アメリカにおけるスクールカウンセリングに関する研究 : アメリカスクールカウンセラー協会(ASCA)の取り組みを中心として
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(2) 〈目的〉. 全国基準に基づいたスクールカウンセリ. (1)スクールカウンセリング職の支援. ング計画を実施するために,議論,計画,. (2,スクールカウンセリングにおける専. 構想,補強,評価の5段階の手順が示され ている。今までの計画の見直しや児童・生. 門的発達の機会の提供 (3)新しい支援サービス向上のためにビジ. ョンをもった指導力の提供 (4)有効な組織的構造,政策の遂行. 4 全国基準の内容. 徒のニーズの把握した上で,何のために,. どのような方法で,その結果何が変わるの. かといった話し合いをすることで共通理解 が生まれる。全国基準の実施のために評価 が可能な内容が設定されていることが特徴 的である。. 全米規模の全国基準の流れを受けて,. ASCAは1997年にスクールカウンセリン. (2)評価. 進していく上で,すべての生徒に対して同. 全国基準は,教育界,産業界のリーダー 達から高い評価を受けている。「カウンセ リングと関連教育プログラム認定協議会」. じ目的,目標,支援システム,経験を提供. (CACREP)の「2001年CACREP認定基準」. でき,SC,管理」職,教員,親,企業,地. に採用されるように21世紀のスクールカ. 域が生徒の学校における成功のために果た す役割を明示している。. ウンセリングの優秀性を表す基準になると. グ計画のための全国基準を発行した。全国 基準は,スクールカウンセリング計画を推. (1)枠組み. 思われる。. 6 総合考察. 教育的発達,キャリア発達,個人的・社. 会的発達の3つに分かれ,それぞれの分野 において達成基準が決められている。. (2)構成要素とSCの役割規定 ・カウンセリング(個人,小集団) ・コンサルテーション ・コーアイ不一ンヨン. ・ケースマネージメント ・ガイダンスカリキュラム ・評価・計画. ASCAが全国基準を発行したことで,ア メリカのスクールカウンセリングに新たな. 基準をもたらした。目標,構成要素,SC の役割,活動の実践例を見てみるとスクー ルカウンセリングプログラムは学校教育全 体を視野に入れた包括的なプログラムにな っている。. 我が国のスクールカウンセリングの発展 にとって必要なことはSCの役割や位置づ けを含めた教育相談システムの再構築であ. 児童・生徒の発達ニーズに応じて校種別. る。そのためには,校内体制の抜本的な見 直し(コーディネーターとしての教育相談. にSCの役割が具体的に規定されている。. 係の果たす役割は重要と考える。)と日本 独自のスクールカウンセリングの理念が必. 5 全国基準による実践及び評価. 要である。. 主任指導教官 上地安昭 (1)実施のための手順. 指導教官 野並光俊.
(3) 学位論文. アメリカにおけるスクールカウンセリングに関する研究 一アメリカスクールカウンセラー協会(ASCA)の. 取り組みを中心として一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 生徒指導コース. 吉 川 早苗 Sanae KIKKAWA.
(4) 目 次 1 問題の所在と研究目的. 1. 1.1日本におけるSC導入上の課題. 1. 1.1.1 学校現場とSCの困惑. 1. 1.1.2 SC活用事業の分析. 3. 1.1.3 日本におけるSC導入上の問題点. 14. 1.2 先行研究及び研究の目的と方法. 18. L2。1アメリカのスクールカウンセリングに関する先行研究. 18. 1.2.2 研究の目的と方法. 22. 2 アメリカにおけるスクールカウンセリングの概観. 30 30. 2.1スクールカウンセリングの歴史的発達と学際的基礎 2.1.1スクールカウンセリングの創立から発展へ(1990年代∼1970年代). 30. 2.1.2 「危機に立つ国家」以降のスクールカウンセリング(1980年代以降). 32. 2.1.3 スクールカウンセリングにおける学際的基礎. 42. 2.2SCの役割. 47. 2.2.ISCの役割の定義. 47. 2.2.2校種別にみたSCの特徴. 49. 3 アメリカスクールカウンセラー協会(ASCA)と全国基準の成立過程 3.l ASCAの概観と実施計画. 60 60. 3.1.l ASCAの概観. 60. 3.1.2ASCAの実施計画. 61. 3.2 全国基準成立の経緯. 65. 3.2.1調査研究の背景と調査結果. 65. 3.2.2調査研究からみた全国基準の構成要素の検討. 68. 4 スクールカウンセリング計画における全国基準. 4.1全国基準の枠組み. 72 72. 4.1.1教育的発達. 72. 4.1.2 キャリア発達. 74. 4.L3 個人的・社会的発達. 77. 42全国基準に基づいたスクールカウンセリング計画 4.2.1スクールカウンセリング計画の構成要素. 80 80.
(5) 4.2.2 SCの役割規定. 82. 4.3 全国基準による実践. 86. 4.3.1全国基準のための手順. 86. 4.3.2 全国基準に基づいた校種別実践モデル. 90. 4.4 全国基準に対する評価. 4.4.1スクールカウンセリング計画における利点 4.4.2 教育界,産業界による全国基準の評価. 5 本研究の成果と今後の課題. 5.l ASCAの基準に基づくスクールカウンセリングの実際. 99 99 102. 107 107. 一ニュートンノース高校の実践より一 5.1.1 カウンセリングの枠組み. 107. 5.1.2 SCの役割. 108. 5.L3 職業資源センター. 109. 5.2 総合考察. 111. 5.3 研究における今後の課題. l16. 参考文献一覧. 118.
(6) 1 問題の所在と研究目的 最近の教育を取り巻く状況として,いじめ,不登校,学級崩壊,暴力,性非行と憂慮 される事態が多岐に及び,複雑化している。このような状況に対応するために文部省は,. 学校カウンセリングを重視の充実を図ることが重要であるとして,平成7年度より「ス クールカウンセラー活用調査研究委託」事業(以下,SC活用事業と略す。)の実施を始 めた。. 本章では,本事業の現状に触れっっ,始まった経緯や実施報告の分析を通じてスクー ルカウンセラー(以下,SCと略す。)を含めた我が国におけるスクールカウンセリング では何が問題なのかを探っていく。そして,スクールカウンセリングでは,制度面,組 織面においても先進国であるアメリカのスクールカウンセリングおける先行研究の課題 と本研究の目的を示す。. 1.1 日本におけるSC導入上の課題. 1.1.1 学校現場とSCの困惑. 次に示すのは,ある小学校に入ったSCの感想である。. 平成7年度から始まった「スクールカウンセラー活用調査研究事業」. で小学校に派遣され,それまで大人社会ばかりで過ごしていた私にと って,すべてが始めての体験でした。子ども達や先生方とどのように 接したらよいのか,学校という社会でSCとしてどうずればいいのか, 何ができるか戸惑うことばかりでした。そして,2年間の期限が終了 し,活動半ばで終わってしまったという不全感が残ったことを思い出 しています。. A小学校には,平成9年の2学期からきていますが,私の中に途中 から,という気持ちもあって,当初なかなか学校になじめない感じで した。しかし,職員室での先生方とのなにげない会話や暖かい気持ち. 1.
