伊豆地域の道路整備のあり方
(案)
平成24年8月
伊豆地域の道路整備のあり方検討会
伊豆地域の道路整備のあり方検討会
委員名簿
委員長
兵 藤 哲 朗 東京海洋大学海洋工学部流通情報工学科教授
委 員
長 田 哲 平 日本大学理工学部社会交通工学科助教
神 尾 文 彦
野村総合研究所社会システムコンサルティング部長
岸 昭 雄 静岡県立大学経営情報学部経営情報学科講師
谷 口 綾 子
筑波大学大学院システム情報工学研究科講師
福 田 大 輔 東京工業大学大学院理工学研究科准教授
二村 真理子 東京女子大学現代教養学部国際社会学科准教授
(敬称略・五十音順)
< 目 次 >
I 伊豆地域の現状・課題...7 1 自然・地形...7 2 地域構造 ...7 3 産業...8 (1) 農林水産業...8 (2) 商工・サービス業...8 (3) 観光...9 4 交通...9 II 伊豆地域の道路ネットワークの現状・課題 ...10 1 道路ネットワークの現状...10 (1) 国道3路線によって構成される南北方向の基幹軸 ...10 (2) 主要地域間を連絡する東西路線 ...10 (3) 地形的要因により限定された道路ネットワーク...10 (4) 有料道路の現状...12 2 道路ネットワークにおける課題...13 (1) 道路整備の遅れ...13 (2) 自然災害に対する脆弱さ ...14 (3) 大規模災害に対する備えの不足 ...15 (4) 各所で発生する慢性的な渋滞...16 (5) 高次医療施設への低いアクセス性...17 (6) 時間距離による優位性の低下...18 III 道路財源の現状 ...19 1 道路予算の縮減 ...19 2 道路管理に要する費用の増大 ...20 3 伊豆地域の有料道路が抱える問題 ...21 IV 伊豆地域の道路整備の望ましいあり方...22 1 伊豆地域の道路ネットワークの将来像...22 (1) 伊豆地域の道路ネットワーク整備の考え方 ...22 ① 伊豆地域と他地域を結ぶ伊豆縦貫自動車道の整備 ...22 ② 伊豆縦貫自動車道とつながる地域内道路ネットワークの整備 ...23 (2) 伊豆地域の道路整備の今後の見通し...24 ① 中長期を見据えた整備見通しの確立...24 ② 背骨となる伊豆縦貫自動車道の整備見通し ...25 (3) 災害時における復旧・支援ルートの確立...28 (4) 道路整備の推進にあたって配慮すべき事項 ...292 伊豆地域の道路整備に向けた対応方針...30 (1) 伊豆縦貫自動車道の早期完成に向けて ...30 ① 伊豆縦貫自動車道の早期整備...30 ② 利用しやすい伊豆縦貫自動車道の実現 ...31 (2) 地域内道路ネットワークの整備推進に向けて ...34 ① 地域内道路ネットワークの早期整備...34 ② 効率的な道路の管理 ...36 V まとめ...39
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I 伊豆地域の現状・課題
1 自然・地形 伊豆地域は、三方を海に囲まれた半島地域で、城ヶ崎海岸、石廊崎、堂ヶ島などの奇岩絶壁や 白浜海岸をはじめとする砂浜が、美しい海岸風景を形成し、また、海岸より望む富士山や夕日な どの絶景や、天城山系の森林や浄蓮の滝、河津七滝などの景勝地が多数存在しています。また、 当地域の面積は、およそ1,200km2であり、そのうち8割近くを森林が占めています。 静岡県では、こうした豊かな自然を、教育や地域振興に活かしていくために、平成24 年の日本 ジオパークへの認定を目指し、官民連携により推進活動に取り組んでいます。 2 地域構造 伊豆地域は大きく分けて、首都圏に近接し相模湾を望み、背後に箱根・天城の山々が迫る「熱 海・伊東地域」と、「狩野川流域に広がる平野部・山間部」、相模湾と駿河湾に囲まれ、森林が全 体に広がる「半島南部地域」に分類されます。 地域の大半は山地が海岸まで迫る急峻な地形となっており、こうした状況が交通基盤の整備を 遅らせ、他地域との交流にも多くの制約を与えています。特に、過疎化と高齢化が進む地域では、 高度専門医療施設の不在や特定診療科目の不足など、医療面における課題が大きく、安全・安心 で快適な生活を営むことのできる環境の整備が求められています。 参考)伊豆半島ジオパーク構想 伊豆地域の 13 市町と県、観光協会等の各 種団体・企業、地元大学などが連携して「伊 豆半島ジオパーク推進協議会」を設立して います。 