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高齢者の腹膜透析における看護小規模多機能型居宅介護サービスの活用

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2018年度(後期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 「高齢者の腹膜透析における 看護小規模多機能型居宅介護サービスの活用」. 申. 請. 者 :. 遠. 藤. 和. 子. 所 属 機 関:. 山形県立保健医療大学. 提出 年月日:. 2020 年 3 月 27 日.

(2) Ⅰ.はじめに 1.研究の背景 わが国の慢性透析療法を受ける患者数は,年々増加傾向にあり,2018 年には 33 万9千人 を超えた.このうち,新規透析導入者として把握された数は 38,147 人で,平均年齢は 69.99 歳,導入割合が最も高い年齢層は男性が 75~79 歳,女性は 80~84 歳と,高齢化が進行して いる(日本透析医学会 2018.12.31 現在)1). 透析療法には血液透析と腹膜透析の 2 種類ある.血液透析が主に通院にて行われ,およ そ 3 回/週,4 時間/回程度を要する治療であるのに比べ,腹膜透析は,自宅で行うことがで きるため生活時間に合わせやすく,日常生活を維持しやすいメリットがある. しかし,わが国で腹膜透析療法の選択者は,透析患者の 3%以下にとどまり,諸外国に比 べて少ない.その背景には,医療従事者の教育不足や患者に認知されていないことから派生 する不安,家族の負担,患者の高齢化があるとされてきた 2-4). 高齢透析患者には,血液透析に比べると身体侵襲のリスクが低いことから腹膜透析の導 入が推奨される5)一方で,セルフケアが負担となり,家族に迷惑がかかるという理由で血 液透析を選択する高齢者を我々は看てきた.腹膜透析の患者は,日常生活動作が自立し,介 護度が要支援の1か 2 に認定されることが多い.とはいえ,セルフケアで行うバック交換 など治療は,目と指先を使う必要があり,高齢者には負担となりやすい.このとき,見守る 人が居ると在宅で自立した生活が継続できる. 一方,腹膜透析の取り扱いや患者教育を担う看護職に目を向けると,わが国では対象者の 少なさから,腹膜透析の管理について看護師免許があればだれでもが“できる”という技術と はなっていない.大規模震災時に,療養型病院や高齢者施設で看護師が従事していても腹膜 透析の管理ができずに,家族が時間ごとにバック交換に施設に出向かざるを得ない現状も あった. 2012 年から複合型サービスとして機能している看護小規模多機能型居宅介護は,介護保 険の適応施設で,看護師がカテーテル管理やインスリン注射などの技術を提供する,医療依 存度の高い高齢者の利便性への対応を目的とした施設である. そこで,看護小規模多機能型居宅介護や看護師の専従する高齢者施設において,腹膜透析 の患者の受け入れが可能になれば,腹膜透析の選択者を増やすこともでき,患者・家族の負 担経験につながる.さらに,時間の制約と血液透析に比べると 1/3 となる医療費の面から も,高齢者のみならず,家族の QOL の維持・促進を図ることができると考えた. 2.研究目的 本研究は,高齢者の腹膜透析における看護小規模多機能型居宅介護サービスの活用のた めに, 1)腹膜透析を受け入れる看護小規模多機能型居宅介護の看護実践モデルの作成 2)看護小規模多機能型居宅介護において腹膜透析を受け入れるシステムの構築 1.

(3) ①地域おいて,システム構築のための資源の確認 ②腹膜透析の知識を普及する教育プログラムの作成 ③作成した教育プログラムを用いた看護小規模多機能型居宅介護サービスに従事する 看護職に向けた腹膜透析管理の講習会の開催 を目的とする Ⅱ.研究方法 1.目的 1)腹膜透析を受け入れる看護小規模多機能型居宅介護の看護実践モデルの作成 ①看護小規模多機能型居宅介護で腹膜透析とともにある人を受け入れるには,どのよ うな要素が整えばよいのかを明らかにする目的で, 「なぜ受け入れられるのか」につ いて,実際に受け入れている施設と主治医にインタビュー調査を行う. ②インタビュー結果を分析し,構成要素を抽出し,要素間の関係をモデルとして示す. 2.目的2)看護小規模多機能型居宅介護において腹膜透析を受け入れるシステムの構築 ①地域おいて,システム構築のための資源(人材や施設含)の確認をする. ②腹膜透析の知識を普及する教育プログラムを作成する. (1)腹膜透析患者の受け入れ経験がない看護小規模多機能型居宅介護の看護師を対象に, 希望する教育内容についてインタビューし教育項目を把握する. (2)(1)の結果をもとに,教育プログラム(案)を作成する. (3)教育プログラム作成は,腹膜透析療法や連携における専門家に助言を得て精錬する. ③作成した教育プログラム(案)を用いて,看護小規模多機能型居宅介護に従事する看 護師を対象に腹膜透析管理の講習会の開催実施する. 3.倫理的配慮 本研究は,研究代表者の所属大学で倫理審査申請をし,承認を受けた後に実施した.承認 番号 1905-04. Ⅲ.結果 1.腹膜透析を受け入れる看護小規模多機能型居宅介護の看護実践モデルの作成 1)第 1 段階:実際に受け入れている施設への調査からモデル素案の作成 熊本市にある看護小規模多機能型居宅介護 1 施設の職員,看護師 4 名を対象に,腹 膜透析を行う利用者を「なぜ受け入れられるのか」についてグループインタビューを実 施した.インタビュー時間は 45 分であった. ※調査施設の選択:現実に受け入れ経験のある看護小規模多機能型居宅介護サービスを行う施設を探 すことが困難で,研究をスタートさせた時点の我々のネットワークでは他の施設が見つからなかった.. インタビュー結果から抽出された利用者を受け入れられる理由は, 「患者に必要な看 護技術」 「介護職との関係」 「患者と家族の役に立つ実感」 「看取りを視野に入れたケア をしたい思い」 「一人一人その人の生活に必要なことをするだけ」であり, 「患者に必要 2.

(4) な看護技術」の中には「知識」と「体制」があった.これより,看護実践モデルの構成 要素として, 「体制」 「知識」 「思い」とその関係を見出す必要があると考えた.. 知識. 図1 腹膜透析透析利用者を受け入れる看護小規模多機能型居宅介護サービスの構成要素(案) 2019.7.. 2)第 2 段階:プログラムの実施を経て検討結果最終合意を得たモデル図 プログラム実施後,研究メンバーの他に,実際に受け入れ経験のある看護小規模多機能方 居宅介護の管理者,医療ソーシャルワーカーを加えて評価し,モデル図も検討した.現時点 で合意を得たのが以下の図である. 受け入れられる要因には,看護と介護の連携があり,連携が形成されるそのコアにあるも のは,看護と介護の互いの技術を用いた連携と分担であった. モデルの構成要素 6つ 「利用者・家族の生活」 「看護小規模多機能型居宅介護」 「看護技術」 「介護技術」 「基幹病院」 「透析関連企業」. 3.

