1
論 文】 日本 建 築 学会 構 造 系 論 文 報 告 集 第442号・
1992年12月Journal of Struct
,
Constr.
Engog,
AIJ,
ND,
442,
Dec.
,
1992視 覚 情 報機 器
の
振 動
と
画
像
の
見
に
く さ
の
関係
に
関
す
る
基 礎 的 研
究
正
弦 振動
,減 衰振動
の場 合
の評価 指標
の提 示
AFUNDAMENTAL
STUDY
ON
THE
RELATION
BETWEEN
VIBRATION
OF
VISUAL
DISPLAY
TERMINAL
AND
INDISTINCTNESS
PresentatiQn
of evaluationindexes
abQut sinusoidal vibration anddamped
vibration横 山
裕
* ,小
野
英 哲
* * , 三上 貴 正
* * * ,村 松 啓
介
*** *Yutaka
YOKOYAMA
,
Hidenori
ONO
,Taflamasa
M
1
畷 and 甜 5μ々8MUI
〜AMA
TSU
This
paper presents the relatiQnbetween
sinusoidal vibration oTdamped
Vibration
of visualdis・
play termillal and
its
indistinctness
as eva 旦uation index, which is fundamental knowledges to establish the methodfor
evaluating flool Vibration、
First,
we made a testingdevice
composed ofatable on which
CRT
could vibrate and a table on whichCRT
could stand still,
Next,
using thistesting
device
, we made a sensory scale about indistinctness of vibrating
CRT
by
the sensorytest
.
Finally
,
we picked 皿p a physical quantity corresponded to the sensory scale、
and presentedthe relatio 皿
between・
them as the evaLuation index.
Keytoonls
:zdSuald
ゆ勿 termiual,
indiStinctness
,
sinttsoidLil 祕 rα吻π,
dUmPed
励 r刎加,
sensory scate,
evaluation inalex視 覚 情 報 機器, 見に くさ
,
正 弦 振 動,
減 衰 振 動,
心 理学 的 尺 度,
評 価指標1.
序 論 近 年,
建 築 物 床に はOA
機器のCRT
(Cathode
Ray
Tube ), テレ ビ・
ビ デ オモニ ター
な ど多数の視 覚情 報 機 器が種々 の方 法で設 置さ れてお り,
今後ま す ま す増 加す る傾 向にあ る。
一
方 建 築 物 床には,
・
地 震 時や強風時以外にも,
地 盤の 常 時 微 動, 建 築 物 内 外での 機 器の稼 働お よ び人 間の動作 な どにより,
目常さ まざま な振 動が発 生して い る。
さ ら に昨 今の傾 向であ る床の軽量化,
長スパ ン化に伴う床の 剛性の低 下は,
い ずれ も床振 動を よ り発生 し や すく し て い る といえ る。
この よ う な背景か ら,
近 年,
日常 的な床 振 動が視 覚情 報機器に伝 搬, 増 幅さ れ,
機 器と と もに画像が振動 し作 業にさしさわ り が生じ る事 例が発 生し ている。 さ ら に視 覚 情 報 機 器や振 動しや すい床は今後ま す ま す増 加す る と 思わ れ ること か ら,
同 様の障害が今後も増 加す ることが 予 想 され,
障害 防止の観点か ら対策を講ずる際必要不 可 欠と な る評 価 指標の提 示が望まれ て い る。
本 研 究は, 日常 床か ら伝 搬 され る振 動が視 覚 的に問 題 と なる典 型 的な事 例の ひ とつ で ある視 覚情報機器の振動 に着目し, 視 覚 情 報 機 器の画 像の見に く さ か ら み た床振 動の評 価 方 法 確 立のた めの基 礎 的 段 階と して,
正弦振 動 ある い は減 衰 振 動する機 器の画 像の見に く さ と振動との 関係 をと りまとめ,評 価 指 標とし て提 示す る もの で あ る。 2.
既 往の研 究お よび 本 研 究の 目的, 範 囲 視 覚 情 報 機 器の画 像の見に く さに関 し て は,
画 像の輝 度お よ びコン トラス ト,
周 囲の照度などに関 す る光学的 見 地か らの 研 究や視 距 離などの観 察 姿 勢に関 する研 究 を 中心に, 建 築 環 境工学,
人 間工学の分 野で多くの研 究 成 果 が報 告され て い る。 し か し機 器の振 動に着 目しだ研 究 例は見 あたら ない。一
方 振 動する物 体と 人間の 視機能との関係に関して は, 生 理 学,
人 間工学の分野
で多くの研究成果が報告さ 寧 名 古屋 工業大 学 工 学 部 社 会 開発 工 学 科 助 教 授・
工博 # 東京工 業 大 学 工 学 部 建 築 学 科 教 授・
.
工博*
*
*
東 京工業 大 学 工 学 部 建 築 学 科 助 教 授・
工博 艸 榊 東 京工業 大 学 大 学院 大学院 生Assoc
.
Prof、
,
Dept.
of Archiしecture and Civil Engineeiing,
Faculty ef Engineering,
Nagoya
Institute o{Techno皇ogy,
Dr.
Eng.
PrQf
.
,
Dept,
ef A[chitecture,
Faculty of Engineering,
Tokyo Insヒiヒute Qf Technology,
Dr,
Eng.
Assoc
.
Prof.
,
Dept.
of Architecture,
Faculty
ofEnginee
【ing,
Tokyo
Institute o{Technology,
Dr,
Eng.