伊豆半島の特異な成り立ちと地学的な現 状を考慮して「南から来た火山の贈りもの」 というテーマで伊豆半島ジオパーク構想の 実現に向けた取組を推進しています。 ◆県内の中でも高い高齢化率 伊豆地域の高齢化率は、多くの市町で 40% を超えており、県内他地域と比べても格段に 高齢化が進んでいます。8 3 産業 (1) 農林水産業 伊豆地域の農業は、温暖な気候や豊かな自然を生かした、いちご・果樹・花・わさび・みかん 等の特産物の生産が盛んです。近年は、観光施設と農家の連携による花き等の販売や、わさび農 家や女性グループが取り組む加工品づくり、直売施設を利用した少量多品目の野菜や果樹の生産 販売など、様々な形態が見られます。 天城山系を中心に営まれている林業では、高い技術力を有するしいたけ等の生産が盛んに行わ れており、こうした林産物の振興による林業経営の安定化が期待されています。 水産業では、沿岸漁業を中心にキンメダイ、アジ、イセエビ、アワビ、サザエ、テングサ等が 水揚げされ、首都圏等に出荷されるほか、地元の旅館等において新鮮な食材として提供されてい ます。生産量の増加や環境保全に向けて、良好な海藻群落の維持や沿岸漁場の整備が求められて います。 (2) 商工・サービス業 伊豆地域の商業は、住民の身近な買い物の場として鉄道駅周辺に形成されている商店街が地域 の消費生活を支えており、広域的には沼津商圏の影響を受けています。近年は、大型店が立地す る伊豆の国市、伊東市などで、周辺地域からの買い物客が増加しています。 工業は、農林業、観光業に比べて目立った集積が見られず、製材業や木工品製造業、一般機械 器具や金属製品製造業が点在している状況です。 また、伊豆地域には大型の風力発電施設が立地しており、こうした風力や太陽光、木質・畜産 バイオマス等、地域の資源や環境を生かした新エネルギーのメッカとしての地域づくりも期待さ れています。 関東方面 51% 甲信越 18% 県内 29% その他 2% 関東方面 51% 甲信越 18% 県内 29% その他 2% ◆農林水産業の他地域とのつながり 伊豆の国市で多く生産される「いちご」は、 半数が関東、3割が県内各地、2割が甲信越 地方へ出荷されています。 下田港、稲取漁港、須崎漁港で水揚げされる 「キンメダイ」、西伊豆、南伊豆の「イカ類」 のほとんどが関東へ出荷されています。 いちご キンメダイ・イカ類
9 (3) 観光 伊豆地域において、観光業は基幹産業であり、第3次産業従事者が実に7割以上を占めていま す。 本地域の観光は、海や山の豊かな自然とのふれあいや、温泉での保養に加え、開国の歴史や源 氏ゆかりの名所・旧跡巡り、海水浴・ゴルフをはじめとする各種スポーツ、農業・漁業体験、キ ャンプなど、多岐にわたっています。 首都圏に近接する条件を生かして、我が国有数の温泉観光地として発展してきましたが、平成 3年をピークに宿泊客数は減少を続けており、近年、温泉や食、歴史・文化、自然といった地域 の資源に新たな価値を付加する観光プログラムづくりなど、観光の再生に向けた新たな取組も見 られます。また、伝統的な建造物の保全・活用やまちづくり条例の制定等、景観形成に向けた取 組も進められています。 今後は、富士山観光との連携や富士山麓先端健康産業集積(ファルマバレー)プロジェクトに おける健康保養地としての機能強化などを含め、地域が一体となった周遊・滞在型観光地づくり が求められています。また、富士山静岡空港を活用した国際観光への取組強化も課題となってい ます。 (4) 交通 伊豆地域の道路は、東海岸沿いの国道135 号、西海岸沿いの国道 136 号及び中央部の国道 414 号が南北の軸となり、その他の県道等がこれらを補完して東西~南北の道路ネットワークを形成 しています。現在、整備が進められている高規格幹線道路「伊豆縦貫自動車道」は、住民生活の 利便性向上、観光振興、企業誘致や新たな産業の育成など、地域全体にわたって幅広い効果が期 待されることから、早期の完成が望まれています。 本地域の鉄道交通は、東海岸に沿ってJR伊東線及び伊豆急行線が熱海と下田を、半島中央部 を伊豆箱根鉄道駿豆線が三島と修善寺を結び、通勤・通学や観光客の輸送に重要な役割を果たし ていますが、このうち、海岸沿いを走るJR伊東線、伊豆急行線は、年間数度にわたり、悪天候 時の運行停止を余儀なくされることがあります。 