− 97 − 認知された親子関係が親準備性に与える影響の検討 人間教育専攻 臨床心理士養成コース 加藤文菜 1.問題と目的 八重樫・小河 (2002)は子育て不安を訴え る母親や育児ノイローゼに陥る母親が増え てきているのではないかと指摘している。 対策として国は子育て支援に取り組んでい るが,望月ら (2014)は研究の結果から,養 育者の子育て不安の軽減に向けた関わりと ともに,専門職として提供可能な子育てサ ポートシステム構築への取り組みが望まれ ると述べている。 子育てについて親の養育態度は子どもの 心理社会的な発達を促進するために不可欠 なものであると言われている。親の養育態 度について諸井ら (2013)の研究では,親の 被養育者への関わり方が被養育者の親準備 性に大きく影響すると考えられている。 親準備'性について伊藤 (2003)は「生涯発 達の視点から親になってもならなくても健 全な次世代を育てる子育てを支援する社会 の一員として備えるべき資質」と定義して おり,養育役割だけに限らない定義の重要 性を主張している。 本研究では,育児中の親たちへの支援の 重要性を示すとともにこれから育児をする ことになる人が抱えている問題から支援を していく必要性を示すことを目的とし,被 養育者から見た親の養育態度と被養育者自 身の親準備性との関連について検討する。 指導教員 中津郁子 性 130名,女性 117名,その他 1名,不明 3 名)を対象に質問紙調査を行った。有効回 答数は 221名(男性 115名,女性 105名, その他l名)で、あった。 本研究では西国・諸井 (2010)によって作 成された親準備性尺度を使用し,また親の 養育態度をみるために Parkerら(1979)が 作成し,鈴木ら(2002)が翻訳した Parental Bonding Instrument(以下, PBI) を使用した。 母親の養育態度,父親の養育態度をそれぞ れ母親 PBI,父親 PBIとして測定する。統 計解析にあたっては,
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Ver.23(
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Jap加, 2017)を使用した。 3.結果 まず各尺度について因子分析を行った。 親準備性尺度は「子どもに対する肯定的関 心J,r
モデルとしての親J,r
将来の子育て に対する不安」の 3因子が抽出された。母 親 PBIは「愛情J,r
心理的な干渉J,r
行動 に対する干渉」の 3因子が抽出された。父 親 PBIは「愛情J,r
心理的な干渉J,r
行動 に対する干渉jの3因子が抽出された。 相互相関について検討したところ,親準 備性の各下位尺度と母親 PBIの各下位尺度 にそれぞれ正の相関や負の相闘がみられた。 親準備性と父親 PBIの相互相関を検討した ところ,親準備性尺度の「将来の子育てに 対する不安」と父親 PBIの「行動に対する 2. 方法 干渉Jには相闘がみられなかったが,他の A教育大学の大学生,大学院生 251名(男 下位尺度については正の相関や負の相闘が− 98 − みられた。 親準備性について母親 PBIの各下位尺度 得点の高低差を検討した。「子どもに対する 肯定的関心」は「行動に対する干渉」の低 群の方が有意に高かった。「モデルとしての 親」は「愛情」の高群の方が有意に高く, 「心理的干渉Jや「行動に対する干渉」の 低群の方が有意に高かった。「将来の子育て に対する不安Jは「愛情」の低群の方が有 意に高く, ["心理的干渉Jや「行動に対する 干渉」の高群の方が有意に高かった。 親準備性について父親 PBIの各下位尺度 得点の高低差を検討した。「子どもに対する 肯定的関心」は「愛情」の高群の方有意に 高かった。「モデルとしての親」は「愛情」 の高群の方が有意に高く, ["心理的干渉Jや 「行動に対する干渉」の低群の方が有意に 高かった。「将来の子育てに対する不安jは 「愛情」の低群の方が有意に高く, ["心理的 干渉」や「行動に対する干渉Jの高群の方 が有意に高かった。 母親 PBIと親準備性との重回帰分析を行 ったところ「愛情Jから「子どもに対する 肯定的関心J と「愛情Jから「モデルとし ての親J, ["心理的干渉jから「将来の子育 てに対する不安」に正の標準偏回帰係数が 有意であり, ["心理的干渉」から「モデ、ルと しての親」に負の標準偏回帰係数が有意で あった。 父親 PBIと親準備性との重回帰分析を行 ったところ「愛情Jから「モデルとしての 親」と「心理的干渉」から「将来の子育て に対する不安Jに正の標準偏回帰係数が有 意であり, ["愛情」から「子育てに対する不 安」に負の標準偏差回帰が有意で、あった。