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地震発生後市町村保健師が住民の反応を捉えて行う二次的健康被害を予防するための活動

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地震発生後市町村保健師が住民の反応を捉えて行う

二次的健康被害を予防するための活動

著者

野口 裕子, 坪倉 繁美

雑誌名

日本災害看護学会誌

17

3

ページ

58-67

発行年

2016-05

URL

http://hdl.handle.net/10631/00001361

doi: info:doi/10.11477/mf.7008200457

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Journal  of  Japan  Society  of  Disaster  Nursing  Vol.17,  No.3,  pp58-67,2016

地震発生後市 町村保健 師が住 民の反応 を捉 えて行 う

二次 的健康被害 を予防す るための活動

Activities Conducted by Municipal Public Health Nurses to Prevent Secondary Health Problems following an Earthquake

by Taking Residents' Reactions into Consideration

野 口 裕 子1)坪

倉 繁 美2)

Yuko Noguchi Shigemi Tsubokura

キ ー ワ ー ド:地 震 災 害,市 町 村 保 健 師,リ ス ク コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

Key words : earthquake disaster, municipal public health nurses, risk communication

Abstract

Purpose: To examine the actual

state

of activities

carried

out by municipal

public

health

nurses

(PHNs) for the prevention

of secondary health

problems following

an

earthquake,

taking residents'

reactions

into consideration

Method: Semi-structured

interviews

with five PHNs who experienced

the Nagano-ken

Hokubu, Chuetsu-oki,

or Chuetsu-daishinsai

earthquakes;

analysis

of the findings

Results:

PHNs perceived

the reactions

of the residents

in the following ways:

"under

standing the reactions

of residents

who cannot move", "understanding

the reactions

of

residents

experiencing

fear",

"recognizing

changes in residents'

lives",

and

"reco-gnizing confusion

that is different

from normal PHN activities".

PHNs' responses were

characterized

as follows:

"continuing

to encourage the victims",

"supporting

patients

requiring

urgent medical care",

"predicting

potential

health problems",

"making use of

disaster

knowledge and experience"

and "supporting

post-disaster

health

restoration".

Conclusion:

The municipal

PHNs were apprehensive

about

the

occurrence

of

the

earthquake

, but they understood

the varied and layered range of reactions

from the

residents

and completed

their

tasks

in a simultaneous

manner.

Regarding

the

transmission

of information,

they carried

out their

duties

by engaging

in risk

communication mediated by information on risks.

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016

目的:地 震 発 生 後 か ら,市 町村 保健 師 が 住 民 の 反 応 を捉 え て行 わ れ る 二 次 的 健 康 障 害 を予 防 す る ため の活 動 を明 らか にす る. 方 法:中 越 大 震 災 な どの 地 震 を経 験 した 保 健 師5名 に半 構 成 的 面接 を行 い 分析 した. 結 果:住 民 の 反 応 に対 す る保 健 師 の 認 識 と して 【身 動 き とれ な い住 民 の 反 応 を捉 え る 】 【怖 さ の 中 で我 慢 す る住 民 の 反 応 を捉 え る】  【住 民 の生 活 変 化 を認 識 す る 】  【通 常 の 保 健 師活 動 とは 異 な る混 乱 を認 識 す る】 が 抽 出 され た.保 健 師 の 認 識 を基 礎 に した保 健 師 の 行 動 と して 【安 心 感 を与 え続 け る 】  【医 療 的 に 緊 急性 の 高 い人 へ 支 援 す る】  【潜 在 す る健 康 被 害 を予 測 して 関 わ る】  【地 震 災 害 の 知 識 ・経 験 を用 い て 支 援 す る 】  【被 災 後 の 健 康 の立 て 直 しを支 援二す る 】 が 抽 出 され た. 結 論:市 町村 保 健 師 は,地 震 災 害発 生 後 の住 民 の 反応 を捉 え て解 釈 ・判 断 し二 次 的 健 康 障 害 を 予 防 す る 活動 を行 って お り中心 的 なや りと りは,リ ス ク情 報 を介 在 した リス ク コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンで あ っ た. I.序 論   我 が 国 は,世 界 有 数 の 自然 災 害 大 国 で あ る. 世 界 全 体 に お け る マ グ ニ チ ュ ー ド6.0以 上 の 地 震 の う ち20.5%を 日本 が 占 め て い る(内 閣 府, 2010).地 震 災 害 は 人 的 被 害 ・物 的 被 害 と も に 甚 大 で あ り,災 害 に よ る 二 次 的 健 康 被 害 を 最 小 限 に す る こ と は 重 要 で あ る.国 家 的 に も, 健 康 危 機 発 生 時 に 地 域 住 民 が 状 況 を 的 確 に 認 識 した 上 で 行 動 が で き る よ う,行 政 と地 域 住 民 や 関 係 者 と の リス ク コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 実 施 す る(厚 生 労 働 省,2012)必 要 性 が 示 さ れ た.リ ス ク コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン は, National  Research  Councilの 定 義 に よ る と

