厚生年金基金制度廃止に関する厚生労働省試案 平成 24 年 11 月 2 日、「第 1 回 厚生年金基金制度に関する専門委員会」が開催されました。 当委員会は、厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部(9 月 28 日開催)より公表 された「決定事項」を受け、社会保障審議会年金部会(10 月 24 日開催)で設置が承認されたものであ り、厚生年金基金制度の見直しについて検討を行うこととされています。 今般、別添のとおり 11 月 2 日の委員会で提示された「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)」 を解説した資料「厚生労働省試案「厚生年金基金制度の見直しについて」の概要」を作成いたしました ので、送付いたします。 なお、次回の専門委員会は 11 月 19 日(月)に開催される予定です。当社としましては、今後の専門 委員会での議論等を注視しながら、厚生年金基金制度の運営に携わる皆様を引き続き全力でサポートし ていく所存です。 【関連情報】 (厚生労働省ホームページ) ・厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部(9 月 28 日開催) http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002kpls.html ・第 13 回社会保障審議会年金部会(10 月 24 日開催) http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002mknd.html ・第 1 回厚生年金基金制度に関する専門委員会(11 月 2 日開催(配付資料)) http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002njif.html (弊社年金通信) ・厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部(第7回)について http://www.dai-ichi-life.co.jp/legal/welfare/nenkin_tsushin/pdf/index_12_024.pdf 以上 平成 24 年 11 月 3 日 団 体 年 金 事 業 部 №24-49 第 6 号
厚生労働省試案
「厚生年金基金制度の見直しについて」の概要
平 成 2 4 年 1 1 月
以下の内容は、11月2日の「第1回厚生年金基金制度に関する専門委員会」をもとに、当社が要点等をまと めたものです。実際の資料については、厚生労働省のホームページを参照願います。また、当該報告を当社 なりに解釈したものもありますが、今後、実際に当局から示される施策と異なることも十分想定されるため、第一生命保険株式会社
今回の厚生労働省試案の位置づけ
年月 厚生年金基金制度をめぐる主な動き 2012年 2月 2/24 AIJ投資顧問への業務停止命令 4月 4/13 厚労省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」設置 4/24 民主党WT「AIJ問題再発防止のための中間報告」にて、『基金の廃止』を提言 7月 7/6 厚労省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する有識者会議」報告書にて、 『基金存続』、『基金廃止』の両論併記 7/13 自民党PT「AIJ問題に関するプロジェクトチーム提言」にて『基金存続の選択肢』、 『あるだけ解散の容認』を提言 9月 9/26 厚労省、有識者会議を受けた資産運用規制の見直し、財政運営ルールの見直しを公表 9/28 厚労省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別対策本部(第7回)」にて、 『基金廃止方針』を打ち出し 11月 11/2 厚労省、基金制度の今後のあり方を検討するための専門委員会(第1回)を開催、基金制度を 10年間で廃止することを柱とした試案を提示 今後 法律改正事項のため専門委員会、年金部会での議論を経て、来年3月を目処に法案を国会に提出予定 今回の試案は、9月28日に厚生労働省が特別対策本部にて厚生年金基金の廃止の方針を打ち 出したことを受け、11月2日に開催された専門委員会にて厚生労働省が提示した、たたき台 の資料です。今後、委員会での議論を経て、内容が変更となる可能性があります。 今回特例解散制度の見直しによる
