資産価格 の ランダム性 に関 す る歴史的考察
栗林 訓
Historical
Survey
of Randomness
of Asset Prices
Satoshi Kuribayashi
Summary
It seems that 'history
repeats itself in asset markets.
This paper surveys
. the history of asset price movements.
Part I reviews
the bubble of Japanese asset
markets
in the late eighties,
Part II touches
upon the random
character
of prices.,
Part M reviews
the bulb and
the bubble of European
countries
in the seventeenth
and eighteenth
centuries,
Part IV traces the speculative
price movement
in the post-war
US stock market,
and Part V takes a general
view on the Black Monday
in
1987.
パ ー ト1.・ 東 京 バ ブ ル 再 考 ● 東 京 証 券 取 引 所 に上:場され て い る1500銘 柄 の 時 価 総 額 は 、 ニ ュ ー ヨー ク取 引所 に上 場 され てい る2250銘 柄 の 時価 総 額 よ,りも大 きい。 ● カ リ フ オ ル;ア 州 と同 じ く らい の 面 積 しか な い 日本 全 体 の 国 土 の 時価1ま、 ア メ リ カ合 衆 国 の 全 国 土 の 時 価 よ りも大 きい 。『(同じ く、 皇 居 の 地価 は か リ フ ォル ニ ア州 の 地価 よ り も高 い)。 ● 日本 の 国 策 電 信 電 話 会 社 で あ るNTTの 株 式 は、 東 京 証 券 取 引所 にお い て3300億 ド丿レと評 価 さ れ て い る 。 こ れ は 、IBM、 エ ク ソ ン 、 ゼ ネ ラ ル ・エ レ ク ト リ ック 、 ゼ ネ ラ ル ・モ ー タ ーズ を 合 計 した 時 価 よ り も大 きい 。 ● 野 村 證 券 は 日本 最 大 の ブ ロ ー カ ー 業 者 で あ るが 、 東 京 証 券 取 引 所 で の 時 価 総 額 は710億 ドル で あ り、 これ は ア メ リカ にお 二け る す べ て の証 券 会 社 の 時 価 総 額 の 合 計 よ り も大 きい 。 以 上 挙 げ た の は 、 ア メ リ カ の 週刊 誌 『フ ォー ブス 』1987年5月18日 号 か らの 抜 粋 で あ る 。 東 京 証 券 取 引 所 が ニ ュ「 ヨ ー ク を抜 い て文 字 どお り世 界 最 大 の取 引 所 に な つ た こ と、 株 式 に劣 ら な い す さ ま じい 土 地 騰 貴 、NTTの 時 価 総 額 は ア メ リ カ を代 表 す る企 業 群(ブ ル ー ・チ ッ プ銘 柄)を は る か に 凌 駕 して い る こ と、 野 村 證 券1社 の 時価 総 額 の 巨 大 さ 、等 々、 レ ポ ー タ ー で あ る ア メ リ カ人 もび っ く り した に ちが い ない 。 『フ ォー ブ ス 』 誌 の タ イ トル は 「日出 ず る国 、.日本」・を も じっ て 、・「株 出ず る 国」、(Lan40ftheRisipgStocks)と な って い るg しか しな が ら、 同 記 事 の 趣 旨 は、 日本 に お け る株 価 と地 価 の異 常 な高 騰 、 株 式 市 場 規 模 の 大 きさ な ど を賞 賛 す る こ とで は な い 。 そ の 正 反対 で あ る 。 痛 烈 な皮 肉 と批 判 が あ る 。 そ の う ち の い く つ か は傾 聴 に値 す る。 「西 洋 の ア ナ リス トは 欧 米流 の 尺 度 で 日本 株 を評 価 し よ う と何 度 も試 み て きた が 、常 に失 敗 し た。 欧 米 流 の 分 析 ツ ー ル に よ っ て 日本 市 場 を理 解 しよ う とす る こ とは 、 ち ょ う ど、 寿 司 を ケ チ ャ ップ で まぶ しな が ら食 べ る こ と と同 じだ 」。 「日本 市場 は、 ニ ュ ー ヨー ク市 場 一 そ こで は、 利 益 や 配 当 金 、 資 産価 値 や 利 子 率 が 公 正 に評 価 さ れ る一 の 極 東 版 で は な い 。 東 京 市 場 は60年 前 の ア メ リ カ 市 場 に似 て い る 。 イ ンサ.イダ ー 取 引 や 市 場 操 作 が 平 然 とお こ な わ れ て い る」。 「日本 の ル ー ル で は株 式 市 場 には 上 場 相 場 の バ イ ア ス が 組 み 込 まれ て い る。 信 用 買 い(株 価 上 昇 ,へ の 賭 け)は 許 され て お り、 広 く利 用 され て い る。 しか し、 空 売 り(株 価 下 落 へ の 賭 け)は 、 現 物 株 式 を 保 有 して い な い 場 合 、 禁 止 さ れ て い る 。 も し 日本 株 を空 売 り した い な らば 、 シ ン ガ ポ ー ル株 式 市 場 に行 っ て 日経 先 物 を使 う しか な い 。 空 売 りあ 欠 如 は 、 株 価 の 過 激 な変 動 を チ ェ ッ クす る最 も有 効 な手 段 を取 り去 っ て い る こ と を 意 味 す る 」。 「選挙 銘 柄 とか 政 治 銘 柄 と呼 ば れ る もの が あ る 。 選 挙 キ ャ ンペ ー ンの資 金 を調 達 す る た め の銘 柄 で あ る」。 「この 市 場 は、 ア メ リ カ市 場 よ りは パ チ ン コ屋 に似 て い る 。 素 早 い 動 作 と騒 音!ア メ リ カ の市 場 は完 全 で は な い が 、 効 率 性 とい う観 点 か らす る と東 京 は 原 始 的 な 市 場 で あ る 。 東 京 は 大 きい 。 し か し裾 野 が 広 い とは い え な い 。 い と も簡 単 に操 作 され て い る の で あ る」。 そ して 、 こ の不 可 解 な 市 場 に関 す る レポ ー トを次 の よ う に結 ん で い る。 「価 格 形 成 が 価 値 の論 理 で は な く、禅 の 精 神 に依 拠 し て い る よ う に見 え る株 式 市 場 を ど うや っ て 評 価 す れ ば よい の か?」 『ラ ォー ブス 』 誌 の特 集 で は、 徹 底 して 欧 米 流 の立 場 か ら 日本 市 場 に ア プ ロ ー チ す る とい う姿 勢 が 貫 か れ て い る 。 そ れ な りに偏 見 や 事 実 誤 認 が あ る か も しれ な い 。 しか し重 要 な の は 、 う わ べ だ け の 世 界 最 大 の 株 式 市 場 とそ れ に参 加 す る投 資 家 、證 券 会 社 、 さ ら に は 政 治 、 行 政 に対 す る 忌 憚 の な い 意 見 、 批 判 で あ る。 「チ ャ ー ル ズ ・マ ッケ イ が 『大 衆 の妄 想 と群 衆 の狂 気 』 の 中 で描 写 して い る集 団 的 な ヒ ス テ リ ー (病 的 興 奮)状 態 は 、 日本 の株 式 投 資 家 に あ そ は ま る の で は な い か 。 歴 史 的 に も有 名 な オ ラ ン ダの チ ュ ー リ ッ プ球 根 や 南 洋 の香 辛 料 に取 り憑 か れ た マ ニ ア た ち の 躁 状 態 と最 近 東 京 で 起 こ っ た こ と は酷 似 してい る」。 つ ま り、 歴 史 は繰 り返 した とい う こ と か? パ ー トE.ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー ク(酔 歩) 株 式 や不 動 産 の 価 格 、 す な わ ち資 産価 格 の 歴 史 を簡 単 に振 り返 って み よ う。 株 価 の 変 動 を学 問 的 に最 初 に取 り上 げ た の は イ ギ リ ス の 統 計 学 者 、 モ ー リス ・ケ ン ドー ル で あ る 。1953年 の 王 立 統 計 学 会 にお い て 、 彼 は株 価 の 時 系 列 的 な動 き を実 証 的 に研 究 した 論 文 を発 表 した 。 株 価 に は 規 則 的 な 循 環 が み られ る と予 想 して い た が 、 結 果 は ま っ た く逆 で あ っ た 。 ケ ン ド ー ル は次 の よ う に結 論 して い る:「 株 価 は あ ち ら こち らに 彷 徨 す る系 列 に従 っ て い る よ うに 見 え る 。傾 向 線 や 時系 列 モ デ ル の 当 て は め は 役 に た ち そ う に な い 。 ゆ え に1週 間後 の株 価 を予 測 す る の