「個 人,機 関,集 団 間 で の 情 報 や 意 見 の や り と りの 相 互 作 用 的 過 程 」 で あ る と して い る(吉 川, 1999).個 人 レベ ル に お い て も災 害 が 起 き る と 身 の 上 に ふ り か か る 危 険 を い ち 早 く知 り,危 険 回 避 の 行 動 を お こ さ な け れ ば な ら な い 。 そ れ ゆ え に タ イ ム リ ー に 必 要 な 情 報 の や り と り が な さ れ な け れ ば な ら な い.   ひ と た び 災 害 が 起 こ れ ば,住 民 は まず 身 近 な市 町村 を頼 って支 援 を求 め る.市 町 村 保健 師 の健 康 危 機 事 例 の 関与 は約5割 で あ り(牛 尾 他,2004),市 町村 の防災 担 当者 は市 町村保 健 師 に は安 否 確 認 ・負 傷 者 の トリア ー ジ ・他 部 門 との連 絡 調 整 ・家庭 訪 問 を期 待 してい る こ と(藤 井 他,2007)か ら,市 町村 保 健 師 に 対 して は,住 民 か ら も市 町村 行政 職員 か らも, 災 害 時 の役 割 を期 待 され て い る.そ れ ゆ え に 災 害 時 にお い て は,住 民 の不 安 や お び え を理 解 し,何 を期 待 してい るか を解 釈 しなが ら的 確 な支 援 を行 う こ とが市 町村 に所 属 す る保 健 師の重 要 な役 割 となる. 阪神 ・淡路 大 震 災 の派 遣 チー ムの 一 員 と し て加 わ っ た保健 師 の金 森 恭 子(阪 神 ・淡路 大 震 災 保 健 師 活 動 編集 委 員 会,1995)は,震 災 時 に お け る住 民 の気 持 ち を次 の よ う に述べ て い る.「新 聞 ・テ レビ等 の各 メデ ィア を通 じて 感 じた もの は,現 地 を訪 れ た者 の視 点 で 訴 え られ て い る悲 しみ や意 見 にす ぎな か っ た.保 健 師が 相 手 の 立場 に な っ て,悩 み ・相 談 を受 け入 れ た時,『 ここで は皆 が 自分 が 一番 不 幸 と 日本 災 害 看 護 学 会 誌Vol.17.No.3.2016

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 思 って い るので避難所 生活 の不 満 は言 えない. 誰 か に悩 み を聞 い て ほ しか った』 と相 談 者 か ら打 ち明 け られ,生 活 苦 を余 儀 な くされ て い る現 地 の 人 々 の疲 労 と不 安 を現 実 の もの と し て感 じた.被 災 者 にか か わ っ てい くうち に, 『人 間 の弱 さ と強 さ』 も実感 した」 とい う保健 師 の活 動 の あ るべ き姿 を深 く考 えた 体験 を述 べ てい る.こ の よ う に保 健 師 は被 災 した住 民 が 抱 え てい る心 の 奥深 い とこ ろの 動 揺 を感 じ 取 りなが ら,言 語 にな らな い もの を読 み 取 る こ とが必 要 であ る. 平 常 時 の保 健 師活 動 にお い て も,あ らゆ る 健 康 レベ ルの 人 々 に対 して,ど の よ う な生 活 を望 んで い るの か を くみ取 りなが ら,住 民 自 らが健 康 悪 化 を防 ぎ生 活 の 質 を高 め られ る よ うな情 報 提 供 や 支援 を行 っ て い る.住 民 と保 健 師 との 間 で行 われ る と ころ の情 報 提 供 や 支 援 は,オ ー ラ ン ドのい うコ ミュニ ケ ー シ ョン の 過程 と同様 で あ る.オ ー ラ ン ドは人 間 関係 の 観 点 か ら言 語 的 行 動 は もち ろ ん の こ と,患 者 の 表情 や し ぐ さ とい っ た非 言語 的行 動 とい う反 応 を解 釈 して行 動 を起 こす とい う熟 考 の 上 で な され る活 動(Orland,1964)と して い る.災 害 時 にお け る保 健 師 活動 こそ,住 民 の 反応 を深 く解釈 した言動 が必 要 とされ る. 災 害時 にお け る保 健 師活 動 の特 徴(石 川, 2004),保 健 師 の役 割 意 識(青 木,2006),保 健 師の役 割(奥 田,2008)に 関 す る研 究 や, 保健 師活 動 マニ ュ アル(日 本公 衆衛 生協 会他, 2013)は あ る ものの,そ れ らの内 容 の 多 くは 被 災 者 や 被 災 地 域 に お け る保 健 師 側 か らみ た 必 要 な情 報把 握 と支援 の側面 が多 い. しか し,二 次 的健 康 被 害 を最 小 限 にす るた め に保 健 師 が 住 民 の 反応 の意 味 を捉 えて 行 っ てい る活動 に着 目 した研 究 は見 当た らな い. Ⅱ.研 究 目的 地 震 災 害発 生 後 か ら,保 健 師が 住 民 の 反 応 を捉 え て行 われ る二次 的健 康 障害 を予 防 す る ため の活動 の実 態 を明 らか にす る. Ⅲ.研 究 の方法 1.対 象 長 野 県 北 部 地震,中 越 沖地 震,中 越 大 震 災 の い ず れ か の発 災 当 時,災 害対 策本 部 組 織 の 一 員 と して仕 事 を してい た 市 町村 保 健 師5名 で あ る. 2.デ ー タ収集 方法 デ ー タ収 集 につ い て は,所 属 長 に依 頼 し, 内 諾 の 得 られ た保 健 師 に対 して半構 成 的面 接 法 で イ ン タ ビュ ー を実 施 した.実 施 は平 成24 年12月 であ った. イ ンタビュー 内容 は,以 下 の通 りで あ る. 1)経 験 した地 震 の数,地 震 発 生 時 保 健 師経 験年数,職 位 2)地 震 発 生 後 の 住 民 の訴 え ・不 安 は どの よ うな もの か. 3)住 民 の訴 えや 不安 を どの よう に と ら え, 保健 師活動 に活 か したか. 4)保 健 師 の意 図 した働 きか け に対 して住 民 の反応 は どうか. 5)地 震発 生 後 にお い て,二 次 的健 康 障 害 を 防 ぐため に,住 民 と どの よ うな情 報 の や り と りが あれ ば よい と感 じた か. 面 接 は1人1回 実 施 し,研 究対 象 者 の 希 望 も取 り入 れ なが らプ ラ イバ シー の保 持 が で き る静 か な場 所 で行 った. 面接 内容 は研 究対象者 の許 可 を得 てICレ コー ダー に録音 し,そ れ を逐語 録 に した もの をデ ー タ と した. 3.デ ー タの分 析方 法 1)録 音 した 面接 内容 はす べ て逐 語 録 に起 こ

