1 平成 26 年度 上海港技術交流 報告書 港湾局 計画整備部 施設管理担当課長代理 坂口 俊二 担当係長(戦略港湾担当) 齋藤 正己 ■概要 大阪港と上海港は、交易の拡大及び相互の港の発展などをめざして昭和 56 年に友好港提携を行って おり、以来、技術交流や親善使節団の相互派遣などの様々な交流事業を通じて良好な関係を築いてい る。 今回の交流テーマは、「道路の管理技術」および「港の競争力強化」であり、短い時間ではあった が、多くの関係部署を訪問することができ、貴重な意見交換を行うことができた。 また、虹梅南路のトンネル建設現場や上海洋山港および外高橋港のコンテナターミナルなどの視察 も行うことができ、大変有意義な技術交流となった。 今回の交流を通じて得た経験を活かし、さらなる両市・両港の友好関係を保持・深化させながら、 今後の大阪港の発展に繋げていきたい。 ■全体行程 2015 年 3 月 10 日(火) AM 関西空港出発→上海浦東空港到着 PM 上海市内視察、上海事務所訪問、打合せ 2015 年 3 月 11 日(水) AM 虹梅路トンネル視察と意見交換 PM 上海市交通委員会との意見交換会 ・道路関係:姚副主任発表、坂口課長代理発表 ・港湾関係:金一主任科員発表、齋藤係長発表 ・質問、応答 2015 年 3 月 12 日(木) AM 洋山港視察 PM 自由貿易区管理委員会訪問、環球金融中心視察 2015 年 3 月 13 日(金) AM SIPG 表敬、意見交換会 PM 外高橋視察 上海浦東空港出発→関西空港到着 ■3 月 10 日(火)PM 上海市内視察、上海事務所訪問 上海(浦東)空港に到着後、上海事務所の案内で、上海市内を視察した。 まず向かったのは外灘(ワイタン)地区。租界時代の行政と経済の中心で、現在も官庁や銀行など 歴史を感じる建物が立ち並んでいる。一方で、隣を流れる黄浦江を挟んだ対岸には、近代的な超高層 ビルが林立している。高さを競い合うビル群は、まさに上海の発展を象徴するものであり、また右岸 と左岸にある対照的な建築物を見ていると過去と未来が同じ空間にあるような不思議な感覚を覚えた。 さすがに上海の名所とあって、平日にも関わらず、国内外問わず、観光客が多い。黄浦江を渡る船 にも沢山の客が乗っていた。 黄浦江には多くの渡し船があり、バイクの乗船も可能で、観光客のためのみならず、市民の足とし ても活躍している。また、渡し船のすぐ横を大型の貨物船やガット船が数多く曳航しており、すぐ上
2 流には、大阪港とも結ばれる国際フェリーターミナル、また下流側には、バレーやサッカーもできる ビーチが整備されているなど、水辺と共に暮らす街であることを強く感じた。 さらに下流側には、古い倉庫をカフェ等に作り変えて再利用しているエリアがあった。 黄浦江の左岸側を随分下流まで歩いてきたが、人の賑わいを連続的に繋ぐことで、街に広がりを持 たせている。 その後、上海事務所を訪問し、明日からお世話になる事務所担当者とも面会するとともに、今回の 技術交流に係る事前打合せを行い、本日の行程は終了。 ■3 月 11 日(水)AM 虹梅路トンネルの視察 午前中、東西方向に流れる黄浦江を南北に潜 るトンネル(虹梅路トンネル)を視察した。 現在、上海市内との幹線道路として高架道路 が利用されているが、非常に混雑しているため、 このトンネルを建設し、その混雑を緩和させる とのこと。 2010 年 7 月 30 日着工で、ほぼ完成しており、 本年開通する予定。シールド工法による総工費 は、約 50 億元(約 1,000 億円)。 シールドの直径は 14.93m、シールドで掘削す る全長は、3,390m(×2 方向)。片側3車線(3.5m +3.5m+3.75m)で、コンテナ車も通行可能。一 番深いところは 59m で、中国で一番深いところ を走るトンネルになっている、といった説明を 受けた。 このトンネルの近くに化学工場まで送るエチ レンガス(高圧、爆発したガスは有毒)のパイ プが走っており、その保護のために 2,000 万元 (約 4 億円)かかった、という苦労話もあった。 橋梁ではなくトンネルとした理由については、 住民への退去費用が高額になるため、とのこと。 橋梁にした場合、船を通すためのクリアラン