れて いる
。
さ らに生 理 学, 人 間 工 学の分 野では, 類 似す る刺激 を対 象と し た 研究と して, 明 暗の正 弦 波 変 調に対 す る視機能の 反 応に 関す る研 究が古 くか ら な さ れて い る。
し か しこ れ らの研 究は主に人 間の視 機 能に着 目し た もの であ り,
振 動する機 器の画 像の見に く さの程 度 を 直 接表す評価尺 度 を得るにはい たっ ていない。
以 上 を総 括 する と,
既 往の研 究 成 果は参 考にはな るが,
視 覚 情 報 機 器の振 動と画 像の見に く さ との関係を直接 検 討 するための資 料と してはいずれも不 十 分であ り,
両 者 の 関係を定 量 的に把 握す る基礎的研 究が 必要な段 階に あ る のが現状とい え る。
以 上の背景か ら,
本研究では, こ の種の研究に お け る 量 も基 本 的な振 動である正 弦 振 動お よび 減衰振 動 を対象 と して,
視 覚 情 報 機 器と使 用 者 との間に生じ る相 対 的な 振 動 と画 像の見に く さ との 関係を検 討し, 実情に即し た よ り複 雑 な振 動の評 価 指 標 提 示の た めの基 礎 的 知見と な る評 価 指 標を提 示 することを 目 的 とする。
こ こで正 弦 振 動は設 備, 生 産 機 器の稼 働などに よ り発 生す る連続的な 床 振 動が視 覚 情 報 機 器に伝 搬された
場 合, 減 衰 振 動は人 間の動作な ど に よ り発 生 する間 欠 的な床 振 動 が 伝 搬さ れ た 場 合の代 表例と み な して いる。 対 象と する振 動 方向は, 本研 究が基 礎 的 段 階である こ とか ら鉛 直 方 向の並 進 振 動と し,
振 動 数 範囲 は,
実 在す る建 築 物 床の鉛 直 方 向の固 有 振 動 数 範囲1) を考慮して3
−
30Hz と する 。 また対 象とす る視 覚 情 報 機器 は, と り あ えずパー
ソナルコ ンピュー
タのCRT
とする。
な お床 振 動とCRT
の振 動との関係,
な ら びに床 振 動 に より発 生 するCRT
使用者の人体の振 動は別 個の問 題 と し,
今 後の課 題 とす る。
また本研 究で参考に し た既 往 の研 究 成 果につ い て は,
以 降で逐 次 具体的に 記述 する こ と とする。
3.
研究方 法 本研究の研 究 方法 お よ び手 順は以 下に示す とお りで あ る。
1) 種々 の振 動 数, 振 幅,
減 衰 性状 (減衰 振 動の場 合の み )で振動 するCRT
を用い,
官 能 検 査 手法 お よ び 尺度 構成理 論 を適 用 して振 動 するCRT
の画 像の見 に く さ に 関す る 心 理学 的 尺 度を構 成 する。 2)CRT
の振 動性状か ら1 )で構 成し た心理 学 的尺度 と対 応す る物理 量 を抽出す る と ともに,
両 者の関 係 を評 価 指 標 とし て提 示す る。 以 上本研究で は,
見に く さの程 度を表す尺 度と して“
非 常に見に くい”
,
“や や見に くい”
といっ た比 較 的 短時間 で得ら れ る 心 理 反応に基づ く心 理 学 的 尺 度 を用いる こ と と し,
生理 学的,
人 間工学 的 尺 度によ る客 観性の確認 な どは今 後の課 題とする。 な お本 研 究で は, は じめ に正弦 振 動の場合の評価指標を1
)〜2
)の手 順に従っ て提 示し,
一 44 一
そ の結 果を参 考に し て減 衰 振 動の場 合の評 価 指 標を提 示 す る。4.
正弦 振 動の場 合の評 価 指標の提 示 4.
1.
正 弦 振 動 す るCRT
の画 像の見に く さに関す る 心 理学的尺度の構成 4.
Ll.
心 理学的尺度構成の た めの官能検査 心 理 学的尺 度 構 成の た めの官能 検 査の 概 要 を 表一
1 の“
正 弦 振 動に関す る検 査”
の欄に示し た。
以下 に主な事 項につ いて説 明 を 加え る。
4.
1.
1,
1 構 成する尺度お よ び 尺度 構 成 手 法 CRT の画 像の見に く さに影 響する要 因 として は,
振 動以外にも画像の輝 度およびコ ン トラス ト,
文 字などの 表 示 色お よび大き さ,
周 囲の照 度など さま ざま な要因 が あ り, こ れ ら振 動 以 外の 要 因の影 響 を検 査 員へ の教示な どで除去し振 動の影 響のみ を抽 出 する の は困 難 とみ な せ る。
よっ て本検査では,
振動するCRT
の画 像と,
振動 以 外の要 因が同 じで振 動 しないCRT
の画像とを検 査員 に 比較さ せ ることに より,
振 動に よりどの程 度 見に く く な る かの判 断 を求め ること とし た。
す な わち本 検 査で構 成する尺度は,
正弦振動により画 像がどの程 度 見に く く な る か を表す尺 度 (以 降,“
見に く さ評 価 尺 度1
”
と記 す ) と し た。
見に く さ評 価 尺 度1
は,
振 動に よ り見に く く な る程 度 の評 価を表 示 するこ とを 目的 と する尺 度のた め, 系列 範 ちゅ う法Z)に よ り搆成す ること と し た。
判 断 範ちゅうは,
表一
1に示す とお りであ る。4,
1,1.
2
検 査 試 料種々の正弦振 動を具 現で き る振 動 台, 固 定 台お よび
CRT
(NEC
社 製 PC−
KD 854)な どか らな る試 験装 置 を製作し た。 図一
1,
写 真一
1に試 験 装 置の概要を示す。本装置は
,
振動 台上に設 置 された振 動す るCRT
の画 像 と 固定 台上に設 置され た振 動し ないCRT
の画 像の見 に く さ を 比較す る た めの もの である。 表一1
官 能 検 査の概 要 正 弦 振 動に関す る 検 査 減 衰 振 動に関 する検 査 する尺 度 見に くさ評 価 尺 度 1 に く さ評 尺度H 尺 度 構 成 手 法 系列 範ちゅ う法 判 断 範 ちゅう 固 定 台 上のCRT の画 像 と比 較 して、
振動台上のCRT の画像は、
非常に見に くい。…・
……・
・
・
・
・
・
・
・
…
か なり見にくい。
・
…・
…一・
……・
や や 見に くい。
・
・
…・
……・
・
一…
変わ りない。
査 試 料 表一
2に示 す37種 表一
5に示す53種 検 査 員一
般成 人男 女あ わ せ て10名 (年齢 :21〜
30 視力 く矯 正 ):0.
7〜
1.
5) 画像 画像A,
B,
C 画像A 表一
3参 照 )−
3 参 照 ) 照 度 5701翼 CRT 正 中 央にお ける値 ) 観 検 査 ご とに 由振 動しない CRT 振動する CRT 加 振 動 正 振装
一
ヒ
」
固 定 台 質 量 可変バネ ルー
バネル上板 バネル中板 バ・
ル質量調整用重 鍾 バ ネル下板 減 嚢 付 加 材一
丁番 (横揺れ防止用)一
コイルスブ リングー
450 ::5…°
.
