Associations between socioeconomic status and
the prevalence and treatment of
hypercholesterolemia in a general Japanese
population: NIPPON DATA2010.
その他の言語のタイ
トル
社会的要因と高コレステロール血症の有病、治療と
の関連 NIPPON DATA2010より
シャカイテキ ヨウイン ト コウコレステロール ケ
ッショウ ノ ユウビョウ チリョウ トノ カンレン
NIPPON DATA 2010 ヨリ
著者
藤吉 奈央子
発行年
2018-03-09
URL
http://hdl.handle.net/10422/00012371
氏
名 藤吉 奈央子
学
位
の
種
類 博士(医学)
学
位
記
番
号 博士乙第436号
学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第2項
学 位 授 与 年 月 日 平成30年 3月 9日
学 位 論 文 題 目 Associations between socioeconomic status and the
prevalence and treatment of hypercholesterolemia in a
general Japanese population: NIPPON DATA2010.
(社会的要因と高コレステロール血症の有病、治療との関連
NIPPON DATA2010 より)
審
査
委
員 主査 教授 堀江 稔
副査 教授 前川 聡
副査 教授 久津見 弘
別 紙 様 式
3
(課程博士 •論文博士共用)論 文 内 容 要 旨
X
整理番号4 4 0
氏 名藤 吉 奈 央 子
学位論文題目
Associations betw een socioeconomic sta tu s and the prevalence and
tre a tm e n t of hypercholesterolem ia in a general Japanese
population- N IPPO N DATA2010.
社 会 的 要 因 と 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 の 有 病 .治 療 と の 関 連 〜
N IPPO N DATA2010
より〜 【目的】 高 コ レ ス テ ロ ー ル 血 症 は 心 血 管 疾 患(CVD)
の主 要な 危険 因子 であ るが 、 日本人の コ レ ス テ ロ ー ル の レ ベ ル は1+960
年代後半から 大幅に 上 昇し、欧米諸国と同レベルに 達している。そ のため、国内ガイドラインにおいても脂質異常症の適切な管理が心血 管疾患予防に重要であることが示されている。その心血管疾患リスク因子の上流に社 会的要因が存在することが明らかにされているが、高コレステロール血症との関連に ついて検討した報告はない。 そこで、 国 民 の 代 表 集 団 で あ るNIPPON DATA2010
ベース ライン調査の成績を用いた断面研究において、社会的要因と高コレステロール血症の 有 病 、治療との関連を明らかにすることを本研究の目的とした。【
方法】
対 象 は 無 作 為 抽 出 さ れ た 日 本 全 国3 0 0
地 区 の 一 般 住 民 に 対 し て 実 施 さ れ た 平 成22
年 国 民 健 康 • 栄 養 調 査 の 参 加 者(2 0
歳以上の 男女 ) に お い てNIPPON DATA2 0 1 0
への 参 加 に 同 意 し た 計2898
人である。CVD
の 既 往 者198
名を 除 外し、高コレステロール血 症情 報および婚姻状況、
就業の有無、教 育 歴 、世 帯 月 間 支 出 (等価支出) に欠損のな い 男 性999
名 (平 均 年 齢5 9 .1
歳 )女 性1418
名 (平 均 年 齢57. 2
歳 )の 合 計2417
名を分析
対象とした。社会的要因 は、婚 姻 状 況 (既 婚 / 未 婚 :離婚と死別を含む)、就業 の有無、教 育 歴 (高 校 卒 業 以 下 /短 大 以 上 ) 、世 帯 月 間 等 価 支 出 (第1
五分位,第2
五分位以上) (等 価 支 出 :世帯支出を世帯人員数の平方根で除したもの) の4
