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絶対帯域幅一定の周波数選択・可変特性及び放射特性を備えたチューナブルフィルタリングアンテナ

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(1)

絶対帯域幅一定の周波数選択・可変特性及び放射特性を備えたチュー

ナブルフィルタリングアンテナ

大平 昌敬

†a)

相馬 朝康

哲旺

†b)

A Tunable Filtering Antenna with Frequency Selectivity/Tunability of Constant Absolute

Bandwidth and Radiation Characteristic

Masataka OHIRA

†a)

, Tomoyasu SOMA

, and Zhewang MA

†b)

あらまし 本論文では,絶対帯域幅一定のまま通過域の中心周波数を変えられるだけでなく,アンテナの放射 機能をも備えたマイクロストリップチューナブルフィルタリングアンテナの構造と,結合行列抽出法を活用した 設計法を提案する.従来のチューナブルアンテナでは共振周波数の変化に伴って反射損失の劣化や帯域幅の変動 が生じてしまう.それに対して,チューナブルバンドパスフィルタとチューナブルアンテナを一体化したチュー ナブルフィルタリングアンテナを用いれば,その問題を解決できる.しかし,従来設計ではパッチアンテナを 用いていたため,絶対帯域幅一定の条件からフィルタ回路合成理論で要求される放射 Q 値の周波数比例特性を 実現できない.その設計課題を解決するため,本論文ではモノポールアンテナを採用し,等リプル絶対帯域幅 60 MHz,中心周波数可変範囲 1.94∼2.16 GHz の 3 段チューナブルフィルタリングアンテナを設計している.更 に,その試作・測定評価によって提案構造及び設計法の有効性を実証している. キーワード フィルタリングアンテナ,チューナブルバンドパスフィルタ,チューナブルアンテナ,絶対帯域幅

1.

ま え が き

近年,電気的に動作周波数が可変なチューナブルア ンテナの研究が盛んに行われている[1]∼[6].チュー ナブルアンテナでは,アンテナにバラクタダイオード を装荷し,その容量値を変えることで共振周波数を制 御することができる.しかし,そのような構成では共 振周波数の変化に伴うインピーダンス不整合や帯域幅 の変動という問題が生じてしまう. それに対してチューナブルバンドパスフィルタ[7]∼ [9]では,通過域の絶対帯域幅を一定に保つために共振 器間の結合係数には通過域の中心周波数に対して反比 例特性が要求され,外部Q値(入出力線路と共振器と の結合量を表す)には中心周波数に対して比例特性が 要求されることがフィルタ回路合成理論より明らかに †埼玉大学大学院理工学研究科,さいたま市

Graduate School of Science and Engineering, Saitama University, 255 Shimo-Ohkubo, Sakura-ku, Saitama-shi, 338–8570 Japan

a) E-mail: [email protected] b) E-mail: [email protected] されている[7].また,そのような結合係数・外部Q値 の周波数特性を考慮して設計することによって,共振 器のみにバラクタダイオードを装荷して絶対帯域幅一 定を実現したチューナブルバンドパスフィルタの設計 例も報告されている[7]∼[9].そこで,このチューナ ブルバンドパスフィルタとチューナブルアンテナを一 体化して設計できれば,つまりチューナブルバンドパ スフィルタの最終段の共振器をアンテナに置き換える ことができれば(本論文ではこれをチューナブルフィ ルタリングアンテナと呼ぶ),所定の反射損失と絶対 帯域幅を維持しながらアンテナの動作周波数を変える ことができる.これによって周波数選択・可変機能と 放射機能を一つの回路で実現できるようになる. そのような一体回路の構成例が文献[10]∼[13]等で 示されている.文献[13]では,帯域幅制御を目的に チューナブルフィルタリングアンテナの設計がなされ ているが,フィルタの回路合成理論に基づく設計(結 合係数の周波数反比例特性,外部Q値及びアンテナの 放射Q値の周波数比例特性)ではないため,煩雑な手 順を要する.具体的には帯域幅・外部Q値・反射損失

(2)

の関係を表す設計チャートを作成し,帯域内の反射損 失の変動を許容して絶対帯域幅一定の実現に必要な理 想周波数特性を求めるという手法である.そのため, 要求される帯域幅や共振器段数によって設計チャート を作り直す必要があるため汎用性に欠ける.その原因 は,設計に用いられているパッチアンテナの共振周波 数に対する放射Q値の周波数特性にある.詳細は後述 するが,パッチアンテナの放射Q値は本質的に共振周 波数が高くなるとともに減少するため,フィルタ回路 合成理論から要求される放射Q値の周波数比例特性を 実現できない. そこで本論文では,結合係数・外部Q値・放射Q 値のいずれも絶対帯域幅一定に要求される周波数特性 を満足するために,マイクロストリップ共振器とメア ンダモノポールアンテナを用いたチューナブルフィル タリングアンテナを提案する[14], [15].バラクタダイ オードは共振器及びアンテナのみに装荷して共振周波 数を制御し,結合係数・外部Q値・放射Q値の制御に はそれらが本質的にもつ周波数依存性を利用する[7]. それらの周波数特性を効率的に評価及び設計するため に結合行列抽出法[16]を用いた設計法も本論文で提案 する.一例として,等リプル絶対帯域幅60 MHz,中 心周波数可変範囲1.942.16 GHzの設計仕様のもと で設計を行い,周波数選択・可変特性及び放射特性を 評価する.最後に,電磁界シミュレーションによる評 価に加えて試作・測定によっても提案構造の有効性を 検証する.

