Japanese Society for the Science of Design
NII-Electronic Library Service
Japanese Sooiety for the Soienoe of Design
創
立
50
周 年 記念
特
集
号 発
刊 に よ せ
て
Think
about the
50th
Anniversary
Memory
Special
lssue
黒 川 威 人
50周 年記念事 業 実 行 委 員 会 委員長 (金 沢 美 術工芸大 学)
50
年という年 月は人類の 歴 史というよう なス パ ン
か ら考え る と短い
。
しか し
、
モダンデ ザ イン の先駆
バ ウハ ウス の解 散か らわずか
70
年であること を考え
る と
50 年
は
十
分に長いといっ て よ か ろ う
。
ち なみ に
今 年は ラ イ ト兄弟に よ る始めて の動力飛 行 機 がほ ん
の何
一
卜秒か空 を飛ん で か ら
100
周 年にあた る そ う だ
が
、
100
年とい うの は恐るべ
き変化
が起る年月なのだ
と思 い
知ら さ れる
。
半世 紀 を経 た 我が
デ
ザ イン学 会
の場 合はどうだろ うか
。
50
周 年 大会の 記念 展示
、
「
デ ザイン学の
歩み と到 達
(東 京芸
術
大 学 資 料 館 )」 をご覧いただいた方々 は
、
お そ らく鮮烈 な記 憶と して憶え て お られる で あ ろ う
が
、
学
会
誌の最 初 期の ものは手 仕 事に よ るガリ版 刷
りの冊 子 で あっ た
。1960
年の
第
2
号ではさすが に活
字と なっ て いる が
、
そ れま
で の研究 発表 大会
プロ グ
ラ ム を見る と
、
大 半がガリ版 刷りか ま た は タイプ原
紙によ る謄 写版 印刷 が使 われ て い る。 印 刷 技 術と し
て は その後写真 植字 (写 植 )が全 盛を迎え
、
そ して
コ ン ピュ
ー
タの
発 達と と も にデ
ジタル印 刷へ と移 行
して今日に至っ てい るが
、
デザイ ンの現 場で は 最早
コ ンピュ
ー
タ を使わ ない
仕 事 等 考 えられ ない時 代に
なっ て い る
。
技
術
の進 歩と
デ ザ インはもと も と表 裏
一
体の
関係にあ り
、
どち らが ど ち ら を リ
ー
ドする と
いうもので は ない。 し か し最 近の技 術の進 歩とデザ
イ ン の関 係を見る と
、
む し ろ 両者は乖 離しつ つ あ る
ように思 わ れ る。
50
周 年 記 念 大 会の
、
東 京 芸 術大学 奏 楽 堂 会 場に お
ける メ イン シ ンポジ ウ ム 「
半 世 紀 展 望一
デ ザ イン に
何が 可 能 か」 はそ う し た背 景を踏ま え
、
半 世 紀を振
り返 る と共に新た な半 世紀へ の
展 望を計ろ う という
もの であっ た
。
詳し く は次の
特 集 号で
紹 介さ れ る 予
定 だが
、
コ ン ピュ
ー
タの み な らず
、
様々 な
技 術 社 会
の変化 が与え る影 響 といかに対 応 して行 くべ き なの
か が議 論の中心的 課題であった よ う に思 う
。
さて
、
本特集 号を締め く く る意 味で
、
私な り に
50
年を振 り返 り
、
来る半 世 紀を展望 してみたい
。
振り
返っ てみれ ば
、
学 会が創 立された
時代、
既にデ ザイ
ンは問題 を孕ん でいた といえそ うである
。
す な わ ち
1960 年
代 後半に は、 早 くも 工
業
化 社 会の諸矛盾を
解
消するため の
様
々 なデ ザイ ン 理念が提 唱さ れ
、
大 学
教 育に おい ても新た な枠 組み と理 念が提示 さ れて い
たからで
、
その
代 表 的な もの は芸 術工学と環 境 デザ
イ ン で あっ た と筆 者は
考
えて い る
。
環 境 デ ザ イン に
関 する
学
科が
、
わが 国の 美 術 系大学 教育の
中
に登 場
す るのは
1973 年、
筑 波 大 学 芸術 学 群に設置さ れ た環
境 デ ザ イン コ
ー
ス が最
初
で あっ た
。
芸 術工学 系で は
さ かの ぼる
1968
年、 九 州 芸 術工科 大 学の開 学と同時
に環 境 設 計 学 科が開 設さ れて い る
。
な お
、
芸 術工学
部の
嚆 矢は こ の大 学で あ る ところ か ら
、
その 設 置の
目的を見てお き たい
。 「
技術を 人間生活に適 切に利用
する た めに
、
技
術
の
基 礎である 科
学
と
、
人 間精 神の
もっ と も自由 な発 現
であ る芸 術 とを総 合し、
技 術の
進 路 を 計画 し
、
そ の機 能の
設 計につ い て研 究 する と
共に
、
人文
、
社 会
、
自然 に ま た が る知 識と芸 術 的感
性を基 盤と す る設 計 家を養 成する 」。 則 ち 「技 術を 人
間生活に適 切に利 用するために」 デ ザインは 必要で
あり
、
これ は前世 紀か ら 引継 がれた課 題である
。
上記両者に は
一
連の共通 した理念 が 認め ら れるが
、
そ れ は 「
科 学と 芸術
の総 合」 で あ り、
「関 連 諸 科学 ・
領 域との連 係」 で ある
。
何と何をどの よ う に連 係さ
せ総 合 すべ
き かの具 体 策の一
つが 環 境 デ ザ イン で
あ
っ た と見る こと も 可能で あろ う
。
こ の ように考え る
と
、
次な る
半 世紀を 展望す る時 求め ら れ るのは、
諸
領 域
・
科学との 「
総 合」や 「
連 係」を超えて、
新た
なデザイン概 念の
創生につ な がる 「
融 合」環 境 を構
築 する作 業なの では ない
か と思われてくる。 考え て
見る と
、
日本民族は も ともと 異文 化を取 り込み
、
自
文化と融 合し て新たな 文化 を創生するこ とが得 意な
民族で あっ た はず な
ので あ る。
62
SpECIALISSUEOFJSSD Vol
.
1]No
.
320D4
デ ザイ ン
学 研 究 特 集 号
N工 工
一
Eleotronio
Library