「代行割れ問題」への対応
基本原則
モラルハザードを防止し早期の対応を進める観点から、明確な適用プロセスと適用条件を 設定し、法施行日から5年以内で申請するものとする。 厚生年金基金自身が以下の観点から運営努力に努めていること。 ①代行部分の積立不足は基金の母体企業が責任を持って負担することが前提であり、掛金の 適正な設定、給付抑制のための措置を実施していること。 ②基金全体の平均的な資産構成割合を大きく外れた運用を行った結果の不足は母体の負担と すること。 母体企業への影響を配慮すること。 ①過度の母体への負担が地域経済・雇用へ与える影響を踏まえ、母体企業の経営に一定の配 慮を行う。 ②母体企業の資金調達の問題については関係省庁と連携を図る。特例解散のプロセス
1.解散の類型 代行割れとなっている基金が厚生労働大臣に申請する「自主解散」を基本とする。 代行割れの度合いが一定率以上かつ自主解散を申請しない基金について第三者委員会の議 決をもとに解散を促すしくみ「清算型解散(仮称)」を導入。 2.プロセスの透明化 特例解散の適用を「厚生年金基金解散審査会(仮称)」にて判定する。 審査会では「清算型解散(仮称)」の要件に合致しているか、「特例措置」の適用条件に 合致しているか等を審査する。 3.代行資産の先行返還制度の導入 特例解散の申請時点以後、年金記録の整備に先行して代行資産を返還できる仕組みを創設 する。特例措置の見直し
1.現行の特例措置の見直し現行
見直し後
適用条件
以下のいずれも満たすこと。 ①掛金の適正な設定を行っているこ と、又は基金全体の平均を超える掛 金率を設定していること。 ②給付抑制のための必要な措置を実 施してること。 同左 ③ 成熟度条件として以下のいずれ かを満たす。 • 前事業年度において給付が掛金を上 回っていること • H8年4月以降に代行保険料率が免 除保険料率を上回ったことがあるこ と、もしくは設立からH8年3月ま でに代行給付に要する掛金が免除保 険料を上回ったことがあること。 ④ 設立事業所の経営が悪化してい ること。 廃止?特例措置の見直し
1.現行の特例措置の見直し現行
見直し後
納付額の
特例
以下のいずれか低い額 ①最低責任準備金 ②基金設立時から厚生年金本体の実 績運用利回りで免除保険料と代行給 付費等をころがした金額 同左分割納付
の特例
最大15年の期間で分割納付が可能。 同左 各事業所の連帯債務あり。 連帯債務を無くし解散時に各 事業所の債務を確定。 分割期間の利息は厚生年金本体利回 りを適用。 固定金利とする。特例措置の見直し
2.追加される特例措置(新特例措置)適用条件
現行の適用条件に加え、以下のような条件を勘案した客観的数値に よる指標を満たすこと。 基金の成熟度 これまでの基金の健全化努力新特例の内
容
以下のA案、B案のいずれを採択するか今後検討。 A案:最長納付期間を延長 B案:納付額を最低責任準備金と「新特例額基準額」のいずれか 低い額とする。 (新特例基準額の例) 保有資産に「全基金の上乗せ掛金の平均(掛金率で2.4%程度)の α年分」(=負担上限額)を加えた金額。 •αは分割納付の最長期間(10年、15年など)を参考として設定。 •ただし、保有資産が「代行部分について全基金の平均的なポート フォリオで運用していたと仮定した金額」を下回る場合には当該下 回る部分は母体が負担したうえ、平均上乗せ掛金を加算する。 現行の特例額<新特例額の場合は現行の特例額が使える。特例措置の見直し
3.受給者の適正な負担 既に解散、代行返上した基金との公平性を確保する観点から特例解散制度の適用を受ける 基金の受給者にも一定の負担を求める。 具体的には、上乗せ給付は特例解散申請時点から支給を停止する。(現行では解散認可日 より支給停止される。)(参考)現行の納付額特例の計算