450m 図一1
試 験 装 置の概要 平面 図 モー
ター
1
季
轡
写 真一
1 試 験 装 置 表一
2 正弦振 動に関す る検査試料の仕様 パ ネル中 板にボル ト で固 定 立 面図 (側 面)Y
面 図 (正 面 ) 図一
2 正 弦 振 動 用 加 振 装 置 の 概 要 振 動 台は質量可 変パ ネル とコ イル スプ リング,
減 衰 付 加 材お よ び図一2
に 示 す正 弦 振 動 用 加 振 装 置 な どか ら な る。 振 動台の振 動特性は,
質量可 変パ ネル の質 量とコ イ ル ス プリングの剛 性,
減衰特性,
個数ならびに減 衰 付 加 材の減衰特性の組 合せに よ り種々変 化 させること がで き る。 正弦振動用 加 振装置は,
回 転 数が同じ で回 転 方 向が逆 にな る よう歯 車により接 続さ れて い る 2個の モー
ター
に 取り付け ら れ た ね じ棒とナッ トか ら な る回転 体に より加 振 力 を発生す る形 式の もの で,
図一
2に示す ご と く2個 の回転体を同時に真下ま た は真上に向く よ う取り付け る ことにより,
水 平 方 向の加 振 力は互い に打ち消し あい鉛 直 方 向の加 振 力の み得ら れる仕 組み となっ てい る。
モー
ター
の 回転 数は電圧に よ り制 御で き, 回 転 数 を振 動台の 固有振 動数と一
致さ せ るこ とによ り,
安 定した正 弦振動を得ること が で き る。 ま た加 振 力は,
回 転 体のね じ棒の 直径,
長 さ お よ び ナッ トの質量,
個 数の組 合せに よ り種々変化さ せ るこ と ができ る。 な お振 動台上のCRT
は,
ゴム製脚を取り除いたうえ で振 動 台に強固に固定さ れて いる。 以 上に述べ た試 験 装 置 を用い て, 振 動 台の振 動 特性お よ び 正弦 振 動 用 加 振 装 置の加 振 力の組 合せ を種々変 化さ Nα fadN 臨 f 日 d 13,
51.
9440.
21911,
525,
24a.
3 23,
53.
2767.
72D11,
544,
986.
o 33.
56.
311312111.
579.
8153 43.
59、
511 “72211.
5111213 53.
513.
12712311.
5152291 63.
519.
84102411.
5230441 74.
53、
7346.
72515,
050.
156,
4 84,
56,
1677.
12515.
D91.
191.
3 94.
511.
21402715,
0132149 工o4.
515.
61952815.
o251283 114.
522 江 2了5z915.
O354399 124.
529、
03633015.
o437492 136.
57.
9147.
43120.
O95.
660.
5 145.
512.
4 ?4.
33220.
o14390.
6 156.
520、
61243320.
O23715D 155.
529.
61773420.
o357226 175.
54 日、
12763530.
O18450.
1 185.
574.
24453630、
o29580、
3 3730 』 438119 Na:検 査 試 料ナ ンバー
f :固 有 振 動 数 (Hz > a :加速 度振 幅 (GaD d :変位 振幅 (μ m) せ なが ら予 備 検 査 を 行い,
最 終 的に表一
2に示す37
種 の振 動 数,
振 幅の組 合せで振 動 するCRT
を検 査 試 料 と して設定し た。 な おCRT
の振 動 数,
振 幅 は,
振 動 台の パ ネル 上板 裏面に取 り付 け た加 速 度 計 (リ オ ン社 製PV −84
B
)で測 定し た 。 試 験装置の 製作お よ び検査 試料の設定にあ たっ て は,
以 下の点に留意し た。・
振 動に よ り見に く く な る程 度 を検 討す る うえで主 要と 思 われ る振 幅の範 囲 を十 分 包 含し, かつ 2.
で述べ た と同等の振 動 数 範 囲 を有する試料群と する。
・
検 査 員に疲 労, 倦 怠 を感じ さ せ ない試 料 数 とす る。
。 検 査 期 間 中,
振 動 性 状が変 化し ない試 料 とする。
4,
1,
1.
3
検査 員 検 査員は健常な成 人 男 女 併せて 10名 と し,
検 査 後 必 要が 認 め ら れ た場 合に は適 宜追 加する こと とし た。
検 査一
45
一
員の視 力 (矯 正 )の範 囲は
0.7〜1.
5
であっ た。
なお老 人,
視 覚障害者な ど を対象と し た場 合, 振 動に よ り見に くくな る程 度の序 列 に変化 は ない もの の判 断 範 ちゅうの選 択には差がでること が予想さ れ る た め,老 人, 視 覚 障害 者な ど を も検査員と す るのが 理 想 的であるが,
現 実 的に は 困難であっ たこ とか ら,
本 検 査で は検 査 員の 層か ら除 外し,
今後の課 題と す ること とし た。
老 人,
視 覚障害者など を対 象 とし た場 合の評価は,
生 理 学 的,
人 間 工 学 的 知 見な どをふ ま え たうえ で本 検査結 果に基づい て類 推す るの が, 現 時 点で は最 も妥 当な方 法と考え る。 4.
ユ.
1.
4 画 像,
観 察 条 件な どCRT
の画 像は,
表一
3に示す3
種と し た。
この うち 画 像A は通 常の使 用 状態に お ける画像の う ち非 常に見や すい画 像の代表と し て設定 し たもので,2〜3m
離れ た 位置か らでも表示内容を 明確に読み取る ことがで き る。
ま た画 像C
は非 常に見に くい画像の代 表と し て設 定し た もの で,20− 30cm
の位置ま で近づ か ない と表 示 内 容 を 明確に読み取ること がで き ない。
さ らに画 像B
は見に く さ が 画 像A
とC
の中 庸でかつ一
般 的な画像の代表と して 設 定し た も の で,40〜60cm
の位 置か ら表 示 内 容 を無 理 な く読み 取 るこ と がで きる。
各 画 像の設 定にあたっ ては,
文字の輝度お よ び背 景と の コ ン トラ ス ト,
表 示色,
大き さ などに関 する既 往の研 究 成 果3)−
6)を参 考に し た。 画 像の見に く さ に影 響す る要因の ひ とつであるη 周 囲 の照 度は,
事 務室にお け る一
般 的な 照度の範囲に ある570
lx
(CRT
正面中央に おける値)とし た。 ま た 通常の使 用 状 態の範 囲 内で は,
振 動に より見に く く な る 程度の判 断に視 距 離 を含む観 察 姿 勢の影 響は少な い と想定され たことか ら, 観 察 姿 勢は特に規 定せず,
各 検査員ごと に自由 とし た。
4.1.
