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特別支援 の必要 な子 どもた ちのた めの音楽活動
∼ 音 楽 紙 芝 居 を用 い た 取 り組 み ∼
P12043F
井上万紀
キー ワー ド:特別 支 援・ オル フ・ 音 楽療 法・ CottMusictherapy・ 音 楽紙 芝居 「要 旨」 筆者 は これ まで特別支援 の必要 な児童生徒 に音楽紙芝居 を使 つた実I13を重ねて きた。 お話 に乗せ て音楽紙 芝居 を間に挟 み合 奏す るこ とで、教師 も子 どもたち も一体 となつて味わ え る時空 間の構 築 を試 みて きた。子 どもたちが よ くわか るお話 に、様 々な場面 に合 う音楽 を 用意 し流れ の 中で瞬時 に変化 をつ けてい きなが ら、共 に動 き楽器 を鳴 らす。そ こでは、一 緒 に合 わせ よ うと音 を出 し動 こ うとす るタイ ミングをお互 い にはか り、待つ 間 も音楽 の流 れ を体 中で感 じなが ら合 わせ る喜 び は子 どもの力 を引 き出す と思われ た。音楽紙芝居 とい う同 じ時空 間 にい るこ とで、動 きや鳴 らし方 が好 きな よ うに表現で き、思い を表 出す る こ とがで きる。 この よ うな活動 は、オル フの音楽教 育の内容 と合致 してい ると筆者 には思 わ れ 、実践 にオル フの考 え方 を盛 り込 んできた。 本研 究 は音楽紙 芝居 が特別 支援 の必 要 な児 童生徒 に どの様 な効果 が あるのか を実践 を 通 して研 究 した もので あ る。 まず 、児童生徒 が表現 した行動 の 中に見 えた発露 を 「7行
動 の分析 に よる療 育活動分析 」 を用 いて行動分析 した。音楽紙芝居 を した1学
期 としなか っ た3学
期 の児 童 の変化 比較 した ところ、1学
期 の活動 で見 られ た行動 の量が3学
期 で は見 られなかった。「音楽活動 」の有無 に よる効果 の検討 をさらに進 め るために、1学
期 の療 育 にお ける、初 回 と終盤 の児童 の変容 を 「Co―Musictherapyに
お け る多感 覚領域 の視 点 に よる児童活動 の比較」 を用 いて分析 した ところ、音楽や動 きのある活動では二人 の児童 は どの感 覚 も向上 していた。好 きな活動 によつて偏 りがあるものの、音楽・動 き 。言葉 (お 話)の
揃 った音楽紙芝居 で は効果 が あ るこ とを実証 で きた。 最後 に、筆者 の読み取 りを一 つ の視 点 と して、他 の教師 と一緒 に複数 の 日で子 どもの行動 を分析 し、論議 を重ねた。 その結果 、子 どもの行 動 の裏 には、見 えない内面の姿があ る事が確認 された。 ダイ ヤ グ ラムの結果 を挟 んで論議 を重ね る こ とで児童 の実態 を多角的 な視点で把握で きるよ うにな った と考 え る。1.研
究 の背 景(1)療
育活 動へ の音 楽 の導 入 筆 者 は 、特 別 支 援 学校 に携 わ り、特 別 支 援 の必 要 な子 どもの た めの授 業 で は、彼 ら の五感 を使 つて彼 らを受 け とめ る配 慮 が必 要 な ので は ない か と考 えて きた。 しか し、 筆 者 は そ の た めの確 立 され た方 法 や 、適 切 な理 論 に 出会 つ て はい な か った。 寧 ろ 日々 の 実践 か ら、 生徒 の行 動 の意 味 を教 師 が読 み 取 り、教 師 同士 で話 し合 い、相 互 に学 び あ う中で子 どもた ち に教 え られ た 自分 な りの方 法 を試 行 錯 誤 しな が ら開発 して きた。 本 論 で は、 そ の 中で も音 楽 を媒 介 す る こ とで 子 どもた ち が 同 じ場 を共 有 で き る活 動 を 通 して子 ど もた ちの力 を見 る視 点 を再検 討 して み た い と考 え る。 本 論 で筆 者 は、1年
間 に わ た る特別 支援 学 校 で の療 育 の時 間 にお け る実 践 を通 して 関 わ つ た3人
の子 ど もた ちの行 動 変 容 の記 録 の分析 を行 い、筆者 の取組 み の有 効性 を 検 討 す る こ と と した。 具 体 的 に は、筆 者 は これ ま で か ら活 動 を続 けて きた『 音 楽紙 芝 居 』 を用 い た 実践 を行 つて い る。 療 育 にお け る教 育活 動 の 中 に音 楽 の要 素 を取 り入 れ る と、3人
の活 動 は よ り活 発 化 され る効 果 が 見 られ た。 また 、筆 者 はそ の効果 を子 ど もの行 動 の 中か ら読 み 取 る こ とを模 索 した。 筆 者 は行 動 が活 発 化 す る こ とが効 果 で あ る と考 え続 けな が ら、 そ の一 方 で 、行 動 の裏 に あ る、 内 面 の膨 らみ とい うこ とに も 目 を 向 けた。 しか し一 つ の視 点 だ け の読 み 取 りで は筆 者 の独 りよが りにす ぎない。 他 者 と論 議 す る こ とで 、複 数 の 日で見 、 そ こか ら生 まれ る解 釈 を話 し合 うこ とで 、一 つ の 結 論 を導 く。 また そ こで正 解 を出す こ とで終 わ りで は な く、 常 に考 え続 け るプ ロセ ス こそ我 々 が力 をつ け る こ とに繋 が る。 そ こで は、た だ漫然 と話 し合 うだ けで な く、 実 際 に 目に見 え る もの か らデ ー タ を取 り、 分 析 した た た き台 を挟 ん で話 し合 うこ とが必 要 で あ る。 他 者 と論 議 す る ときに役 立 つ 、子 ど もた ちの行 動 の変 容 を多 角 的 に捉 え る デ ー タ分 析 へ の視 点 につ いて提 案 した い と考 え る。(2)理
論 背 景 の探 索 筆者 の教 育 活 動 の意 味 を考 察 す る際 に は 、音 楽 を用 い て 障 害 児 の五 感 に訴 えか け る 活 動 の意 味 を考 察 して お か な けれ ば な らな い。 音 楽 を用 い て 子 どもの力 を引 き出す 効 果 を追 求 した オル フ(OrttC.)の
音 楽 教 育へ の考 え方 (本 田,2014)は
筆者 の考 え を 整 理 す る うえで た いへ ん有 用 で あ る と考 え る。 オル フ は 、 ドイ ツ、 オ ー ス トリア を 中心 に活 躍 した音 楽 家0教
育者 で あ る。 障 害 の あ る子 どもの た め に 、 音 楽 と動 き・ 言 葉 の融 合 が子 ども 自身 の力 を引 き出 し、 それ が生 き る力 に な る と説 い た。 筆 者 の実践 もま た 、 オル フが考 えた よ うに音 楽 と動 きへ の
連 動・統合 を志 向 して お り共 通 点 が多 い。ま た 、ゲル トル ー ト0オル フ (オ ル フ夫 人。
以 下
Or“
G)は
オル フ に よつて考案 され た オル フ・ シュール ベ ル ク (Orff―Schulwerk
オル フ教 育 法
)か
