論文特集 「
最新の化学分離法」
(日 本 化 学 会 誌,1986,(7),P・987∼992) ◎1986TheChemicalSocietyofJapanア ミ ノ 酸 の 銅 電 極 に よ る 電 気 化 学 検 出
高 速 液 体 ク ロ マ ト グ ラ フ ィー
(1985年10月24日 受 理)市 村 彰 男*・ 中 塚
忠 ・小 倉
薫 ・北 川 豊 吉
ア ミノ酸 の 液 体 ク ロマ トグ ラ フ ィー の 直 接 的 な 検 出 法 と して,チ
ャ ネ ル フ ロ ー銅 電 極 で の ア ミ ノ酸 に
よ る陽 極 溶 出 電 流 を 測 定 す る ア ンペ ロ メ ト リー に よ る電 気 化 学 的 検 出 法 に つ い て 検 討 し,そ
の 有 用 性 に
つ い て 考 察 した 。
銅 電 極 の 電 位 を-20mV対
銀 ・塩 化 銀 電 極 に 設 定 す る こ と に よ り,シ
ス テ イ ンを 除 くす べ て の 必 須
ア ミノ酸 に 対 して 正 の 応 答 電 流 が 観 測 さ れ た 。 こ の 応 答 電 流 値 は ア ミ ノ酸 の 種 類 に 依 存 し,ア
ミ ノ酸 の
ア ミノ基 の 酸 解 離 定 数 と関 係 づ け られ,応
答 電 流 を 与 え る電 極 反 応 は,電
極 の 酸 化 溶 出 に よ り生 成 した
銅(II)イ オ ン と ア ミノ酸 との 錯 形 成 反 応 に 律 速 され て い る こ と が わ か っ た 。
応 答 電 流 に お よぼ す 種 々 の パ ラ メ ー タ ー,と
くに 検 出 セ ル の チ ャネ ル の 構 造 お よ び 検 出 セ ル 温 度 の 影
響 を 検 討 し,ア
ミノ酸 の 定 量 の 最 適 条 件 を 見 つ け た 。 こ こ で 用 い た1-ヘ
プ タ ン ス ル ホ ン酸 を 含 む 移 動
相 ・逆 相 カ ラ ム系 で は す べ て の ア ミ ノ酸 を 分 離 す る こ とは で き な い が,そ
れ ぞ れ の ア ミ ノ酸 に 対 して3
ケ タ以 上 の 広 い 検 量 範 囲 を も つ 検 量 線 が 得 られ た 。 検 出 限 界(S/N比=2)は,ヒ
ス チ ジ ンで は20pmol,
プ ロ リ ンで は2nmol,そ
の 他 の ア ミノ酸 で は100∼400pmolで
あ った 。
壌 緒 言 現 在,高 速 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィー(HPLC)の 検 出 器 と して は 種 々 の も の が 用 い られ て い る が,電 気 化 学 的 な 検 出法,と く に ア ンペ ロ メ トリー に よ る方 法 は そ の特 異 性,高 感 度 性 お よび 広 い 検 量 範 囲 を も っ て い る な どの ゆ え に 広 く用 い られ る よ うに な っ て き た 鋤 ◎ しか しな が ら興 味 あ る有 機 化 合 物 の 中 で,電 極 上 で 直 接 酸 化 あ る い は 還 元 され な い も の も 多 い。 チ ロ シ ン な ど を 除 い て ほ とん どの ア ミノ酸 もそ の よ うな 物 質 で あ り,直 接 的 な 電 気 化 学 検 出 法 は 困 難 で あ る。 こ の よ うな 場 合 電 極 活 性 物 質 へ の誘 導 体 化 が 考 え られ,ア ミノ酸 に 対 して は,芳 香 族 ニ トロ化 合 物3》,フ タ ル ァ ル デ ヒ ドお よ び 種 々 の チ オ ー ル との 組 み 合 わ せ 鯛 に よ る プ レ カ ラ ム誘 導 体 化 一HPLC分 離 一ア ンペ ロ メ ト リッ ク検 出 と㌔・う手 法 が大阪 市立大 学理 学部 化学科,558大
阪市 住吉 区杉 本
1) R. E. Shoup, "Recent Reports on Liquid
graphy/Electrochemistry",
Bioanalytical Systems, Inc.,
West Lafayette, IN (1982).
2)
P. T. Kissnger, "Laboratory Techniques in
lytical Chemistry",
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Heineman,
Marcel Dekker, Inc . New York (1984)
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3) W. A. Jacobs, P. T. Kissinger, J. Liq. Chromatogr .,
5, 881(1982).
