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コンテンツ循環における権利管理の基礎的検討

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第67回全国大会. 3E-1 コンテンツ循環における権利管理の基礎的検討 関 亜紀子†. 亀山 渉†. † 早稲田大学大学院国際情報通信研究科 1. はじめに. 制作者主導コンテンツ流通環境. ネットワーク環境の普及やディジタル機器の多機能 化により、インターネットを介して音楽や写真、映像 などのディジタルコンテンツが流通し、多種多様な用 途に使用されている。特に、カメラ機能付き携帯電話 など携帯端末の多機能化は、利用者に鑑賞だけでなく、 撮影や発信といった「制作」 「流通」 「利用」の活動を 容易にさせ、コミュニケーションの中でのディジタル コンテンツの使用を活発化させている。 本稿では、こうしたコンテンツ流通環境の変化に伴 う Digital Rights Management の新たな課題、特にコ ンテンツ循環により生じる課題に焦点を当て、そこで 必要となる技術的課題について述べる。. 2. コンテンツ循環. コンテンツ循環とは、コンテンツが流通し利用され 新たなコンテンツとして制作されて再び流通するとい う状態が繰り返し行われる状態と定義する。ここでは、 誰もがコンテンツの制作や流通・利用に関わることが でき、その恩恵を享受できるようになり、知的財産の 共有や文化の交流に繋がるなど、コンテンツの理想的 な流通状態となる。 このコンテンツ循環は、二つのコンテンツ流通形態 により生じる。一つは、図 2 のタイプ1に示すような. † †. 制作. 流通. 利用. Rights Management有り. 利用. Digital Rights Management完備. 制作. Rights Management未整備. 制作. 流通. 流通. 利用者主導コンテンツ流通環境. 図 1: Rights Management とコンテンツ循環. コンテンツ流通の環境変化. コンテンツ流通環境の変化は、従来、鑑賞を中心と した利用を行なっていた利用者に、コンテンツの流通、 制作といった活動の機会を提供した。これにより、今 日のコンテンツ流通環境には、図 1 の左に示すように、 制作者の主導により流通する環境と、利用者の主導に より流通する環境の二種類が存在しており、権利管理 処理 (Rights Management) されたコンテンツとされ ていないコンテンツとが利用環境で混在している。 二つのコンテンツ流通環境における権利管理処理の 実現おいて、制作者・利用者に関わらず誰もがコンテ ンツを制作し発信し利用できる今日では、コンテンツ の制作・流通・利用に関する権利管理処理を、DRM システムを介して電子的に自動化して行うことが円滑 なコンテンツの流通に繋がると考えられる。そして、 安全かつ安心して自由に、コンテンツの流通と利用・ 制作ができる環境を構築することは、制作者主導、あ るいは利用者主導といったコンテンツ流通環境の区別 を無くし、図 1 の右に示すようなコンテンツが制作・ 流通・利用の過程を循環するコンテンツ循環環境を形 成することになる [1]。. 3. コンテンツ循環環境. A Basic Consideration on Digital Rights Management for Content Circulation Akiko SEKI (GITS, Waseda University) Wataru KAMEYAMA (GITS, Waseda University). 3−23. 共有過程 権利者A. 権利者E. 共有コンテンツ Content a. Content e. Content x. Content 権利者B b Content 権利者C c Content 権利者D d. コンテンツ循環発生. 権利者F. 流通過程. Content f1. Content a. Content b. 権利者B. Content c. 権利者C. Content d. 権利者D. Content e. 権利者E. 権利者A Content コンテンツ循環発生 y コンテンツ循環発生. Content f2. 図 2: コンテンツ循環の形成 流通形態であり、多数の著作者からコンテンツの提供 を受けて集合体としてのコンテンツが成長し、制作と 流通・利用が絶えず行われるコンテンツに生じるコン テンツ循環である。例えば、ネットワーク上の電子掲 示板や電子ジャーナルなどのサービスが提供している 共有コンテンツがこれに相当する。もう一つは、図 2 のタイプ2に示すような流通形態であり、一つのコン テンツが流通する過程で、利用され、加工や編集によ り二次的コンテンツとして制作され、その流通が繰り 返されることにより生じるコンテンツ循環である。例 えば、Linux のように各利用者が創作を加え、再配布 するように、流通の過程で利用・制作・流通が行われ るコンテンツがこれに相当する。 こうしたコンテンツ循環では、多くの利用者や制作 者が関与することから、循環が長期化する程、権利関 係が複雑化する。こうした背景から、コンテンツ循環 を長期に渡り維持し、また円滑な利用や流通を保つに は、DRM システムにより自動的に権利の管理と処理.

