の改正
一 特定支出控除制度の拡充
1 改正前の制度の概要
⑴ 給与所得者が、各年において特定支出をした 場合において、その年中の特定支出の額の合計 額が給与所得控除額を超えるときは、その年分 の給与所得の金額は、給与等の収入金額から給 与所得控除額とその超える部分の金額の合計額 を控除した金額とすることができることとされ ています(旧所法57の 2 ①②)。 特定支出とは、給与所得者の次に掲げる支出 (その支出について給与等の支払者から補塡さ れ、その補塡されたものに対して所得税が非課 税とされる場合には、その支出のうちその補塡 される部分を除きます。)をいいます(旧所法 57の 2 ①②、旧所令167の 3 )。 ① 通勤費 その者の通勤のために必要な交通機関の利 用又は交通用具の使用のための支出で、その 通勤の経路及び方法がその者の通勤に係る運 賃、時間、距離その他の事情に照らして最も 経済的かつ合理的であることについて給与等 の支払者によって証明がされたもののうち、 一般の通勤者につき通常必要であると認めら れる部分の一定の支出(航空機の利用に係る ものは除きます。) ② 転任に伴う引越費用 その転居が転任に伴うものであることにつ いて給与等の支払者によって証明がされた転 居のために通常必要であると認められる一定 の支出(その転任の事実が生じた日以後 1 年 以内にする転居のための自己又はその配偶者 その他の親族に係る支出に限ります。) ③ 研修費 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習 得することを目的として受講する研修(人の 資格を取得するためのものは除きます。)で あることについて給与等の支払者によって証 明がされたもののための支出 ④ 人の資格を取得するための支出 人の資格(弁護士、公認会計士、税理士等 の人の資格で、法令の規定に基づいてその資 格を有する者に限って特定の業務を営むこと ができることとされるものは除きます。)を取 得するための支出で、その支出がその者の職 務の遂行に直接必要なものであることについ て給与等の支払者によって証明がされたもの 目 次 一 特定支出控除制度の拡充……… 252 二 退職所得課税の見直し……… 257 三 源泉徴収に係る所得税の納期に関する 特例の改正 ……… 266 四 外国親会社等が国内の役員等に供与等 をした経済的利益に関する調書の創設 … 267 五 適格退職年金制度の廃止に伴う改正… 271 六 医療費控除の改正……… 272 七 源泉徴収関係書類の保存・提出に関す る規定の改正 ……… 274 八 国庫補助金等の総収入金額不算入制度 の改正 ……… 277⑤ 単身赴任者の往復旅費 転任に伴い生計を一にする配偶者等との別 居を常況とすることとなった場合について給 与等の支払者によって証明がされた場合にお けるその者の勤務する場所又は居所とその配 偶者等が居住する場所との間のその者の旅行 (航空機の利用に係るものも含みます。)に通 常要する支出で一定のもの(グリーン車の料 金や航空機の客室の特別の設備の利用料金等 の特別車両料金は除かれ、また、 1 月に 4 往 復を超えて旅行をした場合には、その超えて した旅行に要する運賃及び料金は除きます。) ⑵ この特定支出控除の特例は、確定申告書、修 正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」と いいます。)にその適用を受ける旨及び特定支 出の額の合計額の記載をするとともに、上記⑴ ①から⑤までの特定支出に関する明細書及び給 与等の支払者の証明書の添付がある場合に限り 適用することとされています(所法57の 2 ③)。 また、この特定支出控除の特例の適用を受け る旨を記載した申告書等を提出する場合には、 特定支出に係るその支出の事実及びその額を証 する書類を申告書等に添付するか又はその提出 の際に提示しなければならないこととされてい ます(所法57の 2 ④)。
2 改正の趣旨等
⑴ 特定支出控除制度は、給与所得者が確定申告 を通じて自らの所得税の課税標準及び税額を確 定させることを可能とする途を拓くことが、公 平感の維持、納税意識の形成に重要であると考 えられることから、給与所得者として勤務する ことに伴い通常支出を余儀なくされる項目のう ち、支出額が相当程度となり、その負担が担税 力を減殺することとなるような特定支出の範囲 を法令上明確にした上で、その特定支出の合計 額が給与所得控除額を上回る場合には、その上 回る部分の金額について確定申告を通じて控除 することができる特例として、昭和62年( 9 月) の税制改正で創設されたものです(昭和63年分 の所得税から適用)。 ⑵ しかしながら、特定支出控除の適用件数は全 国で毎年10件弱と僅少で推移してきており、そ の要因として、給与所得控除の水準そのものが 特定支出控除の見直し 【改正前】 【改正後】 ○ 特定支出控除について、範囲の拡大等を行い、給与所得者の実額控除の機会を拡大する。 【範囲の拡大】 弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費、勤務必要経費(図書費、衣服費、交際費)を追加。 【適用判定の基準の見直し】 適用判定の基準を給与所得控除の 2 分の 1(改正前:控除額の総額)とする。 ※ 平成 25 年分の所得税から適用する。 65 万円上限 勤務必要経費 図書費、衣服費、交際費 資格取得費 弁護士、税理士、 公認会計士など 拡充 控除額 改正前の 特定支出 給与所得控除 控除額 比較 比較 勤務費用の 概算控除(1 / 2) 他の所得との 負担調整(1 / 2) 資格取得費 上記の資格を除く 研修費 通勤費 転居費 帰宅旅費 改正前 給与所得控除 (参考)相当高いということもありますが、特定支出控 除の対象となる支出の範囲が狭すぎるといった 指摘が従来からあったところです。 今回の改正では、特定支出控除をより使いや すくし、給与所得者の実額控除による確定申告 の機会拡大を図る観点から、①給与所得控除額 の 2 分の 1 を超えた部分の金額を控除対象とす る適用判定の基準の見直し、②勤務必要経費を 適用対象に追加する等の特定支出の範囲の拡充 が行われました。
3 改正の内容
⑴ 適用判定の基準の見直し ① 特定支出控除は、その年中の特定支出の額 の合計額が給与所得控除額を超える場合に適 用することができることとされていましたが、 今回の改正において適用判定の基準が緩和さ れて、その年中の特定支出の額の合計額が、 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定 める金額を超える場合には、給与所得の金額 の計算上、その超える部分の金額を給与所得 控除額に加算して給与等の収入金額から控除 することができることとされました(所法57 の 2 ①)。 イ その年中の給与等の収入金額が1,500万 円以下である場合 その年中の給与所得控 除額の 2 分の 1 に相当する金額 ロ その年中の給与等の収入金額が1,500万 円を超える場合 125万円 (注) 今回の改正により給与等の収入金額が 1,500万円を超える場合の給与所得控除額に 245万円の上限が設けられたことから、給与 等の収入金額が1,500万円を超える場合の特 定支出控除の適用判定の基準については245 万円の 2 分の 1 (≒125万円)とされたもの です。 ② この適用判定の基準の見直しは、従来、特 定支出の合計額が給与所得控除の総額を上回 る必要があるとされていた要件について、給 与所得控除の「勤務費用の概算控除」と「他 の所得との負担調整のための特別控除」の二 つの性格のうち、前者の「勤務費用の概算控 除」の部分(すなわち給与所得控除額の 2 分 の 1 の金額)を上回れば特定支出控除が適用 できるように改められたものであり、⑵で述 べる特定支出の範囲の拡充とあわせて見直し が行われたことによって特定支出控除制度の 利用者の増加につながるものと考えています。 ⑵ 特定支出の範囲の拡充 ① 特定支出の範囲に次に掲げる支出が追加さ れました。 イ 職務の遂行に直接必要なものとして給与 等の支払者により証明がされた弁護士、公 認会計士、税理士などの資格取得費 栄養士・調理師や運転免許・危険物取扱 者免許などの人の資格を取得するための支 出で、その支出がその給与所得者の職務の 遂行に直接必要なものであることについて 給与等の支払者によって証明がされたもの は、従来から特定支出の対象とされていま したが、弁護士、公認会計士、税理士等の 人の資格で法令の規定に基づいてその資格 を有する者に限って特定の業務を営むこと ができることとされるものはその対象から 除かれていたところです(旧所法57の 2 ② 四)。 しかしながら、就労の多様化等に伴い、 最近ではこれらの資格を得ながら企業等で 勤務する者も増加してきていることから、 今回の改正においては、このような勤務形 態の変化を踏まえ、職務の遂行に直接必要 な弁護士、公認会計士、税理士などの資格 取得費についても特定支出の範囲に追加す ることとされました(所法57の 2 ②四)。 ロ 次に掲げる支出(その支出の額の合計額 が65万円を超える場合には、65万円までの 支出に限ります。)で、その支出がその給 与所得者の職務の遂行に直接必要なものと して給与等の支払者により証明がされたもの(所法57の 2 ②六、所令167の 3 ⑤⑥) イ 次に掲げる図書で職務に関連するもの を購入するための支出 ㋑ 書籍 具体的には、給与所得者がその専門 分野において職務に関する知識を維持 発展させるために必要な専門書などで す。 ㋺ 新聞、雑誌その他の定期刊行物 新聞や雑誌で職務に関連するものと は、通常は金融・産業などの特定分野 を重点に扱う専門紙が考えられますが、 一般紙であっても職務上不可欠なもの であれば特定支出の対象になります。 ㋩ ㋑及び㋺に掲げるもののほか、不特 定多数の者に販売することを目的とし て発行される図書 ㋑及び㋺以外の図書で具体的に想定さ れるものとしては、商業、工業、建築、 服装などの企業においてデザイン部門を 担当する給与所得者がその職務に関連し て購入する写真集や、営業部門を担当す る給与所得者が外回り用に購入する地図 などがあります。 ロ 次に掲げる制服、事務服その他の勤務 場所において着用することが必要とされ る衣服を購入するための支出 ㋑ 制服、事務服及び作業服 具体的には、給与所得者が職場にお いて着用するように定められている衣 服や事務や作業を行う際に着用する衣 服などです。 ㋺ ㋑に掲げるもののほか、給与等の支 払者により勤務場所において着用する ことが必要とされる衣服 背広やスーツについては、出勤・退勤 途上や他用で着用する場合があるとして も、給与等の支払者により勤務場所にお いて着用することが求められており、そ の給与所得者の職務の遂行に直接必要な ものであれば、その購入費は特定支出の 対象になります。 ハ 交際費、接待費その他の費用で、給与 等の支払者の得意先、仕入先その他職務 上関係のある者に対する接待、供応、贈 答その他これらに類する行為(以下「接 待等」といいます。)のための支出 接待等の費用のうち、飲食費について は家事費として所得の処分の側面が強い ものですが、給与等の支払者の得意先等 の接待等など、給与等の支払者によりそ の支出が求められており、その給与所得 者の職務の遂行に直接必要なものであれ ば、その費用は特定支出の対象になりま す。 なお、その給与所得者の職場内での親 睦会や同僚の慶弔費、労働組合の組合費 等の支出はこれに当たりません。 ② この特定支出控除の特例は、申告書等にそ の適用を受ける旨及び特定支出の額の合計額 を記載するとともに、それぞれ所定の特定支 出に関する明細書及び各特定支出についての 給与等の支払者の証明書を添付した場合に限 って適用することとされています(所法57の 2 ③、所令167の 4 、所規36の 5 ①)。また、 この特定支出控除の特例の適用を受ける旨を 記載した申告書等を提出する場合には、特定 支出の事実及びその額を証する書類を申告書 等に添付するか又はその提出の際に提示しな ければならないこととされています(所法57 の 2 ④、所令167の 5 )。 今回の特定支出の範囲の拡充により、次の とおり特定支出に関する明細書の記載事項、 給与等の支払者による証明及び特定支出の支 出等を証する書類について見直しが行われま した(所令167の 4 、所規36の 5 ①六~八)。 イ 特定支出に関する明細書の記載事項 特定支出控除の特例の適用を受ける給与 所得者は、特定支出に関する明細書に、今 回追加された特定支出について、それぞれ
次に掲げる事項を記載しなければならない こととされました(所令167の 4 )。 イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務 に関連するものを購入するための支出に ついては、これらの図書の内容 ロ 制服、事務服その他の勤務場所におい て着用することが必要とされる衣服を購 入するための支出については、これらの 衣服の種類 ハ 交際費、接待費その他の費用で、給与 等の支払者の得意先、仕入先その他職務 上関係のある者に対する接待等のための 支出については、接待等の相手方の氏名 又は名称及びその相手方との関係 ロ 給与等の支払者による証明 給与等の支払者は、特定支出控除の特例 の適用を受けようとする給与所得者の書面 による申出に基づき、今回追加された特定 支出について、それぞれ次に掲げる事項を 書面により証明することとされました(所 規36の 5 ①六~八)。 イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務 に関連するものを購入するための支出 ㋑ その者の氏名及び住所 ㋺ その図書の購入がその者の職務の遂 行に直接必要なものである旨及びその 職務の内容 ㋩ その図書の名称及び内容 ロ 制服、事務服その他の勤務場所におい て着用することが必要とされる衣服を購 入するための支出 ㋑ その者の氏名及び住所 ㋺ その衣服の購入がその者の職務の遂 行に直接必要なものである旨及びその 職務の内容 ㋩ その衣服の種類 ハ 交際費、接待費その他の費用で、給与 等の支払者の得意先、仕入先その他職務 上関係のある者に対する接待等のための 支出 ㋑ その者の氏名及び住所 ㋺ その接待等のための支出がその者の 職務の遂行に直接必要なものである旨 及びその職務の内容 ㋩ その接待等の内容並びにその接待等 の相手方の氏名又は名称及びその相手 方との関係 ハ 特定支出の支出等を証する書類 特定支出控除の特例の適用を受ける旨を 記載した申告書等を提出する場合には、特 定支出に係るその支出の事実及びその額を 証する書類を申告書等に添付するか又はそ の提出の際に提示しなければならないこと とされていますが(所法57の 2 ④、所令 167の 5 )、今回追加された特定支出につい ても同様に、その支出の事実及びその額を 証する書類を申告書等に添付するか又はそ の提出の際に提示しなければならないこと とされました(所令167の 5 一)。 ⑶ その他 特定支出の通勤費について、交通機関を利用 する場合の特定支出の額は、その年中の運賃及 び料金の額の合計額とされていますが(所令 167の 3 ①一)、特別車両料金、特別船室料金そ の他鉄道等の客室の特別の設備の利用について の料金(以下「特別車両料金等」といいます。) については、特定支出の額から除くこととされ ています。ただし、寝台料金で6,180円以下の もの(いわゆるB寝台)は特別車両料金等には 該当せず特定支出の額に含めることができます が、このB寝台の料金については、特定支出控 除制度が創設された後に6,300円に引き上げら れていることから、今回の改正において、この 寝台料金の基準額についても6,300円に改めら れました(所規36の 5 ②)。
