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病院会計準則(改正版)について--総則及び第1章を中心に 利用統計を見る

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中心に

著者

大坪 宏至

著者別名

Ohtsubo Hiroshi

雑誌名

経営論集

67

ページ

53-67

発行年

2006-03

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00004634/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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病院会計準則(改正版)について

― 総則及び第1章を中心に ―

大 坪 宏 至

はじめに Ⅰ、制度改革の動向  1、介護と医療  2、国民の意識 Ⅱ、準則の目的  1、経営管理目的を中心に  2、他の目的も含めて  3、目的の内容とあり方 Ⅲ、総則及び一般原則  1、総則  2、一般原則 おわりに

はじめに

2004年8月19日に、厚生労働省医制局より病院会計準則(改正版)が公表された。病院会計準則 は1965年に制定され1)、1983年に改正されている2)。その後20年以上が経過し、その間、国際的調 和化による企業会計制度の改革や、非営利組織会計分野における基準の新設等、会計分野に大きな 変化があった3)。こうした変化を勘案すれば、病院会計準則の目的からしても改定の時期にきてい たといえる。 病院会計準則の見直しに関する研究としては、2002年6月に公表された、四病院団体協議会病院 会計準則研究委員会による「病院会計準則等の見直しに関して(中間報告)」がある(以下、中間 報告)4)。この中間報告で示された見直しの特徴及び残された課題については、既に若干の考察を 加えて指摘したが5)、改定に当たっては中間報告が出発点となっているといえる。改定については、 会田一雄教授(慶応義塾大学総合政策学部)を主任研究者とする6)、厚生労働特別研究事業として 行われた7)。研究事業は15名の研究協力者によって進められ8)、メンバーの一人として参加する機 会が与えられた。そこでの議論を振り返りながら、改定の経緯と論点を整理してみたい。 わが国介護・保健・医療に対しては、社会の急激な高齢化の進展とともに、高齢者医療費の増大、

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介護給付費の増大、保険料の上昇等に関心が向けられている。これらを光の部分とすれば、病院会 計準則は病院内部の陰の部分の問題として捉えることもできる。本稿では後者に焦点を当てるが、 同時に前者にも若干言及しておくことも必要である。なぜならば、病院会計や医療法人会計の充実 は、制度改革という枠組みの中で進められるからである。そこで、最近の制度改革の動向について 始めに言及してから、本題に入っていくこととする。

Ⅰ、制度改革の動向

1、介護と医療 介護保険法の改正により、2005年10月から施設入所者の自己負担額が変更となった。約80万人が 利用すると言われている特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設の3つを対象と したものである。変更の主な内容は、負担軽減のない一定所得以上の層の標準事例として9)、共用 の居間があるユニット型個室の場合、食費の負担額が従来の月2万6千円から4万2千円に、居住 費の負担額が月6万円(従来は4万から5万円)にそれぞれ増えた。その結果、負担額計は月10万 円前後から12万8千円に増えた。相部屋の場合でも月8万1千円と、2万5千円の負担増となった。 なお、低所得者3では約1万5千円の負担増10)、低所得者2では若干の負担減11)、低所得者1では 変化なしとなった12) 自己負担額の増大は利用者にとっては苦しいかもしれないが、厚生労働省は平年度ベースの給付 総額の約5%に相当する年3千億円の削減と、介護保険料の上昇抑制を強調した13)。この変更が与 える影響は、参入が相次ぐ有料老人ホーム市場にも及ぶこととなる14)。居酒屋チェーン大手のワタ ミ㈱(東京都大田区)が介護事業に参入したことを例に挙げるまでもなく15)、低価格化も進むもの と思われる16)。その結果、富裕層を対象とした有料老人ホームと低所得層を対象とした特別養護老 人ホームの線引きは不明瞭となる。また、有料老人ホームは類似施設も含めたタイプ別の競合も激 化するであろう17)。競合することで、サービスの質が向上することを望みたいが、施設と入居者の トラブルがないように十分な配慮も必要となってくる。 次に、医療法人改革にも注目しておきたい。厚生労働省は2005年4月15日、第7回「医業経営の 非営利性等に関する検討会」に、「医療法人制度改革の基本的な方向性について(今後の議論のた たき台)」という資料を提出している。このたたき台では、「(A)非営利性を徹底した新しい医療 法人制度の将来の姿(案)」と「(B)公益性の高い新たな医療法人(仮称:認定医療法人)制度の 将来の姿(案)」が示されたが、その最大の特徴は非営利性の徹底を強く主張している点である。 例えば、剰余金の使途に関する理念規定を医療法に明確に規定することとし、剰余金はすべて医療 に再投資し、特定の個人や団体に帰属させないことを明らかにするものとした18)。医療法人の大部