3 ス(数 10m)を確保しないといけないため、敷 地面積が大きくなり、土地代含め周辺住民に退 去してもらうための費用がかかる、という説明 であった。 上部のコンクリート版が崩落する危険性につ いて議論したが、あまり心配している様子がな いため、日本では大きな問題になっていること を伝えた。日本での苦い経験を繰り返さぬよう 活かしてもらうことこそ、今回の技術交流に大 きな意味が生まれるものと考える。 ■3 月 11 日(水)PM 上海市交通委員との意見交換 午後からは、上海市交通委員会に場所を移し、 両市による意見交換を行った。 まず、上海市交通委員会社会宣伝処 杜健副 処長から、歓迎の挨拶を頂いた。大阪港と上海 港は、これまでに積み重ねてきた交流の歴史が あり、今回の技術交流についても。その歴史の 上に位置していることを改めて実感した。 本市坂口課長代理からの御礼の挨拶に続いて、 上海市路政局道路技術中心 姚頴東副主任から、 上海市内の管理道路の概要および維持補修の状 況について説明があった。 次に、坂口課長代理から、「道路の舗装補修におけるコスト縮減と舗装寿命の延伸についての考察」 と題して本市の取り組み状況について説明し、双方より道路管理に係る意見交換を行った。 主な意見交換の内容は以下のとおり。 (大阪市) ・ 上海市と区が管理する道路で水準(強度)等に違いはあるのか。 (上海市) ・ 水準に違いはない。市と区で財源が異なる。 (大阪市) ・ 大阪市では、維持管理に力を入れている建設局と、そうではない港湾局では予算が 2 倍以上異 なる。港湾局は予算が厳しい。予算が異なると管理水準に差が生まれてしまう。 (上海市) ・ 管理状態を監督する部署はないのか。すべて自分で判断するのか。 (大阪市) ・ 何かあっても大阪市の責任において対応することになる。大阪市全体の交通を所管する部署は ない。交通管理者は警察であり、本市は施設管理者になる。 (上海市) ・ アスファルトの再利用は行っているか。 (大阪市) ・ 年間わずかではあるが、歩道等の直営工事で再利用する場合はある。
4 休憩を挟み、港湾物流にテーマを変え、両市からの発表と意見交換を行った。 まず、上海市交通委員会総合計画処 主任科員の金一氏から、上海港の概要について説明があった。 また、本市から事前に質問していた「自由貿易試験区」および「揚子江戦略」について、上海市交 通委員会航運発展処 井艶副処長から説明があった。 次に、本市齋藤係長から、「国際コンテナ戦略港湾 大阪港の取り組み」と題して戦略港湾施策に ついて説明し、双方より港湾の競争力強化に係る意見交換を行った。 主な意見交換の内容は以下のとおり。 (大阪市) ・ 揚子江戦略として実施した支援とは、どういうものか。 (上海市) ・ 外高橋、洋山港への定期便を確保させるためのインセンティブを支払った。 ・ バラバラに船が来ると、効率的な荷役作業ができない。 (大阪市) ・ カボタージュ規制の緩和に対して、国内のフィーダー会社から反発はなかったか。 (上海市) ・ 反対の声はあった。完全に自由化したのではなく、外資が半分以下の船会社による国内輸送を 可能(中国系の企業でないと不可)とする折衷案となった。 (大阪市) ・ 上海港の実際の取扱量が、岸壁の能力を超えているが、問題はないか。 (上海市) ・ 問題はある。船の待ち時間が長くなっている。周辺の道路やトンネル、橋も混雑している。 ・ また、維持管理のためのメンテナンスが進められず、そのコストが上昇している。 (大阪市) ・ 日本でも海上コンテナの鉄道輸送をトライアルしようとしているが、背高コンテナの場合はト ンネルに当たるといった問題がある。そのような問題はないか。 (上海市) ・ 鉄道トンネルはあまりないので、そういった問題は特にない。 (大阪市) ・ 鉄道を整備する場合の財源はどうするのか。 (上海市) ・ 半分は国と上海市が出資する。残り半分は融資や企業から出資される。 (大阪市) ・ SIPG を民営化したことのメリットは。 (上海市) ・ 目的は運営の効率化であり、SIPG は運営だけに集中できる。それまでは投資する際、(国の) 交通運輸部から許可を得なければならなかった。しかし、民営化後は不要になった。 ・ 民営化して出資もできるようになった。そのため揚子江の沿岸の企業に SIPG が出資し、集貨 を図ることができるようになった。 ・ 現在は上場している。株式の一部は「国有資産監督管理委 員会」が保有している。 また、午後 6 時から「上海小南国(世博源店)」において、上 海市主催の親睦会を開催して頂いた。
5 ■3 月 12 日(木)AM 洋山港の視察 この日は朝から上海洋山港の視察に向かった。 洋山港まで市内から車で約 1 時間。まず象徴的 な施設の一つが、全長 32km の東海大橋である。 上海港は河川(長江)から流入した土砂が航路 や泊地に堆積するため、水深確保が困難であり、 沖合に岸壁を整備する必要性から、洋山地区へ の岸壁と合わせ、この橋が整備されたとのこと。 この東海大橋までの高架道路は無料であるが、 この橋を渡るには 20 元(約 400 円)が必要であ る。ただし、コンテナ車両については、別の通 行レーンが設けてあり、その通行料は無料だと いう。 洋山港の大半は海上輸送で集貨されるという 説明であったが、それでも相当の車両が橋を利 用するものと思われ、今後の維持管理費に対す る我々の心配を余所に「通行料負担など(当然 に)求めない」とする担当者の説明ぶりが印象 的だった。 説明頂いたターミナルの諸元等については、 以下のとおり。 洋山港での 2014 年の取扱量は、1,520 万 TEU。そのうち 2/3 は海上ルートで集ま ってくる。 上海港全体では、3,400 万 TEU を取り扱 っている。 洋山港には 16 バース(水深-16.5m)あ り、ガントリークレーンは 60 基、トラ ンスファークレーンは 132 基。 ターミナルの奥行きは最大で約 1.2km。 ターミナルの背後に未利用地があるが、 必要となればそこもターミナル用地と して利用したい。物流施設などで利用す る予定は特にない。 ゲートは無人化されており、10 レーン程 のゲートをターミナル内に約 10 箇所設 置している。 第 4 期工事を昨年 12 月に着手している。 第 4 期の岸壁延長は 2.4km。RORO 船も受 ける予定。 第 4 期のガントリークレーンは自動化(無人)とする予定。 さらに向かい側の島(大洋山島)周辺を埋め立てて、ターミナルを整備する計画もある。
6 現在の東海大橋に並行させる形で、2 本目の橋も計画している。 2 本目の橋は鉄道も走ることができる構造を考えており、その鉄道はコンテナターミナルに直 接つなぐ計画としている。 洋山ターミナルができる前は、もともと漁業で暮らす人々が 3,000 人ほど住んでいた。当時の 島の面積は 1.76km2。この島の周りを埋め立てて、島の面積は 15km2になった。 この際、移転が必要な住民に対しては、上海市内の戸籍を与える形で補償した。 東海大橋の事業費を含め、全体で約 1,000 億元(約 2 兆円)かかっている。 港湾施設の整備に対し、まず国有資産管理委員会が投資するが、それを SIPG が買い取って、10 年間で返済していく。 ■3 月 12 日(木)PM 中国(上海)自由貿易試験区管理委員会との意見交換 洋山港から臨海新城地区へ移動し、「航海博 物館」で昼食を頂いた。この「航海博物館」に ついても上海市が出資しているとのことである が、内部を視察するだけの時間はなかった。 さらに移動し、自由貿易試験区へ到着後、管 理委員会の会議室に案内され、まず紹介用ビデ オを鑑賞した。中国語であったが作り込まれた ビデオであることは理解でき、PR にも力を入れ ていることが分かる。 概要説明及び意見交換した内容については、 下記のとおり。 ・ 4 つの区(外高橋保税区、外高橋保税物 流園区、上海浦東空港総合保税区、洋山 港保税港区)があり、全体で約 28km2。 ・ 今までは、貨物は輸入前に通関の書類を 揃えないといけなかったが、試験区内で は、貨物が入ってきてから書類を作成す ることも可能となった。 ・ また、洋山港、空港、外高橋の間で保税 のまま貨物を自由に出し入れできるよ うになった(保税輸送した貨物の搬出入 量はチェックしている)。 ・ 中国には生産工場が多いので、生産工場から保税区に商品を搬入し、各国の要求に応じた加工 を行った上で輸出する場合が多い。 ・ また、貨物をエリアに搬入した段階では関税がかからず、そのまま海外に再輸出する場合は、 非課税のまま扱える。 ・ さらに、保税区を経由して国内貨物を輸出する場合「増値税」の払い戻しを受けることができ る。 ・ これまでは、香港で本社を設立してからでないと、海外企業は投資できなかったが、今後は、 自由貿易区に本社を設立させておけば、投資等できるようになった。
7 ・ 外資系企業は、設立時に事業内容の審査受ける必要がある。ネガティブリスト方式、つまり「エ リア内でできないこと」が規定されており、それ以外のことはできるようになっている。 ・ 1 年経ち、そのネガティブリストの数を減らした。つまり、できることが増えた。 ・ 工場等の進出はなく、物流施設や展示場など。工場だともっと広い施設が必要になる。それほ ど土地はない。汚染問題も出てくる。 ・ 外高橋のエリアは進出企業で、ほぼ埋まっている。洋山の方は、まだ余裕がある。登録だけし ている企業もある。洋山のエリアで 14.16km2、残り(未利用地)は 1/3~1/4 くらい。 上海環球金融中心(陸家嘴)の視察 続いて、上海の経済発展を象徴するエリア、陸家嘴へ向かった。 さらに高いビルが隣に建設中であるが、現時点では上海で最も高い「上海環球金融中心」(地上 101 階、高さ 492m、森ビルプロジェクト)を視察した。 世界一高い場所(地上 474 メートル、100 階部分)にあるという展望台から見渡すと、一定の規模、 範囲で同系統のマンションが整然と並んでおり、さらに建設中のマンションも少なくない。どこまで 発展していくのだろうか、とさらなる街の成長を感じた。 ■3 月 13 日(金)AM 上海国际港务(集团)股份有限公司(SIPG)との意見交換 この日は朝から、上海国际港务(集团)股份 有限公司(SIPG)を訪問した。 1階のロビーの「熱烈歓迎 大阪港湾技術交 流団のご一行様」という電光掲示板が目に飛び 込んできた。驚きと感激に浸っている間に、SIPG 総裁事務部 外事室経理の華建珍さんが迎えに 来られ、SIPG の会議室まで案内された。 SIPG 戦略研究部 高級研究員 林雨さんお よび、戦略研究部 研究員 樊鴻超さんが入り、 意見交換を行った。 現在の上海港および SIPG の取り組み等につ いて説明を頂くとともに、大阪市での取り組み内容についても紹介した。 主な説明内容については以下のとおり。 ・ 上海港は、すべて SIPG が運営している。 森ビル(株)HP より
8 ・ 2014 年、上海港では 3,377.3 万 TEU を取扱った。前年比 4.5%増 加 ・ そのうち洋山港は 1,436.5 万 TEU。 前年比 5.8%増加。世界第一位の 取扱い。 ・ SIPG も内陸部や揚子江からの貨 物を集めるための誘致を行うな ど努力している。 ・ 揚子江からはほとんど船で集貨。 昨年の内航フィーダー取扱量は 480 万 TEU。前年比 12%増加。 ・ 国際トランシップ貨物は 250 万。 ・ 大幅に貨物が増えているのは、イ ンセンティブと自由貿易区の効 果。 ・ また、洋山と外高橋の運営体制も調整し、上海港全体の運営を効率化させた。 ・ 外高橋は非常に込んでおり、それを緩和させるために、SIPG が太倉(タイソ)港(上海から 約 100km)に出資して港を運営している。外高橋で扱っていた近海航路の一部は太倉港にシフ トした。 ・ 揚子江上流からの貨物は、これまで、一旦外高橋で揚げてから、洋山港へ横持ちしていたが、 それを太倉港で揚げて洋山港に横持ちするようになった。こうして外高橋の負荷を減らしてい る。 ・ 政府からの補助金も昨年から出るようになった。 ・ また、自由貿易区の政策により、外船社が国内沿岸を輸送できるようになった。 ・ 昨年、SIPG は蕪湖(ウーフー)など揚子江の上流の港に出資した。 ・ その結果、国内のフィーダーによる貨物が全体貨物量の 45.8%を占めるまでになった。 ・ しかし、コンテナの増加に対して、施設整備が追い付かない状況であり、現在、洋山、外高橋 での取扱能力は 2,200 万 TEU。昨年より港を改良し、2,850 万 TEU まで能力アップさせた。 ・ 実際には、内貿を含め、年間 3,500 万 TEU を取扱っている。 ・ 容量がオーバーしているため、効率化と第 4 期整備が必要。第 4 期は 2017 年に完成予定。 ・ 第 4 期の岸壁は延長 2,400m。設計能力は 600 万 TEU。工事費は約 130 億元(約 2,600 億円)。 ・ 工事費は上海市が出す。それを SIPG が買い取る形を想定。第 1 期、第 2 期とも同じやり方を 取った。ガントリークレーンの能力は、1 時間あたり 30~35 個。 ・ 第 4 期のガントリークレーンは自動化(遠隔操作)する予定。いずれ全てのガントリークレー ンを自動化したいと思っている。 ・ 人を減らすということではなく、現有体制で能力を上げる、作業の負担を減らすもの。 ・ SIPG は揚子江で合計 9 の港に出資している。出資金額は 34 億元(約 680 億円)。対象港は揚 子江の 3,000km 上流まである。 ・ 上流からは小型の 250TEU 積みで輸送して、例えば、武汉(ブカン)で中型船に積み替えて輸 送する。 ・ 武汉での積み変え機能も、現在は太倉(上海から約 100km)にシフトさせ、上流からの輸送の 拠点となっている。 ・ 揚子江には輸送会社がたくさんあり、主に 300TEU のフィーダー船が多い。
9 ・ 昨年から中国政府が始めたインセンティブは、コンテナの増加量に対して 50 元(約 1,000 円) /TEU を支払うもの。 ・ 政府は 5 年間で 2 億元(約 40 億円)をインセンティブとして用意する予定。 また、意見交換した内容は、下記のとおり。 (SIPG) ・ 日本の港は土日が閉まっているので、中国への輸入で土日が混んでいる。何とかならないか。 (大阪市) ・ 船からの荷役は 24 時間 364 日作業している。ただし、労使協定により、ゲートが閉まってい る時間帯がある。渋滞にもなるので、そのゲートオープン時間を延長する事業を行っている。 (SIPG) ・ 北極圏航路についてはどう考えているか。 (大阪市) ・ 個人的な見解になるが、日本海側を経由する航路が増えるのではないかと心配している。 ・ 日本海側の港の貨物が増えている。釜山港と近いので、釜山港トランシップの貨物が増えてい る。 (SIPG) ・ 釜山港トランシップを大阪港経由に切り替える取り組みに意味はあるのか。 (大阪市) ・ ルートを切り替える行為そのものが目的ではない。阪神港に貨物を集めて、基幹航路を維持す ることが目的である。 ■3 月 13 日(金) PM 外高橋港 明東集装箱埠頭会社(SMCT)の視察 上海市内での昼食を挟み、外高橋港にある明 東集装箱埠頭会社(SMCT)のターミナルに向か った。 洋山港の時とは異なり、こちらのターミナル 周辺道路は大変混雑していた。信号のない交差 点もあったが、留まることのない大型トレーラ ーの流れに交じって一般車や路線バスも走って いる。熟練ドライバーでないと入っていけない 空間だと感じた。 外高橋港は、現在、第6期までの整備が完了 しており、この SMCT では、第5期と第6期のタ ーミナルを運営している。 まず PR 用のビデオを鑑賞し、続いて、オペレ ーションルームに案内された。 当該ターミナルにはオペレーションシステム が導入されており、ターミナル内の荷役作業は 有人式であるが、このオペレーションルームで 一元的に管理されている。 上海市浦東新区政府 HP より