らオル フ・ ム ジー クテ ラ ピー (Orff―Musiktherapieオ
ル フ音 楽 療 法)を
生 み 出 し発 展 させ た。 シュール ベ ル クの機 能 は、 多感 覚 に使 用 した り知 覚 した りす る こ とが で き、他 者 とや り取 り しな が ら音 楽 して い く社 会 的音 楽 行 動 を促 す こ と にあ る と述 べ た。音 楽 的表 現 方 法 と して 、動 き (人の しぐ さか ら空 間認 知)・ 言 葉 (音 声 や 言葉 や 歌 の 中の抑 揚)0楽
器 (リ ズ ム のみ の もの とメ ロデ ィの あ る もの)が
自由な 組 み合 わせ で使 われ 、 多感 覚 な刺 激 は一 つ の重 要 な感 覚 が な か っ た り、 障 害 が あ つた りす る場 合 で も使 用 で き る と述 べ た (OrttG.1974)。 中島 は さ らにそ のセ ラ ピー を よ り具 体 的 な もの と して 、 Co―Musictherapyと
い うモデ ル を提 唱 した (中島,2002)。 中島 は 、人 の発 達 と音 ・ 音 楽 との 関係 を非 常 に細 か く関係 づ けて考 えた。 ま た 、 この 関係 を深 く観 察研 究 す る こ とで 、発 達 に障 害 が あ る人 に、音 や 音 楽 を効 果 的 に利 用 で き る と考 えた。 ま た 、筆 者 の実 践 は、 ノー ドフ・ ロ ビンズ(Robbins,N.)や
エ イ ゲ ン (Aigen,K.) らの音 楽 療 法 に も通 じる と考 え られ る。 エ イ ゲ ン は音楽 療 法 を理論 的 な視 点 か ら丁寧 に分析 し、 現 在 の音 楽 療 法 を一 つ の大 きな流 れ に ま とめ る こ とを試 み た。 質 的 リサー チ は彼 らが音 楽 療 法 の効 果 を述 べ る際 に最 も重 要 な手法 で あ る (Aigen,1998)。 なぜ 特 別 支 援 の必 要 な子 ど もた ち に音 楽 が必 要 な の か 、音楽 を使 うこ とで 、 ど うや つて そ の 時 間集 団 で盛 り上 が るの か、子 どもた ちはそ の時得 た力 は何 か、 そ して そ の 力 を他 の場 面 で活 かせ る こ とが あ るの か。 筆 者 は録 画 した子 どもた ちの様 子 か ら読 み 取 る作 業 を重 ね た。 そ こで は3人
が どん な変 容 をす るの か 、児 童 の表 出 した行 動 の推 移 か ら読 み 取 り、 自分 な りに仮 説 を立 て 同僚 の教 師 た ち と論 議 し、子 どもた ちの 内面 に潜 む 可 能 性 を検 証 した い。2.本
研 究 の 目的 本研 究 で は 、子 ど もの発 達 と音・ 音 楽 とを関係 づ けた 「オル フ」 の音楽 教 育や 音 楽 療 法 の観 点 を障 害児 教 育 に導 入 す る こ とにつ い て 、実践 を通 じてそ の有効 性 を検 討 す る。具 体 的 に は「音 楽紙 芝居 」にオル フ音 楽教 育 の要 素 を盛 り込 ん だ活 動 を取 り上 げ, そ の現 状 と問題 点 を音 楽 療 法 の観 点 を借 りて整 理 す る こ ととす る。筆者 は療育活 動 の 中で紙 芝居 を用 い た活 動 を行 ってい るが、音 楽 の有 無 にお ける子 どもた ちの活 動比 較 を行 うこ とに よ り、特 別 支 援 の必 要 な児 童 へ の教 育 実 践 に音 楽 教 育 が果 たす 役 割 を検 証 す る。 さ らに これ らの活 動 が子 どもの発 達 に どの様 な影 響 を与 え るの か につ い て音 楽 療 法 の理 論 を用 い て考 察 し、 よ り充 実 した 障 害児 教 育 の構 築 に寄 与 した い。 こ こで留 意 す べ き こ とは 、 当然 の こ とな が ら闇雲 に障害児 教 育 に音楽 を使 用 しさえ す れ ば よい とい うこ とで は な い。 音 楽 を用 い る こ とに よ る効 果 を実 証 す る これ らの理 論 は十 分 に整 理 され て い る とはい い難 い。 オル フ音 楽 教 育 に はま とま つた理論 が あ る とま で はい えず 、 オル フの基本 的 な考 え方 が あ るのみ で 、 そ の運 用 はそれ ぞれ の 実践 者 に任 され て い る (中島 2002)。 オル フ音楽 療 法 か ら発 展 した コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー で は理 論 に基 づ き、 ク ライ ア ン トと音楽 療 法 の相 互 的 な 関係 が示 され てい る (図 1)。 エ イ ゲ ン らは音 楽療 法 を他 の分 野 か らの理 論 を も とに理論 を組 み 立 て よ うと して い るが 、十 分 に音 楽 に よ るセ ラ ピー の理論 が構 築 され て い る とまで は言 い難 い。 本 研 究 も、 オル フや 音 楽 療 法 の研 究者 が述 べ る よ うに、実 践 か ら理 論 が 引 き 出 され る
(Aigen,2005)と
い うプ ロセ ス を迪 る もの で あ り、 これ ら仮説 か ら導 き出 され た考 え に通 じる もの で あ る と考 え る。 学 校 現 場 で の 実 践 で、特 に教員 間の児 童把握 の共有 に とつて 、 この理 論 が どこま で効 果 的 で あ るの か につ い て実践 を も とに考 察 した い。 本研 究 で は,ま
ず 、「オル フ」 の音 楽 教 育 の観 点 を参 考 に、子 ど もの持 つて い る力 を 引 き出す とい う目的 を持 つて,音
楽紙 芝居 や 音 楽 遊 び の プ ログ ラム 開発 。実践 を行 う。 次 に、 オル フ音 楽 療 法 か ら発 展 した コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー を参 考 に 、人 の発 達 と 音 ・ 音 楽 とを 関係 づ け た 、 ク ライ ア ン トの発 露 が段 階別 に表 され て い る理 論 (中 島,2002)に
基 づ き、学 校 現 場 の実 践 で子 どもた ちの実像 を分析 す る こ とを試 み た い。 3。 オ ル フ の音 楽 教 育 。オル フ音 楽 療 法・ コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー オル フ は 、子 ど もの状 態 に合 わせ な が ら、「音 楽 」「動 き」「言葉 」 の融合 や 、そ こに 含 まれ る「 リズ ム教 育 」、「貝F興 表 現 」を 目指 した教 育 を め ざ した。オル フは身 体 運 動 、 つ ま り音 楽 と ともに起 こる 「か らだ 」 の動 き を、本 能 的 に湧 き起 こる瞬 間や 人 間 が持 つて い る能 力 と して 、「音 楽 」 と 「動 き」 を提 え、 どち らも分 けて教 育 す る こ とはで き ない と考 えて い た と考 え られ て い る (本田,2014)。 太鼓 の リズ ム が踊 りを誘 い 、 踊 りはそ の リズ ム に触 発 され て音楽 と溶 け合 う。 身 体か ら音 楽 が 見 え る こ とを 目指 した とい う指 摘 もあ る (本田,2014)。 手 を叩 い た り、指 を鳴 ら した り、膝 を打 った り、足 を踏 み 鳴 ら した りな ど、 この時 す で にオル フは身 体 を楽器 と して考 えて い た ので あ る (本 田,2014)。 身 体 か ら音 楽 が見 え る、つ ま り行 動 は コ ミュニ ケー シ ョンヘ の欲 求 が 内蔵 され 、 思 わず 出た行 動 に意 味 を持 たせ る こ とで 次 の動 き を 引 き出す 。 筆 者 は、 オル フが提 唱 した音 楽 教 育 の考 え方 を教 育 現 場 に応 用 した い と考 えて きた。 実 際 に は
