• 検索結果がありません。

〈研究ノート〉一人親家庭の子どもの社会化機能を支える居場所づくり: 地域における支援システム活動事例を中心に

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "〈研究ノート〉一人親家庭の子どもの社会化機能を支える居場所づくり: 地域における支援システム活動事例を中心に"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)<研究ノート>. 一人親家庭の子どもの社会化機能を 支える居場所づくり ~地域における支援システム活動事例を中心に~ 横浜国立大学大学院 環境情報学府. The making of place to stay supporting the socialization of the child of the one−parent family : 〜 Mainly on the support system activity example in the area 〜. Mie USUI. 臼井 美恵. Graduate School of Environment and Information Sciences, Yokohama National University. 博士課程後期 . 要旨 家庭の中に居場所が見つからない一人親家庭の社会化機能を支える地域における支援システムこそ、居場所の役割を担って いる。地域における支援システム活動事例を通じ、 一人親家庭が新しい社会化機能を形成するまでの過程を再解釈した。メンバー が支える居場所づくりこそ、社会化機能を果たすために重要であることを明らかにした。. The support system in an area supporting a socialization function of the one ‐ parent family home where a place to stay is not found in home takes the role of the place to stay. Through the support system activity example in the area, interpreted a process before a one ‐ parent family forming a new socialization function again. It made clear that the making of place to stay that a member supported was important to achieve a socialization function.. はじめに. よって、これまでの子どもの居場所に関する研究は、 心的状態や居場所の実践に関する研究が主流である。. 非行の低年齢化、非行の質の変化、児童生徒の多. 本研究では、地域社会のなかで対人関係の心の居場. 様な問題行動増加により、学校や家庭では対応困難な. 所を支えていくために重要であることは何か、心の居. 事例が顕著となり、地域との連携が一層必要かつ重要. 場所の意義について活動事例を通して明らかにしてい. 性を増している。サポートチームはこうした現代の子ど. きたい。. もの問題行動の課題と向き合い、実践を通し、成果を. 1. サポートチームについて. あげている。事例に焦点をあてることで、今、家庭や 学校でどのような問題が起っているのか、その事態を. 次に事例に表れる「サポートチーム」について説明. 把握し、地域や学校、行政はどのように対応・支援を. する。 「サポートチームシステム推進事業資料」平塚市. 行うべきか研究を通し、明らかにすることを目的として. 教育委員会(2007)P1. いる。 (1) 平塚市サポートチームの経緯. サポートチームの先行研究については、主にサポー トチームに直接過去携わっていた行政職員による論文. 平成 14 年度に文部科学省が「学校と関係機関との. が中心である。学者による論文は矢作(2003) のみで. 行動連携」に関する研究を開始した。これは、学校関. ある。サポートチームに関する研究が少ないため、比. 係機関との連携を行動連携にまで高め、児童生徒指. 較することが今回はあまりできなかった。しかしながら、. 導上の諸期間に対して迅速に取組める体制作りを目指. この活動は様々な問題行動のある児童・生徒に対する. したもので、平成 14 年、15 年度の 2 カ年、各都道府. 指導の在り方や支援の対策を議論するために多様に活. 県が委託を受け、神奈川県では、平塚市がこの研究を. 用できる研究である。ぜひ、この取り組みを広く知って. 推進した。この研究は、18 年度も継続していたが、平. もらえるよう、研究の意義について述べていきたい。. 塚市は、サポートチーム事業を市の単独事業として継. 居場所の定義については、今までの居場所は主に心. 続するとともに、国立教育政策研究所の地域連携研究 (注 1) を新たに受け、地域連携を一層推進している。. 理学が多く、心的状態を表現する研究が多かった。社 会学における居場所概念は少ない。 (注 1) . 問題行動を起こす個々の児童生徒に着目して的確な. 文部科学省の施策名は「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」である。. 33.