(5) 2.看護小規模多機能型居宅介護において腹膜透析を受け入れるシステムの構築 1)地域おいて,システム構築のための資源の確認 研究者らのフィールドワークにて看護小規模多機能型居宅介護および付随施設(訪 問・介護,有料老人ホーム,医療施設等)の視察とインタビューを実施した. 視察とインタビューの協力施設の主なものは 5 か所:湖山ケアサービス米沢,同山 形,複合型サービスかしの木(以上山形市),看護小規模多機能はなもも(宮城県名取市). 看護小規模多機能型居宅介護とりい(熊本市)であった. 確認した事項の要旨は,以下の通り. ①資源 ・地域包括支援センターは,住民相手に情報を流す拠点となる可能性がある.ACP (Advance care planning)を考える拠点.社会・地域の情報発信の役割も期待できる. ・民生委員は,地域情報のリーダー,ボランティア活動をしている人,できる人を把握 している. ・病院,クリニックは,バックアップ可能な資源として大きい. ・訪問看護・介護は,自宅で生活する際のサポート,アドバイス,医療的サポートの力 は大きい. ・新興住宅地で小学生の通学路にある.子どもが通る.地域のコミュニティも作られて いる過程にある. ・古くからの住民同士のつながり,近所づきあいがある. ・自治会長が世話好き. ②うまくいく要因 ・うまくいっているところは民生委員と地域包括支援センターの関係がうまくいって いて,有機的に連携している. ・看多機の中に,自治会長や民生委員の集う場所があり,活用されている. ・デイケアや勉強会などが割と頻繁に開催されていて,地域に開く場として看多機が機 能すること. ・うまくいっているところは,地域でネットワークがあるか,同一法人. ③地域の特徴としてみえてきたもの (1)宮城 ・実際に腹膜透析の利用者からの問い合わせを受けたことはないが,利用者を支える 資源は利用者に応じて何がしかある.基幹病院からの紹介,行政,地域の近所づき あい,私的なつながりなど.高齢者施設の利用もある.ただし,それらは縦割り. 介護施設間での情報共有が希薄.医療ケアに関することも,ケアマネ,ソーシャル ワーカーがつないでいる.その資源同士をつなぐことができれば,今以上に状況は 改善しそうであることが見えてきた. また,2019 年度に看多機のネットワーク (協議会?)も立ち上がった模様. 4.

(6) (2)山形 ・看護小規模多機能型居宅介護担当看護職のうち,透析経験者が数名おられる.受け 入れの強み. ・基幹病院との関係は良好であるが,繋いでいるのは医療ソーシャルワーカー.施設 を超えた看護職間のつながりは希薄. ・看護小規模多機能型居宅介護は,設置形態が様々で,訪問看護と併設しているとこ ろ,有料老人ホームが併設されているところ,利用者が併設か近隣の有料老人ホーム の入居者であるところ等があった.腹膜透析の利用者の看護経験は,訪問ではあるも のの看護小規模多機能ではまだ無い.訪問看護と併設していることで訪問が主の業 務となり,医療的ケアの必要な人を受け入れているところと,看護師は受け入れたく ともまだ組織としては受け入れられない現状にあるところもあった. ・看護小規模多機能型居宅介護が訪問介護と併設の影響も受けて,施設管理者が福祉 職であり,利用希望者の受け入れ窓口になっている.医療的ケアの必要度や腹膜透析 の利用など,看護職に相談して受け入れを検討してくれる様になってきた箇所もあ るが,看護職へのアクセスなして利用を断ってきた経緯の箇所もある. (3)熊本 ・既に受け入れているとことろと,これからのところがある.その知見を伝えられる ような看護小規模多機能型居宅介護間で連携ができると強みになる. ・既に受け入れているところでは,毎月公報誌を発行し受け入れ実績を開示している. 広報誌は医療機関と居宅に配布し,看護小規模多機能方居宅介護について知っても らう努力を開設以来続けている. ・受け入れの準備は,病院との連携の意味も含め,携わる看護師全員がその病院に実 習に行き,手技やリスク管理について学習した. ・腹膜透析の研究会が発足し,参集者を通して地域のネットワークができてきている. (4)その他 ・透析関連企業は基幹病院と利用者・家族との往来はあるものの,介護施設との直接 的な関係が希薄.高齢者施設との関係は希薄. ④資源を確認したところでのアイディア ・小学生の通学路である立地を活かし,駄菓子屋などのイベントを開催して地域の子ど もとその家族を含めて繋がりをつくる企画をする. ・在宅医療や訪問看護も,世代が異なる人もかかわれる機能.地域に開くことを積極的 に行うことで機能するのではないか. ・在宅の現場で地域密着型特養であってもデイケアなどの高齢者施設に,横のつながり が無い.地域で底上げする危機感があればネットワークを作る方向に動きそう. ・地域包括支援センターがハブになると良いが,ちゃんと機能しているところとそうで ないところの差がある.うまくいっているところを見たい. 5.

(7) ・哲学がしっかりある.職員がそのフレーズを共有している.そういう施設は強い. ⑤特記事項 ・看護小規模多機能型居宅介護の現状 目的1のモデルの作成時に,インタビューの対象となる受け入れ経験のある施設が 少ないことについて,訪問看護やディサービスセンター,有料老人ホームなどでは腹膜 透析を経験している施設があったものの,看護小規模多機能型居宅介護の歴史が浅く, 数も少ないことの影響かと初めは考えていた. しかし,受け入れ経験のない施設に希望する教育内容(教育ニーズ)についてのインタ ビューをした際に,問題は想定外のところにあることが解った.そもそも施設利用希望 者が最初にアクセスしてきた段階で対応するのが看護職ではなく,介護職である施設 責任者やケアマネージャーであることから,腹膜透析という治療法の認知が低く,透析 と聞いただけで敬遠され,手がかかる等の先入観から断る施設もあると耳にした.これ は一つの施設に限られたことでなく,複数の施設から聞かれ,看護小規模多機能と看護 職の活動をメインに標榜していても,様々な施設特性があるという現実を知ることと なった.この実態は,施設に足を運び,関係性ができてやっと聞き取れた情報である. とはいえ,そこで働き,実際の看護を担う看護師たちは,そのことにジレンマを抱え, むしろ自分たちで看れる(受け入れ可能である)ことをアピールするなど,施設内での動 きを見せており,今回の講習会への参加など看護技術のブラッシュアップのための勉 強の機会を欲していた.また,看護小規模多機能と,看護を標榜している以上,医療的 ケアのある人の受け入れを拒んでいては本来の役割を果たせないし,医療の進化によ って短期間で変化する医療的ケアの動きに併せてゆくためにも,自身のスキルアップ をしたいが,人数の少ない組織で研修に出す余裕がないことが悩みになっていると述 べていた. 2)腹膜透析の知識を普及する教育プログラムの作成 ①教育プログラム案 腹膜透析の利用者の受け入れ経験がない看護小規模居宅介護の看護職に,教育ニー ズについてインタビューした結果,過去に病院で働いていた時の経験の有無にかかわ らず,今の腹膜透析の機器や技術について学習したいとする希望と,介護職に理解を得 られるようにしたいとの意見がどの施設からも聞かれた.腹膜透析のバック交換は,制 度上,医療職と本人・家族に実施することが限られる医療行為であり,介護職は担えな い.しかし,見守りをすればできる高齢者がおられることや,夜間に異常が生じたとき, 例えば発熱や排液の濁りなどを看護師にどのタイミングで連絡するかといった知識は 必要になる.そのような知識を持つことで,介護職者のわからないことに対する不安の 軽減を図り,家庭ですることと同様に介護職にも利用者の健康管理へ関心を向けても らいたいとの意見が多く聞かれた. 6.

