とされた。そして、その結論に伴い、(3)解体修理を行い建物の歪みを是正するという基本方針が大戦直後(昭 和 22 年頃)に策定された。上記②に対する方策としては、(1)樹脂を用いた壁画・壁体の硬化法が考案され、 (2)室内環境の変化から壁画を保護する遮蔽装置の設置や(3)人災による損傷を抑制するための拝観規制 と木柵設置が行われた。さらに(4)今後の壁画の劣化進行に備え、現状の記録保存として原寸大写真撮影 と画家たちによる模写事業が行われた。上記③については、(1)昭和初期に大規模な防火設備水道工事が施 工され、(2)第二次世界大戦中の防空対策として掩体の築造など防火に対する入念な施策が行われた。 大正期においては、金堂壁画のもつ文化的価値──当事者らのいう「宗教的崇拝の意味」──の維持が最 優先され、壁画をそのまま存置しつつ建物に鉄骨筋交いなどの補強を施すという方針が立てられたが、昭和 期において、解体修理を施し、壁画を一度取り外した後に堂内に戻すという方針に変更され、昭和 24 年の 火災後にも焼損した壁画を旧位置に戻すかどうかについて議論された。一方、壁画の劣化を恒久的に止めよ うとする防災意識は、地震による亀裂を防ぐために建物の歪みを是正し、壁画・壁体を科学的に「硬化」さ せようとする企図に繋がり、解体修理の実施を要請した。つまり、壁画の文化的価値を損なうことなく、壁 画を安全・安心な状態において凍結保存することがこの事業の一貫した「防災」の理想像であったといえる が(事業関係者の中には「減災」の防災意識は存在しなかった)、それでも、この事業において壁画を金堂外の収 蔵庫に保管せざるをえなかった──すなわちその文化的価値を損なうことになった──ことは、そもそも文 化財の文化的価値の維持と近代的な「防災」の両立がいかに困難であるかをよく示している。 文化財のもつ文化的価値を維持しながら後世に残すためには、近・現代の文化財防災が本来的に内包して いるこうした矛盾を十分認識した上で、実際の防災施策に当たることが肝要であると筆者は考えている。 註 1)有賀祥隆「金堂壁画とその制作背景」『法隆寺金堂壁画 ガラス乾板から甦った白鳳の美』便利堂、2011、pp.184-237 2)鈴木嘉吉「法隆寺修理」(『近代日本建築学発達史』丸善、1972、pp.1762-1771)のほか、拙著『法隆寺昭和大修理を中心とする国 宝保存法時代の建造物修理に示された保存の概念』(東京工業大学学位論文、2008)を参照されたい。 3)「法隆寺金堂壁画保存ニ関スル説明書」(昭和 13 年 4 月、大岡資料 6-11-32-4)からも当時の文部省の問題認識はよく分かる。 4)『法隆寺壁画保存方法調査報告』(大正 9 年、文部省、p.87)。同書には「金堂ノ基礎ハ創建以来、異状ノ認ムベキモノ無キヲ以テ、 十分堅牢ナルコト明カナレバ、強テ加工スルノ必要ヲ認メザル」(p.10)とある。 5)大岡實博士文庫蔵書 S524- コ -10 6)『法隆寺壁画保存方法調査報告』大正 9 年、文部省、p.5 7)浜田稔「法隆寺金堂壁体移動可能性有無の研究」『法隆寺壁画保存調査会』東京都公文書館蔵・内田祥三資料、U709.2- ほ -4320 8)浜田稔・吉村敏行「法隆寺壁体取外シニ関スル研究」(第一・二報)『法隆寺壁画保存調査会』内田祥三資料、前掲 9)『法隆寺壁画保存調査会総会速記録(自第一回─至第七回)』前掲、pp.127-129 10)『法隆寺国宝保存工事報告書 第 14 冊(国宝法隆寺金堂修理工事報告)』(法隆寺国宝保存委員会、1956、p.91、pp.50-51)、および 浜田稔・桜井高景「法隆寺金堂の火災と壁画の処理」(『建築雑誌』1955 年 4 月号、pp.15-16)。後者には「両側枠の締付けは、壁 ちり部を幅約 3 ㎝だけ切りとりボルトを通してパツキングが所定厚となる迄締めた。 枠を締め終わつてから、木舞端部及び地覆 を受ける梁を通し、この梁を枠に緊結する。次に木舞の柱に入つている枘を柱面で切断する」と記されている。 11)「法隆寺金堂壁画保存ニ関スル一覧表」昭和 14 年7月(『法隆寺壁画保存調査会[資料]』大阪市立中央図書館蔵・江崎資料)には、 昭和 13 年の「金堂柱ノ不陸並ニ傾斜測定」として最大高低差 3 寸 4 分 5 厘、最大傾斜 2 寸 6 分 5 厘と記されている。 12)「壁画保存調査会 昭和二十三年十月十三日」『法隆寺金堂壁画保存調査会会議録』川崎市立日本民家園蔵・大岡資料 6-11-32-31 13)『大和タイムス』(昭和 22 年 10 月 20 日 2 面、昭和 24 年 1 月 12 日 2 面)。また、山崎一雄「[資料]法隆寺金堂壁画調査の回顧(続)」 (『古文化財の科学』昭和 61 年 12 月号、pp.58-61)に掲載された大岡實からの書簡からも当時の工事事務所の意向がうかがえる。 14)昭和 14 年 7 月「法隆寺壁画保存ニ関スル一覧表」(前掲)によれば、ガムコパル溶液を用いたこの実験は大正 5 〜 8 年に行われた。 