(7) に触れたり,給食交流で,子ども達と一緒に昼食を食べたり,一緒に 遊んだりするうちに徐々にとけこんでいけたように思います。. 私の場合,相談というのはあまりなかったのですが,その分,先生 方との話がたくさんできたように思います。3学期には,構成的グル ープエンカウンターをクラスごとに実施し,子ども達との交流が広が ったし,これを機会に先生方との話し合いもでき,お互いの理解も深 まりました。. しかし,初年度を振り返って,SCとしてしなければならないこと が,まだまだできていないような気がしてなりません。今後は,子ど も達にとって何が一番大切なのかなど,もっと先生方や保護者の方々 との連携をとって一緒に考えたり,実行していくことが大切であると 思っています。さらに,できれば学校の中に留まらず,地域に出かけ ることも大切なことではないかと思っています1。. このSCの感想には,別の社会から初めて学校現場に入る戸惑いや不安,2 年間の期限が終了して感じる不全感などが綴られている。今まで,学校現場に の経験がないのにいきなり未知の職場に入って働くことに対する違和感を感じ. るのは当然であろう。SCが学校現場に入っていくことがいかに大変なことで あるのかが伝わってくる。「当初なかなかなじめない感じ」という一節がその心. 情をよく表している。SCとしての職務が十分に果たせなかったという思いや これから何をしていきたいのかという決意を伺うことができるが,学校におい. てSCはどのような働きをするのかということがいかに曖昧であるかを垣間見 ることができる。. 横山(1998)も同様に「勤務を始めてまもない頃,学校の速い時間の流れの中. で,次々と押し寄せてくる出来事に戸惑いました。ともすればカウンセラーと しての役割が自分の中で混乱しそうになる不安を覚えたのです。」と同じような. 悩みを持ったことを述べている。そして,まず,子どもたち,教職員,保護者 と日頃から親しい関係を作る努力をしたことや「スクールカウンセラー運営委. 1松江市立母衣小学校(1998)『平成9年度スクールカウンセラー活用調査研究委託に関する実践記録』,p.39. 一2一.
(8) 員会」において,教師とSCの役割分担について話し合ったり,教職員に対す るアンケートをとってSCへのニーズ調査をして,教職員の要望に合わせた方 法を模索した様子を述べている2。. SC側の困惑もさることながら,学校側の戸惑いや不安について松本・滝 (1999)は,「心」の専門家がやってくることへの期待があるとしながらも(1)担. 任の知らないところで相談活動が進行するのではないか(2)SCは学校の味方に. なってくれるか(3)SCがやってくるほど自分の学校はひどいのかの3つを挙げ ている3。. SC活用事業も今年で5年目を迎えるのであるが,初めて学校現場に教師と は違う専門性を持った人材が導入されたということで,学校側,SC側ともに 今もなお混乱の様子が伺える。それでは,いったいこの事業はどのようにして 始まったのであろうか。. 1.1.2 SC活用事業の分析. 1.SC活用事業導入の経緯と実施状況 深刻化する「いじめ」「不登校」の諸問題に対応するために,文部省は,平成7. 年度(1995)の国家予算に3億7,000万円の新規予算を要求し,学校におけるカ ウンセリング等の充実という名目で,「スクールカウンセラー活用調査研究委 託」事業4がスタートした。. 本事業は,平成4年3月31日に初等中等教育局長に最終報告された「学校 不適応対策調査研究協力者会議」の提言や,平成6年7月に組織された「児童 生徒の問題行動等に関する総合的調査研究について」の意見を踏まえ,「学校に おけるカウンセリング等の充実」に関する措置が背景にある。. 平成7年度のSCの配置校は,154校(小学校29校,中学校93校,高等学 2横山典子(1998)「子どもの成長をみんなで見守る体制づくり」『発達』No.75,VQI.19,ミネルヴァ書房,pp.4−5. 3松本保・滝充(1999)「スクールカウンセラー活用事例の検討『文部省委託スクールカウンセラー活用調査研究報告 書』の分析から」『国立教育研究所研究集録』第38号,p.52 4文部省(1998)『文部時報』(10月臨時増刊号「中央教育審議会答申」)ぎょうせい,p.125. 一3一.
(9) 校32校)であったが,平成11年度(1999>には,配置校2,015校(小学校602. 校,中学校1,096校,高等学校317校)と約13倍に拡大し,予算も33億7,800 万円と約10倍となっており,このように事業が急速に拡大したケースは文部 省の歴史の中でも初めてのことである5。このことについて,大塚(1998)は,1990. 年に日本臨床心理士資格認定協会が文部省の公益法人になったことで,文部省 のカウンターパートとして協力できる財団法人ができ,事業の導入へとつなが つたことを指摘している6。. 文部省は,SCの配置方法,勤務形態及び活動概要を以下の通り定めている7。. ○配置方法. (1)単独校方式…. SCを1校に配置し,当該学校だけを対象とす. る方式 (2)拠点校方式… 中学校区の地:域を単位とし,その地域内にある. 小学校,中学校の中の1校を拠点校として,SC を配置し,地域内の他の学校も対象とする方式 (3)巡回方式・…. SCの配置校を特定せず,予め決めておく対象. 校をSCが巡回する方法 ○勤務形態(年間280時間). (1>週2回,1回当たり4時間 (2)週1回,1回当たり8時間 (3)月32時問(週当たり回数自由). ○活動の概要 (1)児童・生徒の個別カウンセリングや休み時間の相談や声かけなど. の日常場面での相談活動 (2)教職員・保護者に対するコンサルテーション (3)カウンセリング等に対する情報収集・提供 5清水一彦・赤尾勝己・新井浅浩・伊藤稔・佐藤晴雄・八尾坂修著(1999)『教育データランド 1999−2000』時事通 信社卯・17牛η7. 6大塚義孝編(1996)『こころの科学』(増刊「スクールカウンセラーの実際」)日本評論社,p4 7文部省(1999)『文部時報』(2月号特集「スクールカウンセラー」)ぎようせい,pp.38−39. 一4一.
(10) (4)地域住民を対象とした講演会などカウンセリングの知識提供及び カ「1フ、ノやU、ノ’ゲの舌卜亜’卜隼「ハ王里解「ハ布葺任 ’ −. − 「F. 一. ノ 騨「 ノ. ▼ノ ニ]=二_ハ 1一」一▼ノ7⊥’圏JT▼ノ 「∼1唱=二. 一方,SCはどのようなコンセプトで学校に入っていくのかを解決するため に学校臨床心理士第一次・第二次ワーキンググループのメンバー一8によってガ. イドラインが作成され,次の7点が強調された9。. (1)学校に関与する認定臨床心理士を「学校臨床心理士」とし,現場. の先生で教育相談を行っている人を「教師カウンセラー」とする こと。 (2)地域によってニーズが違うので,学校や地域の実情に即して柔軟. に対応すること。 (3)学校全体に対する援助として,教師へのコンサルテーション(助. 言・援助)を優先すること。事例検討会を行うなど。 (4)校内研修などにより,校内関係者の相談活動を活性化すること。. (5)学校の組織や校務分掌に精通し,教師との連携・協力体制を組む. ためにキーパーソンを探すこと。 (6)学外の地域関連機関との連携による援助のあり方を重視すること。 (7)守秘義務については,狭義の守秘義務を全面に出すのではなく,. 守秘義務の大切さを学校全体で考えていく方向を念頭に入れるこ と。. こうしてみると学校内のSCの役割の規定について,文部省と学校臨床心理 士側では多少違いがあることがわかる。つまり,文部省は,児童・生徒のカウ ンセリングを仕事の一つに挙げているが,学校臨床心理士側は児童・生徒のカ ウンセリングよりもむしろ教師のコンサルテーションに重点を置いているので. 8第一次メンバーは,大塚義孝,谷口正己,鵜養啓子,村山正治,小川捷之の5人。第二次メンバーは,大塚義孝,滝 口俊子,倉光修,鵜養美昭,福田憲明,村山正治の6人。 9学校臨床心理士ワーキンググループ編(1997)『学校臨床心理士の活動と展開』学校臨床心理士ワーキンググループ. 一5一.