項目と し、それぞれの項目で高コレステロール血症の有病、未治療者の割合を男女別に算出 した。加 え て 年 齢 •糖 尿 病 既 往 、高血圧既往の有無で調整した有病あるいは未治療の オッズ比をロジス ティック回 帰分 析 を 用 い て 算 出 した。 総 コ レ ス テ ロ ー ル240mg/dl
以 上 若しくはコ+レステロール低下薬服用者を高コレステロール血症の有病とし、高コ レス テ ロール 血 症 有 病 者 に お い て コ レ ス テ ロ ー ル 低 下 薬 を 服 用 し て い な い 者 を 未 治 療者と定義した。4 4 0
別 紙 様 式3
の2
(課程博士 • 論文博士共用) ・ ■___________________________________ (続紙) 【結 果 】 男 性 に お け る 有 病 率 は21.5%
、そ の う ち55. 4%
が未治療であった。 女性ではそれ ぞれ、3 1 .0 %
、5 5 .1%
であった。 ロジスティック回帰分析において、男性における有 病 オ ッ ズ 比 は 世 帯 等 価 支 出 『第2
五分位以上』 を 基 準 と し た 『第1
五分位』 で1 .66
(95%
信 頼 区 間 :1 . 1 6 - 2 .3 8 )
と高かった。 ま た 未 治 療 オ ッ ズ 比 は 『既 婚 群 』 を基準 と し た 『未 婚 群 』で2. 53 (95%
信 頼 区 間 :1 .0 5 - 6 .0 8 )
と高かった。女 性 は 、有 病 . 未 治 療 と も に 、いずれの社会的要因においても有意な関連は認められなかった。高コ レ ステロール血症の定義である総コレステロール240m g/dl
の基準に代えて、LDL
コレ ス テ ロ ー ル160mg/dl
、non-HDL
コ レ ス テ ロ ー ル190m g/dl
を用いて同様の方法で多重 ロジスティック回帰分析を行った場合も、男 女 と も に 総 コ レ ス テ ロ ー ル240m g /d l
を 用いた分析と同様の傾向を確認した。 【考 察 】 国民の代表集団における本研究結果より、男 性 に お い て 世 帯 等 価 支 出 の 低 い “第1
五分位” の群が、 “第2
五分位以上” の群と比較して高コレステロール血症の有病 オッズ比が高かった。この事は低V
ヽ経済的水準が高コレステロール血症を招く生活習 慣に影響を及ぼす可能性を示唆する。実 際 に 、経済的水準が低い人々は、.飽 和 脂 肪 が 少ない食品を選択する可能性が低いと報告されている。もう一つ考えられる機序とし ては、経済的水準の低い人は高い人と比較して保健サービスが受けにくい環境にある 可能性がある。対 照 的 に 、女性における社会的要因と高コレステロール血症との間に 有意な関連は認められなかった。考えられる理由としては、生活習慣や、保健医療へ の ア ク セ ス な ど の 社 会 階 層 間 の 分 布 が 男 女 間 で 異 な る 事 が 影 響 し て い る 可 能 性 が あ る。 また、男 性にお いて未婚者は、既婚者と比較して高コレステロール血症の未治療リ スタが高く、一方 、女性に関しては同様の関連は認められなかった。私たちの知る限 りでは、これは、一般日本人集団おける婚姻状況と高コレステロール血症の治療状況 との関連性を調べる最初の研究であるが、この結果は、健康的な生活習慣と医療に対 す る 遵守の選択に関して、既婚男性が既婚女性よりもパートナーの影響を受けやすい ことを報告した以前の観察研究と一致する。 これらの知見は、今 後の我 が国に お け る 、健康格差が及ぼす高コレステロール血症 への影響について保健指導や医療政策などへの施策を検討する際に、考慮すべき要因 となると考えられた。別 紙 様 式
3
の2
(課程博士 • 論文博士共用) 丨 (続紙) | 【結 論 】 わが国の男性において、高コレステロール血症の有病には経済的水準が影響を与え ることが示唆された。また未婚男性の未治療リスクが高く、受診勧奨を促す際には婚 姻状況 を一つの指標として、未婚群をターゲットとした対策が有用である可能,性が示 唆された。4 4 0
(備考) 1 . 論文 内 容 要 旨 は 、研 究 の 目 的 • 方 法 • 結 果 • 考 察 • 結 論 の 順 に 記 載 し 、 2千字程度でタイプ等を用いて印字すること。 2 . ※印の欄には記入しないこと。別 紙 様 式