基金設立時 平成11年9月末 解散時 年金資産 凍結時点の 旧最低責任準備金 コロガシ計算: 免除保険料等の収入 -代行給付費等の支出 +利息(本体利回り) 最低責任準備金 現行基準の 穴埋め額 特例による 穴埋め額 コロガシ計算 減額責任 準備金 相当額 年 % 年 % 年 % 年 % 年 % S41 6.45 S51 6.60 S61 7.17 H8 5.34 H18 2.73 S42 6.37 S52 6.93 S62 7.16 H9 5.24 H19 6.82 S43 6.41 S53 7.03 S63 7.11 H10 4.99 H20 3.10 S44 6.47 S54 7.13 H1 6.77 H11 4.66 H21 △3.54 S45 6.46 S55 7.00 H2 6.29 H12 4.15 H22 △6.83 S46 6.45 S56 6.88 H3 5.94 H13 3.62 H23 7.54 S47 6.46 S57 7.06 H4 5.90 H14 3.22 H24 △0.26 S48 6.47 S58 7.25 H5 5.97 H15 1.99 H25 2.17 S49 6.47 S59 7.22 H6 5.82 H16 0.21 S50 6.38 S60 7.20 H7 5.52 H17 4.91 【コロガシ計算の利息を算出する際の利回り】(参考)新特例基準額の考え方
●前提
・最低責任準備金=200億。 ・代行部分について基金全体の平均的なポートフォリオで運用していたと仮定して計算した額=150億。 ・加入者数=5,000名、加入者の平均給与=30万。 ・α=10年。 (例1)資産=100億 ①+②=93億が基金負担 最低責任 準備金 200億 (1)負担上限額の計算 5,000名×30万×2.4%×10年(120ヶ月)=5,000名×86.4万=43億 (2)母体負担額の計算 (例2)資産=150億 ①=43億が基金負担 資産 150億 ①43億 (例3)資産=180億 ①=20億が基金負担 ①20億 (負担減なし) 資産 180億 資産 100億 ②50億 ①43億 最低責任 準備金 200億 最低責任 準備金 200億 負担減7億 負担減7億(参考)新特例基準額の試算
●前提 •平成23年度決算結果をもとに算定する。 •P.15に記載のとおり「期ずれ」が解消されるため、最低責任準備金(継続基準)ベースで算定する。 •「保有資産が代行部分について、全基金の平均的なポートフォリオで運用していたと仮定した金額を下 回る場合」の当該下回る金額の母体負担は考慮しない。 •αは厚生労働省試案の10年、15年に加えて5年の3通りで試算する。 1.当社幹事基金における試算 ●結果 •最低責任準備金>保有資産+負担上限額となるケース、すなわち現行の最低責任準備金に比べて穴埋 め額が軽減されるケースは当社幹事54基金中、αに応じて以下のとおりとなり、効果は限定的と推定 されます。 •全基金の平均的なポートフォリオの差による母体負担を加味すると負担軽減となる基金はさらに減少 するものと推定されます。(参考)新特例基準額の試算
●前提 •代行割れ基金の加入者数は187万人とする。 (「第1回 厚生年金基金制度に関する専門委員会」の資 料2) •平均給与は30万円とする。 •α=10年で試算する。 •代行部分の運用について基金平均を下回る部分は考慮しない。 2.全国の代行割れ基金を対象とした概算 ●推察結果 •負担上限額=187万人×30万円×2.4%×10年×12月=1.6兆 •H23年度末の代行割れ基金の積立不足額=1.1兆 代行割れ基金の積立不足額1.1兆に比べ、負担上限額の合計1.6兆が大きいことから、ほとんどの基金 が最低責任準備金に到達する部分まで穴埋めが必要と推定され、「基本原則」に記されている代行部分 の積立不足は基金の母体企業が責任を持って負担することが前提という考え方に沿ったものと考えられ 全国の代行割れ基金に対して、負担上限額の計算を簡便的に行い、どの程度負担軽減となるのか以下、推 察しました。現行の最低責任準備金の計算方法の見直し
1.代行給付費の0.875の見直し ■当年度末最低責任準備金=前年度末最低責任準備金 +代行部分の掛金-代行部分の給付 +国の厚生年金本体の運用実績 国の 運用実績 掛金 給付 前 年 度 末 当 年 度 末 • 現在、代行部分の負債である最低責任準備金は前年度末の残高を加減調整(ころがし計算)して、算 出されている。 • ここで、最低責任準備金から控除する代行部分の給付は、計算上の代行給付(平均給与×加入期間× 支給率)に一定の係数(0.875)を乗じた額としている。(※) (※)8号方式と呼ばれる方法。別方式もあるが、実用性に難点があり、ほぼ全ての基金が8号方式となっている。 代行給付費の計算に用いる、係数(0.875)を見直す。 具体的には受給者の年齢に応じ、65歳未満0.69、65歳以上75歳未満0.96、75 歳以上1.0とする。 上記係数の見直しは平成17年4月以降の期間に遡って実施する。 ●参考現行の最低責任準備金の計算方法の見直し