は ほ とん ど不 可 能 で あ り、 無 意 味 で あ る」。 株 価 が あ ち らこ ち ら に不 規 則 に動 き回 る こ と を 、株 価 は 「ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー ク」(酔 歩)に 従 う とい う。 千 鳥足 の こ とで あ る。 こ こ で ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー クの 原 型 で あ る ブ ラ ウ ン運 動 に触 れ て お こ う。 実 は 、 株 式 市 場 の 効 率 性 や オ プ シ ョ ン理 論 で は 、株 価 が ブ ラ ウ ン運 動 に従 う こ とを仮 定 して い る の で あ る。 1827年 、 イ ギ リス の 植 物 学 者 ロバ ー ト ・ブ ラ ウ ン は 、 水 中 に投 じ られ た花 粉 が ラ ン ダ ム(不 規 則)に 動 き 回 る こ と を 観 測 した 。 ケ ン ドー ル の 株 価 に 関 す る観 測 と 同 じで あ る 。 そ の 後 、 物 理 学 で は多 数 の 分 子 の 衝 撃 に左 右 さ れ る粒 子 の 運 動 を叙 述 す る際 に ブ ラ ウ ン運 動 が 利 用 され る よ う に な っ た 。1905年 、 ア イ ン シ ュ タ イ ン は ブ ラ ウ ン 運 動 を 数 学 的 、 定 量 的 に 定 式 化 す る こ と に成 功 す る 。 特 殊 相 対 性 理 論 の発 表 と同 じ年 で あ っ た 。 多 くの 物 理 学 者 や 数 学 者(量 子 力 学 の プ ラ ン クや 確 率 論 の レ ヴ ィな ど)が こ の研 究 に従 事 す る が 、 中 で もサ イバ ネ テ ィ ック ス の創 始 者 で あ る ウ ィ ー ナ ー の 業 績 を忘 れ る こ とは で き な い。 ブ ラ ウ ン運 動 は ウ ィ ー ナ ー 過程 と も呼 ば れ る 。 この 分 野 で は 日本 人 の 貢 献 も大 きい 。 パ リ ・ア カ デ ミー の 会 員 に選 ば れ た 伊 藤 清 や 飛 田 武 幸 が い る 。 と こ ろ が ア イ ン シ ュ タ イ ン'より以 前 に ブ ラ ウ ン運 動 を オ プ シ ョ ン評 価 に利 用 した 人 物 が い た 。 フ ラ ンス の ル イ ・バ シ ェ リエ で あ る。1900年 、 パ リ ・ア カ デ ミー に提 出 され た 彼 の 博 士 論 文 の タ イ トル は 『投 機 の理 論 』 で あ っ た 。 ア イ ン シ ュ タ イ ン よ り5年 前 に バ シ ェ リエ は 同 様 の 定 式 化 を した が 、 不 幸 に も彼 の こ の 画 期 的 な 論 文 は 長 い 間無 視 され た ま まで あ っ た 。1964年 に英 訳 さ れ て い る 。 因 み に 、 当 時 の パ リ ・ア カ デ ミー の 学 長 は 数 学 者 の ダル ブ ー で あ り、 バ シ ェ リエ の 論 文 は ア ン リ ・ボ ア ン カ レ に捧 げ ら れ て い る 。 バ シ ェ リエ の 影 響 か ど う か 定 か で は な い が 、 イ ギ リス ・ エ コ ノ ミス ト誌 の評 価 で は 、 世 界 で 最 も有 能 な ロ ケ ッ ト科 学 者(い わ ゆ る ク ォ ン ツ)は フ ラ ンス 人 とい う こ と に な る。 さ て 学 史 は この く らい に して 、株 価 の ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー ク で 大 事 な の は、 株 価 は不 規 則 に 変 動 し、 過 去 の動 きか ら将 来 を予 測 す る の は不 可 能 で あ る とい う点 で あ る。 問 題:図Aと 図Bは 、S&P500指 数 の5年 間 の 動 き と、 ラ ン ダム な実 験 の5年 問 の 動 きを 示 した もの で あ る 。 ど ち らがS&Pか? 水準 160 140 120 100 80 月 水準 220 200 180 160 140 120 100 80 月 株 価 の ラ ン ダ ム ・ ウ ォ ー ク を 初 め て 検 証 し た ケ ン ド ー ル は 次 の よ う に もy・ っ て い る:Theseries lookslikea"wande血gone璽 「,almostasifonceaweektheDemonofChancedrewarandomnumberffoma sy1㎜etdcalpopulationoffixeddispersionandaddedittotheculTent画cetode飴 ㎜inethenextweek's
price.「(価 格 の)系 列 は 不 規 則 に 彷 徨 し、 あ た か も週1回 、 「偶 然 とい う悪 魔 」(theDemon.of Chance)が 一 定 の ち らば りを もつ 対 称 的 を 母 集 団 か ら乱 数 を引 き、 そ れ を現 在 の価 格 に付 加 して 次 週 の価 格 を決 定 す る よ う に 見 え る」。 対 称 的 な 母 集 団 と い うの は正 規 分 布 の よ う な もの で あ るが 、 こ れ は後 で ま た出 て くる 。 ケ ン ドー ル の 指 摘 で い ち ば ん 重 要 なの は 、 将 来 の 株 価 は ま っ た くラ ン ダ ム に 決 ま る とい う点 で あ る。 す なわ ち、 ラ ン ダム ・ウ ォー ク(酔 歩)に 従 うの で あ る。 ラ ン ダ ム ・ウ ォー ク は以 下 の よ う な例 で 理 解 され る。 あ る 投 資 家 が100(万 円)を 持 っ て お り、 コイ ン投 げ の ゲ ー ム に参 加 す る と し よ う 。 各 週 末 に コ イ ンが 投 げ られ る 。 コ イ ンの 表 が 出 れ ば 投 資 額 は3%の 利 益 が 得 られ 、 裏 が 出 れ ば2.5%の 損 失 を被 る。 ゆ え に、 第1週 末 の 投 資 家 の資 本 は 103[=100×(1+0.03)]か 、97.5で あ る。 第2週 末 に また コ イ ンが 投 げ ら れ 、.表、裏 に従 っ て 投 資 家 の 資 本(ポ ジ シ ョン)が 決 ま っ て ぐる 。 この ゲ ー ム か ら投 資 家 の ポ ジ シ ョン は下 図 の よ う に 求 め られ る:
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表 一1・3…
一{1
106.09[1
100.43 裏 97.50 100143 95.06 第1週 第2週 図 に示 され て い る よ う に 、1,2週 続 け て表 が 出 れ ば第2週 末 に は106.09に な る が 、 続 け て 裏 が 出 れ ば95.060ピ な6て しま う。 ど ち ら に な る か は前 も って 分 か ら な い 。神 の み ぞ知 るで あ る 。 コ イ ン を投 げ るの は 「偶 然 の 悪 魔 」 で あ る 。 周 知 の よ う に、 歪 み の な い コ イ ンで は表 、 裏 が 出 る確 率 は各 々05で あ る。 これ が ケ ン ドー ル の い う 「対 称 性 」 で あ る。 こ こ か ら期 待 収 益 が 計 算 で きる 。 す なわ ち 期 待 り又益=0.5(+3> 、+0.5(一2.5)=0.25% で あ り、'これ を上 例 の 過 程 は週 当 り0.25%の ドリ ア トを もつ とい う。 ド リ フ ト とは期 待 収 益 の こ とで あ る 。 上 例 の 過 程 は ラ ン ダ ム ・ウ ォー ク に従 っ て い る。 とい う の は 、 週 毎 の ポ ジ シ ョ ン変 化 が独 立 し て い る か らで あ る。 各 週 末 に表 、 裏 が 出 る確 率 は0.5で あ り、 こ れ は そ の 前 の 週 末 に お け る ポ ジ シ ョ ン と は無 関 係 で あ り、 また そ れ まで に 表 、 裏 が 出 た パ タ ー ン と も無 関 係 で あ る 。 こ の よ う に独 立 な変 動 を伴 う過 程 を ラ ン ダ ム ・ウ ォー ク とい う。 さて 、 代 表 的 な株 価 指 数 と ラ ン ダ ム な 実 験 の 答 で あ る が 、 前 携 の 図Aが1980年 か ら84年 の 実 際 のS&P500指 数 の 動 きで 、 図Bが 上 例 の よ う な コ イ ン投 げ の ラ ン ダム ・ウ ォー クで あ る 。 正 解 は お そ ら く五 分 五 分 で あ ろ う(実 際 、 「経 営 情 報 シス テ ム 論 」 を受 講 して い る 約200名 の 学 生 の うち 、 正 解 は ユ00名 で あ っ た)6両 者 の 間 に判 然 と し た 違 い が な い とい う之 とが 重 要 で あ る。 株 価 の 動 き は 「偶 然 とい う悪 魔 」一が 作 り出 した系 列 と 区 別 が つ か な い の で あ る。株 価 が ラ ン ダ ム ・ウ ォー ク に従 う とい う こ とか ら、』い くつ か の示 唆 が 得 ら れ る 。 た とえ ば 、現 在 お よび 将 来 の 株 価 の 動 きは過 去 の 動 きか ら独 立 して い る か ら、 テ ク ニ カ ル分 析 は 無 意 味 で あ る。 過 去 の パ タ ー ン を い か に厳 密 に チ ャー トか ら読 み 取 っ て も、 現 在 お よ び将 来 の株 価 を説 明 す る こ と は不 可 能 で あ る。 株 価 の 動 き に影 響 す る の は新 しVさ情 報 の み で 、 言 葉 の 定 義 か ら 、 過 去 を い く ら分 析 して も 駄 目 で あ る 。新 しい 情 報 は ま さ に ラ ン ダム に発 生 す る。 こ こ か ら、 テ ク ニ カ ル の み な らず フ ァ ン ダ メ ン タ ル分 析 も否 定 され る。 現 在 の 株 価 は 、 過 去 の株 価 に 含 ま れ て い る情 報 お よ び 入 手 可 能 な 情 報 をす べ て体 現 して お り、 こ の よ う な市 場 は 「効 率 的 」 と呼 ば れ る。 現 在 の 株 価 は過 去 か ら独 立 して い る とい う意 味 で 、 効 率 的 な市 場 は 記 憶 を もた ない の で あ る 。 さ て ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー ク に よ れ ば 将 来 の 動 きや 方 向 は 過 去 の 動 向 か らは 予 測 で き ない 。'すな わ ち、 短 期 の 株 価 変 動 は予 測 で きな い とい う こ とで あ る 。 投 資顧 問 サ 「 ビ ス 、 利 益 予 想 、 複 雑 な チ ャ ー ト ・パ ター ン の 分 析 な ど は役 に立 た な い と主 張 す る。 ゆ え に ウ ォー ル街 で は ラ ン ダ ム ・ウ ォ ー ク とい う言 葉 は風 紀 を乱 す 猥 褻 な意 味合 い で 受 け取 られ る。 目隠 し を した 猿 が 新 聞 の株 式 欄 に矢 を無 茶 苦 茶 に投 げ て 選 ん だ ポ ー トフ ォ リ オ(た とえ ば前 携 の 図B)と 、 市 場 の エ キ ス パ ー トが 入 念 に 選 ん だ ポ ー トフ ォ リ オ の パ フ ォー マ ン ス は ほ と ん ど変 わ ら な い 。.換言 す れ ば 、 背 広 姿 の 紳 士 然 と した.アナ リス トは 、 尻 丸 出 しの 猿 と比 べ られ た の で あ る・。 紳 士 が 怒 る の も無 理 は な い 。 猿 が ラ ン ダ ム に 選 ん だ ポ ー トフ ォ リ オ に勝 る プ ロ はせ いぜ い 50%な の で あ る 。 