(8) そこで,教育プログラムの内容を,当初予定していた「医療職として知っておくべき 知識」について医師,透析専門看護師,栄養士,医療ソーシャルワーカー等の透析専門 職が伝えることから,腹膜透析を知ってもらうことと,知らないことで「何となくある 透析に対する見えないバリア」を下げることに移すことにした.この内容であれば,講 義は専門職を招聘するより研究メンバーで担い,むしろ参加者と共に「対話型」で行う と効果的ではないかと考えた. このとき,看護小規模多機能型居宅介護は家庭と一緒であることの原点に立ち返っ て,生活者が家庭に治療を持ち込んで生活する際に,家庭での生活を壊さずに続けてゆ くために必要な知識に焦点を当てることにした. すなわち,病院で担うことは病院ですると割り切り,生活者目線で必要な事柄に厳選 することに方針を変更した. そのため,利用者を取り囲む人々がつながってみんなで看ることができるように,看 護職と介護職の職種間の溝が埋まりチームを組み,腹膜透析患者を中心に主治医やそ の医療施設の看護師とつながるチームビルディングに目的を置くことにした. 加えて,腹膜透析が未経験な看護師の不安の解消には,参加者同士のコミュニケーシ ョンも重視して「わからない」 「知らない」ことを表現しやすい場づくりが効果的と考 えた. また,当初想定していたよりも,現場のスタッフに教育ニーズがあり講習会への参加 も積極的であることから,できるだけ多くの職員が一度に参加しやすいように,開催場 所を施設に出向く等工夫することにした. (1)教育プログラムの目的 腹膜透析とその管理における基本的な知識の習得と共に,腹膜透析患者を中心に医 療施設の主治医や看護師と,施設の看護師とが互いに顔が見えて信頼を持てる関係と してつながること(チームビルディング)に置く.これにより腹膜透析が未経験な施設看 護師・介護職等の不安軽減を図る. ①腹膜透析とその管理における基本的な知識の習得 ②病院と施設の担当者のチームビルディング ③施設看護師の不安軽減 (2)プログラムの特徴 第1部. 対象者:看護職,介護職,一般. 内容の焦点: 「腹膜透析を知る」. 第2部. 対象者:看護職. 内容の焦点: 「リスク管理」. ・講義に集中できるように,内容を厳選して 20 分以内に終了できるものにする. ・参加者が仕事の後に参加することを想定し,全体の所要時間を 50 分以内にする. ・主催者と参加者および参加者同士のチームビルディングを重視する. ・主催者の役割は,参加者自らが支援者となるモチベーションを高めるために,質問 7.

(9) や発言を積極的に行い周囲とコミュニケーションを取れるように場を盛り上げる. ・主催者側は「何を教えるか」, 「どう教えるか」から脱却し,個々の生活者を支える 人,その人自身が必要な情報とは何か,それをどのように提供できるかに関心を持 つ. (3)タイムスケジュール 第 1 部 第 2 部 共に 総時間 50 分 時間. 内容. 0:00~0:10. 導入. 担当. 自己紹介:担当者,参加. 自己紹介と問題意識を 1 分程. 者,それぞれに. 度で. 司会. 0:10~0:30. 講義. 腹膜透析の基礎知識. スライド 27 枚. 担当者. 0:30~0:40. 質疑. 講義内容,現場での困り. ワーク,みんなで話し合って. 司会. 質問を出しても良いかも.. ごと. 担当者. 0:40~0:45. 工夫点. 各施設での工夫. 各施設で取り組めそうなこと. 司会. 0:45~0:50. まとめ. できそうなこと. 含:困ったときの連絡先,対応. 司会. について. 3)作成した教育プログラムを用いた看護小規模多機能型居宅介護サービスに従事する 看護職に向けた腹膜透析管理の講習会の開催 ①講習会開催概要 参加者総数 55 名 日時. 場所. プログラム. 2019.11.25(月). 山形県立保健医. ミックス. 15:00~16:30. 療大学(山形市). 第 1 部+第 2 部. 参加者数(名). スタッフ 数. 1 回目. 看護師 7. ※. 16 (6 施設). 介護職 6. 7. 理学療法士 1 事務職 2. 2 回目. 2019.11.28(木). 複合型サービス. ミックス※. 16:30~17:40. かしの木(山形. 第 1 部+第 2 部. 看護師 3 12 (1 施設). 市). 介護職 7. 5. 理学療法士 1 事務職 1. 3 回目. 2019.12.23(月). 看多機とりい. ①第 2 部. 27. 看護師 17. 18:00~20:30. (熊本市). ②第 1 部. (3 施設). 介護職 8. 8. 事務職 2. ※ミックスとは,第 1 部と第 2 部の内容のダブリを省略し時間を短縮したもの.対 象者の入れ替えをせずに参加者全員に同じ内容の講義を聴いてもらい,GW も参 加者を職種別とせずに混在したままとした.. 8.

(10) ②プログラムの内容 (1)第 1 部 1.対象:主に介護職の方,一般 2.プログラム概要:腹膜透析に関する講義後,参加者同士の意見交換から行動の明確化 につなげる 3.タイムテーブル 展開. 時間. 会場設営. 内容. 担当. ・スライド、PD 機器準備 ・参加者は、4 人 1 組で、テーブルに着席してもらう. 導入. 19:00-19:10. 10 分. ・自己紹介:担当者から、本日の内容説明. 司会. ・各テーブルそれぞれで、自己紹介(1 人 1 分程度) 問題意識:参加動機、実際受入れるとなったら. 講義. 19:10-19:20. 腹膜透析の基礎知識. 担当者. 19:20-19:25. ・講義内容についての質疑. 担当者. 10 分 質疑 5分 意見交換. (受け入れ施設の場合:現場での困りごとも含めて) 19:25―19:35. 10 分. 【実際受入れることになったら】. 司会. ・ 「これなら、できそう」現状で対応可能なところ ・ 「こういうことは大変かも」困難が予測されるところ ・ 「ここをこうすればできそう」工夫点. 共有. 19:35―19:40. 5分 まとめ. ・できそうなこと. 司会. 「相談しあえる」 「イメージがついた」 「安心した」 19:40-19:45. ・情報提供:困ったときの連絡先・対応について. 司会. 19:45-20:30. ・実際の機器を体験してもらう. 担当者. 5分 機器体験. バクスター社 片付け・ 解散. ※今回のプログラムでは機器体験の際に(株)バクスター社から協力を得て,実際の機器の 貸与と取り扱い等の患者教育用冊子の提供,並びに,第 1 回目は 1 名,第 3 回目は 2 名の 担当者の派遣を全て無償で受けた.. 9.

