1930 年代前半におけるアメリカ絹靴下工業の動向
―統計資料の検討を中心として―
永 瀬 順 弘
目 次 はじめに 1.アメリカにおける繊維原料の消費の動向および原料価格の下落率 2.アメリカの国別生糸輸入の動向と価額、価格の変動 3.フルファッション(平編み)絹靴下工業における生産と地域性 4.絹靴下工業における金融条件 5.絹靴下会社の利潤、損益状態 6.生産における季節性 7.労働者数の推移(男女工問題) 8.教育程度 9.勤続年数 10.賃金、雇用問題、労働争議 結びはじめに
筆者は、これまで、「1930 年代前半におけるアメリカ絹業の動向(その 1)」(『桜美林エコノミッ クス』1995 年 3 月)において統計資料の中心として、アメリカ絹業について、広巾絹織物工業と 靴下編物工業を比較しながら、若干の論点について検討してみたが、本稿では、1930 年代前半の アメリカ絹靴下工業を中心に、生産の地域性と工場規模、金融的条件、利潤、生産における季節 性、労働者数、勤続年数、教育程度、労働争議などの問題について検討を加えてみることとしたい。 対象とする時期は 1930 年代前半であるが、必要に応じて 1929 年の世界大恐慌前にも言及するこ とにする。 なお、本稿で利用・作成した資料の一覧については、巻末に示してあるが、邦文の資料・文献 を除くアメリカ側の資料・文献は、主として University of Wisconsin (Madison)の Memorial Library 及び The State Historical Society, Madison, Wisconsin 所蔵のものを利用した。関係者に お礼申し上げたい。1.アメリカにおける繊維原料の消費の動向および原料価格の下落率
先ず、アメリカにおける繊維原料の消費の動向から見ることにしたい。第 1 表 アメリカにおける繊維品の消費の動向(Units are Millions of Pounds and Percent)
C O T T O N W O O L R A Y O N S I L K L I N E N T O T A L lbs % lbs % lbs % lbs % lbs % lbs % 1920 2,828.1 88.9 314.2 9.9 8.7 0.3 29.3 0.9 No Data Available 3,180.3 100 1921 2,595.3 86.5 343.4 11.4 19.8 0.7 42.5 1.4 No Data Available 3,001.0 100 1922 2,909.8 85.9 406.5 12.0 24.7 0.7 48.3 1.4 No Data Available 3,389.3 100 1923 3,121.1 86.2 422.4 11.6 32.6 0.9 47.2 1.3 No Data Available 3,623.3 100 1924 2,637.1 85.8 342.2 11.2 42.2 1.4 48.0 1.6 No Data Available 3,069.5 100 1925 3,074.7 86.6 349.9 9.9 58.3 1.6 66.0 1.9 No Data Available 3,548.9 100 1926 3,214.8 87.3 342.7 9.3 60.6 1.6 65.9 1.8 No Data Available 3,624.0 100 1927 3,587.7 87.2 354.1 8.6 100.0 2.4 72.0 1.8 No Data Available 4,113.8 100 1928 3,184.2 86.3 333.2 9.0 100.5 2.7 74.9 2.0 No Data Available 3,692.8 100 1929 3,422.7 85.5 368.1 9.2 133.4 3.3 81.3 2.0 No Data Available 4,005.5 100 1930 2,610.9 84.1 263.2 8.5 118.8 3.8 76.0 2.5 34.7 1.1 3,103.6 100 1931 2,656.6 82.2 311.0 9.6 159.0 4.9 77.3 2.4 28.7 0.9 3,232.6 100 1932 2,463.3 83.6 230.1 7.8 155.3 5.3 70.9 2.4 27.3 0.9 2,946.9 100 1933 3,052.5 83.0 317.1 8.6 217.3 5.9 59.8 1.6 31.4 0.9 3,678.1 100 1934 2,655.4 83.8 229.7 7.3 197.2 6.2 58.5 1.8 28.8 0.9 3,169.6 100 1935 2,754.7 78.4 402.5 11.5 238.7 7.4 62.3 1.8 31.5 0.9 3,509.7 100 1936 3,470.2 81.3 383.8 9.0 322.6 7.5 57.8 1.4 35.9 0.8 4,270.3 100 1937 3,657.1 83.0 353.3 8.0 307.9 7.0 53.6 1.2 35.5 0.8 4,407.4 100 1938 2,904.4 80.9 284.4 7.9 327.1 9.1 51.8 1.5 20.7 0.6 3,588.4 100 出所:AFL Papers Series 1(The State Historical Society of Madison, Wisconsin 所蔵 )U.S.MSS 117A.
第 1 図 アメリカにおける繊維品の消費の動向
3
Source: Rayon Organon-New York. 出所:同上
第 1 表は、アメリカにおける繊維原料の消費の動向を見たものであり、第 1 図は、それをグラフ 化したものである。 これによれば、繊維原料の消費量については、1926 年までは、木綿、毛糸、生糸、人絹と続い ていたが、1927 年を境に、生糸と人絹の地位は逆転し、木綿、毛糸、レーヨン(人絹)、生糸の順 となり、レーヨンの占める比重が年々増加傾向にあるのに対し、生糸は 1929 年をピークに次第に 減少しつつあることが分かる。 また、世界大恐慌以後の繊維原料の価格比及び価格下落率を見ると、第 2 表のごとくであり、 生糸価格は、他の人絹、木綿、毛糸原料価格に比し、高価であり、とりわけ人絹との関係では、 約 3 倍の価格で推移しており、さらに 1929 ~ 1935 年の価格下落率では、生糸価格の落ち込みが 極端に大きく、約 1/3 なっており、他の人絹、木綿、毛糸原料の下落率を大きく上回っていたこと も確認されよう。さらに、第 1 図との関係でみるならば、アメリカにおける繊維原料の消費の動向は、 1938 年に人絹が羊毛を上回る時期を除けば、原料価格そのものを反映していた、ということが確 認できる。 第 2 表 繊維原料の年平均価格(Per Pound)
Year Silk* Rayon Cotton Wool
1929 $4.93 $1.25 $0.191 $0.97 1930 3.42 1.06 0.136 0.76 1931 2.40 0.75 0.086 0.63 1932 1.56 0.66 0.064 0.46 1933 1.61 0.61 0.087 0.68 1934 1.29 0.59 0.124 0.82 1935 1.63 0.57 0.119 0.74
*Japan 13/15 denier 78% double extra crack, in bale lots, not on cones. These figures not to be used in negotiations.
Tables available from the Research Department showing coned silk by thread, percentage and twist. 出所:Alfred Hoffmann, Research Department of the American Federation of Hosiery Workers, March 1936, p.2.
