社
会系教
科教育学会
『社会系教科教育学研究』第19
号 2007
(pp.55-64)
構築主義に基
一単元
づ
『アイヌ問題を考える』−
く社会科歴史学習の
授
業開発
Teaching History based on Constructionism:
Developing the Unit of
‘Thinking about the Ainus'
I
は
じめに
一国家
・社会の傍
観者の克服
一
本稿の
目的は
,子
どもが記憶の
多様なお
り方を
議論
して
,社会的な判断基準を構成する構築
主義
に基づく社会科歴史学習の授業を開発することに
よって
,現行の中学校歴史学習の問題点を改革す
る
ことである。
構築主義とは
,国家や社会
を人々に外在する客
観的な実在
とはみ
なさない考え方である1)
。それ
は
,国家や社会
を人々の言語行為によって社会的
に形成され
る存在であるとみ
なす
。
したがって,
歴史
を学習す
るということは
,歴史
を過去の客観
的な事実
と捉え
,その真理性
をつかむことではな
い
。それは
,人々の
言語行為が基づく歴史的な記
憶の
あり方を吟味
し
,その
正当性を議論すること
で
ある
。構築
主義に基
づく社会科歴
史学習は,
人々
が記憶
を共有
して国家や社会
を正当化す
る論理を
子どもに吟味させ
,そのよ
りよいお
り方を議論さ
せ
ることに
よって
,国家
・社会の
形成者を育成
し
ようとす
る学習論
であるといえるだろう
。
本稿では
,この
ような視座
をもつ構築主義を基
盤に
して
,歴史学習の授
業を開発す
る。歴史学習
の授業開発を試みるのは
,これまでの市民社会科
論2)
一例
えば,議論する社会科論3)
や社会的合意
形成論
O
,反省的社会探究学習論5)
や開かれた価
値観形成論6)
などーが
主に公民学習の授
業を開発
してきたか
らである。
構築主義による授
業開発
という観
点か
らは
,現
行の中学校歴史学習には問題かおる
といえよう
。
現行の歴史学習は
,国家史の観点か
ら選択
した事
件や出来事
を通史的に学習させて
,その選択基準
を吟味させないため
観的な事実
とみ
なす
ことにな
,子
どもは
っている
,歴史を過去の客
。その結果
,
藤
瀬
泰
司
(佐
賀
大学
文
化教
育学
部
附属
中学
校)
子
どもは
,
国家
や社
会の
歴
史
的な
真理
性
を批
判
的
に
吟味
す
る
こ
とな
く
,既存の
国家や
社
会の
あ
り方
を無
批判
に
正
当化
して
しま
う国
家
・社
会の傍
観
者
と
して
育成
され
る
こ
とにな
っ
て
いる
。
これ
まで
,
国家
・社
会の傍
観
者の
育成
とい
う問
題
点
を克服
すべ
く
,理
論批
判学
習7)
や解
釈
批
判学
習8)
が提
起
され
てきた
。理論
批判
学
習や解
釈
批判
学習
は
,科
学の
論
理に
した
が
っ
て理
論や
解釈
を子
ども
に
習得
させ
る
ことに
よ
って
,既
存の
国
家や
社
会
の
歴
史的
な
真理
性
を批
判
的に
吟味
させ
て
い
る
。
その
ため
,歴
史的
な
真理
性
を無
批判
に
受容
させ
て
しま
う現行の
歴
史
学
習の
問題
点
を克
服す
る
ことが
で
きて
い
る
。
しか
しなが
ら,
これ
らの
歴
史学
習論
は
,人
々が
国
家や
社会
を歴
史的
に
正
当化す
る
論理
を子
どもに
吟
味
させ
な
いため
,国
家
・社
会の
形
成
者
を育成す
る
ことが
で
きて
い
な
い
。
国
家
・社
会の
形成
者
を育
成す
る
には
,構
築
主
義
とい
う考
え方
を授
業構
成の
視
点
と
して欠
くこ
とが
で
き
な
いの
では
な
いか
。人
々が
共
有す
る様
々な
記
憶の
あ
り方
を吟味
し議
論
して
こそ
,
子
どもな
りに
国
家や
社
会
を歴
史
的に意
味
づ
け
,社
会
的
な判
断
基
準
を構
成
す
る
ことが
で
き
よ
う。
以上の
よ
うな
問題
意
識の
も
と
,子
ども
が
記憶の
多様
な
あ
り方
を議
論
して
,社
会
的な
判
断基
準
を構
成
す
る構
築
主
義に
基
づ
く社
会
科歴
史
学
習の
論理
を
明
らかに
す
る
。その
こ
とに
よっ
て
,現行の
歴
史学
習の
どこ
を
どの
よ
うに改
善すれ
ば
,国
家
・社
会
の
形成
者
をよ
りよ
く育
成で
き
るの
か
を示
した
い。
n
構
築
主義
に基
づ
く社
会科
歴
史学
習の
教材
構
成
I
既存の
.教材
国
論
一記憶の
家や社
会
を歴
再編
と
史
しての
的に
正
当化
社
会
問題
す
る論
一
理
を
子どもに吟味させ
,その多様なおり方を議論
させ
るためには
,現行の
国家通史の
学習
をやめ,社会
問題の
学習
を行
う必要がある
。というのも,社会
問題
を学習す
ることに
よって
,子どもは記憶の再
編過程
を吟味することができるか
らである
。
社会問題が発生
し解決され
てゆ
く過程は
,記憶
が社会
的に編成
されてゆ
くプロセスである
。従軍
慰安婦問題は
,その典型であろう几この
問題は
,
元慰安婦の韓
国
・朝鮮大女性の
証言をきっかけに
生
じた社会問題である
。戦後直後から知
られてい
た従軍慰安婦の存在は
,長らく
匚
売春婦
」と
して
日本人に記憶
され
てきた
。
しか
し,
1991
年に元従
軍慰安婦の女性が自らの体験
を匚
戦争犯罪
」とし
