Title
Mass screening for mucopolysaccharidoses 1) Mass screening
test for mucopolysaccharidoses using the 1.9-dimethylmethylene
blue method : Positive interference from paper diapers 2)
Glycosaminoglycans in neonatal urine( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
岩田, 晶子
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1252号
Issue Date
2000-07-19
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15021
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氏名 (本籍) 学、位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員
[34]
岩 田 晶子(愛知県)
博
士(医学)
乙第 1252 号 平成12年
7月19
日学位規則第4条第2項該当
Mas芦SCreening for mucopolysaccharidose$
1)Massscreeningtestformuc、OPOlysaccharidoses
usingthel・9-dimethy]methyIene blue method:Positiveinterference from paper diapers
2)Glycosaminoglycansin
neonat声Iurine (主査)教授 近 藤直
実
(副査)教授 岡 野 幸 雄 教授 安 田 圭 吾 論 文 内 容 の 要 旨 細胞外マトリックス成分であるムコ多糖は,リソソーム酵素により代謝される。遺伝性ムコ多糖症(MPS) はその酵素蛋白質の機能障害により発症する先天性代謝異常症で種々の病型に分類されている。臨床所見としては特異な顔貌,軟骨内化骨による多発性骨変化関節の伸展障害,肝脾腫,滞神運動発達遅滞などの症吠が種々
の程度で認められる。また尿中ムコ多糖の排泄増加を特徴とする。治療法としては,1981年にHobbsらがMPSI 型に骨髄移植を施行して以来その効果が評価され始めて釆た。また遺伝子組換酵素製剤による補充療法や遺伝子 治療の開発も進められている。いずれの場合も症状発現前の乳児期での治療がより効果的であることが明らかに なってきている。しかし,現状では乳児期で診断されることは稀であり,2-3才頃から出現する症状に気付かれ, それ以降に診断される症例が大多数を占めている。 以上の点に鑑み,今回申請者らは本症の早期治療のため,乳児期・新生児期のマススクリーニング法の開発を試 みた。 ト研究対象および研究方法 (1)対象ニ①乳児;1993-1995年の3年間に,岐阜県で収集された生後6か月児の神経芽細胞腫マススクリーニング用検体尿のうち,インフォームドコンセントが得られた44,060名の尿を用いた0②新生児;生後2-6日の正
常新生児570名と,生後1か月以下のMPS患児5名の尿を用いた。(2ト採尿方法‥①乳児;岐阜県の神経芽細胞腫マススクリーニングの採尿方法と同様に,おむつセラップを敷
き,その上に綿をのせ,綿に歩み込んだ尿をしぼって回収する方法で採尿した。②新生児;小児用採尿バッグを 用いて採尿した。①②とも,採尿後は,測定するまで-20℃で凍結保存した。 (3)尿中ムコ多糖分析:酸性基を持っムコ多糖(GAG)と塩基性色素であるDMB(1,9-dimethylmethylene blne)との結合により生じた色調変化を吸光度として測定した。検体尿5〟1をマイクロプレートに入れ,240〟1 のDMB試薬(35FLMDMB/50mM formate-0.18MTrisbuffer(pH8.8))を加え,擾拝後520nmの吸光度を 測定した。2次スクリーニングにおける要再検例は,Cetylpyridinium chloride/carbazol法と一次元電気泳動法 を用いて精査した。クレアチニンはJaffe法にて測定し,比を算出した。 (4)DMB反応の妨害物質:採尿時に混入する紙おむつ成分についてDMBとの反.応性を検討した。市販されて いる6社の紙おむつに尿400mlを渉みこまや,37℃で12時間保温し,紙おむつより尿を採取した。また,紙おむ つ甲凝固剤に使用されているcrosslinkedacrylicacidpolymersodium saltを生理食塩水200mlに溶解し,37 ℃で12時間保温しDMB法で測定した。-67-2.研究結果と考察
(1)生後6か月児の尿中ムコ多糖値とカットオフ値の設定:乳児期マススクリーニングの実施を想定し,6か月 児の尿10,000検体についてムコ多糖値を測定した。ムコ多糖値の95%信頼区間は71.0-465.5mgGAG/gcreatinine
であった。これらのデータと,先の研究結果より1才未満のMPS症患児尿中ムコ多糖値が541-1205mgGAG/g
Creatinineであったことを基にして,カットオフ値を400mg GAG/g creatinineに設定した。 (2)岐阜県の試験的研究:1993-1995年の3年間に,44,060名の6か月児尿でのパイロットスタディを行なった。 ムコ多糖値がカットオフ値以上の児を要再検とした。1次スクリーニング44,060名中,要再検とした例は842名 (1.9%)で,卓のうち671名(回収率如%)について2次スクリーニングを行なちた。27名(4%)が要再々検例 となったが,精査の結果,Mf〉S患児iま認められなかった。 \ (3)DMB反応の妨害物質:6社の紙おむつについてDMBとの反応をみたと七ろ,紙おむつ成分が混入した検 体は1432-9182mgGAG/gcreatinineと高値を示した。紙おむつの成分とDMBを反応させたところ,凝固剤と して使用されているcrosslinkedacrylicacidpolymersodium saltが原因物質と考えられた。適切な採尿方法 の徹底が求められた。 (4)新生児尿中ムコ多糖値:新生児期のスクリーニングが可能であるかを検討するために生後2-6日の新生児 570名について尿中ムコ多糖値を測定した。生後2,3,4,5,6日の尿中ムコ多糖値の中央値は,それぞれ459.0,
446.4,400.0,323.0,311.5mgGAG/gcr占atinineであった。生後2-3日尿では,ばらつきが大きかったが,5-6
日尿では収束した値を示した。1か月以下のMPS患児5名の尿中ムコ多糖値は940-1205mgGAG/gcreatinineと,正常新生児に比べて明らかに高値を示していた。すなわち,新生児期の与子スクリ-ニ▲ングの可能性が示唆され
た。DMB法によるムコ多糖痘マススクリ⊥ニングは,適切な採尿方法で,症状の出現する前の乳児期に行なえば,
早期診断に有用であると考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者 岩田晶子は,乳児期のムコ多糖症マススクリーニング法の開発を目的として,岐阜県における6か月児尿でパイロットスタディを行なった。′3年間で44,060名をスクリーニングし,要再検例は842名(1.9%)で,
671名(回収率80%)について2次スクリーニングを行った。女7名(4%)が要再々検例となったが,精査の結果, MPS患児は認められなかった。これら偽陽性の原因として,紙おむつの材料として繁用されているacrylic acidpolymerが,ムコ多糖定量法DMB法の阻害物質になり,異常高値を示すことを明らふにし
た。また,新生児期
への応用のために,一正常新生児570名の日齢毎の尿中のムコ多糖値の変化を明らかにし,MPS患児の尿中ムコ多 糖値が明らかに高値であることを示した。 上記の様に,スクリーニングの施行方法,尿検体甲採取処理,実施年齢について,スクリーニング実施の基礎 的条件を示した。この成果は小児科学ならびに代謝学の研究の進歩発展に少なからず専与するもの`と考える。 [主論文公表誌]Mass screening for mucopolysaccharidoses
l)Massscreeningtestformucopolysaccharidosesusingthel.9-dimethylmethylenebluemethod: Positiveinterference from paper diapers
1997年 ClinicaL Chimica Acta264:245∼250 2)Glycosaminoglycanヲinneonatalurine