4) M. H. Joseph, P. Davis, J. Chromatogr ., 277, 125
(1983).
5) L. A. Allison,
G. S. Mayer,
R. E. Shoup,
Anal .
Chem., 56, 1089(1984).
試 み られ て い る ◎ 一 方,ア ミノ酸 の電 気 化 学 的 以 外 の 検 出 法 と し て は,ニ ン ヒ ド リン,フ タ ル ア ル デ ヒ ド,Dansy1chlorideな ど を プ レあ る い は ボ ス トカ ラ ム誘 導 体 化 試 薬 と して 用 い,吸 光 光 度 法 や 蛍 光 光 度 法 に よ り検 出す る 方 法 が 一般 に 用 い られ て い る6}7}。 しか しな が ら上 に 述 ぺ た 電 気 化 学 的 検 出 法 を 含 む い ず れ の検 出 法 も 誘 導 体 化 とい う 操 作 を と も な うた め 定 量 操 作 を 複 雑 化 して い る◎ 最 近 に な っ て,HPLCや フ ロ ー イ ン ジ ェ ク シsuン 法 に お け る ア ミノ酸 の 直 接 的 な 電 気 化 学 検 出 法 が 研 究 さ れ て き た8)'"K}。Ale-xanderらs》 ∼ie}は金 属 銅 電 極 を 用 い て ボ テ ン シ ョメ ト リー に よ っ て ア ミノ酸 を 検 出 して い る が,応 答 電 位 差 とア ミノ酸 濃 度 との 関 係 は一 次 で は な い とい う本 来 の欠 点 が あ る。 ア ンペ ロ メ ト リー に よ る 測 定 法 と して は,ニ ッ ケ ル11>12)や白 金18》電 極 と ア ル カ リ性 の 移 動 相 を 用 い て,表 面 上 で の 酸 化 金 属 電 極 とそ れ に 吸 着 した ア ミ6)
M. W. Dong,
J. L. DiCesare , LC, 1, 222(1983).
7)今 井 一 洋,石 田泰 夫 ,石 渡 昭男,"高 速 液 体 ク ロマ トグ ラ フ分 析",日 本 分 析 化 学 会 関 東 支 部 編 ,産 業 図書(1982) p246.8) P. W. Alexander,
C. Maitra,
Anal . Chem., 53, 1590
(1981).
9) P. W. Alexander, P. R . Haddad, G. K. C. Low, C. Mai.
tra, J. Chromatogr., 209, 29(1981) .
10) P. W. Alexander,
P. R. Haddad , M. Trojanowicz,
Anal. Chim. Acta, 171, 151(1985).
11) B. S. Hui, C. O. Huber , ibid., 134, 211(1982).
12) J. B. Kafil, C. O. Huber, ibid ., 139, 347(1982).
13) J. A. Polta, D. C. Johnson, J. Liq. Chromatogr . 6,
1727(1983).
ノ酸 と の接 触 的 な 酸 化 電 流 を 測 定 す る こ とに よ り ア ミZ酸 を 定 量 す る方 法 が 検 討 され て い る。 ま た 銅(皿)イ オ ン とア ミ ノ酸 の 錯 形 成 反 応 を利 用 した 電 気 化 学 的 検 出 法 に つ い て はか な り以 前 か ら研 究 さ れ ユ4ト16》,とく に 銅 を 作 用 電 極 と して,ク ーPtメ ト リー に よ っ て ア ミ ノ酸 を検 出 す る方 法 覇 は,多 くの利 点 を 有 して い る 。 最 近 に な っ て,同 様 な 考 え 方 か ら銅 電 極 を用 い,ア ミ ノ酸 に よ る銅 の 陽 極 溶 出電 流 の 増 加 を こ測定 しア ンペ ロ メ ト リー に よ っ て ア ミ ノ 酸 を 定 量 す る 検 出法mが 報 告 され て い る 。 