住民の日常的移動特性と公共交通に対する意識の把握
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(2) 減少傾向にあり、高齢化が進行している。市内には「赤目. とを把握した。年齢階層別の自動車利用状況を図-4に示. 四十八滝」などの観光資源を有し、観光産業も盛んである。. す。高齢になるにつれて、自動車の利用割合が減少してい. 公共交通は、近鉄大阪線が南北を縦断し、市内に 4 駅存. ることがわかる。これは、何らかの理由で自動車を利用で. 在する。また、鉄道駅や病院などの主要施設を結節点とし. きない環境が高齢になるにつれて増加するものではない. て路線バスが運行されている。名張市内を運行しているバ. かと思われる。. ス路線は、コミュニティバスが 5 路線(ナッキー号、ほっ とバス錦、コモコモ号、みどり号、はたっこ号) 、三重交通. n=1184 1.3%. による民営バスが 10 路線(桔梗が丘線、すずらん台線、. 5.6% 10代. 百合が丘線、梅が丘線、赤目線、赤目香落渓線、曽爾香落. 15.6%. 20代. 10.0%. 30代. 渓線、つつじが丘線、奥津線、上野名張線)、合計 15 路線. 40代. 13.2%. である。これら以外に、タクシーや福祉有償運送、スーパ. 12.9%. 50代 60~64歳. ーなどによる買い物バスなどがある。. 65~69歳. 14.7%. 14.9%. 11.8%. 70~74歳 75歳以上. 3.公共交通アンケート調査の概要 図-1. 年齢構成比. アンケート調査は平成 27 年 9 月に名張市民を対象に郵 送配布郵送回収法によって行われた。アンケート調査内容. n=1174. 2.2%. の概要を表-1 に示す。日常的な自家用車の利用状況や移. 会社員・公務員 自営業・自由業 パート・アルバイト 専業主婦・主夫 学生 無職 その他. 動目的、移動手段の他に、公共交通機関の利用頻度や満足 度などを質問している。アンケートの配布数は 2800 通、. 26.7%. 28.4%. 回収率は 46.9%であった。 6.0%. 2.2%. 表-1. アンケート調査内容の概要. 調査項目 個人属性. 15.4%. 19.0%. 内容. 図-2. 性別、年齢、職業、居住地域. 職業構成比. 自家用車の利用について 日常的な自家用車の利用、運転免許保有状況と返納状況 日常的な移動について 公共交通機関について その他. 移動目的、移動手段、頻度、出発帰宅時間. n=1152 6.0%. 利用頻度、満足度、今後の利用意向 公共交通の将来像、費用負担制度について、利用促進の取 り組みへの参加について. 12.9%. 自動車使う 時々自動車使う 自動車利用しない. 4.アンケート調査データの分析結果 4.1. 81.1%. 個人属性について. 回答者の年齢構成比を図-1に示す。65 歳以上の高齢. 図-3 日常的な自動車の利用について. 者の割合が 43.5%と高く、75 歳以上の後期高齢者は 15.6% であった。図-2に職業構成比を示す。「無職」の割合が. N=1158. 28.4%と最も高く、次いで「会社員・公務員」が 26.7%であ った。高齢になるにつれて「無職」の割合が高くなる傾向. 75歳以上. 60%. 21%. 19% 自動車を使う. にあり、65歳以上で 58.7%、75歳以上で 81.8%となる 65~74歳. 81%. 14%. 5%. 時々自動車を使う. ことを把握した。. ほとんど利用しない 65歳未満. 4.2. 87%. 10%. 3%. 自動車の利用状況について 0%. 20%. 40%. 60%. 80%. 100%. 日常的な自動車の利用状況を図-3に示す。普段から自 動車を使用している(乗せてもらう場合も含む)者は 81% 存在し、普段の移動に際しては、自動車依存割合が高いこ. 図-4. 年齢階層別の自動車利用状況.
