Title
核内IκBタンパク質MAILのマウス皮膚における発現調節と
機能解析( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
大沼, 俊名
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第213号
Issue Date
2007-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/21396
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 大 沼 俊 名(宮城県) 博士(獣医) 獣医博甲第213号 平成19年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 岩手大学 核内ⅠにBタンパク質仙1ILのマウス皮膚における発現調節 と機能解析 主査 岩 手 大 学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 東京農工大学 副査 岐 阜 大 学 授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 善 志 之 郎 誠 一宏 和 利 爪 木 口 崎 山 橋 鈴 谷 岩 杉 論 文 の 内 容 の 要 旨
Molecule posspssingankyrin-repeatSinduced bylipopolysaccharide(MAIL)は,マウ
スをグラム陰性梓菌の菌体壁成分であるリボ多糖体(LPS)により刺激すると誘導される分子
として同定されたinhibitor of nuclear factorKB(IkB)ファミリータンパク質の一種で,
核内に存在することが知られている。転写因子肝一成の抑制因子であるⅠ撼タンパク質ファミ リーの一種であり、典型的なIkBタンパク質が細胞質で肝一成を抑制するのとは異なり,舶IL は,細胞の種類や遺伝子の種類に依存してNト嘘の活性化を抑制する場合と促進する二面性を 持つ因子である。胞j■ノの発現は無刺激条件下では低く保たれていると考えられるが、LPSやイ ンターロイキン(IL)-1等の炎症性サイトカインが免疫系の細胞を刺激してその発現を誘導 する。NFJkB制御因子として随AILは注目されているが,その発現調節や機能に関しては,いま だ不明な点が多い。本研究では,皮膚における鮎ILの発現調節機構とその機能を明らかにす ることを目的とした。 第一章においては,免疫細胞以外での地上ノの発現や機能についての知見を得るため,マ ウスの各組織でのぬJノの発現を調べ,その役割について考察した。脇Jノは様々な臓器で発 現していたが,特に皮膚では牌臓や胸腺などの免疫担当臓器と同等に高レベルで発現して いることを見出した。さらに皮膚における発現部位を詳細に調べたところ,脆Jノは表皮で 特異的に発現していた。また,マウスの初代培養角化細胞や角化細胞株であるPAM212でも 助ノノが恒常的に発現していた。角化細胞における脇Jノの発現量はNF-kBの活性を阻害する ことで減少した。NF一成は角化細胞の細胞質と核内のどちらにも存在した。これらの結果か ら,角化細胞での恒常的な脆Jノの発現にはNト通が関与していることが示された。さらに,
脆Jノは角化細胞ではⅠレ1刺激により誘導されるにもかかわらず,LPS刺激によっては誘導 されなかったことから,刺激の種類に依存した脇Jノ発現調節機構が角化細胞には存在する と推察された。 第二章では,LPSやサイトカインにインターフェロン(IFN)を加えて角化細胞を共刺激 したときの脆Jノの発現量の変化を測定し,地上ノの発現調節におけるⅠ和の役割を調べた。 IFNrは,初代培養角化細胞ではⅠレ1,TNトαによる地上ノの発現誘導を,P畑212細胞では
IL-1,TNF-αに加え,LPSによる助jlの発現衰導を,それぞれ相乗的に増加させた。対照
的に■IFN-αは,Ⅰレ1と共刺激してもこのような相乗効果を示さず,むしろ脇Jノの発現を抑 制する傾向にあった。IL-1とIFNr′の共刺激による相乗効果は,NF-kB阻害剤,Januskinase (JAE)阻害で消失し,ERR阻害剤,p38阻害剤で減弱した。プロモーター解析の結果,プロモーター領域に存在するinterferon-Stimulated response element(ISRE)と signal
transducers and activators of transcription(STAT)の認識配列を削除することでIL-1 とIFNrの共刺激に対する応答性が低下した。これらの結果から,角化細胞でのIL-1とIFNr の共刺激による相乗効果には,NF-kB経路,JAK-STAT経路,mitogen activatedprotein kinase(MAPK)経路が関与していることが示された。 第三章では舶ILの皮膚における機能を検索するために,脇ノノノックアウト(KO)マウス の皮膚に着目して,その表現型を解析した。脆ノノKOマウスは,生後6週頃からアトピー性 の皮膚炎を発症することが,これまでに報告されている。そこで,皮膚炎発症前の脇ノノKO マウスの皮膚について免疫組織化学的な検索を行ったところ,角化細胞の分化マーカーで あるElO,filaggrinの発現が低下し,基底細胞の増殖も低下していた。これらはMAILが 角化細胞の分化 増殖に関与していることを示している。