,学
校 教 育 にお い て も,戦
後 オル フの研 究 や 実 践 が盛 ん に行 われ る よ うに な った経 緯 が あ る。細川 は、1981年
にオル フ0シ
ュール ベ ル クの アイ デ ア を ドイ ツ ミ ュ ンヘ ンの小 児 セ ン ター で 「オル フ 0ム ジー クテ ラ ピー 」 に発 展 させ たオル フ夫 人 に 出会 った こ とが き っ か けで 、 障害 児 の療 育 を 中心 に、 オル フ の音 楽 療 法 と リ トミ ック の方 法や 意 味づ け につ い て ドイ ツで3か
月研 鑽 を積 ん で い る。 第1回
の報 告 書 で細川(1985)は
、「意 味付 けは実 践 か ら出 た理 論 で あ る」 と記 して い る。オル フが来 日 した 時 にNHK放
送 に 出演(1962)し
た こ ともあ り、 オル フの考 え は 日本 の音 楽 教 育 界 に も影 響 を与 えた。 そ して 、今 で も多 くの学 校 現 場 で,「オル フ」が もた らす 子 どもへ の 教 育 的効 果 の期 待 や 評 価 は高 い。 オル フ が考 えた音 楽 教 育 の在 り方 は筆者 の課 題 の取 り組 み に も有 用 で あ る と思 えた。 筆者 は特 別 支援 教 育 にお け る音 楽 教 育 に携 わ つて い る。特 別 支援 が必 要 な児童 生徒 は、 自分 の気 持 ち を 「こ とば」 よ りも 「行 動 」 で表 す 事 が多 い。 教 師 はそれ を見 て 、次 に ど うす れ ば よい の か を瞬 時 に判 断 しな けれ ば な らな い。 あ るい は 同僚 とそ の行 動 の意 味 をお 互 い に読 み 取 り、それ らを共 有 して次 の機 会 に役 立 て よ うとす る。「オル フ」の 考 え方 を取 り入 れ る こ とに よって児 童 生徒 の能力 開発 に貢 献 で き る と考 え る。 また 、 ノー ドフ・ ロ ビンズ 、 エ イ ゲ ン らが ニ ュー ヨー ク音 楽 院 で 開発 した 「創 造 的 音 楽療 法 」 もま た筆 者 の実 践 を考 察す る上 で 有 用 で あ る (Aigen,2005)。 音 楽 を 中心 と した ア プ ロー チ で 、療 法 士 は音 楽 を通 じて コ ミュニ ケー シ ョンを行 うとい う考 え方 に は、教 師 と児 童 生 徒 の 間 に音 楽 を通 して相 互 コ ミュニ ケー シ ョンを め ざ して きた筆者 の教 育 実 践 に通 じる もの が あ る。 筆者 は,特
別 支 援 学 校 にお け る音 楽 の授 業 や 療 育 の 時 間 で も、オル フの要 素 を盛 り 込 んだ授 業 づ く りを提 案 して きた。 今 回 の研 究 の た めの療 育 の時 間 で も、子 どもに好 きな楽器 を選 ん で も らい 、即 興 演 奏 を試 み た りも して きた。 下 出(2002)力
れ ヽう 「音 声や 動 きや 楽器 な どを媒 体 と して作 品 に形 作 る とい う過程 で子 どもの内面 が育 つ 」 とい う考 え方 に通 じる実践 で あ る と考 え られ る。 しか しなが ら
,ま
だ まだ新 しい提 案 が 受 け入 れ られ る こ とが難 しい現 状 もあ る。 こ う した活 動 の 良 さを訴 え る,説
得 力 の あ る意 味づ けや 意 義 をま とめ る必 要 が あ る。 中島 は ドイ ツ ミュ ンヘ ンの小 児 セ ン ター にて オル フ夫 人 の下 で研 鑽 を積 み 、帰 国後 コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー とい う理論 を構 築 して実践 を行 つてい る。人 の発達 を音・ 音 楽 との 関係 を細 か く関係 づ け、 この 関係 を深 く観 察0研
究 す る こ とで発 達 に障 害 の あ る人 に音 ・ 音 楽 を効 果 的 に利 用 で き る と考 えた (図 2)。 「音 」 を具体 的 に遊 び とす る過 程 、音 楽 と して い く過 程 、音 楽 を創 造 して い く過程 に伴 う発 達 をセ ラ ピー の軸 と 捉 え、遊 び の 中で展 開 して い く方 法 を考 案 した の で あ る (中島,2002)。 中島 は 「具 体 的 な方 法 を生 み 出 して い くこ とが難 しい 」 と コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー の課題 を指 摘 してい る。 筆者 の実 践 に 「コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー」 の意 味づ け を用 い る こ とで、 少 しで も具 体 的 な方 法 の 開発 に寄 与 した い と考 え る。4.オ
ル フ の音 楽 教 育や コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー か らみた筆 者 の教育実 践 これ ま で 、筆 者 が意識 して きた こ とは、皆 で一 緒 に楽 しむ こ とや リズム と動 きが マ ッチ した活 動 を積 極 的 に取 り入 れ る こ とで あ る。 集 団の ダイ ナ ミズ ム を感 じ、子 ども た ちが興 味 関心 を持 つ こ とを意識 す る実践 を続 け る こ とで、子 ども達 に情動 が起 こ り、 そ の こ とで 子 ど も達 が よ り動 い た り遊 ん だ りす る子 どもの姿 が見 られ た。 特別 支援 学 校 の音 楽 の授 業 で も、 動 き に リズ ムが合 うよ うな題 材 を選 び 、興 味 関心 を持 つ よ うに 意 識 的 に進 め て きた。 そ うした音 楽 の時 間 で は、 ほ とん どの児 童 が興 味 関心 を持 ち、 そ の こ とで行 動 に繋 が る姿 が あ る。 た だ し、 リズ ミカル な 由は殆 どの子 どもが活 動 に 参カロす る一 方 、面 白 くない と感 じた児 童 は教 室外 に 出た り、気 持 ちの 向か ない活 動 の 時 に は輪 に入 らな か った りす るな ど、子 ど もた ちは教室 内で好 きにふ るま って もい た。 