立教女学院短期大学紀要第 50 号(2018)抜刷
現代コミュニケーション学科の 5 年間を振り返る
萩原 滋
Shigeru HAGIWARA
Reflecting on the Five-Year History of the Department of Contemporary
Communication, Based on Students’ Life Surveys
立教女学院創立 90 周年の記念事業として 1967 年に設立された短期大学は、間もなく半世紀に 及ぶ歴史の幕を閉じようとしている。短大閉鎖の理事会決定を受けて、2016 年 7 月に募集停止 が公表されたのである。英語科のみで発足した短期大学は、1970 年に幼児教育科が併設されて 2 学科体制となったが、2013 年に英語科を現代コミュニケーション学科に改組したところであっ た1。従って、新学科は 5 年余の短命に終わることになってしまったが、本稿では入学から卒業 までを視野に入れて現代コミュニケーション学科の短い歴史を振り返ると共に、毎年 9 月に学生 部が実施している「学生生活アンケート」の調査結果に基づいて、短大に対する学生たちの評価 や期待、キャンパス内外での生活状況の概要を整理して、記録として残しておきたい。
1.各年度の入学生の動向
英語に加えて中国語を必修として語学の幅を広げ、心理学的アプローチを導入して語学力をコ ミュニケーション力という枠組みで捉え直すと共に、ICT 教育を強化してメディア・リテラシー の向上を図る。英語科を現代コミュニケーション学科に改組する際には、こうした教育理念が前 面に打ち出されていたが、受験生にとってより魅力的なカリキュラムを提示して定員を確保する ことが新学科の至上命題とされていたに違いない。以前より指定校推薦や自己推薦などの推薦入 試の他に、一般入試、センター試験利用入試など各種の入試を実施して受験生を募集してきたが、 2013 年度から 5 年間の新入生の入試カテゴリー別の内訳は表 1 に示す通りである。現代コミュ ニケーション学科では、自己推薦の他に、出身学校長の推薦に基づく公募制推薦入試を当初から 採用していたが、2017 年度の入学生募集に際して、これらの推薦入試を AO 入試に変更している。─学生生活調査の結果を中心に─
Reflecting on the Five-Year History of the Department of Contemporary
Communication, Based on Students’ Life Surveys
萩原 滋
*Shigeru HAGIWARA
また一般入試には学力選抜による A 日程と小論文と面接による B 日程が設けられているが、 2015 年、16 年の入学生に関しては、定員確保のために 3 月に B 日程の入試を追加、B 日程後期 として実施している。 学科定員は 150 名であり、それを充足したのは 2014 年度入学生のみではあったが、2013 年度 から 4 年間の学生総数は 600 名となり、全体としては丁度定員を満たす形になっていた。しかし 2016 年 7 月に募集停止が公表され、2017 年度入学予定の受験生の激減が懸念されたが、最終的 には 120 名と予想以上に多くの新入生を迎えることができた。従って 5 年間の学生総数は 720 名、 その 23.8%(171 名)は「指定校推薦(2 期を含む)」、25.4%(183 名)は「自己推薦(公募制推 薦、AO 入試を含む)」、27.1%(195 名)は「一般入試」、21.7%(156 名)は「センター試験利 用入試」、そして残りの 2.1%(15 名)が社会人入試、卒業生子女入試、再入学など「その他」 の経路で入学したことになる。推薦入試による入学者が 7 割程度を占める幼児教育科に比べると、 一般入試やセンター試験利用入試など推薦以外の受験方式によって入学する者が半数近くに達し ていることが現代コミュニケーション学科のひとつの特徴となっている。 ところで新入生の学力は、年度によって異なっていたのであろうか。現代コミュニケーション 学科は、前身の英語科の遺産を継承しており、発足時に心理学 2 名、中国語 1 名の教員が新たに 加わったとは言え、10 名の専任教員のうち 6 名が英語担当で英語関連の授業が大きな比重を占 めていることに変わりはなかった。そこでは少人数のクラス編成による能力別の語学教育を売物 としており、新入生は入学時にクラス分けのために TOEIC-IP を受けることが義務づけられてい 表1 各年度の受験方式(入試カテゴリー)別の入学者数 - - - - - - - - - - - - - - -