プ ロ の 武 装 手 段 は フ ァ ン ダ メ ン タル 分 析 と テ ク ニ カ ル 分 析 で あ る 。 しか し ラ ン ダム ・ウ ォ ー ク の 観 点 か らは い ず れ の 武 装 法 も無 益 とい う こ と に な る。 AR砌40〃3W掀Dowη 肱113∫rθθ'の著 者 、 バ リ トン ・マ ル キ ー ル に よれ ば 、 プ ロ の武 装 手 段 は2 大 伝 統 理 論 に 根 ざ して い る。 基 礎 土 台理 論 と空 申楼 閣理 論 で あ る。 基 礎 土 台 理 論(Fi㎜ 一FoundationTheoly)は 、 株 式 で あ れ 不 動 産 で あ れ投 資 対 象 商 品 に はf本 質 的 価 値 」 どい う支 え が あ りで こ れ は現 状 お よ び将 来 を注 意 深 く分 析 して 決 め られ る とす る。・市 場 価 格 が この 本 質 的 価 値 を上(下)回 れ ば 、 売 り(買 い)で あ る 。 投 資 戦 略 は頭 を使 わ な ぐて よ い 。 あ る投 資 商 品 の 実 際 の価 格 と本 質 的価 値 を比 較 す る だ け で あ る。 こ の理 論 を代 表 す る エ コ ゐ ミス トは 「配 当還 元 モ デ ル 」 を提 唱 した ウ ィ リ ア ム ズ で あ ろ う。 彼 は ケ イ ンズ と同 時 代 人 で 、株 式 の 本 質 的 価 値 は 将 来 の 配 当 金 を現 在 価 値 に 還 元 して 求 め られ る と 主 張 した 。 ア ∵ ヴ ィ ン グ ・フ ィ ッ シ ャ ー も こ の 系 列 に入 る 。 エ コ ノ ミス ト以 外 で は 、 わが 国 で も 一 時 期 もて は や さ れ た グ レア ム&ド ッ ドの 『証 券 分 析 』 が あ る。 空 中楼 閣 理 論(Castle-in-the-AirTheory)は 「心 理 的 価 値 」 に専念 す る 。 扇 動 者 は経 済 学 に革 命 を も た ら し た ケ イ ンズ 卿 で ある 。 ケ イ ンズ に よ れ ば プ ロの 投 資 家 は本 質 的 価 値 の 計算 にエ ネ ル ギ ー を使 わ な い 。.そ うで は な く、 大 衆 投 資 家 は 将 来 どの よ う に振 る舞 うか 、 大 衆 は上 昇 相 場 で 彼 らの 望 み を どの よ う に して 空 中楼 閣 に 築 き上 げ る か とい う こ と を プ ロ は 分 析 す る の で あ るd投 資 で成 .功す る に は、 楼 閣 建 築 に最:も敏 感 に反 応 す る投 資 環 境 を評 価 して大 衆 よ り も早 く買 わ(売 ら)な けれ ば な らな い 。 基 礎 土 台 理 論 は 労 多 く して益 少 な し とケ イ ンズ は 言 う 。 ロ ン ドンの 実 務 家 が あ くせ く働 い て い る と き、 低 血 圧 で も あ っ た ケ イ ンズ は毎 朝 彼 の ベ ッ ドで1時 間 半 ゆ っ く り と市 場 の 動 きを 分 析 し た 。 実 際 こ の や り方 で ケ イ ン ズ は 自分 の資 産 を 増 や した ば か りで な く、 母 校 ケ ンブ リ ッジ 大 学 キ
ン グズ ・カ レ ッジ の 財 産 を10倍 に して い る 。 同 性 愛 者 と して 評 判 の 芳 し くな か っ た 希 代 の 哲 学 者 ウ ィ トゲ ン シ ュ タイ ン を 、 ノル ウ ェ ー め 辺 境 の 地 か らケ ン ブ リ ッ ジ の教 授 に迎 え る こ と に尽 力 し た の もケ イ ンズ で あ る 。 投 資 に は 理 由 づ け は必 要 な い 。 群 衆 心 理 の 分 析 が あ るだ け で あ る。 こ の 意 味 で 空 中 楼 閣 理 論 は 「よ り多 くの 愚 者 理 論 」(Greater-FoolTheoly)と も呼 ば れ る 。 あ る価 格 以 上 で 買 う大 衆 が 必 ず 現 わ れ る と信 じて い る か らで あ る 。 空 中楼 閣理 論 の 実 践 家 と して ケ イ ンズ の名 前 を あ げ た が 、 そ の 他 に も こ の理 論 を信 奉 す るエ コ ノ ミス トが い る。 フ ォ ン ・ノイ マ ン と共 に ゲ ー ム 理 論 を創 始 した オ ス カ ー ・モ ル ゲ ンシ ュテ ル ンは 70年 に 『株 価 の 予 測 可 能 性 』 とい う本 を 出 し て い る。 彼 ら に共 通 して い る の は 、 株 式 市 場 の 研 究 に は財 務 的 な評 価 で は な く、 応 用 心 理 学 の 原 則 の 方 が 適 して い る とい う立 場 で あ る。 ケ イ ンズ は 株 式 投 資 を新 聞紙 上 の 美 人 投 票 に た とえ て い る が 、 こ れ が 空 中 楼 閣理 論 の エ ッセ ンス と い え よ う。 投 資 の 世 界 で は 、 基 礎 土 台 理 論 は フ ァ ン ダ メ ン タ ル 分 析 と呼 ば れ 、 企 業 の 利 益 成 長 や 配 当 、 経 営 戦 略 な どの フ ァ ン ダ メ ン タ ル な 要 因 を 分析 す る。 い わ ゆ る ア ナ リス トと称 さ れ る 連 中 が 活 躍 す る 舞 台 で あ る。 他 方 、 空 中楼 閣理 論 は テ クニ カ ル 分 析 と呼 ば れ 、 過 去 の 価 格 トレ ン ドな ど の テ ク ニ カ ル な 要 因や 大 衆 の 心 理 な ど に重 きを 置 く。 チ ャ ー テ ィス トの 世 界 で あ る。 しか し残 念 なが ら両 者 と も あ ま り当 て に な ら ない 。 一 例 と して 、 プ ロが この よ う な分 析 に基 づ い て推 奨 したFourSeasonsNursingCentersofAmerica(後 出)と い う会 社 の 株 価 が1968年 の90ド ル か ら70年 半 ば に は た っ た2セ ン トに な っ た こ と を あ げ て お こ う。 こ の よ う な例 は 洋 の 東 西 を問 わ ず 枚 挙 に い と まが な い 。 そ の理 由 は追 い 追 い 明 らか に な る。 パ ー ト 皿.バ ル ブ と バ ブ ル 歴 史 を振 り返 る と 日本 の バ ブ ル の 状 況 、 特 に株 式 や 土 地 の 投 機 的 現 象 に酷 似 す る よ う な 出 来 事 に 出喰 わ す こ とが しば しば あ る。 そ の 中 で も代 表 的 な も の と して 、17世 紀 の オ ラ ン ダ を揺 る が し た 「チ ュ ー リ ップ の 球 根 」 事 件 と、18世 紀 の 「南 海 の 泡 」 に関 連 し た イ ギ リス の 事 情 を見 る こ と に しよ う。 両 方 と も投 機 の 歴 史 で は 必 ず 語 られ る大 事 件 で あ っ た。 い ず れ も群 衆 心 理 の 恐 ろ し さ と空 中楼 閣 理 論 の破 綻 を示 唆 して い る。 ラ ン ダム ・ウ ォ ー ク の 観 点 か ら見 た バ ル ブ(球 根)と バ ブ ル(泡)の 教 訓 で あ る。 今 日で もオ ラ ン ダ 人 の チ ュ ー リ ッ プ 好 き は 有 名 だ が 、 そ もそ も は ウ ィ ー ン 出 身 の 新 任 教 授 が 1593年 に トル コ 産 の 珍 種 を持 ち込 ん だ 時 に始 ま る。 と こ ろ が教 授 の家 に泥 棒 が 入 り、 こ の 球 根 を 売 りさ ば い て ぼ ろ もう け した 。 球 根 に対 す る投 機 の 萌 芽 で あ る 。 17世 紀 に な る とモ ザ イ ク状 の斑 模 様 が 珍 重 さ れ る よ う に な っ た 。 斑 が 多 い ほ ど値 段 が 高 くな る 。 マ ニ ア が登 場 し、 球 根 栽 培 業 者 が こ ぞ っ て 奇 妙 な斑 種 を手 が け 始 め る 。 球 根 の 値 段 が 上 が りだ す と、 人 々 は球 根 を投 資 対 象 と して 考 え る 。 「貴 族 も市 民 も、機 械 工 も農 民 も、 女 中 も煙 突 掃 除 人 も す べ て の オ ラ ン ダ人 が 球 根 に手 を 出 した」。 そ の結 果 、 オ ラ ン ダの 産 業 は 衰 退 して い っ た』 誰 もが 球 根 ブ ー ム は 永 続 す る と信 じ、 土 地 や 宝 石 、 家 具 をチ ュ ー リ ップ の 球 根 と交 換 した 。 この よ う な 厂球 根 の馬 鹿 騒 ぎ」 は1634年 か ら38年 まで 続 い た。 『実 は コー ル ・オプ シ ョンが初 め て登 場 したのが この時 であ る 。 チ ュ ー リ ッ プ投 機 家 の 発 案 で 、 ま さに 「必 要 は発 明 の母 」 とい え よ う。 コ ー ル に よ っ て さ ら に多 くの人 が 球 根 投 機 に参 加 した。
しか しあ らゆ る投 機 と 同 じ く、 長 い 間 球 根 の価 格 が 高 値 を続 け て い る と、 あ る種 の 人 々 は そ ろ そ ろ売 っ て お い た ほ うが 賢 明 だ と考 え 始 め る。 す る と そ れ に続 い て売 り出 す 人 が 出 て くる 。 そ し て 雪 達 磨 が 坂 道 を転 げ 落 ち る よ う に 、加 速 的 に価 格 が 低 下 しパ ニ ック状 態 に 陥 っ た 。 大 臣 連 中 は 価 格 が 下 落 す る理 由 は何 もな い と公 式 に表 明 す るが 、 誰 も聞 こ う と しな い 。 デ ィ ー ラー は破 産 し、 球 根 の買 い 取 りを拒 否 した 。 政 府 の 価 格 安 定 政 策 に も か か わ らず 、 チ ュ ー リ ッ プ の球 根 の 値 段 は どん どん下 が り、 ほ とん ど無 価 値 に な っ て しま っ た。 「と う と うチ ュ ー リ ップ の球 根 は玉 葱 の 値 段 と同 じに な った 」Q で は早 目 に 売 っ た 人 は ど うな っ た か?彼 ら もま た こ の 馬 鹿 騒 ぎ に飲 み 込 ま れ た 犠 牲 者 な の で あ る 。 球 根 ブ ー ム と そ の 崩 壊 の シ ョ ック は あ ま りに も大 き く、 オ ラ ン ダ経 済 は そ の 後 長 い不 況 に悩 ま され る。 何 人 も容 赦 しな い不 況 の 原 因 は 「バ ル ブ」 へ の 投 機 だ っ た の で あ る 。 