(11) ある。このことは,SCが活動していく上で,戸惑いの原因の一つになってい るのではないだろうか。また,一応のガイドラインは出ているのであるが,SC が「何をどのようにするのか」についての具体的な規定ではない。活動の内容. について実際には学校側やSCの裁量に任されており,学校の実態に併せて柔 軟に対応していくようになっているのである。 一方,文部省(1998>は,SC活用事業について,臨床心理士など高度に専門. 的な知識・経験を有するSCを小・中・高等学校に配置し,その活用,効果等 に関する実践的な調査研究を行うもので,学校外の専門家を学校に本格的に配 置する初めての試みであるとして大きな意義を認めているIo。 鵜養(1996)は,「本事業の所轄は文部省初等中等教育局の中学校課,都道府. 県教育委員会の指導課であり,文部省体育課の認可する財団法人『日本臨床心 理士資格認定協会』の認定する『臨床心理士』を活用して,その効果をみよう という調査研究である。」とし,「学校教育の大きな柱である生徒指導の部局が,. 学校におけるメンタルヘルスを司る部局の認可にかかわる人材を外部から既成 の学校システムに導入し,従来の長所を生かしながら,より充実した新たな生 徒指導システムづくりを模索している。」とSC活用事業を生徒指導の歴史の 中でも画期的な出来事と捕らえている。また,学校臨床心理士側においても,. 作成されたガイドラインからわかるように委託校の主体性を尊重し,それぞれ のニーズを把握して,適切な活動をしていくことを強調しており,委託校の現 状に合わせて,その学校特有のシステムを考えていこうという意図が伺えるこ とを指摘している’1。. 以上のように,SC活用事業は,我が国の教育界において外部から他の専門 家が導入されるという斬新かつ画期的な取り組みであるが,学校教育や生徒指 導のシステムの再構築にかかわる問題であるため,学校現場において混乱が生 じていることは事実である。. 10文部省(1998)前掲,p.125. 11鵜養美昭(1996)「文部省『スクールカウンセリング事業』の主旨」『教職研修総合特集』No.128(「スクール・カウ ンセリング読本」)教育開発研究所,pp31・32. 一6..
(12) それでは,次に,「平成7・8年度スクールカウンセラー活用調査研究委託 研究集録」’2の分析から,SC活用事業の具体的な問題点を洗い出し,課題に ついて考察していくことにする。. 2.平成7・8年度SC活用事業の分析 ○分析内容及び方法 く分析内容〉. 研究校154校(小学校29校,中学校93校,高等学校32校)を対象に,次 の2つの分析を行う。 (1)問題点としてあげられたものを校種別に内容の分析を行う。. (2)面接回数(のべ件数)の報告があったもの(平成7年度小学校3. 校,中学校11校,高等学校5校,平成8年度小学校4校,中学校20 校,高等学校13校)について校種別に児童・生徒と教員の面接状 況を分析する。 〈分析方法〉 (1)について. スクールカウンセラー活用調査研究において問題点としてあげられた ものをキーワードとして取り出してカウントし,どのような問題点が どのくらいの学校において報告されているのか校種別に割合を出す。. 例えば,SCの勤務時間については,小学校で29校中,17校が問題 点として挙げているので,17÷29×100≒58.6%となる。 (2)について. 面接回数について報告されたもので,児童・生徒,教員の面接回数を. 調べる。年間35週として1週間あたりの面接回数の平均を割り出し,’ 校種別に散布図にする。. ○分析結果 (1)について 12文部省(1997)『中等教育資料』(12月号臨時増刊. 特集「平成7・8年度 スクールカウンセラー活用調査研究委託. 研究集録⊃. 一7一.
(13) 表1問題点の分析. (%). 校. 順位. 種. A口 計. 問題点 小学校. 中学校. 高 校. 1. 勤務時間. 58.6. 35.4. 37.5. 40.3. 2. 体制・システム. 31.0. 22.6. 34.4. 26.6. 3. 連携の在り方. 37.9. 21.5. 28.1. 26.6. 4. 事業終了後の継続. 17.2. 16.1. 25.0. 18.2. 5. 施設・設備・備品の整備. 13.8. 12.9. 21.9. 14.9. 6. 常駐・長期配属希望. 10.3. 16.1. 15.6. 14.9. 7. 意識の相違. 13.8. 11.8. 15.6. 13.0. 8. PRの必要性. 10.3. 12.9. 9.4. 11.7. 9. 研修会の持ち方. 20.7. 5.4. 18.8. 11.0. 6.9. 10.8. 9.4. 9.0. 10.3. 7.5. 9.3. 9.0. 10. SCへの依存. 11. 守秘義務・情報交換. 12. コーディネーターの必要性. 3.4. 8.6. 9.4. 7.8. 13. SC役割の明確化. 6.9. 9.7. 0.0. 7.1. 14. カウンセリングへの理解不足. 0.0. 9.7. 6.3. 7.1. 15. 少ない自主来談. 3.4. 75. 6.3. 6.5. 16. 雰囲気作りの必要陛. 0.0. 5.4. 6.3. 45. 17. SCの姿勢. 0.0. 4.3. 3.1. 3.2. 18. 予算措置. 6.9. 1.1. 3.1. 2.6. 19. 予防・開発的対応. 3.4. 3.2. 0.0. 2.6. 20. 相談窓口の整備. 3.4. 1.1. 3.1. 1.9. 21. 計画の必要性. 3.4. 1.1. 0.0. 1.3. 22. 養護教諭の負担. 0.0. 0.0. 6.3. 1.3. 23. その他. 10.3. 9.7. 6.3. 9.0. 一8一.
(14) 1.SCの勤務時間 全体では,403%と半数近くの学校が問題点としてあげて いた。特に,小学校では,58.6%と半数以上の学校が課題として報告している ことがわかった。中学校では35.4%,高等学校においては37.5%と1/3の学校. が問題にしている。限られた勤務時間の中では,せっかく面接の時間を設定し. ても,SCの勤務時間との調節がうまくいかず苦労したり,不登校児童・生徒 の対応にはこのような勤務時問では難しいことがあげられた。また,教職員の. 研修会の開催というニーズがあるにもかかわらず,SCの時間の確保・調整が 難しくて,研修会の開催ができなかったことも指摘された。(小学校の場合, 2α7%の学校が研修会のあり方を問題にしている). 2.教育相談体制の構築の必要性 小学校と高等学校において30%を越えた。. SCを校務分掌にどう位置づけるのか,特に生徒指導と教育相談の関連をどう もたせるのか,そのためには,SCはどんな役割を持っているのか,どこまで 責任をもって仕事をしてもらえるのか,といったSCのアカウンタビリティま で問題にした学校もあった。. 3.SCとの連携 SCと教職員との意識の違い(カウンセリングに対する教師. 側の拒否反応,SCが学校の事情に精通していない,教師とSCの役割分担が 不明確であったためにどのように対応したらよいか,指導と援助の兼ね合いが 難しいなど)が問題になった。連携の対象について見てみると, (1)教職員(13.0%)(2)外部の専門機関(5.2%)(3)生徒指導主事・教育相談係. (32%)の順で連携の必要性があげられた。その他,少数意見として,養護教 諭(1.9%),地:域社会(1.3%),管理職(0.6%),SC同士(0.6%),他の研究指定. 校(0.6%)と続いた。連携のあり方について,どうしても個人情報を扱うため. に守秘義務の問題は避けて通れず,SCが問題を抱え込んでしまったために連 携がとりにくいと報告した学校もあった。また,SCの専門性を活用するのは いいが,問題をすべて任せてしまって,依存的になるということも約10%の 学校があげており,役割分担の難しさが伺えた。. 一9一.
(15) 4.カウンセリングに対する認識不足 特に児童・生徒,保護者のカウンセリ. ングに対する認識が不十分であったため面接(特に自主来談)が少なく,児童 ・生徒,保護者に対する啓発活動や面接を受けるための雰囲気作りの重要性も. 指摘された。そのためには,施設,設備,備品の整備を望歌声も多く,相談室 の設置や来談しやすい場所の確保(7.1%),専用電話の必要(2.6%),教職員の. 連携を保つためにも職員室にSCの席がほしい(1.3%)との意見もあった。. 5.キーマンの必要性 SCと教職員を結ぶコーディネーターの重要性もあげ られ,全体で7,8%あり,特に中学校,高校に希望が多かった。また,カウン. セリングの専門知識をもつ教師や授業を持たない加配教員(生徒指導専任教員 や相談担当教員など)が必要であるとしている学校もあった。. 6.事業の継続 2力年計画のため,事業終了後,今まで行ってきた面接を, 誰が,どのように引き継ぐのかといった問題を指摘する学校が18.2%あった。SC. の常駐や長期配属を望む意見が,少なからず聞かれ,事業の延期を希望する意 見は14.9%にのぼった。不登校生徒の対応をSCが専門的に行っていたので, これからどのようにしたらよいかという切実な意見も指摘された。. 7.その他学校側からカウンセリングの内容において不登校や問題行動の対 処だけでなく,予防的・開発的なカウンセリングを望む声や,SC側から更な る予算的配慮の必要性,相談窓口の整備,SCの身分の保証といった勤務条件 の整備が指摘された。また,回帰になっている養護教諭の負担を指摘する意見 も高等学校で2校報告されていた。. 一10..