そ こで 、療 育 の時 間 を使 って 、や りた い と思 え る場 を用 意 し、「他 の子 と一緒 に音 楽 を媒 介 に した活 動 が楽 しい体 験 とな り、積 み重 な る こ とで他 の子 ども と繋 が るステ ッ プ に な る」 とい う仮 説 を立 て て 実践 を試 み る こ とに した。 繰 り返 す こ とに よ り児 童 間 の合 意 が で きた音 楽 参 加 が 見 られ る よ うに な り、音 楽 を感 じなが ら自分 か ら打楽器 を 打 つた り鳴 ら した り、 タイ ミン グ を合 わせ て演奏 を終 わ るな どの変 化 がみ られ る よ う に な っ た。 場 面 の転 換 を感 じた り、前 もつて座 つて構 えて待 つた り、好 きな楽器 を選 ん だ り、教 師 の か か わ りも含 めて 、 この よ うな変化 につ い て可視 化 し、考 察 し、将 来の二 人 に、 人 との 関係 性 が生 まれ 、人 と一緒 に活 動 す る と楽 しい と感 じる こ とがで き る体 験 を提 供 した い と考 えた。 これ らを通 じて 、相 手 を意識 した り、相 手 との 関係 性 を感 じ取 る こ とが で きた りす る よ うな 「コ ミュ ニ ケー シ ョンカ 」 の基盤 とな る もの を 体得 す る こ とにつ なが って欲 しい と考 えた。 音 楽 活 動 と紙 芝 居 を取 り入 れ た療 育 の時 間 で は、何 度 も繰 り返 す こ とに よる児 童 間 の合 意 が で きた音 楽 参加 が 見 られ る よ うに な った。 音楽 を感 じな が ら自分 か ら打楽器 を打 つた り鳴 ら した り、 あ るい は 同 じよ うな タイ ミングで演奏 を終 わ るな どの変化 も み られ る よ うに な つた。 題 材 に対 して興 味 関心 を見せ 、場 面 の転換 を感 じた り、子 ど も同士 で 、聴 きあ った りす る よ うな姿 も見 え る よ うに もな つた。自分 の役割 を感 じて前 もつて座 っ て構 えて待 つた り、好 きな楽器 を選 ん だ り、「○ ○ を歌 いた い」 と リクエ ス トす る様 子 は、参 加 す る意欲 が あ った か らこそ の変化 で あつた と思 え る。 教 師 の か か わ りも含 めて 、 この よ うな活 動 に つ い て考 察 し、将 来 の二 人 に、で き る 限 りの人 との 関係 性 が促 進 され る よ うな 、人 と一 緒 に活 動す る と楽 しい と感 じる こ と が で き る体 験 を提 供 した い と考 え る。 これ らを通 じて、相 手 を意識 した り、相 手 との 関係 性 を感 じ取 る こ とが で き る よ うな 「コ ミュニ ケ ー シ ョンカ 」 を体 得 してい つた り す る こ とにつ なが って欲 しい と考 えた。 5。 実 践 研 究
(1)実
践 の 内容 音 楽 を使 つ た 活 動 を通 じて 、 知 的 障 害 の あ る児 童 へ の 取 り組 み の効 果 につ い て, 「コ・ ミュー ジ ックセ ラ ピー 」 の観 点 か らそ の有 効性 を考 察 し、特別支援 教育へ の音 楽 教 育 の あ り方 につ い て提 言 した い。 ○対 象者:知
的 障 害児3人 (5年
生2人 06年
生1人
。 自閉症 児2人
。発 達 遅 滞1人
) ○児 童 の状 態:週
に2度
の 「療 育 」(2時
∼2時 30分
)の
授 業 時 間。 男 児3人
、教 師 3 人 体制 。音 楽 が好 きで 、音 楽 と動 きがマ ッチ した活 動 に非 常 に関心 の あ る児童 が2人
。 好 きな音 楽 を聴 く とジ ャ ンプす るが発 語 の な い児 童1人
。(表2に
各人 の様 子 を示 す。) ○活 動 に か か わ る人:教
師(3名
) ○場所 。期 間:A特
別 支援 学 校(2013年
6月
∼7月
)(2014年
1月 ∼3月
) ○ 取 り組 み の 内容:特
別 支 援 教 育 にお け る音 楽 の有 効 性 と可 能 性 を特 別 支 援 教 育 の学 校 現 場 にお け る実 践 (小学 部 「療 育 」)に
つ い て考 察 。(表3に
変 化 の仮 定 を示 す 。)○ ね らい :音 楽 を使 った紙 芝 居 の効 果 と 障害 の あ る子 どもた ちの実態 との関係 を知 る。 ① 音 楽紙 芝 居 筆 者 は音 楽紙 芝 居 の活 動 を
15年
以 上続 けて きた。 当初 か ら特別 支援 の必 要 な児 童 に とって音 楽 紙 芝 居 を用 い た活 動 は効果 的で あ る と考 えて きた が 、様 々な人 た ち と活 動 を ともに した り、対 象者 を子 ど もか ら大 人 に広 げ て い く中で感 覚 的 にそれ らを提 え て きた に過 ぎない。 音 楽紙 芝 居 の効果 につ いて今 回 の実践 な どを元 に考察 したい。 まず 、絵 本 や 既 存 の紙 芝 居 に な い大 きな画 面 で 、直筆 で描 かれ て い る こ とが特徴 的 で あ る (図 1)。 原 画 に込 め られ た メ ッセ ー ジ を一 度 噛 み砕 い て新 た に筆者 が描 き、原 作 者 の話 の 内容 に 肉迫 した作 品作 りを心掛 け、感 情移 入 しや す い もの とな る よ う配慮 し た。 作者 の意 図や 描 き手 の思 い を筆 の タ ッチ に込 め られ る よ うに し、印刷 され た もの よ り直 に伝 わ る もの を 目指 した。 お話 の 中身 を伝 えたい と考 え、描 き手 の思 い を一筆 一 塗 りに込 めた。 丁寧 に絵 本 をカ ラー コ ピー した もの をそ の まま貼 つた もの は一 見美 しい が 、寧 ろ歪 ん で い て も構 わ な い 、実 際 の擦 れ た線 や訥 々 と した登場 人物 の描 き方 で こそ表 情 が宿 る と考 えた。 また 、読 み 手 は原 作者 の意 図や 、原 画 の持 ち味 を噛 み し め るな どのひ とつ 一 つ の作 業 を踏 み越 えて こそ登場人物 の気 持 ちに添 い、お話 を提 え 掴 んで 、伝 え る 日調 に も端 々 ま で心 を乗 せ て 声 に 出 し演 じる こ とが で き る。(た とえ話 し手 は描 き手 と同一 人物 で な く とも、話 し手 は描 い て い く経 緯 や そ の プ ロセ ス を経 て こそ解 った物語 の背 景や 登場 人物 の 内面 を丁 寧 に伝 えて も ら うこ とが で き る。) 表 2【 二人の課題 と仮定】 生 徒 現 在 の様 子 期待 できる変化 の仮 定 Aくん (5年生) ・歌 の お 兄 さん み た い に振 舞 った り、己 の 世 界 に没 入 する。。若 い先 生 に「見 てて よ一」と声 をかけるが 、即 座 に他 のことに気 を取 られ、気 持 ちが移 る。 み んな で や ろうという雰 囲 気 の中 で、自 分 を他 の人 に 合 わせる Bく ん (5年生) 。