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vo1.17, No.3, pp58-67, 2016   した. 2)参 加 者 ご とに作 成 した逐 語 録 全 体 の 意 味   を熟 読 した. 3)語 られ た文 脈 を重視 しなが ら,デ ー タ と   して 有益 な 意味 を もつ もの を一 単 位 と して   抽 出 した. 4)抽 出 した単 位 ご と に逐語 録 の前 後 関係 を   判 断材 料 と しなが ら,コ ー ド化 した. 5)コ ー ド化 した 内容 を吟 味 し,住 民 の 反応   を捉 えて行 わ れ る保 健 師 活 動 につ い て は,   デ ー タの 背 景 に あ る言 語 的 に も非 言 語 的 に   も,両 方 の 観 点 で意 味 の 解釈 を行 い,同 質   性や類 似性 を考慮 しカテ ゴリを生成 した. 6)カ テ ゴ リは,住 民 の 反応 を解 釈 し保健 師   が行 動 に起 こす とい う相 互 作 用 関係 の 関係   性 を構造 図(図1)に あ らわ した. 4.分 析 結果 の信頼 性 の確 保   デ ー タ分 析 に あ た っ て はす べ て の段 階 に お い て,共 同研 究 者 と討 議 を重 ね,精 度 を高 め た. 5. 倫理 的配 慮 研 究依 頼 対 象 者 へ の 依 頼 は説 明文 書 で,① 研 究 主 旨 ・目的,② 研 究 内 容,③ 研 究 参加 及 び途 中辞 退 の 自由,④ 個 人 や所 属 の 特 定 は さ れ ない 守 秘性 の確 保,⑤ デ ー タ は研 究 目的以 外 に使 用 しない こ と,⑥ 研 究 の公 表 につ い て 明記 した.   な お,所 属 長へ の依 頼 は研 究 依頼 対 象者 と 同様 に説 明文 書 で,研 究 主 旨 ・目的,研 究 内 容,研 究 参 加 及 び途 中辞 退 の 自由,個 人 や所 属 の 特 定 は され な い守 秘 性 の確 保,デ ー タは 研 究 目的 以外 に使 用 しない こ と,研 究 の公 表 の 内諾 を得 た. イ ンタ ビュ ー は,内 諾 の得 られ た研 究依 頼 対 象 者 に行 っ た.イ ン タビ ュー 時 は,研 究 依 頼 対 象者 の フラ ッシ ュバ ッ ク を考 慮 し,話 し した くな い こ とは話 さ な くて も よい 旨 を伝 え て実施 した. 本 研 究 は所 属 す る機 関 の倫 理 委 員 会 で承 認 を受 け て実施 した(承 認番 号012-19). IV.結 果 1.対 象者 の概 要 5名 の協 力者 にお い て,3名 が 中越 大 震災, 中越 沖地 震,長 野 県 北 部 地 震 の うち2つ の地 震 を,2名 が1つ の地 震 を経 験 した.保 健 師 経 験 年 数 は,地 震 発 生 当 時9年 目か ら33年 目 で あ った.(表1) 2.分 析結 果 の記述 地 震 災 害 発 生後 か ら,日 常生 活 が制 限 され る こ とに よる二 次 的 健康 障 害 を防 ぐた めの 保 健 師活 動 と して,住 民 の 反 応 に対 す る保 健 師 の認 識 を示 す4カ テ ゴ リ,保 健 師 の認 識 を基 礎 に した保 健 師の 行 動 を示 す5カ テ ゴ リが 抽 出 され た(表2).住 民 の反応 に対 す る保 健 師 の 認識 とは,発 災 後 住 民 との か か わ りの 中で 住民 の反 応 を解 釈 ・判 断 した内 容 をい う.ま た,保 健 師 の認 識 を基 礎 に した保 健 師 の行 動 表1対 象 者 の概 要

対象者A対

象者B対

象者C対

象者D対

象者E

経 験 し た22112 地 震 の 数 地 震 発 生 時 保 健 師 経 験21年 目28年 目25年 目31年 目15年 目9年 目30年 目33年 目 年 数 職位 主任 主任 主任 師長 主査 主査 係長 係長 日 本 災 害 看 護 学 会 誌Vol.17,No.3,2016