(2) を行うことを、それぞれの利用環境で実現する必要が ある。. 4 4.1. コンテンツ循環の DRM 共有過程での DRM. 電子掲示板や電子ジャーナルなどの共有コンテンツ では、サービス運用者が共有コンテンツとしての場を 提供し、各参加者が著作権を持つコンテンツを提供す る形で共有コンテンツの制作に携わり、それらをサー ビス運用者が管理し他者へ流通を行っている。こうし たコンテンツでは、サービス利用者と運用者の間でコ ンテンツと権利が循環的に利用されている。こうした コンテンツ循環の中で、これらのサービスでは、サー ビス運用者が一括して、共有コンテンツの運用に関す る権利などを参加者から譲りうける形で権利処理を 行っている。しかし、こうした権利管理では、コンテ ンツ全体を他の用途に利用する場合や、部分的な二次 利用をする場合の許諾処理に必要とする権利情報が管 理されておらず、円滑な運用を行うことができない。 コンテンツ循環における DRM の課題は、こうした 共有コンテンツで生じる権利の循環と権利所在の不明 瞭化の解決が課題となる。そこでは、共有コンテンツ のようなコンテンツの集合体である二次的コンテンツ の制作過程での権利管理が必要である。また、二次的 コンテンツ全体だけでなく、それを形成する部分的な コンテンツに関する権利情報等の管理が必要となる。 こうした、多様なニーズや用途に対して柔軟に対応で きる権利管理方式と、制作段階での権利管理処理を随 時実施する DRM システムの構築が研究課題となる。. 4.2. 流通過程での DRM. 円滑なコンテンツ循環の形成には、二次的コンテン ツの制作活動を束縛することなく自由に制作活動を進 められる環境を提供すること、そして、制作した二次 的コンテンツが他者あるいは他の機器へ流通する段階 での適切な権利処理管理が求められる。また、繰り返 しコンテンツが二次的コンテンツとして利用される中 で、コンテンツや権利に循環が生じ、権利構造が複雑 化するという問題への対処が必要になる。コンテンツ 循環における DRM では、制作・流通・利用の三つの 活動を円滑に進める上で、二次的コンテンツへの権利 継承と利用時の権利処理に関して、権利許諾条件を定 義しておく必要がある。 二次的コンテンツの権利許諾条件に関する検討課題 を説明したものが図 3 である。ここでは、コンテンツ B はコンテンツ A の二次的著作物であり、コンテンツ B には、コンテンツ A から継承した許諾条件 a とコ ンテンツ B の制作者が定めた許諾条件bが付与され ていることを示している。同様にして、コンテンツ D の許諾条件を考えるとき、ここでは2つのコンテンツ A,C を利用していることから、コンテンツ A の利用 による許諾条件 a と、コンテンツ C の利用による許 諾条件 a,b,c、そして制作者による許諾条件 d が付与 する許諾条件の候補となる。ここで、同一の許諾条件 a が二度、利用許諾条件としての継承が要求されるこ とになる。また、コンテンツ C の制作者が、コンテン. 3−24. ツ E を利用する場合にも、既に許諾を得ている許諾条 件 ab が再度、許諾条件 abce の中で要求されている。 このように、図 3 では、コンテンツ D への許諾条件 の継承とコンテンツ E の利用時の権利処理において、 権利の循環が生じている。コンテンツ循環では、権利 の循環により重複した権利継承や利用許諾処理が発生 する場合が生じる。コンテンツ循環時に公正な権利処 理を行うには、分散型権利管理処理方式 [2] で提案し ているような権利継承条件の設定だけでなく、権利の 重複時において、再度、権利継承や利用許諾処理を必 要とするか否かなど、利用許諾条件の中に記述してお く必要がある。 許諾条件ab 許諾条件a. B. E. C 許諾条件abc. A 許諾条件a. D. 許諾条件abce. ? (1). コンテンツ. 継承した許諾条件. 利用許諾条件. コンテンツA. ---------------. a. コンテンツB. a. a+b. コンテンツC. a+b. a+b+c. コンテンツD. a, a+b+c. ?. 図 3: 権利循環. 5. まとめと今後の課題 本稿では、コンテンツ流通環境の変化が新たに利用 者主体のコンテンツ流通環境を導いたことから、それ に対する公正で円滑な権利処理をするための DRM 方 式が必要であることを述べた。この DRM の実現は、 コンテンツ循環を招くことから、今後は二次的コンテ ンツの循環による権利構造の複雑化や循環を想定した 権利処理管理方式の検討が大きな研究課題となる。 具体的には、コンテンツ循環において円滑な権利処 理を行うために、制作・流通・利用の各時点で、誰も が容易かつ自由に権利情報の管理処理を行える DRM システムの構築が必要である。また、こうした処理を DRM システムを介して円滑に進めるために、権利の 重複時や循環時の権利継承や利用許諾処理の扱いなど、 公正で矛盾のない権利管理処理を円滑に進めるための 利用許諾条件の記述手法の検討が必要となる。 参考文献 [1] 関亜紀子, 亀山渉, “コンテンツ循環における DRM と研究課題”, 情報処理学会研究報告 EIP-26-2, (2004.12) [2] 関亜紀子, 亀山渉, “権利条件の再編成と派生関係保 存を可能にする分散型権利流通処理方式の検討”, 情報処理学会研究報告 EIP-21-5, (2003.11).

(3)

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