いるが、ここでは入学時の TOEIC 得点と出身高校での評定平均を学力の指標として年度ごとの 平均値を求めてみた(表 2 参照)。1 元配置の分散分析で年度による平均値の差を検定すると高 校の評定平均 (p < .01)、入学時の TOEIC 得点(p< .05)のいずれにも有意差が認められ、下位 検定(Tukey 法)によると 2013 年、14 年よりも 2016 年、17 年の入学生の方が高い学力を有し ていることが示唆されている。TOEIC 得点に関しては、表 2 に標準偏差並びに最低点、最高点 を併記しているが、いずれの年度も新入生の英語力にきわめて大きなばらつきのあることが確認 できる。 受験方式によって入学者の学力に違いがみられるのか、それを調べるために上述の 5 つの入試 カテゴリーごとに高校の評定平均、入学時の TOEIC 得点の平均値を求めた結果を表 3 に示す。 評定平均(p < .05)、TOEIC 得点(p < .001)のいずれの平均値にも有意差が生じており、「指定 校推薦」で入学した者の英語力は他よりも低く、人数は少ないが「その他」の受験で入学した者 は、他よりも高い英語力を示していることがわかる。こうした結果は、年度によって変動してい るが、推薦以外の受験方式、特に「センター試験利用入試」による入学者の TOEIC 得点が相対 的に高い水準を示す傾向が安定して現れている。高校時代の成績に関して入試カテゴリーによる 顕著な違いは現れてはいないが、推薦入試、特に指定校推薦で入学した者が相対的に高い評定平 均を示す傾向がうかがわれる。 表2 各年度の入学者の高校時の評定平均及び入学時の TOEIC 得点の平均値 表3 入試カテゴリー別の高校時の評定平均及び入学時の TOEIC 得点の平均値
2.学生生活アンケート―主要な調査結果の報告
学生部では、毎年、後期の開始時に在学生全員を対象とする学生生活アンケートを実施してい る。本稿では 2014 年度から 17 年度までの調査結果に基づき、短大に対する学生たちの思い、学 生生活の実情を少し詳しく検討してみたい。なお 2013 年度までの調査データは学生部に残され ておらず、調査内容は 2014 年度に全面的に更新されたようだが、その後も質問文や回答選択肢 の改訂が繰り返されている2。その点に留意しながら、経年変化も視野に入れて主要な質問項目 に対する回答を以下で分析していくことにするが3、最初に 2014 年度から 4 年間の回答者数、所 属・学年別の内訳を表 4 に示しておく。なお 2014 年度の調査では英語科の専攻科生 10 名が回 答を寄せているが、学科・学年別の分析の際には、それらを除いて集計している。 表4 回答者の所属・学年の年度別内訳 (1)本学の志望順位 最初の質問項目で受験の際の本学の志望レベルを尋ねており、2015 年度までは「第一志望」「第 二志望以下」という選択肢が設けられていたが、2016 年度からは「本学は第一志望でしたか」 という質問文に「はい」「いいえ」で答える形に設問を変更している。各年度において本学を第 一志望とした回答者の割合を学科・学年別に整理した結果を表 5 に示す。その割合は全体とし て 6 割台で推移しており、年度による有意な変動は認められないが、学科・学年別にみるとχ2 検定で有意な違いが生じている(p < .001)。いずれの年度でも学年よりも学科の違いが顕著に現 れており、幼児教育科(以下、幼教)に比べると現代コミュニケーション学科(以下、現コミ) の学生の間で本学を第一志望とする割合が一貫して低くなっていることがわかる。2015 年度以 表5 本学を第一志望とした割合(全体及び学科・学年別)降の現コミの入学生の間では本学を第一志望とする割合が過半数に達しているが、それ以前は 3 割から 4 割台に終始して、全体では半数以下となっているのに対して、その割合は幼教では半数 を大きく上回り、通算で 4 分の 3 以上が本学を第一志望としていることが明らかにされているの である。 受験の際の本学の志望順位に関しては、学科以上に受験方式による違いが大きくなっている。 本学では時期をずらして各種の入試を何度も実施しているが、前述の 5 つのカテゴリーに分けて、 それぞれにおいて本学を第一志望とした回答者の割合を整理した結果を表 6 に示す4。社会人入 試など「その他」の受験方式で入学した者の間で第一志望の割合が最も高くなっているが、その 該当者は少ない。それ以外では「推薦入試」で入学した者の間では本学を第一志望とする割合が 9 割前後と高水準に達しているのに対して、その割合は「一般入試」では 3 割以下、「センター 試験利用入試」では 1 割以下と格段に低くなっていることが目につく。こうした入試カテゴリー による顕著な違いは、いずれの年度でも明確に維持されている。現コミの学生に限ると「自己推 薦」での入学者に関しては、第一志望の割合が 63.4%(2014 年度)から 85.5%(2016 年度)ま で分散しているが、「指定校推薦」の場合は常に 8 割以上の高水準を維持しているのに対して、「一 般入試」に関しては 27.3%(2016 年度)、「センター試験利用入試」に関しては 6.7%(2014 年度) が最大値となっているのである。表 6 をみると、いずれの入試カテゴリーに関しても幼教よりも 現コミの学生の間で本学を第一志望とする割合が低くなっていることがわかるが、それと同時に 学科よりも入試カテゴリーによる違いの方が格段に大きいことが明確にされている。夏休み明け の早い時期に行われる推薦入試には本学を第一志望とする者が多く受験するのに対して、年が明 けて遅い時期に行われる推薦以外の入試には、当初の志望校への入学が叶わず、次善の策として 本学を選ぶ受験生が多く集まってくるということであろう。 (2)短大を選択した理由 4 年制大学や専門学校ではなく、短期大学を選んだ理由については、表 7 に示すような「その 他」を含む 9 つの選択肢を用意して、該当するものにいくつでもチェックする形の質問を設けて いる。なお 2014 年度の調査では、9 つではなく、7 つの選択肢の中で最も近いものを 1 つ選ぶ形 表6 入試カテゴリーごとの第一志望の割合(全体及び学科別)