2.

提案するチューナブルフィルタリングア

ンテナ

2. 1 構 造 図1にマイクロストリップチューナブルフィルタリ ングアンテナの提案構造を示す.本チューナブルフィ ルタリングアンテナは,2段のマイクロストリップ半 波長共振器 1⃝, 2⃝と最終段のアンテナ 3⃝の3段で構成 されている.入力線路は1段目の半波長共振器と結合 コンデンサCSを介して結合し,その容量値と接続位 置dで外部Q値を制御できる.1段目のL字形半波長 共振器(線路長l1a,l1b)と2段目の直線半波長共振器 (線路長l2a)は,長さl1bとギャップg12の結合領域で 結合している.また,アンテナにはその放射Q値を制 御するためにメアンダ構造のモノポールアンテナ(線 路幅wa,線路間隔sa,幅l3e)を採用し,それを励振 するマイクロストリップ線路(線路長l3a, l3b, l3c, l3d) 図 1 3 段チューナブルフィルタリングアンテナの提案構 造 (a) 表面,(b) 断面図

Fig. 1 Proposed structure of third-order tunable filtering antenna. (a) Top view and (b) side view.

と2段目の共振器が長さl3cとギャップg23の結合領 域で結合している. 更に,半波長共振器 1⃝, 2⃝には電界最大となる開放 端付近にそれぞれバラクタダイオードCL1CL2を装 荷する.ただし,CL1は開放端から距離lv だけオフ セットした位置に装荷している.詳細は後述するが, 装荷位置lvによって共振器 1⃝と共振器 2⃝の共振周波数 を一致させるためである.一方,アンテナ 3⃝において は電流最大となる線路間にバラクタダイオードCL3を 装荷している.図1中のV1,V2,V3はそれらのバラ クタダイオードに印加するバイアス電圧を表す.これ らのバラクタダイオードは共振器とアンテナの共振周 波数可変のために用いられる.絶対帯域幅一定を実現 するためには,共振周波数のみならず外部Q値と結合 係数,更にアンテナの放射Q値も周波数によって可変 であることが求められる.絶対帯域幅一定の実現に要 求される結合係数・外部Q値・放射Q値の周波数特 性を明らかにするため,次節では本チューナブルフィ ルタリングアンテナの等価回路について説明する. 2. 2 等 価 回 路 図2 に3 段 チ ュ ー ナ ブ ル フ ィ ル タ リ ン グ ア ン テ ナ の 等 価 回 路 を 示 す .図 2(a)はK イ ン バ ー タ Ki,i+1(i = 0, 1, 2, 3)とLC 直列共振器(インダクタ ンスLi,キャパシタンスCi(i= 1, 2, 3))を用いた一般

(3)

図 2 (a) 3 段共振器直結型バンドパスフィルタの等価回路, (b) 3 段チューナブルフィルタリングアンテナの等価 回路,(c) その結合トポロジー

Fig. 2 (a) Equivalent circuit of third-order direct-coupled res-onator bandpass filter. (b) Equivalent circuit of third-order tunable filtering antenna. (c) Its coupling topology.

