第3節
「HUMAN TIME」
1.よりよい生き方を学ぶ「HUMAN TIME」の概要 今を生きるわたしたちは,自国はもちろん,それをと りまく世界とのつながりの中で生きている。さらに「地 球市民」という言葉があるように,これからの社会を生 きていく上で,ますます世界とのつながりを意識し,国 を超えた結びつきが強く求められる。そうしたグローバ ルな視点をもちながら,わたしたちをとりまく社会を見 たとき,身近なつながりを通して社会を見たときに,様 々な境遇や自分とは違う立場にある人たちと共に生きて いることに気がつくはずである。つまり,わたしたちは 今を生きるすべての人々と共に生きる「共生社会」に生 きている。このようなことをふまえて,わたしたちが人 としてどう生きるのか,また,この「共生社会」でどの ようによりよく生きていくのかを学ぶことが大変重要で ある。 そこで,本校の総合的な学習の一つである「HUMA N TIME」(以下HT)では,共生・将来の生き方・ 人権問題など様々な視点から人としての生き方を考察す る学習として,道徳や特別活動はもちろんのこと,日頃 の生活との関連も考慮しながら,自分の生き方を探るた めの「共生社会に生きる」をキーワードに,人としてよ りよい生き方を学ぶものとなっている。 2.「HT」が目指す学習 本校生徒は,本学附属幼稚園・附属小学校から引き続 いて進学してきた者がほとんどである。そのため,多く の生徒は固定化された人間関係のまま中学校生活を送っ ており,新しい人間関係を築きにくい環境にあるといえ る。しかし,生涯にわたって新しい人間関係を築き,ゆ たかで円滑な関係を保っていくには,より多くの人々と 行動を共にし,多様な価値観に触れ,世代を超えた交流 が必要不可欠になるであろう。 そこで,「HT」を総合的な学習と位置づけ,ただ知識 や技能を習得する学習にとどめるのではなく,実際に人 や社会と積極的に関わり,自ら実践していく力を養う学 習の場としたいと考える。 3.これまでの経緯 「HT」は,平成6年度より性教育や福祉教育による 「生き方」を学ぶ総合学習「HT」として本校のカリキ ュラムに位置づけた。これ以降の総合学習「HT」の経 緯については以下の通りである。 平成7・8年度 「HT」を「人」としてのあり方や,「人」として 社会との関わり方を学ぶ総合学習(「生き方を学ぶ」総合 学習)と位置づけた。 平成9年度 以前までの「福祉・人権」・「性」・「進路」に「ボラン ティア」を加えた四つの領域に整理した。さらにこれら について次のような学習場面を盛り込むことを意識して 展開した。 A:体験のある学習場面 (附属養護学校との交流,進路調査,募金活動,湖岸 清掃等) B:外部の人材が活用される学習場面 (大学教員,高校教諭,助産婦,会社員等) C:課題別・コース別選択のある学習場面 (性における各分野,社会福祉施設訪問先) 平成10年度 領域をさらに整理し、「人権・福祉」・「ボランティア」 ・「性」・「進路」とした。この年より,道徳や学級活動の 時間の一部を「HT」にあてることはせず,道徳・学級 活動の成果として,さらに深化・拡充・実践化していく 学習の場として位置づけた。 平成11年度 「総合学習」と「道徳」・「特別活動」のねらいは,類 似の,または共通の質を有している部分が多くある。こ のことから,道徳や特別活動の時間との関連や違いが, ともすると不明確になりがちだったので,それらをを明 確化するために「HT」の新たな展開を模索した。 平成12年度 学習内容を見直し,「共に生きる」・「自己を見つめる」 の2分野に整理・統合した。 平成13年度 前年度を踏襲し,学習計画の見直し,評価票の作成, 道徳・特活との関連の整理を進めた。 平成14年度 学習内容を精選し,ひとつのテーマに充てる時間を増 やし,深まりのある学習の展開を図った。 平成15年度 「共に生きる」(主として人権に関する問題),「自己を 見つめる」(主として現在及び,将来の自分を考える)の 2分野を柱としつつ,道徳・特活との関連や違いを考慮 し,整理・統合を図りながら,総合的な学習としてより 適切な学習課程を模索した。2分野ともに,自ら設定した課題についての調査や実地体験など,主体的に問題解 決を図る学習として展開する。 平成16年度 前年度を踏襲しつつ,3年間で発展的に学ぶことがで きる学習課程を模索した。「HT」の領域と各学年の学習 内容は以下の通りである。 