の設問になっており5、ここでは 2015 年度以降の回答だけを分析対象とすることにした。全体 としてみると「カリキュラムが自分の目的にあっていた」という理由が 3 割を超えて最も多く (31.7%)、次いで「専攻科があるから」(26.2%)、「4 年制大学は長いと思った」(25.8%)、「早く 社会に出たいから」(22.6%)という理由で短大を選ぶことが相対的に多くなっていることがわ かる。 この点に関しては、年度による変動は少ないが、χ2検定で 2 項目に有意な違いが出現しており、 2015 年度から 17 年度にかけて「早く社会に出たいから」の選択率が上昇し、「卒業後に留学を 考えているから」という理由が減少する傾向が示されている。いずれの年度でも短大を選択する 理由は、学科によって大きく異なっており、χ2検定によって「4 年制大学は長いと思った」以 外の理由の選択率に現コミと幼教の学生の間で大きな違いのあることが明確にされている。現代 コミュニケーション学科には、専攻科が設置されていないので、「専攻科があるから」の選択が 幼教の学生に限定されているのは当然だとしても、「カリキュラムが自分の目的に合っていた」 という理由で短大を選択する割合も現コミより幼教の学生の間で格段に高くなっている。この 2 つの理由の選択率が幼教の学生の間で 3 割を超えて上位にきているわけだが、「早く社会に出た いから」「4 年制大学を不合格になったから」「4 年制大学への編入を考えているから」「経済的理 由」「卒業後に留学を考えているから」といった理由で短大を選ぶ割合は、幼教よりも現コミの 学生の間で高くなっている。また現コミの学生の方が「その他」を選ぶことも多くなっており、 そこでは具体的記述が求められており、「家から近い」「高校の先生に勧められた」「進路に迷っ ていたから」「選択の幅が広がると思った」などさまざまな理由が挙げられていた。幼教の場合は、 専攻科に進んで資格をとり、児童関連施設に就職するといった明確な目標をもって入学すること が多いのに対して、現コミの場合は、それほど明確な目標をもたず、入学後に進路を決めようと するような学生が大勢を占めているということになろうか。 表7 短期大学を選んだ理由(全体及び年度別、学科別)
(3)本学への入学前の期待と現在の思い 入学前の本学への期待については、「かなり期待していた」「期待していた」「特別な思いはなかっ た」の 3 つの選択肢の中から自分の思いに近いものを 1 つ選ぶ形の質問が設けられている。2014 年度は、この 3 つに「不本意入学だった」「その他」を加えた 5 つ、2015 年度は「その他」を除 いた 4 つの選択肢が用意されていたのだが、それらは 2016 年度に削除されている。ここでは 2016 年度以降の調査に限定して、年度別、学科別、入試カテゴリー別、志望順位別に回答の分 布を整理した結果を表 8 に示す。全体としてみると「期待していた」という回答(55.6%)が最 も多く、過半数に達しているが、「特別な思いはなかった」(28.4%)が「かなり期待していた」 (16.0%)を上回っていることがわかる。この点に関しては、年度による変動は認められなかっ たが、専攻科を除き現コミと幼教を比較すると有意な違いがみられ、「特別な思いはなかった」 の選択率は現コミの方が高く、それ以外の期待を表す回答は幼教の学生の方が高い割合で選択し ていることが確かめられる。現コミよりも幼教の学生の方が高い期待をもって本学に入学してき たことになるが、そうした期待度の違いは、入試カテゴリー別にみるとより鮮明に現れてくる。 社会人入試など「その他」の経路で入学した人たちの本学への期待度が飛び抜けて高く、次いで 「自己推薦」「指定校推薦」などの推薦入試による入学者、逆に推薦以外の入試の合格者は、あま り期待をせずに入学することが多く、特に「センター試験利用入試」による入学者は、7 割近く (69.5%)は「特別な思いはなかった」と回答しているのである。こうした入試カテゴリーによ る違いは、本学を第一志望としたか否かと強く結びついており、本学を第一志望とした人たちの 表8 入学前の本学への思い(全体及び年度別、学科別、入試カテゴリー別、志望順位別)
本学への期待度は高く、「特別な思いはなかった」の選択率は 1 割を少し上回る程度(13.5%) なのに対して、第一志望ではなかった人たちの間では、その選択率が 6 割近く(59.6%)に達す ることが明らかにされているのである。 入学前の期待とは別に、本調査では現在の思いも尋ねており、そこでは「満足している」「特 別な思いはない」「満足していない」の 3 つの選択肢が設けられている。ただし 2014 年度は、入 学前の期待に関する質問で期待を表明しなかった者のみに回答を求めるような設定がなされてお り、また 2015 年度は「満足していない」ではなく、「不満足」という選択肢が用いられていたた めに、ここでは 2016 年度以降に限定して、この質問に対する回答を上と同様に整理した結果を 表 9 に示す。全体としてみると「満足している」(47.1%)と「特別な思いはない」(49.1%)に 回答が二分されており、「満足していない」(3.8%)という否定的評価は少数にとどまっている ことがわかる。この点に関しては、年度による変動はなく、また学科による有意な違いも消失し ている。