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中島誠先生ご意見に対する回答

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Academic year: 2021

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(1)Neurosonology 34(1) :19 - 21, 2021. Query to the Case Report by Tanabe et al. ©The Japan Academy of Neurosonology. 19. Letters to the editor. To the editor. 「経頭蓋カラードプラ法による微小栓子検索が癌関連脳卒中の 病態把握に有用であった 1 例」へのご質問 中島 誠 熊本大学脳神経内科・脳血管障害先端医療寄附講座. Query to the Case Report “Microembolic signal detection by transcranial color flow imaging is useful for understanding the morbid state of cancerrelated stroke” Makoto NAKAJIMA Division of Research for Cerebrovascular Diseases, Department of Neurology, Kumamoto University (Received January 26, 2021; Accepted February 25, 2021). 本誌に掲載された「経頭蓋カラードプラ法による微小栓子検索が癌関連脳卒中の病態把握に有用であった 1 例」 を, 1). 大変興味深く拝読いたしました.本論文についていくつかの疑問を持ちましたので, 著者の先生方にお尋ねいたします.. 1.本症例は脳底動脈でのみ多数の微小栓子シグナル(microembolic signals:MES)が検出されたのに対して,中大脳 動脈では検出されなかったとのことです.その機序として,著者らは「なんらかの原因で椎骨脳底動脈系の内皮細 胞傷害により局所的に血栓が形成された」と考察しています.ですが著者らも述べているように,FDP や D-dimer の上昇は,一般的な癌関連脳梗塞での上昇に比べると軽微であり .MES の成因として癌に関連した過凝固状態の 2). ほかに,脳動脈解離や動脈硬化性プラークの可能性も考えられないでしょうか.たとえば Fig.1 では,左椎骨動脈 の描出が悪いように見えます.大動脈弓∼右椎骨動脈には狭窄性病変は認められなかったとのことですが,左椎骨 動脈解離や動脈硬化性変化による狭窄は否定されているのでしょうか.画像だけでは分枝の確認が困難ですが,左 後下小脳動脈や右前下小脳動脈が右小脳半球を広範囲に灌流していたとすれば,左椎骨動脈病変によって右小脳梗 塞が生じた可能性も否定できないように思われます.. 2.これに関連して,左右椎骨動脈での MES はいかがだったのでしょうか.経頭蓋カラードプラ法(transcranial color flow imaging:TC-CFI) で MES が検出される場合,経頭蓋ドプラに比べて塞栓源の部位がより正確に推定できる点 は,大きな利点であるように思われます.. 3.癌関連脳梗塞では,未分画ヘパリン投与により塞栓症が抑制されても,ヘパリン中止や経口抗血栓薬への変更後に 再発が起こり,治療に難渋することがしばしばあります.本症例では,未分画ヘパリンの投与終了後は,抗血栓療 法をどのようになさったのでしょうか. 以上,3 点についてご教示いただければ幸いです. 本症例は,TC-CFI において短時間で多数の MES が検出された,塞栓症再発ハイリスク例であったものと考えます. われわれも,特に塞栓症が疑われる脳梗塞急性期患者においては,積極的に TC-CFI を施行すべきだと,改めて感じ ました. Reprint request 中島 誠:〒 860-8556 熊本県熊本市中央区本荘 1-1-1 熊本大学脳神経内科・脳血管障害先端医療寄附講座 Makoto NAKAJIMA: Division of Research for Cerebrovascular Diseases, Department of Neurology, Kumamoto University, 1-1-1, Honjo, Chuoku, Kumamoto, Kumamoto 860-8556, Japan E-mail: [email protected], Tel: 096-373-5893, Fax: 096-373-5895.

(2) Neurosonology 34(1) :2021. 20. 癌治療の進歩により,癌患者の予後が大きく改善しつつある今,癌関連脳卒中をいかに診断し治療するかは重要な課 題です.活動性癌患者において脳梗塞が認められた場合,癌との関連や発症機序,および再発予防に関して大変示唆に 富む症例だと考えます. 利益相反:本論文に関して,開示すべき利益相反状態は以下のとおりである.申告者氏名:中島誠(講演料:第一三 共株式会社) ⿟文献. 1) 田邉真希,荒井あゆみ,中田遼志,他:経頭蓋カラードプラ法による微小栓子検索が癌関連脳卒中の病態把握に有用であった 1 例. Neurosonology 2020; 33: 80-82. 2) Dardiotis E, Aloizou AM, Markoula S, et al.: Cancer-associated stroke: Pathophysiology, detection and management (Review). Int J Oncol 2019; 54: 779-796..