2.
官能検 査 経過, 結果お よ び心 理 学 的 尺 度の構成 4.
1.
1.
で述べ た条 件の ほ か に, あくまで も固 定 台 上 のCRT
の画像と比 較し振 動 台 上のCRT
の画 像がどの 程 度見に くい か を判 断の対 象と する こと,
鉛 直 方 向の振 動 以 外の要因の影 響は判 断に い れ ない こと,
観 察姿勢 は 検 査 員,
画 像ご とに検 査 中ほ ぼ一
定に保つ こと,
疲れ た ら自由に休め るこ と な ど を条件に官 能 検 査 を実 施し,
基 礎デー
タ を得た。
検査中の 検査員の 視距離は お お む ね・
20〜
70 cm で あり,
ひとつ の判 断に要す る時 間は10−
60sec 程 度で あっ た。
検 査 中 固 定 台 上のCRT
に は,
4,
1.L1
で述べ た 理由か ら常に振 動 台 上のCRT
と同一
表一
3CRT の画像の仕様 画 像A 画 像B 画 像C 表 示 内 容 アル フ ァ ベ ッ ト大文 字 (順 序はランダム ) 文 字 輝 度 57.
5cd/ 1了.
Ocd/ 6.
5cd/ 文 字 表 示色 白 青 文字の大き さ 5.
Ox5.
O皿 囗 4.
5×2.
5 4,
5× 2.
5 文 字 20x40 25XBO 25XBO 注 ) 文 字 背 景の輝 度はOcd /、
色は黒である。 CRT の サ イズ は14イン チ で あ る。一
46
一
表一
4 分散分析結果 画 像A〜
C 分 散 比 寄 与 率 正弦 振 動 主 効 果 38.
046”
76.
56 % 個 人 差 15.
63ボ 2.
4區% 画 像A 分 散 比 寄 与 率 減衰 振動 主効果 43.
665”
73.
93% 個人差 29.
130”
8.
44% 注 ) 分 散 比の欄の”
印 は、
危 険 率1%で有 意である こ とを表す。 の画 像を提 示し た。 な お加 速 度計 (4.
1.1.
2
参照 )に よ り,
振動台上のCRT
が所 定の 振 動 数, 振 幅で正 弦 振 動 してい るこ と を常時 確 認した。
官能検査の結果 得られた基 礎 デー
タの分 散 分 析 結 果 を 表一
4の“
正 弦 振 動”
の欄に示 す。
主 効 果の分 散比 が高 度に有 意で ありかつ 寄 与 率も 大 き い ことか ら,
画 像の見に く さに十 分な差が あ るこ と,
本 検 査 自体が有 効であ ること が わ か る。 ま た個人差の分散 比 も有 意とな っ て い る がこの種の 刺激 を対 象と す る検査 で は通 常 有り得ること,
分 散 比,
寄 与 率ともに主 効 果の 分 散 比,
寄 与 率と比 較 して小さい こと か ら,
構 成さ れ る 尺度は個 人差が内包さ れる もの の十 分 有 効であ り, 検 査 員の追 加 も必 要な い とみ なすこ と がで き る。 特に,
観 察 姿 勢を各検査 員ご と に自由と し た に も か か わ らず 上 述の よ う な 分散分析 結果 が得ら れ たこと か ら,
当 初の想定どお り, 観 察姿勢の影 響は検 査 試 料の刺 激の 差と比 較して十 分 小さい こ と も確 認で きた といえる。
以 上か ら,
官 能 検 査の結 果 得ら れ た基 礎デー
タを用い,
尺 度 構 成理論Z}に従っ て見に く さ評 価尺度1
を構成 し た。 e 国 6543 画土
・吝
1辰
0 e り 6543に
馳 ‘ ” V 遅 駅 回 3 4 5 6 7 画 像A
の尺度 値 図一
3 画像B,
Cと画像Aの 尺度 値の関 係4
ユ.
3.
考 察 図一
3に, 見にく・
さ評 価尺度1
上の画像B ,C
に対す る尺度 値と,
画 像A
に対す る 尺度 値との関係を 示 す。
図 中の記号は振 動 数に よ り分類し た も の で あ る。’
図か ら, 3.
5〜
11.
5Hz の検 査 試料の尺度値は画像に よ りほ とんど変 化 し ない の に対し,
15.
O〜30.
OHz
で は 変 化す ることが 分か る。
この こと は, 振 動に よ り見に く くな る程 度の判 断に振 動 数の 要因 も関与して いること,
15.
O〜
30.
OHz で は振動 以 外の要 因に よ る画 像 本 来の見 にく さを 評 価の際の要因 と し て 取 り 入 れ な け れ ば な ら な い こ と,
また逆に 3.
5−
ILsHz で は振 動に より相対 的 に見に く く な る程 度 を 画像 本 来の見に く さ と は 関係な く 評 価できる可 能 性が高い こと を示 唆し てい る といえ る。
4.
2.
心理 学 的 尺 度と対 応す る物 理 量の提 示 4.
1.
1.
2で検査試料と して設定し たCRT
の振 動 数,
振 幅を,
振 動 数・
振 幅 平 面上に示し たのが図一
4で ある。
図の縦軸は速度振幅で, 右下が りの 直線は加 速 度 振 幅, 画 像AlO 5 ( 28tO \ 19 ) 卑 o,
5
β.
2 0.
1 O.
05 2 7 画 像B 右上 が り の直線は変位振幅を そ れ ぞ れ表す。
、
ま た図 中の 点の大き さ は,
見に く さ評 価尺度1
上の尺 度 値が表一
1 に示 す一
の どの範 ちゅう と範ちゅうの間に属する か に よって分類し た も の であり, 点 が 大 きい ほど振 動によ り見に く く な る度 合いが大きいこと を意 味 する。 図か ら, 振 幅と 見に くさ評 価尺度1
に は有 意な関 係が あ り,
特に変位 振 幅が比 較 的よい対 応 を示 す と想 定で き る。 図一5
に,
見に く さ 評価尺度1
と変 位 振 幅との関 係を,
画像ご と に示す。
図中の記 号は振 動 数により分 類し たも の であ る。
図か ら,
変 位 振 幅が増 加する に従っ て見に く く な る度 合いが増 加する傾 向が明確にうかが え る が,
振 動 数の影 響で両 者の対 応に幅が あ ること,
対応め幅は画像に よ り 異な る こと がわ か る。さ らに振 動 数の影 響につ い て詳 細に検
討
する と, 両 者 の関 係は お お む ね3.
