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中学生のケータイやインターネットにおける問題発生の予防に有効な心の教育実践研究:―将来、被害者にも加害者にもならないために―

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Academic year: 2021

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(1)  中学生のケータイやインターネットにおける問題発生の予防に有効な心の教育実践研究            一将来、被害者にも加害者にもならないために一.                              専  攻 教育実践高度化専攻.                              コース 心の教育実践コース                              学籍番号 P09043J                              氏  名 衣川公彦. 11問題の所在と目的  中学生は、ケータイやインターネットを友   ト上で言葉の暴力や不適切な画像が氾濫する 達と繋がる手段として気軽に活用している。   原因の一つには、安易さ、情報伝達技術の飛 そんな中、さまざまなサイトやメールの中に   躍的進歩(阿蘇,2008)がある。メーノレは手軽. おける諸問題が見受けられる。誹諺・中傷の   に友達との絆を確認できる手段(渡辺,2009). 書き込みや個人情報の流出こまたそれを利用   であり、ネット上の掲示板への書き込みは一 したネットいじめの問題などである。携帯電   人放課後や休み時間に行う加害行為よりはる. 話やインターネットの便利で有効な光の部分   かに簡単に行える軽便さが特徴である(松 の裏にある形となる問題点を把握し、日々進   下,2008)。子どもたちは、ネット上で何をし. 化していくネット社会の中で生活していく生   ても『1ヰれない』とネットでの匿名性を前提 徒達が、将来被害者にも加害者にもなること   にして行動している(藤」■1.2008)と考えら なく多様な状況に対応し、解決していく力を   れる。直接顔を合わせて会話する場合に比べ、. 身につけることが早急の課題であると考える。  文字が伝える情報量は圧倒的に少ないため、  本実践研究では、中学校段階での携帯電話   文字のみのやりとりという携帯電話ならでは 利用の指導がどうあるべきかを考察したうえ   のコミュニケーションには弊害が大きい(渡 で、携帯電話に関する諸課題を生徒自身に考   辺,2009)。もはや携帯電話は単なる電話では. えさせ、節度ある利用を促進することを目的   なく全世界につながるインターネット端末 とする。具体的には、生徒に身近なメディア   である(長谷川,2009)といえよう。. の特徴を考えさせ、対面でのコミュニケージ    これらの意見をもとに中学生に起こってい ヨンの大切さを理解させたうえで、状況を考   るケータイ・ネットの問題の要因を筆者なり えたコミュニケーション手段を適切に選択で   にまとめると、①匿名性が高いと認識、②コ きるよう一にさせることを目指した。       ミュニケーションの中心が文字情報であるこ.                        とによる誤解の生じやすさ、③他の人から情. 2.理論・枠組み               報が見られることへの意識の低さ、④類友だ  文部科学省(2009)r子どもの携帯電話の利   けのコミュニケ∵ションの傾向の4点になる。. 用に関する調査」の結果から考えられる児童 生徒の携帯電話やインターネットにおける問   3.実践の内容 題発生の予防につながるポイントとして①学    本実践研究では、「ネットコミュニケーショ. 校での情報モラル教育の充実②子どもの判断   ンの中心は文字情報であり伝わるときに誤解 力の育成③相談できる人間関係の構築④家庭   が生じやすい。」というトラブルの要因を主に. でのルール作りの推進⑤保護者の学習経験の   置くこととした。実態調査を行い、4つの教 向上の5つがあげられる。また、問題の要因と   材を開発して中学1年生(278名)を対象に しては次のような点があげられている。ネッ   総合的な学習の時間に授業を行い、その前後. 一82一.

(2) の生徒の意識の変化を比較した。. い」、rお互いが対面してやりとりをすること.  教材は、①身近なメディアの特徴の整理、. が大事である」ということを意識したと考え. ②一方通行と双方向のコミュニケーション、. られる。【教材3】のロールプレイング教材で. ③ロールプレイング教材rネットコミュニケ. は、直接顔を合わせて会話する場合に比べ、. ーション」、④事例学習である。①の教材にお. 文字が伝える情報量は圧倒的に少ないため、. いては、ポストイットを活用して話し合いの. 文字のみのやりとりという携帯電話ならでは. 手法としてKJ法を用いた。②の教材におい. のコミュニケーションには、弊害も大きい.(渡. ては、一方通行では、図を見て文字に起こし. 邊;2009)ことを実感させる狙いがあった。. た文章をお互いに交換して文字情報のみで図.  授業前の仮説に対して授業後の平均の差か. を描いたが、双方向のコミュニケーションで. ら生徒の意識の変化をみると、生徒は授業前. は、一方通行で行った文字情報に加えて質問. より授業後の方がメールや掲示板では自分の. ができる状態で話し合いながら図を描かせた。. 気持ちや話したいことが必ず相手にわかって. ③の教材においては、「メール」と「直接会っ. もらえるとは思わないようになっている。ま. て話す」違いをメラビアンの法則から体感す. た、ケータイやパソコンのインターネットの. るためにペアになり実際に演じてからワーク. 利用だけで友達と伸良くなれるわけではない. シートにまとめた。これらの活動を通じて、. と思うようになったり、匿名性が高いとは思. 現在起こっている問題が自分にも起こりうる. わないようになるなどケータイやパソコンの. 身近なものであることを認識させることをめ. インターネットの利用についての危険に対す. ざした。. る意識が高まったと考えられる。.  分析としては、生徒の自由記述をテキスト マイニングし、授業前後のアンケート結果(5. 5.現場への提案・発信・今後の課題. 件法)の平均差を検定した。.  実態調査から分かるように、現実として諸 問題が起こっている中で生徒の多くは、ケー. 4.実践の振り返り・考察. タイやインターネットの危険性を感じ上手く.  最初に行った実態調査では、インターネッ. コントロールしていく必要性を感じている。. トや携帯電話が普及している割には生徒たち.  今回の実践研究を通して、生徒は対面のコ. からの「ウェブページって何ですか。」などの. ミュニケーションの大切さを理解し、ネット. 基本的な語句に関する質問が多く出た。生徒. の諸問題に対する意識が高まったと考えられ. たちの使用の割には案外知識が乏しいのが分. る。しかし、「状況を考えて適切なコミュξケ. かる。【教材1】「メディアの種類とその長所・. ーション手段を選択する」まで考えられる生. 短所」を考える活動では、直接話し合うこと. 徒はまだ少ないと思われる。正しい手段を選. によって考えが広がることを生徒が学ぶこと. 択をすることができる生徒がさらに増えるよ. 自体に意味がある。さらに、目的に応じたメ. うに実践を進めていく必要がある。そのため. ディアの利用が大切であることを理解してい. には、生徒の理解が定着するように継続して. る生徒達のまとめや気づきに触れることがで. 系統立てた実践が必要であると考える。本研. きたことも意義深い。生徒たちは、【教材2】. 究を通じて、学校全体として体系的な情報モ. の文字から図を描く体験を通して「こんな単. ラル教育の取り組みの必要性を再認識した。. 純な図形でも文字情報だけで伝えるのは難し.          修学指導教員 松本 剛. 一83一.

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