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Journal  of  Japan  Society  of  Disaster  Nursing  Vol.17,  No.3,  pp58-67,2016 表2  地震災害発生後市町村保健師が住民の反応 を捉えて行われる二次的健康障害 を予防するための活動 カ テ ゴ リ サ ブ カ テ ゴ リ 住 民 身 動 き とれ な い 住 民 の 反 応 を捉 え る 安 全 な場 所 に避 難 で きな い ・適 応 で きな い住 民 を捉 え る 訴 え られ な い住 民 を捉 え る の 反応 に 怖 さの 中で 我慢 す る 住 民 の 反 応 を捉 え る 恐 怖 ・孤 独 ・不 安 な気 持 ち を捉 え る 住 民 の我 慢 や不 満 を捉 え る ひ と段 落 した の ち は 人 とつ なが ろ う とす る気 持 ち を捉 え る 対 す る 保 健 住 民 の生活変化 を認識 す る 地 震 に よる住 民 の被 害 の全 体 像 をつ か もう とす る 直 接 出 向 い て住 民 の声 や気 持 ち を キ ャ ッチす る 住 民 の生 活 の変 化 を捉 え よう とす る も との生 活 を取 り戻 す こ との 困難 性 を理 解 す る 師 の 認 識 通常 の保健 師活動 とは 異 なる混乱 を認識する 全 体 像 を示 す 新 しい情 報 の伝 え方 が 見 え ない 保 健 指 導 の 内容 の優 先 度 が 決 め ら れ な い混 乱 が あ る 連 携 が 必 要 な チ ー ム 内調 整 が 機 能 しな い 保 健師 の 認 安心感 を与え続 ける 訴 えが 多 く表 出す る 人 に 関 わ る 不 安 が 顕 著 に表 れ て い る人 に支 援 を行 う 住 民 の混 乱 を最 小 限 にす る関 わ りを行 う 不 安 感 の連 鎖 を断 ち切 る 住 民 の近 くに い る 識 を 基 礎 に 医 療 的 に 緊急 性 の 高 い 人 へ 支援 す る 医 療 依 存 度 の高 い人 へ の 継 続 的 医 療 の 確 保 を行 う 妊 産 婦 ・乳 児 の 安 全 な避 難 を工 夫 す る 生 活 の維 持 の ため に限 ら れ た避 難 空 間 で創 意 工 夫 を尽 くす し た 保 健 潜 在 す る健 康 被 害 を 予 測 して 関 わ る あ ら ゆ るチ ャ ン ネ ル を使 い 健 康 被 害 の 潜 在 的 ニ ー ズ 調査 を行 う 避 難 所 に ア クセ ス で き ない ・適 応 で き ない 人 々 を支援 す る 訴 え を表 出 しない 人 に関 わ る 師 の 地 震 災 害 の 知 識 ・経 験 を用 い て支 援 す る 過去の災害活動経験が功 を奏す る 震災後 に起 こ りやすい健康被 害 を予防する 行 動 被 災 後 の健 康 の立 て 直 しを支 援 す る 震 災 前 の 活 力 を取 り戻 す よ う な関 わ りを行 う 復 興 に携 わ る人 々 の 健康 面 を支 え る は,保 健 師 の 認 識 を基 礎 に して 疾 病予 防 や健 康 増 進 とい う観 点 か ら発 動 した行 動 を い い, コ ミュニ ケ ー シ ョ ン過 程 と して の相 互 作 用 関 係 を示 す.抽 出 され たそ れ ぞ れ につ い て の カ テ ゴ リは 【】,サ ブ カテ ゴ リは 『』 で表 記 し た. 1)住 民 の反応 に対 す る保健 師の認識 住 民 の 反 応 に対 す る保 健 師 の認 識 と して4 カテ ゴ リ 【身動 きとれ な い住 民 の反 応 を捉 え る】 【怖 さの 中で我 慢 す る住 民 の 反 応 を捉 え る】 【住 民 の 生 活 変化 を認 識 す る】 【通常 の 保 健 師 活 動 とは異 な る混 乱 を認 識 す る】 が抽 出 され た. (1)【身動 きとれ ない住民 の 反応 を捉 える】 この カテ ゴ リは,大 震 災 を体 験 した 大 混乱 か ら ど う対 応 して よい かが わか らず 身動 きが とれ ない 住 民 の反 応 を捉 えた もの で あ る.サ ブ カテ ゴ リは,『安 全 な場 所 に避 難 で きない ・ 適 応 で きな い住 民 を捉 え る』,『訴 え られ な い 住民 を捉 える』 で あ った. (2)【怖 さの中で我 慢す る住民 の反応 を捉 える】 この カ テ ゴ リは,大 震 災 の威 力 の強 さを体 験 した後 の計 り知 れ ない ほ どの恐 怖 や 不 安 な ど を含 め た住 民 の 真 の気 持 ちが 表 れ てい た と ころ を捉 え た もの で あ る.サ ブ カ テ ゴ リは, 『恐 怖 ・孤 独 ・不安 な気持 ち を捉 え る』,『住 民