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分は持ち分のある社団であり19)、出資者(社員)は退社時に持ち分に応じた剰余金を解散時には残 余財産をそれぞれ分配されることになっている。しかし、剰余金の分配をなくし20)、拠出金の返還 は拠出額の限度に限り21)、残余財産の分配は禁止している22)。また、医療法人の役員が株式会社の 役員を兼任し、かつ医療法人が株式会社から資金支援を受けているときはその会社名を開示するこ ととし23)、営利目的の法人は医療法人の社員になれない等、資格要件の明確化も示している24)。認 定医療法人についても非営利性の徹底が指摘されているが25)、税制上優遇措置を検討するとしたも のの、税率等は未だ示されていない。 たたき台で示された非営利性の徹底は医療法人が非営利性を掲げる以上、いずれは指摘されるこ とと思われたが、最も残念なことは、医療法人会計基準の作成が項目から削除されたことである。 厚生労働特別研究事業では、病院会計準則の検討に多くの時間を費やしてきたが、同時に医療法人 会計基準の必要も訴え、その基本的構想も提案したかったからである。もちろんたたき台通りに実 現していくとはいえないが、詳細決定まで一層の議論が求められる。 2、国民の意識 介護・医療の利用者は国民であり、それらの財源は保険料・税金・自己負担と、これらの提供者 も国民である。したがって、制度改革は国民が納得する形で進められなければならない。ここで、 朝日新聞社による世論調査を基に26)国民の意識を探っておきたい。 まず、日本の将来像として、負担が重くても充実した福祉を望む「高福祉・高負担」か、負担を 軽くして福祉も少なくする「低福祉・低負担」のどちらを目指すのかだが、調査によれば、「高福 祉・高負担」が50%、「低福祉・低負担」が40%となっている。高福祉・高負担のほうが多いが、 特に若い世代でこの方向性が指示されている27) 介護保険料は現在40歳以上の人が払っているが、この負担年齢の引き下げについては全体で「賛 成」が44%、「反対」は48%となっている。既に支払っている世代では、賛成が反対を上回り、支 払っていない世代では、逆に反対が賛成を上回っている28)。男女別では男性で賛成が多く、女性で 反対が多くなっている。サラリーマン層では賛成が多い29) 65歳以上の人が払っている介護保険料は2005年で月3,300円程度である。今後はこの保険料も上 昇することが予測されるが、いくらくらいなら適正だと思うかという点については、「3,000円以 内」が30%、「4,000円以内」が26%と多くなっている30) 社会の高齢化が急激に進み、年々増大する高齢者の医療費の問題があるが、この費用を誰が負担 するのが一番良いと思うかとの問いに対しては「消費税を上げて国民全体で負担する」が36%と最 も多く、「お年寄りの保険料や窓口負担を増やす」が27%、「現役世代の保険料負担を増やす」が

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23%となった。これまでの調査に比べて「消費税」が増え、「お年寄りの負担増」が減少してきて いる31)。また、75歳以上を対象にした新たな医療保険制度の創設に対しては、「反対」が58%、「賛 成」が32%と約6割が反対している。働く現役世代の負担は抑えられるが、高齢者の負担は増える ことになる新制度に対しては、強い警戒感があることがわかる。 ここでは朝日新聞社の世論調査結果を参考にしたが、制度改革を進めるうえでは、この種の各種 意識調査を参考にしながら、十分な議論をすべきである。けっして国民を置き去りにした強硬な採 決により、強引で急速な決定がなされないよう、慎重な配慮が求められる。

Ⅱ、準則の目的

1、経営管理目的を中心に 病院会計準則を見直し、改定するに当たっては、準則の目的を十分検討し、その目的を明確化す ることが必要である。まず、従来の準則ではどのように表現されていたかを示しておくと、「この 会計準則は、一般に公正妥当と認められる会計の原則に基づいて病院会計の基準を定め、病院の経 営成績及び財政状態を適正に把握し、病院経営の改善向上に資することを目的とする」とある32) 厚生労働特別研究事業においても、この目的に関して議論し検討した。そこでの論点を整理して みたい。上述の目的にある「病院経営の改善向上」を重視し、医療経営への役立ちを第一義的に考 えるべきとの意思が多数出された。つまり、経営管理目的を強調するということであり、そのため には、比較可能性を重視する観点をもつということである。比較可能性とは、当該法人内部の病院 間での比較、他法人の病院との比較、公私病院間での比較等、各種の有効な比較が考えられる。あ るいは、病院会計情報のデータベースとして、監督官庁の統計資料との比較等により、自病院の位 置付けが明確になり、組織運営の効率化を図ることができる。病院会計情報の従来の利用者は、病 院経営者、経営者以外の内部関係者、所轄官庁であったと考えられることから、経営管理目的を第 一義的とすることは当然であるといえよう。また、利用者に役立つ情報提供を行うためには、理解 可能性に配慮しておくことも重要となる。 以上のような検討の結果、改正版においては目的について、「病院会計準則は、病院を対象に、 会計の基準を定め、病院の財政状態及び運営状況を適正に把握し、病院の経営体質の強化、改善向 上に資することを目的とする。」と規定することとなった33)。改正前の従来の準則に比べ、「病院を 対象に」というように施設会計基準の位置付けを明らかにし、「病院の経営体質の強化」と経営管 理目的がより明示されている。 しかし、経営管理目的以外の目的については、詳細な明示がなされなかった。また、将来的には、 利用者の拡大や開示の可能性も考えられるかもしれない。そこで、これらの点にも言及しながら、