(16) (2)について. 面接状況を把握するために,児童・生徒及び教員の面接回数をそれぞれ2回 で区切り,4つのカテゴリーに分けた。(図2)それぞれのカテゴリーを①TC (多数型)②tC(児童生徒多数型)③Tc(教員多数型)④tc(少数型)として面接の. 実施状況を調べた。そして,それぞれの割合を示したものが図3である。平成7 年度はtc(少数型)が68.4%と最も多く,SCによる面接が児童生徒,教員と. もにあまり実施されていないが,平成8年度になると37.8%となり,約30%減 少している。また,TC(多数型)は15.8%から18.9%へと3%増加している。. その他として,tC(児童生徒多数型)が3倍になっており,児童生徒の面接が 増えていることが伺える。. 以上のことから,事業開始の初年度よりも2年目の方が全体的に面接の回数 は増加の傾向にあり,中でも児童・生徒の面接が増えていることがわかった。. 一11一.
(17) 平成8年度スクールカウンセラー活用状況(小学校). 平成7年度スクール刀ワンセラー活用状況い」・字稠 6. 6. L 1. 1 1 7. 1 1. 5. 5 F F L L. 4. 4. 1. 囲3. F. 制3. F. A. r. 駅. L 1 L L. 2. 1. 2. 1 1. ○. ◆. F F. 1. 1. F. 1 1 1 1. ◆. 1. O. 0 o. 1. 3. 2. 4. 5. 0. 6. 3. 2. 1. 教員数. 4. 5. 6. 5. 6. 教員数. 平成7年度スクールカウンセラー活用状滉(中学校〉. 平成8年度スクールカウンセラー活用状況(中学校). 6. 6. 5. 5. 4. 4. ◆ ◆. ◆ ◆ ◆. 紹3. ◆. 型3 参. 2 ◆. 2. ◆. ◆. ,. ◆. 1. 1 ◆. ◆◆. ◆ ◆. 0. 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 0. 3. 2. 1. 教員数. 4. 教員数. 平成8年度スクールカウンセラー活用状況(高校). 平成7年度スクールカウンセラー活用状況(高校) 6. 6. 5. 5. 4. 4. ◆. ◆. 紹3. 据3. i. ◆ ◆ ◆ ○. ◆. 2. 2. ◆. ◆. ◆. 1. 1. i. 0. 0. 0. 1. 2. 3. 4. 5. 0. 6. 1. 2. 3 教員数. 教員数. 図1. 週あたりの面接実施状況. 一12一. 4. 5. 6.
(18) (件)1. ■②tC. ■ ①TC. 6. 児. 4. 童 ■. 生. 2. ④tc. 徒. ③Tc. 数. 2. 0. (件). 教 員 数 図2 面接状況分析モデル. 平成7年度. 平成8年度. 1…. ル錫. 18.9%. 0%. 68.4. 翻 37.8. 35.1%. 20%. 40%. 60%. 図3面接実施状況1. −13一. 80%. 100%.
(19) 1.1.3 日本におけるSC導入上の問題点. SC活用事業の問題点の分析結果より課題について考察していく。まず,最 も多くの学校で挙げられたこととしてSCの勤務時間の問題がある。 SC導入 の目的として不登校児童を対象としているため,どうしても非常勤という限ら れた時間の中で対応していくのは難しい面がある。また,「勤務日が固定されて. いるために,特定教員ばかりと接触する」ことになったり,2年間という制限 があるため「年度末になるほど時間が減り,勤務日が減るため,学校の流れを 追えなくなる」などの現象が出てくる。対応策として,「華冑オーバーの勤務」 「重度のケースは外部の専門機関に紹介」「学校内コミュニティの人材活用」「ケ. ースを一人で抱え込まずに教職員との連携をはかり協力してもらう」といった 工夫が見られる’3。. 次に,教職員とSCの連携の困難さが指摘されるが,連携を困難にしている. 要因として教職員とSCとの意識のズレが挙げられるであろう。もともとSC の役割について教師と臨床心理士とでは,意識に違いがあることを中村(1995). は報告しているが14,今回の調査においては,原因はSCの役割の不明確性, 校内体制への位置づけの不十分さから生じていると思われる。文部省(1997)も. 「SCの助言によって,学校全体で生徒指導に取り組めるようになった」「児童 ・生徒と接する際の意識が変わるとともに児童・生徒の様々な悩みに対して適. 切な対応がとれるようになった」「SCが成績などの評価に関係ない第三者的な 存在であったために気兼ねなくカウンセリングが受けることができるようにな. った」と一定の成果を評価しながら,課題としてSCの役割を明確にし,他の 教職員との役割分担をどう図るかなどの学校体制づくりのあり方についての検 討の必要性を挙げている15。. 13泉寿枝・石坂浩美・鵜養啓子・鵜養美昭・岡本淳子・加福真紀子・加塞弘子・佐々木実・高橋功・田波勝・福田憲 明(1997)「スクールカウンセラー制度の意義と学校精神保健への寄与一その運用上の留意点・工夫と課題・展望一」 『安田生命社会事業団研究助成論文集』通巻第33号,pp.98−106. 14中村健(1995)『中学校におけるスクールカウンセラーの活用に関する実証的研究』兵庫教育大学大学院学校教育研 究科修士論文 15文部省(1997)前掲,pp.6−7. 一14一.
(20) また,八並・大野(1997)は,(1)授業を中心とした個別・集団指導に力点の. ある教師と個別カウンセリングを中心とした援助に力点を置いているカウンセ ラーでは,児童・生徒の見方,考え方の視点が違うこと(2)SCの役割の明確化 や教職員との役割分担の必要性(3)SCが取り扱った問題に偏りがあったこと (不登校児童・生徒への対応,教師のコンサルテーションが大半であった)を 課題としている16。. このようにSCの役割を明確にし, SCを校務分掌にどう位置づけるのかと いった体制づくりの重要性は指摘されるところであるが,伊藤(1996)は,SC. に期待する役割に対して校種別に差があることを次のように指摘している。小 ・中学校においては,児童・生徒のカウンセリングや教師の自身のスーパービ. ジョンが期待されるのに対して,高等学校ではカウンセラーの専門性や学校や. 教師の理解を期待している。そして,SCに取り組んで欲しい業務として,ど の学校においても「いじめ」と「不登校」は共通しているが,小・中学校では,. 学習障害や授業妨害などの教室内での問題行動を挙げている教師が多く,高等 学校では,非社会的問題を挙げている’7。. このように校種によってもSCに対する役割の期待に違いがあり,SCの役 割についての共通の認識がなく学校現場の事情によってまちまちであることが わかる。それでは,このような状況にどう対処すればいいのだろうか。松本・ 滝(1999)は,SCは不登校や非行といった問題対処のためにいるのか,予防的. な活動のためにいるのか,カウンセリングの主体は誰なのか,どこまで教師が. 行い,どこまでSCが行うのかといった共通理解が不十分であるため,不信感 や混乱を招いているとして,SCがその学校で,何を,どこまでするのかにつ いての十分な理解または共通のガイドラインの必要性を指摘している’8。SC. の任務が十分に遂行されるためにも共通の認識や理念が必要とされるところで ある。. 16八並光俊・大野精一(1998)「平成7・8年度スクールカウンセラー活用調査研究の結果を考える」学校教育学校教育 相談研究所編『月刊 学校教育相談』7月号,ほんの森出版,pp.44−52. 17伊藤美奈子(1996)「スクールカウンセラー制度に対する学校現場の認識と要望について」『カウンセリング研究』 Vol,29,No.2,pp.32−41. 18松本・滝(1999)前掲,p58. 15一.