5− 4.
5Hz
, 6.
5〜
ILsHz,
15.
O一
画 像C 51020 2 51020 2 5102050鋤 数 (・・)
図
一
4 振 動 数・
振幅平 面に おける判 断 範ちゅう 間の分布 6髢
5匿
、驚
、遊
2Ptご
建 1麒 0 20 50 100 200 500 20 50 100 200
.
500 20 50 100 200 500 10001
変 位 振 幅 (μm).
図一
5 見に くさ評 価 尺 度1
と変 位 振 幅の関 係 (その1,
画像ご と) 画「
A・
画 像B 画 像C 十X触
十
X
碧
・・
馬
、」
も
呼
を ゜穿
蕪
1 +
●■ ミうx
’ け
ら
蠕
塩
X’
0■
窒
● 偶十 ; 3
.
5Hz X : 4.
5Hz ● : 6,
5Hz ■ :11.
5Hz O :15.
O月z ロ :20.
OEz ▲ :30.
OHz 、婁
瞥鈩
u
》一
47
−
、
30
.
OHz の 3 種の振動 数領 域ご とに傾 向を異に して いる こと,15.
0〜30.
OHz
で は4.
1.
3
で述べ た と お り画像 本 来の見に く さの影 響で両者の対 応が変化し て お り, こ の こと が 画 像に より対 応の幅 が 異な る原 因 と なってい るこ とがわ か る。
こ の よ うな振 動 数 領 域によ る 違い は, 振 動 するCRT
の画 像の見え方の違い に よるもの と考えられる。
すな わ ち3.
5−
4,
5Hz で は画像の振 動は上下の往 復 運 動とし て 視 覚 的に とらえること ができるの に対し,
6.
5Lll.
5Hz で は上 下の往 復 運 動は速す ぎて視 覚 的に とら え る こと が で き ず“
ち らつ ぎ’
が発生 する こ と,
さら に 15.
O−
30.
OHz まで速く な る と “ ち らつ き”
は消え画 像の文 字 はひとつ の融合し た像と して見え ること が,
官能検査時 の検 査員の意 見 お よ び 筆 者 らの判断 な どか ら 明 らか に なっ た。
こ の ことは振 動 する視 標 と視 力 との関 係に関 する既 往 の研 究 結 果ともお お む ね一
致する。
すな わち大 島は,
17 Hz 以 上では振 動に よる視 力の低 下の度 合い に変 化はな い こと, O〜
ユ7Hz の範 囲で は振 動 数の増 加に伴い視 力 が低 下するが,
こ れ は視 標が振 動し て見える領 域か らひ とつ に融 合し てみ え てくるまでの過 渡 的 な 現 象 と考えら れ る こ と を 報 告してい る帥・
9)。
さ らに大 島は,
速 度と視 認 能 力の関 係につ い て,
回 転また は往復 運 動す る もの は,
速 度 増 大に伴っ て ち らつ き を感じさせ,
さ らに速 度が増 大す る と融 合 し た像を み せ るこ と に な る と 述べ てい る10}。
ま た本研 究と類 似する刺 激 を対 象と した生 理 学, 人 間 工 学の分 野で の既 往の研 究におい て も,
同 様の結 果がい くつ か報 告さ れて いる。 す な わ ちBartleyは,
白と黒の 視 標を所 定の振 動 数に従っ て交互に被 験 者に提 示す る一
種の フ リッカー
試験におい て,5.
OHz
以 下を純粋に臼,
黒の繰 返し が感じ ら れ る領域,5.
0− 13.3Hz
を“
ち ら つ き”
が感じ られる領 域,
13.
3Hz 以上 を“
ち らつ き”
が感じられず一
様な明る さのみ感じ ら れ る領域と して求 め,
そ れ ぞ れを “Pulse
領 域”
,
“Flicker
領域”,
“Talbot
領域” と して提示して い る1°} 。 ま たDuke−Elde
τは,
所 定の振 動 数で等間 隔に明滅する不 連 続 光を刺 激と し た 研 究におい て,
“
ち らつ き”
に よ る不快感が最も著しい の は 10Hz 前後で ある とし て い る11}。
さ ら にKelley
は, 輝 度の正弦 波 変 調に対す る ちらつ き感 度につ い て, 最 高 感 度 を得る振 動 数の範 囲は5〜20
Hz
で あ る とし てい るlt 〕−
14] 。 これ らの研 究は明 暗の繰 り返しを対 象と し て い る点で本 研 究と は異な る が,“
ちらつ き”
の発 生の観 点からは往 復 運 動による刺 激 も 明 暗の繰り返しの一
例と して と ら える こと ができる ことか ら,
ふ たつの現 象に本 質的 な 違いは ない と み な すこと がで きる。 以 上か ら本研究で は,5.
OHz
以 下を領 域1
,
5.
0〜
13.
3Hz を 領 域ll
,
13,
3Hz
以 上 を領域皿と し たうえで,
各 領 域ごとに見に くさ評 価 尺度1
と変位 振 幅 との関係を 検 討する こと とし た。
図一6
に,
見に く さ評 価 尺 度1
と変 位 振 幅 との関 係 を,
振 動 数 領 域ご とに示す。 図 中の記 号は画 像に よ り 分類し たもの で ある。4,
1.3.
