1990年代以降における中国朝鮮族農村の変容 : チーリン(吉林)省チャンパイ(長白)朝鮮族自治県シーアルタオコウ(十二道溝)村を事例に
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(2) 第4章 中国の朝鮮族農村の変容と発展対策. ・ンパイ朝鮮族自治県の朝鮮族社会を中心に社会現状. 第1節 農村地域における朝鮮族の変容. と変容を指摘し,それに対する発展対策について触. 第2節 発展対策. れている。第1節では,主に4つの変容を指摘した。. 結論. 一つ目は農業経営体制の変化と産業構造の変化であ. る。主に農業構造は第1次産業の比重が第2次,3 皿 研究の概要. 次産業より低くなっている現状が明らかになっ. 第1章では,中国朝鮮族の概要について説明し,. た。二つ目は出稼ぎブームによる朝鮮族農村の疲弊. 分析した。まず中国朝鮮族は土着住民ではなく,朝. 化である。三つ目は朝鮮族人口の減少である。四つ. 鮮半島から移住してきた朝鮮人の子孫であることを. 目は朝鮮族教育の危機である。それらの根本的な原. 確認した。次に従来は東北三省を中心として分布し. 因は若い朝鮮族人口の出稼ぎなどによる再生産. てきた朝鮮族社会が変容し始めたのはいっからなの. 年齢人口の減少であるということが明らかにな. かという疑問から,改革開放政策が中国朝鮮族社会. った。それから,問題の解決方向として三つの改善. に与えた影響について分析した。主に土地制度の変. 対策を提出した。一つ目は民族経済環境に対する改. 化,戸籍制度の緩和など制度の変化による中国の朝. 善案,二つ目は民族人口政策に対する改善案,3つ. 鮮族社会の全般的な動きについて把握し,明らかに. 目は民族教育,民俗文化の復興に対する改善案を提. した。. 出している。. 第2章では,中国で唯一の朝鮮族自治県であるチ ャンパイ朝鮮族自治県について考察した。主にチャ. w 成果と課題. ンパイ朝鮮族自治県の地理位置から,行政区域状況,. チャンパイ朝鮮族白治県の朝鮮族の社会は伝統的. 民族,人口,経済などについて詳しく説明し,特に. なものが崩壊すると同時に,人々の中心的な関心は. チャンパイ朝鮮族自治県の人口特徴,民族教育の発. 経済の問題となり,朝鮮族の人口移動の活発化をう. 展プロセスと現状について把握した。その結果,チ. ながし,またその人口移動により,様々な社会的問. ャンパイ朝鮮族自治県の朝鮮族人口の増加率は. 題が引き起こされている。本研究の主な成果は,二. 2009年から減っていると同時に,チャンパイ朝鮮族. 点ある。第1に,出稼ぎ先は国外の韓国への出稼き. 自治県の幼稚園,小学校,中学校の被教育者の総人. より国内への出稼ぎ人数が多かったことを見出した. 数も減っており,既に民族教育の危機が表れている. ことである。第2に,出稼ぎの開始時期は,ほかの. ことが明らかになった。. イエンピエン朝鮮族自治州地域やヘイロンチアン省. 第3章では,現地調査を行ったシーアルタオコウ. の朝鮮族地域より遅かったことを実証したことであ. 村の朝鮮族社会の変容について検討した。結果,朝. る。. 鮮族労働力の移動,再生産年齢人口の減少,朝鮮族. 本研究で指摘した今日の中国朝鮮族がかかえる問. 小学校の児童数と中学校の生徒数が減っていること. 題の中でも中国朝鮮族の教育の危機は,民族アイデ. が明らかになった。さらに,聞き取り調査をした134. ンティティーの問題にまでその影響が及んでいる。. 人の朝鮮族人口のうち,半分以上は出稼ぎで村外に. これからも,中国における朝鮮族たちの生き方はど. 居住し,地元には若者がいなく,1人暮らしをして. う変化していくのか,既に現れている民族教育の危. いる世帯,老人と子供が生活している世帯,空き家. 機による民族のアイデンティティーの問題は今後の. になっている世帯が多く,朝鮮族の世帯構造が大き. 一つの大きい課題だと考えられる。筆者は続けて朝. く変化していることが明らかになった。. 鮮族社会の動きについて注目し,研究していきたい。. 第4章では,朝鮮族社会環境の変化を把握した第. 主任指導教員 吉本 剛典. 1章から第3章までの内容をとおして,現在のチャ. 指導教員 南埜 猛.
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