的な3段共振器直結型バンドパスフィルタの等価回路 である.なお,ZSZLはそれぞれ電源の内部抵抗と 負荷抵抗を表す.今,KインバータK3,4の左側から 負荷側を見込んだときの入力インピーダンスを抵抗R で表すと,図2(a)の回路は同図(b)となる.これは1 ポート回路である.最終段のLC R共振器がアンテナ の等価回路であると考えることができ,図2(b)がフィ ルタリングアンテナの等価回路となる.この変換は, 各LC共振器の無負荷Q値が∞(つまり無損失)の とき,アンテナの放射Q値(LC R共振器の無負荷Q 値)がバンドパスフィルタの負荷側の外部Q値と等 しいという条件で成立する[17], [18].よって,図2(b) の等価回路を用いれば,フィルタリングアンテナの回 路合成時にフィルタ回路合成理論をそのまま適用する ことができる. 図2(b)をもとにして,チューナブルフィルタリング アンテナの等価回路を結合トポロジーで表現したのが 図2(c)である. 1⃝∼ 3⃝が共振器を表しており,⃝Sが入 力,⃝Lが出力である.また,図中のQeSは入力側の外 部Q値,ki,i+1(i= 1, 2)は共振器間の結合係数,Qrは アンテナの放射Q値を表す.更に,共振器 1⃝∼ 3⃝上の 実線の矢印はバラクタダイオードを用いて共振周波数 を直接制御することを表しており,ノード間を結ぶ直 線上の点線の矢印は物理構造が本質的にもつ周波数依 存性によって結合が変化することを表している. 続いて,図2(c)の結合トポロジーを原形低域通過 フィルタ(Lowpass Filter, LPF)の角周波数領域Ωでの 規格化結合行列[MF]を用いて表現すると,次式で表 される[19]. [MF]=      0 MS,1 0 0 0 MS,1 M1,1 M1,2 0 0 0 M1,2 M2,2 M2,3 0 0 0 M2,3 M3,3 M3,L 0 0 0 M3,L 0      (1) この結合行列から,図2(c)中の結合係数ki,i+1,外部 Q値QeS,放射Q値Qr及び共振周波数 f0iは以下の 式より算出できる[7], [20]. ki,i+1( f0) =∆f f0 Mi,i+1for i= 1, 2 (2) QeS( f0) = f0 ∆f· MS,12 (3) Qr( f0) = f0f· M3,L2 (4) f0 ∆f ( f0i f0f0 f0i ) = −Mi,ifor i= 1, 2, 3 (5) ここで,∆f は通過域の絶対帯域幅(チェビシェフ特 性であれば等リプル絶対帯域幅),f0はその中心周波 数を表す.一定の絶対帯域幅を実現するために結合係 数・外部Q値・放射Q値に要求される条件と,その条 件を図1の構造で実現できる原理を次節で説明する. 2. 3 絶対帯域幅一定の実現方法とその動作原理 式(2)∼(4)から分かるように,通過域の中心周波数 f0を変化させたときに所定の反射損失を維持したまま 絶対帯域幅∆fを一定に保つためには,結合係数ki,i+1 は中心周波数 f0に反比例する特性,外部Q値QeS及 び放射Q値Qrは中心周波数 f0に比例する特性が要 求される.結合係数ki,i+1と外部Q値QeSの理想周 波数特性をマイクロストリップ共振器で実現するため の原理については文献[7], [8]を参照されたい.本論文 では,絶対帯域幅一定のチューナブルフィルタリング アンテナの設計で重要なアンテナの放射Q値Qrに議 論を絞る. アンテナの等価回路を大きく2種類に分けるとLC R 直列共振回路とLC R並列共振回路がある.前者はダ イポールアンテナ,後者はパッチアンテナの等価回路 として知られている[21].それぞれの放射Q値Qr,sQr,pは共振周波数近傍において近似的に, Qr,s=ω0 L3 R = 1 RL3 C3 (直列共振回路) (6)

(4)

Qr,p= ω0C3R= RC3 L3 (並列共振回路) (7) と表される.ここで,ω0(= 1/ √ L3C3)はアンテナの共 振角周波数であり,アンテナの材料損失は無視してい る.バラクタダイオードの容量値変化によってC3が 小さくなると共振周波数は高域にシフトする.そのと き,式(4)の理論式が示す理想特性と同じく放射Q値 Qrが大きくなるのは,式(6)から直列共振回路の放射 Q値Qr,sであることが分かる.ただし,インダクタ ンス値L3と放射抵抗Rは一定と仮定している.以上 の原理より,ダイポール形アンテナの一つであるモノ ポールアンテナを本論文では採用する.また,メアン ダ構造では隣接する線路で電流が逆相となり,その部 分からの放射を互いに打ち消し合う.これを利用して メアンダ構造の線路幅や線路間隔によってアンテナの 放射Q値が調整できる.

3.

3. 1 結合係数・外部Q値・放射Q値の理想周波数 特性の算出手順 前章で提案した絶対帯域幅一定のチューナブルフィ ルタリングアンテナの設計手順を述べる.図3に設計 フローチャートを示す.まず,設計仕様(伝達関数, 共振器段数N,帯域内最小反射損失RL)を与える.次 に,設計仕様からフィルタ回路合成理論に基づき共振 器直結形フィルタ回路の規格化結合行列[MF]を求め る.その結果,原形LPFの角周波数領域Ωにおける [MF]は,共振器段数3段の場合,式(1)のように表 される.一度,原形LPFの角周波数領域Ωにおける 規格化結合行列が得られれば,設計に必要な結合係数 ki,i+1( f0),外部Q値QeS( f0),放射Q値Qr( f0)は式 (2)∼(4)より帯域幅∆f 一定の条件下で中心周波数 f0 図 3 設計フローチャート Fig. 3 Design flowchart.