運 動 神 経 が 良<激しい 動 きや 回 転 するものが 好 き。 砂場 の砂 を全 て掘 り出すことに夢 中になる0言葉 が出 てきた・偏 食 。思 い通 りにならないとパニ ック・決 まった 探索行 動 自分 の動きをみんなと含 わ せてやろうとする・言葉 が ない。好 きな曲が鳴 ると上 下 に跳 ぷ・嬉しい時 1音楽と動 きがマッチする Cく ん(6年生) 片手をあげて指 さす(好きな音 楽が鳴り出した時 も) 表 3【 障害児の変化の仮定 (目的:障害を持つた子供が 自分の力を出せ ること)】 【図1】 紙芝居「だるまさんと」・音楽紙芝居「おむすびころりん」より 一 方 、演 奏 者 は、演奏 に集 中 して素 晴 ら しい音 楽 を提 供 す る こ とに邁 進 して い る と、 抜 け落 ち る こ とが あ る。 必 ず聴 き手 の表 情 を見 、聴 い て い る様 子 を体 全 体 で伺 い な が ら演 奏 し、読 み 手 や 他 の演 奏 者 との ア ンサ ンブル に神 経 を研 ぎ澄 ませ て 臨 ま な けれ ば な らな い。 た だ美 しい演 奏 を奏 でれ ば よい の で は な く、場 面 の描 写 を言 葉 以 上 に音 で 伝 え 、登場 人 物 の感 情 を音 で 表現 し、聴 き手 の心 を揺 さぶ り、 また聴 き手 の胸 に落 ち て い く感 情 の一滴 を感 じさ らに返 つて来 た もの を音 に乗 せ て い く感 性 が必 要 で あ る。 時 に は楽器 を叩 き、 引 つ掻 くこ とで 、気 持 ちの高 ぶ りや 不 安 を表 現 す るた め に、擬 音 に似 せ た効 果 を 出す。 そ こに は決 ま りな どな い。 計 算 され つ く した表 現 方法 が あ つ 現在 の子 どもの様 子 音楽紙 芝居 で期待 で きる様 子 の仮定 表 情 ・ す こ し恥すか しい・ かたい表情 0笑顔・ ウキ ウキ した表情 (期待・ 自分 の 気持ち) P ・ 声 が な い・ 言 葉 が な い ・ 場 に 関 係 の 言 葉 を 発 す る ・ 大 きな声 0声に出そ うとす る様子 。自分な りの発声 ・ 場面 に合 つた言 葉 を発す る 動 き ・ 教 師が誘 うと動 く ・ 待 つ ・ 大 き く動 く・ 音 楽 に合 わせ た ノ リの よ い動 き ・ 相手 と共 にIllく・ 自分 か ら動 く 身 振 ・ 恥 す か しさ は あ ま りな い ・ 輔 の 中 に寄 って 来 る ・ 伸び伸 び と異空 間 に遊 ぶ ・ 音楽 に合わせ る (手拍子・ 足踏 み・ 踊 る) 持 続 ・ 楽 しくな い ときは居 な くな る ・ つま らない時 は うつむ いた り、目が 自 を泳 ぐ ・ す こ し変化 した 自分・ 悪 い をの せ る(大人への承認・ 親 に見せ たいな ど他者 への 気持ち) 楽 器 ・ 気まま に音 を出す 仲間 と一緒 に始め 終われ る (他者 に合わせ る)
て 尚即 興 的 に編 み 出 され る。 逆 に読 み 手 も演奏者 の音 を聴 きなが ら、流れ を壊 さず 、 精 い つ ぱい の表 現 が で き る よ うに 間 を取 り、呼 吸 を合 わせ る。太 い声 や繊 細 な声 、淡 々 と読 む 場所 、感 情 を震 わせ る場 面 、嬉 し さの あ ま り嬌 声 を挙 げ、読 むテ ンポ を 自在 に 変 えな が ら、 思 わず 叫 ぶ よ うな怒 号 、鳴 咽や 憤 怒 、悲 壮感 を織 り込 んで 、 自分 の身体 を楽器 に変 えて演 奏 者 の よ うに表 現 す る。 つ ま り、音 楽紙 芝居 は合奏 をす るよ うな息 の合 わせ 方 を して こそ相 手 に 中味 が伝 わ る と筆者 は確信 して い る。 音 楽 紙 芝 居 は、聴 き手 がた だ受 け取 るだ け の もの で は ない。 紙 芝 居 を見 、 聞 い て い る者 は 自分 が受 け取 つた もの を表 情 の変 化 や行 動 を通 じて演者 に返す。 そ のや りと り を相 互 に繰 り返 す もの で あ る。 そ して次 の場 面 へ と音楽 を紡 いで い く。 一 方 向か らの 演 奏 会 の よ うに、巧 み な演 奏 を聴 かせ るだ けで は音 楽 紙 芝 居 は成 り立 た な い。本 来演 奏 す る とい うこ とは、十 分 な分析 を し、深 い解 釈 を述 べ るが ご と く 自 らの世 界 に浸 り、 聴 衆 に届 くこ とを意識 しな が ら自分 の 出す 一 音 一 音 に聴 き入 り、 この音 しかない と思 え る音 を奏 で る こ とを追 求 す る こ とだ ろ う。 一 方 、音楽紙 芝 居 で は、双方 向の音 楽 の 成 立 を重 要 視 す る。 そ して ア ニ メー シ ョンの よ うに画 面 が 自動 的 に動 い て い くもの を 追 い な が ら語 るの で は な く、 息 を合 わせ な が ら、伝 え る側 が待 つた り、早 めた りで き る相 互 作 用 を求 め るか らこそ 静止 画 で あ る必 要 が あ る。 双 方 向のや りと りがで き る。 音 楽紙 芝 居 は 、他 の音 楽 的 で芸 術 的 な活 動 の 中で も、特 別 支援 学校 に学 ぶ児童 の コ ミ ュニ ケー シ ョンカ を伸 ばす事 は有用 で あ る と思 われ る。 ② 双 方 向 のや り取 り 音楽 紙 芝 居 で は、必 ず聴 き手 が参 カロす る。 演 奏 す る側 は聴 き手 に常 に意識 を向 け、 そ の場 の雰 囲気 を感 じ取 り、聴 き手 の表 出 を見逃 さない よ う注意 を向 け、演奏 しなが ら一緒 に音 楽 を作 つ て い く。 音 楽 をず っ と流 しつつ 、聴 き手 の表 出 を感 じなが ら演奏 し続 け るの で あ る。 聴 き手 はそ の過 程 で 、涙 が 出た り、笑 つた り、真貪1に見入 る な ど の表 出 を演 者 に伝 え る こ とに な る。 それ らの表 現 を受 け取 り演奏 に反 映 させ なが ら、 演者 は聴 き手 と と もに さ らに場 を作 りつ つ 、 た く さん の通過 点 を一緒 に作 り上 げ る。 音 楽 紙 芝 居 に は、今 が次 に、 次 が ま た そ の 次 に輪 を広 げて い くライ ブ演 奏 の よ うな 醍 醐 味 が あ る。 お 話 の 中で共 に楽 器 で演 奏 す る、一 緒 に歌 うな どの場 面 を設 けて進 め る と、聴 き手 は参 加 者 で もあ る事 にお のず と気 づ き、 よ り心 が動 くよ うに な る。 思 わ ず 体 が 動 くよ うに な り、双 方 の気 持 ちが合 わ さった 時 の驚 きが、 また次 の行 動 を 引 き 出す感 覚 は、 オル フの考 え と共 通 して い る と筆者 は考 え る。
音 楽 紙 芝居 で は 、双 方 向のや りと りが 、絵 を挟 む こ とで さ らに広 が りを持 つ世 界 を もた ら し、音 楽 の流 れ る特 別 な空 間 が共 有 で き る場 を促 進 す る。 聴 き手 、読 み手 、絵 の世 界 に音 楽 が媒 体 とな つて 時空 間 の共 有 を促 し、 それ ぞれ か らの発信 が行 き交 うこ とで更 な る世 界 が広 が る。