著 者 ら は 最 後 の 方 法 が ・ よ り簡 単 で 直 接 的 な ア ミ ノ酸 の 定 量 方 法 で あ る と考 え,電 極 反 応 に お よ ぼす 種 々 の パ ラ メ ー タ ー に つ い て 検 討 した とこ ろ, SIN比 が こ の よ うな パ ラ メー タ ー に 大 き く依 存 す る こ とを 見 い だ した の で,HPLCで の ア ミノ酸 の 定 量 に 関 す る最 適 条 件 を 見 つ け る こ と を検 討 した ◎ 2実 験 2.1装 置 液 体 クnマ トグ ラ フは レオ ダ イ ン7125型 試 料 注 入 装 置(20μZ) 付 柳 本L-5000型 を,ア ン ペ ロ メ ト リー に よ る検 出用 の ボ テ ン シ ssス タ ッ トは 三 電 極 式 柳 本VMD-101型 を 用 い,ク ロマ トグ ラ ム は柳 本R2-201C記 録 計 と柳 本System-1000型 イ ン テ グ レー タ ー に よ っ て 記 録 さ れ た 。 分 析 カ ラ ム は 山 村 化 学YMC-ODS-AM-5μm(4mmi.d.×250mm)を 用 い た ◎検 出 セ ル は薄 層 チ ャ ネル 型 フ ロ ー セ ノレで,市 販 品(柳 本 製)と 同様 な も の を ダ イ フ 質 ン ブ ロ ッ ク に よ り作 製 し,作 用 電 極 は 直 径3mmの 銅 円柱 を ブ ロ ッ クに 埋 め 込 ん だ も め を用 い た 。 参 照 電 極 は 銀 ・塩 化 銀(飽 和 塩 化 カ リ ウ ム)電 極 で,液 絡 部 に 多 孔 性 ガ ラス(Vycor,C◎rhing社 製)を もつ 外 径5mm,内 径4mmの テ フPtン 管 に 入 れ た ◎ こ れ は市 販 の ガ ラ ス管 の参 照 電 極 で は 液 絡 部 の液 抵 抗 が 大 き い こ と, お よび 検 出 セ ル 部 分 か ら の 溶 離 液 の もれ が お こ りや す い た め で あ る◎ 対 極 は 検 出 セ ル の 流 出部 に位 置 させ た ス テ ン レス ス チ ー ル管 (内 径1mm,長 さ50mm)を 用 い た 。 チ ャ ネ ル 部 分 の 高 さ と輻 は テ フ ロ ンス ペ ー サ ー の 厚 さ と切 り込 み 幅 を 変 え る こ とに よ り変 化 させ た ◎ 回 転 円板 電 極(直 径3mm)に よ る 電 気 化 学 測 定 は,日 厚 計 測RRDE--1型 電 極 回 転 装 置 お よ びSC-4型 回 転 制 御 装 置, 柳 本P-1000型 ポ ー ラPtグ ラ フ,理 研 電 子F-43型X-y記 録 計 を 用 い た ◎ 2.2試 薬 該 薬 は と く に記 さ な い か ぎ り特 級 試 薬 を そ の ま ま用 い た ◎ ア ミ ノ酸 は す べ てL一 体 を用 い,以 後 ア ミノ酸 の 名 前 に は これ を 省 略 した 。1一ヘ プ タ ンス ル ホ ン酸 ナ ト リ ウ ム は 東 京 化 成 イオ ンペ ア ー ク ロマ トグ ラ フ ィー用 を そ の ま ま 用 い た ◎ 移 動 相 は0 。1m◎1・ dm鱈3リ ン酸 でpH7に 調 製 した0.1mol・dmth3リ ン酸 …一・・水 素 ニ ナ ト リ ウ ム溶 液 と メ タ ノ ー ル9対1の 溶 液 を,0.2μmの フ ィル タ ー(ToyoTM-4)で 演 過 後 超 音 波 脱 気 して 用 い た ◎ 2.3方 法 銅 電 極 の 表 面 は3μmつ い で0.3μmの 粒 度 の ア ル ミナ(メ ラ ー社)で 研 磨 した の ち所 定 の 電 位 に 設 定 した ◎ 分 離 カ ラ ム か ら検 15)高 田 芳 矩,桑 原 武,武 藤 義 一,分 析 化 学,17,1491 (1968).
16)
Y. Takata,
G. Mu to, Anal.
Chem., 45, 1864(1973).
17)
W. Th. Kok,
U. A. Th. Brinkman,
R. W. Frei,
J.
Chromatogr.,
256, 17(1983).