1年 2年 3年 人集団作り 人権学習 権人権学習 修学旅行事前学習 人権学習 国際理解学習 福 社会福祉を考える 祉ボランティア入門 福祉施設訪問 10代の性を考える 「性」 進 職業調べ 進路学習 進路学習 路 職業体験学習 平成17年度 これまでの実践を踏襲しながら,さらに「HT」とし ての存在価値を明確にし,中身の精選を行った。「性」に 関しては,特別活動の時間で展開していくため,「HT」 からは外すこととした。 1年 2年 3年 人 集団作り 人権学習 権 人権学習 国際理解学習 人権学習 修学旅行事前学習 福 ボランティア 祉 入門 進 進路学習 路 職業調べ 進路学習 職業体験学習 (福祉施設訪問)
人としてどう生きるか,よりよい生き方を探る
平成18年度 活用できる内容やKNOW HOWを用いながら学年ごとによ り「HT」のねらいを明確化し,学年間のつながりを意 識した上での展開を心掛けた。また,学校外部の人材活 用においては,特に国際理解学習について,これまでの 外部協力団体だけでなく,新たな人材を確保することが できた。 平成19年度 1年生では,韓国調べ学習においては18年度から協 力を得ている大川修氏の提案で,韓国舞踊鑑賞会を企画 し,学習の深化へつなげた。2年生では,修学旅行への 関連を強く意識し,2年目となる洪性奉講師によるハン グル講座の充実と姉妹校提携している韓国美湖中学生と の手紙やメールの事前のやりとりを実現させ,より具体 共に生 きる 見 つ め る 自己 を 的な国際理 解及び国際交流学習を進めることができた。3年生では 新たな事業所を開拓し,さらに幅広い職業体験を展開す ることができた。 4.生徒の実態について 本校生徒は,基本的に教師に対して従順で,決められ たことや課題に対しては着実にこなしていくことができ る。しかも,学習意欲が高く,新しいことや自ら興味・ 関心をもった物事に対しては納得するまで追究できる力 をもっている。また,グループワークや自主的に話し合 う力,自分や他人の意見などをまとめる力にも長けてい る。しかし,その反面,自ら課題意識を持って行動する 力に欠け,能動的な動きは少ないと感じられる。また, 2でも述べたように,新しい人間関係が築きにくい環境 であることから,固定化された人間関係のまま過ごして いることが多いため,馴れ合いの中で,大きな変化が少 なく,部外者に対して閉鎖的であったり,他者,弱者に 対して極端に厳しい態度になってしまう傾向がある。さ らに,通学範囲も広いという実態から,様々な地域での 考え方の違いもあり,地域に根ざした学習の積み上げが できず,価値観も多種多様である。 5.「HT」で育てたい力 国際感覚豊かな生徒 共生社会で自己実現できる生徒 よりよい共生社会の創造に携われる生徒 6.「HT」の目標 ①多くの人と関わり,互いを認め合う。(共に生きる) ②異文化交流や実社会における多様な価値観や考え方を理 解する。(共に生きる) ③積極的に共生社会に参画していく態度を養う。 (自己を見つめる) 7.今年度の具体的な取り組みおよび重点学習内容 今年度は,平成24 年度の改訂学習指導要領にともない, 本校でも総合学習の時間が大幅に削減される。その教育 課程の精選にともない「HT」としての学習に大きな変 革をもたらす初年度となった。時数削減の中でより精選 を進め,全学年ともに人権学習や進路学習を道徳や特別 活動の中で扱うこととした。その結果,1・2年では,「国 際理解学習」「国際交流学習」を,3年では「職場体験学 習」のみを「HT」で扱うことととした。 各学年の学習内容については,以下の通りである。 1年生…国際理解Ⅰ<飛鳥校外学習> 国際交流Ⅰ<韓国を知ろう> 2年生…国際理解Ⅱ<ハングル講座>国際交流Ⅱ<美湖中学校との交流> 3年生…職場体験学習<共生社会への参加> 8.学習効果の把握および生徒の到達度評価の方法 ①生徒による自己評価や感想を参考とした担当者および 担任による所見評価。 ②長期休業中の課題報告。 9.道徳と特別活動との関連について 改訂学習指導要領では,「道徳の時間を学校の教育活動 全体を通じて行うもの」であるとし,「要」という表現を 用いて,道徳教育の中核的な役割や性格として明確に示 したものに意識し,豊かな心や健やかな体の育成のため の指導の充実のもとに,言語に関する能力の重視や体験 活動の充実により,他者,社会,自然・環境と関わる中 で,ともに生きる自分への自信を持たせた学習を充実さ せる」とある。