3次
元 の場 は、 それ ぞれ の即 興 で や りと りす るア ンサ ンブ ル の世 界 に な る。 力 の表 出が創 つた、 また とない瞬 間 の連続 にな る と思 われ る。 ③ 療 育 にお け る音 楽紙 芝居 活 動 今 回筆 者 が知 的 障 害 の あ る児 童 と共 に療 育 の 時 間 に活 動 した 「お む すび ころ りん」 で は、 こ うした見 えないや りと りを、「それ っ」 と掛 け声 を挙 げ、出だ しを強調 す る こ とで、 子 ど もた ちが演 奏 し始 め る タイ ミン グが分 か る手 立 て を工夫 した。 楽器 を用 意 して 、 それ らを鳴 らす機 会 を与 え、 それ ぞれ の児童 が発信 した行 動 を受 け とめ返 して い くや りと りを重 ね た。紙 芝居 は くる くる と巻 き取 られ 、動 いて い くこ とで時 間 の移 り変 わ りを児 童 に感 じ取 らせ た。繰 り返 し同 じメ ロデ ィが奏 で られ る こ とで、児 童 に とつて予 測 可能 な 内容 に配慮 した。 筆者 は療 育 の時 間 の3人
の児 童 の現 状 か ら、伸 び る可能 性 の あ る児童 の力 を予想 し、 伸 ば した い力 を仮 定 した (表 2)。 ま た 、障害 が あ るがそれ ぞ れ の児 童 に どん な力 をつ け る こ とが必 要 な の か 、発 達 年 齢 にふ さわ しい発 達課題 (好 きな教 師 に見 て も らいた い気持 ちの膨 らみ な ど)と
も合 わせ て考 えてみ た (表 3)。(2)7行
動 の分析 に よる療 育活動分析 筆者 はオル フの音 楽 教 育 の 内容 を盛 り込 ん だ 実践 を重 ね た が 、オル フに は理論 は な く、「7行
動 の分 析 に よる療 育活 動 分析 」を用 い て児 童 の変容 を記 録 す る こ とを試 み た。 まず 、1学
期 に音 楽 紙 芝居 を存 分 に活 動 に盛 り込 ん だ活動 を繰 り返 した。活動 に よる成 長 を期待 し、児童 が3学
期 に は違 つた姿 を見せ る こ とを予測 して 、1学
期 と3学
期 の子 どもた ちの行 動 を比 べ る こ とに した。1学
期 よ りも3学
期 で は よ リー 層成 長 して い る はず と考 え、 子 ど もの行 動 で どの様 な成 果 が表 れ て い るの か を数値 化 し比較 した い と 考 えた。7つ
の行 動 (①眺ぶ② 手 を挙 げる③楽器 に触 る④ 身体 を揺 らす⑤楽器 を鳴 らす ⑥ 喋 る 。笑 う0歌 う・声 を上 げ る⑦ 見 る)に
つ いて比較す るこ ととし、授 業 の様 子 を ビデ オ 撮 影 して、児 童 生 徒 が授 業 中に起 こ した行 動 につ いて グ ラ フ化 した。 ① 実践 の流れ 本研 究 にお け る特 別 支 援 の必 要 な児 童 生 徒 へ の療 育活 動 にお けるね らい を示す 。 言 葉 で 自分 の気 持 ち を表 現 す る こ とが不 得 手 な子 どもた ち は 、何 らか の ア ク シ ョン を起こす こ とに よつて気 持 ち を表 現 して い る。 筆者 が 作 曲 した 「お む す び ころ りん」 の 曲 で は 、児童 の ア ク シ ョンを促 す こ とを企 図 して 、 お 囃 子 の よ うな付 点 の リズ ム を多 用 し、 思 わず 楽 器 を鳴 ら した くな る よ うな合 い の手 を入 れ た。 お む す び が 穴 に転 が って い くシー ンの効果 音 は 、 上 か ら下 へ の グ リ ッサ ン ドで あ る。 筆 者 は様 々 な情 景 を映 し 出 した 曲 を場 面 ご とに意識 して作 りあ げ た。 また 同 じフ レー ズ を何 度 も繰 り返 す こ と で 、 子 どもた ちは次 第 に どこで始 ま るの か 、 どこで終 わ るの か 、 タイ ミン グ を待 て る よ うにな つて い くこ とを期待 した。 又 、児 童 の集 中力 を持 続 させ るた め、紙 芝 居 の装 置 は、 くる くる と情 景 が巻 き取 ら れ 、舞 台 が 次 々 と変 化 してい くよ うに工 夫 し、児 童 が演 奏 しなが ら注 目で き る よ うに した。 また 、紙 芝 居 に は布 製 の 「お むす び 」 や 、 小 道 具 を挟 ん で 、子 ど もに とつて 立 体 的 な体験 場 所 とな る よ うに した。 この よ うな 目印 を置 く こ とに よ り、楽 器 を鳴 らす タイ ミン グが わ か りや す くな り、 よ り参 加 型 に な る。 これ らの工 夫 が 、児 童 の伸 び伸 び した行 動 を 引 き 出せ る と仮 定 した。 児 童 の それ ぞれ の行 動 に は意 味 が あ る。 療 育活 動 授 業 後 の 同僚 とのふ りか え りを も とに 、子 どもの成 長 につ な が る可 能 性 や つ い た力 を読 み とる ことを試み た。 回 0 0 0 0 3 2 1
①跳ぶ
1学期3学
期 回 10 5 0 ④身体を揺らす 1学期3学
期 回 6 4 2 0 ⑦見る 1学期 3糊 回 ︲0 0 1糊 3初⑤楽器を鳴らす
回 ∞ 2。 1。 。 3糊 【図2】7行
動の分析 による療育活動分析1学
期 と3学
期の推移回
③楽器に触る
20 10 0 1等り " 3 回 ∞ 2。 1。 。 ⑥喋る。歌う。声を上げる 1朝 3糊 ② 教 師 間 の話 し合 い1学
期 の音 楽 紙 芝居 で見せ た児 童 の行動 的 な様 子 を、集 大成 の 時期 で あ る3学
期 に は さ らに向上 させ たい と考 え、教 師 同士 で話 し合 い を重 ね て授 業 に臨 んだ。3学
期 の話 し 合 い で は、音 楽 を使 わ な い紙 芝居 の 中で 、「教 師 自身 が児 童 生徒 のイ メー ジが膨 らむ よ うに、あ らか じめ手 が か りに な るイ ラス トや 台詞 (言葉)を
書 き込 む必 要 が あ る」、「そ れ ぞれ の子 どもの言 い方 を引 き 出そ うと思 つた が 、案外 子 どもは言 えない。」「紙 芝居 の絵 を見 て感 じて い る気 持 ち を子 どもか ら引 き 出 して、教 師 の思 い込 み を押 し付 けず に、 そ の 時 の音 を楽 器 で 引 き 出そ う。」 な どとい う意 見 が交換 され た。 それ まで低調 だ った教 師 間 で の話 し合 い を持 てた3学
期 で は、児 童 生徒 の行動 の様 子 に伸 び が見 られ る こ とを期 待 した。 ② 子 どもの行 動 の効 果 検 証 しか し、 グ ラフ化 して先述 の7行
動 を比較 してみ る と、1学
期 の音 楽 を使 つた紙 芝 居 の ほ うが、3学
期 の音 楽 を用 い な い紙 芝居 よ りも、子 どもた ちの行 動 の頻度 が多かった。 (表4)ど
の行動 も、3学
期 に比べ て1学