4 適用関係
上記 3 ⑴から⑶までの改正は、平成25年分以後 の所得税について適用されます(改正法附則52)。二 退職所得課税の見直し
1 改正前の制度の概要
Ⅰ 退職所得の金額の計算 ⑴ 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他退 職により一時に受ける給与及びこれらの性質を 有する給与(以下「退職手当等」といいます。) に係る所得をいい(所法30①)、退職所得の金 額は、その年中の退職手当等の収入金額から退 職所得控除額を控除した残額の 2 分の 1 に相当 する金額とされていました(旧所法30②)。 ⑵ この退職所得の発生の基因となる退職手当等 は、一般的に、過去からの長期間にわたる勤労の 対価の後払いという性格を持つとともに、退職後 の生活の原資に充てられるものという特性を有 しているため、その担税力は他の所得に比べて 低いと言えることから、退職所得の金額の計算 にあたっては、退職手当等の支払を受ける居住 者(以下「退職所得者」といいます。)の、その勤 続年数の長短に応じて計算される一定の退職所 得控除額を控除した上で、さらにその 2 分の 1 をもって所得金額とする配慮がなされています。 Ⅱ 退職所得控除額の計算 ⑴ 退職所得控除額は、勤続年数を基に、次の表 の算式により計算することとされています(所 法30③)。 勤続年数 退職所得控除額 20年以下の場合 40万円×勤続年数 20年超の場合 800万円+70万円×(勤続年数-20年) ⑵ 退職所得控除額を計算する際の勤続年数は、 退職手当等について、退職所得者が退職手当等 の支払者の下においてその退職手当等の支払の 基因となった退職の日まで引き続き勤務した期 間(以下「勤続期間」といいます。)により勤 続年数を計算します(所法30③一、所令69①)。 ただし、次の①から③までに掲げる場合に該当 するときは、それぞれ①から③までに定めると ころにより計算します。 ① 退職所得者が退職手当等の支払者の下にお いて就職の日から退職の日までに一時勤務しな かった期間がある場合には、その一時勤務し なかった期間前にその支払者の下において引 き続き勤務した期間を勤続期間に加算した期 間により勤続年数を計算します(所令69①一イ)。 ② 退職所得者が退職手当等の支払者の下にお いて勤務しなかった期間に他の者の下におい て勤務したことがある場合において、その支 払者がその退職手当等の支払金額の計算の基 礎とする期間のうちに他の者の下において勤 務した期間を含めて計算するときは、他の者 の下において勤務した期間を勤続期間に加算 した期間により勤続年数を計算します(所令 69①一ロ)。 ③ 退職所得者が退職手当等の支払者から前に 退職手当等の支払を受けたことがある場合に は、前に支払を受けた退職手当等の支払金額 の計算の基礎とされた期間の末日以前の期間 は、勤続期間又は①若しくは②により加算す べき期間に含まれないものとして、勤続期間 の計算又は①若しくは②の計算を行います。 ただし、その支払者がその退職手当等の支払 金額の計算の基礎とする期間のうちに、前に 支払を受けた退職手当等の支払金額の計算の 基礎とされた期間を含めて計算する場合には、 その期間は、これらの期間に含まれるものと してこれらの計算を行うものとされています (所令69①一ハ)。 また、退職一時金等(退職手当等とみなさ れるものをいいます。以下同じです。)に係 る勤続年数及びその年に二以上の退職手当等 又は退職一時金等の支給を受ける場合の勤続 年数は、それぞれ次の④及び⑤のように計算します(所令69①二、三)。 ④ 退職一時金等については、組合員等であっ た期間(退職一時金等の支払金額の計算の基 礎となった期間をいい、その期間の計算が時 の経過に従って計算した期間によらず、これ に一定の期間を加算して計算した期間によっ ている場合には、その加算をしなかったもの として計算した期間をいいます。)により勤 続年数の計算を行います(所令69①二)。 ⑤ その年に二以上の退職手当等又は退職一時 金等の支給を受ける場合には、これらの退職 手当等又は退職一時金等のそれぞれについて、 上記の勤続期間の計算又は①から④までによ る計算をした期間のうち、最も長い期間によ って勤続年数を計算します。ただし、その最 も長い期間以外の期間のうちにその最も長い 期間と重複しない期間があるときは、その重 複しない部分の期間(上記の勤続期間の計算 又は①から④までに準じて計算した期間)を その最も長い期間に加算して、勤続年数を計 算します(所令69①三)。 なお、勤続年数を計算する際、その計算し た期間に 1 年未満の端数が生じたときは、こ れを 1 年として勤続年数を計算します(所令 69②)。また、退職手当等の支払者には、そ の者が相続人である場合にはその被相続人を 含むものとし、その者が合併後存続する法人 又は合併により設立された法人である場合に は合併により消滅した法人を含むものとし、 その者が法人の分割により資産及び負債の移 転を受けた法人である場合にはその分割によ りその資産及び負債の移転を行った法人を含 むものとされます(所令69③)。 ⑶ 退職所得者が、⒜退職手当等の支払者の下に おいて勤務しなかった期間に他の者の下におい て勤務したことがあり、かつ、他の者から前に 退職手当等の支払を受けている場合において、 今回の退職手当等の支払者がその支払う退職手 当等の支払金額の計算の基礎とする期間のうち に他の者の下において勤務した期間を含めて計 算するとき又は⒝退職手当等の支払者から前に 退職手当等の支払を受けたことがある場合にお いて、今回の退職手当等の支払者がその支払金 額の計算の基礎とする期間のうちに、前に支払 を受けた退職手当等の支払金額の計算の基礎と された期間を含めて計算するときは、今回支払を 受ける退職手当等に対する退職所得控除額は、次 の①に掲げる金額から②に掲げる金額を控除した 金額とされています(旧所法30④一、所令70①一)。 ① 今回支払を受ける退職手当等につき勤続年 数を基に上記⑴の表により計算した退職所得 控除額 ② 他の者から前に支払を受けた退職手当等又 は前に支払を受けた退職手当等につき上記⑵ ①から⑤までにより計算した期間を勤続年数 とみなして上記⑴の表により計算した退職所 得控除額 ⑷ 退職所得者が、その年の前年以前 4 年内(そ の年に確定拠出年金法に基づく老齢給付金とし て支給される一時金の支払を受ける場合には、 14年内。以下⑷において同じです。)に退職手 当等(上記⑶の前に支払を受けた退職手当等を 除きます。)の支払を受け、かつ、その年に退 職手当等の支払を受けた場合において、その年 に支払を受けた退職手当等につき上記⑵①から ⑤までにより計算した期間の基礎となった勤続 期間等(上記⑵の勤続期間及び上記⑵①から③ までにより加算すべき期間又は上記⑵④の組合 員等であった期間をいいます。)の一部がその 年の前年以前 4 年内に支払を受けた退職手当等 (以下「前の退職手当等」といいます。)に係る 勤続期間等と重複している場合の、その年に支 払を受ける退職手当等についての退職所得控除 額は、次の①に掲げる金額から②に掲げる金額 を控除した金額とされています(旧所法30④一、 所令70①二)。 ① 今回支払を受ける退職手当等につき勤続年 数を基に上記⑴の表により計算した退職所得 控除額 ② 重複している部分の期間(その期間に 1 年