て証言
したことによって
,
「売春婦」という日本
人の
記憶の
あり方が社会
的に議
論
され
る
ように
なっ
た
。その結果,日本政府が公式に謝罪
した
り,歴
史教科書の記述が追加された
りして
,従軍慰安婦
をめ
ぐる記憶は編成
し直
され
ていった
。つま
り,
社会
問題の発
生と解決は
,歴
史の
再審
を求め
る人々
によって記憶のお
り方が問われ
社会的に議論
され
ることによって
,それが新たに作
り直
されてゆ
く
という記憶の再編
プロセス
なのである
。
それゆ
え
,社会問題
を学習するということは
,
歴史を人々に外在する過去の事実と
してつかむこ
とではな
く
,人々の共有する記憶と
してつかむこ
とである
。現行の国家通史学習は
,歴史を人々に
外在する過去の事実と
してつかませるため
,既存
の
国家や社会のお
り方を無批判に正当化させて
し
まう
。む
しろ,国家通史か
ら社会
問題の学習へ
と
学習の
論理
を転換
し
,記憶が社会的に再編され
る
過程
を吟味
させることによって
,国家や社会
を歴
史的に正当化する論理は
,社会
的に構築
される
こ。
とをつかま
せ
ることができよう。
(1)社会
問題の発
生
一歴史の
再審
と
しての発
生一
記憶が再編
され
る契機となる社会問題は
,歴史
の再審と
して発生するlO
)
。なぜな
ら,社会
問題は
,
歴史の再審請求者と被請求者の相互作用の
問題だ
からである。
例
えば
,従軍慰
安婦問題は,慰安婦の女性たち
にもともと備わ
っていた客観的な性質ではな
い
。
元慰安婦の韓国
・朝鮮人の女性たちが
「売春婦」
という日本
人の記憶に再審
を求める
ことによって
,
-韓
国
・朝鮮人
と日本
人との
間に社会的
コミ
ュニケー
シ
ョンが生
じ発生
した社会問題
である
。つまり,
社会問題は
,歴史の再審請求者が被請
求者の記憶
のお
り方を問う歴史の再審と
して発生するのであ
る
。
した
がって
,社会
問題
を学習する
ということは
,
歴
史の
再審
請求者
と被請
求者の
社会的
コミ
ュニケ
ー
シ
ョンの回路
を吟味
して
,既存の記憶のあ
り方を
反省
し
,その
異なる
可能性
を検討する
ことである。
現行の国家通史学習では
,歴史を過去の事実と
し
て扱うため
,その
多様な可能性は吟味
されず
,歴
史のお
り方は絶対視
されることになってゆ
く
。社
会問題
を学習する意義のひとつは
,記憶が社会的
に再審
される過程を検討
レ 歴史のお
り方には
多
様な可能性があ
りうることを知ることにあるとい
えよう。
(2)社会問題の解決
一当事者と
しての解決一
歴史の再審と
して発生
した社会問題は
,傍
観者
ではな
く当事者の立場か
ら解決
されてゆ
く
。とい
うのも
,社会問題に関する客観的な知見は
,人々
を社会の傍観者に立たせて
しまい
,結果的に記憶
の
問題詮
を再生産
して
しま
うからである
。例
えば
,
従軍慰安婦問題
を当時の時代構造の問題として把
握する知見は
,匚
従軍慰安婦問題は
当時の社会状
況では仕
方がなかった
」という認識
を社会に流通
させ
,その問題の悪循環
を煽ることになって
しま
う
。そのため
,社会問題を分析する者は
,歴史の
再審請求者と被請求者が形作る記憶のおり方を比
較検討
してこそ
,その問題の解決
を志向すること
ができる
。日本政府が公式に謝罪
した
り,歴史教
科書に記述が追加された
りして既存の記憶のお
り
方が見直
される解決策は
,当事者の視点にたって
従軍慰
安婦問題
を分析
しては
じめて
,獲得するこ
とができる知見なのである
。
それゆ
え
,社会
問題を学習するということは,
歴史の
再審請求者と被請
求者が
形作る記憶のあ
り
方
とその
根拠
である社会
観を吟味す
る
ことである11
)
。
現行の国家通史学習では
,既存の記憶のお
り様を
絶対視
させるため
,その記憶を根拠づける社会観
は吟味されることな
く注入されることになってゆ
く
。社会問題を学習するもうひとつの意義は,子
どもが社会問題をめ
ぐる様々な記憶
とその編成基
56−
準 で あ る 社 会 観 を 当 事 者 の立 場 に た って 吟 味 検 討 し, 自 ら の 判 断 基 準 を よ り 社 会 的 な も の へ と 構 成 し て い く こ と に あ る と い え よ う。 以 上 の よ う に, 構 築 主 義 に 基 づ く 社 会 科 歴 史 学 習 は, 内 容 的 に は ① 歴 史 の再 審 と し て 構 成 し た 社 会 問 題 を, 方 法 的 に は ② 様 々 な記 憶 の 編 成 基 準 を 明 確 化 さ せ る こ と に よ って , 目 標 的 に は ③ 子 ど も が 社 会 的 な 判 断 基 準 を 構 成 す る と い う 学 習 の 論 理 を も って い る。 こ の学 習 の論 理 に基 づ く こ と によ っ て, 既 存 の国 家 や 社 会 を 歴 史 的 に 正 当 化 す る 仕 方 を 子 ど も に吟 味 さ せ, そ の多 様 な お り 方 を 議 論 さ せ る こ と が で き よ う。 次 節 以 降 で は, ア イ ヌ問 題 を 教 材 に し た 単 元 を 開 発 し, 構 築 主 義 に 基 づ く 社 会 科 歴 史 学 習 の 具 体 像 を 明 ら か に し た い。 2。 