で述べ た と お り,
領 域1
,
ll
で は画 像 本来の 見に く さ と は関 係な く振 動により見に く く なる程 度を評 価で き る可 能 性が高い ことから,
図 中 点 線で示すごと く 対 応の中 心 傾 向 を 示 すひとつ の 曲線 (以 降,
“
対 応 曲線” と記す)を描くこと がで き ると考え る。一
方 領 域皿で は 画像 本来の見に く さを要 因と して取り入れ る必 要 が ある こと か ら, 図 に 示 す ご と く画 像ご と に そ れ ぞ れ異な る対 応 曲 線 を 描くの が適 当と考え る。
さ らに本検査で設 定し な かっ た他の 画 像の場 合 も, 本 来の 見に く さ が画像 A〜
C の間で あれ ば,
領 域1
,ll
の場 合は同一
の対応曲 線が,
ま た領 域 皿の場 合は画 像 A− C
の間の対 応 曲線 が得ら れ ると想定でき る。以上か ら
,
見に く さ評 価 尺 度1
と対 応 する物 理 量, す な わ ち正 弦 振動に よ り見に く く な る程 度の画 像ごとの相 対的序 列を 表 す物理 量 と して,
領 域1
〜
皿1
の 3種の振動 数 領域と ともに変位 振 幅を提 示 する。 た だ し提 示し た物 理 量 は あ く まで も相対 的 序 列 を表 す もの で あり, 変位振 76 5 4 3 2 1 0 ↓ 二 〉 堪 駅 園 偲 匡 週 齔 杓 〉 ”鰤
眠 振動 数 領 域 1 振 勦 数 領 域 H 振 動 数 領 域皿戰
冒一一一一
で\
蓐
一一一
一一一
一一
7
喜
一一一一一一一一
_ 一一,,一
騨
一..一一一一
一
馬
輸
雫
o,
一
一
一
_
_
_
_
一_
_
一
__
畔一儒一一一
一
一一
一喞一曜一一一
一一
\
\_
_
燃
一
一
一
一
一一一
喰
二
冒冒一一一一一一一一一
一
一一一
騨冒一一一一一一一一
\
一
一
_
“F,舮一一
一
一}嘗申一一
冒一一
一一
7−一
一F }凾一一
一一一一,
一一一一一一一一一一 一一腑
一 一
一一一
一r一辭一一
薗一_
『,卩一一一一
+O :言画 像画像AB O :画 C一一一一卩一一一
2050
100 200 500 20 50 100 200 500 20 50 100 200 500 1000 変 位振 幅 (μm) 図一
6 見にくさ評 価 尺 度1
と変 位 振 幅の関 係 (その Z,
振 動 数 領 域ご と)一
48
一
1000 500R5 卑 200 100 50 O5 数 皿 動 域
.
振 領 201
ー
ト ー一
」
.
」 〜 : 十ー
赳
ー C 画 数 H 動 域 振 領 数 ー 動 域 振 領一
、
鯛
一
.
軸
IiI
己
■16
ー ー ー暫
1 ー霤
ー
ー 1「
ー一
}
}
一
.
一
皿
10 5 数 皿 動 域 振 領 20iLL
「
ー
」 「 亅 牛 ー 「 〜 − 」 −1
数 ∬ 動 域 振 領l111
恥
七 」.
トー
一
「 10 5 B 画 数 ー一
韆
一
一
一
一
2 数 皿 動 域 振 領 20ー
ーー
」 ー1
」
卜「
」 dlの
ー A 面 数 n 動 域 振 領 数 − 動 域 振 領一
ー
1
」 1.
i
−
ー − 1 − 」}
一
90
白「
騨
Ir一
■
4
一
「
・
10 5 2 振 動数 (Hz
) 図一
7 振 動数・
振 幅 平 面に おける判 断 範 ちゅうの位置 幅が同じで も見に く さ評 価 尺度1
の絶 対 値は振 動 数 領 域,
画像 (領 域1
旺の場 合の み)に よ り異な ること に留 意 する必要が ある。 4.
3.
正弦 振 動の 場 合の 評 価指標の提 示 図一6
に示し た横 軸に平 行な〜
の破線は,
表一
1 に示 し た 判 断 範 ちゅうの見 に く さ 評 価 尺 度1
上の位 置を 表すもの である。
こ れ らの破 線と対 応 曲 線との交点を求 め,
振 動 数・
振 幅 平 面 上に画 像ごとに示 し たのが 図一7
である。 図の縦 軸は変 位 振 幅である。
本 研 究で は図一
6,
7を,
正弦 振 動の 場 合の評 価 指 標 と して捷 示す る。 提 示した評価指 標は,
評価対象と す る正 弦 振 動の振 動 数が領za
1
,
旺に属す る場 合,
画 像に関 係な く適 用 可 能 であ る。一
方 領 域 皿に属す る場 合,
画 像 本 来の見に く さ を要因 と し て取り入 れる必要が あるが,
図一
6に お い て 本 来 見や すい画 像ほ ど振動に より見に く くな る度 合い は 大きい傾向が 明 確に認め られることか ら, 本検 査で設 定 しな か っ た他の画 像の場合の評 価も,
本 来の見に く.
さ が 画 像 A〜
C の間であれ ば類 推 可 能と考え られ る。0
o
用 加 装 電 磁 石齋
一
綬衝 材 落 下 高 さH5.
減寰 振動の場合の評価 指標の提示 5.
ユ,
減 衰 振 動する.
CRT
の画 像の見に く さに関 する心 理 学 的 尺 度の構 成 5.
1.
1.
心 理 学 的 尺 度 構 成の ための官 能 検 査 心 理学 的尺度 構 成の ための官 能 検 査の概 要 を表一
1の“
減 衰 振 動に関す る検 査”
の欄に示し た。
以 下に主 な事 項につ いて説 明 を加え る。
5,
Ll .
1 構 成す る 尺度お よ び 尺度 構 成 手 法4.1.
1.
1
で述べ た と同様の理由か ら, 構 成す る尺 度は 減 衰 振 動に よ り画 像がど.
の 程 度 見に く く な るかを表す尺 度 (以 降,“
見に くさ評 価 尺 度 皿”
と記 す )とし,
尺 度 構 成 手 法は系 列 範 ちゅう法2,とした 。 判 断 範ちゅう は,
4.
1.
1.
1で述べ た と同一
であ る。
5.
1.
1.
2
検査 試料 4.
1.
1.
2で述べ た試験装置を用いて, 振 動台上と固定 図一
8 減衰振動 用 加 振装 置の概要 台 上のCRT
の 画像の 見 に く さ を比 較さ せ るこ と と し た。
た だ し加振装置に は, 正弦 振動用加振装置に代わ り 図一
8に示す減 衰 振 動 用 加 振装置 を用いた。
減 衰 振 動用加 振 装置 は,
振動 台 とは独立 し た 架台とこ の架 台に取り付け られた電 磁石 お よ び落 下体, 減 衰性の 大 きい緩 衝 材からな り,
電 磁 石の スイッチを切 り落下体 を所 定の落下高さ から緩 衝 材の上に落下 させ る こ と によ り,
減 衰 振 動を発 生さ せ る仕 組みとな っ て い る。
減 衰 振 動用加 振装置の加振 力は,
落下 体の質量 と落下高さの組 合せ によ り種々変化 さ せ ること がで き る。
以 上に述べ た試験 装置 を 用い て, 振 動 台の振 動 特 性お よび減 衰 振 動 用 加 振 装 置の加 振 力の組 合せを種々変 化さ せ ながら予 備 検 査 を 行い , 4.