未満の端数があるときは、その端数を切り捨 てた期間)を勤続年数とみなして上記⑴の表 により計算した退職所得控除額 Ⅲ 退職所得に係る源泉徴収 ⑴ 退職所得は、所得税法の規定により他の所得 と分離して課税することとされており、退職手 当等の支払者の手元で容易にその所得に対応す る所得税を求めることが可能であることから源 泉徴収制度の対象とされており、源泉徴収の方 法によって原則として退職時に納税が完了する 仕組みとなっています。 ⑵ 具体的には、退職所得者に対し国内において 退職手当等を支払う者は、その支払の際、その 退職手当等について所得税を源泉徴収し、その 源泉徴収の日の属する月の翌月10日までに、こ れを国に納付しなければならないこととされて います(所法199)。 ⑶ 退職所得者は、退職手当等の支払を受ける時 までに、一定の事項を記載した「退職所得の受 給に関する申告書」(以下「退職受給申告書」 といいます。)をその退職手当等の支払者を経 由して、納税地の所轄税務署長に提出すること とされており、退職手当等の支払者はその退職 受給申告書を基にその退職手当等に対する源泉 徴収税額を計算することになりますが、その年 に他の退職手当等が支払われている場合には、 両方を合算して再度退職所得の金額を計算して 不足税額分の源泉徴収を行うという仕組みが採 られていることから、退職受給申告書には、支 払うべきことが確定した他の退職手当等で既に 支払がされたもの(以下「支払済みの他の退職 手当等」といいます。)の有無を記載すること とされています。 具体的には、退職手当等に対する源泉徴収税 額は、次の①又は②に定める場合の区分に応じ、 それぞれ①又は②に定める税額とされます(旧 所法201①)。 ① 退職受給申告書に支払済みの他の退職手当 等がない旨の記載がある場合 その支払う退職手当等の金額から退職所得 控除額を控除した残額の 2 分の 1 に相当する 金額(千円未満の端数は切り捨て)を課税退 職所得金額とみなして、税率の規定を適用し て計算した場合の税額 ② 退職受給申告書に支払済みの他の退職手当 等がある旨の記載がある場合 その支払う退職手当等の金額と支払済みの 他の退職手当等の金額の合計額から退職所得 控除額を控除した残額の 2 分の 1 に相当する 金額(千円未満の端数は切り捨て)を課税退 職所得金額とみなして、税率の規定を適用し て計算した場合の税額から、その支払済みの 他の退職手当等につき、この源泉徴収の規定 により徴収された又は徴収されるべき所得税 の額を控除した残額に相当する税額
2 改正の趣旨等
⑴ 前述したように、退職所得については、長期 間にわたる勤務の対価が一時期にまとめて後払 いされるものであることや、退職後の生活保障 的な所得であること等を考慮し、退職手当等の 収入金額から退職所得控除額を控除した残額の 2 分の 1 に課税するという累進緩和措置が採ら れていますが、この 2 分の 1 課税があることを 前提に、短期間のみ在職することが当初から予 定されている法人の役員等が、給与の受取りを 繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、 税負担を回避するといった事例がかねてより指 摘されており、今回の改正において、勤続年数 5 年以下の法人の役員等の退職所得については、 この 2 分の 1 課税を廃止することとされました。 ⑵ また、この 2 分の 1 課税の廃止は、法人の役 員等を対象としており、一般の従業員は除かれ ていますが、法人の役員等は会社法等でその任 期が決められているなど、当初から短期間勤務 が前提となっているなど、一般の従業員とは相 当に異なる事情にあることから、今回の改正で は、勤続年数 5 年以内の法人の役員等がその見 直しの対象とされました。(参考) 【改正前】退職手当等の場合 ・(収入金額−退職所得控除額)×1 / 2=退職所得の金額 ・退職所得の金額 × 累進税率=所得税額 (例)勤続年数 30 年 退職一時金 2,000 万円 退職所得控除額 1,500 万円 〔40 万円 ×20 年+70 万円 ×(30 年−20 年)〕 退職所得の金額 250 万円 退職所得の金額 1,800 万円 所得税額:15.3 万円 【改正後】特定役員退職手当等の場合 ・収入金額−退職所得控除額=退職所得の金額 ・退職所得の金額 × 累進税率=所得税額 ※一般の退職手当等は従来どおり (例)勤続年数5年 退職一時金 2,000 万円 退職所得控除額 200 万円 (40 万円 ×5年) 所得税額:440.4 万円 退職所得の課税方式の見直し
3 改正の内容
⑴ 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額の 計算の見直し ① 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額 は、退職手当等の収入金額から退職所得控除 額を控除した残額になります(所法30②)。 これにより、特定役員退職手当等については、 収入金額から退職所得控除額を控除した残額 の 2 分の 1 相当額を退職所得の金額とする累 進緩和措置の適用がなくなりました。 この特定役員退職手当等とは、退職手当等 のうち、役員等(次のイからハまでに掲げる 者をいいます。)としての勤続年数(以下「役 員等勤続年数」といいます。)が 5 年以下で ある者が、退職手当等の支払者からその役員 等勤続年数に対応する退職手当等として支払 を受けるものをいいます(所法30④)。 イ 法人税法第 2 条第15号に規定する役員 ロ 国会議員及び地方公共団体の議会の議員 ハ 国家公務員及び地方公務員 ② ①の役員等勤続年数は、退職手当等に係る 調整後勤続期間(上記 1 Ⅱ⑵の勤続期間の計 算又は上記 1 Ⅱ⑵①から③までによる計算を した期間をいいます。)のうち、その退職所 得者が役員等として勤務した期間(以下「役 員等勤続期間」といいます。)により計算し ます(所法30④、所令69①、69の 2 ①)。し たがって、例えば、ある法人に役員等として 就職した場合の役員等勤続期間は、その就職 の日から退職の日までの期間により計算し、 同じ法人の中で一般の従業員から役員等に就 任した場合の役員等勤続期間は、その就任の 日から退職の日までの期間により計算することになります。 なお、役員等勤続年数についても、その計 算した役員等勤続期間に 1 年未満の端数が生 じたときは、これを 1 年としてその年数を計 算します(所令69②、69の 2 ②)。また、特 定役員退職手当等の支払者には、その者が相 続人である場合にはその被相続人を含むもの とし、その者が合併後存続する法人又は合併 により設立された法人である場合には合併に より消滅した法人が含まれ、その者が法人の 分割により資産及び負債の移転を受けた法人 である場合にはその分割によりその資産及び 負債の移転を行った法人が含まれます(所令 69③、69の 2 ②)。 ③ その年中に特定役員退職手当等と一般退職 手当等(特定役員退職手当等以外の退職手当 等をいいます。)がある場合の退職所得の金 額は、次に掲げる金額の合計額(その年中の 一般退職手当等の収入金額がロの一般退職所 得控除額に満たない場合には、その満たない 部分の金額をイの金額から控除した残額)に なります(所法30⑥、所令71の 2 ①)。 