内 容 構 成 一 歴 史 の 再 審 と して の 社 会 問 題 一 構 築 主 義 に 基 づ く 社 会 科 歴 史 学 習 は, 歴 史 の 再 審 と し て 捉 え た 社 会 問 題 を 内 容 に 構 成 す る必 要 が あ っ た。 と い う の も, 社 会 問 題 を 社 会 的 相 互 作 用 の 問 題 と し て 捉 え な け れ ば, 歴 史 を 社 会 的 な 構 築 物 と し て つ か む こ と が で き な い か らで あ っ た。 本 稿 で 取 り 上 げ る ア イ ヌ 問 題 と は, ア イ ヌ民 族 に 関 わ る 日 本 近 代 史 の 記 憶 が 問 わ れ議 論 さ れ て い る 社 会 問 題 で あ る。 歴 史 の 再 審 と し て の 社 会 問 題 と い う 観 点 か ら ア イ ヌ 問 題 を 教 材 化 し , そ の 内 容 構 成 の 論 理 構 造 を 示 し た も の が表 1で あ る。 ア イ ヌ問 題 は, ア イ ヌ 史 の再 審 を 求 め る人 々 が, 日 本 の 国 や 人 々 が 形 作 る ア イ ヌ の 記 憶 の あ り 方 に 異 議 を 申 し 立 て 発 生 し た 社 会 問 題 で あ る。 事 例 と し て , ア イ ヌ 肖 像 権 訴 訟 や二 風 谷 ダ ム訴 訟 を 挙 げ る こ と が で き る 。 ア イ ヌ肖 像 権 訴 訟 に お い て , 原 告 の チ カ ップ 美 恵 子 氏 は, 日 本 の 学 術 研 究 者 が 著 書 の 中 で ア イ ヌを 滅 び ゆ く 存 在 と し て 叙 述 し た 記 憶 の あ り 方 に 異 議 を 申 し 立 て た12)。 ま た, 二 風 谷 ダ ム訴 訟 にお い て , 原 告 の 萱 野 茂 氏 ら は, ア イ ヌ 民 族 が 聖 地 と し て 記 憶 す る二 風 谷 に 北 海 道 が ダ ム を 建 設 す る こ と に 異 議 を 申 し 立 て た13)。 つ ま り , ア イ ヌ問 題 は, 日 本 の 国 や人 々 に よ る ア イ ヌ民 族 の 記 憶 の お り 方 に対 し て , ア イ ヌ の 人 々 が 異 議 を 申 し 立 て 歴 史 の 再 審 を 求 め る こ と に よ っ て 発 生 す る 問 題 な の で あ る。 こ の よ う な ア イ ヌ 史 の再 審 請 求 者 は, ア イ ヌ を 先 住 民 族 と し て 記 憶 し て い る 。 そ の 典 型 的 な事 例 は, 1984 年 に ア イ ヌ新 法 案 を 作 成 し た 北 海 道 ウ タ リ 協 会 で あ る 弋 北 海 道 ウ タ リ協 会 は , 民 族 参 政 権 や 民 族 自 立 化 基 金 な ど を 制 度 化 す る ア イ ヌ新 法 を 作 成 す る こ と に よ っ て , 民 族 の 意 思 を よ り 反 映 し た 政 策 を 実 現 し 民 族 間 の 格 差 と 差 別 を 解 消 す る 多 民 族 社 会 を め ざ し て い る。 そ の た め, 北 海 道 ウ タ リ協 会 は, ア イ ヌ を 先 住民 族 と し て 記 憶 し よ う と す る。 と い う の も, 国 に よ る ア イ ヌ 新 法 の制 定 を 実 現 す る に は, 北 海 道 に 先 住 す る ア イ ヌ民 族 の 文 化 や 権 利 が 北 海 道 開 拓 事 業 に よ って 剥 奪 さ れ た 先 住 民 族 の歴 史 と し て ア イ ヌ史 を 描 く 必 要 か お る か ら で あ る。 つ まり , 北 海 道 ウ タ リ協 会 は, 多 民 族 社 会 を 構 想 す る た め に, ア イ ヌ を 先 住 民 族 と し て 記 憶 す る わ け で あ る 。 ア イ ヌ民 族 の人 々 は, 多 民 族 社 会 観 に 基 づ い て ア イ ヌを 先 住 民 族 と し て 記 憶 す る こ と に よ って , 日 本 の 国 や 人 々 が もつ 記 憶 の お り 方 に再 審 を 請 求 して い る の で あ る。 そ れ に 対 し て , ア イ ヌ史 の 再 審 を 求 め ら れ る 被 請 求 者 は, ア イ ヌを 未 開民 族 と し て 記 憶 し て い る。 そ の 典 型 的 な 事 例 は, 1899 年 に北 海 道 旧 土 人 保 護 法 を 制 定 し た 明 治 政 府 で あ る 几 明 治 政 府 は, 農 業 へ の 従 事 や ア イ ヌ部 落 へ の 小 学 校 設 置 を 制 度 化 す る 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 を 作 成 す る こ と に よ って , 民 族 を 同 化 し て 差 違 を 消 去 し 民 族 間 の 格 差 と差 別 表 1 構築主義 に基づく社 会科歴史学 習の教材 構成 の論理一 歴史の再 審として の社会問題− 題 材 ア イ ヌ問 題 問 題 観 歴 史 の再 審 と し て の 社 会 問 題 再 審 請 求 者 被 請 求 者 教 育 内 容 記 憶 観 先 住 民 族 と し て の記 憶 未 開 民 族 と し て の記 憶 社 会 観 多 民 族 社 会 観 単 一 民 族 社 会観 事 例 ① ア イ ヌ新 法 ウ タ リ協 会 案 ②北 海 道 旧 土 人 保 護 法