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 の我慢 や不 満 を捉 え る』,『ひ と段 落 した の ち は人 とつ な が ろ う とす る気 持 ち を捉 え る』 で あった. (3)【住民 の生活 変化 を認 識す る】   この カ テ ゴ リは,保 健 師 と して の本 来 の活 動 を行 うた め に 自覚 的 に認 識 した もの を表 し て い る.サ ブ カテ ゴ リは,『 地震 に よる住民 の 被 害 の全 体 像 をつ か も う とす る』,『直接 出向 い て住 民 の声 や 気持 ち を キ ャ ッチ す る』,『住 民 の生 活 の変 化 を捉 え よ う とす る』,『も との 生 活 を取 り戻 す こ との 困難 性を理 解 す る』 で あ った. (4)【通 常 の保 健 師 活 動 とは異 な る混 乱 を認   識す る】   この カテ ゴ リは,大 震 災 とい う大 きな出 来 事 の混 乱 状 況 にあ って は,通 常 の感 覚 や 認 識 で は太 刀 打 ちで き ない とい うこ とを認 識 して い る様 相 を表 してい る.サ ブ カテ ゴ リは,『全 体像 を示す 新 しい情報 の伝 え方 が見 えな い』, 『保 健 指導 の 内容 の優 先 度 が決 め られ ない混 乱 が あ る』,『連携 が必 要 なチ ー ム 内調 整 が 機 能 しない』 であ った. 2)保 健 師の認 識 を基 礎 に した保 健 師の行 動   保健 師 の認 識 を基 礎 に した保 健 師 の 行動 と して5つ の カ テ ゴ リ 【安 心 感 を与 え続 け る】 【医療 的 に緊 急 性 の 高 い 人へ 支 援 す る】  【潜 在 す る健 康 被 害 を予 測 して 関 わ る】  【地 震 災 害 の知 識 ・経 験 を用 い て支 援 す る】  【被 災後 の健康 の立 て直 しを支援 す る】が 抽 出 され た. (1)【安心 感 を与 え続 け る】   この カテ ゴ リは,大 震 災 に遭 遇 し不 安 感 や 恐 怖 感 を抱 えて い る住 民 に,あ らゆ る機 会 を 捉 え て,ま た あ らゆ る方法 を用 い て安 心感 を 与 え続 け てい た様 相 を表 してい る.サ ブ カテ ゴ リは,『 訴 えが 多 く表 出 す る人 に関 わ る』, 『不安 が 顕 著 に表 れ て い る人 に支援 を行 う』, 『住 民 の 混 乱 を 最 小 限 に す る 関 わ り を行 う』, 『不 安 感 の 連 鎖 を 断 ち 切 る 』,『住 民 の 近 くに い る 』 で あ っ た. (2)【 医 療 的 に 緊 急 性 の 高 い 人 へ 支 援 す る 】 こ の カ テ ゴ リ は,被 災 住 民 の 一 刻 を 争 う生 命 維 持 の 支 援 や 限 ら れ た 空 間 で の 安 全 確 保 を して い た 様 相 を表 して い る.サ ブ カ テ ゴ リ は, 『医 療 依 存 度 の 高 い 人 へ の 継 続 的 医 療 の 確 保 を 行 う』,『妊 産 婦 ・乳 児 の 安 全 な 避 難 を工 夫 す る 』,『 生 活 の 維 持 の た め に 限 られ た 避 難 空 間 で 創 意 工 夫 を尽 くす 』 で あ っ た. (3)【 潜 在 す る健 康 被 害 を予 測 して 関 わ る 】 こ の カ テ ゴ リ は,日 常 的 に予 防 の 視 点 で 関 わ っ て い る保 健 師 が 災 害 発 生 後 も 引 き続 い て 顕 在 化 さ れ て い な い 健 康 被 害 の 把 握 や,自 ら 健 康 被 害 に気 付 か な い ・支 援 の 必 要 性 を 訴 え られ な い 住 民 に 関 わ る とい う こ と を表 し て い る.サ ブ カ テ ゴ リ は,『 あ らゆ る チ ャ ン ネ ル を 使 い 健 康 被 害 の 潜 在 的 ニ ー ズ 調 査 を 行 う 』, 『避 難所 に ア ク セ ス で きな い ・適 応 で きな い 人 々 を支 援 す る 』,『訴 え を表 出 しな い 人 に 関 わ る』 で あ っ た. (4)【 地 震 災 害 の知 識 ・経験 を用 い て支 援 す る】 こ の カ テ ゴ リ は,地 震 災 害 に 関 す る 既 存 知 識 を用 い る こ と に 加 え て,地 震 災 害 を 経 験 し た こ と を振 り返 る こ とで 得 た こ と を 支 援 に 活 か す こ と を表 して い る.サ ブ カ テ ゴ リは,『 過 去 の 災 害 活 動 経 験 が 功 を 奏 す る 』,『震 災 後 に 起 こ りや す い 健 康 被 害 を予 防 す る 』 で あ っ た. (5)【 被 災 後 の 健康 の 立 て 直 しを支 援 す る】 こ の カ テ ゴ リ は,被 災 か ら の 復 旧 ・復 興 に 向 け て,復 興 に 携 わ る 住 民 を含 め た 健 康 の 立 て 直 し を支 援 し た と い う こ と を 表 して い る. サ ブ カ テ ゴ リは,『 震 災 前 の 活 力 を取 り戻 す よ う な 関 わ り を 行 う』,『 復 興 に携 わ る 人 々 の 健 康 面 を支 え る』 で あ っ た. 日本 災 害 看 護 学 会 誌Vol.17,No.3,2016