(21) 続いて,面接の回数について考察してみると,面接実施状況の分析でわかる ように初年度はあまり多くなかったが,次の年には,小・中・高校ともに児童 ・生徒の面接は増加している。それだけ,品種に限らず児童生徒のカウンセリ. ングに対するニーズは十分あると考えられる。今後もSCの個別カウンセリン グは期待されるが,野淵(1997)が指摘しているように学校側のSCに対する役. 割の希望は生徒のサービスより担任の助言や学校改善のアドバイスにとどめて 欲しいという学校現場の意見もある’9。これは,SCが児童・生徒の悩みを知. った時にSCが教師とどこまで情報を共有できるのかといった守秘義務と絡め た情報交換のあり方や児童・生徒がSCに依存的になるのではないかといった 教師側の不安が根底にあると思われる。. また,自主来談が少ない(特に男子生徒),問題をもっておりカウンセリング. を受けた方がいいが,本人のニーズは高くないという場合,生徒に対してどう 働きかけてよいか難しい,校内や地域にカウンセリングを受けにくい雰囲気が あるという問題が挙げられており,カウンセリングに対する認識の低さが伺え る。この点については,スクールカウンセリングが効果的に機能するためには とても重要なポイントであろう。. 一方,教師に対する面接は児童・生徒の面接と比較してそれほど増加してい ない。山下(1998)は,小・中学校教員666名にアンケートをとった結果,SC と教師の日常的な関わりは概して少ない傾向にあり,特に担任教師に相談経験:. がない人が多く,原因として教育現場の多忙性とSCの勤務体制をあげている ように20,SCの勤務時間が限られている中,教師側が面接を希望してもSCの 勤務時間との時間調整がうまくいかないという実態が浮かび上がってくる。SC. の常駐や事業の継続を希望する声も聞かれ,SCの期待も大きいことを考えて もSCの勤務形態や勤務時間を学校のニーズや事情に合わせて,いかに設定し ていくのかは今後の課題といえる。 以上のようにいろいろな問題が生じているが,最も重要かつ根本的なことは, 正9野淵龍雄(1997)『今後における進路指導,生徒指導,教育相談およびスクールカウンセリング等の指導体制の在り 方に関するアンケート調査結果報告書』 20山下三子(1998)『スクールカウンセラーと教師の関係性に関する探索的研究一教師への質問紙調査を中心に一』京. 都大学大学院教育学研究科修士論文. 16一.
(22) 児童・生徒の校種別の発達段階や児童・生徒,教師,家庭,地域のニーズを考. 慮に入れたスクールカウンセリングの理念や目標が曖昧まままSCが学校現場 に導入されている点ではないだろうか。それが今現在の混乱の原因ではないか と考える。SCの役割規定を含めた系統的かつ具体的なスクールカウンセリン. グの理念が学校現場の共通認識になっていなければ,教師もSCもいったい何 を目標にしてよいかわからず戸惑うばかりである。校内もさることながら,保 護者を含めた地域社会においてもカウンセリングに対する認識が高いとはいえ ない現状の中,これではスクールカウンセリングが定着するのは難しい。ヤギ (1998>も日本のスクールカウンセリングには正しいビジョンが必要であるが, そのビジョンがはっきりしていないことを問題にしている21。. 以上が問題の所在であるが,「スクールカウンセラー」という呼称も含めて, 文部省は,アメリカのスクールカウンセリングをモデルとしている22。そこで,. 制度面,組織面においては先進国であるアメリカのスクールカウンセリングの 理念及び実態を研究することは日本のスクールカウンセリングの問題点の原因 解明や今後の方向性を打ち出していくために何らかの示唆を与えてくれると思 われる。. 中野(1997)もスクールカウンセリングを日本の学校に根付かせて,発展させ るためには,「日米のスクールカウンセリングの起源や現状や問題点を比較検討 し,口本のスクールカウンセリングの特色と課題を解明する必要がある。」こと を指摘している23。. それでは,アメリカのスクールカウンセリングについての研究はどのように 進められているのであろうか。先行研究を見ていくことにする。. 21ダリル・ヤギ著(1998)『スクールカウンセリング入門』勤草社,p.140. 22大塚義孝・滝口俊子編(玉998)『臨床心理士のスクールカウンセリング①その沿革とコーディネーター』誠信書房,p.14 23中野良顯(1997)「カウンセリングの基礎知識」『指導と評価』10月号,pp.38−44. 一17一.
(23) 1.2 先行研究及び研究の目的と方法. 1.2.1 アメリカのスクールカウンセリングに関する先行研究. 表2先行研究 番号. 題 名. 1. 内. 著者(発行年). 容. 「米国の学校劇ウン. 佐野秀樹. アメリカのスクールカウンセリングの実際を概観. セリングにおける専. (1998). し,カウンセラーの専門性と個人主義との関連に. 非理と個人主義につ. ついての研究したもの。個人主義のアメリカで働. 24. くSCは児童生徒の発達,進路選択の援助を行い,. 「て」. 独立心の強い,健全な自己概念をもつために重要 な貢献をしている。日本におけるスクールカウン セリング発展のためには,アメリカのスクールカ ウンセリングのこのような視点を学び,日本の社 会風土にあったカウンセリングの理論・技術を作 る必要がある。. 2. 「日本における学校力. 中川伸子. ウィスコンシン州オークレア学校区の公立小学校. ウンセラーと学校臨. 夏野良司. のSCを訪問して観察,実習を行い,学校組織や. 床心理士一米国ウィ. (1995). SC, SS25の任務について調べた研究。 SC, SSの2. スコンシン州オーク. つの制度を比較した結果,SCの方が日本の学校. レア地区の活動実践. 教育に調和しやすい。そして,日本においては,. から一」26. 学校心理学の枠組みで学校カウンセリングを捕ら. 24佐野秀樹(1989)「米国の学校カウンセリングにおける専門性と個人主義について」『東京学芸大学紀要』1部門 40,pp.39−46. 25School Psychologistを以下SSと略記する。. 26中川伸子・夏野良司(1995)「日本における学校カウンセラーと学校臨床心理士一米国ウィスコンシン州オークレア 地区の活動実践から一」兵庫教育大学学校教育センター編『学校教育研究』VoL6,pp.49−65. 一18一.
(24) え直して,教育現場に即した学問体系を作り上げ ることが大切であるとしている。. 3. 「米国の学校カウン. 岡林春雄. SC, SS, SSW27の制度の概観について触れつつ,. セリングの現状と分. (1996). 日本に大切な視点は,「管理」ではなく,カウン. 析」28. セリングの発想を取り入れた「教育プログラム」 であると主張し,「心理教育」の必要性を挙げて. いる。そして,ミズーリ州ファーガソン・フロー リザンド学区で実践されている攻撃性対処プログ. ラム(ART)や予防教育(PREP)を紹介してい る。一方,問題点としては,先に挙げた3つの学 会における職業テリトリー争いをあげている。. 4. 「日本のスクールカ. 今村裕. アメリカのスクールカウンセリングの制度面,対. ウンセラーの導入に. 上地安昭. 下面,歴史的背景,養成プロセスについて見てい. 関する課題と展望一. (1996). く中で,日本に欠けている点として,学校現場の. 米国のスクールカウ. 受け入れ態勢の不備,SC養成プログラムの不備. ンセラー制度と比較. を指摘している。具体的には,(1)臨床心理士がSC. 29. オて一」. として養成されていない(2)SCを組織の中にどう 位置づけていくのか明確にされていない(3)守秘. 義務に関する共通理解の必要性(4)SCの任務とし. ては,教師へのコンサルテーションをもって間接 的な子供への援助の方が必要ではないか(5)養護. 教諭との連携の必要性の5つを挙げ,教育と心理 臨床の橋渡し的な存在として,「学校心理士」の 養成を提案している。. 27School Social Workerを以下SSWと略記する。 28岡林春雄(1996)「米国の学校カウンセリングの現状と分析」『学校経営』8月号,pp.16−28. 29今村裕・上地安昭G996)「日本のスクールカウンセラーの導入に関する課題と展望一米国のスクールカウンセラー 制度と比較して」兵庫教育大学生徒指導講座編『兵庫教育大学生徒指導研究』第7号,pp.18−27. 一19一.