を 解 消 す る単 一 民 族 社 会 を め ざ し て い る。 そ の た め , 明 治 政 府 は, ア イ ヌ を 未 開 民 族 と し て 記 憶 し よ う と す る。 と い う の も, 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 の 制 定 を 正 当 化 す る に は, 文 字 を も た ず 漁 業 を 生 業 と す る ア イ ヌ 民 族 を 一 視 同 仁 と い う 慈 愛 の 精 神 に よ っ て 保 護 さ れ な け れ ば な ら な い 未 開 民 族 と し て 描 く必 要 か お る か らで あ る。 つ ま り, 明 治 政 府 は, 単 一 民 族 社 会 を 構 想 す る た め に, ア イ ヌを 未 開 民 族 と し て 記 憶 す る わ け で あ る。 日 本 の 国 や 人 々 は, 単 一 民 族 社 会 観 に基 づ い て ア イ ヌを 未 開 民 族 と し て 記 憶 す る た め に, 歴 史 の 再 審 を 請 求 さ れ る ア イ ヌ問 題 に直 面 す る の で あ る 。 以 上 の よ う に, ア イ ヌ 問 題 を 歴 史 の 再 審 と し て 捉 え る 内 容 構 成 を 図 る こ と に よ って , 再 審 請 求 者 の主 張 を 根 拠 づ け る ① 多 民 族 社 会 観 に 基 づ く 先 住 民 族 と し て の ア イ ヌ の記 憶 , 被 請 求 者 の主 張 を 根 拠 づ け る ②単 一 民 族 社 会 観 に 基 づ く 未 開 民 族 と し て の ア イ ヌ の 記 憶 と い う 2つ の 教 育 内 容 を 設 定 し, そ れ ぞ れを ア イ ヌ 新 法 ウ タ リ 協 会 案 及 び北 海 道 旧 土 人 保 護 法 と い う 事 例 に 即 し て 批 判 的 に学 習 さ せ る こ と がで き る。 歴 史 の 再 審 と し て の 社 会 問 題 と い う 観 点 か ら社 会 科 歴 史 学 習 の 内 容 を 構 成 す る こ と に よ って , 子 ど も た ち は歴 史 を 過 去 の 事 実 と し て 絶 対 視 す る の で は な く, 歴 史 に は多 様 な お り 方 か お る こ と を 知 る こ と が で き よ う。
3。 学習 過程 の組織化 一当事 者化 によ る吟味一
構築主 義に基 づ く社会科歴 史学 習 は, 歴史 の再
審 として 捉え た社会問 題を当 事者 とし て学習さ せ
る と い う も の で あ っ た 。 ア イ ヌ 問 題 の 学 習 過 程 を 当 事 者 と し て の 意 識 化 と い う 観 点 か ら 組 織 化 し , 社 会 問 題 学 習 の 構 造 を 示 し た も の が 表 2で あ る 。 匚学 習 段 階 」 に は学 習 活 動 と そ の 役 割 を 示 し,「 学 習 活 動 例 」 に は ア イ ヌ問 題 を 教 材 に し た 学 習 活 動 を 例 示 し た。 ま ず 学 習 段 階 工は, 子 ど も が 社 会 問 題 の議 論 構 造 を 直 観 的 に 吟 味 し て , 記 憶 の 問 題 歐を つ か む 段 階 で あ る。 ア イ ヌ 肖 像 権 訴 訟 を 通 し て , ア イ ヌ問 題 と は, 民 族 史 の 再 審 を 求 め る / 求 め ら れ る 人 々 の 記 憶 の あ り 方 が 対 立 し 生 じ る こ とを 把 握 し, 再 審 が求 め ら れ て い る 人 々 の 記 憶 の問 題 性 に 気 づ く よ う に す る。 記 憶 の 間 題 哇 に気 づ く よ う に す る こ と で , 匚ア イ ヌ民 族 に 関 わ っ て , ど の よ う な 記 憶 を 私 た ち はつ く る こ と が で き る だ ろ う か 」 と い う 学 習 課 題 を 設 定 し, 子 ど も も 自 ら の記 憶 が 問 わ れ て い る こ と を 把 握 す る。 学 習 段 階 I で は, 社 会 問 題 が客 観 的 に 実 在 す る の で は な く, 人 々 の 議 論 に よ ってっ く ら れ生 じ るこ と に気 づ かせ るこ と に よ っ て , ア イ ヌ 問 題 を 自 分 の 問 題 と し て 捉 え さ せ る わ け で あ る。 学 習 段 階n は, 子 ど も が 社 会 問 題 の 議 論 構 造 を 分 析 的 に 吟 味 す る こ と に よ っ て , 歴 史 の再 審 請 求 者 と 被 請 求 者 の記 憶 が 基 づ く 社 会 観 を つ か む 段 階 で あ るo 具 体 的 に は, ま ず , ア イ ヌ 史 の 再 審 請 求 者 が 形 作 る 先 住 民 族 と し て の 記 憶 を, ア イ ヌ新 法 ウ タ リ協 会 案 に 即 し て 分 析 し, そ れ が 多 民 族 社 会 観 に 基 づ い て い る こ と を 把 握 す る。 ま た, 被 請 求 者 が 形 作 る 未 開 民 族 と し て の 記 憶 を, 北 海 道 旧 土 表 2 構 築 主 義 に 基 づ く 社 会 科 歴 史 学 習 の学 習 過 程 一 当 事 者 化 に よ る 吟 味− 学 習 段 階 学 習 活 動 例 一 ア イ ヌ 問 題 の場 合 一 学 習 活 動 学 習 活 動 の 役 割 I 議 論 構 造 の 直 観 的 吟 味 記 憶 の 問 題 性 の 把 握 ○ ア イ ヌ肖 像 権 訴 訟 を 通 し て , ア イ ヌ問 題 と は, 客 観 的 に 実 在 す る の で はな く, 民 族 史 の再 審 請 求 者 と 被 再 審 請 求 者 が 基 づ く記 憶 の対 立 と い う 人 々 の 議 論 で あ る こ と を 把 握 す る 。 