これらは学習内容の精選にともなう今後 の「HT」のあり方を示すものとしても認められる。従 って今後の「HT」は,道徳や特別活動の中にいかに調 査や体験活動を通しての主体的に問題解決を図った「共 生社会」を意識した学習を浸透させていくかが鍵となる。 その上で,今年度削減された総合学習「HT」の時間を 今後 3 年かけて,どのように精選していくか,さらにそ れによって,子どもたちにどのような教育的効果があっ たかなどを検証するものである。 10. 3年間の学習計画 <平成20(2008年度)HT 年間計画> *表中の○数字は時間数を示す 期 月 1年(14h) 2年(30h) 3年(27h) 担当・北村拓 担当・森山 担当・上田 第 4 1 ~ 期 5 ・共に生きる3 第 6 〈国際交流Ⅱ〉3h(①,②) 2 ~ 〈国際理解Ⅱ〉5h(①×5) ・自己を見つめる1 期 7 〈職業体験学習〉 5h(①×5) ・共に生きる1 第 8 〈文化交流・明日香校外学習) ・自己を見つめる2 3 ~ 6h(①・②・①・①・①) 〈職業体験学習〉18h(⑥×3) 期 10 〈職業体験学習〉4h(①×4) 第 11 4 ~ 期 12 ・共に生きる2 ・共に生きる6 第 1 〈国際交流Ⅰ・韓国を知ろう) 〈国際交流Ⅱ〉2h(②) 5 ~ 8h(①・①・②・②・②) 期 3 ・共に生きる4 〈国際交流Ⅱ〉 10h(①,②×4,①) 〈国際理解Ⅱ〉 6h(①×②,①×4) ・共に生きる5 〈国際交流Ⅱ〉2h(②) 〈国際理解Ⅱ〉2h(②) (森山 進)
11.各学年の実践 (1)第1学年 『韓国を知ろう』 国際理解Ⅰ(全7時間) 〈ねらい〉 ・韓国修学旅行に向けて,「韓国」について調べ理解を深 める。 〈学習計画・学習内容〉 ・韓国の文化や習慣・観光地などについて調べて,学習 成果発表会を行う。 日時 内容 1月28日(水) 全体ガイダンス(多目的教室) 2月2日(月) テーマ決定・発表分担(各学級 2月3~5日 調査・情報収集 (火~木) (情報図書室) 2月5~6日 発表準備・発表練習 (木~金) (各学級) 2月13日(月) ・テーマ別発表会 ・グループ別発表会 韓国を知るきっかけとして,各学級を 4 人グループ 10 班に分けて,グループごとの調べ学習と学習成果発表会 を行った。 最初の全体ガイダンスでは,教師からこれまでの修学 旅行の様子や日本と韓国の違いなどの話を聞き,動機付 けにさせた。その後各学級ごとに,現時点での韓国につ いての知識を出し合い,「近くても遠い国」を認識させた。 さらに,グループごとにテーマを選び,発表の仕方を相 談させた。以下が,調べ学習のテーマである。 ①韓国の習慣・マナー ⑥韓国の現代若者文化 ②韓国の食文化 ⑦韓国のスポーツ ③韓国の中学校 ⑧韓国のファッション ④韓国の風物・観光地 ⑨韓国の芸能 ⑤韓国の伝統文化 ⑩韓国の( ) ⑩については,担当の班に①~⑨以外のテーマを自ら 設定させた。 調べ学習では,情報図書室の文献やインターネットを 利用し,グループテーマに合った情報の収集を行わせた。 発表準備では,入手した 情報を基に,OHPや模 造紙にまとめ,発表のリ ハーサルを行わせた。 発 表 会 は 2 部 構 成 と し,生徒に同じテーマで もいろいろな視点がある ということに気付いても ら い た い と い う 思 い か 発表会での様子 ら,1時間は同じテーマのグループを集めて発表を行わ せた。2時間目は,学級を交流させるという目的から, クラスを解体し,三つのグループで行った。各グループ 手法をこらし,楽しく,学びの多い場となった。 〈成果と課題〉 〈飛鳥校外学習〉では,各班自分たちで学習テーマや 行程を考えるという自主研修のような学習ができ,生徒 にとってもよい経験になった。また〈韓国を知ろう〉で は,生徒が調べ学習を進める中で,日本と韓国を比較し たり,今まで知らなかった韓国のことを学んだりし,「近 くて遠い国」の距離を縮めるよいきっかけになったと感 じる。 1年生のHTはどちらも韓国中学旅行に向けての取り 組みになっており,学習の目標にも統一性があり,有効 な学習である。これからの教育課程のことを考えると, HTの内容をこの二つに絞ったのは正解であったと感じ る。しかし,生徒の成長のことを考えると,昨年のHT から消えてしまった内容を,道徳・学活でどうカバーし ていくかを考える必要もあるだろう。 (北村拓也) (2)第2学年 『ハングル講座』国際理解Ⅱ(全11時間) 『美湖中学校との交流』国際交流Ⅱ(全19時間) 〈ねらい〉 ①ハングルを学ぶこと によって,韓国に対す る関心をより高める。 ②修学旅行に向けて,現 地中学生との交流にハ ングルを活用する。 ③韓国の歴史や日本との つながり,韓国の国事 情について韓国留学生 や本校教師より学ぶ。 〈学習計画・学習内容〉 日時 内容 6月2日(月) 「国際交流Ⅱ」① 全体ガイダンス 6月3日(火) 「国際交流Ⅱ」②③ 美湖中生歓迎会の準備 6月9日(月) 「国際理解Ⅱ」① ハングル講座① *講師・洪 性奉(ホン ソンボン)先 生より教授 6月16日(月) 「国際理解Ⅱ」② ハングル講座② 韓国美湖中生の歓迎準備
6月23日(月) 「国際理解Ⅱ」③ ハングル講座③ 6月30日(月) 「国際理解Ⅱ」④ ハングル講座④ 7月2日(水) 「国際理解Ⅱ」⑤ ハングル講座⑤ 10月30日(木) 「国際交流Ⅱ」④ 全体ガイダンス 10月31日(金) 「国際理解Ⅱ」⑥ 日韓交流の歴史を学ぶ① 11月5日(水) 「国際理解Ⅱ」⑦ 日韓交流の歴史を学ぶ② 11月10日(月) 「国際理解Ⅱ」⑧ ハングル講座⑥ 11月11日(火) 「国際交流Ⅱ」⑤⑥ 部屋割り・はるか&バス座席決め 11月12日(水) 「国際交流Ⅱ」⑦⑧ 体験希望調査・交換用名刺作り 11月17日(月) 「国際理解Ⅱ」⑨ ハングル講座⑦ 11月19日(水) 「国際交流Ⅱ」⑨ 日本からの土産(bookmark)作り 11月26日(水) 「国際理解Ⅱ」⑩ ハングル講座⑧ 11月27日(木) 「国際交流Ⅱ」⑩⑪ 自己紹介の手紙・あいさつ文の作 成・修学旅行「しおり」作り 11月28日(金) 「国際交流Ⅱ」⑫⑬ 第2回修学旅行説明会 (保護者参加) 12月1日(月) 「国際理解Ⅱ」⑪ ハングル講座⑨ 12月2日(火) 「3泊4日韓国修学旅行」 ~5日(金) 12月8日(月) 「国際理解Ⅱ」⑫⑬ ハングル講座⑩⑪ (お礼の手紙作成) 12月11日(木) 「国際交流Ⅱ」⑭⑮ 修学旅行報告レポート作成 1月23日(金) 「国際交流Ⅱ」⑯⑰ 修学旅行報告会(保護者参加) 〈授業の様子から〉 韓国修学旅行は4年目, 本校との姉妹校「韓国教員 大学校付設美湖中学校」へ の訪問を含めた修学旅行は 3年目となる。2年生を中 心とした本取り組みは,総 合学習「HT」においても 2年生の核となる学習であ 洪先生のハングル講座 る。修学旅行にむけて様々な事前準備の中でも特に,「H T」に関わる内容としては左記の<学習計画・学習内容> にあるように,韓国留学生の洪 性奉先生を講師に迎え, 週一回のペースで行うハングル講座をはじめ,韓国美湖 中学校との交流をさらに深めるべく,昨年からの取り組 みは継続しながら充実させることができた。また,ハン グル講座に入る前に,道徳の時間で国際理解について考 える題材を使用し,自国に対する思いを新たにし,日本 を見つめ直す機会とした。 そのハングル講座では一 昨年度からつながりを持つ ことになった韓国人留学生 洪 性奉先生から,毎回楽 しく,ユーモアにあふれた 授 業 を 展 開 し て い た だ い た。「あいさつ」や「自己 紹介」をはじめ,身のまわ りの身近な物の呼び方や食事に関する内容,お金の数え 方など多岐にわたり,旅行や韓国の人との交流のために 役立つものばかりだった。特に,本年度は日本語をほと んど使わずに進める授業を展開したり,昨年度生徒に好 評だったハングルの持つ特徴を歌にした「カ・ナ・ダ・ ラ SONG」(韓国語の子音を集めメロディーをつけた歌) など,生徒たちが興味・関心をひく学習形態で進められ た。生徒たちも毎時間楽しみに授業を受けている様子で あり,修学旅行に行く前から韓国に対する興味・関心を さらにかき立てることとなった。 また,今年度も授業後に洪先生へのお礼も込めて感想 を書き,洪 性奉先生自身の振り返りにも活用していただ いた。 【ハングル講座後の生徒のレポートより】 ・ホン先生 안녕!(こんにちは) 지금까지 감사합니다.(今までありがとうございます。) 미호중학교 이외에서는 한국어는 사용하지 않았지만,매 우 도움이 되었습니다. (美湖中学校以外では韓国語は使わなかったけれど,非常に 役に立ちました。) 고마워요!! (ありがとう!!) ・約半年の間,韓国のことについていろいろと教えてもらい, ありがとうございました。初めて韓国にふれる私にとっては, とてもためになり,勉強になりました。最初,日本とは全く 違う文化なので多少とまどったものの回や時間を重ねていく たびにどんどん韓国について知ることができました。韓国と 日本の間には大きい海があるけれど,このHTの時間を通し てみると,全然近い国だということが分かりました。韓国へ はなかなか行けないかもしれないかもしれないけれど,時間 さえあればまた,韓国についてもっと知りたいと思います。 また附中に来てください。本当に半年間ありがとうございま した。 ハングルで自己紹介する生徒