イ その年中の特定役員退職手当等の収入金 額から特定役員退職所得控除額(次に掲げ る金額の合計額をいいます。)を控除した 残額 イ 40万円に特定役員等勤続年数から重複 勤続年数を控除した年数を乗じて計算し た金額 ロ 20万円に重複勤続年数を乗じて計算し た金額 ロ その年中の一般退職手当等の収入金額か ら一般退職所得控除額(退職所得控除額か ら特定役員退職所得控除額(イの収入金額 が特定役員退職所得控除額に満たない場合 には、その収入金額)を控除した残額をい います。)を控除した残額の 2 分の 1 に相 当する金額 (参考) 特定役員退職手当等と一般退職手当等がある場合の退職所得の金額の計算 特定役員退職手当等: 500 万円 一般退職手当等 :2,500 万円 勤続期間 30 年(うち役員等勤続期間 5 年) A社 特定役員退職手当等:1,000 万円 一般退職手当等 :2,000 万円 役員等勤続期間 10 年 B社 C社 ※太線は特定役員等勤続期間 細線は一般勤続期間 役員等勤続期間 5 年 ○退職所得控除額の計算 ・特定役員退職所得控除額⇒ 20 万円(40 万円 ÷2) × 5 年 = 100 万円 ・一般退職所得控除額 ⇒ (40 万円 ×20 年+70 万円 ×10 年) −100 万円 = 1,400 万円 1,400 万円 ○特定役員退職手当等に係る退職所得の金額 【退職所得の金額】 1,400 万円+1,550 万円=2,950 万円 ○一般退職手当等に係る退職所得の金額 特定役員退職所得控除額:100 万円 一般退職所得控除額 1,400 万円 1,550 万円
④ ③イイの特定役員等勤続年数とは、特定役 員等勤続期間(特定役員退職手当等につき上 記 1 Ⅱ⑵の勤続期間の計算又は上記 1 Ⅱ⑵① から③まで若しくは⑤による計算をした期間 をいいます。)により計算した年数をいい、 ③イイ及びロの重複勤続年数とは、特定役員 等勤続期間と一般勤続期間(一般退職手当等 につき上記 1 Ⅱ⑵の勤続期間の計算又は上記 1 Ⅱ⑵①から⑤までにより計算した期間をい います。)とが重複している期間により計算 した年数をいいます(所令71の 2 ②)。 なお、特定役員等勤続年数又は重複勤続年 数を計算する際も、その計算した期間に 1 年 未満の端数が生じたときは、これを 1 年とし てこれらの年数を計算します(所令69②、71 の 2 ③)。 ⑤ 退職所得者が、上記 1 Ⅱ⑶に該当し、かつ、 次のイ又はロに掲げる場合に該当するときの 特定役員退職所得控除額は、既に退職所得控 除額を適用した期間に係る部分の金額を控除 したそれぞれイ又はロにより計算した金額に なります(所令71の 2 ④)。 イ 前に支払を受けた退職手当等の全部又は 一部が特定役員等退職手当等に該当する場 合 上記③イのイ及びロの合計額から特定役 員等勤続期間のうち前に支払を受けた退職 手当等(特定役員退職手当等に該当するも のに限ります。)に係る期間を基礎として 上記 1 Ⅱ⑶により計算した金額を控除した 金額 ロ 特定役員等勤続期間の全部又は一部が前 の勤続期間等と重複している場合 上記③イのイ及びロの合計額からその重 複している期間を基礎として上記 1 Ⅱ⑷に より計算した金額を控除した金額 出 向 【所令 70①一・71 の 2 ④一】 就職 役員等勤続期間以外の期間 (24 年) 今回の 退職手当等 役員等勤続期間 (2 年) 役員等勤続期間 (2 年) 既に退職所得控除額 を適用した期間 前回の 退職手当等 【所令 70①二・71 の 2 ④二】 役員等勤続期間 役員等勤続期間以外の期間 退職 就職 今回の支払いを 受ける退職手当等 既に退職所得控除額を適用 した期間(重複する期間) 勤続期間 (3 年) 就 職 前回の退職手当等 ※今回の退職手当等 の前年以前 4 年内 前に退職手当等の支払を受けた場合の退職所得控除額の特例 (参考)
⑥ 調整後勤続期間のうちに 5 年以下の役員等 勤続期間と役員等勤続期間以外の期間がある 退職手当等の支払を受ける場合には、その退 職手当等は、次に掲げる退職手当等から成る ものとされ、その年中に特定役員退職手当等 と一般退職手当等がある場合とみなして、上 記③により退職所得の金額を計算します(所 令71の 2 ⑤⑥)。具体的には、一般の従業員 として入社し、一定期間勤務した後に役員等 に就任してその後退職をした場合に、その退 職の際に一般の従業員の分及び役員等の分を 合わせて退職金の支払を受けるようなケース が想定されます。 イ 退職手当等の金額からロに掲げる金額を 控除した残額に相当する特定役員退職手当 等 ロ 役員等勤続期間以外の期間を基礎として、 他の使用人に対する退職給与の支給の水準 等を勘案して相当と認められる金額に相当 する一般退職手当等 ⑵ 特定役員退職手当等に係る退職所得の源泉徴 収の見直し ① 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額 について、いわゆる 2 分の 1 課税を適用しな いこととされたことに伴い、退職手当等に係 る源泉徴収税額の計算方法の見直しが行われ ています。 ② 退職所得について源泉徴収すべき所得税額 は、次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、 それぞれイ又はロに定める税額になります (所法201①、所令319の 3 ①)。 イ 退職手当等の支払を受ける居住者が提出 した退職受給申告書に、その支払うべきこ とが確定した年において支払済みの他の退 職手当等がない旨の記載がある場合 次の イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それ ぞれイ又はロに定める金額を課税退職所得 金額とみなして計算した場合の税額 イ その支払う退職手当等が一般退職手当 等に該当する場合 その支払う退職手当 等の金額から退職所得控除額を控除した 残額の 2 分の 1 に相当する金額(その金 額に千円未満の端数があるとき、又はそ の金額の全額が千円未満であるときは、 その端数金額又はその全額を切り捨てた 金額) ロ その支払う退職手当等が特定役員退職 手当等に該当する場合 その支払う退職 手当等の金額から退職所得控除額を控除 した残額に相当する金額(その金額に千 円未満の端数があるとき、又はその金額 の全額が千円未満であるときは、その端 数金額又はその全額を切り捨てた金額) ロ 退職手当等の支払を受ける居住者が提出 した退職受給申告書に、支払済みの他の退 職手当等がある旨の記載がある場合 次の イからハまでに掲げる場合の区分に応じそ れぞれイからハまでに定める金額を課税退 職所得金額とみなして計算した場合の税額 から、その支払済みの他の退職手当等につ き源泉徴収された又は源泉徴収されるべき 所得税の額を控除した残額に相当する税額 イ その支払う退職手当等とその支払済み の他の退職手当等がいずれも一般退職手 当等に該当する場合 その支払う退職手 当等の金額とその支払済みの他の退職手 当等の金額との合計額から退職所得控除 額を控除した残額の 2 分の 1 に相当する 金額(その金額に千円未満の端数がある とき、又はその金額の全額が千円未満で あるときは、その端数金額又はその全額 を切り捨てた金額)[下図(参考 1 )ケ ース 1 参照] ロ その支払う退職手当等とその支払済み の他の退職手当等がいずれも特定役員退 職手当等に該当する場合 その支払う退 職手当等の金額とその支払済みの他の退 職手当等の金額との合計額から退職所得 控除額を控除した残額に相当する金額