(2) 技術マネジメント研究第 14 号. 対応を行うために、学校、教育委員会、関係機関から. の交換を行うことで、初期の問題行動の発見と具体的. なるサポートチームの形成など、地域における支援シス. な対応を可能にしようとしたものが「校区内ネットワー. テムづくりを行うとともに、 「あそび・非行」型の不登. ク」である。 また、重たいケースの場合も、 「校区内ネットワーク」. 校児童生徒に対応するため、学校内外での支援の場. の存在により、 「市町村ネットワーク」へつなぐ判断が. や機能の在り方について調査を行う。. 早くできる。. 平成 18 年度以降のこの事業に関する情報は今現在. 「市町村ネットワーク」は、専門の機関で情報を共有. 調査中であるため、この論文では平成 18 年度の取り. し判断することで迅速により適切につなぐことや、互い. 組みについて述べている。. の対応を補ってより効果的なものにすることを目的とし (2)サポートチームの活動内容. ている。. 出席停止に至る前の段階で、できるだけ早期に様々 な問題行動を起こしたり、起こす可能性のある児童・. 本稿では、平塚市教育委員会で作成した『「サポー. 生徒への指導・支援を行い、問題行動の予防と解決. トチームシステム推進事業」資料』に掲載されている. を図ることの必要性を認識。児童・生徒の問題行動と. 活動事例をより分かりやすく作成し直して、事例 1 と 2. その前兆などに適切に対処し、当該児童・生徒の指導・. に再構成した。*「サポートチームシステム推進事業資. 支援を効果的に行う。. 料」平塚市教育委員会(2007) 事例 1 と 2 を居場所理論から再解釈している。この. またサポートチームは、問題行動を起こす児童生徒 に着目して、学校、教育委員会、関係機関等(警察、. ことにより、よりサポートチームシステムの推進する意. 児童相談所、保護司、地域ボランティア等)の実務担. 義を改めることができる。また社会学からの居場所概. 当者等によって組織を機動的に編成し、主に当該児童. 念を導き出すステップにつながる。. 生徒に関する情報交換、事例分析、処遇の検討、学. 2. サポートチームの活動事例 1. 習指導、生徒指導、教育相談等の支援、保護者及び 学校への援助などの活動を行う。また、実情に応じて、 問題行動等により被害を受けた児童生徒の支援を行. 「「サポートチームシステム推進事業資料」平塚市教. う。なお、サポートチームは、単に関係機関間の情報. 育委員会(2007)」 からサポートチームに関する二つ. 交換を行ったり、青少年の健全育成に関する一般的な. の活動事例をとりあげる。第 1の例は以下のようである。. 対策を協議したりする組織とは異なるものである点に留. 母子家庭男子。中学 2 年の後半から、暴力行為、. 意する。. 喫煙、飲酒、授業離脱、遅刻、無断欠席、深夜徘徊、 無断外泊、窃盗、等の 問題行動を繰り返す *(6-(1) 社会学視点と事例の解釈参照)ようになる。警察に補. (3)サポートチームの組織 日頃から校区内ネットワークで初期の非行事案に対. 導をされ、県警少年相談・保護センターの少年相談員. 応し、校区内ネットワークだけでは解決できない問題. (後のサポートチームのメンバー)とのかかわりが始ま. を市町村ネットワークで対応する。. る。. 校区内ネットワーク. 中学 3 年になると、さらに問題行動が顕著になる。. 小・中学校、保護司、主任児童委員、民生・. 校内で教師の指示に従わない、暴力行為等である。. 児童委員、少年補導員(少年警察ボランティア)、. 平塚警察署の少年補導員(後のサポートチームのチー. 地域諸団体、PTA 役員、 (関係機関、幼稚園、. フ)が継続的にかかわるようになり、情緒面、行動面. 保育園)等. の変化が見られるようになってきたので、その効果を. 市町村ネットワーク. 上げるためにサポートチームの編成に至った。サポート. 小・中学校、教育委員会、警察、児童相談所、. チームの構成として、チーフに(上記の)平塚警察署. 福祉事務所、地域の NPO 等. 少年補導員が担当した。サポーターに中学校生徒指 導担当教諭、 (前出の)県警少年相談・保護センター. 学校や地域の関係機関が一同に会して情報や意見. 少年相談員、地域の商店主(焼き鳥屋)、地域の市会. 34.

(3) 一人親家庭の子どもの社会化機能を 支える居場所づくり. 3 月、中学校区サポート委員会は、個別サポート終. 議員、民生委員・元 PTA 会長が担当した。 サポートチームの支援方針の一つに、多数の大人と. 了を決定した。家庭内の問題に対してもう少し有効な. の関係を持たせること *3-A を掲げている。実際、12. 手が打てないものか、また、もっと早い時期に支援を. 月に日常的個別サポートチーム支援活動として声かけと. 開始して効果をあげることはできないかが課題である。. 観察を行った。その成果として、少しではあるが感情. 3. 居場所研究と事例 1 の解釈. をコントロールできるようになり、個別サポートチーム の支援活動開始後、学級担任、教科担当教諭との話 ができるようになった。校外でもサポーターの方に対し. 居場所研究の観点から、この事例は以下のように解. て、進んで挨拶をするような姿が見えるようになった。. 釈できる。. また職業体験を通じ進路を真剣に考えさせるという *3-A 多数の大人との関係を持たせること. 方針に基づき、11 月に個別サポートチーム支援活動の 一環として、 〈数回の〉職業体験を行った。本人に進路. サポートチームの支援方針の一つに、多数の大人と. に対する希望と強い意志を持たせられた *3-B ことで、. の関係を持たせることを掲げている。実際、12 月に日. 1 月に就職を希望していた会社の採用が決定した。. 常的個別サポートチーム支援活動として声かけと観察. 暴力行為等の問題行動もなくなり、生活に落ち着き. を行った。その成果として、少しではあるが感情をコン. が見られるようになったが、母親が別居をしたことに伴. トロールできるようになり、個別サポートチームの支援. い、 母親との別居 *(6-(2)社会学視点と事例の解 釈参照)に当たって飲酒等の問題行動が復活した。. 活動開始後、学級担任、教科担当教諭との話ができ るようになった。校外でもサポーターの方に対して、進 んで挨拶をするような姿が見えるようになった。. 2 月にサポートチームは緊急時個別サポートチーム支. 以下、先行研究から「居場所」の構成概念の分類. 援活動を実施した。母親の説得、本人の心のケアを行っ. 表から分析してみたい。. た。当該児童においても、以前のように大荒れするま でには至らず、卒業することができた。. 表 1 「居場所」の構成概念の分類:受容・共感・連帯感要素. * 杉本・庄司(2007)P86 より引用、作成した 多数の大人との関係を持たせることで【安心感】 【 、達. える。様々な大人とのかかわりを持つことは新しい居. 成感】 、 【受容的環境】、 【受容・関心(個人要因)】、 【受. 場所を持つことであるといえる。移行危機となった思. 容される場(意味) 】以上の居場所機能が得られたとい. 春期の子供が大人と関わることで、新たな役割が構築. える。生徒にとって、特に自分のことを気にかけてくれ. される。居場所として、その危機を乗り越えることが. る他者の存在、まわりから期待されることによって、自. できたといえる。. 分の存在価値や達成感につながるといえる。こうした 機能がバランスよく保たれた結果、生徒は感情をコント. *3-B 本人に進路に対する希望と強い意志を持たせられた. ロールし、挨拶や話をすすんでできるようになったとい. 職業体験を通じ進路を真剣に考えさせるという方針. 35.

