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標準範囲のBMI でHbA1c 高値の若年女性の生活習慣病リスクに関する検討

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Academic year: 2021

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(1)

(₁₅)₂₄₃ 日本食生活学会誌 第₂₇巻 第 ₄ 号 ₂₄₃︲₂₄₈(₂₀₁₇)

[論  文]

  文]

標準範囲の BMI で HbA1c 高値の若年女性の

生活習慣病リスクに関する検討

宮内眞紀・櫻庭景植・深尾宏祐・鈴木良雄

(順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科)

(平成₂₈年 ₉ 月₁₂日受付,平成₂₉年 ₂ 月 ₈ 日受理)

Association of body type and hemoglobin A₁c levels and risk

of lifestyle-related diseases in young women

Maki Miyauchi, Keishoku Sakuraba, Kosuke Fukao, Yoshio Suzuki

Graduate School of health and Sports Science, Juntendo University,

₁-₁, Hiragagakuendai, Inzai-shi, Chiba, ₂₇₀-₁₆₉₅

〒₂₇₀︲₁₆₉₅ 千葉県印西市平賀学園台

₁︲₁

[Background] Hemoglobin A1c (HbA1c) concentration was high (≥ 5.6%) in 34%

of women aged 20-39 years in Choshi City, Chiba prefecture who underwent medical checks during June and July 2014. The ratio was higher than that of women aged 40-44 years in all of Chiba prefecture (19%). Among the women with high HbA1c concentrations in Choshi City, 64% had a normal body mass index (BMI) of 18.5-25.0.

[Objective] To determine the risk of lifestyle-related diseases among young women

with high HbA1c levels and a normal BMI in Choshi City.

[Methods] Women with a BMI within the normal range who underwent medical

checks during 2014 were assigned to groups with high (≥ 5.6%; n = 89) and normal (< 5.6%; n= 188) HbA1c concentrations. The outcomes of their medical checks were compared. We also assessed eating habits of women with high HbA1c using a brief-type self-administered diet history questionnaire (BDHQ; n = 24), along with body composition and quantitative calcaneal ultrasound sonometry (n = 14).

[Result] The mean serum LDL-cholesterol concentration was higher (p = 0.034),

whereas hemoglobin concentration and diastolic blood pressure were lower (p < 0.001 and p = 0.007, respectively) in the group with high, compared with normal HbA1c. More items were outside normal ranges in the group with high HbA1c (p < 0.001). The body fat percentage was ≥ 30% in 46% of the participants, which was classified as normal-weight obesity or hidden obesity.

[Conclusion] In this study, the young women with a normal range and high HbA1c

were suggested to have higher risk of lifestyle-related diseases. Almost half of them were classified as having hidden obesity.

(2)

₂₄₄(₁₆)

1 .緒  言

 肥満が糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクを高 めることから,₄₀歳以上を対象とした特定健診では,腹 囲が男性₈₅ cm,女性₉₀ cm 以上で,かつ空腹時血糖 ₁₁₀ mg/dL 以上またはヘモグロビン A₁c(HbA₁c)₆.₀% 以 上, 中 性 脂 肪 ₁₅₀ mg/dL 以 上 ま た は high-density lipoprotein(HDL)コレステロール ₄₀ mg/dL 未満,収 縮期血圧₁₃₀ mmHg 以上または拡張期血圧₈₅ mmHg 以 上の ₃ つのうち ₂ つ以上が基準値を超える場合をメタボ リックシンドロームとしている₁ )。なお,特定保健指導 の対象となるのは,血糖の検査のみ基準が異なり,空腹 時血糖₁₀₀ mg/dL 以上または HbA₁c ₅.₆%以上である₁ )  ところで,銚子市では₂₀~₃₀歳代を対象に「若い世代 集団健康診査」を実施している。₂₀₁₄年 ₆ ~ ₇ 月に実施 した₂₀~₃₀歳代女性の健診結果では,受診者₄₁₄名中, HbA₁c が₅.₆%以上の者(HbA₁c 高値群)が₁₃₉名(₃₄%) であった。この割合は,₂₀₁₃年の千葉県の特定健診の₄₀ ~₄₄歳女性の HbA₁c 高値群の割合である₁₈.₆%より高 かった₂ )。また,HbA₁c 高値群のうち,₈₉名(₆₄%)は