1.
1.
2で述べ たと 同様の点 に留 意し ながら,
最 終 的に表一
5に示す 53種の振 動 数, 振 幅, 減 衰 定 数の組 合せで振 動す るCRT
を検 査 試料と して設 定し た。
図一
9に検 査 試 料と して設 定し たCRT
の振 動の一
例 を示す。
図 中の 変形・
時 間 曲線は, 予 備検査 時に振動台 のパネル上 板 裏面
に取り付け た変 位 変 換器 (共 和 電 業 社 製 DLT−
30 A :不 動 点に支 持 )に.
よる測 定 結 果で あ る。
な お本 検 査では,
1回の加 振に より発 生 する振 動 を判 断の対象と す ること と し,
振 動の発生頻 度,
繰 返し周 期 などに関す る検 討は今後の課題と し た。
一 49 一
表
一
5 減 衰 振 動に関ずる検 査 試 料の仕 様 血 fhD 田aKDst 唖 fhDmaxDst 14、
55.
4018066.
B2912.
55.
4612221,
5 24.
55.
4026490.
13012.
55.
4621940.
7 34.
55.
403851333112.
55.
4635850.
0 44.
55.
406862593212.
55,
4647267.
7 54.
55.
401 亘册 3413312.
55.
4669393,
8 64.
81.
9916042.
13412.
55.
4E11 ユ0179 74.
呂 1,
9923361.
53515.
02.
D110 祖 110 84.
ai.
9934794.
33615.
02、
Ol1 駐O23、
5 94.
B 上.
9959 駐 1723715,
0Z、
0129224.
1 104.
81、
9912303153815,
02.
0147635.
7 ll7,
03,
2719924.
729 星5.
D2.
019 昼767,
7 L27.
03、
2717834.
94016.
57.
3595,
510.
童 夐37.
o3.
2725446.
94116.
57.
351 丁618.
8 147.
o3.
2了 45076,
84215.
57,
3533537.
7 157.
o3.
2了 Tgo1424316.
57.
3553964.
0 167.
o3,
2711701914416.
57.
35855 /05 1了 11.
o13,
0712524,
54519.
51.
1491.
3E.
40 1B11.
O13.
071 呂535,
64619.
51.
1415519,
7 1911.
013.
0τ 32268,
94719.
51.
1429332.
0 2011.
D13.
075191014819、
51.
14 嘆9135.
5 2111.
O13,
D7 ε501604919.
5 重.
1478064.
o 2211.
O13.
0711402145027.
53.
5299.
55.
47 2311,
01.
2498.
710.
85127.
53.
5218514.
6 2411.
01.
2414917.
95227,
53.
5231715.
7 2511.
D1.
2424926.
15327.
53.
5249433.
5 2611.
01.
2440459.
O 2711.
O1.
2475477.
7 2811.
01、
241270 鹽go M :検査 試料ナンバー
f :固 有 振 動 数 (Hz) h :減 衰 定 数 (% ) Dmax :最 大 変 形 量 (μ m :図一
9 参 照 ) Dst ;落下 後の落下体の重量に よ る静的変形 量 (μ m ;図一
9参照 )5.
1.
1.
3 検 査 員 検 査 員は 4,
1.
1.
3
で述べ た と同一
の健 常な成 人 男 女 併 せ て 10名とし た。 老 人,
視 覚 障 害 者など を対 象とし た 場 合の考え方は,
4,
1.
1.
3で述べ たと同様で ある。
5.
1.
1.
4 画 像,
観 察 条 件 な どCRT
の画像は4.
1.
1.
4で述べ た 3種と する のが望ま しい が, 検 査 試料数 が 膨大と な る た め 1種と す ること と し,
さ らに安 全 側の評 価 指 標 を 得れば本研究の目的は達 成で き ること か ら,
4.
の結 果 を 参 考と して画 像A
を選 定し た。
つ まり 4.
3.
で述べ た と お り, 図一
6に お い て 本 来見や すい画像ほ ど振 動により見に く く なる度 合い は 大きい傾向が明確に認め ら れ たこと に よ る。
な お他の画 像を 対象と し た 場 合につ い て は本 検査結 果に基づい て考 察を加え ること と し た。 変形・
時 間 曲 線哥
蓐
幽
1 1十
・・i
・m−
・… /・・ IJ l−一
→ I l 丶 1 ∩ 1 、 ll
丶丶
↓
。_
一…
一一一
、
ま た 周 囲の照度, 観察 姿勢は, 4.
1.
1.
4で 述べたと 同様 とし た。
5.
1.
2.
官 能 検 査 経 過,
結 果および心 理 学 的 尺 度の構 成 5.
LL で述べ た条 件の ほ かに,
4.
1.
2.
で 述べた と同様の事項を条 件に官能検査を実 施 し, 基 礎デー
タ を得た。
検 査は,
検 査 試 料を 検 査員の要求に応じて数回提 示し た後, そ の 検 査 試 料に対す る判 断 を 求め る方 法で行っ た。
ま た検 査 試 料の提 示の際に ば,
検 査 員に あら か じめ落 下 体の落 下の タイミ ング を知ら せ た。
な お検 査 中 加 速 度 計 (4.
1.
1.
2参 照) に よ り,
振 動 台 上のCRT
が所 定の振 動 数,
振 幅, 減衰定数で減衰振動 してい る ことを常 時 確 認し た。
官 能 検 査 状況 を 写真一
2に示す。
官 能 検 査の結 果 得ら れ た基 礎デー
タ の分 散 分 析 結 果を表一4
の“
減 衰 振 動”
の欄に示す。 表か ら,
4.
1.
2.
で述べ た と同 様の 理由で,
構 成され る 尺度の有 効 性が確認で きる。
以 上か ら, 官 能検査の 結果得ら れ た基 礎 デー
タを 用い, 尺 度 構 成 理 論 2)に 従っ て見に くさ評 価尺度且 を構 成し た。
5.
2. 心
理 学 的尺 度 と対 応 する物 理 量の設 定 図一
10に, 5.
1.
2.
で構 成し た見に くさ評 価 尺 度H
と,
5.
1.
1.
2で検 査 試 料と して設 定 し たCRT
の振 幅の最大 値, す な わ ち最 大 変 形 量Dmax
か ら落 下後の落下体の重 量に よ る静 的 変 形 量D 。
t を 減じ た値Dmx −DSt
(図一
9 参照)と の関 係 を,
4.