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 V.考 察 1.恐 怖 感 を抱 き身 動 き と れ な い住 民 の 把 握 保 健 師 は,地 震 発 生 後 か ら 『安 全 な場 所 に 避難 で き な い ・適 応 で き な い 住 民 を 捉 え る』 こ と や 『訴 え られ な い 住 民 を 捉 え る 』 とい う 【身 動 き と れ な い 住 民 の 反 応 を捉 え る 】 こ と に務 め て い た.突 然 の 地 震 を 経 験 し,生 命 危 機 に直 面 し な が ら,ラ イ フ ラ イ ン も断 絶 す る な か に あ って,避 難 で きな い,適 応 で き な い, 訴 え ら れ な い とい う 反 応 を捉 え て い た.つ ま り は 恐 怖 感 を抱 き 身 動 きが 取 れ な い 被 災 後 の 住 民 の 姿 と し て 理 解 して い た.ま た 災 害 時 の 感 情 体 験 と し て,生 命 へ の 脅 威 が 大 き い 場 合 に は 強 烈 な 恐 怖 感 が 生 ま れ る  (Raphael, 1995)と 述 べ て い る よ う に,『 恐 怖 ・孤 独 ・不 安 な 気 持 ち を捉 え る 』 こ とや 『住 民 の 我 慢 や 不 満 を 捉 え る 』 な ど の 【怖 さ の 中 で 我 慢 す る 住 民 の 反 応 を捉 え る 】 と い う住 民 の 強 烈 な 恐 怖 の 感 情 と 認 識 し て い た.保 健 師 が 認 識 し た と こ ろ の 恐 怖 感 を抱 き 身 動 き取 れ な い 被 災 者 の 反 応 は,生 命 の 危 機 に 直 面 し た 住 民 の 反 応 で あ り,生 命 ・安 全 の 確 保 が 必 要 な 緊 急 的 な 反 応 とい え る. 2.階 層 構 造 的 な 反 応 や ニ ー ズ に 対 す る 同 時   並 行 的 な支 援

Inter-Agency  Standing  Co㎜ittee(IASC) の ガ イ ドラ イ ン に よ る と,災 害 ・紛 争 時 等 に 人 々 が 受 け る 影 響 は 様 々 で あ り,精 神 保 健 ・ 心 理 社 会 的 支 援 を組 織 す る に は,基 本 的 な サ ー ビ ス お よ び 安 全 ・コ ミ ュ ニ テ ィ お よ び 家 庭 の 支 援 ・特 化 した 非 専 門 的 サ ー ビス ・専 門 的 サ ー ビ ス と い う 階 層 構 造 の 中 で そ れ ぞ れ の 人 々 の ニ ー ズ に見 合 っ た 相 補 的 な 支 援 を 開 発 す る こ とが 重 要 で,理 想 的 に は 各 階 層 の す べ て を 並 行 して 実 施 す る必 要 が あ る(IASC,2007)と 表 明 して い る.  被 災 後 の 階層 構 造 の ニ ーズ は,な に よ りも 『訴 えが多 く表 出 す る人 に 関 わ る』 『不 安 が顕 著 に 表 れ て い る 人 に支 援 を 行 う』 とい った 【安心 感 を与 え続 け る】 こ とや 【医 療 的 に緊 急 性 の 高 い 人へ 支 援 す る】 こ と,  【潜 在 す る 健 康被 害 を予 測 して 関 わ る】 こ と を行 っ て い た.被 災 して 混 乱状 況 であ って も保 健 師 は, 緊急 性 の 課題 と潜 在 性 の課 題 を同 時 に見 据 え なが ら,今,目 の 前 にい る不 安 な住 民 に安 心 感 を与 え る直接 的支 援 と今 現 在 は 表 れ て い な い将 来 に備 えた予 測 行 動 が 必 要 で あ る こ と を 自覚 しなが ら行 動 してい た.保 健 師 は様 々 な 住 民 の反 応 に対 し直接 的 に も関与 しなが ら も 潜 在 的 ニ ーズ を予測 した予 防活 動 を同 時並 行 的 に行 って い た.こ れ らは ま さにIASCの ガイ ドライ ンに示 す と ころ の多 様 でか つ 階 層構造 的 な ニ ー ズ に対 して 同 時並 行 的 に行 動 して い る状況 で あ る とい える. 3.日 ごろ か らの住 民 の 関 わ りか ら可 能 と な   る健 康 の立 て直 しへの支 援   災 害 後 の住 民 は トラウ マ体 験 をす る可 能性 が あ る.野 田 は 「トラ ウマ を表 出す る に は, そ の 人 な りの,あ る い はそ の 文化 な りの 艀 化 時 間 が必 要 で,被 災 者 を支 援 した い 人 はそ の 艀化 時 間 を共 有 す る しか ない(野 田,2011)」 と述べ て い る.災 害 直 後 の 緊 急 的 な支 援 か ら 時 間 を経 て,復 旧 ・復 興 段 階 へ の支 援 へ と進 む段 階 にお い て も保 健 師 は重 要 な役 割 を果 た す.本 研 究 にお い て も保健 師 は 『震 災前 の活 力 を取 り戻 す よ う な 関 わ りを行 う』 こ とや 『復 興 に携 わ る人 々の健 康 面 を支 える』 とい う 【被 災 後 の健 康 の立 て直 しを支援 す る】 活 動 を行 って い た.保 健 師 は,震 災 前 か ら 日頃 の 活 動 を通 して住 民 とは関係 性 が あ り,住 民 の 文 化 や 生 活 を把 握 してい る存 在 で もあ る.災 害 で生 じた トラ ウマ や生 活 の 立 て 直 しに必 要