body mass index (BMI)が₁₈.₅以上,₂₅.₀未満の標準範 囲内(標準 BMI)であった。  特定健診では腹囲が基準値以上であること,つまり肥 満であることを第一の条件としているのに対し,銚子市 の₂₀~₃₀歳代女性は,HbA₁c 高値群の割合が₄₀~₄₄歳 女性の千葉県平均よりも高く,また,HbA₁c 高値群の うち,₆₄%は標準 BMI であった。  標準 BMI の HbA₁c 高値群は,肥満ではないので,特 定健診の基準ではメタボリックシンドロームおよびその 予備軍ではないということになる。しかし,₄₀歳以前に HbA₁c が基準値以上となっているので,生活習慣病の リスクは高いことが予想される。  そこで,銚子市の₂₀~₃₀歳代女性で,標準 BMI・ HbA₁c 高値群の生活習慣病リスクと食生活,身体組成 との関連を検討することを目的として本研究を実施した。

2 .方  法

 本研究は銚子市若い世代集団健康診査を受診した女性 を対象とした横断研究(研究 ₁ )と,標準 BMI かつ HbA₁c 高値群の食生活,身体組成の検討(研究 ₂ )か らなる。 ( 1 )研 究 1  対象は,₂₀₁₄年 ₆ ~ ₇ 月に,銚子市若い世代集団健康 診査を受診した女性のうち,標準 BMI の₂₇₇名である。  本健康診査は銚子市がちば県民保健予防財団に委託し て実施した。診査は原則として,尿検査,身体計測,問 診,血圧測定,医師診察,採血の順に行った。受診者は, 検査前日のアルコール摂取や激しい運動を控えることと した。  尿検査は,健診会場にて尿コップにコップの底から ₁ cm 程度の尿を受診者に採取してもらい,尿自動分析 装置 US︲₁₀₀₀(栄研化学,東京)で尿たんぱくおよび尿 糖を検査した。  身体計測は身長,体重,腹囲を小数点第 ₁ 位まで測定 した。身長および体重は自動測定器 U-Well ₂ (キヤノ ンライフケアソリューションズ,東京)を用いて測定し た。腹囲は立位,軽呼気時において,臍の高さで測定し た。  問診は,事前配布した特定健診の標準的な質問票に準 じた問診票を使用し,未記入箇所は,健診当日,看護師 が聞き取りを行い記入した。  血圧は,自動血圧計 HBP︲₉₀₂₁「健太郎」(オムロンコー リン,東京)を用い看護師が測定した。  医師診察は,医師により視診と聴診を行った。  採血は肘正中皮静脈より行い,赤血球数,ヘモグロビ ン,ヘマトクリット,および血清 HDL コレステロール, low-density lipoprotein (LDL)コレステロール,中性脂肪, glutamic oxaloacetic transaminase (GOT), glutamic pyruvic transaminase (GPT), gamma- glutamyltransferase (γ︲ GTP), HbA₁c, 尿酸をちば県民保健予防財団にて測定し た。  測定に使用した機器,試薬は以下のとおりであった。 赤血球数はシースフロー電気抵抗検出法,ヘモグロビン は SLS ヘモグロビン法,ヘマトクリットは RBC パルス 波高値検出法で多項目自動血球分析装置 XE︲₂₁₀₀L(シ メックス,兵庫)を使用し,XE︲₂₁₀₀L 専用試薬(シメッ クス,兵庫)を用いて測定した。HDL コレステロール はコレステスト N HDL(積水メディカル,東京)を用 い直接法(酵素法)で,LDL コレステロールはコレス テスト LDL(積水メディカル,東京)を用い酵素的測 定法で,中性脂肪はピュアオート S TG︲N(積水メディ カル,東京)を用い酵素法(遊離グリセロール消去法) で測定した。GOT はシカリキッド AST(関東化学,東京), GPTはシカリキッド ALT(関東化学,東京),γ︲GTP はシカリキッドγ︲GT J(関東化学,東京)を用いて JSCC標準化対応法で測定した。HDL コレステロール, LDLコレステロール,中性脂肪,GOT,GPT,γ︲GTP の測定には₇₇₀₀型(日立ハイテクノロジーズ,茨城)を 使用した。HbA₁c はアダムス A ₁ c(エーワンシー)HA︲ ₈₁₈₁(アークレイファクトリー,滋賀)を使用し, HPLC法で HA︲₈₁₈₁専用試薬(積水メディカル,東京) を用いて測定した。尿酸は₇₇₀₀型(日立ハイテクノロジー ズ,茨城)を使用し,酵素法(ウリカーゼ・ペルオキシ ダーゼ法)でピュアオート S UA(積水メディカル,東京) を用いて測定した。  被験者を HbA₁c 高値群(HbA₁c≧₅.₆%)と正常群 (HbA₁c<₅.₆%)に分け,健診項目の値の違いおよび基 準値外の数(異常所見数)を比較した。なお,検査項目 のうち,HDL コレステロール,LDL コレステロール,