出 セ ル ま で は,mh内径O.25mmの ス テ ン レス ス チ ー ル 管150cm で 接 続 し,ス テ ン レス ス チ ー ル管 と検 出 セ ル 部 分 をO.1℃ 螺 内 に 設 定 した 空 気 恒 温 槽 に 入 れ た ◎ ア ミノ酸 の 検 出感 度 を求 め る 実 験 で は,分 離 カ ラ ムを 取 り除 い て,フ ロー イ ン ジ ェ ク シ ョ ン法 に よ り 測 定 を 行 な っ た 。 移 動 相 の 流 速 は通 常0.5ml/minを 使 用 した 。 3結 果 と 考 察 銅 電 極 上 で の ア ミノ酸 に よ る陽 極 溶 出 反 応 の 化 学 量 論 式 は 次 式 で 与 え られ る。 Cu(electrode)十2HA壽CuA2十2H÷ 十2e鱗(1) こ こ でHAは ア ミノ酸 を 表 わ す ◎ 式(1)で 生 じ る 酸 化 電 流 を 測 定 す る こ とに よ りア ミノ酸 の定 量 が 可 能 で あ る◎ も し式(1)の 電 極 反 応 が ア ミノ酸 の電 極 へ の対 流 拡 散 が 律 速 す る よ うな可 逆 反 店 で あ れ ば,こ の と き生 じ る限 界 陽 極 溶 出 電 流 は,ア ミノ酸 の濃 度 が 同 じ で あ れ ぽ ア ミ ノ酸 の種 類 に よ らず ほ ぼ 同 じ値(ア ミノ酸 の拡 散 係 数 に 依 存 す る が)に な る◎ しか しな が ら以 下 に述 べ る よ うに 実 際 に は こ の電 流 値 が ア ミノ酸 の 種 類 に 依 存 し,式(1)の 電 極 反 応 は 反 応 律 速 で あ る こ とが わ か っ た の で,こ の 電 極 反 応 と ア ミ ノ酸 の 定 量 条 件 を 関 連 さ せ て検 討 した 。 3・1回 転 銅 円板 電 極 で の 対 流 ボ ル タ ン メ トリー 最 初 に 式(1)の 反 応 が生 じ て い る こ とを 確 認 す る意 味 で,回 転 電 極 で の 対 流 ボ ル タ ン メ ト リー測 定 を 行 な っ た 。 数 種 の ア ミノ酸 の 対 流 ボ ル タ モ グ ラ ムを 図1に 示 す ◎ こ こで の 回 転 数 は3.2で 述 べ るチ ャネ ル フ ロ ー で の 電 極 反 応 挙 動 と の対 応 を 考 え て,両 電 極 で 同 じ拡 散 層 の 厚 み18》∼20》が 得 られ る 回 転 数3600rpmを 選 ん18) A. J. Bard, L. R. Faulkner,
"Electrochemical
ods. Fundamentals and Applications", John Wiley &
Sons Inc. (1980) p.288.
19) H. Matsuda, J. Electroanal.
Chem., 15, 325(1967).
20) J. M. Elbicki,
D. M. Morgan, S. G. Weber, Anal.
だ ◎ ア ミ ノ酸 が 存 在 しな い 場 合(図1の1)-150mVよ り正 の電 位 で 銅 電 極 の 陽 極 溶 出 に よ る 酸 化 電 流 が 見 られ,OmV付 近 ま で 溶 出電 流 は 電 位 と と も に 増 加 す るが,そ れ よ りも 正 の 電 位 で は 溶 出 電 流 の急 な 減 少 が 見 られ る。 これ はOmVよ り も正 の 電 位 で 銅 電 極 の 不 動 態 化 が 生 じ て い る た め で あ る◎ こ の溶 液 に ア ミ ノ酸 が 存 在 す る と,ヒ ス チ ジ ン で は 一300mV,ほ か の ア ミノ酸 で は 一150 mVよ り も正 の電 位 で ア ミノ酸 に よ る銅 の 溶 出 電 流 の 増 加 が 生 じ る ◎ こ の電 流 増 加 は,パ ッ ク グ ラ ウ ン ド電 流 と同 様OmV付 近 ま で増 加 し,そ れ よ り も正 の電 位 で ほ ぼ 一 定 値 を と る よ うに な る ◎ これ ら の挙 動 は,以 前 に 行 なわ れ た 銅 電 極 で の対 流 ボ ル タ ン メ ト リー の 結 果15)21)に,バ ッ ク グ ラ ウ ン ド電 流 がOmVよ りも 正 の電 位 で 減 少 す る とい う点 を 除 け ぽ よ く一 致 して い る。 限 界 電 流 値 は ア ミノ酸 の 種 類 に よ っ て 異 な っ て い る が,い ず れ の 値 もLevich 式18)か ら 計 算 した ア ミノ酸 の 対 流 拡 散 に 基 づ く 限 界 電 流 値 よ り も小 さ い 値 を 示 し,こ の電 極 反 応 が反 応 律 速 で あ る こ と を示 して い る◎ 3.2チ ャネ ル7ロ ー 電 極 で の 対 流 ボJVタ ン メ トリー 後 に 述 べ る 液 体 ク ロ マ トグ ラ フ ィー の溶 離 条 件 下 で,ア ミノ酸 に よ る 銅 電 極 の 溶 出 電 流 の 増 加 分,す な わ ち ク ロマ トグ ラ ム の ピ ー ク に お け る電 流 値 を 電 位 に 対 して プ ロ ジ ト した,い わ ゆ る対 流 ボ ル タ モ グ ラ ム を 図2に 示 した ◎ 回 転 電 極 で の ボ ル タ モ グ ラ ム と 同 様,-150mVよ りも 正 の 電 位 で 酸 化 電 流 の 増 加 が 見 られ る が,ヒ ス チ ジ ンを 除 く ア ミノ酸 に よ る酸 化 電 流 は 一50mVか ら OmVの 範 囲 で一 度 増 加 が ゆ るや か に な った の ち,電 位 が よ り正 に な る につ れ て さ ら に 増 加 す る。 一 方,ヒ ス チ ジ ンに よ る酸 化 電 流 は 一100mV付 近 で 極 大 値 を 示 し,よ り正 の 電 位 で は ゆ るや か
21)
W. Th. Kok, H. B. Hanekamp,
P. Bos, R. W. Frei,
al. Chim.