(その金額に千円未満の端数があるとき、 又はその金額の全額が千円未満であると きは、その端数金額又はその全額を切り 捨てた金額)[下図(参考 1 )ケース 2 参照] ハ その支払う退職手当等とその支払済み の他の退職手当等が一般退職手当等及び 特定役員退職手当等に該当する場合 次 の㋑及び㋺に掲げる金額の合計額(㋺の 一般退職手当等の金額が㋺の一般退職所 得控除額に満たない場合には、その満た ない部分の金額を㋑に掲げる金額から控 除した残額)[下図(参考 2 )参照] ㋑ 特定役員退職手当等の金額から特定 役員退職所得控除額を控除した残額 ㋺ 一般退職手当等の金額から一般退職 所得控除額を控除した残額の 2 分の 1 に相当する金額 ③ 上記②ロハ㋑の特定役員退職所得控除額又 は同㋺の一般退職所得控除額とは、所得税の 源泉徴収をすべき退職手当等を支払うべきこ とが確定した時の状況における特定役員退職 所得控除額又は一般退職所得控除額になりま す(所令319の 3 ②)。 なお、上記⑴⑥で述べたように、調整後勤 続期間のうちに 5 年以下の役員等勤続期間と 役員等勤続期間以外の期間がある退職手当等 の支払を受ける場合には、その退職手当等は、 その年中に特定役員退職手当等と一般退職手 当等があるものとみなして、退職所得の金額 を計算しますが、上記②ロハの退職手当等に 係る源泉徴収すべき所得税額の計算において も同様です(所令319の 3 ③)。 ④ 退職手当等を支払う者は、退職所得者から 提出を受けた退職受給申告書を基にその退職 手当等に対する源泉徴収税額を計算すること になりますが、その退職受給申告書には、上 記 1 Ⅲ⑶で述べたとおり支払済みの他の退職 ○支払済みの他の退職手当等がない場合 (例)T年4月にA社から退職手当等 1,000 万円を受給(勤続年数 10 年) 【ケース 1:一般退職手当等の場合(上記②ロ の場合)】 退職所得控除額 400 万円 退職所得の金額:300 万円 × 累進税率 = 約 20 万円を源泉徴収 ○支払済みの他の退職手当等がある場合 (例)上記に加え、T年 10 月にB社から退職手当等 600 万円を受給(勤続年数 10 年) 退職所得控除額 400 万円 × 累進税率 = 約 77 万円 − 約 20 万円 = 約 57 万円を源泉徴収 【ケース 2:特定役員退職手当等の場合(上記②ロ の場合)】 退職所得控除額 200 万円 退職所得の金額:600 万円 退職所得の金額:600 万円 × 累進税率 = 約 77 万円を源泉徴収 ○支払済みの他の退職手当等がない場合 (例)T年4月にA社から退職手当等 800 万円を受給(勤続年数5年) ○支払済みの他の退職手当等がある場合 (例)上記に加え、T年 10 月にB社から退職手当等 600 万円を受給(勤続年数5年) 退職所得控除額 200 万円 退職所得の金額:1,200 万円 × 累進税率 = 約 242 万円 − 約 77 万円= 約 165 万円を源泉徴収 退職手当等に係る源泉徴収(一般退職手当等の場合又は特定役員退職手当等の場合) (参考 1 )
手当等の有無を記載することとされています。 退職所得課税の見直しにより、特定役員退職 手当等に係る退職所得の金額について、いわ ゆる 2 分の 1 課税の適用がなくなり、一般退 職手当等と特定役員退職手当等では退職所得 の金額の計算方法が異なることから、退職手 当等を支払う者は、源泉徴収税額を計算する 上で、支払済みの他の退職手当等が特定役員 退職手当等であるかどうかを認識する必要が あります。 今回の改正では、退職手当等又は支払済み の他の退職手当等の全部又は一部が特定役員 退職手当等に該当する場合には、退職受給申 告書に次に掲げる事項を記載することとされ ました(所規77①五)。 イ 特定役員等勤続年数及びその計算の基礎 ロ 上記 3 ⑴⑤に該当するときは、特定役員 退職所得控除額の計算の基礎 ⑤ また、退職所得の源泉徴収票の記載要領に ついても、その退職手当等の全部又は一部が 特定役員退職手当等に該当する場合には、特 定役員退職手当等の金額や特定役員等勤続年 数を摘要欄に記載させるなど、退職所得の源 泉徴収票の備考欄の所要の改正が行われてい ます(所規94、別表第 6 ⑵)。
4 適用関係
⑴ 上記 3 ⑴の改正は、平成25年分以後の所得税 について適用されます(改正法附則51)。 ⑵ 上記 3 ⑵①から④までの改正は、平成25年 1 月 1 日以後に支払うべき退職手当等又は同日以 後に提出する退職受給申告書について適用され ます(改正法附則54)。 ⑶ 上記 3 ⑵⑤の改正は、平成25年以後の各年に おいて支払の確定した退職手当等について提出 し、又は交付する源泉徴収票について適用され ます(改正所規附則 5 ①)。なお、源泉徴収票 の書式は、当分の間、旧書式の源泉徴収票に新 書式に準じてその内容を記載することで、新書 式の源泉徴収票に代えることができます(改正 所規附則 5 ②)。 A社に入社 (T1 年) B社の役員就任(T25 年)(T30 年)退 社 6 月:役員退職手当等 1,000 万円 10 月:一般退職手当等 3,000 万円 ○T30 年6月(特定役員退職手当等に係る源泉徴収税額) みなし課税退職所得金額 800 万円 × 累進税率 = 約 120 万円を源泉徴収 退職所得控除額:200 万円(40 万円 ×5年) みなし課税退職所得金額 900 万円 ○T30 年 10 月(一般退職手当等に係る源泉徴収税額) 【みなし課税退職所得金額】 1,700 万円 × 累進税率 = 約 407 万円 (900 万円+800 万円) 約 407 万円−約 120 万円 = 特定役員退職所得控除額:100 万円 一般退職所得控除額:1,400 万円 (40 万円 ×20 年+70 万円 ×10 年)−100 万円 みなし課税所得金額:800 万円 約 287 万円を源泉徴収 20 万円 ×5年 退職手当等に係る源泉徴収(特定役員退職手当等と一般退職手当等がある場合) (参考 2 ) (上記②ロ の場合)三 源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例の改正
1 改正前の制度の概要
⑴ 源泉徴収に係る所得税の納期の特例 給与等の支払を受ける者が常時10人未満等の 事務所等で、税務署長の承認を受けている場合 には、 1 月~ 6 月分の給与等(所得税法第28条 第 1 項に規定する給与等及び同法第30条第 1 項 に規定する退職手当等並びに同法第204条第 1 項第 2 号に掲げる報酬・料金をいいます。以下 同じです。)に係る源泉徴収税額を 7 月10日まで、 7 月~12月分の給与等に係る源泉徴収税額を翌 年 1 月10日までに納付することができることと されています(所法216)。 この特例を受けるには、「源泉所得税の納期 の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出 して税務署長の承認を受ける必要があり、税務 署長は、以下のいずれかの事実がある場合には 申請を却下できることとされています(所法 217①②)。 ① 給与等の支払を受ける者が常時10人未満で あると認められないこと ② 過去 1 年以内に承認の取消しの通知を受け ていること ③ 現に国税の滞納があり、かつ、その滞納税 額の徴収が著しく困難であること等申請を認 める場合には源泉所得税の納付に支障が生ず るおそれがあると認められる相当の理由があ ること また、上記の①又は③に該当する事実が生じ た場合には税務署長は承認を取り消すことがで きることとされています(所法217③)。 