15)『法隆寺国宝保存工事報告書 第 14 冊(国宝法隆寺金堂修理工事報告)』前掲、p.12 16)『法隆寺壁画保存方法調査報告』前掲、pp.41-42 17)『法隆寺壁画保存方法調査報告』前掲、pp.37-39 18)有賀祥隆「法隆寺金堂壁画とコロタイプ印刷」『原寸大コロタイプ印刷による法隆寺金堂壁画選(解説)』岩波書店、2011、pp.1-4 19)関野克『文化財と建築史』鹿島出版会、1969、p.39 20)髙田良信『「法隆寺日記」をひらく』日本放送出版協会、1986、p.128 21)『法隆寺防火設備水道工事竣功報告書』昭和 3 年、pp.3-4 22)拙稿「聖徳太子奉賛会による法隆寺伽藍の保存活動」『日本建築学会大会学術講演集梗概 F-2』、2005 年 9 月、pp.407-408 23)『法隆寺防空施設其他』大阪市立中央図書館蔵・江崎資料 24)「法隆寺国宝保存事業報告書、その他の原稿」大岡資料 4-3-11-110 25)『法隆寺壁画保存方法調査報告』前掲、pp.14-15 26)関野克は『文化財と建築史』の中でこの事業が「日本における文化財の保存と修復のための科学的研究の発端であり、原動力となっ た」(p.37)と指摘している。また、服部文雄は「建造物の保存と修理」『仏教芸術』(1981 年 11 月号)の中で、この事業がその後 の数寄屋建築などの修理で、壁体を樹脂で強化して取り外す「大ばらし手法」の端緒となったと述べている(pp.108-109)。 27)たとえば中井宗太郎(京都絵画専門学校教授) は「壁画保存のため切取説もあるやうでありますが、私はこれに絶対反対です。(中 略)近頃提唱される科学的方法は、まだまだ研究し、また実験する必要があると考へます。(中略)私は『ふのり』でとめてゆく 古来の保存法を強く主張したいのです」(同書、p.131)と述べている。 歴史都市防災論文集 Vol. 11(2017年7月) 【論文】
全国調査からみた文化財保有社寺における犯罪被害
Heritage Crimes at Temples and Shrines Having Nationally Registered Cultural Properties:
An Analysis of a Nation-wide Social Survey in Japan
中谷友樹
1・米島万有子
2・崔明姫
3Tomoki Nakaya, Mayuko Yonejima, Mingji Cui
1立命館大学教授 文学部地域研究学域(〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1)
Professor, Department of Geography, College of Letters, Ritsumeikan University
2熊本大学准教授 文学部(〒860-0863熊本県熊本市中央区黒髪2-40-1) Associate Professor, Faculty of Letters, Kumamoto University
3立命館大学研究員 衣笠総合研究機構 歴史都市防災研究所(〒603-8341京都市北区小松原北町58)
Post-doctral Fellow, Kinugasa Research Organization, Institute of Disaster Mitigation for Urban Cultural Heritage, Ritsumeikan University
The aim of this article is to examine the recent situations of heritage crimes at temples and shrines having nationally registered cultural properties of buildings and historical art works through a nation-wide social survey in Japan. We revealed substantial numbers of criminal damages on cultural properites, and observed the trendencies of repeated victimisation and positive correlationships between different criminal damages suggesting concentrations of different crimes at the same sites. In addition, we statistically identified situational risks of heritage crimes which were differently associated with temples and shrines’ characteristics and surrounding environments among different crime types. Keywords : heritage crime, cultural properties, temple, shrine, social survey