2.アメリカの国別生糸輸入の動向と価額、価格の変動
次にアメリカにおける国別生糸輸入の動向を検討して見ることにしたい。第 3 表は 1924 年から 1935 年における、アメリカにおける国別生糸輸入の動向を、価額および価格のそれぞれの比率を 見たものである。
第 3 表 General imports of raw silk into the United States from principal sources Country of origin or shipment Average1924-28 1929 1930 1931 1932 1933 19341 1933 (Januar y-September) 19341 (Januar y-September) 19351 (Januar y-September) Quantity (1,000 pouds) Total ……… 66,192 87,068 73,733 83,853 74,053 67,245 56,379 51,747 42,299 48,716 Japan ……… 54,739 69,759 59,918 69,526 69,137 60,213 54,989 45,511 41,166 47,314 C h i n a ……… 9,106 14,495 9,874 9,841 2,530 3,769 1,103 3,224 938 1,194 Italy ……… 1,080 2,134 3,711 3,988 2,087 3,067 113 2,880 65 200 France ……… 141 190 85 133 23 6 ……… 6 ……… ……… Hong Kong ……… 715 411 6 6 14 ……… 1 ……… 1 ………
All other countries …… 411 79 139 359 262 190 173 126 129 8 Value ($1,000) Total ……… 374,998 427,126 262,913 191,290 113,882 102,536 71,764 76,169 55,758 64,403 Japan ……… 316,923 356,122 221,468 163,070 106,188 91,659 69,847 66,834 54,210 62,361 C h i n a ……… 44,377 59,718 28,942 18,564 3,530 5,874 1,590 4,895 1,314 1,769 Italy ……… 6,449 7,984 11,558 8,497 3,687 4,769 147 4,293 92 261 France ……… 712 1,040 399 343 52 14 ……… 14 ……… ……… Hong Kong ……… 3,849 1,879 20 10 19 ……… 3 ……… 3 ……… All other countries …… 2,688 383 526 806 406 220 177 133 149 12
Value per poud
Japan ……… $5.79 $5.11 $3.70 $2.35 $1.54 $1.52 $1.27 $1.47 $1.32 $1.32 C h i n a ……… 4.87 4.12 2.93 1.89 1.40 1.56 1.44 1.52 1.40 1.48 Italy ……… 5.97 3.74 3.11 2.13 1.77 1.55 1.30 1.49 1.42 1.30 France ……… 5.05 5.47 4.69 2.58 2.26 2.33 ……… 2.33 ……… ……… Hong Kong ……… 5.38 4.57 3.33 1.67 1.36 ……… 3.00 ……… 3.00 ……… All other countries …… 6.54 4.81 3.78 2.25 1.55 1.27 1.02 1.06 1.16 1.50
Percent of total quantity
Total ……… 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 Japan ……… 82.7 80.1 81.3 82.9 93.4 89.5 97.5 88.0 97.3 97.1 C h i n a ……… 13.8 16.7 13.4 11.7 3.4 5.6 2.0 6.2 2.2 2.5 Italy ……… 1.6 2.4 5.0 4.8 2.9 4.6 0.2 5.6 0.2 0.4 France ……… 0.2 0.2 0.1 0.2 0.0 0.0 ……… 0.0 ……… ……… Hong Kong ……… 1.1 0.5 0.0 0.0 0.0 ……… ……… ……… ……… ……… All other countries …… 0.6 0.1 0.2 0.4 0.3 0.3 0.3 0.2 0.3 0.0
1Imports for cousumption.
Source: Foreign Commerce and Navigation of the United States.
第3表によれば、アメリカにおける生糸輸入は、価額で見た場合、日本および中国両国で90%以上、 と大半を占め、イタリア、フランスからの輸入は微々たるものであること、日本が 1931 年までは、 80%台を示しているが、1932 年以降 1935 年にかけては、ほぼ 90%台を示していることが分かる。 また、日本からの輸出を世界大恐慌以降について見ると、価額で見た場合、1930 年にかなりの落 ち込みはあるものの、1932 年にかけては、絶対額で見ると、ほぼ同額で推移しており、大恐慌によっ て日本からの輸出は、価額そのものでは、さほど大きな変動はなかったことが注目されよう。 問題は、価格の変動であり、次表によって、生糸価格の推移を見ると、1929 年以降続落を示し、 1931 年には実に半値以下となり、1932 年には 1/3 までに急落しており、他の繊維原料と比較して みると、生糸価格の下落率は、綿花と並んで大きいものの、綿花の持ち直しに傾向に比較して、 その後も、なかなか回復が出来なかったことが確認される。 なお、世界大恐慌との関係で検討を要する問題は、中国の動向であり、日本がアメリカ市場に 全面的に依存している中で、中国のアメリカへの生糸輸出は、価額の比で見ると、1931 年までは 10%台を示しているものの、1932 年以降では 3%台と激減しているのであり、世界恐慌が日本と中 国に対して与えた影響では、かなり異なった様相を呈したことが想定され、この点検討を要する 課題である。(1) なお、ここで、日本の生糸の月別卸売価格を見ると、第 4 表のごとくであり、生糸価格の変動は 大きく、1930 年では、高いのは 1 ~ 3 月、低いのは 9 ~ 11 月、1931 年では、それぞれ 1 ~ 3 月、 12 月、1932 年では、それぞれ 1 月、4 ~ 6 月、1933 年では、それぞれ 6 ~ 7 月、1 ~ 3 月、1934 年では、それぞれ 1 ~ 3 月と 10 月、1934 年では、それぞれ 2 月、7 ~ 9 月、1935 年では、それぞ れ 10 ~ 12 月と 3 ~ 6 月、1936 年では、それぞれ 1 月、12 月と 5 ~ 6 月となっていて、卸売価格 については、ハッキリとした季節性は認めることは出来ないが、平均で見ると、先の第 2 表と同じ く、1930 年からの下落が 1932 年まで続き、1933 年に recovery の傾向が見られるものの、1934 年 には再び下落、本格的な recovery は、1935 年以降ということになる。 第 4 表 日本生糸の月別卸売価格 (Per Pound) Month 1930 1931 1932 1933 1934 1935 1936 January 4.63 2.81 1.95 1.31 1.47 1.46 1.96 February 4.43 2.71 1.89 1.2 1.57 1.43 1.8 March 4.53 2.56 1.62 1.18 1.42 1.33 1.74 April 4.19 2.27 1.42 1.32 1.33 1.39 1.7 May 3.94 2.27 1.23 1.59 1.3 1.42 1.61 June 3.25 2.46 1.19 2.15 1.21 1.38 1.61 July 2.96 2.36 1.23 2.27 1.15 1.45 1.73 August 2.96 2.51 1.65 1.88 1.14 1.71 1.8 September 2.41 2.31 1.81 1.89 1.14 1.87 1.71 October 2.51 2.27 1.67 1.65 1.2 2.08 1.77 November 2.46 2.31 1.56 1.48 1.3 2.09 1.94 December 2.71 1.97 1.55 1.43 1.37 1.96 1.98 Average 3.41 2.4 1.56 1.61 1.3 1.63 1.78
Source : Recent Trends in the Full-Fashioned Hosiery Industry, May 1943,p.14 出所: Excess Profits Tax Council Bureau of Internal Revenue, Dec.1948,p.48.