(4) 技術マネジメント研究第 14 号. に基づき、11 月に個別サポートチーム支援活動の一環. に対する希望と意志を持たせられたことは大きな成果. として、 〈数回の〉職業体験を行った。本人に進路に対. といえる。 以下、先行研究から「居場所」の構成概念の分類. する希望と強い意志を持たせられたことで、1 月に就職. 表から分析してみたい。. を希望していた会社の採用が決定した。多数の大人と 関わりを持たせるという点と、職業体験を通じ、進路. 表 2 「居場所」の構成概念の分類:役割・成長・充実感要素. * 杉本・庄司(2007)P86 より引用、作成した 多数の大人と関わりを持たせるという点と、職業体. 地域における支援システム活動の取り組みが思春期の. 験を通じ、多数の大人との関係を持たせることで【安. 子どもの危機を転換させた。新たな段階への役割移行. 心感(感情) 】 、 【連帯感】 、 【共感・連帯感(個人要因)】、. を見事に良い方向へと変化させたといえる。. 【ハッスル】 【 、役割】 【 、充実感(個人要因)】 【 、高揚感(感. 4. サポートチーム活動事例 2. 情) 】 、 【成長できる(意味) 】以上の居場所機能が得ら れたといえる。多数の大人とかかわりを持ったことで得 られた居場所機能とは違い、主に連帯感や役割、成. 「「サポートチームシステム推進事業資料」平塚市教. 長といった側面からの居場所が機能したといえる。つ. 育委員会(2007)」 からサポートチームに関する二つ. まりは、居場所機能はそれぞれの場面によって、様々. の活動事例をとりあげる。第 2 の例は以下のようである。. な要素がもたらされるといえる。その複数の機能が思 −発達段階1−. 春期の発達時期にとって重要であるといえる。 問題行動を繰り返すほどの子供がいかに成長できる. 父子家庭の小学 5 年生である。小学 4 年生から問. までになったのか、その存在がサポートメンバーの地. 題行動を起こし、児童指導担当教諭による個別指導. 道な支援と指導があるからこそといえる。目的の達成. を行い、校内生活の落ち着きは出てきたものの、遅刻、. について道筋を立てていくことは重要である。多数の. 欠席、喫煙、暴力行為、授業中の立ち歩き等の問題. 選択肢を持たせ、新たな居場所を生み出す。ここにサ. 行動が起ってきていた。また家庭との接触が一切でき. ポートチームが問題行動のある生徒に新たな役割を構. ず、生活指導面だけでなくネグレクトの疑い等も起こっ. 築していくプロセスを導き出した成果といえる。. ていた。そこで、家庭の状況の把握と家族との接触を. 事例 1 では、多数の大人との関係をもたせることで、. 図る方法を探る中で、地域の協力を得て事態の好転を. 本人に進路に対する希望と強い意志を持たせられた。. 図るため、サポートチームの編成に至る。サポートチー. 36.