1. はじめに 文化遺産の継承を阻害する「災害」には、文化遺産の価値を損なう犯罪的/反社会的な行為である「人災」 が含まれる。近年、そうした文化遺産とそれを取り巻く敷地や管理者に対する一連の犯罪行為は「文化遺産 犯罪 heritage crime」と総称され、その深刻さと有効な対策を講じる必要性が指摘されるようになった1)。文 化遺産犯罪には、各種の文化財の盗難や損傷行為、考古学的遺物の違法な収集、歴史的建築物や景観の不適 切な改変などが含まれ、その最も深刻な形態は、放火や破壊行為等による文化遺産を滅失する行為「文化遺 産殺し Heritocide」に相当する。英国において多様な史跡を管理する組織イングリッシュ・ヘリテッジ English Heritageは、英国における文化遺産犯罪の実態を包括的に捉える調査報告書を2012年に発表し、様々 な調査資料を組み合わせた推計の結果、年間に75,000件あまりの文化遺産犯罪が発生していると推定してい る2)。Grove は、この英国の状況を顧みて、文化遺産犯罪に関する各種行為の定義や名称が不統一であり、 文化遺産犯罪を継続的に把握する社会的仕組みの整備が不十分であることを指摘しつつ、犯罪学の知見を活 かした合理的な文化遺産防犯を推し進める必要性をあわせて論じている3)。 日本では、2013年に文化庁が実施した国指定文化財(美術工芸品)の所在確認において、172件が所在不 明であることが判明し、「消えた文化財」として多くの社会的関心を集めた。所在不明の文化財には盗難に よるものが30件含まれ、その多く(25件)は社寺で管理されていたものであった4)。この事例だけをみても、 文化財の盗難という文化遺産犯罪に対して社寺が脆弱な存在であることが示唆される。1986~2014年の読売 新聞データベースを利用して、社寺の火災および文化財の盗難に関する記事の抽出をはかった谷崎・中谷の
研究では、社寺の火災(主として放火)および盗難事件の報道件数が2000年代以降に急増したことが確認さ れている5)。記事内容からは、無住寺からの文化財未指定仏像の盗難・転売事件のような、そもそも監視の 困難な状況での被害とともに、防犯システムの導入が一定進んでいると考えられる著名な社寺での被害も継 続的に数多く発生してきたことが明らかとなっている。こうした報道の動向は、社寺を中心とする文化遺産 犯罪への社会的な懸念の増大を反映しているとも考えられる一方、どこまで正確に社寺の犯罪被害の実態を 反映しているかは、それ自体では確認が困難である。全国の社寺を対象とした犯罪被害の把握については、 朴ほかが郵送質問紙調査を実施し、全国の社寺の34.4%が何らかの犯罪被害を受けていると報告している6)。 こうした実態調査は数少なく貴重だが、犯罪の種類が自由記述に基づいていること、被害を把握する期間を 調査で限定していないこと、調査対象とした社寺の抽出方法が明らかにされていないことから、犯罪被害の 量的な評価が困難であった。そこで本研究では、全国の文化財を保有する社寺を対象に、犯罪被害の実態を 把握する社会調査を新たに企画・実施し、社寺における文化遺産犯罪の実態、およびこれに関連する要因の 抽出をはかり、日本における文化遺産犯罪を理解する基礎的な知見を得ることを目的とした。 2.調査設計と分析方法 (1) 調査母集団と抽出用社寺名簿 文化庁の「国指定文化財等データベース」(http://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.html)に掲載されて いる、国指定あるいは登録文化財である美術工芸品あるいは建造物のいずれか(あるいは両方)を保有する 社寺を、調査設計上の母集団とした。同データベースからの文化財リストの抽出は、2016年1月19日に行い、 所有・所在・保管施設・管理団体または責任者がすべて社寺と思われるケースのみを抽出した。都道府県 名・社寺名・住所が一致する社寺が複数確認される場合には、調査対象として1件の情報に統合した。ただ し、国指定文化財等データベースでは、建造物についての住所情報は得られるものの、美術品については住 所が得られないことが多い。そのため住所情報が欠損していた場合については、日本寺院総鑑CD-ROM Ver. 6.1 ((株)協栄プランニング)および、電話帳の神社に分類されているものを抽出した後、名称一致により住 所情報の付与を試みた。その結果、美術品保有社寺と建造物保有社寺のリスト間で、都道府県名・社寺名は 一致するが住所が部分的に一致しない社寺については、建造物保有社寺の住所情報を優先して残して統合し た。これら一連の作業の結果、調査サンプルを抽出するための社寺名簿(住所リスト)として1,966の社寺 リストを作成した。ただし、上記の作業において国指定文化財(美術工芸品)のみを有すると判定された 1,628社寺中、住所が不明か一意に特定できなかったために抽出名簿に含められなかった社寺が800件 (49.1%)存在する。抽出用社寺に、この調査不能社寺を加えた2,766(=1,966+800)の社寺が母集団を構成 する。抽出名簿の作成時点で調査可能な対象に偏りが発生している点は、本調査の限界である。 (2) サンプリング 社寺の住所情報をもとに、対象社寺を24層(6つの地域ブロック×4段階の市町村規模)に分類し、この層 ごとに調査票を郵送する社寺を、先に作成しておいた抽出用名簿からランダムに抽出した。