1 業種 金融業・保険業 本社所在地 大阪府 正社員数 (2015 年 3 月 31 日現在) 社員1:9,515 名(男性 5,609 名、女性 3,906 名) 非正規雇用労働者数 (2015 年 3 月 31 日現在) パートナー社員2:約 5,900 名 派遣社員:約 150 名 非正規雇用労働者の主 な仕事内容 営業店事務・案内業務、顧客に向けた営業・販売等 取組のポイント ▪ 社員・パートナー社員にかかわらず共通の職務等級制度を適用 し、「同一労働・同一賃金」を実現 ⇒パートナー社員も社員と同様に評価され、それが処遇に反映され るため、やる気のある優秀な従業員の確保が可能に ▪ 2015 年 10 月から、勤務時間若しくは業務範囲を限定できる正社 員の職種として「スマート社員」を導入し、働き方の選択肢を増 やす ⇒現在の「社員」と「パートナー社員」の中間的な位置付けで、新 たな形でのキャリアアップが可能に 同社は、2003 年 3 月に旧あさひ銀行と旧大和銀行が合併・分割し、埼玉りそな 銀行とともに発足した銀行である。2009 年にはグループ傘下のりそな信託銀行と 合併し、今日に至っている。 りそなグループはりそなホールディングスの下に複数の銀行を持っているが、 1 無期雇用のいわゆる「正社員」、変形労働時間制を導入。 2 原則 1 年更新の有期雇用の従業員、勤務形態は個別契約による。 事例 09 株式会社りそな銀行 正社員・非正社員の区別なく公平に処遇するため、共通の職務等級制 度を適用。オープンな正社員登用・職種間転換制度も実施。
2 その中でりそな銀行は資産、収益規模ともにグループの 7 割近くを占めている。 1.取組の内容 ◆社員・パートナー社員の区別なく共通の職務等級制度を適用し、役割等級・職 務グレードが同じであれば時間当たりの職務給を同一とし、「同一労働・同一 賃金」を実現 【社員・パートナー社員の区別なく共通の職務等級制度を適用】 同社では 2008 年に人事制度改定を行い、社員とパートナー社員に共通の職務等 級制度を導入した。役割等級・職務グレードが決まれば職務給(基本給)が決ま る制度設計になっており、役割等級・職務グレードが同じであれば、社員・パー トナー社員といった職種にかかわらず、時間当たりの職務給は同一としている(フ ルタイムのパートナー社員に限る)。 この職務等級制度において、職務グレードは①(初任)~⑭に区分されており、 原則として職務グレード⑥以上が管理職となる。パートナー社員であればどの職 務グレードまで、といった職種による昇格・昇級の上限は設けておらず、パート ナー社員でも管理職を目指せる仕組みとなっている。ただ、管理職を目指すパー トナー社員は、職務グレード②や③といった段階で社員への転換を希望する傾向 にある。 職務等級制度 ●職務等級は「役割等級」と「職務グレード」で構成 ●ポストへの登用と各人の知識・スキルレベルの向上や能力発揮状況等を評価・ 処遇する複線型のキャリアパス ●社員・パートナー社員は基本的に共通の職務等級制度の下、一体で運営 (職務等級制度、評価制度、育成、研修等) 【評価方法、処遇への反映も社員・パートナー社員ともに同じ】 パートナー社員は全従業員の 4 割ほどである。評価方法は社員と同じであり、 上司が面談をし、評価をフィードバックしていく。上位の職務グレードに昇級す る条件も、社員・パートナー社員にかかわらず共通としている。例えば、上位の
3 職務グレードに求められる資格があれば、雇用形態にかかわらずその資格を取得 しなければ昇級することはできない。 業績評価は半期ごとに、コンピテンシー評価(「バリュー評価」と呼んでいる) は年度ごとに評価を行い、それらを年 1 回締めて、最終的な人事評価としている。 評価シートも社員とパートナー社員で共通のものを使用している。 【スキルアップのための研修には、パートナー社員も区別なく参加可能】 職務グレードごとに求められるスキルレベルや業務を遂行するために必要な知 識等は明示されており、それらを習得するための研修には、社員と同様にパート ナー社員も参加できる。 また、資格取得支援や業務知識・スキルレベルの向上を目的として、社内で無 料のビジネススクールを土曜日に開催している。このビジネススクールにも社 員・パートナー社員の区別なく参加できる。 ◆社員登用制度は毎年オープンに募集し、面接で本人の意思をしっかりと確認 【定期的に、オープンに募集する社員登用制度】 毎年 1 回、12 月に社内イントラネット等で広く従業員に周知し、社員への転換 希望者を募集している。 