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若干の考察を加えてみたい。 2、他の目的も含めて 会計情報の作成・利用目的は、会計単位と関わるものである。会計単位を1つの病院施設と捉え た場合、その会計基準が病院会計準則である。一方、会計単位を1つの医療法人全体と捉えれば、 そのための会計基準として、別途医療法人会計基準の策定が必要となってくる。病院単位の会計情 報と法人単位の会計情報とでは、それぞれ作成・利用目的は必ずしも同一でない。病院単位の会計 情報は、経営管理目的を第一義的に考えることとして、法人単位では主たる目的はどうであろうか。 法人ではその支払い能力を中心とした説明責任の遂行が求められ、財務的生存能力に関する情報提 供が主たる目的となり、よって開示を前提とすることになろう。 病院会計情報と法人会計情報とでは、共通する内容もあるため、それらについては病院会計準則 に盛り込むこととし、医療法人会計基準ではそれを準用することも考えられる。病院及び法人に対 しては、医療サービス提供の安定性が期待され、その能力を維持していかなければならない。その ため、病院会計情報と法人会計情報が求められる背景として例えば、会計情報利用者の拡大や医療 経営の自己責任の強化といったことも考えなければならない。つまり、病院債等の資金調達の多様 性も考えて、債権者や投資家も視野に入れた会計情報のあり方を考えなければならない。 こうした観点から、改めて準則の目的について整理し直してみたい。従来の準則に示されていた 「病院の経営成績及び財政状態を適正に把握し、病院経営の改善向上に資すること」という目的は、 改正版では「病院の財政状態及び運営状態を適正に把握し、病院の経営体質の強化、改善向上に資 すること」となった。両者には若干の表現の相違があるものの、どちらも前半部分と後半部分の2 つの目的を含んでいると解される。 2つの目的とは、①経営実態を把握するための財務諸表作成、②経営管理に役立つ資料の提供で ある。①の目的を財務会計目的、②の目的を管理会計目的とすれば、これは包括的表現ということ ができる。 ①の目的は必ずしも開示を前提にしているとはいえない。むしろ、準則のもつ財務諸表作成のた めのガイドラインとしての機能を示しているといえる。②の目的は準則が病院施設の会計基準であ ることから、病院施設の経営管理だけを視野に入れている。つまり、組織全体(例えば、医療法人 全体)の経営管理に言及するものでない。しかしながら、準則の改正に当たっては、病院会計情報 と法人会計情報とを区別し、両者の関連を意識しながら進められたといえる。例えば利益処分計算 書を財務諸表から削除したり34)、資本の部としないで純資産の部といったこと等が挙げられる35) 準則を広く速やかに普及するためには、利用者の理解可能性を十分に認識しておかなければなら

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ない。そのためには、準則の目的を認識してもらうことが極めて重要である。そこで準則の目的を より詳細に解釈し、より具体的に明示することを次に述べてみたい。 3、目的の内容とあり方 準則で示された目的は簡潔ではあるが、より詳細に明示することにより、準則の位置付けがさら に明確になると考える。そこで、ここではいくつかの目的を列挙する形で示してみたい。 列挙の仕方としては、例えば以下のようなものが考えられる。 ①病院施設の経営管理に役立つ資料を提供すること。 準則は、病院単位の会計帳簿の正確性及び網羅性を求めるものである。従来の準則によっても、 この目的はある程度達成されてきたと考えられるが、財務諸表の有用性をより高めるためにも、退 職給付会計等も導入することとした。また、病院内部の利用者の経営判断に役立つ指標作成のため、 詳細性及び一覧性が求められる。 ②医療組織全体(医療法人全体)の経営管理に役立つ資料を提供すること。 病院施設は医療組織の中心的な一部分として位置付けられる。そのため医療組織全体の経営管理 を考える場合、個々の病院施設の財務諸表は、極めて重要な意味を持つことになる。病院会計情報 は医療組織全体の会計情報(法人会計情報)のセグメント情報として位置付けることができる。 ③医療経済の視点から政策判断の基礎資料を提供すること。 政策判断とは、マクロの視点からは診療報酬改定を指す。診療報酬改定に際しては病院の経営実 態を踏まえた方向性にすることが望まれる。一方、ミクロの視点からは地域医療計画等、提供体制 のあり方を検討する際に役立つ資料を提供する等が考えられる。 ④病院外部の利害関係者の判断に役立つ資料を提供すること。 病院外部の利害関係者とは、国・自治体・所轄官庁・債権者・投資家・患者等が考えられる。 国・自治体・所轄官庁に対しては、各種統計資料の作成に役立つ資料を提供することになる。そこ では経営管理に役立つ比較可能性が求められる。債権者・投資家に対しては、判断を誤らせないよ うな正確性及び詳細性が求められる。ただし、彼らが求める会計情報は、医療法人全体(医療法 人)のものが中心であり、病院会計情報はセグメント情報としての役立ちが期待される。患者等に 対しては、必ずしも会計情報が病院選択の資料とはなり得ない。そのため詳細性は求められないで あろうが、必要ある場合に限って、一覧性が求められることになろう。病院外部の利害関係者の ニーズはそれぞれ異なっている。それぞれの利用ニーズに見合った情報提供が望ましいところであ り、そうした情報提供を可能ならしめる会計基準として準則は設計されている。 ⑤①から④までの目的のため、病院施設の財政状態及び運営状況を適正に把握した財務諸表を作