の変化に応じて求めることができる. 3. 2 構造設計の手順 続いて,前節で算出した結合係数・外部Q値・放射 Q値の理想周波数特性を満足するように構造パラメー タの設計を行う.以下の設計では材料損失や集中定数 素子の寄生抵抗は無視し,アンテナからの放射のみを 考慮する. 構造設計では,Sパラメータの周波数特性から結合 行列を抽出できる結合行列抽出法[16]を用いて結合係 数ki,i+1( f0),外部Q値QeS( f0),放射Q値Qr( f0)を 評価する.フィルタ設計でよく用いられる結合係数の 評価方法も適用可能であるが[17], [18],結合等の影響 によって生じる共振周波数の摂動までも評価すること はできない.共振周波数の評価はチューナブル特性の 設計において極めて重要である.結合行列抽出法を用 いれば,共振周波数,外部Q値や結合係数はもちろん のこと,アンテナの放射Q値も評価可能である.各々 の評価方法については以下で順に述べる.なお,結合 行列抽出法の詳細は文献[16]に譲る. 3. 2. 1 共振周波数の設計 はじめに,マイクロストリップ共振器とアンテナの 共振周波数を設計する.ただし,結合等の影響によっ て共振周波数は摂動を受けるので,設計途中や設計の 最終段階において調整を要する. バラクタダイオードの容量値CL1(= CL2)の可変範 囲において,二つのマイクロストリップ共振器 1⃝, 2⃝ が同一周波数で共振( f01= f02)するように共振器 1⃝の 線路長l1a,l1b,バラクタダイオードの装荷位置lv及 び共振器 2⃝の線路長l2aを設計する.なお,結合等の 影響によって f01の周波数可変範囲が f02のそれから シフトする場合,共振器 1⃝のlvによって f01= f02と なるように調整する.アンテナ 3⃝の共振周波数f03の 設計は次項で説明する. なお,チューナブルフィルタリングアンテナの中心 周波数 f0の可変範囲 f0,min≤ f0 ≤ f0,maxは,以上の 共振周波数 f0i(i = 1, 2, 3)の可変範囲で決まる.今回, アンテナの周波数可変範囲がマイクロストリップ共振 器のそれよりも狭いため,中心周波数 f0の可変範囲 はアンテナの共振周波数可変の範囲から決定する. 3. 2. 2 アンテナの共振周波数と放射Q値の設計 これ以降,結合行列抽出法を用いて構造設計を行う. アンテナ 3⃝の放射Q値Qr( f0)の設計の際は,図4(a) に示す構造を用いる.一般にアンテナは1ポート回路 であるが,2ポート回路の結合行列抽出法を適用する

(5)

図 4 個別設計時の構造 (a) アンテナの共振周波数と放射 Q 値,(b) 外部 Q 値,(c) 共振器間の結合係数,(d) アン テナ–共振器間の結合係数

Fig. 4 Structures of partial designs. (a) Resonant frequency and radiation Q factor of antenna. (b) External Q factor. (c) Coupling coefficient between resonators. (d) Coupling co-efficient between antenna and resonator.

ために,図4(a)のように出力線路を設ける.言わば, この出力線路はアンテナからの放射電力の一部を受け るプローブのような役割を担う.このとき,抽出され る規格化結合行列[Mr3]は, [Mr3]=     0 MS,3 0 MS,3 M¯3,3 M3,L 0 M3,L 0     (8) と表される.ここで,共振器(ここではアンテナ)は 放射損失を伴うため,M¯3,3は複素数となる.よって, 式(5)によって変換される共振周波数もまた複素共振 周波数 f¯03となるため, f03= | ¯f03| (9) Qr= | ¯f03| 2ℑ{ ¯f03} (10) によってアンテナの共振周波数 f03と放射Q値はQr が求められる[16].ただし,MS,3M3,Lはそれぞれ入 力線路と出力線路との結合を表すが,ここでは評価対 象外である.上述のように2ポート回路での評価であ るため,回路合成時の式(4)とは放射Q値の算出方法 が異なることに注意されたい. この評価方法を用いて,バラクタダイオードの容量 値CL3を変えたときに放射Q値Qrが中心周波数 f0 (ここではアンテナの共振周波数 f03に等しい)の変 化に対して比例特性をもつようにアンテナ部の設計を 行う.まず,アンテナ 3⃝の共振周波数f03については, バラクタダイオードの容量値CL3の可変範囲において 1/4波長共振するように線路幅wa,線路間隔sa,高さ l3e,幅l3fを設計する.その後,全長で半波長共振す るように線路長l3a, l3b, l3c, l3dを設計する.更に,メア ンダラインの線路幅wa,線路間隔saで放射Q値の絶 対量とその周波数特性の傾きを設計する. 3. 2. 3 外部Q値の設計 次に,図4(b)に示す構造を用いて外部Q値QeS( f0) の設計を行う.バラクタダイオードの容量値CL1を変 えたときに外部Q値QeSが中心周波数 f0(ここでは 共振器の共振周波数 f01に等しい)の変化に対して比 例特性をもつように入力線路と共振器 1⃝との結合部を 設計する.このとき,図4(b)の構造のSパラメータか ら抽出される規格化結合行列[Mr1]は, [Mr1]=     0 MS,1 0 MS,1 M1,1 M1,L 0 M1,L 0     (11) と表される.上式の要素MS,1M1,1からそれぞれ式 (3)と式(5)によって外部Q値QeSと共振周波数 f01 が求められる.ただし,図4(b)では共振器 1⃝と出力線 路は疎結合としているため,M1,Lは評価対象外であ る.構造設計では,入力線路の接続位置dで外部Q値 QeSの変化の傾きを調整し,結合コンデンサの容量値 CSでその絶対量を調整する.また,前述のとおり入 力線路との結合による周波数可変範囲のシフトはバラ クタダイオードの装荷位置lvによって調整する. 3. 2. 4 共振器間の結合係数の設計 図4(c)に示す構造を用いて結合係数k1,2( f0)の設計 を行う.バラクタダイオードの容量値CL1(= CL2)を 変えたときに共振器 1⃝–⃝2間の結合係数k1,2が中心周 波数 f0 に対して近似的に反比例特性をもつように結 合領域を設計する.このとき,抽出される規格化結合 行列[Mr1,r2]は, [Mr1,r2]=      0 MS,1 0 0 MS,1 M1,1 M1,2 0 0 M1,2 M2,2 M2,L 0 0 M2,L 0      (12) と表される.この結合行列の要素M1,2から式(2)に