なお、給与等の支払いを受ける者が常時10人 未満でなくなった場合には、遅滞なく「源泉所 得税の納期の特例の要件に該当しなくなったこ との届出書」を所轄税務署長に提出しなければ ならないこととされています(所法218)。 この届出書の提出があった場合又は承認の取 消しがあった場合には、その提出又は承認の取 消しがあった日の属する期間に係る所得税のう ちその日の属する月分以前の各月分の所得税の 納期限は、その日の属する月の翌月10日とされ ています(所法219)。 ⑵ 給与、退職手当等について源泉徴収した所得 税の納期限の特例 上記⑴の納期の特例適用者が、その年12月20 日までにこの特例の適用を受けるための届出書 を税務署長に提出したときは、 7 月~12月分の 給与等に係る源泉所得税についての「翌年 1 月 10日」の納期限を「翌年 1 月20日」とする特例 が設けられています(旧措法41の 6 ①)。 ただし、その届出書の提出日の属する年以後 の各年において、次のいずれかの事実がある場 合には、その納期限は原則どおり「翌年 1 月10 日」となります(旧措法41の 6 ②)。 ① その年12月31日において源泉所得税につい ての滞納がある場合 ② 7 月~12月までの間の源泉所得税を翌年 1 月20日までに納付しなかった場合2 改正の内容
上記 1 ⑵の特例は、昭和60年度の税制改正にお いて、中小企業者の年末、年始の特殊な状況の下 で源泉徴収事務の適正・円滑な運用を図るため、 歳入確保の面や源泉徴収した税額相当額の現金の 公的性格等に配意しながら創設されたものですが、 制度創設から長期間経過し制度の定着が図られて いること、及び上記 1 ⑴の特例の適用者のほとん どが上記 1 ⑵の特例の適用を受けているという状 況を踏まえ以下の改正が行われました。 ⑴ 源泉徴収に係る所得税の納期の特例の改正 上記 1 ⑴の特例における 7 月~12月分の給与 等に係る源泉徴収税額の納期限が翌年 1 月20日とされました(所法216)。 ⑵ 給与、退職手当等について源泉徴収した所得 税の納期限の特例の廃止 ⑴の改正を踏まえ、この特例が廃止されまし た(旧措法41の 6 )。
3 適用関係
上記 2 ⑴の改正は、平成24年 7 月 1 日以後に支 払うべき給与等について適用し、同日前に支払う べき給与等については従前どおりとされています (改正法附則55)。 上記 2 ⑵の改正は、平成24年 7 月 1 日前に支払 うべき給与等については従前どおりとされていま す(改正法附則16)。四 外国親会社等が国内の役員等に供与等をした
経済的利益に関する調書の創設
外国親会社等から内国法人である子会社等の役 員や従業員に対して株式等が直接付与されたこと による所得の申告漏れが多数把握されている状況 を踏まえ、課税の適正化を図る観点から、外国法 人の子会社である内国法人又は外国法人の国内に ある支店の役員又は従業員が、その外国法人から 付与された株式を取得する権利その他の権利の行 使により得た経済的利益を税務当局が的確に捕捉 するための制度が創設されました。1 制度の概要
外国法人がその発行済株式等の50%以上を保有 する内国法人の役員若しくは使用人である居住者 又は外国法人の国内にある営業所等において勤務 するその外国法人の役員若しくは使用人である居 住者が、これらの外国法人(以下「外国親会社等」 といいます。)から付与された株式を無償又は有 利な価額で取得することができる権利等に基づき その外国親会社等から経済的利益の供与等を受け た場合には、その内国法人又は営業所等の長は、 外国親会社等の経済的利益の供与等に関する調書 を、その供与等を受けた日の属する年の翌年 3 月 31日までに、その内国法人の本店若しくは主たる 事務所の所在地又はその営業所等の所在地の税務 署長に提出しなければならないこととされました (所法228の 3 の 2 )。2 制度の内容
⑴ 提出義務者 この調書の提出義務者は、次に掲げる者です。 ① 外国法人がその発行済株式等の総数又は総 額の50%以上の数又は金額の株式等を直接若 しくは間接に保有する関係にある内国法人 (注) 「発行済株式等」とは発行済の株式(議決 権のあるものに限ります。)又は出資をいい、 「株式等」とは株式(議決権のあるものに限 ります。)又は出資をいいます。 この場合に外国法人が内国法人の発行済株 式又は出資の総数又は総額の50%以上の数又 は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有 する関係にあるかどうかの判定は、その権利 の付与に係る契約を締結した日におけるその 外国法人の内国法人に係る「直接保有の株式 等の保有割合」と「間接保有の株式等の保有 割合」とを合計した割合により行うこととさ れています(所法228の 3 の 2 、所令354の 3 ①)。なお、この「直接保有の株式等の保有 割合」及び「間接保有の株式等の保有割合」 は、次の割合をいいます。 イ 直接保有の株式等の保有割合 外国法人の有する内国法人の株式等の数 又は金額がその内国法人の発行済株式等の 総数又は総額のうちに占める割合をいいます。〔具体例〕 ロ 間接保有の株式等の保有割合 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、 それぞれイ又はロに定める割合(イ及びロ のいずれにも該当する場合には、その合計 割合)をいいます。 イ 内国法人の株式等である法人の発行済 株式等の総数又は総額の50%以上の数又 は金額の株式等が外国法人により所有さ れている場合 その内国法人の株主等である法人の有 するその内国法人の株式の数又は金額が その内国法人の発行済株式等の総数又は 総額のうちに占める割合(なお、下図ⅱ のように、その内国法人の株主等である 法人が二以上ある場合には、その二以上 の内国法人の株主等である法人につきそ れぞれ計算した割合の合計割合となりま す。) ⅰ 間接保有割合……80% 外国法人 内国法人の株主等 である法人 内国法人 50%以上 80% ⅱ 間接保有割合……55%(30%+25%) 内国法人 内国法人 の株主等 である法人 外国法人 内国法人 の株主等 である法人 50%以上 50%以上 30% 25% 〔具体例〕 ロ その内国法人の株主等である法人(イ に掲げる場合に該当する内国法人の株主 等である法人を除きます。)とその外国 法人との間にこれらの法人と発行済株式 等の所有を通じて連鎖関係にある一又は 二以上の法人(以下「出資関連法人」と いいます。)が介在している場合 その内国法人の株主等である法人の有 するその内国法人の株式等の数又は金額 がその内国法人の発行済株式等の総数又 は総額のうちに占める割合(その内国法 人の株主等である法人が二以上ある場合 には、その二以上の内国法人の株主等で ある法人につきそれぞれ計算した割合の 合計割合となります。) (注) この場合には、出資関連法人及びそ の内国法人の株主等である法人がそれ ぞれその発行済株式等の総数又は総額 の50%以上の数又は金額の株式等をそ の外国法人又は出資関連法人(その発 行済株式等の総数又は総額の50%以上 の数又は金額の株式がその外国法人又 は他の出資関連法人によって所有され ているものに限られます。)によって所 有されている場合に限られます。 直接保有割合……80% 外国法人 80% 内国法人