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成すること。 以上の5つの目的達成のため、準則では区分計算等、加工情報として役立つことにも配慮したガ イドライン機能を有している。 詳細な明示の仕方の例として、5つの目的を示してみたが、別の整理の仕方も考えられる。①と ②の目的をまとめて経営管理目的とし、③と④の対国・自治体・所轄官庁の目的を行政的目的とす ることができる。したがって、次のような明示の仕方も考えられる。 ①経営管理目的 1)病院の経営体質の強化、改善向上 2)医療法人全体(医療組織全体)の経営体質の強化、改善向上 ②行政的目的 1)監督官庁の統計資料の基礎 2)診療報酬改定の基礎 3)地域医療計画の基礎 ③外部報告目的 1)対取引先(債権者も含めて) 2)対投資家 3)対患者(潜在患者としての一般市民も含む) ④財務諸表作成目的 ここでは2つの例示の仕方を試みたが、準則が必ずしも開示を前提としていないことからすれば、 患者に対する資料提供は必要ないかもしれない。したがって、外部報告目的から対患者を削除して おく方がよいのかもしれない。

Ⅲ、総則及び一般原則

1、総則 準則の構成内容については、開設主体の制度が異なっていることもあり、すべての指針を提示す ることは困難であることから、基本的枠組みを中心にまとめられている。そのため、従来同様、総 則、一般原則が冒頭に掲げられた。ここでは、これら総則及び一般原則を中心にみてみたい。 従来の準則では、第1章総則の中で、目的、適用の原則、一般原則、勘定科目及び報告様式、会 計期間、会計の区分が示されていた。改正版においては、第1章総則で目的、適用の原則、会計期 間、会計単位、財務諸表の範囲を示している。両者の大きな相違は、改正版では一般原則を第2章 として別立てにしていることである。

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総則の内容の1つめの目的については、既に前述した通りである。2つめの適用原則については、 従来の準則では財務諸表の範囲も示していたが36)、改正版ではそれを第5条として別に示すことと した37)。また、準則に定めのない取引及び事象については、一般に公正妥当と認められる会計の基 準に従うものとしていたが、そこに開設主体の会計基準に従うことも加えている38)。さらに、開設 主体が会計規則を定める場合にも、準則に従うべきとの要請は従来どおりである。なお、会計期間 及び会計単位では「病院事業」という表現を「病院」に変更したが、全体としては従来の内容を大 幅に変えることはしていない。 2、一般原則 従来の準則では一般原則を総則の中で示していたわけだが、そこでは真実性の原則、正規の簿記 の原則、損益取引区別の原則、明瞭性の原則、継続性の原則、保守主義の原則、単一性の原則の順 に7つが示されていた。改正版においても従来の形を基本的には踏襲しているがいくつかの点で違 いが見られる。 一般原則を総則と分けて、第2章とした点は既に述べたが、まず、重要性の原則を第12条として 加えたことである39)。従来の準則においては注解の注1として、重要性の原則を適用していたが40) 一般原則の1つとして含めた表示はしていなかった。それを一般原則の1つに含めることとした。 次に真実性の原則の注解として比較可能性を確保するために要請される旨を明示した41)。これは準 則の目的である経営体質の強化、改善向上を強調するものということができる。 正規の簿記の原則については、従来の規定にさらに説明を加える形とし42)、財務諸表として加え たキャッシュ・フロー計算書も本原則に従って作成されるよう、注解において示すこととした43) 重要な会計方針については、従来示されていた繰延資産の処理方法を削除した。これは貸借対照表 の資産の部を流動資産と固定資産とし、繰延資産をなくしたことによる44)。そして新たにリース取 引の処理方法等の4つを追加することとした45)。重要な後発事象については、従来挙げられていた 病院の譲渡または譲受を削除し、重要な組織の変更等は残すことにした46)。さらに、開設主体に よっては、土地や建物を無償借用している場合もあることから、その旨、その内容について、追加 情報の注記を求めることとした47) 改正版としてまとまるまでの検討過程では、いくつかの点に関して修正作業も行われた。例えば、 真実性の原則の注解としては、利害関係者に対する説明責任という視点からも真実な報告が要請さ れると考えられた。しかし、病院会計が必ずしも開示を前提にはしていないことや、説明責任を負 うのはむしろ法人組織(医療組織)の立場であるといえることから、比較可能性の確保のみを残す形 となった。