ところで、日本からのアメリカへの生糸輸出を見ると、生糸は全て、いったんニューヨークに集 められることになっていたが、ニューヨークに至るまでには次の二つのルートが存在していた。即 ち、一つは、太平洋横断後大陸横断鐵道で陸路によるものであり、他の一つはパナマ運河を通過 してニューヨーク迄全部水路によるものであった。大陸横断鉄道輸迭は、日米生糸貿易開始以来 の通路であつたが、パナマ経由輸送は、東洋方面より米国に輸入される生糸の本来の通路に対し 新経路であり、パナマ開通は 1914 年で、日本生糸会社が 1926 年(大正 15 年)の夏の頃、日本郵 船龍野丸で輸送したのが、パナマ回り日本生糸輸送の嚆矢とされている。その後、試験的に輸送 を試みつつ、当初は数量も極僅かであったと言われるが、次第にその輸送数量が著しく増してゆ くことになる。(2) こうしてアメリカに陸揚げされた生糸が、アメリカ絹業によって消費される、まさにその動向こ そ、日本の経済にとって決定的な意義を持っていたことについては、ここで繰り返すまでもないの であるが、次にアメリカにおける絹靴下工業における生産と地域性について検討しておきたい。
3.フルファッション (平編み)絹靴下工業における生産と地域性
ところで、ここでアメリカ絹業という場合、先ず、そこには大きな二つの工業部門が存在してい たことを注意しておきたい。 『最近米国絹業事情概要』(昭和 9 年 8 月)によれば、 「米国二於ケル絹業工場ノ中原料消費高ヨリ見レバリボン及其ノ他ノ項ニ當ル工場ハ廣巾物工場二 比スレバ殆ド問題トスル二足ラナイ。次二絹紡工場モ人絹、生糸ノ価格低落其ノ他ノ事情二依リ 次第二勢力ヲ失ヒツツアル。----更ニ絹糸紡績ハ生糸ノ直接ノ消費産業デハナイ。斯クシテ残 ルモノハ廣巾織物製造業ト莫大小及靴下製造業ノ二者デアリ、前者ハ其ノ原料使用額、製品生産 額二於テ絹織物製造業ノ大部分ヲ成スノミナラズ、最近人絹ノ侵入顕著ナルニモ拘ラズ依然トシ テ生糸ノ一大消費部門デアリ、後者ハ絹、人絹以外ノ繊維原料ノ一大消費部門デアルト同時二共 ノ一部門タル婦人用平編靴下製造業ハ其ノ原料ノ九割以上ヲ生糸ヲ使用シ廣巾絹織物ト併セテ生 糸消費上益ヽ重要性ヲ増シツツアルノデアル。」(3)とあるように、一つの部門は、広巾絹織物製造 工業であり、他の部門は絹靴下製造工業で、この 2 つの部門が、生糸消費の主要な製造工業部門 を成していた。 では、これらの二大絹業部門がどのような比重になっていたのかを、次に見てみることにしたい。 同『最近米国絹業事情概要』(昭和 9 年)によれば、アメリカにおける生糸需要のうちで、絹靴 下製造工業が、全絹業部門の生糸消費に占める割合は、「生糸ノ消費ノ点ヨリ平編靴下業ヲ見ルニ 其ノ生糸消費量ノ総額ニツキテハ正確ナル調査ヲ欠キ其ノ推定モ人ニヨリテ異ナルガテキスタイ ルマッシーンワークス社一昨年ノ推定二依レバ米国絹物工場生糸引取高中平編靴下工場ノ引取高 割合ハ 1928、1930、1932 ノ各年左表ノ如クデアル。(漢数字改め)」(4)として次の表を提示している。年次 1928 1930 1932
割合 21.62 21.0 13.6
割合ヨリ算出シタル実数 12 万俵 13 万俵 13 万俵
『最近米国絹業事情概要』(昭和 9 年)42 頁。
本表の 1933 年以後の、年次別統計については、現在のところ明らかではないが、1939 年の “Report on the Full-Fashioned Hosiery Industry”によれば、「靴下工業は、アメリカ合衆国にお ける生糸の主要な消費者であり、1937 年から 1938 年には国内消費の約 63%を、また 1938 年から 1939 年には約 72%が使用されていた。この高い消費の最大のものは、Full-Fashioned の分野であ り、1937 年から 1938 年には、全国内消費の 62%、1938 年から 1939 年には、54%に達していた。」(5) とあり、靴下工業の中でも、とりわけ Full-Fashioned の分野においては、1930 年代を通じて、生 糸の使用が急速に増大していったことが考えられる。 ここで 1931 年から 1937 年における原料生糸の占める比重を見ると、次表の如くであり、Full-Fashioned の分野においては、原料生糸の占める比重が 90%を超えていたことが分かるのであり、 この原料生糸の 80%から 90%近くが日本からの輸入によるものであったことは先に見たとおりで ある。 第 5 表 フルファッションの絹靴下生産における原材料の比率 (1931-1937 年 a_
/)
この点について、先の『最近米国絹業事情概要』(昭和 9 年)は、「生糸消費ノ数量二於テハ右 ノ如ク議論ノ余地アリトスルモ平編靴下業ハ 1925、6 年以来其ノ原料ノ 9 割以上生糸ヲ使用シ殊 二最近ノ如ク婦人衣服スカートノ長短二拘ラズ靴下ガ単二被服ノ一部デアルノミナラズ婦人ノ装 身具トシテ流行スルニ至ルヤ 14 中生糸 3 本合乃至五本合セヲ中心トスル薄地靴下ガ重要部分ヲ占 メ右ノ如キ薄地靴下二於テハ生糸ノ品質上ノ欠点ガ顕著二現ハレ易ク、且靴下機械ノ精巧ト能率 Type 1931 1933 1935 1937Total all materials 100 100 100 100
Pure thread silk b_
/
95 91 95 95Rayon 4 2 1 _c
/
All cotton including mercerized _c
/
_c/
1 _c/
Rayon and cotton _c
/
1 _c/
1Silk and rayon _c
/
_c/
1 2Other mixtures d_
/
1 6 2 2a
_/ Source : Bureau of the Consus, Hosiery Bulletin for years given, the reports of which are
based on increasing samples ranging from 52% of value in 1931 to 84% in 1935 and 1937, as listed in the Census of Manufactures for those years.
b
_/ Including lisle or cotton tops, heels and toes. c
_/ Less than one half of one percent. d
_/ Includes silk and wool, silk and cotton, rayon and wool, and triple mixtures. 出所: Report on the Full-Fashioned Hosiery Industry, March 1939, p.11.
ノ増進スルニ從セ、益ゝ 14 中生糸ノ中デモ高級生糸ノ需要者トシテ我国生糸ノ消費ノ一大重要部 門ヲ成シテ居ル。(漢数字改め)」(6)と述べ、薄地靴下の流行に合わせ、日本からの生糸輸出の 14 中生糸の中でも、高級生糸の需要が次第に増大していることを指摘している。 以上見てきたように、靴下工業の中でも、Full-Fashioned(平織り)の分野が日本からの生糸輸 出にとっては決定的に重要であったことをここで確認したが、Full-Fashioned の分野と並んで、靴 下工業においては、Seamless(丸編み)がもう一つの分野として存在した。 第 6 表 アメリカにおける靴下生産の製品別比率 (1919-1938 年)
Total Production Full-Fashioned Seamless
Year Total FashionedFull Seemless Total Women's Men's Total Women's Men's Other 1919 100% 9% 91% 100% Not available. Not available. 100% Not available. Not available. Not available. 1929 100 27 73 100 98% 2% 100 23% 51% 26% 1931 100 28 72 100 98 2 100 19 53 28 1933 100 31 69 100 98 2 100 19 52 29 1935 100 32 68 100 99 1 100 14 45 41 1936 100 30 70 100 99 1 100 15 43 42 1937 100 32 68 100 99 1 100 15 41 44 1938 100 33 67 100 100 0 100 16 41 43
出所: Report on the Full-Fashioned Hosiery Industry, March 1939, Appendix Table D.
本表によれば、靴下生産のうちで、Full-Fashioned(平編み)の場合には、女性用のものが大半 であるのに対し、Seamless(丸編み)では、男性用のものが中心で、女性用のものは、10%台に留まっ ていることが確認されよう。従って、日本との関係でみるならば、絹靴下用の原料生糸は、その大 半が Full-Fashioned(平編み)用に向けられていたということになる。
次に、この Full-Fashioned Hosiery Industry (平編み絹靴下工業)の生産と地域性さらに労働 者数の推移を見ておくことにしたい。
先ず、第 7 表によって、アメリカにおけるフルファッション絹靴下生産の動向を、1930 年代につ いて見ると、1929 年をピークにして、その後大恐慌の影響にともない、生産は急減するが、1932 年には回復の兆しをみせ、1933 年以降は次第に増加してゆき、1934 年の recession はあるものの、 1935 年以降 1939 年まで増大を続け、1940 年に入ると、やや減少に転じていることが確認される。
第 7 表 1919-1940 年のフルファッシション(平編み)靴下の生産
Year
Total full-fashioned
hosiery production Production of women'sfull-fashioned hose Amount
(million dozen pairs) (1929=100)Indexes (million dozen pairs)Amount
Average annual per capita consumption pairs 1919 ……… 7.6 23.8 6.3 1.8 1921 ……… 8.4 26.3 1923 ……… 11.2 35.1 1925 ……… 13.9 43.6 12.3 3.4 1926 ……… 15.8 1927 ……… 21.0 65.8 19.8 5.3 1928 ……… 23.6 1929 ……… 31.9 100.0 31.1 7.6 1930 ……… 29.1 1931 ……… 29.5 92.5 28.7 7.0 1932 ……… 30.5 1933 ……… 31.9 100.0 31.6 7.4 1934 ……… 30.4 1935 ……… 36.4 114.1 36.2 8.3 1936 ……… 36.5 1937 ……… 40.2 126.0 40.0 9.0 1938 ……… 41.4 1939 ……… 48.1 150.8 *47.9 10.4 1940 ……… 41.9
出所:United States of Labor, Employment Outlook in Full-Fashioned Hosiery Industry 1941,p.5.