一方、入試カテゴリーによる有意な違いは維持されており、社会人入試など「その他」 の経路で入学した学生が最も高い満足度を示すことが確認されているが、「推薦入試」と「一般 入試」や「センター試験利用入試」で入学した者の満足度には、それほど顕著な違いは現れてい ない。推薦入試以外の受験者は、それほど大きな期待を抱くことなく入学してくることが多いと しても、入学後の大学生活に不満をもつことが多いわけではなさそうである。志望順位に関して も有意な違いが生じており、第一志望で本学に入学した者の方が、そうでない者よりも幾分高い 満足度を示しているが、入学前の期待ほど志望順位による違いが明確になってはいない。入学前 表9 現在の本学への思い(全体及び年度別、学科別、入試カテゴリー別、志望順位別)
の期待には、入学に至る経路や学科によって大きな違いがみられたとしても、入学後の満足度に 関しては、そうした違いが希薄化していく様子が示されたことになろう。 (4)短大生活の諸側面に対する期待と現実の一致度 短大の「授業内容」「教職員によるサポート」「課外活動」「設備環境」「他学生とのコミュニケー ション」の 5 項目に関して入学前の期待と現実の一致度を「期待以上」「期待どおり」「期待以下」 の中から 1 つ選んで回答するよう求めている。この質問は 2014 年度調査から採用されていたが、 そこでは入学前に本学への期待を表明した者のみが回答するように設定されており、また「期待 以下」ではなく「期待はずれ」という文言になっていたために、以下では 2015 年度以降の回答 を分析対象とした。年度別にみると「他学生とのコミュニケーション」の評価に有意な違いがみ られ(p < .001)、2015 年度の評価が 16 年度、17 年度よりも高くなっていることがわかる。ただ 2015 年度は「他学生とのコミュニケーション」ではなく、「教職員や他学生とのコミュニケーショ ン」という文言になっており、それが 16 年度以降の反応との違いをもたらした可能性が高い。「授 業内容」に関しても 2015 年度は「期待以上」「期待以下」の両端の反応が他年度よりも高くなる 傾向がみられたが(p < .01)、それ以外の項目には年度による変動は生じていない。そこで 3 年 度を通じて「期待以上」の回答の多い順に 5 項目を配置して、回答の分布を整理した結果を図 1 に示す。 いずれの項目に関しても「期待どおり」という回答が半数を超えて最も多くなっているが、「教 5.7% 9.3% 13.9% 14.0% 26.6% 59.6% 71.4% 63.1% 76.1% 63.0% 34.7% 19.3% 23.0% 9.9% 10.4% 設備環境 課外活動 他学生とのコミュニケーション 授業内容 教職員によるサポート 図1 各事項への入学前の期待と現実の一致度 期待以上 期待どおり 期待以下
職員によるサポート」「授業内容」については「期待以上」が「期待以下」を上回っているのに 対して、残りの 3 項目については「期待以下」が「期待以上」を上回り、特に「設備環境」に関 して最も厳しい評価がなされていることがわかる。また専攻科を除いて各項目への反応を学科別 に整理した表 10 の結果をみると「授業内容」「教職員によるサポート」「課外活動」の 3 項目で 有意な違いがみられ、「期待以上」の選択率は大差ないとしても、いずれにおいても幼教より現 コミの学生の方が「期待以下」とする割合が高くなっていることが確かめられる。これらの短大 生活の評価項目の相互相関を求めるといずれも有意な正の値を示しており(r=.267〜.496)、特に 「課外活動」と「設備環境」(r=.496)といったハード面(制度や設備)の評価、「授業内容」と「教 職員によるサポート」(r=.488)といったソフト面の評価が相互に強く結びついていることが判 明する。またこれらの評価は、入学前の期待度(r=.104〜140)よりも入学後の満足度(r=.292〜.391) と強く関連しており、特に「授業内容」(r=.391)や「教職員のサポート」(r=.376)の評価が短 大生活の満足度と強く結びついている様子が示されている。 (5)学業への取り組み 授業への取り組みや課題などの提出については、表 11 に示すような 3 つの選択肢を用いた質 問を設けている。2014 年度は「その他」を選択肢に加えていたので、ここでは 2015 年度以降に 限定して、先と同様に年度別、学科別、入試カテゴリー別、志望順位別の集計結果を表示してい る。いずれの年度も「まじめに取り組んでいる」という回答が 7 割前後と多数を占め、それに次 表 10 各事項への入学前の期待と現実の一致度(学科別)
以下という分布になっている。ここでも年度による有意な変動はみられないが、現コミよりも幼 教の学生、第二志望以下よりも第一志望で入学した者の方が学業にまじめに取り組んでいる様子 がうかがわれる。また入試カテゴリー別にみると推薦入試で入学した者の方がそれ以外の受験方 式で入学した者よりもまじめに学業に取り組む姿勢をみせており、特に社会人入試など「その他」 の入学経路をたどった者の間で「単位取得の危うい科目が多い」という回答が他よりも一段と高 くなっていることが目につく。 (6)居住状況と通学時間 本学には、地方から上京してくる学生も少なくない。自宅通学かどうかという質問に対して、 毎年 85%前後が「はい」と答えており、4 年度通算で自宅生の割合は 85.3%、自宅外通学生は 14.7%となっている。また自宅生の割合は、毎年、学科によって有意に異なっており、自宅外通 学生の割合は幼教では 1 割前後、現コミでは 2 割強で推移して 4 年度通算で幼教は 10.4%、現コ ミは 21.6%となっている。さらに通学時間について「30 分未満」から「120 分以上」までの 5 つ のカテゴリーを用いて尋ねており、居住場所が自宅か自宅外かによって大きな違いのあることが 表 11 学業への取り組み(全体及び年度別、学科別、入試カテゴリー別、志望順位別) その他(社会人・卒業生子女・再入学)