バス交通は、自家用車の普及により利用者の減少が進み、 特に山間地等においては路線の維持が難しくなっていま すが、地域においては貴重な移動手段となっていることか ら、路線の維持・確保に向けた取組が求められています。 海上交通は、熱海港、下田港が伊豆諸島と、土肥港が清 水港、戸田港、沼津港と結ばれており、観光などの重要な アクセス手段になっています。また、災害発生時に陸路で の移動や輸送が困難になった場合、孤立地域対策としても 非常に重要な交通手段になると考えられます。 地域の住民生活や主力産業である観光の視点から、道路 の渋滞解消、鉄道やバスの利便性の向上、海上交通の新た な航路の検討などが課題として挙げられます。 伊豆地域の鉄道・海上交通
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II 伊豆地域の道路ネットワークの現状・課題
1 道路ネットワークの現状 (1) 国道3路線によって構成される南北方向の基幹軸 伊豆地域においては、国道3路線(国道135 号、136 号、414 号)が南北方向の基幹軸となり、 生活交通や観光交通、物流交通を支えています。 国道135 号は、下田市を起点に東海岸を北上して小田原市に至る路線で、平日・休日を問わず 熱海市から伊東市にかけて広範囲にわたり渋滞が発生します。 国道136 号は、下田市から西海岸地区を 経て三島市に至る路線で、伊豆の国市から 函南町にかけては平日でも 27,000 台を超 す交通が集中し、慢性的に渋滞が発生して います。 国道414 号は、下田市から半島の中央部 を北上して沼津市に至る路線ですが、線形 の悪い狭隘箇所が存在し、伊豆の国市から 沼津市にかけては平日・休日ともに慢性的 な渋滞が発生するとともに、下田市から河 津町にかけては夏期に大型車通行止めと なります。 (2) 主要地域間を連絡する東西路線 半島内では、国道3路線による南北軸を複数の県道がつなぎ合わせ、半島中央部と東西海岸部 を連絡しています。こうした県道は、市町間の連絡道路として利用されているほか、山間部集落 への貴重なアクセス道路、災害時の代替経路としての役割を担っていますが、急カーブや急勾配 が多く、また、十分な幅員を有する道路ばかりではありません。 (3) 地形的要因により限定された道路ネットワーク 急峻な山地を要する半島地形であるため、人口集積のある平野部や沿岸部に沿って道路ネット ワークが形成されています。 半島の付け根にあたる熱海市や三島市、沼津市といった伊豆半島の玄関口では、国道 135 号、 136 号、414 号をはじめとする主要な路線が集中するため、交通の集中が避けられない状況にあ ります。 国道 136 号(函南町新田)の渋滞状況11 ◆道路ネットワークの現況 半島の玄関口では 道路網が集中する 山地部を避ける ように道路ネット ワークを形成 国道 135 号、136 号、414 号の 3 路線が南北方向の基幹軸として 生活交通・物流交通を支える 東西の主要地域間は県道により ネットワークが結ばれている
12 (4) 有料道路の現状 有料道路には、道路整備特別措置法に基づく有料道路と、道路運送法に基づく一般自動車道が あります。前者の有料道路は、建設借入金の返済を行うための料金徴収期間が定められており、 一方、後者の一般自動車道は、事業として経営する目的で建設されたもので、適正な利潤を含ん だ料金を永続的に徴収できます。 伊豆地域においては、特有の地勢事情により道路整備費用が高価になることや観光交通比率の 高さなどを踏まえて、従前より有料道路事業を活用して道路整備が進められてきました。 現在、静岡県道路公社が管理する有料道路は、「伊豆中央道」と「修善寺道路」、「伊豆スカイ ライン」、「箱根スカイライン」があります。 伊豆スカイライン (静岡県道路公社) 真鶴道路 (神奈川県道路公社) 熱海ビーチライン ((株)グランビスタ ホテル&グループ) TOYO TIRES ターンパイク (箱根ターンパイク(株)) 湯河原パークウェイ (伊豆箱根鉄道(株)) 箱根スカイライン (静岡県道路公社) 芦ノ湖スカイライン (芦ノ湖スカイライン(株)) 伊豆中央道 (静岡県道路公社) 修善寺道路 (静岡県道路公社) ◆伊豆地域の有料道路 項 目 有料道路事業 一般自動車道事業 根拠法令 ・道路整備特別措置法 ・道路法 ・道路運送法 ・自動車道事業規則 目的等 道路の整備を促進し、交通の利便性を 増進すること。 道路運送の総合的な発展を図ること。 通行料金の設定 償還主義、便益主義 (受益の範囲において、料金徴収期間、 推定交通量等を考慮して、原価を償 還し得るように料金の額を決定) 適正利潤を含む原価主義 (自動車道事業の適正な原価を償い、か つ適正な利潤を含み、使用者の負担能 力を考慮して決定) 道路の無料開放 料金徴収期間は 40 年以内としている。 料金徴収期間の制限がない。 有料道路(一般自動車道事業) 無料開放路線 有料道路(有料道路事業) 【( )は管理者】