(6)

よって結合係数k1,2が得られ,M1,1とM2,2から式(5) によってそれぞれ共振周波数 f01f02が得られる. ただし,共振器と入出力線路は疎結合としているため, MS,1M1,Lは評価対象外である.構造設計では,線 路長l2bによって結合係数の周波数特性の傾きを調整 し,共振器間隔g12によって結合強度を調整する.な お,結合係数評価時の中心周波数 f0は近似値として f0= ( f01+ f02)/2で計算する. 3. 2. 5 共振器–アンテナ間の結合係数の設計 共振器 2⃝–アンテナ 3⃝間の結合係数k2,3の設計にお いても同様に,図4(d)に示す構造を用いて周波数反比 例特性が得られるように構造設計を行う.このとき, 抽出される規格化結合行列[Mr2,r3]は, [Mr2,r3]=      0 MS,2 0 0 MS,2 M2,2 M2,3 0 0 M2,3 M¯3,3 M3,L 0 0 M3,L 0      (13) と表される.この結合行列の要素M2,3から式(2)に よって結合係数k2,3 が得られ,M2,2M¯3,3 から式 (5)によってそれぞれ共振周波数 f02と f03が得られ る.結合係数評価時の中心周波数 f0は近似値として f0= ( f02+ f03)/2で計算する.ただし,共振器と入出 力線路は疎結合としているため,MS,2M3,Lは評価 対象外である.構造設計では,結合領域のl3dの長さ (ただし,アンテナの全長は一定)によって結合係数の 周波数特性の傾きを調整し,共振器間隔g23によって 結合強度を調整する. 以上が結合係数・外部Q値・放射Q値の周波数特 性の個別設計である.最後に所望の特性が得られるよ うに結合行列抽出法を用いて共振周波数・結合係数・ 外部Q値・放射Q値を評価しながら構造パラメータ の微調整を行う.次章では,以上の設計法に基づいて チューナブルフィルタリングアンテナを設計する.

4.

4. 1 設 計 仕 様 提案するチューナブルフィルタリングアンテナの設 計例として以下の設計仕様のもとで設計を行う.設計 仕様として,原形LPFの角周波数領域Ωにおける規 格化結合行列[MF]の合成時には, • 伝達関数:チェビシェフ特性 • 共振器段数:N= 3 • 帯域内最小反射損失:RL= 16 dB を与え,チューナブルフィルタリングアンテナの設計 時には, • 等リプル絶対帯域幅:∆f=60 MHz • 中心周波数f0(GHz)の可変範囲:1.94 ≤ f0≤ 2.16 (10.7%) を与え,結合係数・外部Q値・放射Q値の理想周波数特 性を求める.なお,設計に使用する誘電体基板の比誘 電率の公称値はεr= 2.6,厚みはt= 1.00 mmである. マイクロストリップ共振器とアンテナに装荷するバラ クタダイオードはそれぞれToshiba社製1SV277(可 変容量値:約1.5∼5.0 pF),MACOM社製MA46H071 (可変容量値:約0.45∼2.45 pF)である.先に説明し たとおり中心周波数 f0の可変範囲はアンテナの共振 周波数の可変範囲から決定している. 上記仕様から規格化結合行列[MF]を求めると次式 が得られる. [MF]=      0 0.973 0 0 0 0.973 0 0.907 0 0 0 0.907 0 0.907 0 0 0 0.907 0 0.973 0 0 0 0.973 0      (14) 更にこの結合行列の各要素から,式(2)∼(4)により結 合係数・外部Q値・放射Q値の理想周波数特性が得 られる.各理想周波数特性は次節で示す. 4. 2 構造パラメータの設計 本節では,前節で得られた理想周波数特性を物理構 造で実現するように構造設計を行う. 4. 2. 1 共振周波数の設計 まず,共振器 1⃝, 2⃝単体での共振周波数を設計する. 図5にバラクタダイオードの容量値CL1(= CL2)に対 する共振周波数f01,f02の変化を示す.同図中に示し た構造パラメータのときに共振周波数f01,f02の可変 範囲が中心周波数 f0のそれをカバーできていること が分かる.更に,回路合成の結果から f0 = f01 = f02 が要求されるため,f01= f02となるように共振器 1⃝の バラクタダイオードの装荷位置lv を変え,ここでは lv= 3.15 mmを選んだ. 4. 2. 2 アンテナの共振周波数と放射Q値の設計 次に,アンテナの共振周波数 f03と放射Q値Qr( f0) の設計を行う.メアンダラインの線路間隔saと線路幅 waを変化させたときの中心周波数 f0(= f03)に対する 放射Q値Qrの特性を図6(a),(b)にそれぞれ示す.同 図(a)より中心周波数可変範囲をカバーできるように sa= 0.55 mmを選んだ.そのとき,同図(b)より理想

(7)

図 5 バラクタダイオードの容量値 CL1(= CL2) とその装

荷位置 lvに対するマイクロストリップ共振器の共振

周波数の変化

Fig. 5 Change of resonant frequencies of microstrip resonators for capacitance value CL1(= CL2) of varactor diode and

its loading position.