・洪先生にハングルを教えていただき,韓国修学旅行でとて も役に立ちました。毎回ユーモアのある授業で楽しく受ける ことができました。ハングルは難しく,日本との文化の差や 違いをはじめは感じていたけど,先生の授業を通して似た言 葉やカナダラSONG を知り,共通点があることも分かりまし た。国の壁を越えて,言語や文化をよく知ることで相手の国 との共通点や違うところを理解することの大切さを教えても らいました。もう洪先生の授業がなくなるのは残念ですが, 韓国に行く機会があればどんどん話せるようにしたいです。 〈授業の様子から〉 事前学習の中で,「日韓交流の歴史を学ぼう」と題し, 社会科担当教師より学年全体での学習会を開いた。特に, 近代から現代にかけての日本と朝鮮・韓国との関係を戦 争や植民地支配の歴史的背景なども踏まえながら,真の 国際交流を目指すために歴史と今の現実を見つめ,お互 いの国や民族を尊重しあえる明るく平和に満ちた未来の 社会を築くために何が大切なのかをそれぞれに考えさせ る機会を設けた。 後半ともなると自分たちがいよいよ韓国修学旅行に行 くという実感がわいてきたのか,事前学習に対しても意 欲的に取り組む場面が多く見られた。また,修学旅行実 行委員が中心となって,精力的な活動ができたことも大 きな成果である。様々な活動を指示し,自らルールやマ ナーなど実態に合わせて決めることができたことが,実 際の修学旅行でも大きな混乱を起こすことなく,スムー ズに全体を動かすことにつながったものと考えられる。 今年度も韓国美湖中学校との交流会をより充実させる ために,パートナーや美湖中生に出会った時に渡すおみ やげや名刺作りを行った。おみやげは和紙や画用紙を用 いてラミネートを施したしおり(Bookmark)を作り,当 日それぞれのパートナーに手渡しするというものである。 渡された美湖中学校の生徒もとても喜んでいたように思 われる。一方,昨年度実施していた,パートナー出会う までに行われていた手紙やメール交換は,事前に計画し ていたものの諸事情によりできなかった。しかし,その 分パートナーに出会うまでにどのような人であるかを想 像 し た り , 相 手 に 喜んでもらうため, 気 軽 に 話 し 合 え る た め に は 何 が で き る か な ど を 考 え る こ と が で き , 違 う 文 化 の 人 た ち と の 交 流 で 相 手 を 思 い や る 気 持 ち が 自 然 と 育 っ て い っ た よ うな気がする。 修学旅行後,再度学校で個人用パスワードを確認し, 個人メールを設定し,学校を通してのみメールできる環 美湖中学校での交流の様子「技術」 境を設定した。しかし,活用する生徒はほとんどいなか ったため,メール交換は相手校との調整もあることから, 次年度以降の課題となる。ただ,個人交換用の名刺に学 校や個人の住所を書き,パートナーから手紙が届く生徒 もいた。国際交流の実践の場としては成果を収めたとも 考えられる。 最後に,修学旅行報 告書を作成し,これま で の 学 習 を ふ り 返 っ た。初めて海外に行く 生徒も多く,海外と日 本文化との違い,英語 またそれ以外の外国語 の学習を通してどんな ことを学べるか,真の 国際理解とは何かを再度考えることができた。 〈生徒の声(レポートより)〉 ・全体的に時間にも遅れず集合でき,とても規則正しい修学 旅行だったと思います。私が一日目で興味深かったのは,統 一展望台に行ったことです。ガイドさんのお話を聞いたり展 示品を見たりして「本当にもとは一つの国だったんだな」と 改めて思いました。家族に会えないでいる方々のためにも早 く両国が一つになって欲しいと願います。二日目の美湖中で は,相手の人に色々と気を遣わせてしまい,とても申し訳な かったです。三日目はもうただ笑うばかりでした。気がつけ ばアッという間に過ぎていった修学旅行でしたが,この旅行 で韓国の歴史や文化に少しでもふれることができ満足です。 ・この修学旅行では今までに見たことも,体験したこともな いことがたくさんできたと思います。韓国の世界遺産を見学 したり,昔の宮廷料理を食べたりできて良かったです。(略) いろいろ体験した中で,日本と韓国はほとんど変わらない国 だと思いました。多少の違いはあるけれど,この修学旅行で 韓国を身近に感じることができました。 <成果と課題> ハングル講座や美湖中学校との交流も3年目を迎え益 々充実してきた感がある。特に学校と留学生講師とのつ ながりだけでなく,美湖中学校の先生方とも交流をはか ることができ,修学旅行当日も大きなトラブルもなく, 心に残るすばらしい交流会が実施できた。生徒間交流も マンツーマンでの交流となり,生徒たちにとっても緊張 のなかにもうち解けられた喜びをかみしめることができ, 真の国際交流に一歩近づくことができたと考える。来年 は本年度を継続していく予定だが,今後を見通す中で講 師確保や学校間交流のさらなる充実を企画・運営してい くことが課題といえよう。さらに授業時間数が削減され る「HT」としての時間確保と,道徳・特別活動との関 わりについても考えていく必要があるだろう。 (森山 進) 報告会でのプレゼンの様子
(3)3年生 「職場体験学習 ~共生社会への参加~」(全27時間) <ねらい> ①職場に携わる人々の生き方にふれ,共に生きる喜びを 感じる。 ②働くことの喜びや厳しさを経験し,生きがいについて 考える。 ③「働く」体験を通して,将来の進路選択に対する意識 を高める。 <学習計画・学習内容> 日時 内容 7 月 1 日 「職場体験学習:事前学習①」 (火) ◆職 場 体 験 学習 の オ リエ ン テー シ ョン 6校時 ○ 将 来 を 見 据 え た 進 路 実 現 に 向 け て , 職 場 に つ い て 考 え る こ と は 大 切 で あ る こ と を 知 ら せ , こ れ か ら 始 ま る 学習の概要を知る。 ○ 様 々 な 職 業 の 仕 事 内 容 を 考 え , 自 分 が 興 味 ・ 関 心 を 持 つ 職 業 に つ い て 知 る。 7 月 3 日 「職場体験学習:事前学習②」 (木) ◆職場体験学習の事業所選択 5校時 ○ 自 分 の 興 味 ・ 関 心 に 応 じ て , 事 業 所 を 選 択 す る 。 そ の 際 , 3 日 間 通 う こ と を 踏 ま え て , 自 宅 か ら の 距 離 等 を 考慮させる。 7 月 3 日 「職場体験学習:事前学習③」 (木) ◆講 演 ( 京 都新 聞 社 ・十 倉 良一 さ ん) 6校時 ○ 実 際 に 社 会 人 と し て , 働 い て お ら れ る 方 か ら 直 接 話 を 聞 き , 働 く こ と の 意 義 や 大 変 さ , 喜 び な ど に つ い て 考 える。 7 月 1 4 日 「職場体験学習:事前学習④」 (月) ◆職場体験事業所別オリエンテーション① 3校時 ○ 場 所 の 確 認 ( 通 勤 時 間 等 調 べ ), 仕 事 内 容 の 確 認 ( ど の よ う な 仕 事 か ) をする。 7 月 1 4 日 「職場体験学習:事前学習⑤」 (月) ◆職場体験事業所別オリエンテーション② 4校時 ○ 場 所 の 確 認 ( 通 勤 時 間 等 調 べ ), 仕 事 内 容 の 確 認 ( ど の よ う な 仕 事 か ) をする。 ○ 役 割 分 担 ( 電 話 ・ 代 表 挨 拶 ) を 決 め る。 ○アポ取りに向けて準備する。 7 月 1 4 日 ○ 事 前 ア ポ 取 り ( 挨 拶 ・ 事 前 打 ち 合 わ (月) せ日程調整←夏休み中に行かせる) ~ 1 7 日 ○ 会 議 室 か ら 各 事 業 所 に 電 話 。 事 前 打 (木) ち 合 わ せ の 日 時 調 整 ( 夏 休 み 中 に 全 放課後 員揃って一度,事業所に行く) 9 月 1 日 「職場体験学習:体験前日指導」 (月) ◆職場体験学習事前指導 放課後 ○ 事 前 指 導 。 事 前 打 ち 合 わ せ の 内 容 確 認。持ち物,服装,出勤・退勤時間。 挨拶について再確認をする。 9 月 2 日 「職場体験学習」 (火) ◆体験一日目 全日 9 月 3 日 「職場体験学習」 (水) ◆体験二日目 全日 9 月 4 日 「職場体験学習」 (木) ◆体験三日目 全日 9 月 5 日 「職場体験習:事後学習①」 (金) ◆ 職 場 体 験 学 習 を 終 え て , お 礼 状 を 作 1校時 成する。 