2.「期ずれ」の調整 現在、非継続基準の財政検証および解散時に連合会に移される最低責任準備金の計算に用 いる厚生年金本体の実績運用利回りについて、実績の確定時期と計算への適用時期の間に 生じるずれ(「期ずれ」)を調整する。 厚生年金本体利回りが確定している期間は当該利回りを用い、確定していない期間は厚生 年金本体の基本ポートフォリオをもとに市場ベンチマークを用いて推計した利回りを用い る。 H9年度 H10年度 H11年度 H20年度 H21年度 H24年度 4.66% 4.15% 3.62% ・・・ ▲6.83% 7.54% ・・・ ? 厚生年金本 体の実績 H12年 H13年 H22年 H23年 4.15% 3.62% ・・・ ▲6.83% 7.54% 現在の最低責任準備 金への付利(暦年) H11年 4.66% H9年度 H10年度 H11年度 H20年度 H21年度 H24年度 4.66% 4.15% 3.62% ・・・ ▲6.83% 7.54% ・・・ ? 厚生年金本 体の実績 見直し後の最低責任 H20年度 H21年度 H24年度 本体の実績が判明し ていない期間は本体 の基本ポートフォリオ を元に市場ベンチ マークを用いて推計 した一定の見込み率現
行
見
直
し
後
代行制度の段階的縮小・廃止
代行制度は改正法の施行日から10年間の移行期間をもって段階的に縮小・廃止する。 代行給付は代行割れの有無にかかわらず、厚生年金本体から全額支給される。 企業年金連合会も10年間で代行資産を国に移す。代行制度の縮小・廃止イメージ
施行日から5年 5年経過後~10年後 10年経過後 代行あり基金 ・代行返上か解散のいずれかを選択する。 ・解散後の代行部分の給付義務は厚生年金本 体に移すこととする。 ・代行部分の給付のうち将来期間にか かる給付を国に返上する。(将来分返 上) ・年金資産が最低責任準備金の一定割 合(代行割れしないためのバッ ファー)を下回った場合は、代行資産 を国に移す。 ・残存している基金の代行 部分の給付義務、代行資産 を国に移す。 代行割れ基金 ・見直し後の特例解散制度により解散を促す。 --解散認可基準の見直し
解散における代議員の議決、事業主・加入員の同意要件について現行の3/4以上から2/3 以上に変更する。
解散認可における「母体企業の経営悪化等」の理由要件を撤廃する。
企業年金の持続可能性を高め
るための施策の推進
企業年金の選択肢の多様化
1.キャッシュバランスプランの給付設計の弾力化現行
見直し後
利息
以下の率の組合せ、あるいは上下 限を設ける。 ・定率 ・国債の利回り ・消費者物価指数 ・東証株価指数等の有価証券指標 左記に加え 企業年金の運用実績 下限については、各年度で0以上 加入から退職まで通算して0以上 (=元本のみ保証)給付利率
・前回の掛金計算基準日以後の最 も低い下限予定利率を下回らない こと。 ・0以上。従来よりも積立不足が発生しにくい
制度が可能となります。
企業年金の選択肢の多様化
2.集団運用型DC(仮称)の創設 現在の企業型DCをもとに、企業単位で運用方針や運用商品の選択肢を決める制度を導入 する。 企業単位で資産運用委員会を設置し、当委員会を通じて加入者に運用商品の選択肢を提示 する。 投資教育は不要。企業年金の選択肢の多様化
3.厚生年金基金から他の企業年金への移行支援 DB移行後の財政運営の特例
• 代行返上してDB移行した場合に特別掛金の償却可能年数を20年から30年に延長する。
代行返上支援事業
• 連合会の支払保証事業を代行返上する場合の経費支援事業に見直す。 代行資産の先行返還制度の導入
• 将来分返上した基金が過去分返上するまでの間の記録整備事務に先行して代行資産を返還 できる仕組みとする。 中小企業のDBへの移行支援
• 基金解散時の保有資産を簡易な手続きで、事業所単位で既存のDBに移行できるようにす る。 代行資産の現物納付
• 一定の条件の株式等の現物納付を可能とする。1.概要 事務局より、配布された資料について説明。 委員長より、試案に対する検討は今回の試案で区分されている3つのパート(「特例解散 制度の見直しによる『代行割れ問題』への対応」「企業年金の持続可能性を高めるための 施策の推進」「代行制度の見直し」)ごとに検討していく旨、提案があり了承される。