皿 議 論 構 造 の 分 析 的 吟 味 歴 史 の 再 審 請 求 / 被 請 求 者 が 基 づ く 社 会 観 の把 握 ○ ア イ ヌ新 法 ウ タ リ 協 会案 を 分 析 す る こ と によ っ て , ア イ ヌ を 先 住 民 族 と し て記 憶 す る再 審 請 求 者 は, 多 民 族 社 会 観 に 基づ い て い る こ と を 把 握 す る 。 ○ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 を 分 析 す る こ と に よ っ て , ア イ ヌ 民 族 を 未 開 民 族 と し て記 憶 す る 被 請 求 者 は , 単 一 民 族 社 会 観 に 基 づ い て い る こ と を 把 握 す る 。 Ⅲ 議 論 構 造 の 応 用 的 吟 味 判 断 基 準 の 構 成 ○ 二 風 谷 ダ ム訴 訟 に 対 す る 対 応 策 を 考 案 し , そ れ ら を 単 一 民 族 又 は多 民 族 社 会 観 に 基 づ く記 憶 に よ っ て , 根 拠 づ け る こ と で , 社 会 的 判 断 基 準 を 構 成 す る 。 -58 −人保護法に即
して分析
し
,それが単一民族社会観
に基づいている
こと
を把握する
。学習段階
nでは
,
アイヌ問題の議論構造を分析
的に吟味す
ることに
よって
,アイヌ史の
再審請求者と被請求者がもっ
ている記憶の編成基準
である多民族社会観と単
一
民族社会観
を明確にさせるわけである
。
学習段階
mは
,子どもが社会問題の
議論構造
を
応用的に吟味することによって
,社会的な判断基
準
を構成す
る段階である
。ここでは
,具体的な事
例
と
して二風
谷ダム
訴訟への
対応策
を取
り上げる
。
まず
,考案
した対応策
を既習の社会観
と記憶観に
関連
づけて整理する
。その上で,それ
ら対応策
を
相互に比較
し討論することで
,支持する対応策
を
選択する
。学習段階Ⅲでは
,既習
した社会問題の
議論構造を二風谷ダム訴訟という具体的なアイヌ
問題の中で応用的に吟味
させる
ことによって
,子
どもに社会
的な判断基準を構成
させるわ
けである
。
以上の
ように
,子どもがアイヌ問題の議論構造
を直観的
・分析
的
・応用的に吟味
して
,社会的な
判断基準を構成する学習過程
を組織化す
ることに
よって
,子
どもは
,アイヌ問題に対
して自らを当
事者と
して位置
づけ
,アイヌ
民族をめ
ぐる記憶の
編成によ
りよ
く参加
していくことができるように
なろう。
Ⅲ
構
築主
義に
基
づ
く社会
科
歴
史学
習の
実
際
1
.単
元の
設
定理
由
と学
習
目標
以上の
よ
うな
学
習構
成
論に
基
づき
,単
元
「ア
イ
ヌ
問
題
を考
える
」
を開
発
した
。本
単
元
を設
定
した
理
由は
,アイ
ヌ
問題
を手が
か
りに
す
る
こ
とに
よっ
て
,私
た
ちが
いつの
間
にか
国
家や
社会
を歴
史的
に
正
当化
して
いる
論理
を見直
す
こ
とが
でき
るか
らで
ある
。ア
イヌ
問
題
とは
,ア
イヌ
民族に
関わ
る近
代
史の
記憶
が
問わ
れ
,
日本
に
お
け
るアイ
ヌ
民族の
政
治
的
・文
化
的な権
利の
お
り方が
議
論
され
て
いる社
会
問題
で
あ
る
。その
ため
,ア
イ
ヌ
問題
に
つ
いて考
える
こ
とは
,私た
ち
が
既存の
国家
や社
会
を歴
史
的
に
正
当化す
る論
理
を見直
し
,
よ
りよ
い社会
生活の
あ
り方
を考
える
こ
とで
も
あるわ
け
で
ある
。
この
よ
うな
単
元設
定の
理
由に
基
づ
いて
,単
元の
学
習課
題
を匚
アイ
ヌ
民族
に
関わ
って
,
どの
よ
うな
記憶
を私た
ち
は
つ
くる
こ
とが
でき
るだ
ろ
うか
」
と
して
,次の
よ
うな学
習
目標
を設定
した
。
○
ア
イヌ
問題
に関す
る意
見や
考
え
を積極
的
に
も
と
う
と
して
い
る
【関
心
・意
欲
・態
度
】
。
○
ア
イヌ
問
題に
関わ
る
資料
か
ら当事
者の
見
方や
考
え方
をつか
む
ことが
で
きる
【思
考
・判断
】
。
○
アイ
ヌ
問題
の
当事
者の
見
方や
考
え方
を活用
し
て
,
自分の
考
えを表
現
でき
る
【技
能
・表
現
】
。
○
多民族社
会
観
,単
一
民族
社会
観の
いずれ
に
ど
の
程
度
基
づ
くか
で
,形作
られ
る記
憶の
お
り方
も
異
なる
こと
を理解
で
き
る
【知識
・理解
】
。
2。単元の
主な学習展開
本単元は
,中学校社会科歴史的分野の厂
近世の
日本
」や厂
近現代の
日本
と世界
」の発展教材
・投
げ入れ
教材
と
して開発
した
。全
3時間構成で
,本
単元は
,パー
トI厂
アイヌ問題とは何か
」
,パー
トH匚
アイヌ新法ウタ
リ協会案か
ら考える
」
,パー
トⅢ日ヒ
海道旧土人保護法か
ら考
える
」
,パー
ト
Iv匚
二風谷ダム
訴訟を考
える」という4つのパー