10 さらに、別で我々のため用意された車に乗り込み、ターミナル内を視察した。 ターミナル(第5~6期)の施設概要は、下記のとおり。 ・ 7 バース(延長約 2,000m) ・ ガントリークレーン:26 基、トランスファークレーン:87 基(電動式) ・ 2014 年のコンテナ取扱量:520 万 TEU(内外込み) ・ 2015 年のコンテナ取扱量(見込み):555 万 TEU(内外込み) 国際的にも注目されているターミナルだけあって、同様に海外から視察に来ていた団体がいた。 外高橋港は、揚子江から流れる土砂が堆積する問題を抱えており、泊地の水深を確保するため、岸 壁は敷地から張り出した構造を取っているが、水深は-12.8mで、アジア航路をメインとしている。 内航フィーダー船を係留する機能も備えていたが、ここではあまり取扱っていないとのこと。 ターミナルの規模が大きいと感じて聞いた「奥行き長さ」に対する答えが用意されていなかったこ とは、あまり気にすることではない(特筆すべきでもない)質問だからであろうか。 ターミナルを一回りした後、案内して頂いた方にお礼を伝えて外高橋を後にした。 なお、ターミナル周辺の道中で気になったのは、上海でのトレーラシャーシが、20ft コンテナを 2 個積める構造となっている点である。実際、2 個積んで走行しているトレーラも多く見かけた。 恐らく、重量制限により 2 個とも満載での走 行は無理なのかもしれないが、わが国でもこの ように、空のコンテナを含むコンテナ 2 個を輸 送する需要はあるのではなかろうか。もう少し 詳しく調べてみようと思う。 以上で、今回予定していた全行程を終え、そ のまま上海浦東空港に向かった。 ■おわりに 今回の交流において、何度「すごい」と口にしたであろうか。 上海港がコンテナ取扱貨物量の世界ランキング1位であることは、港の地の利や、充実した港湾施 設だけが理由ではないと確信した。高層ビル群、車間を許さない程の交通量、沢山の欧州車、電気バ イク、夜のビルを派手に照らす光の演出、どれをとっても日本にはない新鮮さを感じた。この街の勢 い・活気が、人の流れ、物の流れを生み、コンテナ貨物の増加を牽引しているのであろう。 上海のスケールを数字上は認識していても、実際に自分の目で見て、成長の勢いを肌で感じた。 これが世界一の力。 ただし、気になる点がなかったわけではない。 今後も港の大規模整備に手を止めることはないようだが、恐らく、長期的には、今のわが国が抱え る維持管理上の問題に直面するであろう。 勢いのある街だけに、その先の問題にどこまで配慮が行き届いているかは分からなかったが、こう した交流を通じ、双方の課題や問題認識を共有し、解決に向け補完し合える関係を築いておくことも 意義あることなのだと思う。 また、期間中、多くの女性職員の方にお会いした。上海市の担当者からも「日本には女性の管理職 はいないのですか」と聞かれた。SMCT では、案内してくれた 2 名いずれも女性であった。
11 確かに、わが国の港湾の分野では、女性職員が少ないのかもしれない。それ自体を指摘する立場に はないが、上海では女性も活躍できる職場環境が整っているという言葉が印象的だった。同様に日本 でも取り組まれている認識であったが、日本は遅れている気がした。まだ他にも日本が「これで良い」 と満足している事象も、国際レベルに遠く及ばない分野があるような気がした。 今回の交流は、4 日間という限られた日程であり、また言葉の壁の不安もあったが、全行程におい て上海事務所の多大なる協力を得て、非常に充実した 4 日間となった。 また、上海市交通委員会をはじめ、上海市路政局、上海隧道工程股份有限公司、自由貿易試験区管 理委員会、SIPG の方々におかれては、我々のため貴重な時間を割いて頂いた上、当方の不勉強な質問 にも一つ一つ丁寧にお答え頂いた。 今回の交流において関係した全ての方々に対し、この場を借りて深く感謝の意を申しあげたい。 この貴重な経験と感動を忘れることなく、さらなる今後の大阪港の発展のために活かしていきたい と思う。
12 ■参考:上海市 位置図 外高橋港 洋山港 臨港新城 虹梅路トンネル 上海浦東空港 陸家嘴