(5) 一人親家庭の子どもの社会化機能を 支える居場所づくり. ムの構成として、チーフは、小学校児童指導担当教諭. よる支援活動として、民生委員が当該児童と継続的に. が担当した。 サポーターは、 民生委員・元 PTA 会長、 サッ. 接触し、生活面の指導をした。当該児童においても、. カーの学習支援者、中学校生徒指導担当教諭、自治. 9 月、新たに友人関係をつくりつつあることを確認。同. 会長、平塚警察署少年補導員、小学校長である。. 時に、新しく関係するようになった児童にも生活・素行. サポートチームの支援方針としてまず、学級の中での. 面での問題が多いことも確認し、それを踏まえて今後. 人間関係を維持できない。思い通りにならないと暴れ. の指導・支援を考えていくことを確認した。家庭生活. ることがあり、他人に対し心を開かない当該児童の話 を聞ける関係を作ることである。次いで、食事、衣服. の安定を図るについては、10 月に 父親の失業 (6* (2) 社会学視点と事例の解釈参照)を受け、12 月まで就. 等の生活上の援助である。2 月に父親に生活面のアド. 職活動の援助を行った。援助により、自治会長の紹介. バイスを行った。また 4 月と 5 月それぞれ個別サポート. で就職ができた。これを受け、12 月、少年補導員が. チーム支援活動として、転居後の生活アドバイスを行っ. 父親に小学校校長と子供のことについて相談するよう. た。民生委員、自治会長、少年補導員が住宅の契約. に説得した。1 月、少年補導員の仲介で父親と小学校. 問題を整理、アドバイスをするため、父親を援助した。. 長が会うことができた。その矢先、2 月、父親の欠勤. 民生委員を通じ新住所へ転居。その間も、民生委員が. が続く。その間、父親との生活の維持以外の方法を求. 当該児童と継続的に接触し、生活面の指導をした。ま. めて情報収集する。. た家庭の状況の把握と家族との接触を図る方針では、. 中学校進学へ向けての生活の改善については、個認. 11月に個別サポートチーム支援活動として、姉、母と. 別サポートの継続を決定した 6 月、学校において、中. 連絡。本人との面接を行い、情報交換をした。12 月. 学校への進学を意識し、 個別指導から集団生活への. に父親の職場関係の情報収集し、1 月に父親の職場の. 適応 *(6-(1)社会学視点と事例の解釈参照)を目. 社長に会った。. 指す指導をしていくことを確認した。間もなくして事態 が急変する。当該児童の体調変化に気づき、病院へ連. −発達段階 2 -. れて行く。健診の結果ネグレクトの疑いがあり、小学. 5 年生時から継続している小学 6 年生男子である。. 校長、少年補導員と連携し情報収集、児童相談所に. 6 月、中学校区サポート委員会にて、個別サポートの. 相談する。. 状況報告し、継続決定をした。サポートチームの構成 −発達段階 3 - . は、チーフに当該児童の家庭の近所に居住。児童の 姉を良く知っており、第1期のサポートチームの活動を. 小学校時よりの継続事例の中学校 1 年男子である。. 通して当該児童との良好な関係を築いている民生委員. 問題行動の内容は、怠学、集団不適応、弱者への恐喝、. (元 PTA 会長)が担当した。サポーターに当該児童. 基本的生活習慣未修得である。サポートチームの構成. に対し児童理解が進んでいる個別指導担当教諭、中. は、チーフに民生委員、サポーターに小学校個別指導. 学校進学に向けて受け入れ体制を整える中学校生徒. 担当教諭、中学校生徒指導担当教諭、児童福祉士、. 指導担当教諭、父親の相談役であり、父の職場と連. 県教委指導主事、自治会長、小学校長である。サポー. 携を担当する自治会長(市会議員) 、父の相談役、情. トチームの支援方針としては、中学校生活への適応で. 報収集を担当する平塚警察署少年補導員、当該児童. ある。4 月から継続的に民生委員による朝食と昼食 (弁. の校内の状況の把握、関係機関と連携を担当する小. 当)の支給と生活指導を行った。また、小学校担任. 学校校長以上である。. 教諭による励ましの声掛けを行い、12 月に児童福祉士. 食事、衣服等の生活上の援助については、6 月、父. による生徒への働きかけをした。中学校生徒指導担. 親の生活支援、当該児童への日常的な生活指導を通. 当教諭中心に中学校の体制整備をした。11 月、前年. じ次第に生活が改善されてきていることを確認した。. 度最終委員会以降の個別サポートチームの活動報告と. それに伴い、引き続き、7 月から 3 月まで自治会長、. チームの再編成のための協議をし、次の支援活動の目. 少年補導員は父親の指導をした。また、サポートチー. 標・方針の決定を行った。こうした取り組みにより、中. ムの支援方針の一つである当該児童の話を聞ける関係. 学校入学後、心配された不登校にはならず、正常に登. を作るでは、7 月から 3 月まで、個別サポートチームに. 校できている。普通級での通常授業、部活動への入. 37.