確かめられている(図 2 参照)。全体としては「60〜90 分未満」(30.9%)が最も多く、次いで「30 〜60 分未満」(26.6%)、「90〜120 分未満」(19.7%)、「30 分未満」(16.2%)、「120 分以上」(6.6%) の順になっており、自宅生の場合は、通学時間が大きくばらついているのに対して、自宅外通学 生の 7 割近く(69.9%)が「30 分未満」、「30〜60 分未満」(21.7%)を合わせると 9 割以上が短 大から 1 時間以内の場所に住んでいて、「2 時間以上」の遠距離通学者は皆無となっていること が確かめられる。 (7)アルバイトの状況 大半の学生は何らかのアルバイトをしており、継続的なアルバイトをしているかどうかだけで なく、その種類や勤務日数、勤務時間、午後 10 時以降の勤務の有無、月収、目的、学業への影 響などについての質問も設けている。アルバイトをしていると回答した割合を年度ごとに整理し た結果をみると(表 12 参照)、毎年 8 割以上がアルバイトをしており、この点に関しては年度 69.9% 9.8% 16.2% 21.7% 30.7% 26.6% 4.9% 29.9% 30.9% 3.5% 22.2% 19.7% 0.0% 7.4% 6.6% 自宅外通学生 自宅生 全体 図2 自宅生と自宅外通学生の通学時間 30分未満 30~60分 60~90分 90~120分 120分以上 表 12 アルバイトをしている学生の割合(全体及び学科別、居住形態別)
による違いはみられないが、いずれの年度でも現コミより幼教、また自宅外通学生よりも自宅生 の方が高い割合でアルバイトをしていることが確かめられる。アルバイトの種類に関しては「飲 食系」「販売系」「事務系」「その他」の 4 つに 2016 年度から「保育・教育系」が追加され、また 複数にチェックした場合の処理の仕方が一貫していないために正確な集計が難しくなっている が、「飲食系」が約 6 割(55.6〜64.0%)と最も多く、「販売系」が 2 割前後(19.6〜23.9%)でそ れに次ぎ、「保育・教育系」(4.8〜5.6%)や「事務系」(2.1〜2.7%)のアルバイトは少数派となっ ている。「その他」をチェックした割合は 2.7%(2016 年度)から 9.4%(2014 年度)まで分散し ており、そこでは「接客」「受付」「ブライダル」といった具体例が挙げられていた。 一週間の勤務日数、一日の勤務時間については、2014 年度は実数を記入する形になっていたが、 2015 年度からは前者に関しては 4 つ、後者に関しては 6 つのカテゴリーが設けられている。 2015 年度以降の 3 年間の通算でみると、勤務日数に関しては「3 日」(44.3%)が最も多く、次 いで「4 日」(27.1%)、「1〜2 日」(21.5%)、「5 日以上」(7.0%)、勤務時間に関しては「4〜5 時 間未満」(32.6%)が最も多く、次いで「5〜6 時間未満」(24.9%)、「6〜7 時間未満」(15.0%)、「3 〜4 時間未満」(14.1%)、「7 時間以上」(11.1%)、「3 時間未満」(2.2%)の順になっていた。こ の点に関して年度や居住形態による違いはみられないが、学科による有意な違いが生じている。 勤務日数に関しては「4 日」(現コミ 27.1%、幼教 24.2%)、「5 日以上」(現コミ 9.1%、幼教 4.9%) という具合に現コミの学生の方が高頻度でアルバイトをすることが多く、また勤務時間にしても 「6〜7 時間未満」(現コミ 17.8%、幼教 12.1%)、「7 時間以上」(現コミ 14.4%、幼教 7.1%)とい う長時間勤務に従事する割合が現コミの学生の間で高くなっている。午後 10 時以降の勤務の有 無については、毎年半数以上が「あり」としており、その割合は通算で 55.4%となっている。こ の点に関しては年度による違いも学科や居住形態による違いも認められない。一か月のアルバイ ト収入については 4 つの選択肢が設けられ、その中では「5〜10 万円未満」(62.7%)が飛び抜け て多く、「5 万円未満」(30.2%)を合わせると全体の 9 割を超えており、「10〜15 万円未満」(6.1%)、 「15 万円以上」(1.0%)と月 10 万円以上の収入を得ているのは1割以下になっている。この点に 関しては年度や居住形態による違いはないが、学科による有意な違いがみられ、「10〜15 万円未 満」(現コミ 8.9%、幼教 2.8%)、「15 万円以上」(現コミ 2.5%、幼教 0.1%)という具合に 10 万 円以上の高収入を得ているアルバイト学生の割合は幼教よりも現コミの間で高くなっている。 アルバイトの目的については、2014 年度から「その他」を含む 6 つの選択肢を用意し、該当 するものをいくつでもチェックする形の質問を設けている。その中では「遊びやファッションを 楽しむため」(79.0%)という目的が圧倒的に多く、次いで「社会勉強のため」(39.1%)、「学費 支払いのため」(14.4%)、「一人暮らしの生活費を稼ぐため」(14.2%)、「家計を助けるため」(13.7%) という順になり、「その他」(6.8%)としては「貯金」「趣味のため」「習い事」「留学の費用」といっ た記述がみられた(図 3 参照)。それぞれの目的の選択率に年度による変動はみられなかったが、