(25) 5 スクールカウンセリ 上地安昭 についての議論の中心の一つとして,SCの役割 ング定着の過程」30 (1997). と機能に関するものがある。そこで,(1)開発的. ガイダンスとカウンセリングがスクールカウンセ リングの基本理念となった経緯(2)その基本理念. 及びその理念の実践における必須のプログラムで あるTAP(Teacher−Advisor Pmg㎜s)の概略(3). アメリカのスクールカウンセリングにおける学校 の職員の役割と機能の3つを明らかにする研究を 行った。. 6. 「米国総合的学校ガ. 中野良顯. 学校の人間形成機能を統合し,新たな生徒指導体. イダンス&カウンセ. 花屋哲郎. 制を作るために(1)アメリカにおける総合的ガイ. リングプログラムの. (1997). ダンス&カウンセリングモデルの特徴の明確化. 分析と日本の生徒指. (2)7州のスクールガイダンス&カウンセリング. 導の再構築」31. プログラムのガイドラインを分析し,アメリカの スクールカウンセリングの現状把握(3)日本のS. C配置後の生徒指導の課題の3つを研究し,これ からの課題として,生徒指導,進路指導,教育相 談,道徳教育,特別活動などの人間形成活動を統 合する人間形成理論と指導体制の構築の必要性を 挙げている。. 7 「スクールカウンセ ダリル・. ヤギは,アメリカでSCをしているが,その経験. 30村上万里・上地安昭(1997)「アメリカにおけるスクールカウンセリング定着の過程」兵庫教育大学生徒指導講座編 『兵庫教育大学生徒指導研究』第8号,pp.109−122. 31中野良顯・花屋哲郎(1997)「米国総合的学校ガイダンス&カウンセリングプログラムの分析と日本の生徒指導の再 構築」『進路指導研究』第18巻,1号,pp27−38. 一20一.
(26) リング入門」32. ヤギ (1998). からアメリカのスクールカウンセリング全般につ いて概観したものである。また,日本の学校関係 者との交流をしながら日本の実情を紹介してい る。問題点として,(1)カウンセラーになる専門. 家が足りないこと(2)SCは学校でどんな役割を担 うのかを示すガイドラインの必要性(3)その役割. に沿ってSCの資格条件を明確にすることであ る。日本におけるスクールカウンセリングの発展. のためには,学校精神保健の枠組みの中で位置づ けることを提案し,そのために学校内においては,. 担任教師,保健室との関係,生徒指導体制への組 み込みが今後の課題である。. 8. 「日本におけるスク. 高岡文子. SCが学校現場に入ってきて様々な軋礫,葛藤,. ールカウンセラーの. (1998). 戸惑いが教師,SC双方に生じており,その原因. 養成に関する一考察. として,(1)日本の学校の「閉鎖性」とSCを組. 一米国大学院におけ. み込んだ学校プログラム全体の検討の欠如(2)学. るスクールカウンセ. 校現場経験:の少ないSC(3)日本の大学院のSC養. ラー養成プログラム. 成プログラムの未整備を挙げている。アメリカの. 経験をもとに一」33. 大学院における養成プログラムを紹介しながら,. 日本においては,SCは自分の勤める地域や学校 という場の特性を十分に知ること,SCの役割を 認識してもらい,活動を評価してもらうこと,SC の養成プログラムを制度的に保証していくことが 大切である。. 32ダリル・ヤギ(1998),前掲書. 33高岡文子(1998)「日本におけるスクールカウンセラーの養成に関する一考察一米国大学院におけるスクールカウン セラー養成プログラム経験をもとに一」『東京大学大学院教育学研究科紀要』第38巻,pp.327−336. 一21一.
(27) 先行研究を見ていくと,カウンセリングプログラムの研究やSCの養成につ いての研究がなされている一方で,SCの役割に関する研究は村上(1997)が,. スクールカウンセリング制度におけるSCとSSの任務については,中川(1995) が行っているが,アメリカのスクールカウンセリングに重要な役割を果たして. いるSCの専門家団体であるアメリカスクールカウンセラー協会(ASCA: Amedcan School Counselor Association)についての研究はなされていない。. また,ASCAは97年にスクールカウンセリング計画における理念や定義, SC の役割,スクールカウンセリングの実践例,スクールカウンセリングを実施す るにあたっての具体的な留意点を示した全国基準(“窃θ1唱酬刀α13加ぬπおヵ7 30加01Co〃刀5ε伽gP70g顧伽5一肋αア’ηg伽防5∫oガ’)を初めて発表し,アメリカの. スクールカウンセリングに大きな影響を与えているのであるが,これもまだ研 究されるに至っていない。. 以上の点を考慮して,アメリカにおけるスクールカウンセリングの現状を把. 握するためには,ASCAの取り組みを中心として,その活動内容や新しく発行 された全国基準について研究していくことは意味があるといえる。. 1.2.2 研究の目的と方法. 1.研究の目的. 本研究の目的は,アメリカにおけるスクールカウンセリングの状況を歴史的 変遷から学際的な意味を含めて概観し,スクールカウンセリングの発展のため. に大きく貢献しているASCAの果たしている役割やASCAの目指しているス クールカウンセリングの理念や目標,実際の活動状況を把握するものである。. そして,我が国のスクールカウンセリングにとって必要な概念や要素を明らか にしていく。. 欧米においては,心理臨床の免許制度が発達しており,学校には教師とは別 の資格をもった常勤の心理専門家が配置されている。そして,教科指導をする 教師とは別に,生徒指導,進路指導,カウンセリングなどメンタルヘルスを中 心とした仕事を行っている。「スクールカウンセラー」「スクールサイコロジス. 一22一.
(28) ト」「スクールソーシャルワーカー」と名称や学問的な背景の異なる専門家34 が児童・生徒の援助にあたっており,分業化,専門家が進んでいる35。. SCはSSと子どもの心理・社会面での援助の専門家という点においては共 通しているが,SSがしD(学習障害)などの学習上の問題や障害のある子ども. のアセスメントを重視する一方で,SCは進路相談や学校生活全般におけるガ イダンス(時間の管理など)に焦点を置いており,職務内容に違いがある36。. 文部省は,「いじめ」「不登校」の問題行動対策のためにSCを導入したので. あるが,第一章の問題の所在で述べたようにSCの役割は曖昧であり,学校現 場においては,治療的な援助のニーズもある一方で,予防的・開発的なカウン セリングの必要性が指摘された。開発的カウンセリングの必要性については, 村上(1997)も主張している点である。さらに,SCの仕事内容の方が日本の学 校教育に調和しやすいと中川(1995)が述べていることを考え合わせても,SC. の役割を含めて開発的カウンセリングを行っているASCAの活動を研究する ことで我が国の現場のニーズにより近いスクールカウンセリングの在り方が模 索できるのではないかと考えている。. 2.研究の内容. 研究内容は,以下の通りである。. (1>アメリカのスクールカウンセリングの歴史的変遷や理論的背景. (2)SCの役割の定義や校種別にみる役割の特徴 (3)ASCAの概観及び設立意義や目標. (4)全国基準成立に至るまでの経緯と全国基準の内容及びSCの役割 (5)全国基準に基づいたスクールカウンセリング実践モデルと実践例 (6)全国基準に対する教育界の評価. 以上の内容をアメリカで使用されている概説書,ASCAのホームページ, 34SCはカウンセリング心理学, SSは学校心理学をそれぞれ学問的な基盤としている。 35村山正治(1995)「スクールカウンセリングの新しい時代の幕開け一教師や教師カウンセラーを援助する学校臨床心 理士」岡堂哲雄・平尾美生子編『スクール・カウンセリング技法と実際』(現代のエスプリ別冊)至文堂,pp.155−156 36石隈利紀(1999)『学校心理学』誠信書房,p.56. 一23.
(29) ASCAが発行した“肋θ1物加刀α18襯ぬ酪力ア50加01Co襯5θ伽g Pア。創α〃25 −5劾7’ηg伽恥ゴ。ガ’を中」O、として文献研究を進めていく。そして,最終的には,. ASCAを中心としたアメリカのスクールカウンセリングの実際から日本のスク ールカウンセリングの理念やSCの役割に関する考察をしていきたい。. 一24一.