なお、地域ブロ ックは、北海道・東北、関東、中部、近畿、中国、九州の6地方に、市町村規模は、政令指定市(東京特別 区を含む)、(政令指定市以外の)人口20万人以上の市、(政令指定市以外の)人口20万人未満の市、町村 の4区分を利用した。全体で1,200件のサンプル数を事前に想定した上で、各層での調査可能社寺数に従う比 例配分によって調査票を郵送する社寺数を層別に決定し、全体としての抽出率は約60%に相当する。ただし、 層内の対象社寺が10未満の場合には全数を調査対象とするオーバーサンプリングを実施したため、最終的な 抽出サンプル数(調査社寺数)は1,203となった。 (3) 郵送調査「全国社寺の被災経験と持続性に関する社会調査」の実施 調査票には、文化財保有の社寺における人災(犯罪被害)に加え、獣害および自然災害の被害、社寺の運 営(持続性)に関する22質問項目を含めた。調査は対象社寺について原則無記名で実施したが、主として獣 害における環境と被害の関連性分析を想定し、任意で郵送の連絡先を求めている(本稿では分析に使用して いない)。社寺の規模や所有する文化財の類型について共通した設問の他、犯罪被害については、過去25年 間(1991年以降)の盗難、放火、落書き・器物損壊の3罪種に関する被害の実態7)、文化財の防災・防犯に関す
る補助金制度の利用、防火・防犯のための取り組みの状況の設問を用意した。抽出された社寺に、2016年2 月12日に調査票を送付し、同年3月末までに返送されたものを回収サンプルとした。 (4) 調査資料の分析 以下、調査によって回収されたサンプルの特性を確認した後、調査票において設定された罪種について、 社寺の犯罪被害経験を集計する。この際、Coombs et al.の先行研究2)を参考に、回収サンプルに拡大係数を求 めて、母集団全体での被害規模を推計する。次に、社寺の犯罪被害について、同一罪種および罪種間での犯 罪の集中(重複)ならびに、社寺の特性や立地する環境特性を考慮した被害リスクの評価を、(2項)ロジ スティック回帰分析を利用して解析する。 3.調査結果 (1) 回収サンプル 最終的な回収サンプル数は536件、調査票の配布数に対する単純回収率は44.6%であった。なお、住所不 明による調査票返送が31件あった。また、国指定登録文化財である美術工芸品と建造物のいずれの所有も調 査票で選択されていない回収が47件(8.8%)含まれていた。うち1件は、当該調査項目に対する無回答票で あったが、残り46件も調査設計における対象の定義からは外れた存在になる。これが生じた理由として、文 化財所有状況に関する誤った認識など回答の不備も考えられるが、サンプリング台帳としての社寺名簿が不 完全であった可能性もある。たとえば、保管場所の変更などが反映されておらず、文化財指定された美術工 芸品の保有に関する情報が不完全であったのかもしれない。ここでは、47件の国指定登録文化財を所有しな いと回答した社寺は除外し、残る489件の回収サンプルを分析対象とした。 回収の偏りを調べるために、調査設計に利用した地域ブロックおよび市町村規模別に回収率を確認したが、 抽出用名簿における構成比と比べて有意な偏りは認められなかった。しかし、所有する国指定登録文化財の 類型(美術工芸品と建造物の両方、建造物のみ、美術工芸品のみ)別の構成は、抽出用の名簿ではそれぞれ 10.3%, 47.6%, 42.1%だが、回収サンプルでは、31.1%, 40.7%, 28.2%のように、両方を所有する社寺の比率が 高く、 国指定登録美術工芸品のみを所有する社寺の比率が少ない傾向がある。図1は、国指定登録文化財の 所有類型と社寺の規模の関係を示したものである。ただし、社寺の規模は、宮司や住職を含む従業員数で代 替している。この結果をみると、所有する国指定登録文化財が、美術工芸品のみ、建造物のみ、両方の順で、 規模の大きな社寺の割合が高くなることが分かる(分割表のカイ2乗検定、 p値 < 0.001)。すなわち、国指 定登録文化財所有の類型別にみた回収率の違いは、規模の大きな社寺ほど回収率が高い傾向を一定反映して いるものと考えられ、集計結果の解釈にあたっては注意が必要である。 図1 国指定登録文化財の所有類型別にみた社寺の従業員規模の構成 注:棒グラフ中の数値は社寺数 (2)寺社の犯罪被害経験 表1は、1991年以降のおよそ25年間における犯罪被害経験を回収サンプルから集計した結果である。盗難 については、神像・仏像、美術工芸品(彫刻・絵画など)、歴史資料(古文書・典籍・考古資料など)、賽 79 28 45 6 246 84 106 56 57 11 28 18 44 8 8 28 55 5 8 42 0% 20% 40% 60% 80% 100% 全 体 美 術 ⼯ 芸 品 の み 建 造 物 の み 両 ⽅ 所有する国指定登録⽂化 財 1⼈ 2〜5⼈ 6〜10⼈ 11〜20⼈ 21⼈以上