(3) Query to the Case Report by Tanabe et al.. Reply. 21. 中島誠先生ご意見に対する回答 東京慈恵会医科大学脳神経内科 田邉 真希 (Received February 9, 2021; Accepted February 25, 2021). この度は中島先生より,本誌掲載の「経頭蓋カラードプラ法による微小栓子検索が癌関連脳卒中の病態把握に有用で あった 1 例」に対してご質問をいただき,大変ありがたく思っております.中島先生からのご質問 3 点に対して,以 下のように回答いたします.. 1.症例での MES の成因として,癌に関連した過凝固状態以外に,脳動脈解離や動脈硬化性プラークの可能性も考え られるのではないか.また左椎骨動脈解離や動脈硬化性変化による狭窄は否定されているか. 【回答】 左椎骨動脈(VA)に関しては,お示しした画像では描出がやや不良に見えますが,頭部 MRA の元画像では狭窄や 解離を疑う変化は認めておりませんでした.TC-CFI での両側 VA の評価でも狭窄を疑う流速異常を認めませんでした. また 10,11 日後の MRI 検査の再検でも動脈解離を示唆する形態変化はありませんでした.血管撮影は施行しており ませんので,右小脳の梗塞巣が左後下小脳動脈や右前下小脳動脈から栄養されている可能性は完全に否定はできません が,入院中に行った TC-CFI・頸動脈超音波検査・頭部 MRA の血管評価の結果からは,動脈解離や動脈硬化を積極的 に示唆する所見がなく MES の原因は癌関連の過凝固状態と判断いたしました.FDP や D-dimer の上昇が軽微である ことも,局所での過凝固状態と考察した理由の一つであります.. 2.左右椎骨動脈での MES はどうだったか. 【回答】 大後頭孔ウインドウからの VA・脳底動脈 (BA) 当院では TC-CFI による側頭骨ウインドウからの ACA・MCA・PCA, の観察を入院時にルーチン検査で行っており,その際に BA で MES が観察されたため,そのまま少し長め(3 分間) にモニタリングを行いました.左右 VA のルーチンの観察中には明らかな MES は認めなかったため,同様のモニタリ ング追加を行いませんでしたが,両側の VA でも長めの観察を行っていれば機序を考察するうえでさらなる情報が得ら れた可能性はあると考えます.その点は本報告の limitation と感じています.. 3.未分画ヘパリン投与後は抗血栓療法をどうしたか. 【回答】 当科で脳梗塞と診断し未分画ヘパリンで加療を開始し,早期にヘパリンカルシウム皮下注を導入し退院するという予 定で元の診療科である腫瘍血液内科へ転科となりました.しかし,転科後に原病である乳癌悪化により予後は数週間と 考えられたため,化学療法を行わない方針となりました.転院や在宅療養などは困難であり,未分画ヘパリン静注を継 続しました.転科後 2 週間ほどでさらに全身状態が悪化しヘパリンコントロールがつかず,下血を認めたためヘパリ ン投与は中止となり,その 1 週間後に死亡に至りました.全身状態悪化や下血のため,塞栓症再発について神経学的 所見や画像所見の詳細な評価は残念ながらできておりません. 癌関連脳卒中は,原病のため十分に検査や治療が行えないことが多いのですが,中島先生のご指摘どおり,癌治療の 進歩とともに予後が改善され,癌関連脳卒中の治療や再発防止は癌患者の QOL 向上に大きな役割を果たすと考えられ ます.超音波での検査がその一端を担えればと思います.この度は貴重なご意見やコメントを下さり誠にありがとうご ざいました. Reprint request 田邉真希:〒 105-8461 東京都港区西新橋 3-25-8 東京慈恵会医科大学脳神経内科 Maki TANABE: Department of Neurology, The Jikei University School of Medicine, 3-25-8, Nishi-Shinbashi, Minato-ku, Tokyo 105-8461, Japan E-mail: [email protected], Tel: 03-3433-1111, Fax: 03-3578-8071.

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