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 な文 化 や背 景 も知 り得 て い る保 健 師 は,生 活 再 建 や健 康 生 活 の 取 戻 しの た め に,回 復 に必 要 な艀 化 時間 を踏 まえて発 災以前 か らか かわ っ て きた 時 間 を共 有 しなが ら じっ く りと住 民 と 共 に歩 まな け れ ば な らな い.住 民 との 関係 性 が で きて い る こ とは 回復 に必 要 とな る艀 化 時 間 も短縮 され る ともい え る.復 旧 ・復 興 に は 日頃 か ら住 民 と直 接 か か わ って い る保 健 師 の 果 た す役 割 は大 き く重 要 で あ る.そ うい う意 味 で も保健 師 は,日 ごろの活動 を土 台 として, 発 災後 の生 活 ・健康 の 再建,復 旧 ・復 興 に向 け て活躍 で きる存 在 であ る といえ る. 4.地 震 災害発 生後 か らの リス クコ ミュニケ ー   シ ョンの体現  地 震 災 害 発 生 後市 町村 保 健 師が 住 民 の 反 応 を捉 え て行 っ て い る二 次 的健 康 障 害 を予 防 す る た め の活 動 を住 民 と保健 師 との 問 で行 われ る コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの観 点 か ら検 討 し図1 の よ うに示 した. 住民 と保健 師 との 問で行 われ る コ ミュニ ケー シ ョ ン は,住 民 の 言 語 や 非 言 語 の 中 か ら心 の 奥 に あ る 真 の 戸 惑 い や 不 安 を 解 釈 しな が ら支 援 を 行 っ て い る と こ ろ の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 様 相 を 表 わ して い る.保 健 師 の 認 識 と保 健 師 の 行 動 の 相 互 作 用 関 係 は,表 出 さ れ た 不 安 の 反 応 ひ とつ ひ と つ に 対 応 す る 行 動 で あ っ た り,将 来 の 生 活 や 予 防 活 動 と い う 複 合 的 ・総 合 的 な 視 点 で 対 応 す る 行 動 で あ っ た りす る も の で あ る.こ れ ら は 単 発 的 に 支 援 した り同 時 並行 的 に 支 援 して い る もの な ど さ ま ざ ま で あ っ た. 米 国 に お い て は,す べ て の 公 衆 衛 生 従 事 者 に 求 め られ る 緊 急 時 準 備 態 勢 コ ン ピ テ ン シ ー の 一 つ に,一 般 大 衆 や 個 人(家 族 や 人 々)と の 間 に,緊 急 時 対 応 に お け る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 役 割 を 述 べ る こ とが で き る(橘,2006) こ と を あ げ て い る よ う に,公 衆 衛 生 従 事 者 で あ る 保 健 師 に は 災 害 時 に お け る コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン が 重 要 で あ る.本 研 究 に お い て も 支 援 の 対 象 で あ る住 民 の 反 応 を 解 釈 ・判 断 し て 行 図1  地震 災害発生後市町村保健師 が住民の反応 を捉 えて行 われる二次的健 康障害 を予防するための活動 日本 災 害 看 護 学 会 誌   Vol.17,  No.3,  2016

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 動 を起 こ してい る とい う コ ミュ ニ ケ ー シ ョン の過 程 を体 現 して い る とい う こ とが 明 らか に な った. 基 礎 自治体 に勤 務 す る市 町 村保 健 師 は,行 政組 織 の災 害 対 策 の 流 れ に沿 っ て活 動 す る こ とが 求 め られ る.リ ス ク情 報 も包 括 的 に一 斉 に流 され る.恐 怖 や 身動 き取 れ な い心 理 状 況 下 にお い て は,流 され た情 報 に よ って は,派 生 的 に別 の恐 怖 や リス ク を生 む こ とが あ り, 適切 な リス ク回避 につ なが らない こ とが あ る. 瀬尾 は,リ ス ク コ ミュニ ケ ー シ ョンにつ い て 広 義 で は リス ク情 報 の 開 示 な ど を含 ん だ意 味 で使 わ れ るが,狭 義 で は 「コ ミュニ ケ ー シ ョ ン」 とい う言葉 が 示 す とお り,双 方 向 の情 報 交 換 に よっ て特 徴 づ け られ る(瀬 尾,2005) と述 べ てい る.リ ス ク コミュニ ケー シ ョンは, 自治 体全 体 で は広 義 の意 味 で使 用 され る こ と が 多 い が,対 人 関係 を基 礎 に した保 健 師活 動 にお い て は,狭 義 の意 味 を持 つ 活動 が必 要 で あ る.個 々人 の抱 え る課 題 と行 政 的 な災 害 対 策 の両 方 の 観 点 か ら住 民 に支 援 して い くこ と が 重 要 で あ る が,研 究結 果 か らは瀬尾 の い う 狭 義 の コ ミュニ ケ ー シ ョ ンが 強 調 され た と こ ろ の双 方 向 の リス ク情 報 を加 味 し介在 した リ ス クコ ミュニケ ー シ ョンの実 態が 明 らか になっ た. VI.本 研 究 の限界 本 研 究 の研 究 協 力 者 は,限 られ た一 つ の 県 内で あ り,デ ー タ収集 した対 象者数 も少 な く, 一般 化 す る には 限界 が あ る.今 後 は,地 域 を 拡 大 させ て調査 をす る必 要 があ る. Ⅶ .結 論 被 災後 恐 怖 感 を抱 い て 身動 き とれ な い な ど の多 様 で 階 層 構造 的 な住 民 の反 応 や ニ ー ズ を 認 識 して,あ ら ゆ る 行 動 を 行 い な が ら 同 時 並 行 的 な 支 援 を行 っ て い る こ とが 明 ら か に な っ た.市 町 村 保 健 師 は,地 震 災 害 発 生 後 の 住 民 の 反 応 を捉 え て 解 釈 ・判 断 し二 次 的 健 康 障 害 を 予 防 す る 活 動 を行 っ て い た.こ れ ら の 中 心 的 な や り と りは,リ ス ク情 報 を 介 在 した リ ス ク コ ミュ ニ ケ ー シ ョン で あ っ た. 謝 辞 研 究 に ご協 力 い た だ き ま し た 保 健 師 の 皆 様 に 心 よ り御 礼 を 申 し上 げ ます. 本 研 究 は,平 成25年 度 新 潟 県 立 看 護 大 学 大 学 院 看 護 学 研 究 科 に 提 出 し た 修 士 論 文 に 一 部 加 筆 ・修 正 を加 え た もの で あ る.ま た,本 研 究 の 一 部 を 第73回 日本 公 衆 衛 生 学 会 総 会(2014 年11月)で 発 表 し た. 引 用 文 献 ・青 木 実 枝,三 澤 寿 美,鎌 田美 千 子 他(2006): 災 害 時 ヘ ル ス ニ ー ズ に対 す る 保 健 師 の 役 割 意 識 山 形 保 健 医 療 研 究,9,1-10. ・阪 神 ・淡 路 大 震 災 保 健 師 活 動 編 集 委 員 会 (1995):全 国 の保 健 師 に支 え ら れ て − 阪 神 ・ 淡 路 大 震 災 の 活 動 記 録 −,全 国 保 健 婦 長 会 兵 庫 県 支 部,102-103. ・藤 井 誠,橋 本 結 花(2007):地 震 災 害 時 に お け る 市 町 村 保 健 師 の 役 割 の 特 徴 と課 題,日 本 災 害 看 護 学 会 誌,8(3),10-20. ・Inter -AgencyStandingCo㎜ittee(IASC) (2007):災 害 ・紛 争 等 緊 急 時 に お け る精 神 保 健 ・心 理 社 会 的 支 援 に 関 す るIASCガ イ ドラ イ ン,2014.12.15, http://www.who.int/hac/network/interagency/ news/iasc_110423.pdf ・石 川 麻 衣 ,牛 尾 裕子,武 藤 紀子他(2004): 自 然 災 害 発 生 時 に お け る市 町 村 保 健 師 の 活 動