Acta,
142, 31 (1982) .
に 減 少 す る ◎ 酸 化 電 流 の 大 き さ は,回 転 電 極 で の 結 果 と同 様 ア ミ ノ酸 の 種 類 に よ っ て 異 な り,ヒ ス チ ジ ン の 銅 電 極 で の 反 応 性 が ほ か の ア ミ ノ酸 に く ら べ て大 き い こ とが 理 解 され る 。 い ず れ に し て も 鋼 電 極 が 正 電 位 に 設 定 さ れ るほ ど ア ミ ノ酸 に よ る酸 化 電 流 が 大 き く,ア ミ ノ酸 の 定 量 に は で き る だ け 正 電 位 に 設 定 す る方 が 有 利 で あ る と思 わ れ る が,バ ッ ク グ ラ ウ ン ド電 流 も電 位 が 正 に な る と と もに 増 加 し,そ れ と と も に 検 出 セ ル の 雑 音 電 流 も増 加 す る 傾 向 に あ る。 そ の結 果,S/N比 は 一40mVよ り も正 の電 位 で は ほ ぼ 一 定 値 を 示 す。 さ らに パ ッ ク グ ラ ウ ン ドの 安 定 性 す な わ ち ペ ー ス ラ ィ ン の 安 定 性 はOmVよ り も正 の 電 位 で 急 激 に 悪 くな り1時 間 と と も に 減 少 す る 。 した が っ て チ ャネ ル フ ロ ー電 極 で の ア ミノ酸 の定 量 に 最 適 な 電 位 は 一40mVか らOmVの 範 囲 で あ り,こ の 範 囲 で は長 時 間 安 定 な ベ ー ス ラ イ ン が 得 られ た 。 以 後 の 実 験 で は 設 定 電 位 を 一20mVと し た。 3.3フ ロ ー イ ン ジ ェク シ ョ ン法 に よ る ア ミ ノ 酸 に 対 す る 銅 電 極 上 で の 相 対 感 度 回 転 電 極 お よ び チ ャ ネ ル フ ロ ー 電 極 で の 対 流 ボ ル タ ン メ ト リ ー の 結 果 か ら,ア ミ ノ酸 に よ る銅 電 極 の陽 極 溶 出 電 流 の 増 加 が,ア ミノ酸 の 種 類 に 依 存 し て い る こ とが わ か っ た の で,チ ャ ネ ル フ ロ ー 電 極 で の フ ロー イ ン ジ ェ ク シ ョ ン法 に よ りす べ て の必 須 ア ミノ 酸 の 応 答 電 流 の値 を測 定 した 。 シ ス テ イ ン を 除 くす べ て の ア ミ ノ 酸 は 一20mVの 設 定 電 位 で 正 の 応 答 電 流 を 示 した が,シ ス テ イ ンは 見 か け 上 負 の 応 答 電 流 を 示 した ◎ こ れ は シ ス テ イ ン 自 身 が 電 極 上 で生 成 した 銅(皿)イ オ ン と酸 化 還 元 反 応 を 起 こ し た 結 果 謝 パ ッ ク グ ラ ウ ン ド電 流 で あ る銅 電 極 の 酸 化 が 抑 制 され る た め と 考 え られ る◎ シ ス テ イ ン を 除 くほ か の ア ミ ノ酸 に つ い て,2.5×10-4 mol・dm-3の ア ミ ノ酸 を20μ1注 入 した と き のゼ ー ク電 流 値 を 表 1に 示 す 。 こ れ らの 値 は,同1じ セ ル構 造 の グ ラ シ ー カ ー ボ ン チ ャ ネ ル フ 群 一電 極 で 対 流 拡 散 律 速 な 電 極 反 応 を 示 す と考 え ら れ て い る ドー パ ミ ンの 酸 化 ピー ク電 流 値 に く らべ て か な り小 さ い 。 こ の こ とは 銅 電 極 で の ア ミノ酸 の 電 極 反 応 は 対 流 拡 散 律 速 で は な く, 銅 電 極 の酸 化 溶 出 に よ り生 成 した 銅(皿)イ オ ン と ア ミ ノ酸 と の 錯 形 成 反 応 が 律 速 して い る と 考 え ら れ る◎ 溶 液 内 の研 究23)24}に よ り,銅(■)イ オ γ と ア ミ ノ酸 の 錯 形 成 反 応 速 度 は,銅(皿)イ オ ン お よび ア ミ ノ酸 陰 イ オ ン に そ れ ぞ れ 一 次 で あ り,中 性 の ア ミノ酸 は 銅(皿)イ オ ン と反 応 し な い 。 