銭の別に盗難被害の有無を質問しており、その集計結果も含めてある。ただし、国指定登録文化財保有の類 型別にみると、被害の割合が有意に異なる場合もあり、これを補正した被害社寺の割合の推定値を表1に含 めてある。すなわち、国指定登録文化財として美術工芸品のみ、建造物のみ、両方を保有する社寺別に、母 集団の社寺数に対する回収サンプルの社寺数割合を求め、その逆数を拡大係数として回収サンプルを重み付 けした上で、被害社寺の割合を推定したものが、調整済み被害社寺割合である。さらに、この調整された被 害割合に母集団社寺数を乗じることで、1991年以降に被害を受けた国指定登録文化財保有社寺の総数を推計 してある。その結果からは、とりわけ賽銭の盗難と落書き・器物損壊の被害が多い状況が明らかである。件 数としては相対的に少なくなるが、神像・仏像の盗難や放火といった、より深刻な犯罪被害を経験した社寺 も全体の1割弱、全国では250前後の文化財保有社寺に被害が及んでいるものと推定された。 同様にして、指定登録文化財への被害について整理したものが表2であり、落書き・器物破損による文化 財への被害が多いことが分かる。なお、ここでの指定登録文化財は、国に限らず、都道府県や市町村によっ て指定登録されたものが含まれている可能性がある。また、調査では、盗難された文化財の件数と、返還さ れた件数を問うている。1991年以降の指定登録文化財の盗難を報告している8社寺からは、合計で19件の文 化財(1被害社寺あたり2.4件の文化財)が盗難され、そのほぼ半数の9件がこれまでに返還されている。 表1 国指定登録文化財所有社寺における犯罪被害 表2 国指定登録文化財所有社寺における指定登録文化財への犯罪被害 注:国指定登録⽂化財を所有する社寺が対象であるが、犯罪被害については地⽅⾃治体による指定登録⽂化財を含む。 (3)反復被害と罪種間の被害重複 家屋への侵入盗をはじめ、様々な犯罪において同一住所で犯罪発生が繰り返される反復被害の現象が知ら れている8)。本調査では、盗難、放火、落書き・器物損壊の3罪種について、1991年以降の被害回数を選択肢 によって問うている。罪種によって発生頻度が違うと想定されたため、選択肢の内容は罪種によって異なっ ている。回答社寺の被害回数に関する選択肢別構成比をみると(図2)、すべての罪種で複数回の被害発生 が認められる。とくに盗難において反復被害の傾向が明瞭であり、20回以上の被害経験を報告する社寺も61 件(有効回答の13%)に上る。盗難被害の多くが賽銭盗難であることを考えれば、この種の侵入盗被害が特 定の社寺を対象に繰り返し発生していると考えられる。 また、異なる罪種間での被害の重複も確認される。表3には、3罪種それぞれの被害の有無別に、他の罪種 による被害発生割合を示してある。例えば、第1行と第2行は、それぞれ盗難被害を受けなかった社寺と被害 を受けた社寺群に相当し、放火の被害を経験した社寺の割合は、盗難被害無群では6.8%であるのに対し、盗 難被害の受けた社寺群では、11.8%とより高い値を示す(この差は10%水準で有意)。同様な傾向は他の罪 種間の組み合わせでより明瞭であり、1つの罪種の被害を報告する社寺は、別の罪種の被害を報告する可能 性が高くなっていることが分かる。 有効回答数 (社寺数) 被害報告 社寺数 被害報告社寺割合 (調査結果) 調整済み 被害社寺割合 被害を受けた 全社寺数推定値 盗難 486 309 63.6% 61.7% 1,706 神像・仏像 486 46 9.5% 9.7% 269 美術⼯芸品 486 26 5.3% 3.7% 104 歴史資料 486 11 2.3% 1.4% 39 賽銭 486 287 59.1% 59.2% 1,638 放⽕ 485 48 9.9% 8.4% 231 落書き・器物損壊 484 187 38.6% 33.0% 913 有効回答数 (社寺数) 被害報告 社寺数 被害報告社寺割合 (調査結果) 調整済み 被害社寺割合 被害を受けた 全社寺数推定値 指定登録⽂化財の盗難 486 8 1.6% 1.0% 28 指定登録⽂化財への放⽕ 485 8 1.6% 0.8% 21 指定登録⽂化財への落書き・器物損壊 484 69 14.3% 9.1% 251
177 28 122 48 34 61 盗 難 0回 1回 2〜4回 5〜9回 10〜19回 20回以上 437 31 16 放 ⽕ 0回 1回 2回以上 297 128 22 27 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 落 書 き ・ 器 物 損 壊 0回 1〜4回 5〜9回 10回以上 図2 国指定登録文化財所有社寺における罪種別被害回数 表3 国指定登録文化財所有社寺における犯罪被害の罪種間の重複関係 4.社寺における文化遺産犯罪の要因解析 既にみたように国指定登録文化財を保有する社寺での犯罪被害は多く、その多くは賽銭の盗難事件ではあ るが、文化遺産の損傷や喪失につながる被害も多数みられる。これら文化遺産の被害と関係する社寺および 所在地の特性を統計学的に調べ、文化遺産犯罪の発生しやすい状況を検討する。ただし、指定登録文化財に 限定すると、落書き・器物損壊を除けば、盗難および放火では、報告件数がそれぞれ8例と少なく、統計学 的な分析には適さない。