(3) 4.2. 日常的な移動について. 点として、各機関別に平均得点を算出した。タクシー3.291. 日常的な移動については、市内での移動が多くその割合. 点、コミュニティバス 2.818 点、三重交通バス 2.856 点、. は約80%程度である。「通勤」目的が約39%と最も多. 近鉄大阪線 3.443 点となり、コミュニティバスの利用満足. く、次いで、 「買い物」約34%、 「通院」約18%となっ. 度が最も低い結果となった。コミュニティバスの不満理由. ている。. としては、 「運行経路」が最も高く、次いで「運行本数」、. 図-5に日常的に利用する移動手段の割合を示す。自ら. 「運行時間帯」であった。. の運転で自動車を利用する割合が67.1%と最も高く、. 公共交通機関の役割や存在価値について、「非常にそう. 次いで近鉄大阪線の利用30.4%となっている。これは、. 思う」5点、 「まあそう思う」4点、 「どちらでもない」3. 通勤や通学で使用される割合が高いからであると思われ. 点、 「あまりそう思わない」2点、 「全くそう思わない」を. る。一方、バス交通を見てみると三重交通バスが約13%. 1点として各項目別に平均得点を算出したものを図-7. と最も高く、コミュニティバスの利用状況は数%程度とそ. に示す。この図から、公共交通機関は自動車が利用できな. れほど多いとは言えない。. くなった場合の代替的交通手段としての役割として認識 されていることがわかる。. n=1140 その他 0.9% 徒歩. 99.1%. 14.5%. 85.5%. 自転車 6.4% バイク 3.5%. 自動車(送迎). バス路線の存在自体が街の活性化や活力(n=1014). 93.6%. 名張市をアピールする資源(n=984). 96.5%. 16.9%. 市外から来訪する方にとって重要な交通手段(n=1003). 83.1%. 自動車(自分). 自動車などを利用できなくなった場合の重要な交通手段(n=1048). 67.1%. 利用する. 32.9%. タクシー 6.1%. いつでも利用できるという安心感(n=1020). 利用しない. 93.9%. その他バス0.1%. 99.9%. コミュニティバス 2.0%. 98.0%. ナッキー号 4.1%. 95.9%. 観光をするときに重要な交通手段(n=986). 自動車を運転できない人にとっての需要な交通手段(n=1031). 買物など自分自身にとって重要な交通手段(n=1022). 通院など自分自身にとって重要な交通手段(n=1021). 三重交通バス. 13.3%. 86.7% 通学など自分自身にとって重要な交通手段(N=866). 近鉄大阪線. 30.4% 0%. 69.6%. 20%. 図-5 4.3. 40%. 60%. 80%. 通勤など自分自身にとって重要な交通手段(n=926). 100%. 1. 日常的に利用する移動手段. 図-7. 公共交通機関の利用や役割について. 4.4. 2. 3. 4. 5. 公共交通の役割や存在価値についての意識. 費用負担や利用促進について. 公共交通機関別の利用満足度を図-6に示す。近鉄大阪. 図-8に公共交通に対する公的資金の資質に対する意. 線の満足度が最も高く、 「満足」と「まあ満足」を合わせて. 見を示す。「現在の公共交通のサービス水準を維持して、. 約54%であった。通勤や通学に用いられる割合が高く、. 公的資金は現状程度で良い」が約35%」と最も多く、次. 定時性がある程度確保されていることから、満足度が高く. いで「公共交通のサービス向上のため、公的資金の増加は. なるものと考えられる。. やむを得ない」が約34%となっている。公的資金の支出 については、現状維持もしくは増加しても良いという肯定 的な意見が多く、公共交通サービスの維持または向上に対. タクシー(n=354). 5.0%. 11.9%. 14.1%. 5.2%. 2.7%. 2.5% コミュニティバス(n=280). 5.7%. 12.0%. 4.7%. 5.8%. (n=1015). まあ満足 どちらでもない. 4.6% 三重交通バス(n=494). してある程度の支出は必要であると考えられている。. 満足. 13.7%. 14.7%. 11.6%. 7.2%. やや不満. 9.5%. 7.4%. 不満. 公的資金を是非とも増加すべき 近鉄大阪線(n=911). 15.7%. 38.1%. 25.7%. 15.9%. 4.6%. 34.6%. 公的資金を是非とも減らすべき 17.3%. 0%. 20%. 図-6. 40%. 60%. 80%. 100%. 交通機関別利用満足度. 公的資金の減少に努める 公的資金の増加はやむを得ない 現状程度で良い. 33.5%. 満足度を得点化するため、 「満足」5点、 「まあ満足」4 点、 「どちらでもない」3点、 「やや不満」2点、 「不満」1. 図-8. 公共交通への費用負担意識.
(4) 次に、公共交通の維持や利用促進の取り組みに対する意. 参考文献. 識を図-9に示す。 「積極的に参加したい」、「できるだけ 参加したい」という意見が約43%存在し、公共交通に対. 1) 土木学会土木計画学研究委員会:バスサービスハンド. する関心の高さが伺える。. ブック、丸善株式会社、2006.11. 2) 名張市:名張市総合都市交通マスタープラン、2012.6.. 3.5%. 2) 名張市:名張市地域公共交通網形成計画、2016.3.. (n=947). 2) 名張市:名張市都市総合交通戦略、2016.3.. 9.2%. 積極的に参加したい できるだけ参加したい 30.9%. 39.1%. 参加したくない 行政及び交通事業者で検討すればよい その他. 17.3%. 図-9. 公共交通の維持や利用促進に関する取り組みへ の参加意向. 5.本研究のまとめ 本研究では、住民の日常的な移動特性や公共交通に対す る意識を把握するため、公共交通に対するアンケート調査 データを用いて分析を行った。 分析の結果、日常的な移動については、市内での移動が 多く、自らの運転で自動車を利用している割合が高いこと を把握した。しかし、自動車利用は高齢になるにつれて減 少することから、何らかの要因で高齢になるにつれて自動 車を利用できない環境になっていると考えられる。 公共交通機関別の利用満足度の分析結果より、近鉄大阪 線の満足度が最も高く、日常的な利用割合も高い。これは、 通勤や通学に用いられる割合が高く、定時性がある程度確 保されていることから、満足度が高くなるものと考えられ る。一方、コミュニティバスの利用満足度は最も低く、そ の不満理由としては、 「運行経路」や「運行本数」、 「運行時 間帯」であることを把握した。 公共交通機関の役割や存在価値について、公共交通機関 は自動車が利用できなくなった場合の代替的交通手段と しての役割として認識されていることがわかった。また、 公共交通サービスの維持または向上に対してある程度の 公的資金の支出は必要であると考えられていることを把 握した。 本研究では、アンケートデータの基礎分析までしか行っ ておらず、残された課題は多い。アンケートでは詳細に目 的施設や移動手段などを質問していることから、今後は、 更に研究を発展させ、公共交通の効果検証に取り組みたい。.
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