次表は、1929-1938 年の Full-Fashioned 絹靴下生産額と輸出の割合を見たものであるが、本表 によれば、アメリカにおける絹靴下生産物に占める輸出の割合は微々たるものであり、絹靴下は、 主として国内向けに生産されていたことが確認される。
第 8 表 1929-1938 年におけるフルファッション絹靴下の生産および輸出
Year (in million dozen pairs)Production a_
/
(in million dozen pairs)Exports b_/
percentage exports are of production1929 31.8 .7 2.20 1931 29.5 .34 1.15 1933 32.2 .21 .65 1935 35.5 .24 .67 1937 40.2 .37 .92 1938 42.0 .38 .90 a
_/ Source : 1929, 1931, and 1933: Bureau of the Census, Biennial Knit Goods Bulletins, cited in The United States
Hosiery Industry, Evelina K. Southworth, prepared for the Tripartite Textile Conference, pp.32,45. 1935 and 1937: National Association of Hosiery Manufacturers,
Supplement to Statistical Bulletin, January 1936 and 1938. 1938: National Association of Hosiery Manufacturers, Special News Letter, February 15, 1939.
b
_/ National Association of Hosiery Manufacturers, Special News Letter, Feb.15, 1939.
では、こうした絹靴下生産がアメリカ国内でどのような地域性をもって展開したのか、以下この 点について検討してみることにしたい。 絹靴下生産の地域性 まず、大きく絹靴下生産の地域性を見ると第 9 表のごとくであり、生産における比率を年度別に を見ると、北部からノースカロライナを中心とする南部に向かって比重が大きくなりつつあること が確認されよう。 第 9 表 フルファッション靴下工場の地域性(1923, 1929, 1932, 1938 年) Location 1923 1929 1937 Number of
Plants Percent of Total Number of Plants Percent of Total Number of Plants Percent of Total United States North West South 168 132 20 16 100.0 78.6 11.9 9.5 306 217 28 61 100.0 70.9 9.2 19.9 367 235 25 107 100.0 64.0 6.8 29.2 Source: Compiled from Davison's Knit Goods Trade.
出所: Report on the Full-Fashioned Hosiery Industry, March,1939 p.4.
この地域性を、さらに詳しく、機械設置台数を地域別に見ると、次表のごとくであり、機械設置 台数は、全体としては、1929 年から 1935 年にかけて、大恐慌期をはさみ、増大傾向を示しつつ、 同時に、生産の中心地は次第にフィラデルフィアを中心とした北部地域から、西部及びノースカロ ライナを中心とした南部地域へのシフトしつつあることを確認することができよう。 第 10 表 フルファッッョン絹靴下機械の地域別設置状況(1929-1935*) producing Area
March 1929 March 1932 April 1935 No. of
Machines Per Cent MachinesNo. of Per Cent MachinesNo. of Per Cent Industry, total 11,904 100.0 14,965 100.0 15,493 100.0 North, total 11,071 93.0 12,855 85.9 12,704 82.0 Philadelphia Area 3,928 33.0 4,534 30.3 4,121 26.6 All Other Pennsylvania 3,381 28.4 4,071 27.2 4,911 31.7 New York, New Jersey, and
New England 2,024 17.0 1,990 13.3 1,751 11.3 West and Mid-West 1,738 14.6 2,260 15.1 1,921 12.4 South, total 833 7.0 2,110 14.1 2,789 18.0 North Carolina ... ... ... ... 1,611 10.4 Other South ... ... ... ... 1,178 7.6 * Sources: Ruth E. Clem and Florence L. Schoenberg, Recent Trends in the Full-Fashioned Hosiery Induustry, p.18, and George W.Taylor, "Going South,"Textile World, April, 1936, pp. 867-69. the material presented in Clem and Schoenberg is based on Taylor's estimates.
出所:Richard H. Leftwitch, Some Effects of Collective Bargaining of Resource of Allocation: Full-Fashioned Hosiery Industry, March 1950, p.19.
なお、ここで絹靴下工業における生産工場の規模について見ておくことにしたい。次表は絹靴 下生産における生産規模を見たものである。
第 11 表 絹靴下工業における生産工場の規模 靴下工場の規模 工場数割合 器械数 1929 年 3 月 1932 年 3 月 12 以下 31.0% 26.5 13-25 26.9 29.2 25-50 21.1 21.3 51-100 9.9 12 101 以上 11.1 11 計 100 100 出所:『最近米国絹業事情ニ就イテ』11-12 頁。 本表よれば、1932 年 3 月においては、12 台以下の器械を設置している工場が 26.5%、13 ないし 25 台の工場が 29.2%で、25 台以下が全工場の約 56%を占めており、比較的小規模の工場が多い ことを示している。百台以上の器械をもつ工場は全工場の 11.0%で、1929 年と比較すると、次第 に中間規模の工場が多くなっていることが分かる。(7) 第 12 表 地方別工場規模 地方 機 械 数 12 以下 13-25 26-50 51-100 101 以上 計 フィラデルフィア 26.50% 33.3 19.6 13.7 6.9 100 レディング 22.7 22.7 13.6 18.2 22.8 100 その他ペンシルバニア 37.8 26.7 13.3 13.3 8.9 100 西部 25 12.5 16.7 20.8 25 100 ニューヨーク ニュー・ニュジャージー 18.5 25.9 26.0 11.1 18.5 100 ニューヨーク ニューイングランド 12.5 25.0 43.8 12.5 6.2 100 北カロライナ 12.5 31.2 37.5 9.4 9.4 100 その他南部 35.5 32.3 19.3 12.9 ― 100 計 26.5 29.2 21.3 12 11 100 出所:『最近米国絹業事情ニ就イテ』12-13 頁。 また、これを地方別工場規模に見ると、第 12 表のごとくであり、本表によって「工場規模の大 きいものが多いのは、西部地方が第 1 位で、51 台以上の工場が 45.8%を占め、次がレディング市 の 41%、フィラデルフィア市は比較的規模の小さいものが多く、新興の、南部のノース・カロライ ナ州は 26 台―50 台で、比較的少規模のものが多い。」(8)ことが確認される。 このなかで、南部の小規模工場が集中する地方と、大規模工場が集中する、西部およびレディ ングは、次表および第 2 図に見るように、組合が組織されていない地域であることが特徴であった。 次表は、地域別、絹靴下工業生産における機械設置工場を、組合の組織、未組織別の比率で見 たものである。
第 13 表 組合組織、組合未組織別にみた地域別全機械台数(1932 年)
producing district Total Union Non-Union
Philadelphia Reading
Other Pennsylvania New York-New Jersey* New York-New England** South West 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 49.1 3.0 78.1 24.7 27.7 50.9 100.0 97.0 21.9 75.5 100.0 72.3 Total 100.0 27.7 72.3 Total Machines 14,965 4,139 10,826
* New York-New Jersey district ino includes the northern Jersey and southern New York regions.
** New York-New England district includes the northern New-York section and the New Eng-land states.
出所:George W. Tayler, Confidential Report, The Full-Fashioned Hosiery Knitting Machines in Places, Industrial Research Department University of Pennsylvenia, March 1932. p.3.
第 2 図 組合組織、組合未組織によって稼動される地域別機械台数の比率(1932 年)
出所:George W.Tayler Confidencial Report,The Full-Fashioned Hosiery Knitting Machines in Places, Industrial Re-search Department University of Pennsylvenia March 1932 p.2.