(11) (2)第2部 1.対象:主に看護職の方 2.プログラム概要:腹膜透析に関する講義後,参加者同士の意見交換から行動の明確化 につなげる 3.タイムテーブル 展開. 時間. 会場設営. 内容. 担当. ・スライド、PD 機器準備 ・参加者は、4 人 1 組で、テーブルに着席してもらう. 導入. 18:00-18:10. 10 分. ・自己紹介:担当者から、本日の内容説明. 司会. ・各テーブルそれぞれで、自己紹介(1 人 1 分程度) 問題意識:参加動機、実際受入れるとなったら. 講義. 18:10-18:20. 腹膜透析の基礎知識(看護師向け). 担当者. 18:20-18:25. ・講義内容についての質疑. 担当者. 10 分 質疑 5分 意見交換. (受け入れ施設の場合:現場での困りごとも含めて) 18:25-18:35. 10 分. 【実際受入れることになったら】. 司会. ・ 「これなら、できそう」現状で対応可能なところ ・ 「こういうことは大変かも」困難が予測されるところ ・ 「ここをこうすればできそう」工夫点. 共有. 18:35―18:40. 5分 まとめ. ・できそうなこと. 司会. 「相談しあえる」 「イメージがついた」 「安心した」 18:40-18:45. ・情報提供:困ったときの連絡先・対応について. 司会. 0:45-1:00. ・実際の機器を体験してもらう. 担当者. 5分 機器体験. バクスター社 片付け・ 解散. *1 部と 2 部を続けて実施の場合は、導入部分を短縮、意見交換(網掛け)削除し、 計 60 分程度とすることを検討。 *機器体験は 1 部終了後にまとめて行う.. 10.

(12) ③講習会の開催 (1)講習会の様子. 11.

(13) 講習会は予定したプログラムに沿って実施した.講習会の終了時,参加者に感想やプログ ラムに対するコメントをインタビューした.質問紙を用いずインタビューを行った理由は, 参加者数が比較的少人数であったことと,様々な職種の参加が見込まれ,設定時間の関係で 中座する人が多く記述が充実しない可能性があると想定したこと,今回は,対話でやり取り し内容を掘り下げたほうが有用なデータとなると考えていたためである.インタビューは 研究メンバー全員で分散して収集した. (2)参加動機 (自己紹介の際に語られた主な内容) 主には,腹膜透析について基本的なことがら,もしくは,知識のブラッシュアップを参 加動機としていた. ・看護師だからといって透析に詳しいわけではないので,一から学びなおしたい. ・病院で患者を看た経験があっても,知識のブラッシュアップをしたい. ・腹膜透析について言葉を聞くのも初めて. ・介護職にとって必要なことを学びたい. ・腹膜透析の患者をみた経験がないので,リスクも含めて,どのようにかかわると良い のか関心がある. (3)講習会中の質問,意見交換 主に,腹膜透析の取り扱いや管理方法の確認,特に入浴時の対処,カテーテルは抜け ないのか,感染についての疑問が多く聞かれた.並行して,本人や家族の生活時間に併 せて腹膜透析を行えるか,食事の確認,および,介護と看護の間での業務分担と連携を 考える際の根拠となる制度的な課題について,確認がなされた. <腹膜透析の取り扱い・管理方法の確認> ・バック交換,観察のポイント,消毒等を含む注意点. ・入浴の際の手当の仕方.消毒薬の使用について. ・排泄物などがある場合の対応.⇒シャワー浴にして流すことも可能. ・感染の原因になるのは,どのようなことか. ・高齢者の感染率などはどのくらいか.⇒高齢者は視力や指先の動きの問題で手動式で はなく器械を使う人が 8 割.器械の使用で感染率は低下している感じがある. ・チューブが抜けたり,緩んだりしたらどうすると良いのか. ・器機の取り扱いでエラーへの対応. <生活上の疑問> ・家族の生活時間に合わせて夜バック交換しても良いのか.腹膜透析の時間. ・食事はどういうものを提供すると良いのか. <医療行為との間で法制度的課題> ・どこまでが医療行為となり,看護師と介護士の分担をどうすると良いのか.介護士は どのようにかかわることができるのか. ・医療保険と介護保険の適応の範囲. 12.

(14) ・病院との連携. (4)講習会後の参加者の感想 感想として突出していたのは,<受け入れる心構え・自信,効力感>で,これならで きるとするセルフエフィカシーの高まりがほとんどの参加者に見られた. その上で具体的に看護―介護連携の課題と工夫,医療制度上の問題についての考え方 と対応などの意見交換がされた. <包括的な感想> ・このような研修会(体験がある)に初めて参加したが,大変勉強になった. ・とても楽しく,60 分があっという間だった. <受け入れる心構え・効力感,自信> ・できそうだと思え,手技については,不安がなくなった. ・バックアップしてくれるクリニック,病院があればできそう. ・入浴からの消毒の流れがわかり,どの部分をどの職種がするとよいのか,あれなら分 担できると思った. ・入浴での感染が怖かったが対処の仕方が解ったので,これでできると思えた. ・胃ろうや尿カテーテルのイメージで見ていたので,チューブが抜けることが心配で入 浴を不安に思っていたが,縫い付けてあるから抜けないことが解り,これなら受け入 れられると思った. ・チューブの交換をこちらでしなくてはならないと思って怖かったが,しなくてよいこ とが解り安心した. ・バック交換が時間厳守でないことがわかり,融通が利くことは助かる. <看介連携> ・介護士さんたちがこんなに一所懸命に研修に参加するとは思わなかった.新しい発見 があった. ・今度,看護職がしているバック交換の際に,介護職にも見守ってもらい,一緒にやろ うと思う. ・これまで腹膜透析は看護師が行うもので,介護士は関係ないと思っていた.今回の研 修で,介護士が積極的に取り組む姿を見て,これからは,排液などの際に声をかけて, 一緒に行おうと思う.排液の観察を一緒に行うことが夜間の観察点の確認と,連絡を もらうタイミングの教育になるのだと思った. ・夜間,職員が少ないときの対応の流れをしっかりして,介護職の人たちに十分伝える 必要がある. ・看護職と介護職の連携のためには,夜間の対応などある程度マニュアルを作る必要が あると思った. <介護職のかかわり方> ・腹膜透析のチューブに初めて触れた.これまで看護師が行うのを遠巻きに見ていたが, 13.

