ストックボイス 『バロンズ拾い読み』2016 年 11 月 14 日号 2016 年 11 月 15 日(火)午後 10 時 13 分ごろから(スタジオ/電話) エグゼトラスト株式会社 『バロンズ拾い読み』編集人 川田重信 原稿要旨
6. UP AND DOWN WALL STREET トランプ大統領の誕生で乱高下した米国株【コラム】
勝ち組となったのはトランプ政権の経済刺激策の恩恵を受ける立場にある産業銘柄 村田 先週水曜日にトランプ新大統領の登場で、相場は活況を呈し特にダウは連日史上最高値を 更新しています。 川田 前回ここで、「選挙前の3 カ月間に株価が上昇した場合は政権与党の候補が勝つ、つまり クリントン候補が勝利する。一方で株価が下落した場合は野党候補、今回はトランプ候補 が勝利。S&P500 種指数は過去 22 回の大統領選のうち 19 回は選挙結果を正確に予想した と言えよう」 →これが当たってしまった。
しかしトランプ氏が大統領に当選したら相場は暴落、急落すると思っていた人が多かった のに実際には急騰を続けている。結局ロングポジションを持っていた人は何もしかくてOK だった。改めて相場の難しさを実感。 村田 改めて、今回のトランプ新大統領の勝因はどんなところ? 川田 選挙関連:トランプ支持者 白人下層中産階級に加え、富裕層の中にも少なからずトランプ支持者??クリントンが掲 げる、富裕層への増税で中間層の厚みを増すという選挙公約には内心快く思ってない人が いる。米国は建国の理念や人々の団結、結びつきの最大の接着剤とでもいうべき求心力は やはり強くて豊かな社会、つまり経済力、これに尽きる。それをトランプがうまく民意と して引き出した。
そして「It’s the economy, stupid=経済こそが大事なんだよ、わかっちゃないね」とい う言葉も思い出しました。村田さん聞いたことある?
村田 XXXX
1992 年の大統領選挙で使われた言い回し。冷戦の終結や湾岸戦争(外交政策)で大きな成 果をもたらしたブッシュに勝つことは難しい。ただし景気後退にかかわらず経済対策を怠 ったブッシュより、クリントンのほうがよい選択肢であるというイメージ。 今回もクリントン候補のメッセージは弱者にやさしく公平、公正、そして正義感あふれて いた。しかし彼女の唱える主義、主張では救われないどころか、むしろ埋もれたままの人 たちがトランプサポーターの低所得者層そして教育水準が低い白人。さらに富裕層、さら に産業界でも規則だらけで高い税率のビジネス環境には不満を感じていたか。そのマグマ は一挙にトランプ票に流れたのか。 村田 しかし、事前予想とは異なり、相場は急騰した。 川田 先週 NY ダウは 5.4%上昇して 1 万 8847 ドル 66 セントと史上最高値を更新、そして昨日も 小幅の上げです。週間での上昇率は 2011 年 12 月(2011 年 25 日~12 月 2 日=+7.0%)以来。 (これまでの高値は 8 月 15 日の 18636 ドル、昨日 11 月 14 日は 18847 ドル) S&P500 指数は 3.8%高の 2164.45、この上昇率も 2013 年 9 月以来です。昨日はマイナスで すがほぼ変わらず。小型株のラッセル 2000 指数は 10.2%の大幅高となり、1282.38 で週末 を迎、昨日も上伸した。 調子が良くないのはナスダック総合指数でもっとダメなのがナスダック 100。
村田 先ほどのナスダック総合銘柄の不調で特に FANG、(フェイスブック、アマゾン、ネットフリ ックス(NFLX)、グーグル)「FANG(牙)」の軟調が目立つが。 川田 6 番のコラムの記事の最後でこのことに言及していた。実際に先週水曜日以降で各銘柄 10% 内外下げて昨日月曜日も続落している。主要指数の中でナスダック 100 は選挙前より下が っている(昨日月曜日 4702、先週火曜日 4804)。これはトランプ新大統領と西海岸シリコ ンバレーの米国で一番価値のあるハイテク企業との折り合いの悪さを物語っている。
村田
企業業績 米主要 500 社第 3 四半期、4.1%増益の見通し=トムソン・ロイター S&P総合500種指数採用企業の2016年第3・四半期決算は、前年同期比4.1% の増益見通し。エネルギーセクターを除くと、増加率は7.7%。 これまでに500社中455社が第3・四半期決算を発表。このうち、利益がアナリスト 予想を上回った企業の割合は71.0%となり、長期平均の64%、過去4四半期の平均 の70%を上回った。 売上高がアナリスト予想を上回った企業の比率は54%。長期平均の59%を下回ったが、 過去4四半期平均の49%は上回った。 11月14日からの週は20社が第3・四半期決算を発表する予定。 11 月 14 日引け後時点
村田
他にも面白いデータがあると聞いたが? 川田
AAII は木曜日から翌週水曜日までの期間で毎週調査を実施している。最新調査では 5 分の 4 が大統領選の投票日前に回答。
3. Trump Win Creates Winners, Losers 勝ち組と負け組 【個別銘柄動向】
