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既 往 歴
分娩は正常であったが，胎盤血液によリワツセルマ
ソ氏反応を行うに陽性であったため，生後第1日及第
2日目にpenicillin 20万単位づNを注射した。
種痘は既に接種され，その他には特記すべき疾患は
なかった。
現症及び経説
入院時 臨き＊中等大，皮膚及び粘膜には温血なく
脈搏正常，顔色蒼白，両側の耳下部に舗蔓性の腫脹あ
り，左頸部には大豆大，顎下部には小豆大の腫脹が2
−3個認められた。胸部には変化なし。上腹部は膨隆
し特に左側に鳩卵大の腫瘤を認めた。此の腫瘤は硬く
て移動［生はなかった。肝臓は3横指，脾臓は2横指ふ
れ，右腋窩に鳩卵大（1個）大豆大（3−4個）の腫
瘤を触れ，左腋窩には大豆大より措指頭大の腫瘤をふ
れた。
両側隔膜部に小豆大から大豆大の腫瘤が2−3個触
れた。
七二糞便にけ異常を認めなかった。
入院当時の血液所見としては，赤血球216万，白血
球282600
1血小板2170，Hb 30％， 白血球内には願粒性白血
球を殆んど認める事が出来なかった。
その後，入院経過中油蟻性penicillin 21万単位2
回，10万単位工0回を使用し，白血球総数は第3日口
から稽く減少して15万前後となって死亡直前迄殆ん
ど同様の数量を示した。白血球の種類は軽度の動揺を
示したが，著しい変化は認めなかった。
貧血は漸次増強して，死亡直前にほ10￠万と算ずる
に至り，3月26日鬼籍に入った。
猶この患者に於てけ全経過中に皮膚及粘膜に温玉丘エ及
出血は認められなかった。
東京女子医科大学学会第52回例会
日 時 昭和27年1月25日（金）午後2時
場所東京：女子医大．臨床講堂
1．胸腔内食道胃吻合による
食道癌手術の一治験例
（外科）申山耕作
食道癌の切除手術け従来非常に困難であってその成
功例は少かったが，最近私共の所で胸腔内吻合により
食道癌切除手術を行い威功例を得た。
患者は55歳の男で，食後の嘔吐を主訴として外来
を訪れたが，レソトゲゾ透視及び写真で高度の狭窄を
認め，胸部食道下部癌と診断した。
術前の8日閻大量の輸血，リンゲル，葡萄糖を与へ，
手術に堪え得る様にした6
手術は気管内麻酔の下に，左胸膣を第8肋骨を切除
して開胸，噴門部を切断縫合し，胃頂部を食道に吻舎
した。術後7臼で抜糸，10日口に経口的1こ流動食を
与：えた。術後13日目から発熱を見たが大したことも
なく解熱，其後経過良妙で退院した。此熱発の原因は
肺炎を合併したものと思われる。
切除標本は組織検鏡の結果，扁平上皮癌であった。
2． 中心性綱脈絡膜炎（圭曾田氏）に
対するネオミノファーゲンA．T．
とレスタミンの効力比較
（眼科） 西田静1江．
中心性網脈絡膜炎4例に対し，ネオミノファーゲソ「
A．T。及びレスタミンを使用し，単純なカルシウム
及びザルゾプロカノソよ、りも暗点の大きき，程度，
視力障碍，眼底所見等から，より経過を短縮すると思
われたので報告した。
3．異型狸紅熱の一例
（小児科）江田令子
近年我国に於て定型的狸紅熱と似ているが之とや玉
趣を異にする発疹性熱性病が流行し，既に各方面から
発表され問題となっている。当科に於ても異型の一例
を経験した。それは3年8カ月の男子で，昭和26年10
月9H突然39度の発熱，頭痛で始り，第5二日初診，直
に入院治療した。本例は熱の他，狸紅熱様発疹，皮膚の
亜黄色，アソij” ’一ナ，山鴫子舌，頬部の発赤，口囲蒼白，
尿ウロビリノーゲソ陽性，関節痛著明ジ落暦，血液像等
従来の定型的梶紅熱に一致する症状があり，其他に差
明，甚しい強度の眼瞼眼球結膜の充血，糧紅熱様発疹と
共に四肢の心隔両側に対称性の舞麻疹様発疹出現・腹
痛と下痢があった。又熱は39度位の稽留熱が第8病日
田続ぎ，その後2日間弛張熱が続いて完全に解熱した。
家族及び住所の周囲には特別流行を見なかった。本義一
児の咽頭からは入院日より連日10日間菌の培養を行
ったが，1回も溶連菌を検出する事が出来なかった。
以上の症状及び経過から狸紅熱の異型と老え報告し
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