(6) 技術マネジメント研究第 14 号. 部と集団活動への適応もできている。個別サポートチー. の生活支援、当該児童への日常的な生活指導を通じ. ムとして協働することで第一段階の目標を達成できた. 次第に生活が改善されてきていることを確認した。ま. ことが成果である。. た、サポートチームの支援方針の一つである当該児童. 保護者に関しては、サポートチームの支援方針であ. の話を聞ける関係を作るでは、7 月から 3 月まで、個別. る、自立を促す(保護者の悪習からの切り離し)に取. サポートチームによる支援活動として、民生委員が当該. り組んだ。4 月から 11 月まで、児童福祉士、小学校長. 児童と継続的に接触し、生活面の指導をした。児童に. による保護者への指導、自治会長による保護者の生活. 対する積極的な支援や指導の成果が形となってあらわ. への助言、サポート委員長による保護者への強い助言. れていることがわかる。しかしながら、ここで重要な. を行った。12 月、児童相談所によるカンファレンスに. 点に気づいた。当該児童においても、9 月、新たに友. より、保護者の自覚を促す方向での接触への変更を決. 人関係をつくりつつあることを確認。同時に、新しく. 定。親子分離をも視野に入れた取組みを協議した。今. 関係するようになった児童にも生活・素行面での問題. 後の課題は、子どもの生活の安定のために、親の面倒. が多いことも確認し、それを踏まえて今後の指導・支. を見すぎた傾向があり、 子どもの自立を支援するのと. 援を考えていくことを確認した。という内容である。小. 同時に親の自立をどう図って行くか *(6-(3) 社 会 学 視点と事例の解釈参照)が課題である。. 学生という多感な時期に新たに作る人間関係は居場所 機能にとって重要である。居場所がないということは、 子どもたちが求める居場所を大人が居場所を奪ってし. 5. 居場所研究と事例 2 の解釈. まっているからではないか。この事例でも新しい友人 が生活面や素行面に問題がある理由で、指導や支援 を考えるとある。その後の展開は事例では記されてい. 居場所研究の観点から、この事例は以下のように解 釈できる. ないが、推測して、この児童にとってせっかくの友人関. 発達段階1:小学 5 年生の居場所. 係を築くはずが大人の判断により、関係が築けなくなっ たのではないか。こうした居場所を新たに作る大切な. 小学 4 年生から問題行動を起こし、遅刻、欠席、 喫煙、 暴力行為、 授業中の立ち歩き等の問題行動が起っ. 時期に大人は問題のある児童に近づくと、自分の将来. てきていた。また家庭との接触が一切できず、生活指. がだめになってしまうという間違った社会化を植え付け. 導面だけでなくネグレクトの疑い等も起こっていた。家. かねない。. 庭の中で居場所が築けないケースといえる。居場所を 形成していくうえで、完璧に家庭のなかに居場所機能. 発達段階 3:小学校時よりの継続事例の中学校 1 年. を築くことが難しい家庭がいかにして、居場所機能を. 男子の居場所. 築き上げていく過程へ導かせるのか。サポートメンバー. サポートチームの支援方針としては、中学校生活へ. が重視したことは、他人に対し心を開かない当該児童. の適応である。4 月から継続的に民生委員による朝食. の話を聞ける関係を作ることである。次いで、食事、. と昼食(弁当)の支給と生活指導を行った。また、小. 衣服等の生活上の援助である。また、父親に生活面の. 学校担任教諭による励ましの声掛けを行い、12 月に児. アドバイスを行った。その間も、民生委員が当該児童. 童福祉士による生徒への働きかけをした。この事例で. と継続的に接触し、生活面の指導をした。そして、家. は注目すべきは大人側の積極的な指導や支援である。. 族の中に居場所をつくるうえで、家庭の状況の把握と. 弁当の支給、生活指導、声かけなどである。命題で. 家族との接触を図る方針では、11月に個別サポート. は友人や家族の居場所の重要性を伝えているが、それ. チーム支援活動として、姉、母と連絡したことが成果. 以外の他者によるかかわりが非常に重要であるといえ. につながるといえる。情報交換をすることで、家庭の. る。結果として、中学校入学後、心配された不登校に. なかの居場所は機能し始めたといえる。. はならず、正常に登校できており、普通級での通常授業、 部活動への入部と集団活動への適応もできている。個 別サポートチームとして協働することで第一段階の目標. 発達段階 2:小学 6 年生の居場所. を達成できたことが成果である。. 5 年生時から継続している小学 6 年生男子である。 食事、衣服等の生活上の援助については、6 月、父親. 38.

(7) 一人親家庭の子どもの社会化機能を 支える居場所づくり. 以上事例 1と事例 2 それぞれの居場所研究の解釈を. 両方のバランスがそれぞれ役割されていることが居場. した。居場所は非常に重要な役割を担っていると同時. 所であり、その中間を支えていくことがサポートメンバー. に、先行研究でいわれる居場所概念をしっかり明確化. とのかかわる居場所である。自分が支える居場所とサ. する必要性があるといえる。心理学が主に中心とされ. ポートメンバーが支える居場所がバランスよく保たれる. ている居場所研究について、社会学の視点ではどのよ. ことで、安定的な状態が続くのである。ライフコースの. うに解釈されるべきか、検討する意義がいるといえる。. 過程を通じ、人生の選択肢がさらに広がる。この時期. 心理学で述べられている概念とは違った視点から見ら. に見せる子どもたちの行動は生きる重要なプロセスと言. れると期待している。. える。 適応についても、中学校への進学を意識し、個別. 6. 社会学視点と事例の解釈. 指導から集団生活への適応を目指す方針を掲げた。 問題行動を繰り返してきた当該児童にとって進学は大 きな人生の岐路である。大切な時期に、家族が問題を. それでは次に社会学研究の観点から、事例 1 と 2. 抱え、どのように児童は進学の準備ができるだろうか。. でポイントとなるキーワードは以下のように解釈できる。. サポートメンバーの役割は児童の意識を変化させた。 (1)社会化と思春期危機~問題行動と適応から考える. 問題と向き合いながらも集団生活の適応ができた。さ. 社会化の過程、主に危機的状況これは居場所と関. らに、徹底的な声かけや生活指導の結果、児童は学. 係あるのではないか。新たな段階へ移行することは、. 校のなかに居場所ができた。サポートメンバーの支え. それまでの段階における役割構造や勢力構造などの生. が児童の移行危機をつまづくことなく、新たな役割に. 活パターンを、新たな状況に適合するように変革する. 移行させた。問題行動を繰り返す児童生徒の移行危. ことにほかならない。ここにみられる家族危機は、そ. 機と向き合うサポートメンバーがいることで、児童生徒. の克服の失敗がただちに家族崩壊につながるのではな. は適応指導にも前向きに取り組み、集団生活のなかで. く、それらが蓄積されることによって家族統合が失わ. 新たな役割を形成させることができたといえる。. れていくという性格をもっているとしている。問題行動. 子供が人間関係に悩む際、大人側が圧力や期待を. を繰り返す背景に緊張を伴った、問題を抱えているこ. かける。子供がここを居場所としたいとする時間や空. とが事例からも読み取れる。父親の失業や欠勤、ネ. 間にこそ居場所は機能する。居場所において移行期間. グレクト、母親の別居など、家族の問題を抱えている. は重要であるといえる。. 子どもは常に緊張状態にいる。その子どもが緊張を解 (2)親子関係と社会化~父親の失業と母親の別居か. 消する手段が問題行動である。それはサインでもあり、. ら考える. 居場所でもある。問題行動を起こすことが悪いことで はなく、むしろ問題行動により、子どもたちにとって自. この家族における社会化は、父親像と母親像のそ. 分を表現できる居場所である。ときに問題行動を繰り. れぞれの役割期待による圧力が要因の一つといえる。. 返すなかで、逃げたり、先回りして、その場を避けたり. 父親の失業や欠勤、母親の別居はサポートメンバーに. する。それも重要なサインであり、そのときの状態は. とって、まさに予期しなかった出来事である。サポート. 要求を阻害し、一種のひきこもり状態となる。ネグレク. メンバーが現状を打破しようと支援方法に翻弄してしま. トによる体調の変化や母親の別居による問題行動復活. う場面もみられた。相互が役割緊張という状態で模索. はまさに、その状態に陥っているサインといえる。この. している様子がみてとれる。どちらも親として役割を果. ときに親が問題を抱えていると、子供の心身にも影響. たす姿は子供にとって、しっかり家族を支える立派な. を与える。この事態にサポートメンバーの支えが改善に. 父親、母親である。しかしながらその父親像も母親像. 向かわせた。問題を抱えている家族に対する支援の在. も築けない。これは一人親家庭が生み出す母性欠如、. り方が一層重要である成果といえる。サポートメンバー. 父性欠如である。そして父子家庭、母子家庭としての. の様々な価値観をもった役割期待があり、その役割期. 父親の役割モデル、母親の役割モデルがないというこ. 待が緊張状態を緩和していく効果が生まれる。パーソ. とと関連しているといえる。事例 2 のように、父親の. ナリティ形成を保つうえで、正常な状態と不安な状態、. 失業が原因で、さらなる家庭は崩壊していく。その前. 39.