(15) これからは自分たちも看護師と一緒にかかわっていきたい. ・バック交換が終わったときに何て声をかけてよいかわからず,利用者さんを遠巻きに 見ていたが,これからは素直に「お疲れ様でした」と言えると思う. <医療的ケアの高い利用者を受け入れることへの意欲> ・医療処置のある人を受け入れる流れになってきているが,その中で腹膜透析を想定し ていなかった.今回学べたことが本当に良かった.また,他にもそういう医療処置が あると思うので積極的に勉強していきたいと思った. ・もっと積極的に受け入れられるのではないかと思えた. ・自分で腹膜透析を扱える人は元気だし,排泄の介助が軽減されるので,実は手がかか らないのではないかと思えてきた. ・これまで自分の施設では腹膜透析の利用者を受け入れてこなかったが,今後は前向き に検討していきたいと思う. <学習のセッティング> ・スライドが小さかった(席が後方で遠い)が,手元資料があってわかりやすかった. ・配布資料が解りやすい. ・今回のように大学が橋渡しをしてくれると助かる.自組織だけで研修会を組むと,今 いる利用者さんのことが中心で,新しいことを学ぶ機会が少ない. <医療制度上の課題> ・これは介護職ができるようにはならないのか?喀痰吸引よりも簡単で安全だと思う。 (腹膜透析医学会は意見書を出しているようですが、法律の問題があり実現は遠い、 とお答えしてました) <現実的な問題> ・液などの倉庫の管理,メーカーごとの違い,カテーテルが切れてしまったときの対応, 泊りの時の荷物の多さが問題になるかも. <地域住民に情報提供してゆくことの必要性> ・ご家族が看護師に聞くまででもないと思い,ケアマネージャーや介護職等,医療職で ない人に尋ねることが実際にはある.そうした医療職以外の人でも,今回の内容につ いては学びが必要だと思う. ・自分は介護職であるからこのような機会を持てた.友人,家族で透析の選択を迷って いる人が居た.もっと早くからこの内容を知っていたら,当事者の力になってあげら れたかもしれない.透析について,自分のイメージが古かったことも解った.今回の 内容を一般の人にも普及してもらうと,透析している人への見方が違ってくると思 う. 以上が講習会参加者から得た内容である. 実際には中座する参加者はほとんどなく,こちらから尋ねなくとも参加者の方から気 軽に声をかけてくださった.それでも,対話型でやりとりしたことで,参加者のつぶや 14.

(16) きや些細な疑問も含めて,疑問や意見がよりクリアに収集された. (5)スタッフ側の感想 ・正直なところ,参加者がこれほど積極的で学習意欲があるとは思っていなかった.経験 している看護職も多いことから,もっとクールかと思っていたが,講習会を実施してみ て良かったと素直に思う. ・介護職がこれだけ反応するとは思っていなかった.制度上,看護師が携わることを想定 していて介護職へのアプローチを考えていなかったが,実際にはその私たち看護職の姿 勢に問題があったのではないかと気づいた. ・最初のインタビューで,現場の看護職は,看護と介護の連携の問題を上げていたが,今 回の取り組みを,チームビルディングとして位置付けたことで看護職も介護職もお互い に壁を作っていたのは,互いに気づかずにしていたところに問題があったと気づいた. どうせ介護職は携われないからと脇に置くようにしていて,同じ利用者さんを担当して いるにもかかわらず,その利用者さんが何をされているのか分からないまま接すること の不安感と難しさを感じていたことに,看護職側が気づかないでいたことが明らかにな ったと思う.単なる制度上の問題ではなくて,チームを作っていく際の気持ちの持ち方 と連携方法の稚拙さの問題なんだと思えるようになってきた. ・透析に携わる医療者としては,これまでも介護職や市民向けに教育普及活動をしていて, かなりの数の講習会も行ってきたが,それが「つもり」だったのかなと思えてきた. ・患者教育は第 3 ステージに入っている. 「何を教えるか」から, 「どう教えるか」の時代 に入り,今は, 「ユーザーの必要な情報は何か」に着目してゆく必要がある.医療に生活 を合わせるのではなく,その人がどう生きていきたいかに医療が随伴する.個々の生活は 資源により異なる.家族の有無,近隣,医療へのアクセス,地域のサポート,もっと視野 を広く持って,謙虚に生活をみてゆくことが重要.その際,医療職は地域の人々に通じる 言語を持ち合わせていないことを痛感した. ・看護小規模多機能の看護職は,経験豊富なベテランの方が多いこともあり, 「医療依存度 の高い人だからこそ、うちに受け入れたい」という積極的な姿勢とチームの技術に自信を 持っていたことが印象深かった.しかし,看護職がこのような姿勢や技術が持っていても, 管理者が看護職でない場合、医療依存度の高い利用者を断る施設があり,実態としては 「小規模多機能」である看護多機能があることは非常に残念であった。 ・基幹病院のバックアップが整っていることは,看護多機能のスタッフ,利用者・家族に とって重要な点であったことが再確認できた. ・医療施設と異なり,福祉施設は横のつながりが希薄であることを知った.今後,これら をつないで地域全体で利用者の生活を支える仕組みを作ることも必要なのではないだろ うか. ・看護師向けの講習と,一般向けの講習があったが,一般向けの内容は一般市民に向けて開 いても良いのではないか.看護師向けのものは,手技とか専門性が上がるので,一般向け 15.