この バ ル ブ事 件 は 、 人 々 の群 衆 心 理 の 恐 ろ しさ を物 語 っ て い る 。 ひ と た び 一 方 向 に流 れ だ す と 誰 も止 め る こ と はで きな い 。 空 中 楼 閣理 論 な どは吹 き飛 ば さ れ て しま うの で あ る。 せ め て もの 救 い は コ ー ル ・オプ シ ョ ンの 発 案 で あ っ た 。 しか し、 こ れ も リ ス ク ・ヘ ッ ジ で は な く、 デ ィ ー ラー が投 機 資 金 の捻 出 と い う 目的 で利 用 した の で あ る。 オ ラ ン ダ の チ ュ ー リ ップ 球 根 と並 ん で 投 機 の 歴 史 で特 筆 さ れ る の が イ ギ リス の 「南 海 泡 沫 事 件 」 で あ る 。 バ ブ ル とい う名 の 由 来 で もあ る 。 こ の事 件 が 起 こ っ た の は産 業 革 命 の 直 前 で あ る が 、 イ ギ リス は 長 期 的 な 繁 栄 を 享 受 して い た 。 国 内 に は カ ネ が あ り余 り、 投 資 対 象 を求 め て い た 。 当 時 、 株 式 保 有 は 特 権 階 級 に 限 られ て お り、 た とえ ば 東 イ ン ド会 社 の株 主 は わ ず か499人 で あ っ た。 投 資 家 の ニ ー ズ を受 け て 「南 海 会 社 」 が 設 立 され た の は171i年 で あ る。 政 府 の 債 務1千 万 ポ ン ドを引 き受 け 南 海 貿 易 を独 占す る とい う特 権 を与 え られ る。 誰 もが こ の 会 社 の発 展 を信 じて 疑 わ な か っ た 。事 前 に会 社 設 立 を知 っ た者 は55ポ ン ドで 国 債 を買 い 、 「南 海 会 社 」 が 設 立 され るや 否 や 額 面100ポ ン ドの株 式 と交換 した。 典 型 的 な イ ンサ イ ダ ー取 引 で あ る。 だ が 経 営 陣 に は 南 海 貿 易 の経 験 者 は1人 もお らず 、 ア フ リ カ の奴 隷 船 も手 掛 け る が 利 益 は上 が らな か っ た 。 船 内 の 死 亡 率 が 非 常 に高 か っ た か らで あ る 。 羊 毛 を満 載 した 船 が 間 違 っ た港 に 着 き、 す べ て 腐 らせ て し ま っ た こ と もあ る 。 ま た対 ス ペ イ ン戦 争 も起 こ り、 貿 易 に支 障 が 出 始 め た。 し か し 「南 海 」 の株 価 は 影 響 を受 け な か っ た。 そ う こ うす る うち に 、 フ ラ ンス に亡 命 した ジ ョ ン ・ロ ー とい う 人 物 が 、 フ ラ ンス で 休 眠 状 態 に あ っ た 「ミ シ ジ ッ ピ会 社 」 を買 収 しコ ン グ ロ 企 業 に仕 立 て あ げ た 。 こ の会 社 は大 陸 の 投 機 家 の カ ネ を吸 い 上 げ る こ と に成 功 す る。 こ の 時 「ミ リオ ネ ア」(百 万 長 者)と い う言i葉が 生 まれ た 。株 価 は2年 で 何 の 理 由 もな く20倍 に跳 ね 上 が っ た 。 こ の会 社 の時 価 総 額 は フ ラ ンス 国 内 の金 銀 の80倍 に も達 した 。 一 方、 イ ギ リス で は愛 国 的 な声 が 高 ま りだ した。 なぜ フ ラ ン ス の 会 社 に カ ネ が 流 れ る の か?イ ギ リス も対 抗 す べ きで あ る 。 そ の 答 が 「南 海 会 社 」 で あ っ た 。1719年12月 に はス ペ イ ン と の講 和 が 成 り、 南 海 貿易 の 見 通 し も明 る くな っ て きた 。 メ キ シ コの 金 を イ ギ リス の 木 綿 や 羊 毛 製 品 と交 換 す る事 業 も魅 力 的 で あ る。 1720年 、 「南 海 会 社 」 が3千 万 ポ ン ド以 上 の増 資 をす る とい う案 が 議 会 を通 る と株 価 は130ポ ン ドか ら300ポ ン ドに急 騰 し た。 大 儲 け した 中 には 国王 ジ ョー ジ1世 の 愛 人 とそ の 「姪 達 」 もい る。 同 年4月12日 に300ポ ン ドで新 株 を発 行 す る と、 数 日で340に 上 昇 した 。 味 を しめ た 経 営 陣 が400で 発 行 す る と、 一 月 以 内 に550に な り上 昇 は 止 ま らな い 。7月15日 に また 新 株 が 売 り出 さ れ る が 、
800を つ け る。 そ し て 到 頭1000ポ ン ドを突 破 した。 投 機 熱 が最 高 潮 に達 した の で あ る。 「南 海 会 社 」 だ けで は カ ネ を手 放 した'がっ て い る愚 か者 共 の ニ ーズ に応 え られ な い 。 そ こ で ベ ン チ ャ ーみ企 業 が 雨 後 の 竹 の 子 め如 く現 わ れ る。 対 海 賊 用 の 船 舶 建 設 、 人 毛 の取 引 、 私 生 児 用 の病 院 建 設 、 鉛 か ら銀 を抽 出 す る事 業 、 等 々 、枚 挙 に い とま が な い 。 や が て これ ら の試 み は バ ブ ル(泡) と呼 ば れ る よ うに な る。 わず か 数週 間 で つ ぶ れ て しま う もめ ば か りだ っ た か らで あ る。 バ ブ ル の傑 作 中 の 傑 作 は 、 定 款 と して 堂 々 と 「誰 に も分 か ら な い偉 大 な 事 業 をお こ な う会 社 」 を 掲 げ た 人 物 で あ ろ う 。 目論 見 書 は前 代 未 聞 の報 酬 を 約 束 した 。 午 前 九 時 、 応 募 が 開 始 さ れ る と 人'々が 殺 到 した 。 五 時 間 足 らず で 数 千 人 の 投 資 家 の カ ネが 株 式 に代 わ っ た 。 当 の張 本 人 は さっ さ と応 募 を締 め切 り大 陸 に 出奔 、行 方 を く ら ま して しま っ た 。 バ ブ ル の 終 焉 を示 す 兆 候 が徐 々 に 出 て き た。 「南 海 会 社 」 の よ う なバ ブ ル を皮 肉 っ た トラ ン プが 発 行 さ れ る よ う に な っ た 。 そ して 最 後 の 一 刺 し は意 外 に も 「南 海 」 の 内 部 か らで あ る 。 市 場 で の 株 価 は会 社 の 実 態 か らか け離 れ て い る と悟 っ た経 営 陣 が まず 売 り始 め た 。 こ の ニ ュ ー ス が 漏 れ 、株 価 は下 げ基 調 に入 る 。 パ ニ ック 状 態 に 陥 る の に時 間 は か か らな か っ た 。 政 府 の懸 命 の 説 得 も無 駄 で 、 大 衆 の信 任 を取 り戻 す こ とは で きな か った 。 「ミ シ シ ッ ピ」 の株 価 も も ち ろ ん急 落 した 。 と こ ろ で 南 海 事 件 で 大 損 を した 中 に あ の ア イ ザ ッ ク ・ニ ュ ー トンが い る 。 彼 は 次 の よ う に 叫 ん だ:「 私 は 天体 の 動 き を計 算 す る こ と は で きる が 、 大 衆 の狂 気 を計 算 す る こ とは で きな い!」 。 大 衆 を こ れ以 上 痛 め つ け な い た め に 、 議 会 は バ ブ ル 法 を 施 行 して 企 業 の株 式 発 行 を 禁 じた 。 同 法 が1825年 に廃 止 され る まで 、1世 紀 以 上 に わ た りイ ギ リス で は株 式 の発 行 は ほ と ん ど皆 無 とい う状 態 が 続 い た 。 「南 海 会 社 」 とい う泡 の よ う な空 中楼 閣 は 、 ど こか の 国 で も土:地や株 式 を土 台 に 建 ℃ ら れ た の で は なか っ た か? オーラ ン ダ のバ ル ブ とイ ギ リス の バ ブ ル は決 し て過 ぎ去 っ た 昔 の物 語 で は ない6同 じよ う な投 機 劇 が 今 世 紀 の ア メ リ カ で も繰 り返 され た の で あ る。 第1次 大 戦 後 の1920年 代 は 、 ア メ リ カ が イ ギ リ ス に代 わ って 経 済 的 な 覇 権 を握 っ た 時 で あ る 。 ロ ー リ ン グ ・ドゥエ ン テ ィ ー ズ と い わ れ る。 ア メ リ カ 中 に 楽 観 ム ー ドが 横 溢 し、 そ の エ ネ ル ギ ー が 不 動 産 と株 式 市 場 を襲 っ た 。 典 型 的 な例 は20年 代 半 ば の フ ロ リ ダ の不 動 産 ブ ー ム で あ ろ う㌔。 フ ロ リ ダ で は 人 口 が 着 実 に増 加 し、 住 宅 ゐ 供 給 不 足 が 生 じた 。不 動 産 投 資 は た ち ま ち 数 倍 に膨 れ あ が り、.全米 の 投 機 家 が フ ロ リ ダ に馳 せ 参 じた 。 「この マ ー ケ ッ トに は下 落 リス ク な ど な い」 と誰 もが 思 っ た。 昔 、 オ ラ ン ダ人 が チ ュ ー リ ップ球 根 につ い て語 っ た 言 葉 で あ る 。 -1923年 に80万 ドル で買 っ た パ ー ム ・ビ ー チ の 土 地 は す ぐ さ ま分 割 され 、『24年に150万 ドル 、 翌 年 に は400万 ドル で 売 られ た 。 ブ ー ム の 絶 頂 期 に は マ イ ア ミの 不 動 産 業 者 は7万5千 を 数 え た が 、 これ は 市 の総 人 口 の3分 の1に 当 た る とい わ れ る 。 しか し、 あ ら ゆ る投 機 に共 通 して い る こと だ が 、 フ ロ リ ダ に も当 然 終 焉 が 来 る 。26年 に な る と新 規 の 買 い 手 は見 つ か らず 、 価 格 は 軟 化 し始 め た 。 投 機 家 は 手 持 ちの 不 動 産 を投 げ売 り、 市 場 は崩 壊 した 。 ア メ リカ の 一 地 方 、 フ ロ リ ダ の 不 動 産 狂 乱 劇 は ウ ォ ー ル街壊 滅 の 前 奏 曲 だ っ た の で あ る 。 カネ 余 りの20年 代 後 半 、株 式 に よ る投 機 は ア メ リ カ 人 の 文 化 的 娯 楽 に ま で な っ て い た 。 イ ギ リ ス か ら ニ ュ ー ヨニ ク に 来 た 記 者 は 次 の よ う に書 い て い る:「 こ こで は禁 酒 法 や ヘ ミ ン グ ウ ェ イや よ ア コ ン や 音 楽 や競 馬 の こ と も話 題 に な るが 、 結 局 い つ も株 式 市 場 の話 に 落 ち 着 く。 そ して こ こ で 初 め て会 話 が 真 面 目 な もの に な る」。