9 月 5 日 「職場体験学習:事後学習②」 (金) ◆ 職 場 体 験 学 習 を 終 え て , 3 日 間 の 感 2校時 想文を書く。 9 月 5 日 「職場体験学習:事後学習③」 (金) ◆ 職 場 体 験 学 習 を 終 え て , レ ポ ー ト を 5校時 作成する。 9 月 5 日 「職場体験学習:事後学習④」 (金) ◆ 職 場 体 験 学 習 を 終 え て , レ ポ ー ト を 6校時 作成する。 〈事業所の声(アンケートより)〉 (36事業所中28事業所回答) 1.本事業「HT」~職場体験学習~について ①実施学年及び実施時期(期間)について <第3学年・9/2~4の3日間>
11%
11%
78%
ア.適切である イ.どちらともいえない ウ.不適切 30% 70% ア.来年度も 引き受けて もよい イ.現時点で は何ともい えない [アの理由] ・適切というより,3日間の日程が精一杯というのが正直な ところ。 ・第3学年であると「指導」ができる。理解もできる。 ・やや短い気もするが,5日だと長い。 ・公立中学校と重なっていないのがよい。 ・中学生の初めての仕事体験としては,メリハリもついて将 来の自分の夢をもって頂くきっかけにはちょうど良い。 ・紅葉シーズン前で落ち着いた時期であったから。 ・夏休み終了後の為。 ・3年生ということもあり,仕事を覚えるのが早いので3日 間で十分体験できている。 ・繁忙期も過ぎ,一段落しているところなので良い。 [イの理由] ・期間中に多忙になると不可能であるため,適切な時期 を確定できない。 [ウの理由] ・ある程度サービス業の内容を知ってもらうため5日間 を希望します。雰囲気に慣れるのに2日位要します。 ②来年度以降の本事業について ③その他,本校の対応,今後の本事業全般に関して ・事業所内容によるが,本人たちが本当に体験したと実感し てもらうには3日間では大変です。 ・出退勤の時の通用口が確認できておらず,遅刻されたこと があった。事前確認の指導が必要ではなかったか,もしくは, 初日は先生方の引率が必要ではないかと思いました。 ・幼稚園での職場体験ということが難しいと感じた。習うで もなく,幼い子どもの内面を捉え,ひとりの教師として動く ことは難しいです。ただ,教材作りや作業的なことをしてい ただき,仕事の内容を知ってもらうとともに,達成感も感じ てもらったのではと思います。 ・笑顔で積極的に子どもと向き合って取り組めていました。 ・各生徒が,どのような理由で職場体験に行く業界・店舗を 選択されたのか,また,将来どのような方向性を考えている のか等をそれぞれ簡単にでも事前に連絡いただけると,こち 4% 4% 19% 73% ア.たいへん よく時間を守 れていた イ.おおむね守れていた ウ.どちらかといえば守れ ていた エ.守れていなかった 4 1% 55% 4% ア .たいへんよくできた イ.おおむねできていた ウ.もうひとつだった 48% 52% ア .たいへんよくできた イ.おおむねできていた44%
56%
ア .たいへんよくできた イ.おおむねで きていた 41% 59% ア .た いへんよくできた イ .おおむねで きてい た ら側の受け入れ態勢・課題も調整しやすいです。 ・地域社会への貢献として役立てる事は大変良い。 ・先生が大変心配されているのが,察しられましたが,生徒 たちは大丈夫ですよ。 ・新聞記者の仕事を体験することは難しいです。どうしても 見学・坐学・講話となってしまいます。 2.本校生徒の様子について ①遅刻などがなく,時間を守って出勤することができま したか ②元気よくあいさつができていましたか ③礼儀正しく接することができましたか ④仕事に対する責任をもってやり遂げることができまし たか ⑤根気強く仕事に取り組むことができましたか19% 66% 15% ア.よくあっ た イ.ときどきあった ウ.あまりなかっ た ⑥機転を利かしたり,指示されたこと以上の働きをする ことがありましたか ⑦その他,生徒に関することについて(感想等) ・本人たちの性格・気質等をみながらの上ですので,職場意 識を持つのが大変だったと思います。他校生も共通ですが, 体力不足を感じます。 ・毎年数名来られ中学生らしく元気に作業をされています。 ・⑥の点が重要だと思うのですが,言われたことだけするの ではなく,手空時間を何らかに活用していました。 ・こちらから特に指示はなかったが,お客様へのあいさつが よくできていました。 ・真面目に仕事をしてくれていた。 ・問題意識が不足している気がしました。礼儀の教育が,必 要とも感じ,日本社会・家庭環境のあり方が課題。 ・もう少し元気があれば良かった。 ・全員がさわやかに大変良い勤務態度で職場体験をしてくれ ました。 ・非常に一生懸命働いてくれましたし,手紙もとても丁寧で 素晴らしいと思います。 ・笑顔でとても元気にがんばってくれました。 ・仕事の大変さや面白さに気づいていただけて良かった。 ・生徒の取り組む意欲があって良かった。忙しい仕事の中, 大変よく頑張りました。 ・日々,気を使いながらの体験学習であったと思います。 ・よく頑張ってくれました。少しでも映画・サービス業に興 味をもってくれていれば良いと思う。 ・優秀な生徒さんばかりで,正規の従業員ではなかなかでき ない仕事をこなしていただきました。接客業務に関しては, 遠慮しがちな面も多く見受けられ,次回は失敗を恐れずチャ レンジしていただけると,良い体験になると思う。 ・みんな真面目で取り組みも真剣でした。 〈生徒の声(レポートより)〉 ・最初,お礼の仕方やあいさつの仕方を教えていただいた時, 一番頭についてはなれない言葉が「お客様第一主義」でした。 サービス業については当たり前にことだと思っていました が,やはり日常的にやっておられる方々の姿を見ると,その 大切さ,大変さが身にしみて分かりました。お客様に商品の 場所をたずねられた時の店員の方の笑顔や対応の仕方が上手 で,そのようなことからお客様に対する意識の高さを感じま した。そして時には商品の色や柄,位置に気を配り,いつも 全体のバランスを見ていらっしゃることにも気が付きまし た。私はそれを見てから,棚出しをした後に全体を見ること がくせになりました。どこかおかしいところはないか,お客 様にとって取りやすく並んでいるか,常に考えるようになり, 自分としても,広く視野を持つことができたと思います。 ・「働いてお金をかせぐということは大変なのだ」と思った。 それに比べると学校は子供だましのようである。初日,紙パ ック入りの野菜ジュースを落とした。そのジュースは漏れて しまい,商品ではなくなり,廃棄処分せざるを得なくなった。 それでも怒られず,「大丈夫やで」と言っていただいた。三 日目,パンのケースを乗せた台車をひっくり返しそうになっ た。他の店員の方の助けを借りて,ひっくり返りそうになっ た台車を復旧した。それなのに「気ぃつけるんやで」と言っ ていただいた。このように,助ける人と助けられる人,そし て思いやりの感情があるから社会は動いているのだと思っ た。私が社会人になるときは,その思いやりの感情を大切に したい。 <成果と課題> この「職場体験学習」は<共生社会への参加>をキー ワードに,ねらいのひとつともなっている『職場に携わ る人々の生き方にふれ,共に生きる喜びを感じる。』こと を目指した。本校のこれまでの職場体験学習の経験とノ ウハウはそのまま継承する形をとり,体験を引き受けて くださる事業所の新規開拓も進めることができた。毎年 のことだが,恒例となった社会人からのメッセージは, 今年,新聞社の編集局長の方の講演となり,社会人とし ての気概や仕事に対する思いなどにも言及していただき, 貴重な新聞記者のお話を聞く機会が得られたことは,生 徒にとって有意義であったと思われる。また,事前学習 の中で,人と人とのつながりを意識したあいさつや言葉 遣いにも注意を促し,電話によるアポイントメントだけ でなく,体験前の事前訪問や打ち合わせに至るまで,生 徒自らが体験することを通して学ぶスタイルを重視した 展開となった。3日間の体験中は,どの事業所において も真剣に取り組む姿が多く見られ,日頃,考えもしなか った事業所側の見方・考え方に触れることができた。ま た,社会で働く様々な立場の方や事業所に関わる多くの 人々とのつながりを感じることができたことも,生徒に とってかけがえのない体験となり,実感を伴う学びとな ったと考えられる。体験後の生徒は皆,一様に充実感を 漂わせた表情をしており,この体験学習の価値を再確認 することとなった。 ・課題としては,教師の人員と事業所の数のバランス及 び,引き受ける事業所の確保である。時期・定休日等で 3日間の継続体験が難しかったところがあった。来年度 は,これらと事業所アンケートの声等を参考に,本事業 を見直す必要があると考えられる。 (上田真也)