「遊びやファッション」(現コミ 72.4%、幼教 80.1%)は幼教、「生活費を稼ぐ」(現コミ 19.4%、 幼教 12.0%)は現コミの学生の方が高い割合で選択するといった学科による違いが認められた。 それ以上に居住形態による違いが大きく、「家計を助けるため」以外の項目の選択率に有意な違 いが生じていた。図 3 に示されている通り、「その他」を含めて「遊びやファッション」「社会勉 強」「学費支払いのため」といった項目は自宅生の方が高い割合で選択しており、自宅外通学生 の間では「生活費を稼ぐため」にアルバイトをする割合が飛び抜けて高くなっているのである。 アルバイトによる学業への影響については、4 つの選択肢が設けられており、その中では「学 業への影響はない」という回答が通算で 71.4%と圧倒的に多く、次いで「予習や復習の時間が取 れないことがある」15.1%、「睡眠不足になり翌日の授業に支障をきたすことがある」11.9%の順 になり、「アルバイト中心の生活となり、学業全般に支障をきたしている」という回答は 1.6%と なっていた。この点に関しては、年度による違いも学科や居住形態による違いもみられなかった が、当然のことながらアルバイトを多くしているほど、悪影響を感じる割合が高くなる傾向が出 現している。勤務日数に関しては週 3 日以下と 4 日以上、勤務時間については 1 日 5 時間未満と 5 時間以上にアルバイト学生を二分し、午後 10 時以降の勤務の有無と併せて学業への影響に関 する回答の分布を整理した結果を図 4 に示す。いずれについても有意な違いが示されており、勤 務日数が週 4 日以上、1 日の勤務時間が 5 時間以上、午後 10 時以降の勤務をしている者の方が 高い割合でアルバイトによる学業への悪影響を自覚していることが明確にされている。また 1 日 の勤務時間よりも深夜勤務の有無や 1 週間の勤務日数の影響力の方が大きくなっている様子が同 時に示唆されている。 79.0 39.1 14.4 14.2 13.7 6.8 82.2 41.0 15.1 5.7 13.9 7.3 57.3 25.8 9.7 73.8 12.5 3.2 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0 80.0 90.0 遊びやファッション 社会勉強 学費支払いのため 生活費を稼ぐため 家計を助けるため その他 図3 アルバイトの目的(全体及び居住形態別) 全体 自宅生 自宅外通学生
(8)抱えている悩みと相談相手 最後に短大生の悩みや相談相手に関する調査結果をみてみよう。「現在抱えている悩みはあり ますか」という質問に対しては「悩みはない」「その他」を含む 9 つの選択肢の中から該当する ものをいくつでもチェックする形の質問が設けられている6。通算で 37.4%が「悩みはない」と しているが、それ以外では「進路について」(51.6%)の悩みが半数を超えて飛び抜けて多く、 それに次いで「学習面について」(14.3%)、「経済面について」(10.3%)の 2 つが 1 割を超えて いる以外は、「健康面について」(6.0%)、「家庭について」(4.8%)、「異性について」(3.7%)、「友 人関係について」(3.3%)という順になっているが、いずれも 1 割以下となっている。「その他」 を選んだのは 1.2%にすぎないが、そこでは「実習をやっていけるか」「編入学に合格できるか」「ア ルバイト先の人間関係」といった記述が散見された。学生が抱えている悩みには年度による変動 はみられず、居住形態による違いも現れていないが、現コミ(36.1%)よりも幼教(43.4%)の 学生の方が「悩みはない」と答えることが多く、「進路について」の悩みは幼教(43.2%)より も現コミ(52.6%)の学生の間で高くなっていた。また学年による違いもみられ、「学習面につ いて」(1 年生 20.8%、2 年生 11.8%)や「友人関係について」(1 年生 4.9%、2 年生 2.1%)悩み をもつことは 2 年生よりも 1 年生の方が多く、逆に「悩みはない」という回答は 2 年生の間で高 くなっていた(1 年生 36.6%、2 年生 43.2%)。 悩みの相談相手については、「相談する人がいない」「その他」を含めた 9 つの選択肢の中から 該当するものをいくつでも選ぶ形の質問が設けられており、「友人」(80.4%)と「家族」(65.2%) 80.6% 64.1% 76.8% 62.0% 76.0% 68.1% 13.6% 16.9% 13.3% 18.2% 14.7% 14.5% 5.3% 16.4% 9.1% 16.9% 7.9% 15.5% 0.5% 2.5% 0.9% 2.9% 1.4% 1.9% なし あり 3日以下 4日以上 5時間未満 5時間以上 10 時以降の勤 務 勤務日 数 勤務時 間 図4 深夜勤務の有無、勤務日数、勤務時間によるアルバイトの影響度の違い 悪影響なし 予習や復習の時間不足 睡眠不足 学業全般に支障