(30) 第1章 参考文献. [1]. ダリル・ヤギ(1998)『スクールカウンセリング入門一アメリカの現場に学ぶ』頸草社. [2]. 福島修美(1997)「スクール・カウンセリングの基礎・基本一その理念」『児童じ理』第5号, 第15巻,pp.16−23. B]. 学校臨床心理士ワーキンググルーフ編(1997)『学校臨床心理士の活動と展開塁学校臨床心. 理士ワーキンググループ [4]. 原田浩司(1996)「コンサルテーション及びコーディネーション機能を活かした学校教育相 談1『栃木県総台教育センター内地留学生研究集録』第25号,pp.5−8. [5]. 東山紘久・甲西隆冒(1992)『学校カウンセリングの実際』創元社. [6]. 今村裕・上地安昭(1996)「日本のスクールカウンセラーの導入に関する課題と展望」兵庫 教育大学生徒指導講座編『兵庫教育大学生徒指導研究到第7号,pp.18−27. [7]. 石隈利紀(1999)『学校’じ理学』誠信書房. [8]. 伊藤美奈子(1993)「学校カウンセリングに対する教師と臨床家の見解についてのフィール ド的研究」『神戸国際大学紀要』第45号,pp.33−45. [9]. 伊藤美奈子(1994)「学校カウンセリングに関する探索的研究一教師とカウンセラーの役割 兼務と連携をめぐって」轍育心理学研究』第42巻第3号,pp.55−62. [10]伊藤美奈子(1996)「スクールカウンセラー制度に対する学校現場の認識と要望について」『カ. ウンセリング研究』第29巻第2号,pp.32−41 [ll]泉寿枝・石坂浩美・鵜養美昭・岡本享享子・加福真紀子・加室弘子・佐々木実・高橋功・田波. 勝・福田憲明(1997)「スクールカウンセラー制度の意義と学校精神保健への寄与一その運 用上の留意点・工夫と課題・展望一」『安田生命社会事業団研究助成論文集』 通巻第33号, pp.98−106 [12]鹿児島県立鹿児島東高等学校(1996)「いじめに関する取組一スクールカウンセラーの配置 校として一」『鹿児島県総合教育センター教育研究』第llO号,pp.49−52 [13]國分康孝く1994)『こころの科学一学校カウンセリング』日本評論社 [14]國分康孝監修(1997)『スクールカウンセリング事典』東京書籍. [15]厚生省(1998)『平成10年度版厚生白書』 [16]倉光修編(1998)『臨床’じ理士のスクールカウンセリング②一その活動とネットワーク』誠. 信書房. 一25一.
(31) [17]黒沢幸子(1996)「スクールカウンセラーはどう対応するか一サポートサービスネットワー クの要となって」『児童O理』第50巻第12号,pp.30−39 [18]黒沢幸子(1997)「スクール・カウンセリングの方法一スクールカウンセリングの実践的ア ブローチ」『児童心理』第51巻第15号,pp.24−32. [19]真仁田昭編著(1990)『学校カウンセリングその方法と実践量金子書房 [20]増田實(1997)「スクール・カウンセリングのこれまでの経緯」『児童’じ理』第51巻第15 号,PP.42−49. [21]松原達哉編(1988)『学校カウンセリングの組織と運営』ぎょうせい [22]松江市立母衣ノ」∼学校(1998)『平成9年度スクールカウンセラー活用調査研究委託に関する実. [23]松本保・滝充(1999)「スクールカウンセラー活用事例の検討一「文部省委託スクールカウ ンセラー活用調査研究報告書」分析から」『国立教育研究所研究集録』第38号,pp.51−60. [24]水谷由克・鈴木庸弘・昼田源四郎(1997)「教育相談・学校カウンセリングに関する教師ニ ーズ調査(第2報)一援助専門職・機関との連携をめぐるニーズー」『福島大学教育実践研究 糸己要』第33号,pp.lll−l18. [25]水谷馬克・鈴木庸弘・昼型源四郎(1997)「教育相談・学校カウンセリングに関する教師ニ ーズ調査(第4報)一教師の救助行動と教自礪支援のあり方一」『福島大学教育実践研究紀要』. 第34号,PP.81−86 [26]水谷由克・鈴木庸弘・昼田源四郎(1998)「教育相談・学校カウンセリングに関する教師ニ ーズ調査一専門職・機関との連携および教師のストレス度と問題解決能力について一」『福 島大学教育実践研究紀要』第33号,別冊,pp.36−41」 [27]文部省(1999)『中等教育資料』(1月号臨時増刊 特集「平成8,9年度スクールカウンセラ 一活用諦. 言 究集録」). [28]文部省(1997)『中等教育資料』(12月号臨時増刊特集「平成7,8年度スクールカウンセラ 一活用諦. 言 究集録」). [29]文部省(1990)『学校における教育相談の考え方・進め方一中学校・高等学校編』 [30]文岬町等中等教育局中学校課(1998)『生徒指導上の諸問題の現状と文部省の施策について』. [31]文部省編(1998)『平成10年度門戸魑の文教政策』大蔵省印刷局 [32]文部省(1998)『文部時報』(10月臨時増刊号「中央教育審議会答申」)ぎようせい [33]文部省(1999)『文部時報』(2月号特集「スクールカウンセラー」)きょうせい. 一26一.
(32) [34]村上万里(1996)『学校カウンセリング・システム定着についての探索的研究』兵庫教育大 学大学院学校教育研究科修士論文 [35]村上万里・上地安昭(1997)「アメリカにおけるスクールカウンセリング定着の過程」兵庫 教育大学生徒指導講座編『兵庫教育大学生徒指導研究』第8号,pp.109−122 [36]村山正治(1997)「スクール・カウンセラーの現状:と課題一文部省スクールカウンセラー事 業の展開」『児童心理』第51巻第15号,pp.3−13 [37]村山正治(1995)「スクールカウンセリングの新しい時代の幕開け一教師や教師カウンセラ. 一を援助する学校厚肉じ理士」岡堂哲雄・平尾美生子編『スクールカウンセリング技法と実 際』(現代のエスプリ別冊)至文堂;pp.153−161. [38]村山正治(1998)際しいスクールカウンセラー臨床心理士による活動と展開』ナカニシ ヤ出版 [39]村山正治・山本和郎編(1995)『スクールカウンセラー一その理論と展望』ミネルヴァ書房 [40]村山正治・山本和郎編(1998)『臨肉O、理士のスクールカウンセリング③一全国の活動の実. 際』誠信書房 [41]武藤孝典(1995)「アメリカ台衆国および連合王国におけるスクールガイダンスの展開」『日 本特別活動学会紀要』第4号,pp.57・67. [42]長尾博(1991)『学校カウンセリング』ナカニシや出版 [43]中川伸子・夏野良司(1995)「日本における学校カウンセラーと学校臨床心理士一米国ウィ. スコンシン州オークレア地区の活動実践から一」兵庫教育大学学校教育センター編『学校教 育研究』Vol.6,pp.49−65. [44]中村健(1995)『中学校におけるスクールカウンセラーの活用に関する実証的研究』兵庫教 育大学大学昼蝋交教育研究科修士論文 [45]中野明徳(1998)「学校精神保健におけるスクールカウンセラーの意義1『福島大学教育実践 研究紀要璽第35号,pp.63−70. [46]中野良顯・古屋健治・岸本弘(1998)『学校カウンセリングと人間形成』学文社 [47]中野良顯・花屋哲郎「米国総合的学校ガイダンス&カウンセリング・プログラムと日本の生 徒指導の再構築」響町指導研究』第18巻,第1号,pp.27−38 [48]野淵龍雄(1997)『今後における進路相談,生徒指導,教育相談およびスクールカウンセリ ング等の指導体制の在り方に関するアンケート調査結果報告書』. [49]岡林春雄(1995)「米国の学校カウンセリングの現状と分析」『学校経営』第41巻,第12号. .27一.