こ の よ う な風 潮 の 中 で 相 場 操 作 に よ る欺 瞞 的 行 為 が 蔓 延 して き た 。.代 表 的 な 相 場 操 作 は 「投 資 プ ー ル ⊥ と呼 ば れ る もの で あ る σ 投 資 プ ー ル は業 者 の 間 の 協 力 と大 衆 投 資 家 に対 す る 蔑 視 で 始 ま る。 まず プ ー ル ・マ ネ ジ ャ 「 腰 術 家(ア ー テ ィス ト)と 呼 ば れ る}が 任 命 され 、 互 い に ク ロ ス 売 買 しな い こ と を約 束 し合 う 。 マ ネ ジ ャ ー は 短 期 間 で こ っそ り大 量 の株 式 を買 い 集 め る。 そ して 取 引 所 の ス ペ シ ャ リス トを仲 間 に引 き入 れ る。 ス ペ シ ャ リス トは ブ ロ ー カ ー の ブ ロ ー カ ー とい う 機 能 を も'ち、 自 己 裁 量 で株 の売 買 を と り仕 切 る。 今 日 で も変 わ っ て い な い 。 高 い 売 り値 丶 低 い 買 い 値 注 文 の 情 報 は ス ペ シ ャ リ ス トが 握 って い る。 こ こ で プ ー ル ・マ ネ ジ ャ ーが 会 員 の 間 で プ ー ル 取 引 を 開始 す る 。 す な わ ち、 仲 間 内 で 景 気 づ け の空 売 り(ウ ォ ッ シ ュ ・セ ー ル)を お こ な うの で あ る 。 売 り値 が 吊 り上 げ られ 、 幻 の 価 格 情 報 が テ ィ ッ カ ー ・テ ー プ を通 じて 全 米 に流 れ て い く。 大 衆 は 何 か 大 相 場 が あ りそ う だ と感 じ始 め る。 マ ネ ジ ャ ー の 意 向 を受 け た 所 謂 株 式 評 論 家 もは や し出 す 。 マ ネ ジ ャ ー は経 営 陣 を取 り込 ん で 、 業 績 見 通 しは 明 る い とい う ニ ュ ー ス を流 し続 け る 。 失 敗 す る はず が ない 。 テ ー プ情 報 と捏 造 した ニ ュ ー ス で 大 衆 投 資 家 を呼 び込 ん だ の で あ る。 大 衆 が 参 加 して きた ら 「栓 を抜 く」 だ け で あ る 。 大 衆 投 資 家 が 買 い な の だ か ら、 プ ー ル は 売 れ ば よい 。 プ リ ル ・マ ネ ジ ャ ー は 最 初 は ゆ っ く り と、 そ して 大 衆 が 正 気 を取 り戻 す 前 に大 量 に 、 株 を売 り流 す 。 「ロ ー ラ ー ・コー ヌ タ ー」 の 上 げ の最 後 で 、 プ ー ル 会 員 は 巨 額 の 利 益 を手 に い れ 、 大 衆 は水 ぶ くれ した株 を抱 え込 ん で しま っ た の で あ る 。 ウ ォー ル 街 の狂 乱 劇 第1幕 で 急 騰 した株 価 の 一 部 を掲 げ て お こ う。 銘柄 1928年3月3日 の 始 め値 1929年9月3日 の 高 値 上 昇 率 ATT ベスレヘム・スティール GE モンコヲ リー・ワード NCR RCA 1791/2 567/8 1283/4 1323/4 503/4 941/2 3355/8 1405/8'『 3961/4 4661/2 1271/2 505・ 87.0 146.8 207.8 251二4 151.2 434.5 と こ ろ で 、 この よ うな 事 件 に は必 ず 銀 行(家)が 絡 ん で い る とい うの も、 洋 の 東 西 を問 わ ず 共 通 して い る よ うで あ る 。 ウ ォー ル 街 の狂 乱 劇 の 幕 間 に登 場 す る の が ア ル バ ー ト ・ウ ィ ギ ン とい う 男 で あ る 。 彼 は ロ ック フ ェ ラ ー の 創 設 した 名 門 銀 行 、 チ ェ イス の ト ップ で あ っ た 。 チ ェ イ ス は 当 時 全 米 第 二 の規 模 を誇 っ て い た 。29年7月 、 ウ ィ ギ ンは相 場 が 天 井 を打 っ た こ と を悟 り、 強 気 の 投 機 に 見 切 り を つ け る。 そ れ ま で に彼 は 自行 の 株 価 を押 し上 げ る た め 数 百 万 ドル を プ ー ル齟につ ぎ込 ん だ と もい わ れ る。 チ ェ イ ス の 見 通 しは暗 い と信 じた ウ ィギ ン は42000株 を空 売 り した 。 ウ ィ ギ ン の 売 りタ イ ミ ン グ は完 璧 ・絶 妙 で あ っ た 。 売 り直 後 か らチ ェ イ ス の 株 価 は 落 ち 始 め 、 11月 に ウ ィ ギ ン が 手 仕 舞 っ た 時 、 彼 は数 百 万 ドル を懐 に 入 れ た の で あ る。 通 常 、 経 営 者 は 自社 の 株 式 を保 有 す る こ とに よ っ て 、 会 社 の 成 長 ・発 展 に 寄 与 し、 株 価 を上 昇 させ るべ く動 機 づ け られ て い るが 、 ウ ィギ ン の場 合 は 逆 で あ る 。 彼 が 君 臨 した 銀 行 の 株 価 を下 げ る とい う動 機 が あ っ た と い え よ う。 こ の 話 に は 続 編 が あ る 。 ウ ィギ ン は1932年 に 引 退 した が 、 チ ェ イ ス の 経 営 会 議 は 彼 の永 年 の 貢
献 に応 え る た め に、 年10万 ドル の 終 身 年 金 を与 え る こ とを全 会 一 致 で 決 議 した ので あ る 。 さて ウ ィギ ン の予 想 通 り、29年9月3日 に 相 場 は ピー ク を つ け た 。 経 済 活 動 は何 ヵ月 も前 か ら下 降 に転 じて い る 。9月5日 、 相 場 は 急 落 し た。 あ の 「バ ブ ソ ン暴 落 」 で あ る。 ロ ジ ャ ー ・バ ブ ソ ン は マ サ チ ュ ー セ ッ ッ出 身 の風 采 の 上 が ら な い投 資 ア ドバ イザ ー で あ っ た が 、 こ の 日の ビ ジ ネ ス ・ ラ ンチ で 言 明 した:「 こ こ1、2年 い つ も私 が この 時 期 に言 っ て い る こ とだ が 、 大 暴 落 は い ず れ 来 る」。 ウ ォ ー ル街 の専 門家 は この 「予 言 者 」 の 言 葉 を い つ も の よ う に嘲 笑 した。 しか し午 後2時 、 バ ブ ソ ン の 声 明 が ダ ウ ・ジ ョー ンズ の ニ ュ ー ス ・テ ー プ を通 じ て証 券 ブ ロ ー カ ー に流 れ る と相 場 は急 降 下 し た。 ウ ォー ル街 が 気 に も止 め な か っ た ひ と りの 男 の 言 葉 に よ っ て 、 一 月前 に は 考 え ら れ な い こ とが 起 こ っ た の で あ る。 政 府 や 銀 行 は 何 も気 に す る こ と は な い とや っ き に な っ て い うが 、 相 場 は 下 げ 続 け た 。 こ の 時 、 基 礎 土 台 論 者 の フ ィ ッ シ ャ ー(イ ェ ー ル大 学 教 授)は 、株 式 は 高 原 状 態 を永 遠 に持 続 す る だ ろ う と表 明 して い る。 10月21日(月 曜 日)の 記 録 的 な下 げ の 結 果 、 追 い 証 に耐 え ら れ な くな っ た顧 客 が投 げ売 りを 始 め る 。 売 りが 売 りを 呼 び、 取 引 の 記 録 もで き な い状 態 に 陥 る。 しか し フ ィ ッ シ ャ ー は 頑 固 に抵 抗 した:「 相 場 は禁 酒法 の 利 点 を織 り込 ん で い な い 。 ア メ リ カ の 労 働 者 は 頼 り甲斐 が あ り、 も っ と 生 産 的 に な る」。 「暗 黒 の 木 曜 日」(10月24日)、 出来 高 は13百 万 株 に達 した 。 株 価 は1回 の取 引 で5ド ル 、10ド ル と下 落 す る 。 翌 日、 フ ー ヴ ァー 大 統 領 は 有 名 な診 断声 明 を 発 表 し た:「 わ が 国 の 産 業 は 健 全 に繁 栄 す る基 盤iの上 に立 って い る」。 10月29日 にNYSEは 破 滅 を迎 え る。 出 来 高 は16百 万 株 を越 え 、 株 価 は垂 直 的 に下 落 した 。 そ して この 下 げ は そ の 後3年 間続 糖 た の で あ る(下 表 参 照)。 投 機 ブ ー ム は 死 に絶 え、 数10億 ドル の価 値 が 吹 き飛 び 、 何 百 万 人 もの夢 が 泡 と消 え て しま っ た 。 株 式 市 場 の大 暴 落 の あ と、 ア メ リ カ は歴 史 上 最 も悲惨 な不 況 に見 舞 わ れ るの で あ る 。 下 表 は 所 謂 ブ ル ー ・チ ッ プ と呼 ば れ る ア メ リ カの 代 表 的 な 銘 柄 の 株 価 下 落 を示 して い る。 前 の 表 と合 わ せ て 、狂 乱 劇 の す さ ま じ さ を読 み 取 る こ とが で き よ う(株 配 、 権 利 付 き増 資 は 修 正)。 銘柄 29年9月3日 の 高 値 29年11月13日 の 安 値 32年 の 安 値 ATT ベスレヘム・スティール GE モンコヲ リー・ワード NCR RCA 304 1403/8 3961/4 1377/8 1271/2 101 1971/4 781/4 1681/8 491/4 59 28 701/4 71/4 81/2 31/2 61/4 21/2