の 2 つに選択が集中しており、それ以外では「アドバイザー」(13.5%)が 1 割を超えた他は、「ア ドバイザー以外の教員」(3.8%)、「学生相談室」(1.5%)、「保健室」(1.5%)、「事務職員」(0.9%) の選択はいずれも 5%以下となっている。全体の 2.5%が「相談する人がいない」と回答してい る他、1.8%が「その他」を選択しており、そこには「彼氏」「バイト先の人」といった記述が含 まれていた。相談相手に関しては、年度による違いや学年、居住形態による有意な違いはみられ ないが、現コミよりも幼教の学生の方が「友人」(現コミ 74.1%、幼教 81.7%)や「アドバイザー」 (現コミ 11.1%、幼教 14.7%)に相談することが多く、逆に「学生相談室」(現コミ 6.8%、幼教 1.3%) は現コミの学生の方が多く利用する様子が示されている。相談できる友人の数については、4 つ の選択肢が設けられ、その中では「2 〜 4 人」(59.0%)が半数を超えて最も多く、「5 人以上」(32.5%) が 3 割を超えている他は、「0 人」(4.5%)や「1 人」(3.9%)という回答は 5%以下の少数派となっ ている。この点については現コミよりも幼教の学生の方が友人数を多く報告する傾向がみられた が(図 5 参照)、年度や学年、居住形態による有意な違いは出現していない。現コミに比べると、 共通の目標をもって実習などで一緒に行動することが多い幼教の学生の方が友人関係を深める機 会に恵まれているのであろう。
3.卒業に向けて─学習成果の検討、在籍状態及び卒業後の進路
入学時の TOEIC 得点と高校の評定平均に年度による変動や入試カテゴリーによる有意差がみ 38.9% 27.2% 32.5% 53.8% 61.4% 59.0% 3.5% 4.7% 3.9% 3.9% 6.8% 4.5% 幼教 現コミ 全体 図5 相談できる友人数(全体及び学科別) 5人以上 2~4人 1人 0人向上していくのであろうか。入学時の他に 1 年次の前期終了時(7 月)と後期終了時(1 月)に 実施された TOEIC 得点の年度ごとの平均値を整理した結果を表 13 に示す。入学時の得点には年 度による違いがみられたが、その後 2 回の得点には年度による有意差はみられず、5 年間の平均 でみると前期に得点は 70 点ほど上昇、後期でも 10 点ほど伸びて、1 年間では TOEIC 得点が 80 点以上増大していることがわかる。表 13 には、欠席者を除いて各自の得点の変化量の平均値を 年度ごとに求めた結果が示されており、前期の変化量には年度による違いはないが、後期の変化 量は年度による有意な変動がみられ(p < .001)、結果として年間の変化量にも年度による有意差 が出現していることがわかる(p < .01)。なぜか 2016 年度の入学生は後期の間に平均得点が低下 しており、2013 年〜 15 年度に比べて 2016 年〜17 年度の入学者の TOEIC 得点の 1 年間の伸びが 少なめになっているのである。1 回目から 2 回目の変化量は 5 年間通算で 69.62 点、2 回目から 3 回目は 11.01 点、1 回目から 3 回目は 82.13 点、それぞれの変化量のレンジは−120〜+350、− 160〜+335、−220〜+215 ときわめて大きな個人差が記録されている。 入学時の TOEIC 得点には、入試カテゴリーによる有意差があり、指定校推薦による入学者の 得点が他よりも低く、社会人入試など「その他」の受験による入学者の得点が最も高くなってい るのは先に指摘した通りだが、推薦入試よりもそれ以外の入試によって入学した者が高い英語力 表 14 入試カテゴリー別の 3 回の TOEIC 得点及びその変化量、GPA の平均値 表 13 各年度の入学者の 3 回の TOEIC 得点及びその変化量
を示す傾向は、前期終了時、後期終了時でも同様に維持されている(表 14 参照)。そうした平 均得点の違いだけでなく、TOEIC 得点の変化量でみても推薦入試よりもそれ以外の経路で入学 した者の方が大きな伸びを示しており、少数ながら「その他」の受験方式によって入学した人た ちの変化量が他よりも抜きん出て大きく、また入学後の成績を表す GPA の平均値をみても7、「そ の他」の経路による入学者が最高点を記録しているのである。なお GPA は、高校時代の評定平 均(r=.298)や入学時の TOEIC 得点(r=.268)と正の相関を示しているが、入学時よりも前期終 了時(r=.423)、そして後期終了時(r=.503)と入学後の時間経過と共に英語力と学業成績の結び つきが強まる傾向が出現している。 ところで英語科の伝統を継承している本学科には、アメリカあるいはオーストラリアでの夏季 休業中の語学研修の制度があり8、また 1 年次終了時に休学して語学留学に出る者も少なくない。 英語研修は、海外フィールドワークという授業の一環として行われており、毎年 10 名余が参加 して 5 年間での総数は 58 名となっている。