(33) ,pp.16−28. [50]岡堂哲雄(1998)『スクールカウンセリングー学校’O理臨床の実際』新曜社. [51]大塚義孝(1997)「子どもの心を支えるカウンセラー一その資格と展望臨床心理士」『児童 ’じ哩』第51巻第15号,p.14 [52]大野精一(1997)『学校教育相談一理論弁の試み』ほんの森出版 [53]手甲精一(1997)『学校教育相談一具体化の試み』ほんの森出版 [54]大阪府立大東高等学校(1996)「スクールカウンセラー活用をめざして一年」『学校経営』第41. 巻第12号,pp.42−48 [55]大塚義孝編(1996)『こころの科学』(増刊「スクールカウンセラーの実際」)日本評論社. [56]大塚義孝・滝口俊子編(1998)『臨床lO理士のスクールカウンセラー①一その沿革とコーデ. ィネーター』誠信書房 [57]佐野秀樹(1989)「米国の学校カウンセリングにおける専門性と個人主義について」『東京学. 芸大学紀要』第1部門第40集pp.35−45 [58]佐藤宏行(1997)「学校教育相談を活腔化し推進させるための校内体制の在り方一リーダー としての教育相談係の役割を通して一」『栃木県総合教育センター内地留学生研究集録』第26 号,pp.65−68. [59]清水一彦・赤尾勝己・新井浅浩・伊藤稔・佐藤晴雄・八尾坂修(1999)『教育データランド. 1999−2000』時事通信社 [60]田上不二夫(1999)『実践スクールカウンセリング』金子書房 [61]高野清純(1997)「子どもの心を支えるカウンセラー一その資格と展望学校’じ理士」『児童. 心鋤第51巻第15号 [62]高岡文子(1998)「日本におけるスクールカウンセラーの養成に関する一考四一米国大学院 におけるスクールカウンセラー養成プログラム経験をもとに一」『東京大学大学院教育学研. 究科紀要月第38巻pp.327−336 [63]寺田晃・佐藤怜監修(1993)『新教育じ理体系学校カウンセリング』中央法規 [64]辻野具成(1998)「学校が変わった,生徒が変わった一スクールカウンセラーの活用を通し. て一」教育研究岩手第79号,pp.32−36 [65]東京都十条中学校(1996)「スクールカウンセラーの実践と学校経営」『学校経営』第41巻,. 第12号,PP35−41 [66]湯原武富(1995)「学校教育相談を充実させるためのスクールカウンセラーの活用について」. 一28一.
(34) 『神奈川県立教育センター研究集録』第10号,pp.113−l16 [67]鵜養美昭(1996)「文部省『スクールカウンセリング事麹の主旨」『教職研修総台特集』No.128 (「スクール・カウンセリング読本」)教育開発研究所,pp.31−36. [68]鵜養美昭・鵜養啓子(1997)『学校と臨床心理士一子育ての教育をささえる』ミネルヴァ書房. [69]氏原寛・村山正治編著(1998)『今なぜスクールカウンセラーなのか』ミネルヴァ書房 [70]氏原寛・谷口正己・東山弘子編(1991)『学校カウンセリン刎ミネルヴァ書房 [71]渡辺三枝子編著(1997)『学校に生かすカウンセリングー学びの関係調節とその援助』ナカ ニシや出版 [72]山下融子(1998)『スクールカウンセラーと教師の関係駐に関する探索的研究』京都大学大 学院教育学研究科修士論文 [73]八並光俊・大野精一(1998)「平成7・8年度スクールカウンセラー活用調査研究の結果を考 える」学校教育相談研究所編『月刊 学校教育相言炎』7月号,ほんの森出版,pp.44−52. [74]横山典子(1998)「子どもの成長をみんなで見守る体制づくり」『発達』No.75,Von9,ミネ ルヴァ書房,pp2−7. 一29一.
(35) 2 アメリカにおけるスクールカウンセリングの概観 アメリカのスクールカウンセリングは,教育に影響を及ぼす様々な社会変化と深い関 連を持って発展してきた。そういった意味からもスクールカウンセリングの変遷を見て いく上で,背景にあるアメリカの教育の流れを捕らえることは,重要であると考える。. そこで,第1節では,アメリカの教育を国家の政策やアメリカの社会の変化を押さえな がら,スクールカウンセリングの理念や目標がどう変わっていったのか見ていく。そし て,スクールカウンセリングの学際的意味については,文化人類学,社会学,心理学の3 領域の視点から押さえていくことにする。また,州や地域の実態によってSCの役割は, 多少異なっているが,第2節では,アメリカで使用されている概説書の記述を中心に校 種別にSCの役割をまとめ,それぞれの特徴について述べていくことにする。. 2.1スクールカウンセリングの歴史的発達と学際的基礎. 2.1.1スクールカウンセリングの創立から発展へ(1900年代∼1970年代). 20世紀の初頭,アメリカの社会は農耕社会から工業化社会へと急速に移行 していく中,1907年,デイビスが英作文の授業の代わりに職業指導と道徳指 導を始めたのがガイダンスの最初といわれている。当初の目標は高校生が自分 自身の個性を理解し,社会的に責任を持つ職業人への成長を目指していた玉。. 1920年代はおもにガイダンスとカウンセリングは若者の職業選択の手助け をする就職指導に重点を置き,環境への適応や管理的な色彩の強いものであっ た。1925年,プロクターは,生徒が教育的,職業的選択をi援助するガイダン スプログラムを発表し,教科や課外活動の選択を援助した。世の中では,社会 意識が高まり,人道主義運動が盛んになると精神病患者を人間的に治療しよう という声が高まり,それまでの就職指導に加えて,さまざまな適応上の問題を 抱える人の正常で心身の発達過程で生じるニーズに対するカウンセリングが重. lStanlay B.Baker(1996)3σ乃ooZ Co翼η∫¢1ゴηg/bπ加7wθ⑳ノプ}7∫’Cθ刀魏リィ2坊¢d)Englewood C1鵬,New Jersey IPrentice−Ha11,p.3. 一30一.
(36) 視されていった2。. 1930年代には,学校においては教育的,職業的,個人的・社会的サービス. はカウンセリング過程の3大要素としてみなされた。そして,カウンセリング サービス,カウンセリング過程,カウンセラーの任務を強化する3つのモデル が提示され,そのモデルがスクールカウンセリングの理念となった。そのねら いは計画やサービスよりもSCの役割に重点が置かれた3。. 第2次世界大戦前後より,ロジャースは,カウンセラーがクライエントに直 接指示を与えるのではなく,クライエント自身に焦点を当てて,自分自身で問 題を解決するという「非指示的カウンセリング」(nondirective approach)を提唱. した。この考え方によって,スクールカウンセリングは,従来の管理的な側面 から折衷的な方向へと移行することになった4。. 1957年置いわゆる「スプートニック・ショヅク」の後,翌年,国家防衛教 育法(NDEA:The National Defbnce Education Act)が制定され,スクールカウ. ンセリングにとても大きな影響を与えた。宇宙開発と科学研究において優位に 立とうとするため,学校におけるカウンセリングと心理テストを重要視するこ の法律の制定を促したのである。優秀な生徒を適切な学習コースに導いたり,. 個人的な問題の解決のためにNDEA基金が設けられ, SCの数は増やされ,60. 年代までにSCの数は約3倍になった。そして,中・高校生はSCから最低の サービスを受けられることになる。小学校においては,1964年にNDEAが改 正され,スクールカウンセリングに対して力点が置かれ,小学校カウンセリン グの立法化に影響を与えた5。. レーン(1962)は,「生徒のカウンセリングの際,治療的なニーズと生徒の. 危機的状況を照らし合わせて,個人的発達に力点を置くこと。特に小学校の段 階においては,発達的カウンセリング計画を立てることが重要である」と述べ. 2Stanlay B.Baker(1996),め認,p.6 3Chad A,Campbe11&Carol A,Dahir(1997)7舵.Mαガ。ηα1乱α〃4α743/bアSo乃ool Co泌3εZ加g P70gm吻5一&加万πg坊θ レ7∫ゴ。鵜Amedcan Shool Counselor Association,p.7 4Stanlay B.Baker(1996),,∫わゴd,p.6. 5Stan重ay B.Baker(1996λゴろゴd,p.7. 一31一.
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