第 13 表および第 2 図によれば、絹靴下工場を全体として見るならば、27.2%が、組合が組織さ れているのに対し、未だ 72.3%が、組合が組織されておらず、さらに、これを地域別にみると、主 要な絹靴下生産地であるフィラデルフィアでは、機械が組合の組織と組合の未組織とがぼ同数で 配置されているのに対し、レディングでは、全て組合が組織されておらず、またニューヨーク - ニュー ジャージーでは、1932 年において、78%以上が組合組織の工場によって稼動されており、西部では、 全機械台数の 27.2%が組合が組織された工場によって稼働され、南部では全てが、組合が組織さ れていない状態で稼動されていたことが分かる。 これらの組合の組織率の高低は、生産、賃銀の高低ともリンクしていた。次に、この点につい ての検討に入ることにしよう。 次の第 3 図は、1932 年における、組合の組織、未組織別全絹靴下生産を、月別に見たものであるが、
本図によれば、全体平均でみれば、組合が組織された絹靴下工場の生産性は、若干のズレはある ものの、組合未組織のそれよりも低かったことが分かる。(9)
第 3 図 組合未組織との比較でみた組合組織による月別生産性
出所:G.L. Palmer &G. W. Tayler , Earnings of Full-Fashioned Hosiery in Union Mills in 1932,p.10. 次に、生産費に占める労賃と原料費の比率を見てみることにしたい。 次表は、平編み(Full-Fashioned)と丸編み(Seamless)を合わせたアメリカにおける靴下工業 の、全生産に占める、労賃と原料費の比を見たものであり、Full-Fashioned 靴下のみの比率につ いては明らかではないが、およその傾向は知ることができる。 第 14 表 生産費に占める労賃および原料の比率(1929,1931,1933 年)
Total Value of Products $1,000
Total Direct Labor Cost Total Material Cost Amount in
$1,000 Per Cent of Value of Products Amount in *$1,000 Per Cent of Value of Product 1929 1931 1933 528,700 331,209 263,710 $140,079 95,129 82,959 26.5 28.7 31.5 $248,657 148,835 113,689 47.0 44.9 43.1 Source: Census of Manufacturers "Knit Goods."
* In both 1927 and 1929 fuel and Purchased energy accounted for 1.7 percent of total cost of materials. These are included in the totals in each case.
出所: G.W.Tayler and Lillian P.Goodman,Recent Changes in Hourley Earnings of Employees in the Hosiery Indus-try,1936.p.61.
本表によれば、生産費に占める比率で最も大きいのは原料費で、次に労賃であるが、両者を合 わせて約 7 割を占めるものの、労賃部分の比重が次第に大きくなりつつあるのに対し、原料比は 減少傾向にあることが分かる。従って、生産においては、原料費を除けば、労賃部分が極めて大 きな比重を占めていたことになる。
なお、この点で、大野 彰「戦間期のアメリカ絹靴下工業」の「靴下(45 ゲージ、4 本合わせ)1 ダー スの製造コストの事例」によれば、労賃コストの比率は、1932 年が 32.3%、1934 年が 43.3%、 1936 年が 42.5%、1937 年が 43.5%としてあげられている。(10)また、Brief of the American Federation of Hosiery Workers, Part Ⅱ Full-Fashioned Hosiery, March,1939 によれば、1938 年 で見ると、42 ゲージ、3 本合わせで 49.3%、4 本あわせで 48.6%の数字を示している。(11) なお、この労賃の高低と地域性および経営規模は、以下に見るごとく、それぞれ密接な関係をもっ ていたのであり、この点を明らかにするため、次に、Full-Fashioned の部門における賃銀の地域性 について、見ることにしたい。次表は、Full-Fashioned の部門における賃銀の地域性を見たもので ある。 第 15 表 平編み絹靴下工業における地域別時間給 Production District* 1929 1933 1934 1935 No. of Workers Avg. Hrly. Earn. No. of Workers Avg. Hrly. Earn. No. of Workers Avg. Hrly. Earn. No. of Workers Avg. Hrly. Earn. Philadelphia Reading Other Pennsylvania West
New York-New Jersey New York-New England North Carolina Other South Combined Districts 5,208 6,736 3,183 5,590 2,168 388 1,939 466 3,313 $.800 .696 .589 .614 .828 .808 .383 .349 .714 11,233 8,839 7,454 7,250 2,770 592 7,079 4,397 2,395 $.450 .357 .348 .419 .414 .386 .325 .271 .530 13,628 9,219 7,443 5,664 3,589 1,414 6,944 4,829 2,392 $.679 .646 .618 .642 .712 .540 .532 .481 .667 12,000 3,834 6,124 6,588 3,002 676 5,418 4,040 9,214 $.707 .761(.718) .635 .704 .766 .505 .547 .508 .689 Total 28,991 $.670 52,009 $.380 55,122 $.624 50,896 $.665
出所:George W.Tayler and Lillian P.Goodman, Recent Changes in Hourly Earnings of Employee in the Hosiery Indus-try 1936.p.9. 本表によれば、フィラデルフィアのような北部の賃銀と較べ、ノースカロライナを含む南部地域 の賃金が、相対的にかなり低くなっていることが分かるが、この賃金の格差は工場が北部から南 部へ移動する大きな要因であったと考えられる。同時に同じ北部地域でも、組合の組織率が高い フィラデルフィアと較べ、組合が組織されていない、大規模機械が集中するレデイィグ地域とでは、 そこに大きな賃金格差が存在していたことも、同時に指摘しておかなければならない点である。
4.絹靴下工業における金融条件
次にアメリカ絹靴下工業における金融条件について見ることにしたい。この金融条件については、 これまでの研究史の中では、殆ど触れられていない点であり、ここでは、『最近米国絹業事情概要』 (日本中央蚕糸会、紐育海外生糸市場調査事務所、昭和 9 年)を手がかりとして、若干の問題を指 摘しておきたい。 まず、絹業金融の種類としては、「固定資本に関するもの」と「運転資金に関するもの」があり、 「固定資本に関する金融」では、同『概要』は、「絹業ノ固定資本ノ調達ハ一般工業二於ケルト 同様二、株式其ノ他ノ自己資金二依ルノ外ハ信託会社(Mortgage companies)等ノ長期貸付ヲ取扱フ金融機関ヨリノ其ノ資産担保ノ融資叉ハ此等ヲ通ジテ一般市場二社債(Bond)ヲ発行シ資金 ヲ吸収スルコトニ依リ之ヲ行フヲ常例トスベキデアルガ、既往ノ絹業殷盛ノ当時二在リテハ兎モ角 トシ、現在二於テハ一般市場ヨリノ社債売出二依ル資金ノ吸収ノ如キハ事實全ク不可能ノ状態二 在ル。叉後述スル特種金融機關タル Factors モ主トシテ運転資金ノ融通ノミヲ取扱テ此ノ方面ノ 金融ニハ及バヌガ故ニ、大体二於テ現在ハ特二資産内容ノ健實ナル業者ノ外ハ固定資本金融二關 シテハ殊更便宜乏シキ実情ニ在ル。」(12)と述べており、自己資金以外では、社債の発行によるが、 最近では社債の発行による資金の吸収は難しく、特殊な金融機関であるファクター(Factor)も、 以下の「運転資金に関する金融」が中心で、堅実な業者以外は、資金の調達は厳しかったようで ある。 