely, diet, exercise, and rest, were classified into a non-element group. Those who replied to any of the three elements were made into an element group. There was no difference in gender between both groups. The survey consisted of self-reported questions pertaining to the body physique, health status, eating habits, supplement use and type, source of information, and reasons for use. In the element group, 75.3% used dietary supplement used at present or in the past, and this was significantly higher than in the non-element group(62.7%). In general, sport drinks(50%), stick food(41%), and nutritional drinks(40%)were the most commonly used items. The intake frequency of food groups was determined, and the scores of intake of animal foods and vegetable foods in the element group were significantly higher than in the non-element group. On the other hand, the score of pre-cooked food in the element group was significantly lower than in the non-element group. This clarified that the use of dietary supplements and dietary life differed according to the consideration for health. These results suggest that there is a need for appropriate health education including dietary supplements to the university students.

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