(3)

(₁₇)₂₄₅ 中性脂肪,GOT,GPT,γ︲GTP,HbA₁c,ヘモグロビン, 尿酸,収縮期血圧,拡張期血圧で基準値外の項目数を異 常所見数とした。異常値の評価は特定健診の基準に準じ て行った₁ )。さらにヘモグロビンは,₁₂.₀ g/dL 以下の ヘモグロビン低値群を ₁ ,₁₂.₁ g/dL 以上のヘモグロビ ン正常群を ₂ と点数化し,HbA₁c 高値群と正常群のヘ モグロビンの異常所見を比較した。 ( 2 )研 究 2  研究 ₁ の対象者(₂₇₇名)のうち,BMI が₂₅未満の HbA₁c 高値群で,結果報告会または直接面談により結 果を返却した₆₂名を対象とし,₂₀₁₅年 ₁ 月に食生活,身 体組成および骨密度を測定した。  対象者は研究の目的,方法等に関する説明を受け,₂₄ 名より書面にて研究への参加同意を得た。ただし₁₀名は 食生活のみの参加であった。  本研究は,順天堂大学大学院倫理委員会にて承認(順 大院ス倫第₂₆︲₁₂₇号)を得て実施した。  食生活は,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を 用いて測定した。BDHQ の回答からの栄養素摂取量の 計算は,DHQ サポートセンター(東京)にて行った。 得られた栄養素摂取量を₁,₀₀₀ kcal あたりの密度法で調 整し,日本人の食事摂取基準(₂₀₁₅年版)の基準と比較 した。推定エネルギー必要量は,基礎代謝基準値と被験 者の体重から算出し,その他の栄養素は,推定エネルギー 必要量₁,₀₀₀ kcal あたりの密度法により調整を行い,こ れを基準値とした。  骨密度測定には,超音波式骨評価装置 AOS︲₁₀₀NW(日 立アロカメディカル,東京)を用い,踵骨部の骨量を測 定することにより行った。本装置は,骨密度を音速,透 過指標,音響的骨評価値で評価する。  体組成測定には,ポータブル体成分分析装置 InBody₄₃₀ (タクミ,愛知)を用い,体脂肪率,骨格筋量等を測定 した。  得られた体組成より,新堀らの先行研究₃ )に準じて体 脂肪率₃₀%以上(隠れ肥満群)と₃₀%未満(標準群)に 分け,両群間で食生活,骨密度の差を検討した。 ( 3 )統計解析  研究 ₁ では,平均値の差の検定は Student の t 検定で 行い,異常所見数とヘモグロビンの異常所見点数の平均 値の差は Man-Whitney の U 検定で検定した。   研 究 ₂ で は, 栄 養 素 摂 取 量 の 平 均 値 の 差 は Man-Whitneyの U 検定で,骨密度の平均値の差は Student の t検定で検定した。