ドナルド・トランプ氏の勝利で上昇した銘柄と下落した銘柄 村田 ところで今回の急騰場面で目立った業種、銘柄を分析した記事があるそうだが? 川田 今週の『バロンズ拾い読み』はトランプ一色だった。 勝ち組銘柄 銀行、資産運用会社、製薬会社、バイオ医薬品会社、民間刑務所、大手マネージドケア企 業、鉄鋼会社、独立系石油精製会社、パイプライン運営会社など、広範囲に及ぶ。 負け組 メディケイド(低所得者医療保険制度)・マネージドケア専門企業やハイテク、さらには、
電力、通信および公益といった金利敏感業種が含まれている。 公益セクターが 1 週間で 4%下落したように、金利敏感株の売りは金利上昇を反映してい る。10 年債利回りは、インフレ的な財政政策や一段と健全な経済という予想を背景に、0.4% ポイント上昇して2.12%となった。 ■ 税率引き下げ、現金の本国還流関連、貿易政策 海外に保有されている 2 兆ドルの現金の本国還流に対する税率引き下げは、ハイテク大手 のアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOGL)などに恩 恵をもたらす可能性があるが、減税の恩恵は比較的小さい見込みだ。 ■ 金融 金融銘柄の急上昇には疑問もある。トランプ氏は、ドッド・フランク法の廃止簡単ではな い。 JP モルガン・チェース(JPM)の株価は 76 ドルで、2016 年予想 PER は 13 倍だが、先 週の13%上昇を受けて反落する可能性がある。トランプ氏が同行のジェイミー・ダイモン 最高経営責任者(CEO)を財務長官に指名するリスク 資産運用会社 退職者向け口座における受託者責任の廃止または緩和などに対する期待から上昇した。
社はブローカー経由で販売されるファンドが多く、受託者責任が緩和されれば恩恵を受け る可能性がある。 ■ 資本財 インフラ投資の潜在的な勝ち組には、建設資材メーカーのバルカン・マテリアルズ(VMC) とマーチン・マリエッタ・マテリアルズ(MLM)がある。ただし、株価は利益の高成長を 織り込んでおり、バルカン・マテリアルズの 2016 年予想 PER は 43 倍、マーチン・マリ エッタ・マテリアルズは34 倍となっている。 鉄鋼メーカーの US スチール(X)とニューコア(NUE)の株価も、経済成長率上昇と安 価な輸入品に対する保護の期待で大幅に上昇した。 ■ 負け組 金利敏感株の中では、通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の株価は、年 初来の上昇分を吐き出した。
不動産投資信託(REIT)の中では、バンガード REIT ETF(VNQ)は横ばい
医療保険制度改革の終了で、診療費を払えない保険未加入の患者が増えるのではないかと
の懸念によって、病院経営大手のHCA ホールディングス(HCA)やテネット・ヘルスケ
JPMorgan Chase & Co. (JPM) BlackRock Inc. (BLK) Franklin Resources Inc. (BEN)
Vulcan Materials Co. (VMC) Martin Marietta Materials Inc. (MLM)
Verizon Communications Inc. (VZ)
チャートは3 年
2. Bond Yields Could Hit 6% in Five Years 債券利回りは 5 年後 6%も【債券市場見通し】
トランプ氏の勝利を予想していた債券のスペシャリストが今後の利回り動向を予想 村田 直近利回りが急上昇している10 年国債だが、これについての分析もあるのか? 川田 2 番に世界的に著名な債券投資家であるジェフリー・ガンドラック氏の記事があった。彼は ずいぶん前からトランプ候補の当選を唱えていた。 このガンドラック氏が予想しているのが、債券利回りの上昇。10 年物米国債の利回りは、 直近2.15%だが、これが今後 4、5 年の間に 6%まで上がる可能性がある。これは財政赤字 が拡大して、インフレ率が上昇するから。
すると、債券市場では何に投資すべきか。 川田 彼はインフレ指数連動国債(TIPS)を買っているようだ。この債券は TIPS と呼ばれ物価 が上昇すると元本も増える仕組み。最近少し値上がりしたがまだ通常の国債に比べると割 安だという。 彼はビルグロスの後の新債券帝王の異名をとる。メディアではBarron's 含め露出度が高い 人。ただし私の知る限り、株も債券も超弱気でベストなポートフォリオはキャッシュだと いうこと。ブレグジットでは外したが、今回のトランプ新大統領は当った。彼のコメント は極端と映るときがある。長年見ていると株式市場の弱気にはずっと外れている、ただし これはビルグロス、さらにはグローバルマクロのズラウフ、ビル・ロジャーズもしかり。 村田 直近トランプ新大統領の組閣に関するニュースがどんどん出てきます。短期的にはこうい うニュースで値動きの荒い相場が続くのでしょうか?しかしいずれにしてもダウが新値更 新している事実はしっかり受け止めたいですね。
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チャートは3 年
By LAUREN R. RUBLIN (Source: Dow Jones)