「運転資金に関する金融」では、まず「原料手当及製造加工其の他の業務遂行の所要資金」で あるが、 「原料手當ハ生糸二付テ之ヲ云ヘバ、紐育市場ノ売買取引二於テハ其ノ代金ノ支払ハ 生糸ノ受渡二際シ現金又ハ六十日払ノ Trade Acceptance ヲ以テ行ハルヽコトニ契約セラルヽヲ 例トシ、主トシテ後者二依テ支払ガ行ハレツヽアル。從テ買人ハ売人ガ其ノ取引二応ズル程度 ノ信用ヲ有スレバ原料手當ニハ直接資金ハ要セス訳デアル。尚右生糸取引二用ヒタル、Trade Acceptance ノ割引ハ現在一流ノ銀行二於テ支障ナク取扱ハレツヽアリ。其ノ割引率ハ現在年二分 乃至四分程度デアッテ、取引当事者ノ信用程度如何二依テ割引率ニ差ガ生ズルノデアル。」とある ように、生糸の取引においては、現金又は 60 日払いの Trade Acceptance によって行われており、 直接資金を必要としない割引率 2 - 4 分の Trade Acceptance が主流を成していた。(13) 次に「製造加工其の他の業務の所要資金」では、「細別スレバ労賃、其ノ他ノ給料、動力費、燃 料其ノ他加工用品費、工場設備借用ノ場合於ケル賃借料、税金、設備維持修繕費等ナルガ此亦相 當ノ運転資金ノ手持又ハ融通ヲ要スルコト言フ迄モナイ、殊二 N.R.A. 実施以来労賃二一定ノ最低 限度アリ其ノ他モ一時二比シ費用ノ増嵩ヲ來シツヽアルヲ以テ、此種運転資金所要額ハ亦一時二 比シ膨脹ヲ免レヌノデアル。如上ノ所要運転資金ハ本家自己資金叉ハ銀行其ノ他ノ一般商業金融 機関ニ仰グガ、一般商工業ノ通例デアルガ、最近ノ絹業表(ママ)ノ多クハ直接カヽル金融機關 ヨリ融資ヲ受クル便宜乏シク、其ノ間嚢ニ上ゲタル Factors ガ特二活動スルノデアル。」(14)とある ように、先にみた原料費およびその他の業務の所要資金が、自己資金または銀行や商業金融機関 からの融資であるのに対し、製造加工やその他の業務の所要資金ではファクター(Factor)が重 要な役割を演じることになるのである。 次に、この絹業特殊金融機関 Factor(ファクター)についてであるが、 「ファクターハ絹業二限ラズ一切ノ織物工業及製靴工業ノ金融ヲ取扱フ特殊金融機関デ現在比較 的小規模ナル絹業者ニ対シテ其ノ直接ノ金融ノ七、八十パーセントハ之二依テ行ハルト称セラレ、 絹業金融上極メテ重要ナル役割ヲ演ズルモノデアル。」(15)とあるように、ファクターは、特に小規 模な絹工業者に対する融資の機関として重要な役割を担っていたのである。 ファクターの役割の主要なものとしては、「運転資金についての融通」であり、「其ノ方法ハ其ノ 織物業ニ関スル専門的知識二基キ一般金融機関二比シ廣ク担保ヲ取リ且多額ノ貸付ヲ行フモノニ
シテ、商業手形ノ割引ノ外在庫品、出荷品担保ノ融資其ノ他ヲ行ヒ、例ヘバ某ファクターノ営業 案内二依レバ、在庫製品二対シ市価ノ六割六分程度ノ融資ヲ行ヒ又毎月末ノ受取勘定残高ニ対シ 八割五分程度ノ融資ヲ爲ストシテアル。尚其ノ利率ハ現在ハ各種ノ融資ヲ通ジテ年六分程度ノ由 デアル。」(16)とあるように、広く担保をとり貸し付けを行いつつ、手形の割引業務などを行ってい たごとくであり、「ファクターガ現在絹業ノ金融上重要ナル役割ヲ演ジ、之二対シ多大ノ便宜ヲ供 シツヽアルコトハ明カニデアルガ、同時ニ往々結局織物業者ガ、ファクターヨリ支配ヲ受クル二至 ルコトアルハ亦知己ムヲ得ザル所デアル。」(17)とあり、織物業者がファクターへの支配を余儀なく されることが指摘されている。 最後に、「産業資金の特別融通について」であるが、同『報告書』によれば、「米国政府ハ現今 復興金融会社(Reconstruction Finance Corp.)及び聯邦準備銀行(Federal Reserve Banks)ヲ 通ジテ産業ノ回復振興ヲ圖ルガ爲二特別ノ資金融通ヲ行ヒッヽアル。從來ヨリ復興金融会社ハ其 事業ノ一部トシテ法規ノ定ムル所二依テ Mortgage companies ヲ経テ一般産業界二運転資金ノ融 通ヲ行ヒ來リ其ノ金額ハ最近二至ル迄二百五十二件千六百三十余萬弗二上ッテ居ル由デアルガ、 最近カヽル方法ニテハ其ノ融資ノ普及二支障アルヲ認メ去ル六月 Act Providing for Direct Loans to Industry by Federal Reserve Banks - Also Provides for Loans by Reconstruction Finace Corporation ヲ発布シ新タニ復興金融会社ガ Mortgage companies ヲ経ズシテ直接二商工業ニ対 シ三億弗以内ノ運転資金ノ融通ヲ爲シ得ルコトヽシ、又聯邦準備銀行モ亦直接二商工業二関スル 運転資金ヲ融通シ得ルコトヽシ其ノ限度ヲ約二億入千萬弗トシ、以テ特別資金融通ノ進捗ヲ図リ 現下ノ経濟復興運動ノ進展二資スルコトヽシタ、而シテ此ノ新方法二依ル融資ハ既ニ八月四日現 在二於テ四十一件約四百萬一弗ニ上レル趣デアル。」 (18)とあるように、政府による復興金融会社、 連邦準備銀行を通じての金融的支援と同時に、これらを介在させない直接的な資金融通の方法に よって経済の復興を目指していたごとくである。 次に靴下会社の損益状態について見てみることにしたい。
5.靴下会社の利潤、損益状態
絹靴下工業における経営実態を示す資料は、極めて乏しいが、ここでは、先の『最近米国絹業 事情ニ就イテ』が示す、1929 年から 1932 年までの次の表によって、損益状況を見てみることにし たい。 第 16 表 1929 年以後の靴下会社の損益状態 年度 会社数 損益額 :単位ドル 利 損 利益 損失 1929 17 ー 1371,635 ー 1930 12 7 4610,294 2003,023 1931 11 9 2676,149 5270,992 1932 9 11 957,025 5749,009 出所:『昭和 8 年 7 月 最近米国絹業事情ニ就イテ』(後編、郡是製糸株式会社 神戸営業所)、13 頁。本表について、同『最近米国絹業事情ニ就イテ』は、「1929 年は、靴下業の最頂に達せる時に して、靴下生産高は三千萬打足(昨年は二千二、三百萬打足に上りこれが利益は莫大なものであっ た。これが不況の深化と共に生産過剰、製品の値下り、競争の激甚に、損失を生ずる会社を見る に至り、・・・・昨年度(1932 年)に於ても靴下業者の苦境依然たるものあり、整理を断行せる所 もあり、財政的窮況の爲め以前は相當長期に亘って生糸の手當を行ふを普通としたもの(婦人靴 下業者は其歴史の古い大きなものを除いて、木綿靴下業或は此方面に比較的経験の薄いものから なつたものが多く、投機的要素を多分に含んで居たと云はれて居る)が相當極端なる當座手当買 に変ってきたことは、他にも有力なる原因があるが右の理由が甚大なるものと想像されるのである。 叉此等の損益の状態見るに 一、大なるもの程損失程度大、二、損失を蒙って居るものは、何れ も引続いて二三ケ年蒙って居ることこれである。」(19)と述べ、経営規模が大きいものほど損失が 大きかったことを指摘しており、また、第 17 表によって、南部の絹靴下の 5 工場の例として挙げ られている利潤についてみると、年平均の利潤は、各工場によって、損益には、かなりの違いがあり、 Duham Hos. Co のように、赤字経営ではないものの、極めて停滞的な工場と、May Ho.Co 会社の ように、1936 年までの年 10%台からそれ以降、20%台へと急速に利潤を増加させているものとが あるが、概して純利益率は 10%から 20%台で推移していたことが分かる。
第 17 表 南部の 5 つの絹靴下工場における純利益
Company Total Net Profit 1930-1936
Ratio Profit to Net Worth 1930-1936
Yearly Return
Avg. 1937 Net Profit to Net WorthRatio Return 1938 Net Profit to Net WorthRatio Return Adams-Mills $4,340,200. 120.5% 20.1 $475,343. 10.5 $535,635. 11.9 Davenport 1,385,100. 63.7 10.6 231,260. 12.9 262,687. 14.7 Mock-Juason-V. 1,635,500. 77.4 12.9 473,938. 17.9 501,122. 19.0 Durham Hos.Co. 327,000. 9.2 1.5 170,176. 4.7 98,346. 2.7 May Hos.Co. 1,573,400. 80.9 13.4 450,160. 21.4 535,635. 25.4 Total Net $9,261,200. 69.2 11.5 $1800,877. 12.3 $1933,425. 13.2
出所: Brief of the American Federation of Hosiery Workers Part Ⅱ -Full Fashioned Hosiery, March 29,1939,p.34.