13 2 道路ネットワークにおける課題 (1) 道路整備の遅れ 伊豆地域は、山間部・沿岸部などを中心に、急峻な地形が原因となって道路整備が進まない場 所が多数存在しています。 南北の主要な幹線道路である国道414 号でさえ、大型車同士のすれ違いが困難な箇所が存在し、 夏期には、下田市と河津町の間の区間で大型車の通行止めを余儀なくされ、生活交通や観光交通、 物流交通の支障となっています。 こうしたことから、日常生活や地域産業の活性化のためにも、狭隘な区間・急カーブ・急勾配 区間等の改善が課題となっています。 ◆未改良区間の分布 135 414 136 【凡例】 未改良区間 未改良 準改良 夏期大型車通行止区間 国道 136 号(土肥峠) 国道 136 号(松崎町雲見) 国道 414 号 (河津町峰~下田市須原)
14 (2) 自然災害に対する脆弱さ 伊豆地域の国道・県道は、その延長の3割が異常気象時の事前通行規制区間になっており、異 常気象時には通行可能な道路が減少します。なかでも、国道3路線や、半島西側の山間路線に通 行規制がかかると、半島南部が広域にわたって孤立する状況となります。 実際のところ、通行規制区間の内外にかかわらず、急峻な山間部や沿岸部では、毎年のように 土砂災害が発生しており、生活交通や物流交通等、地域の生活に不可欠な道路の寸断を招いてい ます。 近年、集中豪雨など異常気象が多発する傾向にあることから、事前通行規制区間の解消に向け た防災対策等の整備を一刻も早く推進し、安心して生活することのできる地域を構築することが 課題となっています。 平成 23 年の台風 15 号では、国道 135 号で法面崩壊が起こり、崩土が国道を塞 ぎ、6時間にわたり全面通行止めとなり ました。 ◆自然災害に脆弱な道路ネットワーク 平成 19 年の台風9号によって、全面通行止め箇 所は国道 135 号、136 号、414 号を含む計 55 箇所 (県内 92 箇所)にものぼり、また、鉄道網も遮断 され、各地で孤立が発生しました。 【凡例】 :雨量規制区間 :雨量規制による通行止め :崩土、倒木、冠水等による通行止め 国道 135 号(下田市白浜) 道路情報提供装置 国道 135 号(伊東市宇佐美)
15 (3) 大規模災害に対する備えの不足 大地震による土砂災害、津波災害の懸念が高まる中、伊豆地域には耐震対策が未完了な橋梁や 法面対策が必要な箇所が存在しており、沿岸部の道路では浸水被害による道路ネットワークの寸 断や、避難経路の途絶、支援物資の搬送遅れが懸念されています。 災害発生時に避難および復旧・支援輸送の経路を確保するためには、既存道路の橋梁の耐震対 策や法面対策などのきめ細やかな整備を行うとともに、災害に強い高規格幹線道路を早期に構築 することが課題となっています。 ◆緊急輸送路上の橋梁および過去(安政東海地震)の津波浸水地域分布 1854 年の安政東海地震(M=8.4)では、 県内の多くの地域で津波浸水被害を経験 しました。 沼津市や松崎町、下田市では集落が広 範囲に浸水し、なかでも下田市では、100 人以上の死者を出したほか、9割以上の 家屋が流出したと記録されています。 参考)南海トラフの巨大地震想定 出典:平成 23 年 南海トラフの巨大地震モデル検討会(内閣府) 国道 414 号 猿橋(伊豆市湯ヶ島) 耐震補強実施状況 凡例 津波浸水地域 ■ H22末対策完了橋梁 ■ H22末対策未完了橋梁 ■ 対策不要橋梁 第1次緊急輸送路 第2次緊急輸送路 第3次緊急輸送路