期 の方 が活発 で あ る とい う結果 で あつた とい え る。特 に、「手 を挙 げ る」 こ とに関 して は 、3学
期 で は どの子 ども も0回
とい う結 果 に な った。3学
期 は教 師 同士 が話 し合 い を重 ね 、意識 を高 めて い た に も関 わ らず 、子 ども た ちに行 動 を起 こ させ る気 持 ちが湧 きあが らなか った とい うこ とに な る。3学
期 に期 待 した子 どもの変化 は見 られ な か っ た。授 業 の前 後 に教 師 同士 で意 見 交換 を しな が ら活 動 を重 ね た が 、音 楽 を使 わ な い紙 芝居 活 動 に終 わ つた た め、子 どもの発 露 は1学
期 に比 べ 少 な い結 果 とな っ た と考 え られ た。1学
期 と3学
期 の比 較 を グ ラフ 化 した だ けで は十 分 で は な く、数 値 か ら読 み 取 る こ との難 しさを感 じた。(3)Co―
Musictherapyに
お け る多感覚領 域 の視 点 に よる児童活動 の比較 実 践 か ら理 論 を引 き 出 した 中島 か ら示 唆 を も らい 、 中島 の理 論 か らヒン トを得 て独 自の ダイ ヤ グ ラ ム を使 つて子 どもの実像 を見 た 「Co―Musictherapyに
お ける多感 覚領 域 の視 点 に よる児童活動 の比較 」で は、明 らか に1学
期 の 「音楽紙芝居 」 を始 め、音楽 を 媒体 と した活動 で見せ た児童 の変容 は非常 に良い結果 を導いた6児
童 の 自ら自分 の力 を 自 然 に表 出 してい く姿 が様 々な形 で見 られ た。 ① 行 動 分 析 の見 直 し1学
期 では、当初 互 い に交流 を もつ こ とが で き ない3人
の児 童 で あ った が、音 楽 を媒 体 と して、療 育活動 を子 ども同士 、子 ども と教 師 、教 師 と教 師 間の交流 がみ られた。 特 に活 動 の 中で動 き と音 がマ ッチ した 時 に は子 どもは 自然 に体 が動 い て いた。療 育 の時 間 のプ ログラムは、主 に
4つ
の活 動I「
音 楽 と言葉:は
じめ ま して 」 Ⅱ 「リズ ム・ 言 葉:太
鼓 」 Ⅲ 「動 き 。言 葉:だ
るま さん シ リー ズ」う`〈 Ⅳ 「言 葉 ・ リズ ム・ 動 き 。音 楽
:お
むす び ころ りん 」)に
分 け 【図3】 ダイア グラム られ る。 毎 回 の活 動 が進 行 して い くに つれ て 、特 徴 あ る これ ら4つ
の活 動 の様 子 は変 化 した。1学
期 の初 回 と終盤 の 活 動 を比 較 す るた め に、先 述 した よ うに子 ど もた ちの変 容 を読 み 取 つて ダイ ア グ ラム (①聞`【
図3】 )触れ る④ 動 く⑤ 感 じる⑥ 考 え る)を
作 成 (図3)し
た結 果 、各 児童 は 、 自分 の得 意 な活 動 の場 面 にお い て得 点 が 上 昇 して い た。I
挨 拶 の歌 「は じめ ま して」 で は、子 ども 自身 が 「こん に ち は ○ ○ く― ん 」 と歌 が 聞 こ え る と、 自分 の頭 を教 師 の頭 と接 しよ うと気 持 ち を表 す様 子 が見 られ た。 Ⅱ 「た い こ」 で は 、 それ ぞれ の子 ど もの名 前 を リズ ム に して 叩 く こ とで 、 交代 しな が ら叩 く こ とに 意識 が 向 け られ た。 Ⅲ 「だ る ま さん シ リー ズ」 で は 、身 体 を動 かす こ とが好 きな子 ど もは 、動 き と言葉 が一 致 した活 動 に 自 ら動 く事 も可 能 だ つた。Ⅳ「お むす び ころ りん」 で は 、楽器 を鳴 らす タイ ミン グが分 か りや す く、音 楽 が止 ま る こ とで活動 の終 わ りも 理解 しや す か った。活 動 に音楽 を用 い る こ とで 、児 童 の体 験 は活 性 化 され た ことがわか る。体 中で音 楽 を感 じて それ を表 現す る こ とに よつて 、障 害 を持 つ 子 どもの他 の児 童 と の交 流 が促 進 され た の だ と考 え られ る。 そ こで 、1学
期 間 に子 どもた ちが どん な変 容 を した の か に着 日 して 、音 楽 紙 芝 居 、 音 楽 を使 っ た活 動 、使 わ な か つた活 動 等4つ
の活 動 か らそれ ぞれ の子 ど もが どの よ う に変 容 した か を探 る こ とに した。数 字 で表 され る量 的 ア プ ロー チ の 限界 を感 じつ つ も、 質 的 ア プ ロー チ だ けで は 、音 楽 の専 門外 の教 師 に理解 して も らいに くい こ とも事実で あ る。 療 育 の 時 間 の4活
動 に絞 つて 、児 童 の行 動 の推 移 を 「Co―Musictherapyに
お け る多感 覚領 域 の視 点 とそ の レベ ル (中 島,2002)」 を も とに評 定 して い くこ とに した。 ダ イ ア グ ラ ム で は 療 育 の 時 間 の4活
動 に 着 目 し、 児 童 の 行 動 の 推 移 を 「Co―Musictherapyに
お け る多感 覚領 域 の視 点 とそ の レベ ル (中 島,2002)」 (付表)を
も と に評 定 した。(図4)
【図4】 四つの活動の中で見る子 どもたちの変容Iは
じめま して Ⅱだ るま さんが Ⅲ た い こ Ⅳおむすび ころ りん A B C (…初 回 一 終盤) 初 回 と終盤 につ い て評 定 した児 童 の行 動 を ダイ ヤ グ ラム化 して比 較 で き る よ うした。 療 育 を一 緒 に担 当 した教 師 と ともに、録 画 記 録 を視聴 しな が らダイ ヤ グ ラム を作成・ 検討・ 児童 の変化 につ い てふ りか え る よ うに した。 変 化 を数 値 で表 記 す る よ うに し、初 回 と終 盤 で は子 ど もの変 容 が どの活 動 にお い て も高 ま る と予想 した。 特 に 、音 楽 ・ 言葉 ・ 動 き を挟 ん だ活 動 で は オル フの音 楽 教 育 を 取 り込 んだ 良 さを実証 で き る よ うな様 々 な子 どもの力 を 引 き 出せ る姿 が 見 られ る と仮 説 を立 てた。 結 果 は必 ず しも全 て が 向上 した とは い えな い もので あ つた (表5)が
、 これ らの変 化 か ら児童 の成 長 を確 認 で き る部 分 も見 い だす こ とが で き る。 筆 者 は3人
の4つ
の活 動 の 中で の子 どもた ちの変容 を初 回 と終盤 を比 較 し具 体 的 に比 較 しな が ら、 子 ど もの行 動 か ら見 え る姿 とそ の背 景 を考 えて い くこ とに した。 例 え ば、結 果 、Bに
台本 を読 む役 を与 えた こ とは 、一 見活発 な活 動 を促 進 した よ うに見 え るが、活 動 の低 下 につ な が って い る こ とが ダイ ヤ グ ラム の結 果 か らわ か る。
B児