トか
ら構成
され
ている。
パ
ー
トI
「 ̄
アイヌ問題とは何か
」は,子
どもが
アイヌ問題の議論構造
を直観的に分析
して
,アイ
ヌ史
をめ
ぐる記憶の
問題壯
を把握す
る段階
である
。
導入部で匚
○アイヌ
問題とは
どの
ような問題だ
ろ
うか
」という本時の学習課題
を設定す
る。展開部
では
,アイヌ
肖像権訴訟に関す
る新聞記事を読み
解
いて
,アイヌ問題とは,アイヌ史の再審を求め
る人々/求め
られ
る人々の記憶のお
り方が対立
し
生
じた
問題であることをつかむ
。終結部では
,展
開部の学習に基づいて
,匚
◇アイヌ民族に関わっ
て
,どのような記憶
を私たちは
つくることができ
るだ
ろうか
」という本単元の
学習課題
を設定す
る。
パ
ー
トIの学習では
,アイヌ問題が人々に外在す
る客観的な事実ではな
く
,アイヌ史の記憶のお
り
方をめ
ぐる人々の議論であることに気
づくように
することで
,アイヌ問題
を子どもに自分の
問題と
して捉
えさせるようにするわ
けである
。
パ
ー
トnとパー
トmは
,子どもがアイヌ
問題の
議論構造
を分析的に吟味することによって
,アイ
ヌ史の再審請求者/被請求者の記憶が基づく社会
観をつかむ段階である
。まず
,パー
トH厂
アイヌ
新法ウタ
リ協会案か
ら考える」の導入部で,匚
○
資料1 単元「 アイヌ問題を 考え る」 の学習指導案 1. 単元の学習 目標 ○ アイヌ問題 に関する意見 や考えを 積極的 にもとう としている【関心 ・意欲・態 度】。 ○ アイヌ問題 に関 わる資料 か ら当事 者の見方や 考え方を つかむこ とができる【思 考・判断】。 ○ アイヌ問題の当事者 の見方や考え方を活用して、 自分の考えを表現で きる【技能・表現】。 ○多民 族 社会観、 単一 民族 社会観 のい ずれ にどの程 度基づ くか で、形 作 られる記 憶のあ り方 も異な るこ とを 理解 で きる【知識・理 解】。 ①アイ ヌ問題 とは、 アイヌ史 の再 審を 求 める/求 められる人 々 との記 憶が対立 し生 じ た問題であ る。 ②アイ ヌ史 の再 審を求 める人 々 は、多 民族社 会観に基づ いて アイヌを 先住民族 として記 憶する。 ③アイヌ史 の再 審を求 められる人 々は、単一民 族社会観 に基づいて アイヌを未 開民 族 として記憶す る。 ④二 風谷 ダム訴訟 の対応策 は、単一民 族社会 観と多 民族社 会観 のい ずれにど の程度基づ くかによ って 異なる。 2.単元 の学習過程 パ ー ト 教 師 の主 な 指 示 や 発 問 ( 主 な 教 授 ・ 学 習 資 料) 子 ど も に 習 得 さ せ た い 知 識 パ I 卜 ]: ¬ ア イ ヌ 問 題 と は 何 か 導 入 ○ ア イ ヌ 問 題 と は ど の よ う な 問 題 だ ろ う か 。 ア イ ヌ 肖 像 権 訴 訟 を 事 例 に 考 え て み よ う 。 ( 資 料 ① 二記 事 匚ア イ ヌ肖 像 権 訴 訟」) ・1985 年 , チ カ ップ 美 恵 子 氏 が 匚自 ら の肖 像 権 が侵 害 さ れ, 名 誉 が 傷 つ け ら れ た 」 と し て ,『 ア イ ヌ民 族 誌 』 に関 わ る 研 究 者 や 出 版 社 を 訴 え た裁 判 。 原 告 側 か 勝 訴 。 展 開 ・ 『 ア イ ヌ民 族 誌 』 と は ど の よ う な 学 術 書 な の だ ろ う か 。 ・ 原 告 の チ カ ッ プ 美 恵 子 氏 は,『 ア イ ヌ民 族 誌 』 の ど の よ う な 点 が 肖 像 権 侵 害 や 名 誉 毀 損 にあ た る と 考 え た の だ ろ う か 。 ・ 被 告 の 研 究 者 や 出 版 社 は , そ れ に対 し て , ど のよ う に 主 張 し て い る だ ろ う か 。 ・ 原 告 と 被 告 の ア イ ヌ民 族 の 捉 え 方 は , な ぜ 異 な る の だ ろ う か。 ○ ア イ ヌ 肖 像 権 裁 判 か ら , ア イ ヌ 問 題 と は ど のよ う な 問 題 だ ろ う か 。 ・ 北 海 道 百 年 記 念 事 業 の ひ とつ と し て, 1969 年 に 出 版 さ れ た 学 術 書 で あ り , ア イ ヌ 民 族 の 人 々 は こ の 事 業 を 同 化 完 了 事 業 と し て 捉 え , 反 対 し て い た 。 ・ 『 ア イ ヌ民 族 誌 』 に 自 分 の子 ど も の頃 の 写 真 が 無 断 で 掲 載 さ れ て お り , し か も ア イ ヌを 滅 び ゆ く 存 在 と し て 捉 え て い る点 が 肖 像 権 の侵 害 や 名 誉 毀 損 にあ た る と主 張 し た。 ・ 北 海 道 開 拓 政 策 に よ っ て , ア イ ヌ民 族 と 日本 人 の文 化 的, 精 神 的 格 差 は消 え て お り , 混 血 も多 く ア イ ヌ 民 族 は い な い と主 張 し て い る。 ・ ア イ ヌ民 族 か た ど って きた 歴 史を ど のよ う に み る か によ っ て , ア イ ヌ 民 族 の定 義 の仕 方 が 異 な る か ら 。 ○ ア イ ヌ 問 題 と は, ア イ ヌ史 の 再 審 を 求 め る / 求 め ら れ る 人 々 の記 憶 が 対 立 し , 生 じ る 社 会 問 題 で あ る 。 終 結 ◇ ア イ ヌ 民 族 に 関 わ っ て , ど の よ う な 記 憶 を 私 た ち は つ く る こ と が で き る だ ろ う か 。 