そこで、盗難については、件数の多い神像・仏像および美術工芸品それぞれの盗難 を分析の対象とし、未指定の文化財を含めた文化財(神像・仏像および美術工芸品)の盗難と再定義した。 なお、(国および地方自治体による)指定登録文化財が盗難された社寺8件と、神像・仏像の盗難、美術工 芸品の盗難との重複はそれぞれ、4件と3件である。また、放火については、文化財としての建造物が対象で なくとも、文化財建造物への類焼リスクもあり、文化財を管理する主体としての社寺に甚大な影響を及ぼし うることから、すべての放火事案の有無を対象とした。落書き・器物損壊については、指定登録文化財に対 する事案に絞っても件数が多いため、そのまま分析の対象とした。以上を整理すると、これら1991年以降の (未指定を含む)文化財盗難(神像・仏像、美術工芸品)、放火、指定登録文化財への落書き・器物損壊の 有無(1: 被害あり, 0: 被害なし)を被説明変数とするロジスティック回帰分析によって、関連する要因を検 討した。 説明変数としては、社寺そのものに関する特性として、国指定登録文化財の保有類型(美術工芸品のみ、 建造物のみ、両方の3類型)とともに、社寺の規模(従業員に基づく5段階)を考慮した。調査では、防犯設 備の有無も問うているが、被害経験から防犯設備の設置が判断されると考えられるため、ここでは説明変数 盗難被害社寺割合 放⽕被害社寺割合 落書き・器物損壊被害 社寺割合 無 0.0% 6.8% 28.2% 有 100.0% 11.8% 44.7% 無 62.2% 0.0% 35.5% 有 75.0% 100.0% 66.7% 無 56.9% 5.4% 0.0% 有 73.1% 17.2% 100.0% 盗難被害 放⽕被害 落書き・器物損壊 + + ** ** ** ** 注 **: 1%⽔準で有意, +: 10%⽔準で有意
としては含めない。また、社寺のおかれている地域状況を示す指標として、サンプリングにあたって考慮し た地域ブロック(6ブロック)、市町村規模(4類型)に加え、社寺周辺地域の類型(市街地、住宅地、農漁 村集落、山間部の4類型9))を利用した。最後に、賽銭の盗難被害の有無を説明変数に加えた。賽銭の盗難 は、文化財の盗難や危害を必ずしも意図してはいないと考えられるが、敷地内への侵入をともなう行為であ り、賽銭被害の有無は、社寺内部への侵入の容易さや監視性の低さを示す環境指標の1つとも考えられる。 これらの説明変数はいずれもカテゴリカルな変数であり、すべてを同時に利用すると、多重共線性に加えて、 推定に十分なカテゴリ-間の組み合わせが得られない状況も多くなる。そのため、p値=0.10を基準とする変 数増加法による変数選択を行った。計算には、Stata 14.0(StataCorp LLC)を利用した。 ロジスティック回帰分析の結果を、表4~7に示す。この分析において、各説明変数のカテゴリ別に推定さ れているオッズ比とは、そのカテゴリに該当する社寺において、犯罪被害が生じない確率に対する犯罪被害 が生じる確率の比(オッズ比)が、参照カテゴリのそれよりも何倍の値となるかを示した推定値である。す なわち、オッズ比が1.0を上回っているカテゴリでは、参照カテゴリに対して、犯罪発生のリスクが増大し ていることを示す。 すべての分析結果において共通している傾向として、賽銭盗難被害がある社寺では、推定されたオッズ比 が1.0を上回っており、文化遺産に関連する被害および放火被害のリスクが(賽銭盗難被害のない社寺に比 べて)増大していると指摘できる。賽銭の盗難被害は、より深刻な文化遺産犯罪の予兆的事案とみなすこと も可能である。 発生件数が少ない美術工芸品の盗難および放火被害では、関連する他の要因は乏しいが、放火については 大規模な社寺でのリスク増加が著しい。大規模な社寺ほど放火の対象となりうる木造建築物の数が多くなる とともに、有力な社寺として存在感があるほど犯行の対象とされやすい動機上の問題があるのかもしれない。 神像・仏像の盗難と指定登録文化財への落書き・器物損壊では、結果は対照的である。神像・仏像の盗難 被害は、美術工芸品の指定登録文化財を保有し、政令指定市での被害発生リスクが高いが、周辺の環境に着 目すると人家の少ない孤立した環境におかれた社寺で大きなリスクの増加が認められる。金銭的な価値の高 い美術工芸品としての像の所有確認が可能で、寺社周囲の監視性が低いことが、計画的な侵入窃盗に及ぶ犯 行先の意思決定に寄与しているものと思われる。一方、指定登録文化財への落書き・器物損壊では、規模が 大きく建造物の文化財を保有する社寺で市街地に立地するもののリスクが高い。建造物に価値があり、これ を公開する社寺でのリスクが増大している状況として理解できる。こうした文化財への落書き・器物損壊の 行為は、2015 年に各地で発生した主要社寺への油かけ事件のように人混みに紛れて建造物に接近し、短時間 の内に犯行に及ぶ形態が多く含まれると考えられ、対策の困難な実態が示唆される。 表4 神像・仏像盗難のロジスティック回帰分析結果 変数名 変数 オッズ⽐ 下限 上限 p値 美術⼯芸品のみ(参照) 1.000 建造物のみ 0.210 0.078 0.567 0.002 ** 両⽅ 1.050 0.503 2.192 0.898 政令指定市(参照) 1.000 20万⼈以上の市 0.371 0.136 1.006 0.051 + 20万⼈未満の市 0.295 0.115 0.760 0.011 * 町村 0.202 0.057 0.712 0.013 * 市街地(参照) 1.000 住宅地 1.878 0.483 7.298 0.363 農漁村 1.457 0.327 6.498 0.622 ⼭間部 4.755 1.066 21.214 0.041 * なし(参照) 1.000 あり 1.907 0.932 3.902 0.077 + 定数 0.136 0.031 0.591 0.008 **