一方、いわゆるサンドウィッチ留学については、 2013 年度終了時に 18 名が休学を申し出たが、十分な事前の準備をせずに海外に出る者も見受け られたために翌年度から留学先と期間を明記した書類の提出を義務づけたために 2014 年度は 9 名に減少、その後人数が回復して 5 年間通算で 58 名が留学、そのうち 5 名は語学研修にも参加 していた。参加者の資質は年によって異なっているが、全体として語学研修の参加者は他の学生 よりも TOEIC 得点が幾分高く、有意差はないが前期終了時から留学後の後期終了時にかけての 参加者の変化量は 25.64 点と非参加者の 9.56 点を上回る傾向が認められた(p < .10)。また GPA に関しては参加者の平均は 2.55 で非参加者の 2.26 よりも有意に高くなっていた(p < .05)。一方、 語学留学については、帰国後の TOEIC 得点が利用できないために留学の効果を検証するのは難 しいが、1 年次の TOEIC 得点をみると他学生よりも高いわけではなく、必ずしも英語に自信の ある者が留学を志しているわけではないことが示唆されている。 2017 年度の入学生は来春に卒業予定となっているが、1 期生 108 名が 2014 年春に卒業、その 後 138 名(2015 年)、122 名(2016 年)、143 名(2017 年)が 3 月に卒業式を迎え、9 月卒業の 8 名を加えると計 519 名がこれまでに短大から巣立っていったことになる。現時点(2018 年 10 月) での在籍状態と卒業後の進路を入学年度ごとに整理した結果を表 15 に示す。これをみると入学 生の 1 割前後が退学あるいは除籍になっていることに注意を払わざるを得ない。除籍は授業料の 滞納によるものだが、退学の理由は他大や専門学校への進学、就職といった進路変更、経済状態 や健康問題、家庭の事情など多岐にわたる。ただし、通学実績のないままに早々と退学する者も 少なくなく、明確な目標をもたずに不本意な思いで入学することの弊害が如実に反映される結果 となっている。卒業後の進路としては、一般企業への就職が最も多く、通算では半数を超えてお り、次いで 4 年制大学への編入、専門学校への再入学、留学など学生の身分を延長する者も卒業
の他」には就職を希望して叶わなかった者だけでなく、資格取得や受験の準備、バレーや演劇、 起業、家業の継承など就職活動をせずに卒業した者も含まれている。 最後に 2017 年度の入学生を除き、入試カテゴリー別に在籍状態と卒業後の進路を整理した 表 16 の結果をみると、退学や除籍になる割合は、推薦入試よりもそれ以外の経路で入学した者 の間で高くなっており、一般入試やセンター試験利用入試で入学した者は、就職の道を選ばずに 4 年制大学に編入する割合が相対的に高くなっていることが明確にされている。その数は少ない が、社会人入試など「その他」の経路で入学した者は、社会経験を積んで学習意欲も高く、好成 績を収める傾向が強いのだが、その一方で同級生とは世代も異なり、うまく学生生活に適応でき ずに退学に至ることも稀ではないようだ。 表 15 各年度の入学者の在籍状態と卒業後の進路 (2018 年 10 月現在) 表 16 入試カテゴリー別の在籍状態、卒業後の進路
さて休学中の 5 名を含めると、現在(2018 年 10 月)、本学科には 133 名が在籍していること になる。その全員が来春に卒業するわけではなく、留学から復学予定の 5 名を含めて 20 名程度 が来年度も在籍することが見込まれている。その人たちが 2020 年 3 月に卒業できるように教育 体制を整える作業をしているところだが、諸般の事情から通学のままならない学生も何人か在籍 しており、その対応も含めて閉学までの道程は必ずしも平坦ではなく、克服すべき課題が新たに 出現する可能性も残されているのが現状と言えよう。 [注] 1 筆者は、新学科が発足した 2013 年 4 月に学科長として本学に着任した。 2 調査内容は、学生部委員会で検討、決定しており、その過程に筆者は関与しておらず、調査結果の分析のみ を 2014 年度から担当することになった。 3 調査票の後半部分の学生・就職課の支援体制、進路情報室の利用状況などの質問項目は本稿での分析対象か ら除外している。 4 調査では 10 種類以上の受験方式を列挙して、自分に該当するものに〇をつける形式をとっているが、自分が どの入試で入学したかを正確に把握していない者が少なくなかった。特に一般入試とセンター試験利用入試 は複数回行われており、それらを併願することも多いために正確に把握するのが難しくなったようである。 ここでは 2 つ以上に〇がついている場合は、その回答を欠損値としている。 5 「4 年制大学への編入を考えているから」「卒業後に留学を考えているから」の 2 つの選択肢が 2015 年度に追 加された。 6 このうち「経済面について」「友人関係について」の 2 項目は 2015 年度に追加されており、2014 年度調査で は 7 つの選択肢が用いられている。 7 2017 年度入学者に関しては、1 年次終了時の GPA を用いている。 8 中国語学習の機会を提供するために 2015 年度から台湾でも海外フィールドワークが実施されるようになった。 〈謝辞〉本稿の基礎となる資料収集に教務課の小山明美、内藤辰也、学生・就職課の斎藤直人、ラー ニング・サポート・センターの緑川雅子、藤田葉子の諸氏の協力を得た。記して謝意を表したい。