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損益取引区別の原則については、排除することも考えられた。基本財務諸表として利益金処分計 算書及び損失金処理計算書を入れなかったことと、貸借対照表の資本の部を純資産とし、資産と負 債の差額としたこと等から、当原則の必要性が低下したのではないかと考えたからである。しかし ながら、利益金処分計算書がないからといっても、損益取引と資本取引の区別は必要であることか ら、従来同様、当原則を一般原則の1つとして明示することとした。 単一性の原則については、解釈の違いがみられるものの、実質一元形式多元の考え方が多数とい える。その場合、各開設主体が、主体別の会計基準に基づいて財務諸表を作成し実質一元であれば 別の様式でもかまわないということになり、比較可能性の確保が難しくなるのではないかという懸 念も考えられた。しかし、このような考え方には無理があり当原則を除外するような説得力のある 説明にはなり得ないため、一般原則の1つとして示しておくこととなった。 重要な会計方針に記載すべき内容については、すべてをここに記載すべきかどうかの検討も行っ た。例えば重要な会計方針と財務諸表作成の前提とに分けることにより、利用者の便宜を図るため に注記するものを後者にまとめて記載すべきかどうかということである。仮にそうするとして、そ の場合には、貸借対照表原則、損益計算書原則、キャッシュ・フロー計算書原則のそれぞれの中で 示すことになり、かえって理解可能性を低下させてしまうことになりかねないと思われた。そこで、 重要な会計方針の中で記載することとした。また、会計方針の変更については、キャッシュ・フ ロー計算書における資金の範囲の変更を含めることも考えてはみたが、その必要性はないと判断し、 入れることはしなかった。 ほかにも種々の検討を行った結果、改正版の形としてまとめられるに至った。

おわりに

2005年度は介護保険改革、2006年度は医療制度改革と、保険制度や医療提供体制のあり方に関す る改革が進みつつある。介護や医療サービス提供は病院を中心に行われる。 病院の設置主体は、政策や文化等の違いから、国によっても異なるが48)、わが国においては私的 病院が7,273(2004年3月末現在)49)、公的施設が1,815施設というように私的病院が多くなってい る50)。中でも医療法人は最も多い。 開設主体が異なれば、会計基準も異なることとなる。例えば、独立行政法人は独立行政法人会計 基準、学校法人は学校法人会計基準である。開設主体に関する会計は各種基準によるが、病院施設 に関する会計処理は、こうした開設主体の別を問わず、すべて病院会計準則を適用する。そうする ことで、会計情報の比較可能性が確保されることとなる。 高齢化や医療技術の進展により、医療費は自然増加するものだが、社会では特に高齢者の医療費

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の増大が指摘される51)。しかし、一方で提供体制のあり方を検討していかなければならない。その ための有効な情報として、病院の会計情報がある。この情報を役立つものとするためにも、準則の 普及が強く求められる。そこで、本稿では、準則の総則を中心に、特に目的についての理解を深め ることとした。今後は、介護老人保健施設会計・経理準則等の見直しも必要になってくる52) なお、準則改正版の内容は幅広いため、本稿で言及できなかった部分については、別の機会に検 討することとする。 <注> 1)、昭和40年10月13日医発1233号厚生省医務局医務局長通知。 2)、昭和58年8月22日医発824号厚生省医務局医務局長通知改正。 3)、企業会計の分野では、個別財務諸表主体から連結財務諸表主体への移行、キャッシュ・フロー計算書の 財務諸表への追加、退職給付会計、税効果会計の導入等が行われた。公会計の分野では国や地方自治体の 貸借対照表作成、特殊法人や独立行政法人等の財務諸表の作成、行政コストの開示等の検討がなされた。 非営利会計の分野では、社会福祉法人会計基準の制定、公益法人会計基準の見直し等がなされる。 4)、病院会計準則研究委員会は、四病院団体協議会の委員会として2003年3月に設置され、15回の委員会及 び公認会計士委員による8回の検討会を開催している。   委員会は石井孝宣(公認会計士)を委員長とし、11名の委員、6名のオブザーバーから構成され、検討結 果は2002年6月26日に中間報告としてまとめられた。 5)、拙稿「わが国病院会計準則の見直しについて」、『経営論集』第65号、東洋大学、2005年3月、19~34頁。 6)、研究協力者は、安藤高明(全日本病院会常務理事)、五十嵐邦彦(公認会計士)、石井孝宣(公認会計 士)、石尾肇(公認会計士)、井手健治郎(和光大学助教授)、川合弘毅(日本病院会常任理事)、小林麻理 (東京富士大学教授)、小林秀夫(国立保健医療科学院経営科学部長)、鈴木克己(日医総研主任研究員)、 武田隆久(日本医療法人協会常務理事)、中野種樹(日本精神科病院協会病院管理委員会委員)、西島英利 (日本医師会常任理事)、森公高(日本公認会計士協会常任理事)、山口昇(全国老人保健施設協会会長)、 大坪宏至(東洋大学教授)である。(所属等は2003年4月時点)。 7)、厚生労働特別研究事業「病院会計準則及び医療法人の会計基準の必要性に関する研究」では、検討結果 を「病院会計準則見直し等に係わる報告書」としてまとめられた(2003年4月)。 8)、4回の研究協力者会議及び13回の専門家会議(専門家会議出席者:会田一雄、五十嵐邦彦、石井孝宣、石 尾肇、井手健治朗、小林麻理、大坪宏至)を開催した。 9)、一定所得とは、年金収入のみの人で年262万円超をいう。 10)、低所得者3は、世帯全員が市町村民税非課税で年金収入が年80万円超から年262万円以下をいう。 11)、低所得者2は、世帯全員が市町村民税非課税で年金収入が年80万円以下をいう。 12)、低所得者1は、生活保護受給者をいう。 13)、厚生労働省の推計によれば、3年毎に見直す65歳以上の介護保険料の見通しは、2005年度の月3,300円が 2006年度で4,300円、2009年度で5,100円、2012年度で6,000円としている。制度改正をすることによって、 これらは2006年度で3,900円、2009年度で4,400円、2012年度で4,900円にそれぞれ抑えられているとして