パ I 卜 H ¬ ア イ ヌ 新 法 導 入 ○ ア イ ヌ 史 の 再 審 を 求 め る 人 々 は , ど の よ う な 考 え 方 に 基 づ い て , ど の よ う な 記 憶 を つ く っ て い る の だ ろ う か 。 ア イ ヌ 新 法 ウ タ リ 協 会 案 を 事 例 に 考 え て み よ う 。( 資 料 ② :文 書 匚ア イ ヌ 新 法 ウ タ リ 協 会 案 コ ・ ア イ ヌ 新 法 は北 海道 ウ タ リ協 会 に よ っ て1984 年 に 作 成 さ れ, そ の 法 律 案 は 「 前 文 」 厂本 法 を 制 定 す る 理 由 」 匚第 一 基 本 的 人 権 」「 第 二 参 政 権 」「 第 三 教 育 ・ 文 化 」 匚第 四 農業 漁業 林業 商 工業 等 」「 第 五 民 族 自立 化 基 金」 匚第 六 審 議 機 関 」 か ら 構 成 さ れ て い る 。 展 開1 | ・ 「 本 法 を 制 定 す る 理 由 」 に あ る ア イ ヌ モ シ リ と は ど のよ う な 意 味 だ ろ う か 。 ・ ア イ ヌ 民 族 は ア イ ヌ モ シ リ で ど の よ う な 暮 ら しを し て い た の だ ろ う か。 ・ ア イ ヌ モ シ リ と は ア イ ヌ の 住 む 大 地 と い う 意 味 で あ り , 樺 太, 北 海 道 , 千 島 な ど の地 域 で あ る。 ・ ア イ ヌ 語 を 話 し, 鹿 や 鮭 を 捕 り , 主 に 狩 猟 や 漁 労 を 営 ん で 暮 ら し て い た。 −60 −
ウ タ リ 協 会 案 か ら 考 え る 先 住 民 族 と し て の 記 憶 ・ ア イ ヌ民 族 は ど の よ う に し て 権 利 や 文 化 を 奪 わ れ て き た の だ ろ う か ,「 本 法 を 制 定 す る 理 由」 か ら探 して み よ う 。 ○ な ぜ 国 は, ア イ ヌ 新 法 を 制 定 す る 責 任 が あ る の だ ろ う か 。 ・ ( 干 島 ・ 樺 太 交 換 条 約 は , ア イ ヌ民 族 の 意思 を 確 認 す る こ と な く , ロ シ ア と 日 本 の 間 で 交 渉 さ れ 締 結 さ れ た。) ( 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 は ア イ ヌ 語 を 禁 止 し, 農 耕 以 外 の 職 業 選 択 を 許 さ な い屈 辱 的 な 法 律 で あ っ た。)( 農 地 改 革 は 、 旧 土 人 保 護 法 で アイ ヌ民 族 に給 与 し た土 地 を も 奪 い, 人 々 を よ り 困 窮 さ せ た。) ○ ア イ ヌ民 族 が 先 住 し て い た北 海 道 で 様 々 な 開 拓 事 業 が 実 施 さ れ た こ と によ っ て , ア イ ヌ 民 族 の 権 利 や 文 化 が 奪 わ れ た か ら。( 先 住 民 族 と し て の記 憶 ) 展 開 2 | 多 民 族 社 会 観 ・ ア イ ヌ 民 族 は 現 在 , ど の よ う な 問 題 に 直 面 し て い る の だ ろ う か 。( 資 料 ③ : 統 計 「 今 も残 る 差 別 や 格 差コ ・ 匚第 二 参 政 権 」 に 掲 げ る 民 族 参 政 権 と は , ど の よ う な 権 利 だ ろ う か。 ・ 匚第 五 、民 族 自 立 化 基 金 」 と は ど の よ う な 資 金 だ ろ う か 。 ・ な ぜ ア イ ヌ 新 法 に よ っ て , 差 別 や 格 差 を 解 消 す る こ と が で き る のだ ろ う か 。 ○ ア イ ヌ を 先 住 民 族 と し て 記 憶 す る の は な ぜ だ ろ う か 。 ・ 数 万 人 が 生 活 す る 北 海 道 の ア イ ヌ民 族 は 差 別 と貧 困 に 直 面 して お り , そ の 結 果 , 季 節労 働 者 が多 く 生 活 は不 安 定 で , 高 校 や 大 学 へ の 進 学 率 も 低 い 。 ・ 民 族 参 政 権 と は, 国 会 議 員 の 中 に ア イ ヌ 民 族 の 議 席 を 設 け る権 利 で あ る。 ・ ア イ ヌ民 族 が 自治 を 行 う た め に 国 家 予 算 の 一 部 を 当 て る 資 金 で あ る 。 ・ ア イ ヌ 民 族 が 自 ら 自 治 を 行 っ た り , ア イ ヌ 民 族 の 意 見 を 国 政 に 反 映 さ せ た り す る こ と で , 民 族 の要 求 に よ り 応 え た 社 会 を 実 現 し , 差 別 を 軽 減 す る こ と が で き る か ら 。 (多 民 族 社 会 観) ○ ア イ ヌ を 先 住 民 族 とし て記 憶 す る こ と に よ っ て, 様 々 な 民 族 の 権 利 や文 化 を 相 互 に 尊 重 す る多 民 族 社 会 を 正 当 化 し実 現 す る た め。 終 結 ○ ア イ ヌ 史 の 再 審 を 求 め る 人 々 は , ど の よ う な 考 え 方 に 基 づ い て , ど の よ う な 記 憶 を つ く っ て い る の だ ろ う か。 ○ ア イ ヌ 史 の再 審 を 求 め る人 々 は, 各 民 族 が 自 決 し て 差 別 や 格 差 を 解 消 す る 多 民 族 社 会 の実 現 と い う 考 え 方 に 基 づ い て, ア イ ヌ民 族 を 先 住民 族 と し て 記 憶 す る。 