ま た こ の 反 応 はEigen機 構 で 進 み,二 次 反 応 速 度 定 数 は ア ミノ酸 の 種 類 に ほ と ん ど依 存 しな い と され て い る。 い ま二 次 反 応 の 速 度 定 数 をkmol""i・dm3・sMlと す る と,あ るpHで の 見 か け の二 次 反 応 速 度 定 数k&ppmol-i・dm3・ s顯1は 次 式 で 示 され る◎ k&PP=kKHAノ(KHA十[H+])(2) こ こ でKHAは ア ミノ酸 の ア ミ ノ基 の 酸 解 離 定 数 で あ る 。 注 目 し て い る銅 電 極 上 で の ア ミノ酸 の電 極 反 応 が 銅(]1)イ オ ン と ア ミ ノ 酸 との 錯 形 成 反 応 に 律 速 され て い る な らば ア ミノ酸 に よ る酸 化 ピ ー ク電 流 値 は こ の 反 応 の 反 応 速 度 に 比 例 す る と考 え ら れ る。
22) A. E. Martell, R. M. Smith,
"Critical Stability Cons.
tants", Vol. 1, Plenum Press(1974).
23) A. F. Pearlmutter,
J. Stuehr,
J. Am. Chem . Soc.,
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24) R. F. Pasternack,
E. Gibbs, J. C. Cassatt, J. Phys.
Chem., 73, 3814(1969).
1P=akaPP[Cu2+]C}{A・ ・=ak[Cu2÷]CHA・KHA/(KHA十[H÷])(3) こ こ で α は 比 例 定 数 で 検 出 セ ル の構 造,電 極 電 位 な ど種 々 の パ ラ メ ー タ ー の関 数 で あ るが,一 定 条 件 下 で は定 数 と考 え られ る。 設 定 電 位 一20mVで のパ ッ ク グ ラ ウ ン ド電 流 に約1μAで あ り,電 極 表 面 上 の 銅(皿)イ オ ンの 濃 度 は ア ミノ酸 の そ れ に く らべ て,反 応 す る に 庶 十 分 な濃 度 で あ り,ま た ア ミノ酸 の こ の 検 出 セ ル で の 電 解 効 率 は0.5%以 下 で あ るた め,[Cu2+],Cltaと も一 定 で あ る と見 な され る。 ア ミ ノ酸 に 対 して はpH7で は[H+]》 KHAで あ り,こ の とき 式(3)の ピー ク電 流 値 はK}XAだ け の 関 数 とな る 。 図3に ピ ー ク電 流 の 対 数 値 とPKm22》 の関 係 を 図示 した と ころ,ヒ ス チ ジ ン を除 い て 両 者 の 間 に 良 好 な 直 接 関 係 が 得 られ た 。 盧 線 関 係 か ら の わ ず か の ず れ は二 次 速 度 定 数kの 違 い24)に よ る と思 わ れ る ◎ ヒス チ ジ ン の期 待 さ れ る よ りも 大 き な ピー ク電 流 値 は,ほ か の ア ミ ノ酸 が カ ル ボ キ シ ル 基 と ア ミノ基 に よ る 二 座 配 位 子 で あ る の に 対 し,ヒ ス チ ジ ン で は イ ミダ ゾー ル環 と ア ミノ基 の 両 窒 素 の 配 位 鋤 に 基 づ く た め と思 わ れ る。
25) M. A. Doran, S. Chaberek, A. E. Martell, J. Am.
Chem. Soc., 86, 2129(1964).