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いる。 14)、有料老人ホームの数は、多業種からの進出により、2004年に1,000施設を超えた。新規開設数は2004年で 416(2003年の約1.6倍、2001年の約4倍)にも昇っている(㈱タムラプランニング&オペレーティング (東京都千代田区)の調査による)。 15)、居酒屋チェーン大手のワタミ㈱(東京都大田区)は2005年3月、㈱アールの介護(神奈川県相模原市) を約73億円で買収し、低価格の事業モデル(定員40人、入居一時350万円、月額利用料10万8千円)で全国 展開を計画している。 16)、有料老人ホームの低価格化と特別養護老人ホームの自己負担増大により、両者の差は縮まることになり、 今後はさらに競合が進むであろう。 17)、有料老人ホームにはいくつかのタイプがある。1つめは、介護付き有料老人ホームである。これは、施 設内に専属の介護スタッフを配置したホームで、介護保険制度の「特定施設入所者生活介護」の指定を受 けたもので、タイプ別では最も多く、2004年の新規開設の約8割を占めている。2つめは住宅型有料老人 ホームで、介護が必要な場合には、訪問介護等の外部サービスを利用するものをいう。3つめは、健康型 有料老人ホームで介護が必要になった場合には、契約を解除して退居してもらうものをいう。基本として は以上の3種類型であるが、他には分譲型ケア付きマンションや類似施設(無届け有料老人ホーム)もあ る。後者については、民家や社員寮を改装したものも多く、都道府県に届け出を出していない。そもそも 有料老人ホームは「常時10人以上の老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与する ことを目的とする施設」(老人福祉法第29条)をいう。つまり、食事を外部委託したり、9人以下の定員 であれば届け出対象外ということになる。しかし、今後もこのタイプの施設は開設されるであろうし、ト ラブルを回避するためにも、定員要件や食事要件については見直しが必要である。 18)、剰余金に関してたたき台では次のように述べている。「医療法人の財政基盤としての剰余金の使途につい ては①剰余金の使途に関する理念規定、②剰余金に不適切な費用負担の禁止規定を医療法に明確に規定す ることによって、医療法人の非営利性をより鮮明にするとともに、剰余金はすべて医療に再投資すること によって地域に還元することとし、特定の個人や団体に帰属させるものではないことを明らかにするもの とする。なお、剰余金の使途に関する理念を定めるに当たっては、従来からの効率的な医療法人の経営を 硬直的なものにしないように配慮するものとする。」(2005年4月15日、第7回「医業経営の非営利性等に 関する検討会」資料、「医療法人制度改革の基本的な方向性について(今後の議論のたたき台)」) 19)、約4万ある医療法人の大部分は、持分のある社団であり、社団医療法人モデル定款第9条「社員資格を 喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる。」第34条「本社団が解散した場合 の残余財産は、払い込み済み出資額に応じて分配するものとする。」と規定されている。 20)、たたき台では次のように述べている。   「医療法人の剰余金については医療法人に帰属するものであることを医療法関係法令上明確に位置づけ、 社員の退社時に出資額に比例して剰余金が分配されないようにするものとする。」(注18に同じ。) 21)、この点に関してたたき台では次のように述べている。   「医療法人の非営利性を維持しつつ、その活動の原資となる資金の円滑なる調達に資するとともに、医療 法人の財産的基礎の維持を図るため、公益法人改革を例にしながら、定款の定めるところによって拠出金 選択できるようにする。なお、拠出金の返還に当たっては、拠出額の限度に限られ、利息を付することが できないものとするほか、清算時における弁済の順序については、他の一般債権に劣後するものとす

