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〔書評〕
伏見正則著
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数
東京大学出版会
1989年定価 2700 円
近年ますますその重要度を増しているシミュレーショ
ンで,乱数はなくてはならない道具(部品)の 1 つであ
り,分析の質を左右するものである.しかし多くのシミ
ュレーション利用者にとって,乱数はそれを必要とした
とき自動的に与えられるもの,と L 、う意識しか持ち合わ
せていないのではないだろうか.使っている道具がよく
わからなければ,結果に対しても十分の責任を持つこと
ができないことは当然のことであるが,いざ勉強しよう
としても乱数そのものを取り上げた成書は数少なく,ほ
とんど目に触れることがなかった.今度伏見氏によって
書かれた「乱数J はこの空白をうめる格好の書と言って
よいであろう.
以下章を追って内容を紹介する.全体は 3 つの章から
なり,第 1 章は一様乱数 (51 頁),第 2 章は乱数の変換法
(54頁),そして,第 3 章は一様乱数の検定 (29頁)に当
てられている.第 l 章の大半,;n、わゆる M系列乱数の叙
述に当てられ,普通によく使われている合同法乱数につ
いては,スベクトル検定に重点をおいた簡潔な説明に留
まっている.これが本書のきわだった特徴で‘あろう.第
2 章は一様分布以外の分布にしたがう乱数の,一様乱数
からの変換法について述べられている.変換法について
は,分布の特性を十分に活かした高速な変換法が数多く
発表されているが,この章ではその元になっている共通
の考え方を解説し,いくつかの分布について,ほどほど
に速く,しかも容易に理解できる簡単なアルゴリズムに
ついてのみが紹介されている.第 3 章は一様乱数の検定
法が論じられている.幾通りかの検定法について解説さ
れ,その後に例として M系列乱数の検定結果がまとめら
して M系列乱数が有力視されているが,その詳しい内容
を知るためには原著論文を調べるほかはなく,一般に普
及しているとは言えないのが現状である.この書によれ
ば独力でも十分に理解できると思われるので, M系列乱
数に対する理解が広がっていくのではなし、かと期待され
る.また巻末にはM系列乱数生成のためのプログラムが
添えられているので,実際のシミュレーションにもすぐ
に取り入れることができるようになっているのはありが
たい.
第 2 章の内容の取捨選択は適切である.重要な手法は
すべて網羅され,それらがわかりやすく解説された後,
例が提示されている.プログラムは添付されていない
が,これぐらい丁寧に解説しであれば自らプログラムす
ることは容易であろう.第 3 章の内容には若干の不満が
残る.本書の読者には自分の使っている乱数は本当に大
丈夫なのだろうかとし、う問題意識を持っている人が多く
含まれていることであろう.その場合の有効な指針を提
示してほしかった.そのためには「良 L 、 J 乱数の検定例
だけでなしに,検定をパスしない「悪い j 乱数の例を上
げ,検定をどのように使うと「悪 L 、 J 乱数を見つけるこ
とができるのかと L 、う解説が必要だったかもしれない.
また,全体を通して,文献の引用が不親切なのが気にな
った.しかし,これらの点は決して本書の価値を減ずる
ものではない.
シミュレーションをこれから勉強しようとしている人
はもちろんのこと,実際の問題解決に適用している実務
家,また,実証研究としてシミュレーションを取り入れ
ている研究者のすべてに,この書を一読されることを薦
れている.
めたい.
全体的に平易な諮り口で,読んでいるうちに知らず知
らずのうちに理論の奥深いところまで導かれていること
に驚かされる.特に第 l 章は著者の研究成果を中心に,
従来の成書にない内容がまとめて詳述されており,教え
られるところが多い.シミュレーションの規模が大きく
なり,擬似乱数の周期の影響を無視することができない
ほど多くの乱数を必要とする場合の,新しい擬似乱数と
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(筑波大学逆瀬川浩孝)
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