(17) を地域住民に開いていっても良い.血液透析の他に腹膜透析があることを知ることや, 「家族や知人に療法選択に迫れられる人がいて,治療法があることを知ったことで, 『確 かに迷うよね』とその迷いがあることを受け止めることができるから,もっと早く聞きた かった」と言ってくれた参加者もいた.一般の人は,何となく血液透析を知っているけど, 腹膜透析を知らない.腹膜透析は一般には知られていない. ・今後,腹膜透析をもっと地域の住民,市民に知ってもらう活動が必要.その際には,医療 者が教えたいことを伝えるのではなくて,一人一人の人生を全うするために,治療を選択 してゆくという考え方が浸透してゆくことが重要だと思う.その時,看護職がどのような 役割を担うか,期待は大きいと思えた. (6)講習会開催の評価 講習会は,3 回とも参加者からの反響も良く,我々が思っていた以上に成果があった. まず,腹膜透析を知ってもらうことに対しては,講義と体験的に実際に触れてもらうこ とで理解を得た.これが受け入れの抵抗感を下げることに繋がったと見えた. また,介護職にも開いたことで,目的にしたチームビルディングにも成果を得ることが できた.我々は当初,チームビルディングを,基幹病院の医師や看護職,栄養士などと, 看護小規模多機能の看護職間で想定していた.しかし,実際に培われたのは,これに加え て,その施設の看護職と介護職のチームワークであった.山形でも看護師と介護士に分か れはしたけれど,一緒にやっていけるという雰囲気がみられ,熊本では,実際に受け入れ 経験のある施設からの参加者が多かったためか思った以上に介護士が興味を示した.最 後まで誰一人帰らず.介護士の方がエプロンを付けて積極的に学んでくれ,介護士の方か ら自分たちがどこを見ておけば良いのか,どこを看護師と連携していけばよいのか何と なくではあるがわかったという反応があった.看護師は介護士がこんなに真剣にしてく れるとは思わなかったとの意見を得て,チームビルディングという意味では,効果的だっ たと考える. 腹膜透析は,講義に実技がついていることは割とどこの業者でもやっていることで,珍 しいことではない.しかし,介護士は実際バック交換できないので,介護士向けに研修を しているところはない.介護士にとって,実際携われなくても知らないことは怖い.知識 は欲しているということに看護師は気づいていなかったのではないだろうか. これまでも知識の伝達を目的とする講習会はあった.ただ,縦割りの講義になっていて, 看護-看護,看護―介護をつなぐという内容ではなかった.その意味で横のつなぎが足り なかったから協働できなかったのではないだろうか.チームビルディングの考え方を入 れていることがこのプログラムの特徴であり,3 回でしかないが,3 回ともその成果があ ったと考える. また,講習会の雰囲気づくりも腹膜透析の基礎的知識を理解することと,チームづくり に重要であった.熊本では講義が終わったところで,質問が出た.山形はそうではなかっ た.実際に器材に触れてデモンストレーションをしながら不安に思うこと,わからなかっ 16.

(18) たところがいろいろな人から吐露された.聞くことに抵抗感のあることや,初歩的なこと も,聞きやすい,そういう場づくりができていたことも評価できる.わかっていて当然と する何か追い込まれるような研修会ではなく,わからないと言っても大丈夫,何を聞いて も大丈夫.聞いて大丈夫なんだと思える感覚を持ってもらえたこと,これが腹膜透析への 抵抗感を少なくすることに効果を導いたと見ることができる.それには,医療職以外の事 務職など多様な立場の参加があったことが効果的だったのではないか. 熊本では,研究メンバーではなく,経験している看護師が未経験の人たちに教えていた. 少人数だから自然と些細なことを聞けた.このような会の構成が心情的に何となくある 透析に対するバリアを下げる上でも大事だったと考える. チームについては,看護師と介護士の関係もあるが,経験している看護師と未経験の看 護師,この関係性もある.経験者を見て自分もやってみようと思えたり,ここに行けば教 えてもらえると思えると安心感につながり,施設を超えてチームを作ることも可能にな った.この 2 つの面で効果が見られたと言えるのではないか.その際,看護職だけでな く,事務方やいろいろな人が入ったこと,その影響も大きいと考える. 加えて,ケアマネ―ジャーが参加してくれていたが,この人たちに腹膜透析のイメージ があると,利用者が問い合わせてきたときに断らなくなる.依頼はケアマネ―ジャーに来 るので,この効果も大きいのではないか.ケアマネ―ジャーからは, 「看護師任せだった が,家族とつなぐ際に,家族にも特殊なことじゃないよと自信を持って説明できれば,家 族も安心するのではないかと思えた」とする意見があった.ソーシャルワークがらみのこ とは,ケアマネージャーの活躍が必須で,マンパワーとしても大事である.福祉職を通じ て口承で伝わると腹膜透析利用者の受け入れが広がる力になると思える. これまで病院発信型で腹膜透析を知ってもらってきたが,熊本の話を聞いて,受け入れ た体験のある人が伝えたり,現場での情報交換できるようになっていくのがこれからの 理想だと感じた.まだ受け入れていない施設では,関心はあるものの勉強するとしたらど うしようとの迷いがある.今回の講習会が,それを受け入れている施設に聴いてみれば良 いと思えるようになるきっかけを作ったのではないか.介護施設は,施設ごとのつながり が希薄で,よそで何をしているのか分からない状況にある中で,ちょっと聞いてみようと 思える,このような機会が施設ごとのつながりの場になっていた.このようにして地域で は情報が広がっていけばよいのかなという,好循環になっていくきっかけになっていた という面からも今回の講習会を評価できると思う. 加えて,受け入れ経験のある人たちは,講義の内容を補足してくれていた.実際受けて いるから説得力もある.「これはこういうことなのね」とフォローも入れてくれていた. 腹膜透析が.看護師にとってもそれほど経験のある事柄ではないから,これからは,その ような仕組みを作っていくことが,地域で暮らす人びとを支える上で重要になると考え る.講義は時間の関係で内容が不足ではないかと不安もあったが,参加者の方で補足して くれるならこの内容でも充分だと思えた. 17.

(19) (7)プログラムの修正 ①講義 ・講義の内容は,参加者から分かりやすい,充分という評価であった.企画側から見ると 不足と思えるところもあるが,熊本での 3 回目の内容で完成とみて良いではないか. ・介護師にとって,資料の数,使いやすい.量もこれがベスト,字の大きさも,ベスト. 夕方仕事を終えてから見るのでこれ以上では集中できない. ・内容を検討するときに大事なのは時間.講義を 20 分以内に終わらせるから聞ける. ・第 1 部は介護職のみならず一般の人にまで伝わるプログラムでも良かったのかも.時 間内に終わらせるなら,介護職と一般を分けても良いかも.分けるにしても.医療者が 想定するニーズでなく,相手側の聞きたいところに応えるようにしたい. ・患者教育の内容は,医療者側が必要だと思う知識を伝える.これは第 1 世代.次に相手 の生活をイメージして必要と医療者側が察知していることを教える, これが第 2 世代. 今は,相手の生活が多様化しているので,今後どのように生きていきたいかを尊重した 上で,その人にとって重要な情報を伝えていく,どのように生きていきたいかを見据え ることに付き合いながら,本当に当事者が必要とする情報を隠さずに伝える.そういう 時代になっている.その意味で,意思決定支援が重要になっている.だからと言って, 相手にどういう情報が欲しいですかと聞いたところで,わからないことが多いので,と りあえずこういう情報があると伝えて,ニーズを掘り起こしてゆくしかない.こちらと してやってみて,かかわりあいながら,どのような生き方,生活かを見据えたうえで, まずこちらがアクションを起こして,向こうのニーズを察知して,それを互いに確認し て修正して,というプロセスを何回か繰り返す,そういう形じゃないと,本人が必要と することが見えてこない.なかなか最初から 100%使えるものはできないが,アクショ ンリサーチの手法で行ってゆく意義があるのではないか. ・一般の人に対しては,腎機能や腹膜透析についての説明,それぞれの働きと,腹膜透析 とは何かを加えていく必要があるだろう.透析とはどういもので,どういう状態になっ たときに使うのかを説明したうえで,腹膜透析について言っていかないと.この前の段 階の説明が必要.CKD(慢性腎臓病)や DKD(糖尿病性腎臓病)の人が増えているか ら.その人たちに.今選択してくださいというのではなくて,もっと前の段階から説明 できると医師の一方的なものにならないと思う.知っていると自分に合ったものを選 択できるようになるのではないか.この重要性が今回見えた. ・血液透析を選ぶのか腹膜透析を選ぶのか,市民レベルの研修会をやっていただけると, いざというときに聞いたことがあると思えるだけで,自分で療法選択するときに違う と思う. ・一般市民が知識を持つと,介護士も持たないといけない,そうやって循環していくのか なと思う. 以上の議論を踏まえて,講義の内容としては,今回のもので完成とする.市民向けのも 18.