パ ー トW.戦 後 ア メ リカ の投 機 的株 式 相 場 オ ラ ン ダ の 球 根(バ ル ブ)投 機 、 イ ギ リ ス の 南 海 泡 沫(バ ブ ル)事 件 、 ア メ リ カの 地 価 と株 価 の 狂 乱 は、 い ず れ も大 衆 が 空 中楼 閣 を夢 見 た顛 末 と い え よ う。 後 世 の 歴 史 家 が 「大 衆 の狂 気 」 と 呼 ぶ 所 以 で あ る。 で は プ ロ の 機 関投 資 家 は 正 気 で あ っ た か?こ の 問 い に対 して マ ル キ ー ル の 著 書 は示 唆 す る と こ ろ大 で あ る 。 ア メ リカ の 機 関 投 資 家 の 「正 気 振 り」、 投 機 に よ る狂 乱 劇 を 、 ま だ記 憶 に 新 しい 戦 後 の事 例 か ら チ ェ ック して み よ う。 す べ て わ が 国 で 起 き た事 とあ ま りに も酷 似 して お り、 「歴 史 は繰 り返 す 」 と い う単 純 な格 言 を信 じた くな る ほ どで あ る。 さ てNYSE(ニ ュ ー ヨー ク 証 券 取 引 所)の 売 買 高 に 占 め る機 関 投 資 家 の 比 率 は60年 代 ま で 50%程 度 で あ っ た。 そ の 後 機i関化 現 象 が 急 速 に進 み 、80年 代 半 ば に は75%を 越 え て しま っ た 。 ゲ ー ムが 一 変 した の で あ る。 機 関 投 資 家 の 市 場 支 配 と と も に相 場 の 変 動 が 激 し くな る 。 彼 らは新 し い情 報 に対 して よ り敏 感 に反 応 す る か らで あ る。 GEが よい 例 で あ ろ う。1955年 、GEの 科 学 者 が ダ イ ヤ モ ン ドを完 璧 に模 造 す る技 術 を 開発 し た と発 表 す る や い な や 、 株 価 は1日 で4.25ポ イ ン トも上 げ た 。 この 技 術 は 経 済 的 に は 割 高 で 、 か つ ダ イ ヤ は 宝 石 と して は 使 い もの に な らな い と分 か っ て い る に もか か わ らず で あ る 。株 価 の急 騰 でGEの 時 価 総 額 は4億 ドル に達 した が 、 こ れ は全 世 界 の ダ イヤ 売 り上 げ の2倍 、 工 業 用 ダ イ ヤ 売 り上 げ の6倍 で あ る 。株 価 の 急 騰 はGEの 価 値 あ る新 技 術 に よる もの で は な い 。 空 中 楼 閣 を建 て る 買 い手 を惹 き付 け た か らで あ る 。 60年 代 か ら80年 代 に か け て機 関 投 資 家 は投 機 的 な動 き に積 極 的 に参 加 した 。彼 らを 支 え た の は 基 礎 土 台 理 論 に よ る割 安 銘 柄 発 掘 とい う投 資 哲 学 で は な い 。 よ り多 くの 愚 者 が よ り高 い値 段 で株 を買 う と予 想 した か らで あ る 。 バ ル ブや バ ブ ル と同 じ考 え で あ る 。 59年 か ら61年 は 厂成 長 」 が 高 ら か に叫 ば れ た期 間 とい え よ う。 「飛 翔 す る60年 代 」 が 合 言 葉 に な っ た 。 新 技 術 に よる 利 益 成 長 を誇 る 銘 柄 が ブ ル ー ・チ ッ プ を凌 駕 す る。 ウ ォー ル 街 は宇 宙 旅 行 、 トラ ンジ ス タ、 ク ライ ス トロ ン管(速 度 変 調 管)、 光 ス キ ャナ ー な ど の神 秘 的 な もの に とび つ い た 。 こ うい う事 業 に 関 わ る銘 柄 が 暴 騰 した の で あ る 。 PER(株 価 収 益 率)が 投 資 尺 度 と して 定 着 した の も こ の 時 期 で あ る。 そ れ まで はPERは10 倍 か ら15倍 が 適 度 とさ れ て い た が 、 成 長 株 で は 一 挙 に50倍 、100倍 に まで ジ ャ ン フ.した。 新 設 の コ ン ピ ュ ー タ ㌣会 社 で あ る コ ン トロ ー ル ・デ ー タ の株 価 はPERが200倍 まで 買 わ れ た 。 か っ て の NTTを 思 い 起 させ る 。 技 術 力 を もっ た 銘 柄 の株 価 は歴 史 的 な高 値 まで 買 わ れ た(下 表 参 照)。 成 長 神 話 が 蔓 延 した の で あ る。 繰 り返 す が 、 こ の よ う な 銘 柄 は基 礎 土 台 理 論 か ら買 わ れ た の で は ない 。投 資 家 は 来 るべ き黄 金 の60年 代 に賭 け 、 高 値 で買 い 漁 っ た の で あ る。 も ち ろ ん 、 成 長 株 フ ィ ー バ ー に慎 重 な プ ロ の機 関 投 資 家 も多 か っ た 。 ニ ュ ー ヨー クの あ る機 関 投 資 家 は 次 の よ う に言 っ て い る:「 この 相 場 は ま っ た く気 違 い じみ て い る。PERが10倍 か ら20 倍 の 優 良 銘 柄 が あ る に もか か わ らず 、 み ん な60倍 、80倍 の 株 を買 い たが っ て い る 。 理 由 は 分 か ら な い 。 こ れ は 分 別 の あ る 人 間 の 関与 す る相 場 で は な い 」。 しか し、 相 場 は 、29年 の 大 暴 落 を知 らな い40才 代 以 下 の 新 人 類 の 勢 い に振 り回 され た。 因 み に 新 人 類 はYoungTurksと 呼 ば れ た 。 元 々 は1908年 の トル コ革 命 を リー ド した 血 気 盛 ん な トル コ青 年 党 を指 す6ま た トル コ産 の 悍 馬 を も意 味 す る 。
新 人 類 の 引 っ 張 る相 場 は 際 限 な く上 昇 し た 。 ニ ュ ー ズ …ウ ィ ー ク 誌 は あ る ブ ロ ー カ ー の 言 葉 を 引用 して い る:「 新 人類 の 投 機 家 は 一 夜 に して 株 価 が 倍 に な る と信 じ て い る 。 恐 ろ し い こ とに 実 際 そ う な っ た の で あ る」。 そ して 成 長 株 フ ィ ーバ ー は新 規 公 開 ブ ーム へ と続 く。 、 銘 柄 61年 の 高 値 61年 のPER 62年 の安 値 62年 のPER IBM TI マイクロウェーフ" フエアチャイルト"・カメラ バ。一キン・エルマー 607 2063/4 603/8 881/4 831/2 80.7 87.6 85.0 42.0 67.3 300 49 8 31 25 34.4 23.0 12.7 13.1 16.7 成 長株 フ ィー バ ー と並 んで 特 筆 され る の が 新 規 公 開 ブ ー ム で あ る。59年 か ら62年 にか け て 、 来 るべ き宇 宙 時代(飛 翔 す る60年 代)を 先 取 りす る銘 柄 が 続 々 と公 開 され た 。 証 券 会 社 の欺 瞞 的 行 為 が 横 行 し、 そ して ブ ー ム は あ っ け な く終 っ た の も、 い つ も と、 そ して い ず こ も変 わ ら ぬ こ とで あ る。 こ れ は 「トロ ニ ク ス 」 ブ ー ム と も呼 ば れ る。 エ レ ク トロ ニ ク ス と は何 の 関係 も な い会 社 が 、 語 尾 に トロ ニ ク ス や トロ ン、 オ ニ クス を付 け 、 何 や ら神 秘 的 な格 好 で 株 式 市 場 に登 場 す る。 た と え ば ア メ リ カ ン ・ミュ ー ジ ック ・ギ ル ド と い う会 社 は 、 レ コ ー ド盤 や プ レー ヤ ー の 訪 問 販 売 を して い た が 、 ス ペ ー ス ・ トー ン に名 を変 え て 上 場 したd株 価 は数 週 間 で2ド ル か ら14ド ル に 跳 ね 上 が った 。 そ の他 に もア ス トロ ン 、 トラ ン ジ トロ ン 、.ビ デ オ トロ ニ ク ス 、 サ 悟 キ トロ ニ ク ス 、『エ レ ク トロ ソニ ク ス な どが 現 わ れ る 。 な か で も秀 逸 な の はパ ワ ー トロ ン ・ウ ル トラ ソ ニ クス で あ ろ う 。 これ らの 株 価 は 信 じ られ ない ほ ど急 騰 し た 。 名 前 が ゲ ー ム に な つ た の で あ る。 ど こか の 国 で も片 仮 名 の 社 名 が 流 行 して い るが 、 ア メ リ カ の トロ ニ ク ス ・ブ ー ム を彷 彿 させ る。 さ てSEC(証 券 取 引 委 員 会)の 事 後 調 査 で は 、新 規 公 開 に伴 う詐 欺 と相 場 操 作 が 明 ら か に さ れ て い る 。.典型 的 な手 口 と して 、 規 模 の 小 さい 会 社 の 公 開 を引 き 受 け た証 券 会 社 は そ の株 式 を 自 己保 有 して値 上 が りす る まで は 市 場 で売 りに 出 さ ない 。 一 種 の 相 場 操 作 で あ る 。ま た 証 券 会 社 は 、 会 社 の 役 員 、 親 類 縁 者 な ど に優 先 的 に割 り当 て る とい う親 引 け もお こ な っ た 。 あ る 例 で は 新 株 の 87%が こ の よ う な イ ンサ イ ダ ー の 手 に渡 っ た の で あ る 。 ま さ に リク ル ー ト事 件 も真 っ青 で あ る 。 証 券 会 社 の 裏 を知 らな い大 衆 は 時代 の 楽 観 ム ー ドに 浸 り、 これ が新 規 公 開 に拍 車 をか け た。 カ ク テ ル ・・パ ー テ ィワ の 話 題 は 公 開株 で 独 占 さ れ 、 婦 人 ク ラ ブ の 集 ま りで は絵 画 な どの 文 化 的 な話 を 中止 し.て、株 式市 場の勉 強会 に と りか か った。 ウ ォール街 で使 われ る特殊 な投機 的 な言 葉が絵 画 な どの市 場 で も通 用 す る よ う に な る 。 で は 市 場 の 番 人SECは 何 を した か 。 詐 欺 や 相場 操 作 が 明 らか で あ れ ば 、SECは 行 動 す る 。 しか し当 時 は ス タ ヅ フ も少 な く、 何 よ り も、 公 開 会 社 が き ち ん と した デ ィ ス ク ロ ー ジ ャ ー(情 報 開示)を して い る か ぎ りSECは 関与 で き な い 。 む しろ 一 般 大 衆 の 行 動 こ そ が 最 大 の 問 題 だ っ た の で あ る 。 目論 見 書 に 「当 社 に は 資 産 も利 益 もな く、 将 来 、 配 当 を支 払 う見 通 し もな い 。 当社 の 株 式 は非 常 に リス ク が 高 い 」 とい う注 意 書 きが あ って も、 大 衆 は 気 に も とめ な い 。 タ バ コ は 健 康 に 害 が あ る とい う注 意 書 き を気 に しな い 喫 煙 者 と同 じで あ る。 新 規 公 開株 とい う熱 病 に罹 っ た 投