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る。」(同上。) 22)、残余財産の帰属に関しては、たたき台では以下のように述べている。   「医療法人が解散する場合の残余財産の帰属先については、定款又は寄付行為の定めるところによるもの とし、特定の個人や団体に帰属させるものではないものとする。」(同上。) 23)、たたき台ではこの点について次のように示している。   「医療法人の非営利性をより鮮明にするため、医療法人の役員等が株式会社など営利を目的とする法人の 役員等を兼任している場合であって、かつ、当該医療法人が資金の支援等を受けているときは、当該医療 法人は関連する営利法人の名称等を開示するものとする。」(同上。)これは株式会社の参入を明らかにし、 情報開示を求めているものである。 24)、医療法人の資格要件を医療法関係法令で明確にするとしている。   「株式会社など営利を目的とする法人は、医療法人の社員になれないことなど医療法人の社員の資格要件 や非営利法人である社員の割合について医療法関係法令上明確にするものとする。」(同上。) 25)、たたき台で示された認定医療法人の非営利性の徹底については、次の2点である。   ①認定医療法人が解散する場合の残余財産の帰属先については、他の認定医療法人、国または地方公共団 体でなければならないことを医療法上規定するものとする。   ②認定医療法人の経営を実質的に担う役員(理事及び幹事)の報酬については、認定医療法人の資産・収 入の状況からみてあまりに多額になった場合には、認定医療法人が行う事業に支障が生じる可能性がある ことから、認定医療法人が定める役員に対する報酬などの支給規定について、例えば評議員会などから求 めれば、情報開示することが望ましいものとして検討するものとする。(同上。) 26)、朝日新聞社では、全国の有権者から選挙人名簿で3,000人を選び、2005年7月9日、10日の両日、学生調 査員が個別に面接調査した。有効回答は1,795人。有効回答率は60%。回答者の内訳は男性48%、女性 52%。対象者の選び方は層化無作為2段抽出法。 27)、「高福祉・高負担」の回答割合は、20代で53%、30代で56%と高くなっている。 28)、介護保険料の引き下げについて、「反対」は20代で55%、30代で51%と半分を超えているが、「賛成」も 43%あった。40、50代では逆に「賛成」が50%を超え、「反対」が4割程度となっている。 29)、女性では「賛成」が40%、「反対」が51%となっているが、男性では「賛成」が49%、「反対」が45%で賛 成が上回っている。特にサラリーマン層では5割以上が賛成としている。 30)、65歳以上の適正な介護保険料については、「5,000円以内」も21%あったが、「6,000円以内」は2%、 「6,000円超」は1%とほとんどいなかった。「5,000円以内」の回答は男性で25%あったが、女性では 18%と少なかった。 31)、朝日新聞社では同様の調査を1999年6月にも実施している。   高齢者医療費の負担に対する回答は1999年調査では「お年寄りの負担増」が32%、「消費税」が28%で あった。2003年調査では、「お年寄りの負担増」が32%、「消費税」が30%となっている。これらが今回調 査では、トップが「消費税」で36%と大きく増え、「お年寄りの負担増」は27%に下がり、「現役世代の保 険料負担を増やす」の23%に近づいていることになる。 32)、注2の従来の病院会計準則第1条。 33)、平成16年8月19日医政発第0819001号厚生労働省医政局長通知、「病院会計準則(改正版)」第1章第1条。 34)、例えば改正版では財務諸表の範囲を貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書及び附属明細

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表とし、利益処分計算書は削除した(同上、改正版第5条)。 35)、貸借対照表科目の分類では、資本の部とせず純資産の部とし、「純資産は、資産と負債の差額として病院 が有する正味財産である。純資産には、損益計算との関係を明らかにするため、当期純利益または当期純 損失の金額を記載するものとする。」(同上第19条4)   また、貸借対照表原則注解の注9(純資産の意義と分類)で次のように示した。   「非営利を前提とする病院施設の会計においては、資産、負債差額を資本としてではなく、純資産と定義 することが適切である。資産と負債の差額である純資産は、損益計算の結果以外の原因でも増減する。病 院は施設会計であるため、貸借対照表における純資産の分類は、開設主体の会計の基準、課税上の位置づ けによって異なることとなり、統一的な取り扱いをすることはできない。したがって、開設主体の会計基 準の適用に当たっては、必要に応じて勘定科目を分類整理することになる。ただし、当期純利益または当 期純損失を内書し損益計算書とのつながりを明示しなければならない。」 36)、従来の準則では第2条1として次のように定めていた。   「病院の損益計算書、貸借対照表、利益金処分計算書または損失金処理計算書及び附属明細表(以下「財 務諸表」という。)の用語、様式及び作成方法は、この準則の定めるとことによるものとし、この準則に おいて定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うものとする。」 37)、改正版第5条財務諸表の範囲では、「病院の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー 計算及び付属明細表とする。」とした。 38)、改正版第2条適用の原則ではその2として、次のように示している。   「病院会計準則において定めのない取引及び事象については、開設主体の会計基準及び一般に公正妥当と 認められる会計基準に従うものとする。」 39)、改正版第12条重要性の原則については、次のように示した。   「病院の会計においては、会計情報利用者に対して病院の財政状態及び運営状況に関する判断を誤らせな いようにするため、取引及び事象の質的、量的重要性を勘案して、記録、集計及び表示を行わなければな らない。」 40)、従来の準則では注解において、注1として重要性の原則の適用について示していた。そこでは当原則の 適用例として、次のような5つが示されていた。   ①消耗品、消耗器具備品、その他貯蔵品のうち重要性の乏しいものについては、その買入時または払出時 に費用として処理する方法を採用することができる。   ②前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目と して、処理しないことができる。   ③引当金のうち重要性の乏しいものについては、これを計上しないことができる。   ④たな卸資産の取得原価に含められる取引費用、買入事務費、移管費、保管費等の付随費用のうち、重要 性の乏しいものについては、取得原価に参入しないことができる。   ⑤分割返済の定めのある長期の債権または債務のうち期限が1年以内に到来するもので重要性の乏しいも のについては、固定資産または固定負債として表示することができる。   改正版においては、こうした適用例はあえて示していない。 41)、改正版では、一般原則注解として、真実性の原則について次のように示した。   「病院経営の効率化を図るためには、異なる開設主体間の病院会計情報の比較可能性を確保する必要があ