(20) のでは,腎臓の機能とは,透析療法とはなどの一段階前の内容のものが加わると良い. ②プログラム案 ・3 回とも,元のプログラム案からそれほど修正なく実施できたため,この内容で良い. ・参加者が互いに, 「あなたがそうだったのね」と理解しあったところもあるので,所属 と氏名が解るもの ID カードを付けることにすると良い. Ⅳ.考察 1.作成した看護実践モデルの活用 看護実践モデルは,当初,腹膜透析の利用者を受け入れている施設で働く看護職のインタ ビュー結果から,患者に必要な看護時術と介護者との関係,看護をすることで役立っている 実感が抽出され作成された.ここから,腹膜透析管理のための知識と体制作り,看護職との 連携方法としての業務分担や連絡報告のための観察点やタイミング,意欲がモデルの構成 要素となり,それらの項目を講習する内容を想定した. しかし,実際に受け入れ経験のない施設の調査結果では,基幹病院で看護師が行う,腹膜 透析の取り扱い,リスク管理,観察と同等に,介護職の理解を得られるようにしたいとする 希望があった.これより,受け入れに関して見えないバリアとなっているのは,看護師と介 護士間の看介連携における,関係の取り方,連携の仕方にあると考え,教育プログラムにグ ループワークを入れ,チームビルディングを意図した. グループワークの成果として参加者の言動を見ると,腹膜透析の知識を得たことに加え て,看護職が介護職の積極性に驚き,介護職の目線からみるとこれまで遠回しに見るしかな かったという発言が出るまでになったことで新たな関係の取り方が見えてきた.この気づ きによりこれまでとは違った協働の仕方が見えてきたことが,腹膜透析の利用者の受け入 れの効力感を上げたと考える. そこで,モデルの要素として,利用者家族を支える看護小規模多機能居宅介護サービスの 内部構造になるのは互いの技術を承認し協働することと見いだされ,看護技術,介護技術と して示すことにした.また,全体の構造として,利用者・家族と看護小規模多機能を支える バックアップ体制として基幹病院と透析関連企業を位置付けた.これらの組織間の関係性 も現場の現実を反映したものと考える. このように実践的に教育プログラムと連動したモデルを作成したことで,腹膜透析を受 け入れる際の実践の可視化ができることは,受け入れを検討する施設にとって体制を整え る上での重要な情報となるため,受け入れ施設の増加につながらないかと意図している. 一方で,このモデルは,現場の実践者として看護小規模多機能型居宅介護の管理者,医療 ソーシャルワーカーを加えて研究メンバーで検討し,合意を得たものの,現状では,3 回の 講習会の成果でしかなく,参加者も限られていることから,今後も検証を重ねる必要がある.. 19.

(21) 2.腹膜透析の利用者を受け入れるシステムづくりについて 1)看護小規模多機能型居宅介護の現状 今回の結果から,看護小規模多機能型居宅介護は,訪問看護や有料老人ホームなどと併設 されており,それが施設ごとに異なることや,看護職より介護職の割合が多い施設があるこ と,そこで働く看護師も看護小規模多機能のサービスに専従する場合と兼務する場合があ るなど一様ではないことを知ることになった.ならびに,利用者が最初にアクセスする際は 福祉職が担当し,受け入れるか否かの決定に看護師が関与していないところもあるなど,現 状の看護小規模多機能型居宅介護サービスは多様であることが解った. 我々は当初この現実に驚いたが,よく考えてみると,介護施設は,医療と介護の間で社会 的なさまざまなニーズに対応すべくシステム化されてきたため,その地域のニーズや設置 主体の考え方により多様な対応ができる基盤があると見ることができる. その中で,従事する人々は,今回の参加動機に見られたように,新たな手法の学習や知識 のブラッシュアップへの教育ニーズは高く,学習には積極的であった.地域で暮らす高齢者 の支援を考えると,今後,腹膜透析など比較的経験者が少ない医療技術を用いる利用者から の問い合わせも見込まれ,その利用者からの問い合わせに,自分たちが知らないという理由 で応じられないのでは,何のための施設なのかわからない.日々進化してゆく治療や技術な どは,携わる職員の誰もが共通した教育を受けているとケアの質の均質化の面からも受け 入れる際の強みとなる. しかし,配置人数の少なさから,研修等に出かける機会を潤沢に取れないことも悩みとな っていた.その点で,今回,施設に出向いて講習会を開催したことや,数か所の施設を合同 で開催したことが職員間のチームや施設間のつながりを作る上で効果的だったと考える. また,看護小規模多機能の現場は看護職と介護職の連携が重要になる.この点は医療現場 での論理で,制度上できるかできないかを根拠に分業を考えていたところから,互いに歩み 寄って,利用者にどうしてゆくことが良いのか,利用者はどのような関りを必要としている のか,そのために誰が何を担当するもしくは誰と誰が連携するとよいのか,という視点で考 える必要性を痛感した.講義内容にも同様のことがいえる.基幹病院が透析専門に従事して きた立場から必要と思うことと,利用者が家庭で生活する際に必要なことにはズレがあり, 医療者として当然知っておくべき内容を押し付けるより,利用者の望む生活に沿ってゆく にはどうしたらよいのかという観点から対話型で一緒に考える時間となるように企画する ことが重要と考える. これらのことから,今後,医療を使いながら在宅で暮らす人びとを支える看護小規模多機 能型居宅介護サービスのスタッフに継続した教育ができるシステム作りが望まれる. 2)腹膜透析利用者の受け入れ可能性 腹膜透析の利用者の受け入れについて,受講者の感想として突出していたのは,<受け入 れる心構え・自信,効力感>で,これならできるとするセルフエフィカシーの高まりがほと んどの参加者に見られた. 20.