(8) 技術マネジメント研究第 14 号. 兆に、ネグレクトの疑いがみられた。背景には父親の. か。思惑というべき、サポートメンバーの裏の部分が. 役割期待と関連しているといえる。必ずしも役割期待. 父親にとっては重い負担になったと言える。父親による. が成就するとは限らない。その家庭がまずは父親像の. ネグレクトを機に、この家族はさらなる移行役割を築. 役割期待、母親像の役割期待に適応できるパーソナリ. きあげる。. ティ形成が築いていけるか、向き合わなければならな (3)家 族機能の変化~子どもの自立と親の自立から. い。圧力によって緊張がもたらすメカニズムを把握し、. 考える. 個人個人に見合ったパーソナリティ形成を築くことであ る。また事例 1 の母親の別居については、母親という. 事例 2 では親子分離が協議された。また課題として. 役割からもたらす圧力はいわゆる、母親の役割特有の. 親の面倒を見すぎた傾向にあった。この事例では新た. 「葛藤」の拡大がみてとれる。母親の葛藤は、いつし. な家族形成に踏み込んだ。親子分離という選択である。. かストレスとなり、子どもに対し、その感情は攻撃的と. その発想と転換こそがこの事例の大きな成果といえる。. なる。それが激しくなると、虐待につながる。子どもに. 人間関係において特に親子関係においては、思春期の. とっても心身に影響をもたらす。一方で、別居により、. 時期に親との関係を離すことはさらに子どもの問題行. 子供の移行危機が新たな役割につながった。その過. 動を加速させるといわれる。この事例を見る限り、そ. 程においてサポートメンバーという他者がかかわったこ. の結果には至っていない。むしろ良い方向につながり、. とが大きな成果といえる。. 子ども自身の発達においても良い働きかけとなった。. 父親の失業は、単に仕事が嫌になったのでは決し. 緊張関係にある親子にとって緩和されることは次のス. てないと考える。例えば、父親にとって仕事ができる、. テップにつながる。居場所はその移行のつなぎ役でも. 生活を支える、家族の大黒柱でいる、このような父親. ある。親子関係がぎくしゃくしている時期をステップ 1. の理想像がかえって父親の緊張となり、不安に移行し. とする。親子分離によって次の段階に進む、それがス. ていく。期待という父親の役割が果たしきれなかった. テップ 2 である。このステップを踏む手段の多くは親. ことによる、父親の移行危機といえる。その間、サポー. 子だけで移行から移行という過程であった。その移行. トメンバーが相談役に寄り添っていた。にもかかわら. の際にサポートメンバーが関わることで、その緊張が. ず失業した。サポートメンバーにとっても期待をもちす. 緩和され、より良い関係を築ける。このステップにかか. ぎた可能性もある。父親がもたらす問題について、根. わるサポートメンバーと親子の間に居場所は形成されて. 本的に原因をつかめていなかった。そのため、順調に. いったといえる。課題として親の面倒を見すぎたとある。. すすんだ矢先に予期しなかった危機が起きてしまった。. 評価の際の甘さがうかがえる。基準をもつこと、それ. これを機に父親の就職活動は続くものの、 就職が決まっ. が自立支援にとって重要なことといえる。親にとっても. ても欠勤があり、不安定な生活が続いていく。この失. その面倒見の良さを心地よい場所ととらえる一方、すべ. 業が家庭のなかで大きな転換につながっていく。. てやってもらえる感に甘んじて、パーソナリティ形成は. 父親の失業という移行変化が、子どもに影響をもた. 築けなくなってしまう。特に一人親家庭においては父親. らす思わぬ方向へ急変させてしまう。当該児童の体調. の役目だけでなく、母親の役目もこなさなくてはいけな. 変化に気づき、病院へ連れて行く。健診の結果ネグレ. い。普段母親が行う役割を一人親家庭では父親が補. クトの疑いがあり、小学校長、少年補導員と連携し情. わなければならない。そこでサポートメンバーが母親. 報収集、児童相談所に相談する。父親の失業と欠勤. 的役割を担っていく指導方針は良かったのだが、そこ. の狭間で起きたネグレクトは偶然とはいえない。むし. で基準を定めず、どんなことでもサポートメンバーがす. ろ、父親の居場所の身のおきどころがなくなったサイン. べてこなすという方針では、父親がこなさなければい. にネグレクトという行動によって、その SOS を発した. けない役割の機会を失わせてしまう。課題と向き合う. のである。また、父親のネグレクトは父親像の役割期. にはやはり一定の評価の基準を定め、しっかりと父親. 待と関連している。父親に向けられる圧力が今回の問. の役割、母親の役割それぞれを指導することが重要と. 題につながった。さらにサポートメンバーがいながらの. いえる。. 問題ということで、サポートメンバーが指導のなかで居. 父親の問題をどのようにして向き合うか、それは子. 場所を見出す際に期待を過度にもたらしたのではない. 供の居場所にとっても重要である。この事例は様々な. 40.