応募の要件は勤続 3 年以上で、所属長の推薦が必要になる。選考は、筆記試験 と面接によって行う。前述の職務グレードによる制限は設けておらず、年によっ てバラつきはあるが、通常は 40~50 名程度の応募があり、10 数名程度を社員に 登用している。 【面接で仕事に対する覚悟をしっかり確認】 社員登用制度の創設当初は、多くの登用者を出した。しかし、社員への登用に より管理職を目指してもらうことを期待している同社と、そこまでの覚悟ができ ていなかった者との認識の違いから、苦労する者が多かったため、その経験を踏 まえ、面接では仕事に対する覚悟をしっかりと確認している。 社員への登用に際しては、管理職を目指す気があるか、本気でキャリアアップ
4 する気があるかを、特に重視する。人員事情や育成の観点から社員には転居を伴 う異動3を行う可能性もあるため、ライフイベント等も踏まえ、働き方やキャリア 形成について、熟慮した上での応募を促している。 ◆勤務時間若しくは業務範囲を限定できる新たな正社員として「スマート社員」 を導入し、従業員に多様な働き方を提供 【「スマート社員」の導入により、働き方の選択肢を拡大】 「スマート社員」という新たな正社員の雇用区分を 2015 年 10 月に導入し、2016 年 4 月からの運用開始を予定している。 同社のパートナー社員は有期雇用契約で、社員と比較して勤務時間と業務範囲 がともにある意味で限定されているが、新設する「スマート社員」は、勤務時間 若しくは業務範囲のどちらか一方を限定できる無期雇用の正社員の職種として導 入する。 この取組は、就業価値観が多様化していること等の環境変化を踏まえ、従業員 に従来以上に多くの働き方の選択肢を提供していくことを目的としている。同社 としては従業員に多様な働き方を提供することで、その能力を最大限に発揮して もらうことを期待しており、ライフイベントに応じて柔軟に働き方を変更できる ようにすることで、育児や介護等を理由として退職せざるを得ない従業員を減ら していきたいとも考えている。また、少子高齢化や労働マーケットの変化等によ り、パートタイム労働者を含め人材の確保が難しくなりつつある中で、新たな採 用方法の選択肢にもなると考えている。 【スマート社員のこれからの運用に当たって】 スマート社員は勤務時間を限定するタイプと業務範囲を限定するタイプの 2 種 類があるが、当初は勤務時間を限定するタイプのスマート社員中心の運用を想定 している。 3 同社では社員も勤務エリアを限定している(本拠エリア制度)。原則として関東か関西を選択の 上、基本的にはその範囲内での勤務となる。人員事情やキャリアアップの観点から隔地転勤(転 居を伴う異動)を行う場合は、期間を限定(4 年)した配属としている。パートナー社員や新設す るスマート社員には隔地転勤はない。
5 スマート社員は、業績連動による賞与が通常の社員の 7 割程度になることや福 利厚生面等で違いがあるものの、基本給である職務給や昇格・昇級の条件は社員 と変わらない。社員からスマート社員への転換制度も導入する予定であり、育児 中や介護中といった要件を満たせば、希望者は全員この働き方に転換できる。通 常の社員が育児のために時短勤務ができる期間は、原則として子どもが満 3 歳を 迎えるまでなのに対し、スマート社員は小学 3 年生の 3 月末まで可能である。更 に、社員からスマート社員に転換しても、本人の希望や育児や介護等の要件を満 たす期間が終われば、無条件で社員に戻ることができる。 また、前述の社員登用制度も拡充し、パートナー社員からスマート社員への登 用も行っていく予定である。 これまでの社員登用制度では、勤務時間、業務範囲ともに限定のない社員への 登用となるため、優秀なパートナー社員であっても応募に躊躇する者もいた。新 設するスマート社員では勤務時間を限定できるため、社員を目指す者の中間的な ステップとしても活用できる。 2.効果と課題、今後の運用方針 ◆職種にかかわらず、共通の職務等級制度を適用し、従業員がその能力を最大限 発揮できることを期待。また、ライフイベント等に応じて柔軟に働き方を変更 可能にすることで、優秀な人材を確保 今後も、社員・スマート社員・パートナー社員共通の職務等級制度の中で人 事運営を行っていく。職種にかかわらず、意欲を持って取り組み、能力を発揮 すれば同様に評価され、処遇に反映される仕組みとすることで、全ての従業員 にその能力を最大限発揮してもらうことを期待している。 また、育児や介護等といったライフイベントに応じて、柔軟に働き方を変更 できる仕組みによって、やむを得ず退職となるケースを減らし、優秀な人材の 確保につなげていきたい。