パ | 卜 Ⅲ ¬ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 か ら 考 え る 導 入 ○ ア イ ヌ史 の 再 審 を 求 め ら れ る 人 々 は, ど の よ う な 考 え 方 に 基 づ い て , ど の よ う な 記 憶 を つ く っ て い る の だ ろ う か 。 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 を 事 例 に 考 え て み よ う 。( 資 料 ④ : 文 書 「 ̄北 海 道 旧 土 人 保 護 法 山 ・ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 は1899 年 に 制定 さ れ, 1997 年 に 廃 止 さ れ た 法 律 で あ る 。 北 海道 旧 土 人 保 護 法 は13 の 条 文 か ら 構 成 さ れ て い る。 展 開1 | 未 開 民 族 と し て の 記憶 ・ な ぜ 農 業 に 従 事 す る ア イ ヌ 民 族 に だ け 土 地 を 与 え る の だ ろ う か 。 ・ ア イ ヌ民 族 の集 落 に な ぜ 小 学 校 を 設 置 す る の だ ろ う か。 ・ ア イ ヌを 冂日土 人 」 と い う 差 別 的 な 表 現 で 呼 ぶ の はな ぜ だ ろ う か。 ○ な ぜ 国 は 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 を 制 定 す る 責 任 が あ る の だ ろ う か 。 ・ 狩 猟 や 漁 猟 は 原 始 的 な 生 活 様 式 で あ り , 農 業 が 安 定 し て い る か ら。 ・ 小 学 校 を 設 置 し て 読 み 書 き を 教 え る た め。 ・ 読 み 書 き や 農 耕 を 知 ら な い ア イ ヌ民 族 は原 始 的 で あ る か ら。 ○文 明 国 家 で あ る 日 本 が, 原 始 的 な ア イ ヌ民 族 を 文 明 化 す る こ と は 当 然 の 義 務 で あ る か ら。(未 開 民 族 と し て の記 憶) 展 開 21 ・ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 が 制 定 さ れ た 頃 , ア イ ヌ民 族 は ど の よ う な 問 題 に 直 面 し て い た の だ ろ う か。( 資 料 ⑤ 二北 海 道 旧 土 人 保 護 法 案 理 由 書 ) ・ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 案 理 由 書 の 「 一 視 同 仁 」 と は ど の よ う な 意 味 だ ろ う か。 ・ 和 人 の北 海 道 植民 が 盛 ん に 行 わ れ, 和 人 にだ ま さ れた り , 伝 染 病 が 流 行 し た り し て , 人 口 が 減 少 し て い た 。 ・ 匚す べ て の人 を 差 別 な く 平 等 に愛 す る 」 精 神 で ア イ ヌ民 族 を 保 護 す る こ と で あ る。
単 一 民 族 社 会 観 ・ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 案 理 由 書 の 厂そ の 知 識 の 啓 発 , 頗 る 低 度 な り 」 は , ア イ ヌ 民 族 に ど の よ う な 知 識 が 不 足 し て い る の だ ろ う か 。 ・ な ぜ 北 海 道 旧 土 人 保 護 法 に よ っ て , 差 別 を 解 消 す る こ と が で き る のだ ろ う か。 ○ ア イ ヌ を 未 開 民 族 し て 記 憶 す る の は な ぜ だ ろ う か 。 ・ 文 字 に 関 す る 知 識, 農 耕 に関 す る 知 識 が ア イ ヌ民 族 に は 欠 け て い る こ とを 意 味 し て い る。 ・ ア イ ヌ民 族 が 農 耕 技 術 や 文 字 に 関 す る 知 識を 習 得 し て 和 人 社 会 に同 化 す れば 貧 困 を 脱 出 し , 差 別 は 自 ず と 解 消 さ れ る か ら。( 単 一 民 族 社 会 観 ) ○ ア イ ヌを 未 開民 族 と し て 記 憶 す る こ と に よ っ て, 民 族 を 同 化 し て 差 別 を 解 消 し よ う と す る 単 一 民 族 社 会 を 正 当 化 し 実 現 す る た め 。 終 結 ○ ア イ ヌ 史 の 再 審 を 求 め ら れ る 人 々 は , ど の よ う な 考 え 方 に 基 づ い て , 民 族 を ど の よ う に 記 憶 して い る のだ ろ う か 。 ○ ア イ ヌ 史 の 再 審 を 求 め ら れ る 人 々 は, 民 族 を 同 化 し て 差 別 を 解 消 す る 単 一 民 族 社 会 の実 現 と い う 考 え 方 に 基 づ い て, ア イ ヌ民 族 を 未 開 民 族 と し て 記 憶 す る。 パI 卜 Ⅳ コ −風 谷 ダ ム 訴 訟 を 考 え る 導 入 ・ こ れ ま で の学 習 を 表 に ま と め て み よ う。 │・ 表 1 を 参 照 。 表 1「 ア イ ヌ 民 族 の 記 憶 」