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気象レーダーで雨雲内の風の流れを精度良く測る技術の開発

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

ダムや送配電設備の運用・保守にとって、暴風雨の高精度な予測は重要である。当所では、ドップラー気象 レーダーを降雨観測だけでなく、風観測にも活用するための手法(拡張 VVP 法)を開発している。一台の ドップラーレーダーにより得られる風観測データは、実際の風速をレーダーアンテナの視線方向に射影した一 つの速度成分のみであり、この観測値だけを用いて風の 3 成分(東西・南北・鉛直方向の風速成分)を決定す ることはできない。そこで拡張 VVP 法では、風速の空間的変化の線形性を仮定するなど幾つかの工夫をして 風速を推定しているが、推定結果の定量的評価が課題として残されている。拡張 VVP 法の精度評価に用いる べき実際の大気中の 3 次元風速場を通常の風速計などで直接観測することは難しいが、二台のドップラー気象 レーダーを用いることにより、拡張 VVP 法よりも少ない仮定の基で、3 次元風速場を高精度に推定することが 可能である。

目 的

二台のドップラーレーダーによる同時観測データを用いて、大気中の 3 次元風速場を推定する手法(Dual-Doppler 解析手法)を開発すると共に、実際の雨雲への適用結果から拡張 VVP 法の精度を評価する。

主な成果

1.Dual-Doppler解析手法の開発 大気中の 3 次元風速場は東西、南北、鉛直方向の 3 方向成分を持つため、二台のレーダーを利用しても情 報が一つ不足する。そこで、風で運ばれる空気の体積は時間的に変化しないという物理的な条件(風の連続 式)を付加することにより、この問題を解決する手法を構築した(図 1)。この付加的な条件により発生す る推定誤差を最小にする為に、変分法と呼ばれる手法を用いている点に本手法の特徴がある。 2.Dual-Doppler解析手法の雷雨事例への適用 強い雷雨を伴うような事例に本手法を適用した結果、雨雲内での風の特徴として、1)強い上昇流を伴う 正負二つの渦の対、2)下層から中層にかけての風の収束、3)上層における発散流、4)渦に伴う周辺流、 が解析された(図 2、3)。このような風速場の構造は雷雲にとって典型的なものである。 3.拡張VVP法の精度評価 拡張 VVP 法は、一台のレーダーデータから水平風速を推定するために線形風速場を仮定した簡易手法で ある。上記の雷雨事例に対して拡張 VVP 法を適用し、Dual-Doppler 解析と比較した結果、両者は比較的良 く一致しており、拡張 VVP 法の適用性が確認できた(図 4)。

今後の展開

数値気象モデルで用いる計算初期値の精度向上を図るために、気象レーダーによる降雨観測量や拡張 VVP 法による風速推定値をモデルに融合させる手法(データ同化手法)を開発する。 主担当者 地球工学研究所 流体科学領域 主任研究員 杉本 聡一郎 関連報告書 「二台のドップラーレーダーによる同時観測データを用いた 3 次元風速場解析手法の構築と 適用」電力中央研究所報告: N04021(2005 年 3 月) 96

気象レーダーで雨雲内の風の流れを精度良く測る技術の開発

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9.電力施設建設・保全/自然災害対策

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15 :13

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u:東西方向風速 v:南北方向風速 w:鉛直方向風速 wt:雨滴落下速度 ρ:空気密度 rv1:ドップラー速度(レーダー1) rv2:ドップラー速度(レーダー2) (x,y,z):空間座標

( , ,

u v w w

+

t

)

1

rv

2

rv

1 (

)

u

v

w

x

y

z

ρ

ρ

+

= −

・雨滴は風速場と雨滴落下速度の和で移動する。 ・ドップラー速度は雨滴の移動速度のアンテナ視線方向成分。 ・雨滴落下速度をレーダー反射エコーの関数で表現する。 ・未知数はu、v、wの3つとなる。 ・2つのドップラー速度と連続式を用いて3つの未知数を求める。 ポイント EVVP = 0.80 DUAL+1.10 0.73 BIAS 0.82 m/s RMS 2.57 m/s EVVP = 0.80 DUAL+1.10 0.73 BIAS 0.82 m/s RMS 2.57 m/s Dual-Doppler解析による南北風速(m/s) V V P 法 に よ る 南 北 風 速 ︵ m / s ︶ 図1 Dual-Doppler解析手法の概念図 図2 雷雲内のエコー強度(左)と強いエコーの周辺での推定水平風速場(中: 2km高度、右: 3km高度) 2km高度面に見られる風の収束域(丸印部)による上昇風がきっかけとなり、大気が潜在的に持っていた鉛直 循環が上層に持ち上げられ、3km高度面に見られる低気圧性、高気圧性の二つの渦の対が生成した。二つの渦 の周辺には強いエコー強度(強い降雨強度を表す)が観測されている。 図3 風速場の鉛直断面構造(図2右の点線部) 図4 拡張VVP法の精度検証例(南北方向風速) 低気圧性渦の周辺では、10kmを越える高度まで鉛直 上昇流が成長している。これは低気圧性渦を伴う降水 域が発達しやすいことと関連する。 横軸はDual-Doppler解析手法による風速、縦軸は拡 張VVP法による風速を表す。両者は良い一致を示し ている。 高度(km)

参照

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