(9) 一人親家庭の子どもの社会化機能を 支える居場所づくり. 家庭の問題と向き合う家族の姿とサポートメンバーの. 期待に応えたという達成感が行動にあらわれている。. 姿、それぞれの相互作用の過程がみてとれる。居場所. 一方的に大人が子どもに役割期待を与えたことで状況. というのは、相互作用が相互に働くことで成り立つだけ. が良い方向に向けられたのではなく、子ども側がその. ではない。1 つに相互作用が成り立たないときの機能. 期待に応えようと努力をしたのである。様々な評価によ. が非常に重要であること、またもう一つ、その際に家. り、その評価に応えようとした子どもの意志が形になっ. 族だけの相互作用だけでなく、他者の相互作用を機能. たといえる。問題行動に走ることなく、ただ真面目に. させることが重要であることがいえる。事例はそれぞ. 学校で勉強に励むことが理想とする子供像である。な. れの場面の過程を読み取ることができる。失業、欠勤、. かにはこの期待によって子どものパーソナリティが歪ん. その間のネグレクトまさに家庭の移行危機が居場所機. でしまうこともある。しかしながら、この相互作用がも. 能を働かせるきっかけになったといえる。このようにぶ. たらす期待は子供の発達に重要な働きかけをみせる。. つかりあう家族間に対する支援を他者に委ねる。これ. 第三者の存在がもたらす人間関係の緩和が子供の発. もまた、現代では非常に困難とされているが、こうした. 達にとって重要な役割期待といえる。期待とは様々な. 取り組みが行えるサポートチームは、事業として大きな. かかわりによって多くの選択肢により、多様なパーソナ. 役割を担ったといえる。. リティ形成を生み出す。サポートメンバーとのかかわり によってもたらされたいくつもの変化こそ、期待による. 7. 再解釈によって得られた成果. 相互作用が機能していく。大人と子供がそのなかで繰 り広げられるストーリーこそ、まさに居場所といえる。. 問題行動を繰り返してきた当該児童生徒にとって進. おわりに. 路は大きな人生の岐路である。誰もがこの移行の問題 に直面するとは限らない。しかしながら、子供が移行 の問題と向き合う時期に、サポートメンバーの役割が. まとめとして、事例それぞれの家庭においては、そ. 児童生徒の意識を変化させ、その指導といえる居場所. の居場所機能が果たされていない。受け皿となる居場. が大きな支えとなった。例えば、事例での職業体験や. 所がない家庭は、社会からレッテルを貼られ続け、孤. 集団適応指導は、大人と多数かかわることで、より明. 立していく。その受け皿となったのが地域における支. 確な選択肢が広がった。独自の支援により、子どもた. 援システム活動である。支援活動を行い、心のケアや. ちの進路や進学を実現させた。サポートチームという. 説得を続けた成果が子供の行動からも見てとれる。と. 取り組みは現代社会のまったく逆の発想といえる。一. くに一人親家庭という環境ゆえの葛藤と不安が交互に. つは、誰かが手を差し伸べても、それができない世の. その家庭に緊張をもたらした。また一人親家庭は地域. 中におっせっかいともいえる大人がいること。もう一つ. から孤立しやすく、多くが問題を抱えている。その問. は、それを期待している家族や子供が初めてその期待. 題を家族だけの問題にするのではなく、社会のなかで. に応じてくれる他者と出会えたこと。まさに相互作用の. その問題と向き合うことが重要である。問題行動を繰. 役割が機能したといえる。また家庭の中でどちらかの. り返すことが歩む人生ではなく、可能性のある選択肢. 親が欠けていることが子どもにとっても、親にとっても. を持たせる意志が子どもたちに芽生えたといえる。期. その影響力が非常に強く、より家庭崩壊につながるこ. 待とは様々なかかわりによって多くの選択肢により、多. とが事例を通して証明された。サポートメンバーとのか. 様なパーソナリティ形成を生み出す。変化する移行期. かわりによってもたらされたいくつもの変化こそ、期待. 間に、幾度も繰り返される期待と危機を乗り越える術. による相互作用が機能したといえる。大人と子供がそ. の橋渡し役的役割がサポートメンバーの居場所ではな. のなかで繰り広げられるストーリーはまさに居場所を築. いだろうか。. けた成果である。. 今後の課題として、政策の意義について今一度改. 多数の大人とかかわることは、多くの選択肢の可能. める必要性がある。少年非行事例等に関する調査研. 性を広げられる。他者の期待に応える機能を複数みせ. 究報告書(2005)P90 によると「問題行動に対する地. ることにより、多面的に未知の可能性を引き出させ、さ. 域における行動連携推進事業の施策の効果について、. らに安堵感につながった。これらが合わさり、他者の. ①警察や児童相談所と連携した指導により、少年の罪. 41.

