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【書評】乱数(伏見正則 著)

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Academic year: 2021

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〔書評〕

伏見正則著

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東京大学出版会

1989年定価 2700 円

近年ますますその重要度を増しているシミュレーショ

ンで,乱数はなくてはならない道具(部品)の 1 つであ

り,分析の質を左右するものである.しかし多くのシミ

ュレーション利用者にとって,乱数はそれを必要とした

とき自動的に与えられるもの,と L 、う意識しか持ち合わ

せていないのではないだろうか.使っている道具がよく

わからなければ,結果に対しても十分の責任を持つこと

ができないことは当然のことであるが,いざ勉強しよう

としても乱数そのものを取り上げた成書は数少なく,ほ

とんど目に触れることがなかった.今度伏見氏によって

書かれた「乱数J はこの空白をうめる格好の書と言って

よいであろう.

以下章を追って内容を紹介する.全体は 3 つの章から

なり,第 1 章は一様乱数 (51 頁),第 2 章は乱数の変換法

(54頁),そして,第 3 章は一様乱数の検定 (29頁)に当

てられている.第 l 章の大半,;n、わゆる M系列乱数の叙

述に当てられ,普通によく使われている合同法乱数につ

いては,スベクトル検定に重点をおいた簡潔な説明に留

まっている.これが本書のきわだった特徴で‘あろう.第

2 章は一様分布以外の分布にしたがう乱数の,一様乱数

からの変換法について述べられている.変換法について

は,分布の特性を十分に活かした高速な変換法が数多く

発表されているが,この章ではその元になっている共通

の考え方を解説し,いくつかの分布について,ほどほど

に速く,しかも容易に理解できる簡単なアルゴリズムに

ついてのみが紹介されている.第 3 章は一様乱数の検定

法が論じられている.幾通りかの検定法について解説さ

れ,その後に例として M系列乱数の検定結果がまとめら

して M系列乱数が有力視されているが,その詳しい内容

を知るためには原著論文を調べるほかはなく,一般に普

及しているとは言えないのが現状である.この書によれ

ば独力でも十分に理解できると思われるので, M系列乱

数に対する理解が広がっていくのではなし、かと期待され

る.また巻末にはM系列乱数生成のためのプログラムが

添えられているので,実際のシミュレーションにもすぐ

に取り入れることができるようになっているのはありが

たい.

第 2 章の内容の取捨選択は適切である.重要な手法は

すべて網羅され,それらがわかりやすく解説された後,

例が提示されている.プログラムは添付されていない

が,これぐらい丁寧に解説しであれば自らプログラムす

ることは容易であろう.第 3 章の内容には若干の不満が

残る.本書の読者には自分の使っている乱数は本当に大

丈夫なのだろうかとし、う問題意識を持っている人が多く

含まれていることであろう.その場合の有効な指針を提

示してほしかった.そのためには「良 L 、 J 乱数の検定例

だけでなしに,検定をパスしない「悪い j 乱数の例を上

げ,検定をどのように使うと「悪 L 、 J 乱数を見つけるこ

とができるのかと L 、う解説が必要だったかもしれない.

また,全体を通して,文献の引用が不親切なのが気にな

った.しかし,これらの点は決して本書の価値を減ずる

ものではない.

シミュレーションをこれから勉強しようとしている人

はもちろんのこと,実際の問題解決に適用している実務

家,また,実証研究としてシミュレーションを取り入れ

ている研究者のすべてに,この書を一読されることを薦

れている.

めたい.

全体的に平易な諮り口で,読んでいるうちに知らず知

らずのうちに理論の奥深いところまで導かれていること

に驚かされる.特に第 l 章は著者の研究成果を中心に,

従来の成書にない内容がまとめて詳述されており,教え

られるところが多い.シミュレーションの規模が大きく

なり,擬似乱数の周期の影響を無視することができない

ほど多くの乱数を必要とする場合の,新しい擬似乱数と

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(筑波大学逆瀬川浩孝)

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