また,・皮膚炎発症後においては 血清中IgE濃度が上昇し,皮膚病変部のケモカインの発現克進が認められた。これら発症 後の特徴はヒトのアトピー性皮膚炎と共通しており,脇ノノKOマウスはアトピー性皮膚炎モ デルマウスとして有用であることが示された。 以上のことから,舶ILは,これまで知られていたようなマクロファージなどの免疫細胞 での機能だけでなく,皮膚の角化細胞で恒常的に発現し,角化細胞の増殖,分化を制御し ていることが明らかになった。さらに,皮膚において炎症時にIL-1,IFNrで強力に誘導さ れる舶ILは,ケモカインの発現を抑制することで皮膚炎の進展を防いでいることが明らか となった。 審 査 結 果 の 要 旨 本研究は,核内IKBタンパク質MAI上の皮膚における発現と機能を明らかにす ることを目的とし,舶ノノの皮膚における発現量の解析,Ⅰト1とIFN-γの共刺激 による角化細胞での舶ノノの発現調節,並びに舶ノノノックアウト(EO)マウス皮 膚の表現型の解析を試みたもので,以下の新知見を得ている。 1)MbjJのmRNAの組織分布を定量的RT-PCR法により解析し,助jJが皮膚に おいて牌臓や胸腺などと同等のレベルで恒常的に発現していること,皮膚での 恒常的な発現にNF-KBが関与していることを明らかにした。2)角化細胞をサイ トカインやLPSで刺激した際の舶ノノ発現量の変化を検討し,角化細胞ではⅠト1 刺激によって舶ノノは誘導されるが,LPS刺激によっては誘導されないことを明 らかにした。3)角化細胞での舶ノノの誘導におけるIFN-†の役割を検討し,IFN-γ
はIL-1と同等のレベルで舶ノノを誘導すること,IL-1とIFN-†の共刺激により MbjJの発現量が相乗的に増加すること,その相乗効果にはNFleB経路,JAK-STAT 経路,MAP瓦経路が関与していることを明らかにした。4)舶〃EOマウスの表現 型を解析し,生後3 日の舶ノノEOマウスでは表皮の分化マーカーであるElO, filaggrinの発現量が低下していること,角化細胞の増殖活性が低下しているこ と,加えて6週齢以降,アトピー性皮膚炎を発症した舶〃EOマウスでは血清 IgE濃度が上昇していること,皮膚病変部においてIケモカインやそのレセプタ ーの発現が冗進していることを明らかにした。 本研究で得られた成果は,MAILが皮膚の恒常性の維持に重要な機能を持つこ とを初めて立証するものであり,MAILが欠損すると皮膚角化細胞の分化や増殖 の制御に破綻を招くとともに,炎症性ケモカインの発現冗進や,血清中IgE濃 度が上昇し,皮膚炎の発症,進行を助長することを示唆した。今後,皮膚にお けるMAILの機能の解明は,アトピー性皮膚炎の真因特定や発症抑制,治療薬の 開発などに貢献すると考えられる。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究 科の学位論文として十分価値が有ると認めた。 基礎となる学術 1)題 目: 著 者 名 学術雑誌名 巻・号・頁 既発表学術論文 1)題 目 著 者 名 学術雑誌名 巻・号・頁 2)題 目 著 者 名 学術雑誌名 巻・号・頁 3)題 目 著 者 名 学術雑誌名 巻・号・頁 論文
Role of NF-KBin constitutive expression of MAILin the epidermalkeratinocytes
:00numa,T.,Morimatsu,M.,Ochiai,K.,Iwanaga,T. and Hashizume,K.
:Journalof Veterinary MedicalScience
・発行年:印刷中
Role of CXCR4and SDF-1in mammary tumor metastasisin the cat
:00numa,T.,Morimatsu,M.,Nakagawa,T.,Uyama,R., Sasaki,N.,Nakaichi,M.,Tamamura,H.,Fujii,N.,
Hashimoto,S.,Yamamura,H.,and Syuto,B. .Journalof Veterinary MedicalScience
・発行年:65(10):1069-1073,2003
Properties of the tumor suppressor gene brca2in the
Cat
.00numa,T.,Morimatsu,M.,Ochiai,K.,and Syuto,B. Journalof Veterinary MedicalScience
・発行年:65(10):1123-1126,2003
Transcriptionalregulation of the MAIL genein LPS-Stimulated RAW264 mouse macrophages
ILto,T.,Morimatsu,M.,00numa,T.,Shiina,T.,Kitamura, H.,and Syuto,B.
GENE
4)題 目:Targeted disruption of MAIL,a nuClearITCB protein, 1eads to severe atopic dermatitis-1ike disease
著 者 名:Shiina,T.,Konno,A.,00numa,T.,Kitamura,H.,
Imaoka,K., Takeda,N.,Todokoro,K■.,and Morimatsu,M.
学術雑誌名:Journalof BiologicalChemistry