(10) 技術マネジメント研究第 14 号. 【文献】. 障感や規範意識を高めるための指導を行うことができ. 小沢一仁(2001) 「自己理解、アイデンティティ、居場所」. る、②関係機関等との連携でより多くの大人が少年に. 『東京工芸大学工学部紀要』、23、2、94-106. 関わる中で好ましい大人像を持つことができ、周囲の 人間を信頼することができるようになる、③指導員が. 小畑豊美・伊藤義美(2003) 「中学生の心の居場所研. 少年の話をじっくり聞くことによって、心情的にも安定. 究-感情と行動及び意味からの考察-」 『情報文化. するとともに、本人の学力に応じた個別指導で学習意. 研究』、17、155-167 「少年非行事例等に関する調査研究」企画分析会議. 欲を持つようになる以上のような変化がみられ、問題. (2005) 「少年非行事例等に関する調査研究報告書、. 行動がなくなると考えられると」としている。. 90. 施策で掲げられた効果については、今回の活動事. 杉本希映 庄司一子(2007) 「子どもの「居場所」研. 例で再解釈されたものとかけ離れているように感じられ る。施策の効果そのものの焦点をきちんと改める必要. 究の動向と課題」 『カウンセリング研究 』、40、1、. がある。. 81-91 住田正樹 南博文(2005) 『子どもたちの「居場所」と. 焦点にするのであれば、本来、思春期の子供を持. 対人的世界の存在』九州大学出版、3-17. つ家庭において家庭のなかにこそ居場所があるという. 田中麻貴 田嶌誠一(2004) 「中学校における生徒の. 視点を考え直すべきである。事例 1 と 2 のように、家 庭の中に居場所がないことにより、特に一人親家庭は. 居場所に関する研究」 『九州大学心理学研究』、5、. 家族崩壊につながることを明らかにした。また事例 2. 219-228. の父親の失業やネグレクトの背景に、家庭の中に居場. 富永幹人 北山修(2005) 「青年期と「居場所」」 『子. 所がないうえ、サポートメンバーによる過度の期待が圧. どもたちの「居場所」と対人的世界の存在』九州大. 力となった点にも注目したい。施策として掲げる大人像. 学出版、381-400. を築きあげる行政側の期待と、家族がそれに応えるこ. 中村泰子(1998) 「居場所イメージの発達的変化-○. とができない現実のジレンマがそこには生じた。この. △□法の基礎的研究として-」 『児童・家庭相談所. 相互の距離感こそ重要であり、これこそが居場所を機. 紀要』、15、45-56 平塚市教育委員会(2007) 「サポートチームシステム推. 能していくうえで、深く掘り下げるべき課題である。居. 進事業」資料. 場所を提供するだけの解決で終わらせるのでなく、提 供しても居場所とならない時にどう支援すべきか、とい. 松田孝志(1997) 「現代高校生における居場所の内包. う視点にたって、はじめて居場所づくりが成り立つので. 的な構造」 『筑波大学教育学研究科カウンセリング. ある。こうした家庭にこそ、しっかりと向き合う居場所. 専攻修士論文抄録集』、31-32. が必要であるといえる。家庭破壊の構造を緩和する作. 矢作由美子(2003) 「少年サポートチームの現状と課題. 用がこの活動事例の成果である。より研究する意義が. -非行少年の心のサインが聞けるチーム作りへ」 『教. あるだろう。居場所と家庭のなかの「生きづらさ」を視. 育研究紀要』、12、69-78. 点に、移行する役割期待と他者との期待の相互関係を 理論展開していき、新たな居場所概念を導き出したい。. 42.

(11)

参照

関連したドキュメント

 母子保健・子育て支援の領域では現在、親子が生涯

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

This paper develops a recursion formula for the conditional moments of the area under the absolute value of Brownian bridge given the local time at 0.. The method of power series

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

Maria Cecilia Zanardi, São Paulo State University (UNESP), Guaratinguetá, 12516-410 São Paulo,

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

In our previous paper [Ban1], we explicitly calculated the p-adic polylogarithm sheaf on the projective line minus three points, and calculated its specializa- tions to the d-th

In order to be able to apply the Cartan–K¨ ahler theorem to prove existence of solutions in the real-analytic category, one needs a stronger result than Proposition 2.3; one needs