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り、真実な報告が要請される。」(注1) 42)、従来の準則第3条の2では「病院会計はすべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計 帳簿を作成しなければならない。」となっていた。これを改正版では次のように3つに分けて示した。   「1、病院は、病院の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象を体系的に記録し、正確な会 計帳簿を作成しなければならない。   2、病院の会計帳簿は、病院の財政状態及び運営状況に関するすべての取引及び事象について、網羅的か つ検証可能な形で作成されなければならない。   3、病院の財務諸表は、正確な会計帳簿に基づき作成され、相互に整合性を有するものでなければならな い。」(第7正規の簿記の原則) 43)、「キャッシュ・フロー計算書は病院の財務諸表を構成する書類のひとつであり、基本的には正確な会計帳 簿に基づき作成されるべきものである。」(一般原則注解、注2) 44)、従来の準則では、注解において、注2として次の6つの会計方針の例を示していた。  ア、有価証券の評価基準及び評価方法  イ、たな卸資産の評価基準及び評価方法  ウ、固定資産の減価償却方法  エ、繰延資産の処理方法  オ、引当金の計上基準  カ、費用、収益の計上基準  これらのうち、改正版ではエだけを削除し、他はそのまま残している。 45)、追加された4つの会計方針とは次のようなものである。   リース取引の処理方法、キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲、消費税等の会計処理方法、その 他重要な会計方針。 46)、重要な後発事例として、従来は次の4つが示されていた。  ア、火災、出水等による重大な損害の発生  イ、多額の増資または減資、重要な組織の変更及び多額の借入金の繰上げ償還  ウ、病院の譲渡または譲受  エ、重要な係争事件の発生または解決  改正版ではこのうちウを削った。 47)、注8として次のように示した。   「土地・建物等の無償使用を行っている場合、その旨、その内容について注記しなければならない。」 48)、例えば、スウェーデンには公立病院ばかりであり、アメリカには株式会社等の種々の病院がある。わが 国では1950年代、60年代に医療法人が増えた。 49)、2004年3月末現在で、私的病院は7,273あり、そのうち医療法人は5,608と最も多く、続いて個人が803、 公益法人が400、その他の法人が303、学校法人が100、会社が59となっている。 50)、2004年8月現在、国が開設主体の病院は304(独立行政法人国立病院機構が154、国立大学法人が49、独 立行政法人労働者健康福祉機構が38、厚生労働省が22、その他が41)ある。2004年3月末現在、公的医療 機関は1,380(都道府県が312、市町村が766、厚生連が122、日赤が92、済生会が77、北海道社会事業会が 7、国民健康保険団体連合会が4)、社会保険関係団体が130(全国社会保険協会連合会が52、共済組合及

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びその連合会が48、健康保険組合及びその連合会が18、厚生年金事業振興団が7、船員保険会が3、国民 保険組合が2)となっている。 51)、2004年度の概算医療費(厚生労働省が集計しているもので、医療保険と公費から支払われた医療費とい う。労災保険や全額自費負担の医療費は含まない。)は31兆4千億円(対前年度2.0%増)、そのうち70歳 以上の高齢者の医療費は12兆8千億円で全体の40.6%となった。 52)、介護老人保健施設会計・経理準則(平成12年3月31日老発第378号厚生省老人保健福祉局長通知)及び指 定老人訪問看護の事業及び指定訪問看護事業の会計・経理準則(平成7年6月1日老健第12号・保発第57 号厚生省老人保健福祉局長・保険局長通知)の改正が必要となってくる。 (2005年12月5日受理)

参照

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