以上、アメリカ絹靴下工業における生産と地域性、工場規模、労働者数、金融的条件、利潤、 損益状態、等について概観してきたが、次にアメリカ絹靴下工業における生産の季節性について、 若干検討してみることにしたい。
6.絹靴下生産における季節性
ここで利用する資料は、前出の『最近米国絹業事情ニ就イテ』(郡是製糸株式会社神戸営業所、 昭和 8 年)である。同リポートによれば、「靴下生産高は、秋、クリスマスを頂点とし、春、イー スターを中心とする相当大きな季節的変動が存在し、これに伴って生糸の需要の季節的変動が生 じ、これは高級糸にいたるほど、その程度が大きく、日本の生糸輸出からみても重要な問題であっ た。 アメリカにおいて、最も重要なるシーズンは次の三つである。 1. イースター(春) 2. 独立(夏) 3. クリスマス(秋、冬)この中で、高級糸需要にとって最も重大なものは社交を中心とし、黒味がかつた色の多いクリス マスで、次がイースターである。この季節的変動に伴ふ需給の調節、靴下業にとっては極めて重 要問題で、流行の変遷と共に二つの大きな問題を成していた。」(20)とあるように生糸需要には大き な季節変動を伴っていたことが注目される。 第 4 図は、1928、29、30、31 年 4 ヶ年間の婦人フルファション靴下の生産高の季節的変化を見 たものであるが、『最近米国絹業事情ニ就イテ』は、「多少其程度に相異こそあれ、何れも皆同型 を示し、かゝる靴下生産高の季節的変動に伴って原料手當にも亦相當の季節的の変化を見て居る のであり供給者側として、此点に留意すべきである。」(21)として、季節的変動が、日本が、生糸 輸出において留意しなければならない重要な点であることを指摘している。 第 4 図 婦人フルファッション靴下の季節的変化(1 ヶ年平均生産高を 100.0 とする) 出所:『最近米国絹業事情ニ就イテ』所収、(郡是製糸株式会社神戸営業所、昭和 8 年) こうした靴下需要の季節性は、絹靴下生産における雇用の統計にも見ることができる。次表は ペンシルバニアにおける絹靴下生産の雇用状況を月別に見たものであるが、
第 18 表 ペンシルバニアにおける絹靴下工業における雇用(JANUARY 1926-DECEMBER 1935a) (1923-25=100) Month 1926 1927 1928 1929 1930 1931 1932 1933 1934 1935 January February March April May June July August September October November December 111.5 111.6 111.5 110.1 109.5 109.9 110.8 110.4 112.5 117.8 119.2 121.0 117.7 115.0 116.0 117.0 120.1 116.5 109.6 110.9 111.3 118.4 122.0 122.9 120.9 123.1 125.6 123.2 120.4 118.4 117.8 116.0 117.2 118.5 119.6 126.5 126.7 132.6 135.5 138.0 138.9 139.4 138.8 141.2 146.4 151.5 150.3 144.5 140.4 141.2 138.4 135.0 130.2 127.8 113.0 118.3 123.2 130.5 128.9 118.6 111.2 116.8 110.4 113.2 112.9 113.8 106.9 109.2 107.4 117.0 125.4 127.6 118.1 121.4 122.2 115.9 106.9 108.0 91.4 99.0 107.3 114.5 116.5 114.9 105.4 107.7 106.8 105.3 106.8 110.7 73.5 73.5 120.0 126.8 127.5 120.9 108.4 124.4 128.2 129.7 125.8 123.6 118.1 113.6 117.4 131.2 136.9 139.3 140.7 143.6 145.0 145.8 141.2 138.8 135.5 139.2 143.0 147.1 147.4 148.5 Average 113.0 116.5 120.6 140.3 128.8 114.3 111.3 107.1 124.7 143.0
a Unpublished data obtained from the Department of Research and Statistics of the Federal Reserve Bank of Philadel-phia.
出所: Works Progress Administration, Reemployment of Philadelphia Hosiery Workers After Shut-Downs, p.50.
本表によれば、先に見た生産の季節性と同様に、雇用においても、そこには季節性が見られ、7、 8 月の低位と 10、11、12 月の高位を見てとることができるのであり、このことは、絹靴下生産にお ける季節性が雇用のありかたそのものと大きな関係を持っていたということができよう。 なお、婦人用の絹靴下の需要は、時々の流行と、とりわけ、スカートの長さと密接な関係を持っ ていたようであり、『最近米国絹業事情ニ就イテ』は、次のような興味深い図を載せているので、 以下に引用しておくことにしたい。 第 5 図 1914 年から 1929 年までのスカートの長さの変遷図
7.労働者数の推移(男女工問題)
次に、アメリカ絹靴下工業における、労働者数の推移を見ることとしたい。
ここで、大恐慌をはさむ 1930 年前後のデータについては、第 17 表に見る 1929 年の統計によっ てしか明らかに出来ないのは残念であるが、第 19 表は、Full-Fashioned と Seamless の靴下工 業における労働者数を、Alfred Hoffman, Research Department of the American Federation of Hosiery Workers および Report on the Full-Fashioned Hosier Industry より作成したものであ る。後者によれば、「Bureau of Labor Statistics の雇用と給与台帳においては、絹靴下に関す る統計又は、Census の雇用の統計が欠落しているため、長期の比較は困難であるが、National Association of Hosiery Manufactures の集計によって、1936、1937、1938 年の若干の情報は得ら れる。」(22)として以下のデータを示している。本表によれば、Full-Fashioned の絹靴下工業にお いては、1935 年の一時的な急増を除いて、増大傾向が見られるのに対し、Seamless の靴下工業に あっては、やや停滞、ないし減少傾向を読み取ることができよう。
第 19 表 靴下工業における労働者数の推移
Year Full Fashioned Seamless Total
1933 72,379 61,614 133,993 1934 76,230 60,792 137,022 1935 84,375 64,951 149,326 1936 79,462 65,396 141,858 1937 82,267 62,402 144,669 1938 84,619 60,089 144,708
出所: Alfred Hoffman, Research Department of the American Federation of Hosiery Workers,March 1,1936 p.4 お よ び Report on the Full-Fashioned Hosiery Industry, March,1939,p.9 より作成。
では、本表に見られる Full-Fashioned の絹靴下工業労働者の推移を地域別に詳しく見ると、ど のようになるであろうか。次表は、絹靴下工業労働者の推移を地域別に見たものである。
第 20 表 絹靴下工業労働者の地域性(1929,1935,1939 年)
Reglon and State 1929 1935 1939 Number Per Cent Number Per Cent Number Per Cent United States 68,029 100.0 84,418 100.0 97,200 100.0 North: 61,427 90.3 65,700 77.8 62,779 64.6 Pennsylvania 37,556 55.2 42,522 50.4 35,253 36.3 New Jersey, Mary-
land, and Delaware
5,441 8.0 5,703 6.7 7,611 7.8 New York and New
England
5,055 7.4 3,733 4.4 6,453 6.6 West and Middle West 13,375 19.7 13,742 16.3 13,462 13.9 South: 6,602 9.7 18,718 22.2 34,421 35.4 North Carolina 4,048 5.9 11,662 13.9 20,347 20.9 Tennessee 1,801 2.6 4,054 4.8 4,762 4.9 Virginia 240 .4 b b 2,866 2.9 Georgia c c 447 .5 2,008 2.1 Othor South 513 .8 2,555 3.0 4,438 4.6 a Source: Ruth E. Clem. Employment Outlook in Full-Fashioned Hosiery Industry, Monthly Labor Review, LIII (October,
1941), 829. (Compiled from census data. Prior to 1935, dyeing and finishing done by separate establishments is not included.)
b Two Virginia Plants included in Other South to avoid identity disclosure. c One Georgia plant included in Other South to avoid identity disclosure.
出所: Richard H. Leftwitch, Some Effects Collective Bargains on Resource Allocation: Full-Fashioned Hosiery Industry. P.17. 本表によれば、アメリカ絹靴下工業における労働者数は、1929 年から 1939 年にかけて、先に見 た靴下生産における地域性と同様に、ペンシルバニアを中心とした北部から、ノースカロライナを 中心とした南部での比重が次第に大きくなりつつあることが確認されよう。 男女工問題 以上、アメリカ絹靴下工業における生産と地域性、労働者数の推移について見てきたが、ここ で労働者数の中での男女工の比率を見ておくことにしたい。 第 21 表 1933,1934 年における絹靴下工業の職種別男女比
Group of workers Total
Ren; knitters and knittors'
helpers
Woman
Total Toppers Seamers and loopers Menders and examiners Number Percent Number Percent Number Percent Number Percent Number Percent Number Percent On check-off listsb Interviewed for study Included in study 1,722 915 673 100.0 100.0 100.0 758 408 324 44.0 44.6 48.1 964 507 349 56.0 55.4 51.9 471 243 144 27.4 26.6 21.4 353 199 150 20.5 21.7 22.3 140 65 55 8.1 7.1 8.2
出所:Gladys L.Palmer and Constance Williams,Reemployment of Philadelphia Hosiery Workers After Shut-Downs in 1933-34p.50.