 Mann-Whitney の U 検定には SPSS ver.₁₉(日本 IBM, 東京)を使用した。有意水準は p<₀.₀₅とした。

4 .結  果

( 1 )研 究 1 1 )HbA1c  銚子市若い世代集団健康診査を受診した標準 BMI の 女性₂₇₇名のうち,HbA₁c 高値群は₈₉名(₃₂%),正常 群は₁₈₈名(₆₈%)であった(図 ₁ )。  HbA₁c は高値群₅.₇±₀.₁₁%,正常群₅.₃±₀.₁₅%で あった(p<₀.₀₀₁)。 2 )HbA1c 高値群と正常群の比較  HbA₁c 高値群と正常群間で,年齢,身長,体重, BMI,腹囲に差はみられなかった(表 ₁ )。  LDL コ レ ス テ ロ ー ル は HbA₁c 高 値 群 ₁₀₄.₂± ₂₇.₀₃ mg/dL,正常群₉₇.₅±₂₃.₂₈ mg/dL で高値群が有 意に高かった(p=₀.₀₃₄)。ヘモグロビンは HbA₁c 高値 群₁₂.₃±₁.₄₁ g/dL,正常群₁₃.₀±₀.₉₆ g/dL で高値群 が有意に低く(p<₀.₀₀₁),HbA₁c 高値群の異常所見点 数は₁.₆₅±₀.₄₈,正常群₁.₈₇±₀.₃₃で,HbA₁c 高値群 は健診の基準(₁₂.₀ g/dL)以下の者が有意に多かった(p <₀.₀₀₁)。 拡 張 期 血 圧 は HbA₁c 高 値 群 ₅₈.₅± ₇.₉₃ mmHg,正常群₆₁.₉±₁₀.₄₉ mmHg で高値群が有 意に低かった(p=₀.₀₀₇)。ヘマトクリットは HbA₁c 高 値群₃₇.₂±₃.₂₀%,正常群₃₈.₇±₂.₄₁%で高値群が有意 に低かった(p<₀.₀₀₁)。HDL コレステロール,中性脂 肪,GOT,GPT,赤血球数,尿酸,収縮期血圧は両群 間で有意な差はみられなかった(表 ₁ )。また HbA₁c 高 値群の異常所見数は HbA₁c の分を除いても平均₀.₇₈で あり正常群₀.₄₅より多かった(表 ₂ )。 ( 2 )研 究 2 1 )標準 BMI で HbA1c 高値群の食生活  ₂₀₁₄年 ₆ ~ ₇ 月の銚子市若い世代集団健康診査受診時 に BMI が₂₅未満で HbA₁c 高値群であった₂₄名の食生活 を,₂₀₁₅年 ₁ 月に BDHQ により評価した結果,₂₂名 (₉₁.₇%)が食物繊維の目標量およびビタミン B₁の推奨 量を満たしておらず,全員に食塩の摂取過剰がみられた HbA1c高値群 HbA1c低値群 89名 32% 188名 68% 図 1  銚子市若い世代集団健康診査を受診した標準 BMI の女 性277名の HbA1c

(4)

₂₄₆(₁₈) 表 1  健診データの平均値の比較 HbA₁c 高値群 (n=₈₉) HbA₁c 正常群 (n=₁₈₈) p(n=₂₇₇) 単位 基準値 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 HbA₁c % ₅.₅以下 ₅.₇ ₀.₁₁ ₅.₃ ₀.₁₅ <₀.₀₁ * 年齢 歳 ₃₃.₇ ₃.₉₅ ₃₃.₁ ₄.₄₅ ₀.₂₄₅ 身長 cm ₁₅₉.₁ ₅.₈₈ ₁₅₈.₇ ₅.₁₅ ₀.₇₆₆ 体重 kg ₅₃.₅ ₅.₇₁ ₅₃.₀ ₅.₈₀ ₀.₅₃₅ BMI ₁₈.₅以上₂₅未満 ₂₁.₁ ₁.₉₈ ₂₁.₀ ₁.₇₄ ₀.₈₂₅ 腹囲 cm ₉₀未満 ₇₆.₆ ₇.₀₆ ₇₆.₆ ₅.₅₄ ₀.₉₈₄ HDL︲C mg/dL ₄₀以上 ₆₁.₅ ₁₁.₀₈ ₆₂.₄ ₁₂.₁₈ ₀.₅₇₇ LDL︲C mg/dL ₁₁₉以下 ₁₀₄.₂ ₂₇.₀₃ ₉₇.₅ ₂₃.₂₈ ₀.₀₃₄ * 中性脂肪 mg/dL ₁₄₉以下 ₈₀.₂ ₅₆.₇₉ ₇₄.₇ ₄₈.₆₂ ₀.₃₉₉ GOT mU/mL ₃₀以下 ₁₆.₃ ₃.₁₉ ₁₆.₉ ₃.₅₅ ₀.₂₃₆ GPT mU/mL ₃₀以下 ₁₃.₄ ₄.₆₆ ₁₃.₀ ₃.₉₀ ₀.₅₁₈ γ︲GTP mU/mL ₅₀以下 ₁₄.₂ ₆.₇₈ ₁₄.₃ ₆.₃₀ ₀.₉₁₀ 赤血球数 ×₁₀₄/μL ₄₃₈.₉ ₂₈.₄₂ ₄₃₉.₉ ₃₁.₇₀ ₀.₉₆₂ ヘモグロビン g/dL ₁₂.₁以上 ₁₂.₃ ₁.₄₁ ₁₃.₀ ₀.₉₆ <₀.₀₁ * ヘマトクリット % ₃₇.₂ ₃.₂₀ ₃₈.₇ ₂.₄₁ <₀.₀₁ * 尿酸 mg/dL ₁.₅以上₇.₀以下 ₄.₂ ₀.₇₄ ₄.₁ ₀.₉₃ ₀.₆₈₀ 収縮期血圧 mmHg ₁₂₉以下 ₁₀₆.₀ ₁₁.₀₅ ₁₀₈.₄ ₁₄.₉₇ ₀.₁₆₆ 拡張期血圧 mmHg ₈₄以下 ₅₈.₅ ₇.₉₃ ₆₁.₉ ₁₀.₄₉ ₀.₀₀₇ * *:p<₀.₀₅,**:p<₀.₀₁ 表 2  HbA1c 分を除いた異常所見数の比較 所見数   ₀  ₁ ₂ ₃ ₄ 平均値 p 高値群  ₃₆ ₄₃ ₆ ₂ ₂ ₀.₇₈ <₀.₀₀₁ 正常群 ₁₂₁ ₅₃ ₁₀ ₄ ₀ ₀.₄₅ 図 2  標準 BMI で HbA1c 高値群の BDHQ の結果 22名,91.7% 2 名,8.3% 2 名,8.3% 22名,91.7% 24名,100% 食塩 ビタミンB1 食物繊維 目標量または推奨量に満たない 目標量または推奨量を満たす 過剰

