人類とICTの未来:シンギュラリティまで30年?:[人類はどう生きるべきか?ITはどうあるべきか?]7.4 <人間とは何か>を超越した知性
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(2) 特集 新年特別企画 人類と ICT の未来:シンギュラリティまで30 年?. で(Hofstadter の定理によれば)人工知能はいつ. 種類のテクノロジーで,人間の知能以上のことを実. でも不可能ということになってきた.だが逆に言え. 現している.. ば,人工知能は,この数十年でどんどん進化してき. さらに言い換えてみれば,こういうことだ.<飛. た,ということだ.. ぶ>という働きを人工的に実現するため,鳥の羽や. Kurzweil は「これから数十年のうち」に,「情. 筋肉の構造や動きを理解しシミュレートしようとす. 報テクノロジーが,人間の知識や技量をすべて包. る努力とは別に,ジェットエンジンというまったく. 含」することになり,「ついには人間の脳に備わっ. 異なる種類のテクノロジーで,飛ぶことを実現する,. た,パターン認識力や,問題解決能力」 ,さらには. しかも,遥かに効率的な形で.. 「感情や道徳にかかわる知能すらも取り込むように ☆4. なる」と論じている. .. こうなると,人工知能の進化を追うことで,人間 の知性とは何かに対する新たな知見がもたらされる. それが 2045 年だというが,私には,それがそん. ことを期待するという立場での人工知能研究は,当. なに遠い未来の話ではないように思われる.その日. 初の意味を失ってゆくだろう.人間みずからの自己. は「やって来る」,というよりは,日々,すでにそ. 理解を模倣し,後追いすることから生まれた人工. の日に「なって」いっているように思われる.. 知能は,「人間ならできる,こんなことができない,. だだし,それはこれまでの人間知能が解明された. まだ,あれができない」と言われているうちに,い. うえで,こうした変化が起こるのではないだろう.. つのまにか独自の進化を遂げてしまう.その自律的. 従来,人工知能研究のおもしろさは,コンピュータ. 発展はまったく別のルートを取りつつ,人間の知性. における知能の限界を知ることによって,逆に人間. を超えるという目的そのものを達成しつつある.そ. 知能の特質や広がりについて何かを学ぶことができ. こが人工知能の,いわば人類の予想を超えた「跳躍」. るという点にあった.コンピュータによる知能のシ. であり,〈超知性〉たるゆえんなのだろう. (2014 年 10 月 8 日受付). ミュレーション,その限界を通して逆照射される人 間知能の特質を知ることが AI 研究の意味でもあった. だ が, た と え ば,Watson は, 総 メ モ リ 容 量. 15TB,総プロセッサ・コア数は 2,880 個で構成さ れており,約 100 万冊分の書籍をデータベースと して持っているという.人間の知能,人間のクイズ チャンピオンがたどる思考法とは,まったく異なる 黒崎政男 ☆4. Kurzweil, R. : The Singularity Is Near : When Humans Transcend Biology (2005)(レイ・カーツワイル 著,井上 健 監訳 他:ポスト・ ヒューマン誕生─コンピュータが人類の知性を超えるとき─,NHK 出版(2007) .. 40 情報処理 Vol.56 No.1 Jan. 2015. [email protected]. 1954 年仙台市生まれ東京大学文学部哲学科卒業.同大学院博士 課程修了.現在,東京女子大学現代教養学部人文学科哲学専攻教授. 専門は,カント哲学.人工知能論.著書に『哲学者はアンドロイド の夢を見たか』など多数..
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