図 6 構造パラメータの変化に対するメアンダモノポール アンテナの放射 Q 値 Qr(a) 線路間隔 sa,(b) 線路幅

wa

Fig. 6 Radiation Q factor Qrof meander monopole antenna for

change of structural parameters. (a) Line spacing sa. (b)

Line widthwa. 周波数特性の放射Q値近傍の値をとるwa= 0.23 mm と決定した.この結果から分かるように,モノポール アンテナによって放射Q値が周波数とともに増加し, メアンダ構造によって放射Q値が調整できている. 図 7 入力線路と 1 段目の共振器間の結合を変化させたと きの外部 Q 値 QeS(a) 接続位置 d,(b) 結合コンデン サの容量値 CS

Fig. 7 External Q factor QeSfor change of coupling region

be-tween input line and resonator 1. (a) Tap position d. (b) Coupling capacitor CS. 4. 2. 3 外部Q値の設計 続いて外部Q値QeS( f0)の設計を行う.入力線路の 接続位置d,結合コンデンサの容量値CS1を変化させ たときの中心周波数 f0(= f01)に対する外部Q値の特 性を図7(a),(b)にそれぞれ示す.ただし,入力線路の 接続によって共振器 1⃝が摂動を受け,共振周波数の可 変範囲がシフトしたため,バラクタダイオードの装荷 位置をlv= 5.35 mmに変更した.同図(a),(b)より, 接続位置dによって外部Q値の周波数特性の傾きが 制御でき,結合コンデンサの容量値CS1によって外部 Q値QeSの絶対量が調整できることが分かる.外部Q 値の理想周波数特性に近づくように,図7(a)に示した 傾きの変化から理想特性の傾きに最も近い特性である d= 4.45 mmを選んだ後,同図(b)よりその絶対量を 調整し,結合コンデンサの容量値をCS1= 0.23 pFと 設定した. 4. 2. 4 共振器間の結合係数の設計 共振器の設計後,共振器 1⃝–⃝2間の結合係数k1,2の 設計を行う.共振器 1⃝–⃝2間の結合領域における長

(8)

図 8 共振器⃝–1 ⃝間の結合領域を変化させたときの結合係2 数 k1,2(a) 長さ l1b,(b) ギャップg12

Fig. 8 Coupling coefficient k1,2for change of coupling region between resonators 1 and 2. (a) Length l1b. (b) Gapg12.

l1b,ギャップg12を変化させたときの中心周波数 f0(= ( f01+ f02)/2)に対する結合係数k1,2の変化を図 8(a),(b)にそれぞれ示す.なお,このときのバラクタ ダイオードの装荷位置はlv= 3.15 mmであり,f01と f02の差は10 MHz程度以下であることを確認してい る.同図(a)では,l1a+ l1bは一定のままl1bを変化 させている.変化量は大きくはないが,l1bによって 結合係数の傾きを調整できる.この結果から,理想特 性の傾きに最も近い特性であるl1b= 8.00 mmをまず 選んだ.次に,結合係数の絶対量を調整するために, 同図(b)では共振器間のギャップg12を変化させてい る.理想周波数特性とおおむね一致するギャップとし てg12=1.45 mmを選んだ. 4. 2. 5 共振器–アンテナ間の結合係数の設計 共振器 2⃝–アンテナ 3⃝間の結合係数k2,3( f0)の設計を 行う.共振器 2⃝–アンテナ 3⃝間の結合領域における長さ l3a,l3d(ただし,l3a+ l3dは一定)及びギャップg23を 変化させたときの中心周波数f0(= ( f02+ f03)/2)に対す る結合係数k2,3の変化を図9(a),(b)にそれぞれ示す. なお,バラクタダイオードの容量値の組合せ(CL2, CL3) 図 9 共振器⃝–アンテナ2 ⃝間の結合領域を変化させたと3 きの結合係数 k2,3(a) 長さ l3a,l3dを変化させたとき (l3a+l3dは一定),(b) ギャップg23を変化させたとき

Fig. 9 Coupling coefficient k2,3for change of coupling region between resonator 2 and antenna. (a) Lengths l3aand l3d