まず、男女別職工の割合を示す時系列的なデータについては、現在のところ見つかっていないが、 第 21 表によってフィラデルフィアの絹靴下工場の調査事例(23)を、1933 年と1934 年について見ると、 総計で男性は 45%前後、女性は 55%前後で、やや女性の占める比重が大きいことが確認される。
8.教育程度
次に、性別、年齢別に見た教育程度について、ここでは、Gladys L. Palmer and Constance Williams, Reemployment of Philadelphia Hosiery Workers After Shut-Downs in 1933-34 所収 のデータに依拠して概観しておきたい。 第 22 表 性別、年齢別にみた教育程度 School grade completed Man Woman
Total Age in years Total Age in years
16-29 30-44 45 or over 16-29 30-44 45 or over
Num-ber Per-cent Num-ber Per-cent Num-ber Per-cent Num-ber Per-cent Num-ber Per-cent Num-ber Per-cent Num-ber centPer- Num-ber Per-cent Total workers a 0 or more 1 or more 4 or more 7 or more 8 or more 9 or more 12 or more 323 322 318 282 225 77 5 100.0 99.7 98.5 87.3 69.7 23.8 1.5 143 143 143 137 111 52 3 100.0 100.0 100.0 95.8 77.6 36.4 2.1 157 157 154 129 98 23 2 100.0 100.0 98.1 82.2 62.4 14.6 1.3 23 22 21 16 16 2 0 100.0 95.7 91.3 69.6 69.6 8.7 -348 348 343 299 222 65 7 100.0 100.0 98.6 85.9 63.8 18.7 2.0 159 159 158 151 119 40 2 100.0 100.0 99.4 95.0 74.8 25.2 1.3 148 148 145 120 81 17 3 100.0 100.0 98.0 81.1 54.7 11.5 2.0 41 41 40 28 22 8 2 100.0 100.0 97.6 68.3 53.7 19.5 4.9 Workers unemployed 7 consecutive months or more after lay-off b 0 or more 1 or more 4 or more 7 or more 8 or more 9 or more 12 or more 89 88 86 74 55 23 2 100.0 98.0 96.6 83.1 61.8 25.8 2.2 47 47 47 44 33 10 1 100.0 100.0 100.0 93.6 70.2 38.3 2.1 34 34 33 27 19 5 1 100.0 100.0 97.1 79.4 55.9 14.7 2.9 8 7 6 3 3 0 0 100.0 87.5 75.0 37.5 37.5 -93 93 92 83 58 15 3 100.0 100.0 98.9 89.2 62.4 16.1 3.2 40 40 40 37 27 8 0 100.0 100.0 100.0 92.5 67.5 20.0 -39 39 38 34 21 4 1 100.0 100.0 97.4 87.2 53.8 10.3 2.6 14 14 14 12 10 3 2 100.0 100.0 100.0 85.7 71.4 21.4 14.3
a Excludes 1 man and 1 woman who did not report school grade completed. b Excludes 1 man and woman who did not report school grade completed.
出所: Gladys L. Palmer and Constance Williams, Reemployment of Philadelphia Hosiery Workers after Shut-Downs in 1933-34,p.55. 先ず、全体平均で、雇用者数についての比率を見ると、男性では、年齢別に 16 才から 29 才までと、 44 才以下 30 才までを比較すると、後者のほうが、やや高く、45 才を超えると雇用者数は急に減少し、 また、男性の教育期間を年齢別に見ると、年齢が高くなるほど教育期間の長さは短くなっているこ と、女性では、男性と同じく 45 才を超えると雇用は急激に少なくなると同時に、教育期間の長さ も短くなっていることが確認される。また本表によって、lay-off のあと、7 ヶ月以上にわたって失 業している者については、男性では、若年層ほど教育期間は長く、女性では、年齢が高いほど教 育期間が長くなっていることが確認されよう。
9. 勤続年数
次に、絹靴下工業における勤続年数を男女別、職種別に見ることにしたい。第 23 表は、勤続年 数を男女別、職種別に見たものであるが、全体数で見ると、男女とも 4 年から 14 年のところに集 中していることが分かるが、これを年齢別で見ると、男女とも若年層ほど雇用期間は短くなってい ることが確認される。このことは、絹靴下工業にあっては、熟練労働がかなり重視されていたこと を想起させるものである。第 23 表 絹靴下工業における年令、職種別にみた雇用期間
Age in years and numbers of years employed at usual
occupation Total Men:knit-ters and knitters' helpers Women
Total Total Top-pers Seamers Loopers and exam-Menders iners Totel workers 673 324 349 144 87 63 55
Less than 6 months 6 mo.-4 yr. 5 mo. 4 yr. 6 mo.- 9 yr. 5 mo. 9 yr. 6 mo.- 14 yr. 5 mo. 14 yr. 6 mo.- 19 yr. 5 mo. 19 yr. 6 mo.- 24 yr. 5 mo. 24 yr. 6 mo.- 29 yr. 5 mo. 29 yr. 6 mo.- 34 yr. 5 mo. 34 yr. 6 mo.or over
1 37 236 213 88 54 29 11 4 0 7 104 107 48 33 16 6 3 1 30 132 108 40 21 13 5 1 0 11 61 52 11 5 2 2 0 0 3 33 27 11 4 7 1 1 0 5 27 15 8 5 2 1 0 1 11 11 12 10 7 2 1 0 Median number of years 11.0 11.9 10.1 9.5 11.0 9.4 11.6
16-29 303 144 159 80 32 35 12
Loss than 6 months 6 mo.-4 yr. 5 mo. 4 yr. 6 mo.- 9 yr. 5 mo. 9 yr. 6 mo.- 14 yr. 5 mo.
1 30 182 90 0 7 88 49 1 23 94 41 0 10 45 25 0 2 23 7 0 4 22 9 1 7 4 0 Median number of years 7.8 8.2 7.5 7.9 7.7 7.7 #
30-44 306 157 149 58 42 23 26
6 mo.-4 yr. 5 mo. 4 yr. 6 mo.- 9 yr. 5 mo. 9 yr. 6 mo.- 14 yr. 5 mo. 14 yr. 6 mo.- 19 yr. 5 mo. 19 yr. 6 mo.- 24 yr. 5 mo. 24 yr. 6 mo.- 29 yr. 5 mo. 29 yr. 6 mo.- 34 yr. 5 mo.
7 48 113 81 48 8 1 0 15 55 47 31 8 1 7 33 58 34 17 0 0 1 15 27 11 4 0 0 1 8 18 11 4 0 0 1 5 6 7 4 0 0 4 5 7 5 5 0 0 Median number of years 13.9 15.5 12.6 12.0 13.0 14.4 12.7
45 or over 64 23 41 6 13 5 17
4 yr. 6 mo.- 9 yr. 5 mo. 9 yr. 6 mo.- 14 yr. 5 mo. 14 yr. 6 mo.- 19 yr. 5 mo. 19 yr. 6 mo.- 24 yr. 5 mo. 24 yr. 6 mo.- 29 yr. 5 mo. 29 yr. 6 mo.- 34 yr. 5 mo. 34 yr. 6 mo.or over
6 10 7 6 21 10 4 1 3 1 2 8 5 3 5 7 6 4 13 5 1 1 0 0 1 2 2 0 2 2 0 0 7 1 1 0 0 1 1 2 1 0 2 5 5 2 2 1 0 Median number of years 25.3 27.6 23.3 # # # 16.5 Median not caluculated for fewer than 15 cases.
出所: Gladys L. Palmer and Constance Williams, Reemployment of Philadelphia Hosiery Workers after Shut-Downs in 1933-34,p.60.