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Journal of Japan Society of Disaster Nursing Vol.17, No.3, pp58-67, 2016 の 特 徴 − 噴 火 災 害 の 一 事 例 分 析 か ら −,千 葉 大 学 看 護 学 部 紀 要,26,85-91. ・吉 川 肇 子(1999):リ ス ク ・ コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン − 相 互 理 解 と よ り よ い 意 思 決 定 を め ざ し て −(初 版),福 村 出 版,東 京. ・厚 生 労 働 省(2012 ,7):地 域 保 健 法 第 四 条 第 一 項 の 規 定 に 基 づ く 地 域 保 健 対 策 の 推 進 に 関 す る 基 本 的 な 指 針 の 一 部 改 正 に つ い て,厚 生 労 働 省,2014.4.8, http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/ hourei/H120801HOO12.pdf. ・内 閣 府(2010):平 成22年 版 防 災 白 書,内 閣 府,2014.12.12, http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/ h22/bousai2010/html/honbun/2b_1s_1_01.htm ・日本 公 衆 衛 生 協 会,全 国 保 健 師 長 会(2013): 大 規 模 災 害 に お け る 保 健 師 の 活 動 マ ニ ュ ア ル, 2013.4.8, http://㎜.jpha.or.jp/sub/pdf/ menuO4_2_h25_01.pdf ・野 田 文 隆(2011):災 害 と 文 化,内 橋 克 人, 大 震 災 の な か で 私 た ち は 何 を す べ き か,196-202,岩 波 新 書,東 京. ・奥 田 博 子(2008):自 然 災 害 時 に お け る 保 健 師 の 役 割,保 健 医 療 科 学,57(3),213-219. ・Orland ,I.J.(1961)/稲 田 八 重 子 訳(1964) :看 護 の 探 求 ダ イ ナ ミ ッ ク な 人 間 関 係 を も と に した 方 法 −(初 版),メ ヂ カ ル フ レ ン ド社, 東 京. ・Raphael ,B.(1986)/石 丸 正 訳(1995):災 害 の 襲 う と き − カ タ ス トロ フ ィ の 精 神 医 学 − (第1版),み す ず 書 房,東 京. ・瀬 尾 佳 美(2005):リ ス ク 理 論 入 門 − ど れ だ け安 全 な ら充 分 な の か−,109-125,中 央 経 済 社,東 京. ・橘 と も子(2006):公 衆 衛 生 従 事 者 に 求 め ら れ る 健 康 危 機 管 理 コ ン ピ テ ン シ ー,保 健 医 療 科 学,55(2),76-92. ・牛 尾 裕 子,関 龍 太 郎,藤 谷 明 子 他(2004): 市 町 村 保 健 師 の 健 康 危 機 管 理 機 能 に 関 す る 実 態 調 査,厚 生 労 働 省 科 学 研 究 費 補 助 金(が ん 予 防 等 健 康 科 学 総 合 研 究 事 業),地 域 の 健 康 危 機 管 理 に お け る 保 健 所 保 健 師 の 機 能 ・役 割 に 関 す る 実 証 的 研 究 − 平 成15年 度 総 括 ・分 担 研 究 報 告 書 −,49-79. 日本 災 害 看 護 学 会 誌Vol.17,No.3,2016

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参照

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