Log likelihood = -124.366, Pseudo R2 = 0.121, n = 446
(参照):参照カテゴリ, **: 1%⽔準で有意, *: 5%⽔準で有意, +: 10%⽔準で有意 国指定登録⽂化財所 有類型 市町村規模 賽銭盗難被害 周辺地域類型 オッズ⽐95%信頼区間
表5 美術工芸品盗難のロジスティック回帰分析結果 表6 放火被害のロジスティック回帰分析結果 表7 指定登録文化財への落書き・器物損壊のロジスティック回帰分析結果 5.結語 本稿では、国指定登録文化財を保有する全国の社寺を対象とした社会調査を通して、1991年以降のおよそ 四半世紀にわたる期間に、多くの犯罪被害が調査対象となった社寺において発生している実態を明らかにし た。とくに、未指定を含む多数の文化財に及ぶ文化遺産犯罪も多数発生していることが確認された。また、 同一の罪種および罪種間での被害が同一の社寺に重複する傾向が認められ、犯罪被害が特定のリスクの高い 社寺に集中する傾向も明らかであった。そのため、そうした高リスクの社寺を特定した重点的な対策の必要 変数名 変数 オッズ⽐ 下限 上限 p値 なし(参照) 1.000 あり 2.347 0.921 5.977 0.074 + 定数 0.038 0.017 0.086 0.000 **
Log likelihood = -94.800 , Pseudo R2 = 0.019, n = 408
(参照):参照カテゴリ, **: 1%⽔準で有意, *: 5%⽔準で有意, +: 10%⽔準で有意 オッズ⽐95%信頼区間 賽銭盗難被害 変数名 変数 オッズ⽐ 下限 上限 p値 1⼈(参照) 1.000 2〜5⼈ 2.603 0.757 8.955 0.129 6〜10⼈ 0.924 0.148 5.752 0.933 11〜20⼈ 6.656 1.681 26.351 0.007 ** 21⼈以上 6.398 1.610 25.436 0.008 ** なし(参照) 1.000 あり 1.931 0.970 3.842 0.061 + 定数 0.027 0.008 0.096 0.000 **
Log likelihood = -138.713, Pseudo R2 = 0.062, n = 444
(参照):参照カテゴリ, **: 1%⽔準で有意, *: 5%⽔準で有意, +: 10%⽔準で有意 賽銭盗難被害 社寺規模 (従業員数) オッズ⽐95%信頼区間 変数名 変数 オッズ⽐ 下限 上限 p値 1⼈(参照) 1.000 2〜5⼈ 0.636 0.256 1.582 0.330 6〜10⼈ 1.717 0.608 4.845 0.307 11〜20⼈ 0.986 0.283 3.439 0.983 21⼈以上 2.778 0.887 8.701 0.079 + 美術⼯芸品のみ(参照) 1.000 建造物のみ 3.560 1.299 9.761 0.014 * 両⽅ 4.961 1.750 14.064 0.003 ** 市街地(参照) 1.000 住宅地 0.314 0.125 0.789 0.014 * 農漁村 0.353 0.137 0.908 0.031 * ⼭間部 0.471 0.176 1.264 0.135 なし(参照) 1.000 あり 1.846 0.989 3.443 0.054 + 定数 0.081 0.019 0.343 0.001 **
Log likelihood = -157.673 , Pseudo R2 = 0.1304, n = 444
(参照):参照カテゴリ, **: 1%⽔準で有意, *: 5%⽔準で有意, +: 10%⽔準で有意 社寺規模 (従業員数) 国指定登録⽂化財所 有類型 賽銭盗難被害 周辺地域類型 オッズ⽐95%信頼区間
性が示唆される。また、賽銭盗難はそれ自体、文化遺産への危害を目的としていないことが多いと考えられ るが、賽銭盗難の被害発生は文化遺産への犯罪被害発生と有意な関連性が認められ、より深刻な文化遺産犯 罪の予兆事案としての監視や、そうした予兆的段階でのより深刻な犯罪を抑止する必要性が示唆される。 ただし、寺社の特性ならびに周辺環境の特性が犯罪被害とどのように関連しているのかに着目すると、神 像・仏像の盗難は市街地から離れた状況で、文化財建造物への落書き・器物損壊はむしろ市街地の中に立地 すると高リスクになるといった、罪種によって異なる犯罪発生リスクの特徴も確認された。これらの結果か ら、文化財を保有する社寺において、どのような犯罪リスクを想定すべきかは、社寺の特性とともに、その 周辺環境の状況に応じて異なることが明らかとなった。