3・4チ ャ ネ ル7ロ ー 電 極 の 構 造 今 回 の検 出 法 に よ りア ミノ酸 を 定 量 す る と き に 問 題 とな る の は,雑 音 の 大 き さ で あ る◎ こ こ で 用 い た 高 速 液 体 ク ロマ トグ ラ フ ・検 出器 系 で は,ボ ンプ か らの 脈 流 が 雑 音 の 大 部 分 を 占 め た 。 こ の雑 音 の 大 き さ,す な わ ちs/N比 は 数 種 の ア ミノ酸 に つ い て 検 討 した と ころ,チ ャ ネ ノヒの 高 さ お よび 幅,さ ら に 移 動 相 の メ タ ノ ー ル 含 量 に 依 存 した ◎ 同 じ高 さ お よび 幅 の チ ャ ネ ル を 用 い た 場 合,移 動 相 の メ タ ノー ル 含 量o∼30%の 範 囲 で は,30%の とき が 最 大 のs/N比 を 与 え た が,こ の 移 動 相 の 組 成 で は 後 で 述 べ る ア ミ ノ酸 の ク ロマ トグ ラ フ分 離 に は 適 して い なか っ たd以 後 の 実 験 で はs/N1比 の 大 き さ と ク ロマ トグ ラ フ分 離 との 両 方 を 考 慮 して10%メ タ ノ ー ル 含 量 の移 動 相 を用 い た 。 こ の メ タ ノ ー ル 含 量 で,チ ャ ネ ル 輻 を一 定 に し て 高 さ をO.05,0.1,0.5mmと 変 化 さ せ た と こ ろ,0,1mmの チ ャネ ル 高 さ で最 大 のs/N比 が 得 られ た 。 ま た,チ ャネ ル 高 さ を 一 定 に して チ ャネ ル 幅 を0.5,1、0,2.Ommと 変 化 させ た と こ ろ,チ ャ ネ ル 幅 が 最 小 の0.5mmの も の が 最 大 のSゾN比 を 示 し た ◎ 現 在 の と こ ろ これ らのS/N比 の依 存 性 の 理 由 を 説 明す る こ と は で き な い が,こ の検 出 法 の 最 適 条 件 と して は,移 動 相 の メ タ ノ ー ル 含 量10%で,チ ャ ネ ル 高 さO.1mm,幅O.5mmの フ ロ ー 検 出 セ ル を 用 い れ ば よい こ とが わ か っ た◎ 3・5検 出 セ ル 反 応 の 温 度 依 存 性 銅 電 極 上 で の検 出 反 応 が ア ミ ノ酸 に よ る電 極 へ の対 流 拡 散 に 律 速 され る の で は な く,電 極 の酸 化 溶 出 に よ り生 成 した 銅(皿)イ オ ン とア ミノ酸 と の 錯 形 成 反 応 に 律 速 さ れ る こ とが わ か っ た の で, 検 出電 流 は検 出 セ ル の温 度 に 大 き く依 存 す る こ とが 期 待 さ れ る ◎ 図4に ア ミ ノ酸 に よ る応 答 電 流 値 と 検 出 セ ル の 温 度 とのArrhe-niusプ ロ ッ トを 示 した6研 究 した い ず れ の ア ミ ノ酸 に対 して も 良 好 な 直 線 関 係 が 得 られ,活 性 化 エ ネ ル ギ 琶 と して ヒ ス チ ジ ン に 対 して は30kJ/m◎1,そ の他 の ア ミ ノ酸 に 対 して50∼70kJlmo1 の 値 が 得 られ た ◎ 電 極 反 応 が 対 流 拡 散 律 速 の場 合,限 界 電 流 値 を 表 わ す 式ig)2。)とア ミ ノ酸 の拡 散 係 数 め温 度 依 存 性26)から計 算 された 活 性 化 エ ネ ル ギ ー の 値 は 約15kJ/molで あ る ◎ した が っ て こ の こ とか ら も,銅 電 極 で の ア 寧ノ酸 の 検 出 反 応 は 対 流 拡 散 律 速 で は な く反 応 律 速 で あ る こ とが わ か る ◎ ま た これ ら の値 を25。Cに お け る温 度 係 数 に 換 算 す る と,チ ャネ ル フ 羅 一電 極 で の対 流 拡 散 律 速 な 電 極 反 応 で 得 られ た 値o.7%/deg27)よ り もか な り大 き な値, す な わ ち ヒス チ ジ ン に 対 して4%/deg,そ の他 の ア ミノ酸 に対 し て7∼10%1degの 値 力鴨 られ た 。 こ の こ と は 検 出応 答 電 流 が 検 出 セ ル 温 度 に 敏 感 で あ り,定 量 精 度 を 上 げ る た め に は 検 出 セ ル の 温