16 (4) 各所で発生する慢性的な渋滞 伊豆半島の玄関口である沼津市や三島市、伊豆の国市などの国道や県道に交通が集中しており、 平日・休日を問わず慢性的な渋滞が発生しています。 特に、三島市から伊豆市の間の国道136 号では、容量の2倍以上の交通が集中しており、渋滞 の発生に加え、溢れた車両が周辺の生活道路に流入する状況を引き起こしています。 さらに観光シーズンには、半島内のいたる所で渋滞が頻発し、地域交通・緊急交通の妨げにな るだけでなく、観光地としての魅力低下の一因になっています。 低迷する地域力を向上させるためには、円滑な交通の確保が課題となっています。 ◆渋滞多発箇所と渋滞による損失 国道 136 号 南條 沼津三島都市圏 伊豆市 熱海市 伊東市 下田市 渋滞損失時間3Dマップ(平成 23 年 10 月平日) 民間プローブデータ結果より 出典:平成 17 年道路交通センサス 静岡県第 4 次渋滞対策プログラム 国道 136 号・414 号 出口交差点
17 (5) 高次医療施設への低いアクセス性 伊豆地域において、高度な救急医療を担う第三次救急医療施設は、沼津市立病院(沼津市)と、 順天堂大学静岡病院(伊豆の国市)であり、現状では、半島南部の大半の地域は、これらの施設 に1時間以内に到達できません。加えて、ドクターヘリによる搬送が行えない夜間や悪天候時に は、陸路に頼らざるを得ず、こうした搬送時間の長短が人命救助に大きく影響しています。 このため、本地域では、救急医療施設への所要時間を短縮させ、カーブの少ないスムーズな走 行を実現する高規格幹線道路の早期整備や狭隘な区間・急カーブ・急勾配区間等の改善が課題と なっています。 ◆伊豆地域の救急医療の現状 (件/年) 下田市 順天堂大学静岡病院⇔下田市 約1時間20分 第三次救急医療施設 (順天堂大学静岡病院) 第三次救急医療施設 (沼津市立病院) 沼津市立病院⇔下田市 約2時間10分
南伊豆町は90分でも
到達できないエリアが
ほぼ全域を占める
第三次救急医療施設へ 1時間以内に 到達できない地域 ⇒約78,500人が居住 第三次救急医療施設への 到達時間 :30分以内の地域 :60分以内の地域 :90分以内の地域 :60分以上の地域 350 275 290 272 304 326 289 90 137 126 144 148 118 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 空路 陸路 救急搬送の約 7 割を陸路が分担 出典:下田消防署ヒアリング (国道 136 号,国道 414 号を利用する搬送件数及びドクターヘリの出動回数)18 (6) 時間距離による優位性の低下 静岡県は、東名高速道路や東海道新幹線等の高速交通インフラで関東圏や中部圏とつながって おり、そのことによる利便性が、これまで本県の産業・経済を牽引してきましたが、高速交通ネ ットワークは全国で着々と整備が進み、本県の時間距離的な優位性は相対的に下がってきていま す。 特に、伊豆地域は、高規格幹線道路が十分に整備されておらず、東北自動車道及び日光宇都宮 道路で首都圏と連絡する日光や、同じく、上信越自動車道、関越自動車道で連絡する軽井沢と比 較して、首都圏からの実距離(約130km)は同等であるにも関わらず、時間距離では非常に不 利な状況となっています。 さらに、農林水産業や製造業は、生産・物流管理に定時性の確保が求められており、物流の高 速化・信頼性がそれを支えています。この点でも、伊豆地域では、高規格幹線道路の整備の遅れ により、競争力が低下し、地域産業の衰退が懸念されます。 こうしたことから、関東圏とのアクセス性向上に資する高規格幹線道路の早期整備が課題とな っています。 ◆伊豆地域と関東圏の時間距離 自動車による所要時間は、東京駅から、最寄り各駅までの最短ルートを地図から測定し、想定速度(一般道:40km/h、高速道路80km/h)で走行した場合の時間を算出。 東京駅を中心に 約130km圏域 下田 下田 日光 日光 軽井沢 軽井沢 128.8km 119.3km 134.2km 東京 東京 東京駅から同一圏(概ね130km圏)にある主要観光地間の所要時間 を比べると、下田は軽井沢、日光に比べ、60分以上時間がかかる。 (分), 1.7倍 1.4倍 60分 主要観光地の観光入込客数の推移 (人) 0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 軽井沢 日光 下田 29%減 5%増 6%減 0 2,000,000 4,000,000 6,000,000 8,000,000 10,000,000 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 軽井沢 日光 下田 29%減 5%増 6%減 (分) 【昭和40年の鉄道での移動時間】 東京-熱海間の鉄道は、東海道新幹線が昭和39年に開通した。 下田は、日光・軽井沢と同程度のアクセス時間にあった。 モータリゼーションの到来で移動手段の主流が鉄道から車に転換。 モータリゼーションの到来で移動手段の主流が鉄道から車に転換。 【現在 車での移動時間】 ※鉄道の乗車時間は、昭和40年10月の交通公社時刻表を用いて、東京駅から目的観光地までの最短乗車時間を算定(乗換時間は含まない)。