1.
2.
で述ぺ た 3種の振 動 数領域 ごとに示す。 図 中の点の大き さは減 衰 定 数によ り 分類し たもの であり,
点が大きい ほ ど減 衰 定 数が大きい こと を 意味す る。
ま た点線は,
正弦 振勤 を対 象と した場 合の判 断 範ち ゅ う と変位 振幅との関 係を図一
7か ら求め,
図一
6
の“
対 応 曲 線” と同 様の形 式で表現 し た もの であ る。 いずれの振 動 数 領 域で も両 者の対 応に幅 がみ ら れ るも吾
, ’幽
図一
9 減 衰 振 動に関 する検 査 試 料の一
例,’一
,
’ ! 〆 写 真一
2 官 能検 査 状 況一
50
一
口 嗣 興 暖 旧
}
隠 開 柏 V 卩堵
振 動数 領 域1 7 振 動 数領tW
ll 6543丑
2CUJ Lj lat
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Dmax−
Dst (μm) 図一
10 見にく さ評価尺 度 旺 とD,,m。、
−
D。tの関 係 の の,
すべて の点が上 述の点 線よ り上 側に位置して い る こと か ら, 減 衰 振 動に よ り見に く く な る度 合いは,
振 幅Dmax−D
。t の正 弦 振 動, す な わ ち振幅の最大 値が等し く 減 衰 を と もな わ ない振 動によ り見にく く な る度合い より か な り小さ く,
そ の差は減 衰 性 状の違いに よ り変化 す る ことが わ か る。
さ ら に図か ら.Dmax−D
。tが ほ ぼ等 しい ふ たつ の減 衰 振 動を 比較した場 合,
減衰定数の大きい方が 必ずしも振 動によ り見に く く なる度 合いが小さいとは限らな い こと が わか る。 また実 際にD
一
D
。tと減 衰 定 数を用い て見 にく さ評 価 尺 度E
と対 応する物理 量の設定を試み た が,
十 分な結 果 を得るに は 至 ら な かっ た。 この こ と は, 振 動 数,
振幅,
減 衰 定 数の3
種の物理 量 だ けでは,
見に く さ 評価 尺 度H
と対 応す る物 理 量が得ら れ ない可能性が高い こと を示 唆 して いる。一
方 筆 者 らは,
人 間の各 種 動 作 時に発生す る居住床お よび運 動競技 施 設 床の減 衰を伴う振 動を触 覚 的観点か ら 対 象 と した研 究におい て,
人 間の振 動 減 衰 感 覚は,
減 衰 定 数な どの振動工学上一
搬的な 物 理 量では表 示で きず, 振 動の 続き具合 を表す物
理量,
す なわち振 幅が所 定の レ ベ ル まで減 衰する の に要する時 間 (以 降,“
振 動 減 衰 時 間”
と記 す )で表 示で きること を 明 らかに して い る15}−
171 。 さ らに筆 者ら は,
図一9
に示し た よ う な振動 が床に発 生 し た場 合の感 覚上の大き さには,
第 1波目 か ら 感 じ ら れ る最初の衝撃の強さ と振動の続き具合の ふたつ の要因が 大き く寄 与し,
かつ 最初の衝 撃の強さ を表す物理量と し て は床の 最大変形 量 と変形 速 度 (最 大変形 量 を変形 が 最 大 値に達す る まで に要す る時 間で除し た値 〉が妥当なこ と,
これ ら と振 動 減 衰 時 間か ら な る物理 量で床振動の感 覚上 の大き さ を表 示で き るこ と を明ら かに して い る]6 }。
これ らの研 究はい ずれ も触 覚 的 観 点か らの研究で あ り,
視覚 的観点か ら の本研究と は大き く異な る が,
減 衰 を伴う 振動に対す る 人 間の反応を扱っ てい る点で あ る程 度の共通性はある と考え, 最大 変 形 量と変 形 速 度お よ び 振 動 減 衰 時 間 を用い て見に く さ評 価 尺 度ll
と対 応す る物 理 量の設定を試みるこ と と し た。
具体的には,
既 往の研 究 成 果15♪を参 考に,
図一9
に示 す最 大変形 量Dmax
と変 形 速 度Vm
(=Dthax
/Tm
)お よび振 幅Dx
までの振 動 減 衰 時間Th
か ら な る以下の モデル式 をたて, 係 数 α,
b
の値 を 変 化 させ な が ら見に く さ評 価 尺度ll
と の対 応を検 討し た。
alo9 (D 、/
Dre
∂十blo9
(Vm
/Vret
)十
IO9
(Th /T.【) こ こでDref
= ユ cmV
.f=
1 cm /secT.
f= =lsec こ こ でD
、 は, 振 動によ り見に くく ならな い限 界の振 幅 に近い 意 味 あい とな ることか ら, 4.
3.
で提 示し た正 弦 振 動の場 合の評 価 指 標に基づいて設 定する こと とした。
す な わ ち振 動に よ り見に くくな ら ない限界を表一
1に示 す判断範ちゅう と仮 定し,』
こ れに該 当 する変位振 幅 を 図一
6,
7か ら振 動 数 領 域ごとに求めDx
とし た。
以 上の条件で種々検討の結果, α=
1.
5, b=
3.
0の と き,
上 記モ デル式の値は見に くさ評 価 尺 度H
と最 もよい 対 応を示すこ と が明ら か と なっ た。
図一1
ユに,
両者の 7 6鳧
・靴
1
裏
豊
1
器
盖
。−
6−
4−
2 0 21
.
5・
log (Dmax/Dref)十3
.
0・
log (Vm /Vref) 十log
(Th /Tref) 図一
11 見にく さ評 価尺 度H
と1.
5・
Log(Dma.
/D.
ef) 十3.
0・
10g{1!77L/Veef) 十log〔Th/T. ,)の関 係一 51 一
関 係を対 応 曲 線と と もに示す
。
以 上か ら本 研 究で は,
下 式で表 され る物 理 量 を 見に く さ評 価 尺 度ll
と対 応 する物 理 量と して設 定 する。
な お設 定 し た物理 量に は間接 的で は ある が,
Dr を 設定し てTh
を求め る過 程を 通 して振 動 数の要因 が加味さ れて い ること を付記す る。
1
.
5・
log
(1
)max /l)ref )十3.
o.
109
(Vm
/Vref
>十