(l3a+ l3d: constant). (b) Gapg23. は,共振器単体の共振周波数 f02がアンテナ単体評価 時の共振周波数f03に一致するように選んでいる.そ れらの結合時には f02f03の差は30 MHz程度以下 であることを確認している.また,結合の影響でアン テナの共振周波数が高域側にシフトしたが,構造全体 の調整時にメアンダラインの線路幅waで周波数可変 範囲を微調整する.図9(a),(b)から分かるようにl3a によって結合係数の傾きが調整でき,g23によって結 合係数の絶対量が調整できる.よって,同図(a)より 理想特性の傾きに最も近い特性であるl3a= 16.00 mm を選び,同図(b)より理想周波数特性とおおむね一致 するギャップをg23=1.35 mmと決定した. 以上の個別設計後に全体構造を組み上げ,結合等に よって生じる摂動分を補正するように構造パラメータ や結合コンデンサの容量値の調整を行った.そして, 所定の帯域幅が得られたときに設計完了とした. 4. 3 設 計 結 果 設計の結果得られたチューナブルフィルタリングア ンテナの寸法とその周波数特性をそれぞれ図10,図

(9)

図 10 設計した 3 段マイクロストリップチューナブルフィ ルタリングアンテナの構造(単位:mm) Fig. 10 Structure of the designed third-order microstrip tunable

filtering antenna (unit: mm).

図 11 設計したチューナブルフィルタリングアンテナの周 波数特性の電磁界シミュレーション結果(材料損失 は無視) (a) 反射特性,(b) 利得

Fig. 11 EM-simulated frequency characteristics of the designed tunable filtering antenna (material losses are not consid-ered). (a) Reflection characteristic. (b) Gain.

11に示す.なお,電磁界シミュレーションには市販の 電磁界シミュレータANSYS HFSSを用い,材料損失 は考慮していない.また,アンテナの利得の周波数特 性のシミュレーションでは反射損失のみを考慮し,E 面(y-z面)における利得最大方向(θ =343◦)の主偏波 の利得をプロットしている.なお,放射パターンの結 果は次節で示す. 図 12 試作した 3 段マイクロストリップチューナブルフィ ルタリングアンテナの写真

Fig. 12 Photograph of the fabricated third-order microstrip tun-able filtering antenna.

図11(a)の反射特性における−10 dB絶対帯域幅に 着目すると,回路合成結果がいずれも66.6 MHzであ るのに対して,設計結果では67.0 ± 2.0 MHzが得られ た.このことから一定の絶対帯域幅を維持したまま中 心周波数可変が実現できているといえる.更に,同図 (b)に示す利得の周波数特性から分かるように,バン ドパスフィルタのもつ周波数選択特性によって急しゅ んなスカート特性も得られている.なお,利得の周波 数特性において阻止域に伝送零点(放射パターンでは 放射ヌル)が生じている.フィルタ設計の観点では伝 送零点は非隣接共振器間の飛び越し結合によって生成 されていると考えられるが,フィルタリングアンテナ の場合にはアンテナの放射特性も加味して考える必要 があり,生成原理の解明は今後の課題である. 4. 4 測 定 結 果 前節で設計したチューナブルフィルタリングアンテ ナの試作測定を行い,提案チューナブルフィルタリン グアンテナの有効性を実験的に検証する.試作した チューナブルフィルタリングアンテナの写真を図12に 示す.なお,結合コンデンサは村田製作所製GJM1555 シリーズを使用し,その容量値は0.22 pFである.ま た,バイアス回路に用いたチップ抵抗はsusumu社製 RG1005PD-103(抵抗値10 kΩ)であり,バラクタダ イオードCL1CL2CL3を制御するためのそれぞれの バイアス電圧はV1,V2,V3である. 試作したチューナブルフィルタリングアンテナの周波 数特性の測定結果と電磁界シミュレーション結果の比較 を図13に示す.同図中の周波数特性において,実線は測 定結果を示し,破線は導体損(導電率σ =5.8×107S/m

(10)

図 13 チューナブルフィルタリングアンテナの周波数特性 の測定結果と電磁界シミュレーション結果(材料損 失を考慮)の比較 (a) 反射特性,(b) 利得

Fig. 13 Comparison of frequency characteristics between mea-sured and EM-simulated results (material losses are con-sidered) of tunable filtering antenna. (a) Reflection char-acteristic. (b) Gain. と誘電体損(誘電正接tanδ = 1.4 × 10−3),バラクタ ダイオードの等価直列抵抗の公称値を含めた電磁界シ ミュレーション結果である.いずれの測定結果も電磁 界シミュレーション結果よりも中心周波数が低域側に シフトしているのは,誘電体基板の比誘電率が実際と 公称値が異なることに加えて,バラクタダイオード等 のチップ素子の寄生成分の影響が表れたためと考えら れる.紙面の都合上,本論文中では示していないが, バラクタダイオードを装荷した共振器単体の測定評価 でも同様の周波数シフトを確認している.そのため実 験では,マイクロストリップ共振器よりも周波数可変 範囲の狭いアンテナのバラクタダイオードに対するバ イアス電圧V3を基準にして,他のバイアス電圧V1, V2 を調整した.また,設計時にはCL1 = CL2 のときに f01= f02となるように共振周波数を設計したが,実 際には上述の理由により共振周波数がずれたため,バ イアス電圧V1, V2をマニュアルで調整した結果が図13 である.ただし,容量対バイアス電圧の関係から図中 図 14 設計したチューナブルフィルタリングアンテナの放 射パターンの電磁界シミュレーション結果(材料損 失を考慮) (a) E 面(y-z 面),(b) H 面(x-z 面) Fig. 14 EM-simulated radiation patterns of the designed tunable

filtering antenna (material losses are considered). (a) E-plane (y-z plane) and (b) H-plane (x-z plane).