(5)

(₁₉)₂₄₇ (図 ₂ )。 2 )隠れ肥満群と標準群の比較  体組成・骨密度測定に参加した₁₄名のうち,測定時に 体組成で BMI が₂₅以上となっていた ₁ 名を除く₁₃名中, 隠れ肥満群は ₆ 名(₄₆%),標準群は ₇ 名(₅₄%)であっ た(図 ₃ )。  骨密度は両群間で音速,透過指標,音響的骨評価値の すべてで平均値に有意な差はみられなかった(表 ₃ )。  また,栄養素摂取量も比較したが,骨密度同様,いず れの栄養素でも両群間に有意な差は認められなかった。

5 .考  察

 本研究では,銚子市の標準 BMI の₂₀歳代,₃₀歳代女 性のおよそ ₃ 名に ₁ 名が HbA₁c ₅.₆%以上であり,これ ら標準 BMI・HbA₁c 高値群は正常群より LDL コレステ ロールが高く,異常所見数が多く,生活習慣病リスクが 高いことを見出した。さらに,追加調査に応じた標準 BMI・HbA₁c 高値群の₄₆%は体脂肪率が₃₀%以上の隠れ 肥満であった。  東アジア人は BMI が低く,若年でも ₂ 型糖尿病の発 生が多いとの報告がある₄ )ので,本研究の対象となった 銚子市の若年女性も糖尿病発生のリスクが高い状態であ ると考えられる。ただし,銚子市の若年糖尿病女性患者 の BMI については知見がないので,今後調査が必要で ある。  HbA₁c 高値群は正常群よりヘモグロビン濃度が有意 に低く,ヘモグロビンが₁₂.₀ g/dL 以下の低値の者が有 意に多かった。貧血が HbA₁c の値に影響するとの報告 がある₅ ︲ ₈ )ことから,今後,血清鉄,フェリチン等の鉄 の栄養状態も併せて検討する必要があると考えられる。  食生活を調査した HbA₁c 高値群₂₄名中,₉₁.₇%は食 物繊維が目標量を満たしていなかった。食物繊維が血糖 値の上昇を抑制するという報告₉ )や,穀物の食物繊維摂 取量と糖尿病発症に負の関連があるとの報告がある₁₀,₁₁) ことから,HbA₁c 高値の原因の一つに食物繊維摂取不 足が考えられる。HbA₁c は過去 ₃ か月間の血糖値を反 映するとされている₁₂)が,頻繁な血糖値の変動が動脈硬 化に寄与するとの報告もある₁₃)。本研究では血糖値は測 定していないので,銚子市の若年女性の食物繊維と血糖 値,さらには動脈硬化との関連も今後の検討課題である。  標準 BMI・HbA₁c 高値群の₄₆%は体脂肪率が₃₀%以上 の隠れ肥満であった。平成₂₅年国民健康・栄養調査によ ると,₂₀~₃₀歳代では,食事バランスが取れていない, 運動習慣が少ないなどの課題が挙げられている₁₄)ことや 若年女性の多くにやせ願望がある₁₅)こと,「隠れ肥満」は, 不適切な食習慣による栄養摂取量の不足と,運動不足に よる筋肉量の減少と体脂肪の増加に起因すると考えられ ている₃ )。また銚子市は,公共交通機関が乏しいため, 車を利用する者が多い。これにより,身体活動量が少な く,隠れ肥満が発生し,糖代謝に影響を及ぼしている可 能性も考えられる。  本研究における標準 BMI・HbA₁c 高値群の食生活,体 組成調査は,対象者が少なかったため,結果に偏りが生 じている可能性が否定できない。一方,耐糖能を評価す るためには,HbA₁c のみでなく,空腹時血糖,インス リン抵抗性等の詳細な検査をすることが望ましい。また, HbA₁c 高値の原因を明らかにするためには,身体活動 量などの生活習慣も詳細に調査する必要がある。  そこで,さらに例数を増やすとともに,背景因子など の詳細な検討を行い,銚子市の若年女性に標準 BMI・ HbA₁c 高値者の多い原因を明らかにすることが課題で ある。 表 3  骨密度と隠れ肥満群と標準群の比較 平均値 SD min max p 音速(m/s) 標準 ₁,₅₈₈ ₂₅.₆ ₁,₅₄₇ ₁,₆₁₆ ₀.₂₃₉ 隠れ肥満 ₁,₅₇₄ ₁₁.₇ ₁,₅₆₀ ₁,₅₈₉ 透過指標 標準 ₁.₀₈₄ ₀.₀₈₅ ₀.₉₇₂ ₁.₂₀₉ ₀.₇₂₆ 隠れ肥満 ₁.₀₇₁ ₀.₀₄ ₀.₉₉₇ ₁.₁₁₅ 音響的骨評価値 標準 ₂.₇₄ ₀.₂₉ ₂.₃₂₇ ₃.₁₅₁ ₀.₅₁₂ 隠れ肥満 ₂.₆₅ ₀.₁₃ ₂.₄₂₆ ₂.₇₆₄ 体脂肪率30%未満 体脂肪率30%以上 6 名 46% 7 名 54% 図 3  隠れ肥満群と標準群の体脂肪率