度欄 御する必要ヵ
嚇
◎灘 騨 隙 出セル温即 塀 ととも
に増 加 す るが35℃ 以 半 で は バ ッ グ グ ラ ウ ン ド電 流0安 定 性 が 悪 くな り,銅 電 極 の劣 化 が 認 め られ た ◎ そ の結 果 定 量 の 最 適 温 度 と して,25℃ 付 近 が も っ と も よ いS/N比 を 与 え,実 際 に は25 ±O.1。Cに 検 出 セ ル温 度 を 制 御 した ◎ 3.6ク ロ マ トグ ラ フ 分 離 お よ び 検 量 線 今 ま で述 べ て き た よ うに,ア ミ ノ酸 に よ る応 答 電 流 に対 して 最 大 のs/N比 を 与 え る よ うな最 適 条 件 下 で の数 種 の ア ミ ノ酸 の ク ロマ トグ ラ ム を 図5に 示 す ◎ こ こ で 用 い て い る カ ラ ム ・移 動 相 系 で はす べ て の 必 須 ア ミ ノ酸 を分 離 す る こ と は で き な い 。 逆 相 カ ラ ム で の ア ミ ノ酸 の 分 離 を 向 上 させ るた め に,陽 イ オ ン に対 す る イ オ ン対 試 薬 の 添 加 の 効 果 が 報 告 され て い る の で 鋤29),イ オ ン対 試 薬 と して1mm◎1・dm-31一 ヘ プ タ ンス ル ホ ン酸 を 移 動 相 に 加 え て み た 。 そ の結 果,pH7で 陽 イ オ ン と して 存 在 す る塩 基 性 ア ミ ノ 酸 の リ シ ン,ア ル ギ ニ ンの 容 量 比 が,そ れ ぞ れ0.01か ら0.15, O.03か らO.39と 大 き く な り,こ れ ら の ア ミ ノ酸 の分 離tox可 能 とな った ◎ ほ か の ア ミノ酸 に 対 す る1mm◎1・dm-31一 ヘ プ タ ン ス ル ホ ン酸 存在 下 で の容 量 比 を 黍1に 示 し て い る。 酸 性 ア ミ ノ酸 で は,1一 ヘ プ タ ンス ル ホ ン酸 イ オ ン との 反 発 作 用 に よ り容 量 比 は,
26)日 本 化 学 会 編,"化 学 便 覧(基 礎 編)",改 訂3版,丸 善(1984) p。 皿 一68.
27) D. J. Miner, Anal. Chim. Acta, 134, 101(1982).
28) J. C. Kraak, K. M. Jonker, J. F. K. Huber , J.
togr., 142, 671(1977).
29) Z. Iskandarani,
R. L. Smith, D. J. Pietrzyk,
J. Liq .
Chromatogr., 7, 111(1984).
イ オ ン対 試 薬 を 加 え な い と き 忙 く ら べ て 減 少 して い る 。 1- .ヘプ タ ン ス ルホ ン酸 の添 加 は,ア ミ ノ酸 の 応 答 電 流 に 何 ら影 響 を お よぼ さ な か っ た 。1mmol・dm"31一 ヘ プ タ ン ス ル ホ ン酸 存 在 下 で の,ヒ ス チ ジ ン,グ ル タ ミン,ア ス パ ラ ギ ン酸,ア ル ギ ニ ン,イ ソ ロ イ シ ン の 検 量 線 を 図6に 示 す 。 ほ か の ア ミノ酸 を 含 む い ず 胞 の ア ミノ酸 に 対 して も3ケ タ 以 上 の 広 い 検 量 範 囲 を も つ 良 好 な直 線 関 係 が 得 られ た 。 検 出 限 界(S/N=2)は,ヒ ス チ ジ ン で20pmol,プ ロ リ ンで2nmol,そ の 他 の ア ミ ノ酸 で は、100∼400 pmolの 範 囲 で あ っ た ◎ これ らの 検 出 限 界 の 値 ほ,フ タ ル ア ル デ ヒ ドを 用 い る蛍 光 光 度 法 よ りも大 き い が,ニ ゾ ヒ ド リ ンを 用 い る 吸 光 光 度 法 と 同程 度 で6),こ の 銅 電 極 を 用 い る ア ンペPtメ ト リー に よ る検 出 法 は,ほ か の 方 法 に く ら べ 誘 導 体 化 な どの 操 作 が 必 要 で な く,簡 単 で よ り直 接 的 で あ る とい え る◎,