犯罪対象物の強化のみならず、犯罪対象物への接近 を妨げる領域性の確保や経路の遮断といった犯罪機会を削減する取り組みを、社寺のおかれた個々の状況に あわせて立案していく「状況に応じた犯罪予防」の必要性が示唆される1,3,5)。状況的犯罪予防論に基づいた、 社寺における文化遺産犯罪の予防については、既に文化財放火を対象とした議論が示されているが10)、そう した試みをさらに拡充し、より具体的な対策案のリストとそれぞれの効果を検証する分析を実施することが 望まれる。 なお、本研究では国指定登録文化財を保有する社寺に調査対象が設定されており、社寺における文化遺産 犯罪としても、その一部しか捉えられていない。一意に住所を特定できなかったために、調査対象から外れ た社寺も多い。これは全国に広がる調査すべき文化財の管理者とその所在地を正確に確認できる網羅的な住 所情報が得られなかったためである。地方自治体による指定登録文化財を含めた場合は、調査用の抽出名簿 の作成にはより困難が生じるものと考えられる。また、過去25年という比較的長い期間での犯罪被害を問う ているため、回答担当者が利用できた記録が限られていたり、曖昧な記憶に基づいて回答された可能性もあ る。そのため、すべての被害を網羅した報告は困難であり、ここで報告した被害の頻度は過少なものである かもしれない。さらに、調査調査時の回答負担を減じて回収率をあげることを目的に、被害の罪種項目とい った内容も調査においては選択肢によって限定されたものとなっている。文化遺産犯罪を日本の文脈で位置 づけて被害発生リスクを評価するには、その実態を系統的な方法で把握する社会的仕組みや調査手段の確立 も、継続して議論すべき重要な課題である。 参考文献
1) Grove, L. and Thomas, S. eds.: Heritage Crime: Progress, Prospects and Prevention. Palgrave Macmillan, 2014.
2) Coombes, M., Bradley, D, Grove, L., Thomas, S. and Young, C.: The extent of crime and anti-social behaviour facing designated
heritage assets. Report prepared for English Heritage. Newcastle: Centre for Urban and Rural Development Studies, Newcastle
University, 2012.
3) Grove, L.: Heritocide? Defining and Exploring Heritage Crime. Public Archaeology, Vol. 12, No. 4, pp. 242-254, 2014. 4) 文 化 庁 (2016): ( 報 道 発 表 ) 国 指 定 文 化 財 ( 美 術 工 芸 品 ) の 所 在 確 認 の 現 況 に つ い て , http://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/2016051301.pdf (2017年4月2日閲覧) 5) 谷崎友紀・中谷友樹:近年の新聞報道からみた社寺における盗難と火災. 歴史都市防災論文集, Vol. 10, pp. 67-74, 2016. 6) 朴ジョンヨン・崔青林・金玟淑・谷口仁士:文化財所有者を対象とした人災・獣害の現状と防御システムに関する 調査研究,歴史都市防災論文集, Vol. 7, pp. 161-168, 2013. 7) 調査票では「過去25年間(1991年~)に、貴社寺は○○の被害に遭ったことがありますか」(○○には罪種が入る) の設問に対して「はい」「いいえ」の2択で被害の有無を問い、被害に有った場合には、被害回数や盗難の場合には 盗難対象物といった被害内容を選択肢で問うた後、具体的な事例の記載を自由回答で求めている。
8) Farrell, G.: Preventing repeat victimization. Crime and Justice, Vol. 19, pp. 469-534, 1995.
9) 調査では、社寺の周辺地域の特徴として、8つの選択肢から1つを選択するよう指示した。本稿での4地域類型を<> に、調査における選択肢を「」に示すと、それらの対応関係は、以下のようである。<市街地>:「工場の多い地域」 または「商店・事業所の多い地域」、<住宅地>:「古くからの住宅地(戦前からの住宅地)」または「新興住宅地 (戦後できたニュータウンを含む)」、<農漁村>:「農村地域の集落」または「海辺の農漁村集落」、<山間部>: 「人里離れた山間部」。なお、調査の選択肢には「その他」が含まれ、その具体的な記述に応じて上記4類型に割り 当てられた場合を除いては、欠損値扱いした。 10) 重要文化財建造物等に対応した防火対策のあり方に関する検討会:重要文化財建造物等に対応した防火対策のあり 方に関する検討会報告書(中間報告), 2010.