(6)

₂₄₈(₂₀)

謝  辞

 本研究は,日本食生活学会第₅₀回大会(₂₀₁₅年 ₅ 月, 東京)で発表いたしました。本研究実施にあたり,ご協 力いただきました銚子市民の皆様ならびに,銚子市健康 づくり課職員の皆様に感謝申し上げます。 文  献 ₁ ) 厚生労働省:標準的な健診・保健指導プログラム【改訂 版】(₂₀₁₃) ₂ ) 千葉県:平成₂₅年度特定健診・特定保健指導に係るデー タ収集,評価・分析事業集計結果(速報)(₂₀₁₅) ₃ ) 新堀多賀子ほか:人間生活文化研究,23,₁₄₇︲₁₅₁(₂₀₁₃) ₄ ) Ma RC, et al.: Ann N.Y. Acad. Sci, 1281, ₆₄-₉₁(₂₀₁₃) ₅ ) 清野裕他:糖尿病,55,₄₈₅︲₅₀₄(₂₀₁₂)

₆ ) Nitin Sinha et al.: Ann Lab Med, 32, ₁₇-₂₂(₂₀₁₂) ₇ ) Ford ES et al.: J Diabetes, 3, ₆₇-₇₃(₂₀₁₁) ₈ ) Coban E et al.: Acta Haematol, 111, ₁₂₆-₈(₂₀₀₄) ₉ ) 海老原清:日本栄養・食糧学会誌,61, ₃ ︲ ₉ (₂₀₀₈) ₁₀) Schulze MB et al.: Am J Clin Nutr, 80, ₃₄₈-₅₆(₂₀₀₄) ₁₁) Schulze MB et al.: Arch Intern Med, 167, ₉₅₆-₆₅(₂₀₀₇) ₁₂) Makris K et al.: J Diabetes Sci Technol, 5, ₁₅₇₂-₁₅₈₃(₂₀₁₁) ₁₃) Nakajima K et al.: Int J Endocrinol, 2015, ₁-₉(₂₀₁₅) ₁₄) 厚生労働省:平成₂₅年国民健康・栄養調査結果の概要 ₁₅) 浦田秀子:学校保健研究,1423,₁₃₉︲₁₄₈(₂₀₀₁)  

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