② 外国法人の国内にある営業所等の長 (注) 「営業所等」とは、営業所、事務所その他 これらに準ずるものをいいます。 ⑵ 対象となる経済的利益 この調書の対象となる経済的利益は、役員等 (次に掲げる役員又は使用人である居住者をい います。)が、その役員等に係る外国親会社等 との契約によりその外国親会社等から付与され た下記⑶に掲げる権利を行使したことにより交 付、支払又は供与を受けた株式、金銭その他の 経済的利益です(所法228の 3 の 2 )。 ① 上記⑴①の内国法人の役員又は使用人であ る居住者 ② 上記⑴②の外国法人の国内にある営業所等 において勤務するその外国法人の役員又は使 用人である居住者 ⑶ 対象となる権利 この調書の対象となる権利は、次に掲げる権 利です(所令354の 3 ②)。 ① 次に掲げる株式(以下「外国親会社株式等」 といいます。)を無償又は有利な価額で取得 することができる権利 イ 外国親会社等(役員等と権利の付与に関 する契約を締結したものに限ります。)の 株式 ロ 外国親会社等と資本関係がある法人の株式 (注) この「資本関係」とは、その外国親会 社等とその外国親会社等以外の法人のい ずれか一方の法人が他方の法人の発行済 株式等の総数又は総額の50%以上の数又 は金額の株式等を直接又は間接に保有す る関係をいいます。この場合に一方の法 人が他方の法人の発行済株式又は出資の 総数又は総額の50%以上の数又は金額の 株式等を直接又は間接に保有する関係に あるかどうかの判定は、上記⑴①と同様に、 その権利の付与に係る契約を締結した日 におけるその一方の法人の他方の法人に 係る「直接保有の株式等の保有割合」と「間 接保有の株式等の保有割合」とを合計し た割合により行うこととされています(所 令354の 3 ③)。 ② 外国親会社株式等の価額に相当する額又は その外国親会社株式等に係る配当に相当する 額の金銭その他の経済的利益の支払又は供与 を受けることができる権利 ③ 外国親会社株式等の価額、外国親会社等の 業績その他の指標の数値が一定の期間内にあ らかじめ定めた基準に達した場合にその外国 親会社株式等、金銭その他の経済的利益の交 付、支払又は供与を受けることができる権利 (注) 上記の権利は、いわゆる、ストック・オプ ション、制限株式、制限株式ユニット、従業 員持株購入権、ファントム・ストック、株式 ⅰ 間接保有割合……80% 外国法人 出資関連法人 内国法人の株主等 である法人 内国法人 50%以上 50%以上 80% ⅱ 間接保有割合……55%(30%+25%) 出資関連法人 出資関連法人 外国法人 内国法人 の株主等 である法人 内国法人 の株主等 である法人 内国法人 50%以上 50%以上 50%以上 50%以上 25% 30% 〔具体例〕
評価益受益権、パフォーマンス・シェア、パ フォーマンス・ユニット等が該当します。 ⑷ 調書の書式及び記載事項 この調書の書式及び記載事項は、次のとおり です(所規97の 3 の 2 、別表 9 ⑶)。 (用紙 日本工業規格 A6) 提 出 者 所在地 名 称 (電話) (摘要) 外国親会社等 (付与会社) 名 称 所在地の国名 . . 平成 年分 外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書 経済的利益の供 与等を受けた者 住所又は居所 氏 名 供与等の年月日 . . 権利付与年月日 . . . . 1 単位当たりの金額 経済的利益の内容 単 位 表示通貨 権 利 の 種 類 基礎となる株式 又は権利の数 別表第九(三) 取得できる株式等の総数若しくは金銭 等の総額又は付与された権利の総数 供与等を受けた株式 の価額又は金銭その 他の経済的利益の額 備 考 1 この調書は、法第228条の 3 の 2 に規定する外国親会社等(以下この表において「外国親会社等」とい う。)の経済的利益の供与等(同条に規定する供与等をいう。以下この表において同じ。)に関する調書 について使用することとし、その経済的利益の供与等を受けた役員等(同条に規定する役員等をいう。 以下この表において同じ。)が当該外国親会社等との間で締結した当該経済的利益の供与等に係る権利(令 第354 条の 3 第 2 項各号に掲げる権利をいう。以下この表において同じ。)の付与に関する契約ごとに作 成すること。 2 この調書の記載の要領は、次による。 ⑴ 「住所又は居所」の欄には、経済的利益の供与等を受けた日の現況による住所又は居所を記載するこ と。 ⑵ 「経済的利益の内容」の欄には、株式の交付(無償)、株式の交付(有償)、金銭の支払(株式相当額)、 金銭の支払(配当相当額)のように記載すること。 ⑶ 「基礎となる株式又は権利の数」の欄には、その供与等を受けた株式の価額又は金銭その他の経済的 利益の額の計算の基礎となつた株式の数又は金銭その他の経済的利益の供与等の基因となつた権利の 単位数を、「 1 単位当たりの金額」の欄には、その供与等を受けた日におけるその計算の基礎となつた 株式 1 株当たりの価額又は権利 1 単位当たりにつき供与等を受けた金銭その他の経済的利益の額を、 それぞれ記載すること。
⑷ 「権利の種類」の欄には、ストックオプション、制限株式、制限株式ユニット、従業員持株購入権、 ファントムストック、株式評価益受益権、パフォーマンス・シェア、パフォーマンス・ユニットのよ うに記載すること。 ⑸ 「取得できる株式等の総数若しくは金銭等の総額又は付与された権利の総数」の欄には、その付与さ れた権利に基づき取得することができる株式の総数又は金銭その他の経済的利益の総額(当該権利の 付与に関する契約において、当該株式の総数又は経済的利益の総額が定められていない場合には、当 該契約により付与された権利の総数)を記載すること。 ⑹ 「単位」の欄には、「取得できる株式等の総数若しくは金銭等の総額又は付与された権利の総数」に 記載した事項に対応する単位を、株、円、ドル、ユーロ、ユニットのように記載すること。 ⑺ その経済的利益の供与等の基因となつた権利の行使の際に払い込まれるべき金額がある場合には、 その額を「摘要」の欄に記載すること。 3 合計表をこの様式に準じて作成し、添付すること。 ⑸ 特定外国新株予約権の付与に関する調書の改 正 会社法に相当する外国の法令の規定に基づく 株主総会の決議等により新株予約権を与えられ る者とされたその決議等(以下「付与決議等」 といいます。)のあった特定外国株式会社(特 定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関 する特別措置法に規定する外国法人で平成26年 3 月31日までの間に同法の規定による認定を受 けたものをいいます。)が設立した認定事業会 社(同法に規定する認定研究開発事業者又は認 定統括事業者をいいます。)の取締役等が、そ の付与決議等に基づきその特定外国株式会社と 取締役等との間に締結された一定の契約により 与えられた特定外国新株予約権をその契約に従 って行使することによりその特定外国新株予約 権に係る株式の取得をした場合には、その株式 の取得に係る経済的利益については、非課税と されています(措法29の 3 ①本文)。 個人が、特定外国新株予約権の行使によりこ の経済的利益の非課税の特例の適用を受けて株 式を取得した場合には、その株式の交付(新株 の発行又は株式の移転を含みます。)をした特 定外国株式会社が設立した認定事業会社は、「特 定外国株式の異動状況に関する調書」を提出し なければならないこととされており(措法29の 3 ⑤)、重複を排除する観点から、「外国親会社 等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に 関する調書」の提出は要しないこととされまし た(措法29の 3 ⑥、措令19の 4 ⑰)。 (注) 特定多国籍企業による研究開発事業等の促 進に関する特別措置法は、国会において審議 中であるため、未だ施行されていません(平 成24年 6 月29日現在、参議院で審議中)。