資 家 に は何 をい っ て も無 駄 で 、SECは お 手 上 げ だ つ た 。 しか しブ ー ム の 崩 壊 は 早 く も62年 に来 た 。 年 初 か ら下 げ て い た 相 場 は 、5月28日 、 ダ ウ 平 均 で 記 録 的 な 暴 落(34。95安)を 演 じ、NYS,E全 銘 柄 で は200億 ドル 以 上 が 吹 き とん だ。29年 の 数 倍 で あ る 。 ニ ュ ー ヨ ー ク ・タイ ムズ は 「地 震 が 株 式 市 場 を襲 っ た 」 と報 じて い る。 昨 日 ま で の 「熱 い 」 銘 柄 が 一 夜 に して 「冷 た い 」 七 面 鳥(も し くは ピザ)と 化 した の で あ る。 成 長株 、 新 規 公 開 株 の痛 手 が 最 も大 き く、 そ し て10年 後 に は こ れ らの株 式 は ほ とん ど無 価 値 の 紙 切 れ に な っ て し, ま っ た(下 表 参 照)。 暴 落 の 原 因 と して 、 証 券 会 社 や プ ロ は ケ ネ デ ィ ー の 物 価 政 策 、 財 政 政 策 の まず さ を挙 げ た σ 自 分 達 の 投 機 的 行 動 を棚 上 げ に した の で あ る 。 と も あ れ 正 体 不 明 の ナ ン トカ トロ ニ クス の公 開 に血 道 を あ げ 、 イ ンサ イ ダ ー取 引 や 露 骨 な相 場 操 作 を した 証 券 会 社 の犯 罪 的 行 為 こ そ糾 明 さ れ な け れ ば な らな い 。 大 衆 は彼 ら に踊 らさ れ た の で あ る 。 銘柄 公 開 日
公開価格
初値 61年 の 高 値 62年 の 安 値 フ"一 ントン・エレクトロニクス61.3.6 フ"リ ストル ・タ"イ ナミクス613.20 シ"エ オフィシ"ク ス60.12.8 ハイ ト"ロスへ%ス ・テクノロシ丶一60.7.19 マサ"一 ス"・ クッキー613.8. シーホ"一 ト"・ エレクトロニック617.5 ユニバ ーサル ・エレクトロニック61.1125 51/2 7 14 3 15 51/2、 4. 121/4 16 27 、7 23 83/4 41/2 241/2 23 58 7 25 151/2 18 15/8 31/2 9 1 7 21/4 13/8 新 規 公 開 ブ ー ム の 後 の あ だ花 が 複 合 企 業(コ ン グ ロ マ リ ッ ト)で あ っ た 。 こ れ は経 営 学 で い う シ ナ ジ ー(相 乗)効 果 を企 業 合 併 の 財 務 に あ て は め た もの で あ る 。 す な わ ち 、2+2は4で は な く5 に な る とい う財 務 的 な トリ ック を利 用 す る。一 種 め 練 金 術 で あ る。 独 禁 法 は大 企 業 に よ る 同 一 業 種 の 買 収 を禁 じて い た が 、 他 産 業 の 企 業 買 収 は 司 法 省 の介 入 もな く実 行 す る こ とが で き た 。 合 併 に よ っ て複 合 企 業 は 財 務 的 なパ ワ ー を つ け、 有 利 な条 件 で 借 入 が で きる 。 販 売 力 も増 し、 人 事 や会 計 も効 率 的 に な る 。 結 果 と して 売 上 、 利 益 の シ ナ ジ ー 効 果 が 実 現 す る 。 表 面 的 に は い い こ とづ くめ で あ る。 だ が ウ ラ に魔 術 が あ る 。 コ ン グ ロ ・ブ ー ム を推 進 した の は実 戦 経 営 の 専 門 家 で は な く財 務 の専 門家 で あ っ た 。彼 らはP ERの 分 母 とな る1株 当 り利 益 、(E.PS)を 増 加 させ る た め に 、 次 の よ う な手 品 を編 み 出 した 。 A、B両 社 の 株 数 は各 々20万 株 、 利 益 は100万(円)と す る 。 両 社 の 利 益 は こ の 水 準 で 推 移 す る と仮 定 す る ・(成長 企 業 で は な い)。AのPERは20倍 、Bは10倍 で 評 価 され て い る。 両 社 のEP Sは5で あ る か ら、・Aの株 価 は100、Bは50で あ る 。 Aの 経 営 陣 はBを 買 収 して 複 合 企 業 を 目指 して い る。 そ こ でBの 株 主 に対 して2対3の 交 換 を提 示 す る。 す な わ ちBの 株 主 は 、Bの3株(時 価 は150)でAの2株(時 価 は200)・ を得 られ る か ら、 こ の買 収 を是 認 す る。 こ こ にCと い うコ ング ロ企 業 が 誕 生 す る 。Cの 総 株 数 は333,333株 、利 益 は 200万 に な っ た か ら、EPSは6で あ る。 ゆ え に合 併 に よ ってEPSは1年 で20%(5か ら6)も 増加 した の で あ る!EPSが 増 加 した の だ か ら、PERは 前 のAの20倍 を つ け よ う。 つ ま り コ ン グ
Cは 今 度 はDの 買 収 を狙 う。DのEPSは10、 株 数 は100万 株 で あ る 。PERは10倍(株 価 は 100)と し よ う。 コ ン グ ロCはDの 株 主 に1対1・の 交 換 を提 示 す る。100で120を 買 え る か ら、 こ の オ フ ァー は成 功 す る。 新 しい コ ン グ ロ の利 益 は300万 、 株 数 は433,333、EPSは6.92と な る。 こ の ト リ ッ ク は連 鎖 的 に続 く。AもBも 、 コ ン グ ロCも 、Dも(粗)利 益 で み れ ば 成 長 企 業 で は な い 。 しか しEPSで は成 長 して い る 。 手 品 は 明 らか で あ ろ う。 相 対 的 にPERの 高 い企 業 が 低 い 企 業 を買 収 す る 。 名 目的 にEPSは 増 大 す るか ら、 複 合 企 業 のPERは 高 く評 価 さ れ る。 そ して さ ら に、 低 いPERの 企 業 を買 収 して い く。 み か け上 の 財 務 的 な ご まか しに顔 を しか め る ウ ォ ー ル 街:のプ ロ もい たが 、 成 長 の み に気 を と ら れ て い る投 資 家 の カ ネ は し ゃ に む に複 合 企 業 に 向 か っ た 。 実 例 を あ げ よ う。 下 表 のATOは63年 か ら68年 に か け て 売 上 を1400%も 伸 ば した 。 こ れ は 買 収 の み に よ る もの で あ る 。67年 半 ば に は24 日間 で何 と4社 も買 収 した!も ち ろ ん タ ー ゲ ッ トは低PER銘 柄 で あ っ た 。 相 次 ぐ買 収 の 結 果 、A TOの 株 価 は63年 の$3か ら67年 に は$73以 上 に跳 ね 上 が っ た の で あ る 。 コ ング ロ の経 営 者 は言 葉 の ペ テ ン も多 用 した 。 造 船 を海 洋 シス テ ム に、 亜 鉛 掘 削 を宇 宙 鉱 物 に 、 鉄 鋼 精 錬 を素 材 技 術 に とい っ た具 合 で あ る。 しか し破 局 は68年1月19日 に 来 た 。 コ ングロ の元 祖 、 リ ッ トンが 第2四 半 期 の利 益 が 予 想 を大 幅 に 下 回 る と発 表 した の で あ る。リットンは10年 間 、年 率20%以 上 の 増 益 を 続 け てい たか ら市 場 の シ ョ ッ ク は大 きか っ た 。 投 資 家 も よ う や く練 金 術 に気 が 付 い た 。7月 、FTC(連 邦 取 引 委 員 会)が コ ン グ ロ買 収 の 調 査 に乗 り 出 し、SECも 会 計 検 査 に本 腰 を 入 れ た 。 翌69年1月 、 再 び リ ッ トン が 減 益 を発 表 し市 場 の不 安 に拍 車 を か け た 。売 りが 売 りを呼 び 、 コ ン グ ロ相 場 は壊 滅 した(下 表 参 照)。 さて 、80年 代 に は反 コ ン グ ロ 現 象 が起 きた 。LBO(レ バ レ ッジ ・バ イ ア ウ ト)で あ る。 この LBOブ ー ム もあ だ花 の よ う に散 っ た こ とは記 憶 に新 しい 。 67年 69年 銘柄 高値 PER
安値
PER オートマティック・スフ。リンクラー(ATO) リットン・インタ"ストリース" テレダィン テクストロン 735/8 1201/2 711/2 55 51.0 44.1 55.8 24.9 107/8 55 281/4 231/4 13.4 14.4 14.2 10.1 コ ン グ ロ相 場 と並 ん で 、60年 代 半 ば に は投 資 信 託 の顧 客 獲 得 戦 争 に絡 ん だ 投 機 的 ブ ー ム が あ る 。 パ フ ォ ー マ ン ス(運 用 成 果)が 合 い 言 葉 と な り、 投 信 は競 っ て成 果 の 向 上 に努 め た。 そ れ も長 期 で は な く短 期 決 戦 で あ る 。 よ く引 き合 い に 出 さ れ る も の に 、 ブ レ ッ ド ・カ ー の エ ン タ プ ラ イ ズ ・ フ ァ ン ドが あ る。 こ の フ ァン ドの67年 の トー タル ・リ タ ー ン は117%、 翌68年 も44%の 成 果 を上 げ た 。S&P500指 数 は67年 が25%、68年 が11%で あ っ た か ら、 高 パ フ ォー マ ンス を誇 る カ ー の フ ァ ン ドに は新 規 に大 量 の カ ネ が流 れ 込 ん だ 。 こ う して投 資 家 大 衆 の 関 心 は 「馬 」 で は な く 「騎 手 」、 す な わ ち フ ァ ン ド ・マ ネ ジ ャ ー に 向 け ら れ た 。 騎 手 は ダ イ ナ ミ ッ ク な株 式 に集 中 投 資 す る 。 ジ ャ ッ ク ・ドレ イ フ ァス の 率 い る 成 長 フ ァ ン ドは ポ ラ ロ イ ドに 目 を付 け 、 ポ ラ ロ イ ドの急 成 長 期 に う ま く乗 る こ とが で きた 。 エ ドワ ー ド ・ジ ョ ン ソ ン と ジ ェ ラ ル ド ・ツ ァ イ が 運 用 し た フ ィ デ リテ ィー ・フ ァ ン ドも少 数 の 急 成 長 銘 柄 に殺 資して 目覚 ま しい 成 果 を 上 げ た 。 彼 らの 運 用 の 特 徴 は 早 め 早 め に銘 柄 を 入 れ替 え る と こ ろ に あ る 。 所 謂 ゴ ー ・ゴ ー ・フ ァ ン ドの誕 生 で あ る 。 多 くの模 倣 者 が 現 れ 、 彼 ら は 「若 きギ ャ ング」 と呼 ば れ る よ う に な っ た 。 ツ ァ イ は66年2月 に フ 彳 デ リテ ィ ー を去 り 自分 で マ ンハ ッ タ ン ・フ ァ ン ドを創 設 した。 引 き受 け は ベ イ チ ェ証 券 で あ る 。募 集 を開 始 す る と、 ッ ァ イ とベ イ チ ェの 予 想 を10倍 以 上 も上 回 る$274 (百 万)も の カ ネ が1日 で 流 れ込 ん だ 。1年 後 に は ツ ァイ の 運 用 資 産 は4億 ドル を越 え て い る 。 か く して ツ ァイ は ウ ォ ー ル街 にお け る ス ーパ ー ・ス タ ー の 嚆 矢 と な っ た の で あ る。 チ ッ カ ー ・テ ー プ を見 な が ら、 ブ ロ ー カ ー達 は溜 め 息 ま じ りに い う:「 あ あ 、 ま た ツ ァイ が 買 っ て い る」。 