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III 道路財源の現状
1 道路予算の縮減 静岡県の道路予算は、平成7年度をピークに年々縮小され、現在ではピーク時の約3割程度(政 令市分を含めると約5割)となっています。 その一方で、橋梁をはじめとする道路施設の老朽化に伴い、維持修繕費用がこれまで以上に必 要となっており、新たな道路整備に投資できる予算が圧迫されています。 ◆道路予算の縮減 1,260 1,450 1,393 1,193 1,361 1,246 1,092 1,020 1,016 919 910 743 729 604 629 591 511 454 12,641 13,314 13,213 12,931 14,644 14,017 13,528 13,672 12,046 11,677 11,621 11,256 11,301 11,410 11,442 12,238 11,615 11,523 0 5,000 10,000 15,000 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 道路局事業予算 静岡県全体予算 (億円) (億円) 道路 局 事 業 予 算 静岡 県 全 体 予 算 静岡市が政令指定都市 浜松市が政令指定都市 伊豆地域 43, 22% 東部 50, 26% 中部 70, 37% 西部 29, 15% 投資的費用の割合 (億円) ※伊豆地域:伊豆の国市、伊豆市、熱海市、伊東市、下田市、函南町、 西伊豆町、松崎町、東伊豆町、河津町、南伊豆町 投資的費用を上回る維持・補修費用等 伊豆地域への投資的費用 この他、国直轄事業で、伊豆縦 貫自動車道に120億円充当 (H23年度)されており、県事業 と合わせて約160億円が、伊豆 地域に投資されている。 この他、国直轄事業で、伊豆縦 貫自動車道に120億円充当 (H23年度)されており、県事業 と合わせて約160億円が、伊豆 地域に投資されている。 直轄 負担金 81, 18% 維持・補修 費用等 181, 40% 投資的 費用 192, 42% 平成23年度 道路予算 (億円) 195 19% 81 18% 667, 65% 192 42% 158, 16% 181 40% 0 % 20% 40 % 6 0% 8 0% 1 00% H13 H23 予算比率の推移 直轄負担金 投資的費用 維持・補修費用等 (億円) 平成23年度 静岡県道路予算 静岡県の投資的費用の割合 予算比率の推移20 2 道路管理に要する費用の増大 道路ネットワークの健全性を維持するためには、橋梁、トンネル、舗装等の道路施設を継続的 に適正管理していく必要がありますが、高度経済成長期(昭和 30 年~昭和 48 年)に集中投資し た道路施設は、完成からおよそ半世紀を経過し、修繕や架け替え等の大規模な改修が必要となっ てきています。 現在、伊豆地域には、県管理橋梁が682 橋ありますが、このうち、建設後 50 年を経過するもの の割合は、平成22 年時点の 18%から、20 年後の平成 42 年には 74%へと高まります。そのため、 高度経済成長期に建設された橋梁を中心に、維持・架け替えのための多額の費用が必要となって います。 ◆道路管理に要する費用の増大 鋼板腐食 鉄筋露出 鋼板腐食 鋼板腐食 鉄筋露出 鉄筋露出 ◆橋梁の損傷状況の例 74% 26% 0 5 10 15 20 25 30 35 40 1 4 7 10 13 2 5 8 111417 20 23 2629 32 35 3841 44 47 5053 56 59 62 2 5 8 111417 20 23 大正 昭和 平成 18% 82% 伊豆地域における静岡県管理の橋梁の建設年次 単位:橋 伊豆地域における 静岡県管理橋梁数 682橋 うち、高度経済成長期に 建設された橋梁数 381橋(約55%) 高度経済 成長期