(22) これは,プログラムの効果として,講義で知識を得たことに加え,グループワークや体験 の際に参加者間で対話が進み,施設間,職種間の理解が進み,チームが作られていったこと, その上で具体的に看護―介護連携の課題と工夫,医療制度上の問題についての考え方と対 応などの意見交換が研究メンバーと参加者とでなされたこと,これらが参加者の受け入れ に対する自信や,意欲の高まりにつながったと考えられる. また,利用者が最初にアクセスしてきた際に担当するケアマネージャ―などの介護職が, 腹膜透析を知り不安が解消されたことも受け入れの可能性を広げると考える. 以上のことから,今回のプログラムが,受け入れる側の準備状態を作ることに有用である と考える. 加えて,プログラムの内容は,知識としても手法としても目新しいものではない.そのた め,講習会のスタッフに透析看護のスペシャリストもしくは受け入れ経験施設が入ってい れば,それぞれの地域の看護職のネットワークで開催可能であり,各所での普及も比較的容 易であると考える. その際,利用者の家庭生活の延長として看護小規模多機能型居宅介護サービスが機能す るように,その活動を支えるためには,何かあったときに相談できることや利用者の体調の 変化への対応として,基幹病院や企業のバックアップ体制があることが重要となる. 3)みえてきた課題 最後に,参加者からの希望として意見として挙がったことが3点ある.1 点目は,実際に 受け入れている施設で行った準備や工夫について知りたいというもの.2 点目は,腹膜透析 のバック交換を介護職に認めることはできないのかという制度上のもの.3点目は,講習会 を一般向けに企画することであった.1 点目について,受け入れ施設の管理者(看護職)にイ ンタビューを追加した(2020 年 2 月 28 日).講習会の際に追加資料として使えるようにま とめた. 2 点目については,腹膜透析のバック交換を介護職ができるように制度を整備してゆく必 要があると考える.吸引を例に,研修を受講し認定する形式を取ることができれば,他の高 齢者施設でも腹膜透析の受け入れが可能になり,高齢者の腹膜透析の選択者も増えると見 込まれるからである. 3点目については,“人生会議”を推奨する時代にあって,透析療法の選択は,透析をする かしないかの意思決定と共に重要な社会的問題になっている.その際,看護小規模多機能型 居宅介護サービスは,医療と介護の両方のニーズを持つ人が地域で暮らす際の情報発信の 拠点として活用できる可能性も秘めている.看護小規模多機能型居宅介護サービスが ACP の普及や意思決定支援の情報発信や相談窓口としての活用拠点となれば,地域における役 割拡大につながると考える. 医療依存度の高い人々を地域で暮らし続けることを支えるには,そのことが起こってか ら利用者の生活のサポートをする機能以外にも,医療を受ける前から人生の終焉も見据え 21.

(23) てどのように健康的な生活をするのかについて,相談窓口や受け皿にもなり,医療と在宅生 活をつなぐ情報発信基地として誰もが頼れる地域の場が必要で,そのための看護職への期 待は大きい.そのような場として看護小規模多機能型居宅化介護サービスが機能できるよ うに整備してゆく必要があると考える. おわりに 今回、共同研究者のなかには、透析に関する専門を有しないメンバーも含まれていた. この研究を通して,近年,地域包括ケア体制の構築を視野に入れ,在宅医療や在宅緩和ケア の研究も,がんに限らず,さまざまな疾患での緩和ケアのあり方や QOL の追究の仕方を考 えることが求められるようになったことを感じさせられた. 今回の研究は,高齢の終末期の透析のあり方を,在宅の領域で考えるものでもあり,これ までの在宅緩和ケアの知見も活かされるところがあることを感じた次第である. 在宅医療の研究も進み,現場の多様化も進む中で,ケアの多様性に対応できる研究者側の 学際性や,専門を異にする研究者の協働の可能性も示唆されたように思われる. 謝辞 本研究は,公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成により実施することがで. きました.深く感謝申し上げます.講習会にご参加いただいた皆様,ご協力いただきました 医療法人社団清永会矢吹病院様,医療法人社団松下会様,バクスター株式会社様にも御礼申 し上げます. 今回,この研究に助成を頂けたこと,心から感謝申し上げます. 高齢者に腹膜透析がなぜ普及しないのか,様々な理由がある中で,高齢者施設での受け入 れが芳しくないことに着目し,看護小規模多機能型居宅介護サービスを用いて,その門戸を 広げることができないかと取り組んだ研究でした.研究を進める中で,その問題には,医療 行為という制度上の問題の他に,むしろ病院と施設の看看連携,施設間での看介連携に課題 があり,その中で看護職の対応の仕方に問題があると見えてきたことは,私たち研究メンバ ーにとって大きな発見であり,自らの姿勢を考えるきっかけとなりました.そして,立場を 変えてみると,地域で暮らす生活者にとって,病院がいかに特殊な論理を持つ環境であるか を忘れ,その論理を家庭に持ち込むことを推奨してきた現実として見えてきました.この問 題は,地域の立場で活動する際に,例えば訪問看護などで,突き当たる壁として知られてい ることであり,私たちも十分に知っているつもりでいました.しかし,今回の腹膜透析の研 究を通して,それが,施設内外の看看,看介連携の問題として見えてきて,これまでの個人 への対応にとどめずに,地域ぐるみの活動にしていかないと成立しないことだと実感しま した.この気づきによって研究メンバーそれぞれが新たな課題を頂くことになりました. 今回の研究メンバーは,看護系大学教員と透析専門看護師,社会学者で構成しました.遠 22.

(24) 距離にある人たちで構成したにもかかわらず会議や講習会で集う回数も多く,日程調整が 大変でしたが,皆,この研究が楽しくて時間をやりくりして参加しました.今回の助成が無 ければ到底なし得なかったと思います.助成していただけたことに心から感謝申し上げま す.ありがとうございました. 引用文献 1)日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現状, https://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2018/pdf (2020.3.9 最終アクセス) 2)バクスター株式会社調査結果(2013):医師が考える腹膜透析療法普及の課題 3)吉金かおり他(2016):高齢腹膜透析患者を取り巻く環境と今後の課題,腹膜透析 2016, 308-9. 4)山本幸子他(2016):高齢者の腹膜透析導入における地域へつなげるための取り組み,腹 膜透析 2016,310-11. 5)平松信:透析療法の流れを変える高齢者への腹膜透析 高い QOL と尊厳を保持するた めに,医学書院/週間医学会新聞,第 2902 号 2010 年 11 月 1 日. https.//www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02902_02(2019.10.3 最終アクセス) 参考文献 ・腹膜透析ガイドライン改訂ワーキンググループ:腹膜透析ガイドライン 2019,一般社団 法人日本透析医学会,2019. ・門川俊明:レジデントのための血液透析患者マネジメント第 2 版,医学書院,2019.. 23.

(25)

参照

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