パ フ ォー マ ン ス 競 争 に血 道 を あ げ た の は投 信 だ け で は な い 。 従 業 員 退 職 年 金 の ポ ー トフ ォ リオ は確 定 利 付 き の債 券 か ら成 長 の 高 い 普 通 株 に 向 か った 。 大 学 の 寄 付 基 金 の フ ァ ン ド ・マ ネ ジ ャー もパ フ ォー マ ン ス ー 辺 倒 に な る 。 こ の 時 ケ ネ デ ィー 政 権 の 中 枢 か ら フ ォー ド財 団 の ト ップ に移 っ た マ ク ジ ョ ー ジ ・バ ンデ ィ ー は 、 大 学 の ポ ー トフ ォ リ オ ・マ ネ ジ ャ ー に対 して軽 率 に過 度 の リス ク を と ら な い よ う に警 告 して い る 。 しか し警 告 も何 の そ の 、60年 代 後 半 に な る と ウ ォ ー ル 街 はパ フ ォ ー マ ン ス投 資 一 色 に な る 。 フ ァ ン ド ・マ ネ ジ ャ ー の 戒律 は 単 純 で あ る:少 数 の銘 柄 に 集 中 投 資 し、 よ り魅 力 的 な銘 柄 が あ れ ば 直 ち に ス イ ッチ せ よ。 か く して 短 期 投 資 が 巾 を きか せ る よ う に な り、 こ こ か ら コ ン セ プ ト銘 柄 (日 本 流 にい え ば シ ナ リオ銘 柄)が 生 ま れ る。 手 近 に う ま い話 が あ りそ う な株 式 を発 掘 す る。 そ の 株 が 将 来 ど うな ろ う と気 に病 む こ と は な い 。 コ ン セ プ ト銘 柄 の代 表 的 な例 は ゼ ロ ッ ク ス で あ ろ う 。 静 電 気 を応 用 した 乾 式 コ.ピー企 業 と い う 「新 しい コ ン セ プ ト 、 脚 本 で あ る 。 実 際 ゼ ロ ッ ク ス は新 特 許 に よ っ て 増 益 を続 け た 。 ゼ ロ ッ ク ス の 場 合 、 嘘 、 偽 りは な い 。 け れ ど も、 脚 本 が 信 用 で き な くて も、 大 衆 の 平 均 的 な意 見 が こ の 脚 本 を 信 じさ え す れ ば 、 投 資 マ ネ ジ ャー は納 得 す る 。 時 間 を か け て 企 業 を綿 密 に分 析 す る伝 統 的 な ア ナ リス トは相 手 に さ れ な い 。 若 きギ ャ ン グの ひ と り は次 の よ う に い う:「 こ ん な証 券 ア ナ リス トに は 耳 も貸 さ な い 。 欲 しい の は 素 晴 ら しい 脚 本 、 素 晴 ら しい コ ン セ プ トだ け だ」。 マ ー チ ン ・メ イ ヤ ー は68年 に最 高 のパ フ ォー マ ンス を あ げ た 投 資 マ ネ ー ジ ャー だ が 、 ウ ォー ル 街 の 彼 の オ フ ィス に は 「ま ず投 資 せ よ。 そ れ か ら調 査 せ よ」 とい う看 板 が 掲 げ られ た。 こ れ は株 式 投 資 で 長 年 言 わ れ て き た ス ロ ー ガ ンの ち ょ う ど正 反 対 で 、 こ の 時 の 雰 囲 気 を象 徴 的 に 表 わ して い る とい え よ う。 ギ ャ ン グ 達 は脚 本 銘 柄 を 買 い 漁 り、 コ ン セ プ ト ・ア プ ロ ー チ が 地 歩 を築 い て し ま っ た 。 メ イ ヤ ー の 仲 間 の ひ と りは 「わ れ わ れ は い ち 早 く情 報 を手 に 入 れ る の だ か ら、 数 日後 に 大 衆 が この 情 報 に飛 び付 い て 株 価 を 上 昇 させ る の を前 も っ て計 算 で き る。 こ の 情 報 が 本 当 か ど う か な ど構 う こ と は な い 」 とい っ て い る。 この ア プ ロ ー チ は ウ ォー ル街 で 革 新 的 な投 資 手 法 とみ な され る よ う に な っ た 。 実 は30年 以 上 も昔 に ケ イ ンズ卿 が 踏 襲 して い た の だ が 。 次 は よ り具 体 的 な コ ン セ プ ト銘 柄 、 シ ナ リオ 銘 柄 を取 り上 げ 、 そ ゐ 崩 壊 過 程 を み る こ と に しよ う。 リク ル ー ト事 件 の 萌 芽 を彷 彿 させ る もの が あ る。 コ ンセ プ ト銘 柄 、 シ ナ リオ 銘 柄 の代 表 と してNSM(ナ シ ョナ ル ・ス テ ユ ー デ ン ト ・マ ー ケ テ ィ ン グ)を 取 り上 げ よ う 。 創 設 者 は コ ー テ ス ・ラ ン デ ル で あ る。 彼 は 富 と成 功 の イ メ ー ジ を ア ピ ー ル す る た め に、小 型 ジ ェ ッ ト、 ニ ュー ヨーク の高級 アパ ー ト、 大型 ヨッ ト、バ ー ジニアの城 、 一 流 ゴル フ ・ク ラ ブ の会 員 権 等 を保 有 し、 それ を誇示 した。若者 の夢 を惹 きつ けたので ある。南 海 の バ ブ ル をそ の ま ま踏 襲 した ラ ン デ ル の 本 当 の 職 業 は福 音 伝 導 者 で あ っ た 。 証 券 ア ナ リス ト達 は 、 ラ ンデ ル か らNSMの 急 成 長 を聞 くた び に 尊 敬 と畏 怖 の念 を禁 じ得 な か った とい う。
ラ ン デ ル の描 い た脚 本 は 、 若 者 の ニ ー ズ に マ ッチ し た サ ー ビス に特 化 す る 唯 一 の 企 業 と い う も の で あ る 。 こ れ が ウ ォー ル 街 で 受 け た わ け で あ る。 コ ン グ ロ に倣 っ でNSMは 買 収 に次 ぐ買 収 で 拡 大 した が 、 す べ て 大 学 生 市 場 に的 を絞 っ た。 雑 誌 、 書 籍 、 レ コ ー ド、 ポ ス タ ー 、 夏 休 み の ア ル バ イ ト情 報 誌 、 学 生 名 簿 、 娯 楽 プ ロ グ ラ ム 誌 等 の 販 売 で あ る 。 こ う し てNSMは 若 者 層 の 消 費 を 吸 い 上 げ て い っ た 。 NSMの 超 楽 観 的 な予 測 数 字 に疑 問 を抱 くシ ナ リオ 投 資 家 は ほ とん ど い な か っ た 。そ して ッ ァ イ の マ ンハ ジ タ ン ・フ ァ ン ドがNSMの12万 株 を5百 万 ドル で 購 入 した 時 点 で 、 ラ ン デ ル の 名 声 は 固 ま っ た の で あ る。 機 関 投 資 家 も負 け て い な い 。 バ ン カ ー ズ ・トラス トや モ ル ガ ン ・ギ ャ ラ ン テ ィ ー な どの 老 舗 もNSMを 買 う。 ま た ハ ーバ ー ド、 シ カ ゴ、 コ ー ネ ル等 の 大 学 寄 付 基 金 も大 量 に ガ ネ を つ ぎ込 ん だ 。 遂 に は あ の マ ク ジ ョー ジ ・バ ン デ ィ ー の 率 い る保 守 的 な フ ォ ー ド財 団 の 基 金 まで がNSMを 買 い 上 げ る とい う始 末 で あ る 。 当 時 の も う ひ とつ の 脚 本 は 健 康 産 業 で あ る 。 高 齢 化 が 進 む な か で 健 康 に対 す る 関 心 が 高 ま り、 政 府 も民 間 も各 種 の 計 画 を立 案 し始 め た 。 こ れ を捉 え た の がFSNC(フ ォ ー ・シ ー ズ ンズ ・ナ ー シ ン グ ・セ ン タ ー)で あ る。FSNCは ワ ラ ン ト債 を 中心 に負 債 調 達 で急 激 に膨 張 した 。 ワ ラ ン トの 人 気 が 高 過 ぎ て 、投 資 家 は株 式 を 買 う権 利 を行 使 しな い とい う誓 約 書 まで 書 か され た とい わ れ る 。FSNCの 株 に 群 が っ た の は ア メ リカ め 機 関 投 資 家 ば か りで は な い 。 抜 け 目の な さ で は 人 後 に落 ち な い ヨー ロ ッ パ の 銀 行 も馳 せ 参 じた 。 あ の ロ ス チ ャ イ ル ド銀 行 も含 ま れ て い る。FS NCの 社 長 、 ジ ャ ッ ク ・ク ラ ー ク は い う:「 機 関 投 資 家 が い な け れ ば 、 こ ん な に早 く成 長 で き な か った で あ ろ う」。 NEC(ナ シ ョナ ル ・エ ンバ イ ロ ン メ ン ト ・コ ー プ)は 平 凡 な建 設 会 社 と して 出 発 した が 、社 名 をNECに 変 え て か らPERが 上 昇 した 。 ア ン ク ル ・ジ ョン とい う レ ス トラ ン ・チ ェ ー.ンを買 収 す る と即 座 に エ ンバ イ ロ フ ー ドとい う名 前 に し、 さ らに老 人 ホ ー ム や 保 険 、 清 涼 飲 料 に も手 を 拡 げ た 。 ミ ニ ー ・パ ー ル とい う フ ァー ス ト ・フ ー ドの会 社 はPS(パ フ ォー マ ン ス 、・シ ス テ ム)に 社 名 変 更 にす る と、PERは ・。(無 限大)に な っ た 。 利 益 が ゼ ロだ か らで あ る 。 しか し シ チ リオ 銘 柄 の 崩 壊 は早 か っ た。 大 量 の 負 債 を抱 え 込 ん だFSNCが ま ず70年6月26日 に破 産 法 第10条 に基 づ い て破 産 申 請 を 出 した 。 また ワ ンマ ン の 扇 動 者 の 下 で は適 切 な経 営 陣 が 育 た な か っ た こ と も、 急 成 長 した シナ リオ 銘 柄 の崩 壊 を加 速 した とい え よ う。 さ らに は 、 虚 偽 の財 務 諸 表 も明 る み に 出 た6PSの69年 の公 表 利 益 は320万 ドル で あ っ た が 、SECの 調 査 で は実 際 に は130万 ドル の 赤 字 だ っ た の で あ る 。 また 株 取 引 の 不 正 行 為 もあ っ た 。NSMの 創 立 者 ラ ンデ ル は有 罪 に な り、『8ヵ月 を牢 獄 で 過 ご さな け れ ば な ら なか っ た 。 リ ク ル ー ト事 件 さ なが らで あ る。 69年 か ら71年 の 弱 気 相 場 で 、 コ ンセ プ ト銘 柄 は 上 昇 と同 じ早 さ で 下 落 の 道 を辿 っ た の で あ る (下 表 参 照)。 こ の過 程 で い ち ば ん騙 され た の は プ ロ達 で あ った こ とを銘 記 して お こ う。 銘柄 68-69年 の 高 値 高 値 のPER 69年 末の機 関投資家 数 70年 の 安 値 FSNC NEC NSM PS 903/4 27・・ 35314 23 113.4 103.8 111.7 00 24 8 21 13 ,0.20 3/8 718, 1/8