のバイアス電圧V1, V2の差を容量値の差に換算すると, 0.4 pF程度以下である. 図13(a)において測定結果と電磁界シミュレーショ ン結果を比較すると,反射特性の−10 dB絶対帯域幅 の電磁界シミュレーション結果が72.5 ± 2.2 MHzで あるのに対して,その測定結果は60.8 ± 1.2 MHzで あった.共振周波数の低域側へのシフトの影響で周波 数帯域幅に差があるものの,両方の結果において一定 の絶対帯域幅を実現できているといえる.図13(b)の 利得の周波数特性では,中心周波数が低域側に変化す ると,電磁界シミュレーション結果と測定結果の両方 で利得が減少している.具体的に帯域内の利得は電磁 界シミュレーション結果で−0.90∼0.32 dBi(1.22 dBi の減少),測定結果で−3.62−1.82 dBi(1.80 dBiの減 少)である.これは,バラクタダイオードの容量値が 大きくなると等価直列抵抗が増加するためである.ま た,測定結果の利得の方が低い理由は,チップ素子の 寄生抵抗が2 GHz付近での実際の値と公称値に差があ るためと考えられる.このような差はあるものの,測 定結果においても電磁界シミュレーション結果と同様

(11)

図 15 試作したチューナブルフィルタリングアンテナの放 射パターンの測定結果 (a) E 面(y-z 面),(b) H 面 (x-z 面)

Fig. 15 Measured radiation patterns of the fabricated tunable fil-tering antenna. (a) E-plane (y-z plane) and (b) H-plane (x-z plane). に周波数選択・可変特性を確認することができた. 最後に,中心周波数を変化させたときのE面(y-z 面),H面(x-z面)におけるθ成分とϕ成分の放射 パターンの電磁界シミュレーション結果と,それらの 測定結果を図14,図15にそれぞれ示す.図12で示 したとおり電磁界シミュレーション結果と測定結果で 中心周波数に差が生じたため,図14,図15では各々 の中心周波数における放射パターンを示している.E 面,H面において主偏波(図中の実線)に対して交差 偏波(図中の破線)が大きくなっている.図14に示し た2.05 GHzでの電磁界シミュレーション結果の場合, E面とH面のそれぞれの主偏波の最大利得を基準にし て交差偏波の最大値はそれぞれ−8.0 dB,−6.6 dBで ある.この原因として放射部に近いグラウンドのエッ ジに電流が流れ,その部分から放射したためと考えら れる.交差偏波成分の抑圧は今後の課題であるが,電 磁界シミュレーション結果と測定結果で同様の放射パ ターンを示し,更に両方の結果において中心周波数が 変化しても放射パターンは大きく変わっていないこ とが分かる.以上の結果より,提案したチューナブル フィルタリングアンテナの有効性が実験によっても実 証された.

5.

本論文では,絶対帯域幅一定の周波数選択・可変特 性に加えて,放射特性をも備えたマイクロストリップ チューナブルフィルタリングアンテナの構造を提案 し,それらの特性を一つの回路で設計するための設計 手法も提案した.共振周波数の電気的制御のみで周波 数可変を達成するため,中心周波数の変化に伴う結合 係数・外部Q値・放射Q値の理想周波数特性を示し, それを実現するために本論文ではモノポールアンテ ナを採用した.提案構造と設計法の有効性を検証する ため,等リプル絶対帯域幅60 MHz,中心周波数可変 範囲1.94∼2.16 GHzを有する3段マイクロストリッ プチューナブルフィルタリングアンテナを設計し,そ の試作・測定評価を行った.測定結果と電磁界シミュ レーション結果の両方において周波数選択・可変機能 並びに放射機能が確認できたことから提案チューナブ ルフィルタリングアンテナの有効性が実証できた.今 後の課題として周波数可変範囲の拡大やアンテナの利 得の改善などが挙げられる. 文 献 [1] 木 村 雄 一 ,“マ イ ク ロ ス ト リ ッ プ ア ン テ ナ の 応 用 設 計 技 術—マ ル チ バ ン ド 設 計 と 特 性 可 変 技 術—,” 信 学 論(B),vol.J102-B, no.11, pp.741–751, Nov. 2019. DOI: 10.14923/transcomj.2019API0003

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Fig. 1 Proposed structure of third-order tunable filtering antenna.
図 2 (a) 3 段共振器直結型バンドパスフィルタの等価回路,
図 4 個別設計時の構造 (a) アンテナの共振周波数と放射 Q 値,(b) 外部 Q 値,(c) 共振器間の結合係数,(d) アン テナ–共振器間の結合係数
Fig. 5 Change of resonant frequencies of microstrip resonators for capacitance value C L1 (= C L2 ) of varactor diode and its loading position.
+5

参照

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