6 3.活躍する従業員の声 年代 - 性別 女性 勤続年数 6~10 年 キ ャ リ ア ア ッ プ の 過程 もともと社員として勤務しており、一度退職し、パ ートナー社員として再度入社した。社員になること には不安があったが、上司の言葉により自信を得て 決心。 管理職 A 氏 ◆上司の言葉で決心できた社員転換 同氏は、以前に同社で正社員として働いており、退職している。そのため、パ ートナー社員として再度入社した時から、社員への思いは強く持っていた。 しかし、退職してから既に 10 年以上経っており、社員になると勤務時間が長く なることから家事との両立ができるかなど不安がたくさんあり、躊躇していた。 そんな時に当時の上司から、「これまでの仕事ぶりを見てきて、あなたは社員にな るべきだ」という言葉をかけていただき、自信が持てた。更に、家族もこの話を とても喜んでくれたことで不安は払拭され、社員転換にチャレンジする決心が固 まった。 ◆昨年マネージャーに昇格し、更なるスキルアップを目指していきたい 社員になり、これまで以上に責任を持って仕事に取り組んでいることはもちろ んだが、パートナー社員の立場も経験しているからこそ、より一層パートナー社 員とのコミュニケーションを大切にしている。 社員転換をしてから 8 年目を迎え、昨年、マネージャー昇格という大きなチャ ンスをいただくことができた。これまでとはまた違った立場になり、コミュニケ ーション一つをとっても更に高い能力を求められているように思う。部下一人ひ とりの個性と能力を把握し、適切な指示・指導ができるようになること、危機管 理の徹底、部下が安心して働ける環境づくり、人材育成、更に自分自身のスキル アップを図ること、これらを常に意識して仕事に取り組んでいきたいと思ってい る。
7 年代 - 性別 女性 勤続年数 6~10 年 キ ャ リ ア ア ッ プ の 過程 金融機関勤務が 10 年になり、子育てが一段落する ところで上司の勧めもあり、社員転換にチャレン ジ。 B 氏 ◆社員転換のきっかけは、上司の勧めと子育てのタイミングが一致して 上司から勧められたことが社員転換を考えるきっかけとなった。金融機関勤務 がちょうど 10 年目になっていた。 また、同じタイミングで子育ても一段落しつつあり、自分に余裕ができたため、 チャレンジしようと考えた。 ◆責任は増えたが良い環境での充実した日々 社員転換をした当初は、勤務時間以外は特に変化はなかったが、3 か月後に異 動となった。異動した支店では若手社員が多く、仕事量・責任ともに多くを求め られるようになった。 規模も人数も中規模の支店のため、大規模の店舗より一人当たりの役割分担が 多く、これまでより様々な業務を担当するようになった。配属先は、多くの経験 ができるとても良い環境で、充実した日々を送っている。 残業は多くなったが、幸い通勤時間が短くなったため、仕事と家庭の両立に大 きな支障はなかった。今後も様々な業務にチャレンジできる機会を持てればうれ しく思う。
8 年代 - 性別 女性 勤続年数 6~10 年 キ ャ リ ア ア ッ プ の 過程 パートナー社員と社員では、仕事の内容や責任の重 さが違っていると常に思っていた。より重要な業務 にも携わりたく、子どもが大きくなったことをきっ かけに社員転換を希望。 C 氏 ◆より深く会社に関わり、会社を良くしていきたいという思い パートナー社員と社員では、仕事の内容や責任の重さが違っていると常に思っ ていた。仕事を続ける中で、より深く会社に関わり、会社を良くしていきたいと 思うようになり、子どもが大きくなったことをきっかけに社員転換を希望した。 転換に当たり当時の上司が、社員のみが担当する仕事を教えてくれてとても助 かった。 ◆社員転換により、責任感も仕事の責任も増加 社員転換をしたことにより責任のある仕事を任されるようになって、以前より 一段と責任を持って仕事に取り組むようになった。 目の前の仕事だけではなく、1 年後、5 年後を考えながら仕事に携わるようにな った。 自身のキャリアアップのために頑張るのはもちろんだが、それだけではなくこ の会社の一員として、会社がより良い企業となるよう頑張っていきたいと思って いる。