が 「読 む役 」 を与 え られ た こ とに よつて 、音 楽 の輪 か ら孤 立 させ る結果 に もつ なが って い るこ とが確認 で き る。「字 を読 む」こ とがで きて も、他 の児 童 との 関 わ りを持 つ こ とが で き る とい うこ とにはな らない。字 を読 め る こ とを優 先 して 、「で き る体 験 を させ た 」 と考 えた筆者 が、子 どもが真 にで き、子 ど もが心底 わ か る こ とに 目を向 け る必 要性 を この分析 を通 して感 じる こ とがで きた。 ②個 人別評価表 の作成 次 に、これ らの資料 を も とに、3人
の児童 の現状 につ いてま とめた (表 6)。 個人別評価 表 に よ り、3人
の現状 を整 理 し、担 当者 間で各人の課題 を共有 した。 ③振 り返 り 他 の教 師 との 間 で行 つ たふ りか え りで は さま ざま な意 見交流 が行 われ た。 ダイ ヤ グ ラ ムや 評 価 表 を挟 ん で他 の教 師 と、デ ー タ か ら子 どもの表 出 を読 み 取 る よ うに した。 「他 の2人
は音 楽 そ の もの を楽 しめ、一 つ の楽器 を鳴 らす が、Bは
、 い ろ ん な他 の こ とが膨 らむ とそ っ ち に気 持 が行 つて しま う。 た く さんの こ とに気持 を向 け るが 自分 の 世 界 に入 り込 む。」「Bの
ナ レー シ ョン を読 む声 は元気 が な く、最後 まで持続 す る こ と が難 しい。Cは
楽器 の音 に興 味 を持 ちな が らもお話 に耳 をか たむ けて いた。Aは
教 師 の声 を よ く聞い て い て 、身体 で リズ ム を取 りな が ら参カロしていた。」「Aと
Cは
、 自分 た ちで 、 こん な音 で楽 しみ た い とい う思 い が あ り、盛 り上 が る所 に来 る と合 わせ よ う とい う気 持 ちが あ った。」 な ど児 童 に関す る さま ざまな意 見 が交換 され た。 特 に 「お む す び ころ りん」 で は、紙 芝居 を置 い た 「座 」 を基 点 に、 どの児 童 も思 わ ず 出た行 動 で そ の場 か ら離 れ る こ とは あ って も、 また 自分 で輪 の 中に戻 つて きて 、活 動 を続 けて い た。 この こ とは教 師 間 で も共 有 され 、活 動 の成 果 と して確認 され た。6.考
察 「7行
動 の分析 に よる療 育活動分析 」に よる療育活動 の評価 では、児童 の様子が行動 レベ ル で捉 え られ るに留 まった。活動量の変化 を見 ることによって、児童 の音楽活動 に関す る 意 味が明確 化 で きた。 しか しなが ら、児童 の多角的 な状況 を教師間で共有す るには不十分 で あった。「CO―Musictherapyに
お ける多感 覚領 域 の視 点 に よる児童活動 の比較 」を導入 す るこ とに よって、音楽 を媒体 と した活動 で見せ た児童 の変容 が明確 に示 され るよ うにな り、児童 の 自ら自分 の力 を 自然 に表 出 してい く姿 を教師間で共有す ることに生か され るよ うにな つた。 担 当者 間で数値 や グラフを挟 んで話 をす るこ とで、お互 いの児童 に対す る見方が違 うこ とを共有 し、改 めて一つ の結論 に達 した り、 これ か らの視 点 を増や した りす る こ とに役 だ つた と思 われ る。 これ らの分析 に よ り、二 人 の特 別 支援 の必 要 な児 童 の実 態 を見 直す と、「音 楽
0動
き0言
葉 の面 白 さ」 の二 つ が揃 つた活 動 で は、児 童 の好 ま しい 表 出 が 見 られ る こ とが 見 い だせ た。 これ らの一 つ で も欠 け る と、 二 人 はバ ラバ ラ な活 動傾 向 に留 ま る。それ ぞれ の活 動 傾 向 を児 童 が 、音 楽 を媒 体 に し、お話 や 紙 芝居 を間(表 5)【「療育の時間Jから読み取つた児童の活動傾向】(I・ Π・Ⅲは資料2参照) "「 おむすびころりん」│ 【A児】 ① 聞 く 。③ 触 れ る (変わ らず。 言葉の読 めるAに台詞やナ レーターの役 を与 えたことで、 Aは読む ことに集 中 した。終盤 では台本 に沿 つて読む ことで周 りには気持 ちが動かない姿が あつた。音楽を挟 んだ活動でBoCの二人 が一緒 に音楽 を体感 して居 るのに較べ、Aは音楽 を楽 しめず一 人 取 り残 され て しま った。 授 業者 の願 い は空 回 り し、「で き る」 事 を尊 重 したつ も りで、音 楽 を挟 んだ活 動 の意 味 か ら離 れ させ て しま う結果 を招 い た。BoCが 音楽 の始 ま りや 終 わ りを一緒 に感 じて楽器 を鳴 ら して動 き を付 けて い るが、Aは参 加 しない) ② 見 る (初回は台本に集中したが、終盤では慣れて紙芝居の画面にも目を向けた。) ④ 動 く (初回は座っていたが、終盤では輪か ら離れて立ち歩 く事もあつた。集団か ら離れた大 きな行動が見られたが、 紙芝居の活動そのものを楽 しまずに、自分だけの世界 (歌のお兄さんの姿を借 りている)に 気持ちが行つて しまっていた と思われる。) ⑤ 感 じる (初回は文字を追 うだけであったが、終盤では台詞の中に気持をこめた。) ⑥ 考 え る (初回では台本を読む時に教師の助けが必要だつたが、終盤では一人で読む ことができた。声色を変えた り、 合奏 が始 ま るタイ ミング を 自分 で も計 つた。) 【B児】 ① 聞 く (変わらず。「そおれっ」 とい う掛け声で楽器 を鳴らす。) ② 見 る (終盤では画面を見、教師や友だちの様子も見た。) ③ 触 れ る (終盤では、始まる前に好きな楽器を選んで鳴 らした。) ④ 動 く (終盤では合奏になると大きく体を使つて揺れた り、楽器 を持ち上げ、 く鳴 らした。) ク ライ マ ックスで は合 わせ るよ うに大 き ⑤感 じる (みんなで一緒に合奏す ることを楽 しみ、終盤では気持ちも開放 した。) ⑥ 考 え る(終盤では自分で前に出て、キーボー ドを何度 も鳴 らし黒健でのグ リッサン ドや 自分な りの音を連打 してから、 自分の席に戻つた。)【C児】 ① 聞 く。③触 れ る(変わらず。好きな楽器の箱型ウ ② 見 る (友だちと一緒に演奏す ることがわかって、 イ ミングを待つよ うになつていつた。) ッ ドプ ロ ックを教師 の掛 け声 を合 図 に 自分か ら叩い て音 を鳴 ら した。) 徐 々に紙 芝居 の画 面 を 見 た り、友 だ ちの動 き を頼 りに 自分 の 叩 くタ らうと投 げ る こ とに繋 が つた)。 ④ 動 く (好きな合奏の場面では立ち上が って 自分の楽器 を鳴 らした り、布製のおむす び を渡 され、グ リッサン ドで奏 でた音群 を聴 くと投げ る等、 自分か らの活動が増 えた。 ⑤ 感 じる (リ ズム感 あふれ る音楽にな ると、 自分で も声が出た り、片手 をあげて前に 出、 ジャンプす るな ど思わず動 きが出、誰 か と一緒 に合奏する楽 しさを感 じた。) ⑥ 考 え る (好きな楽器 を渡 され ると合奏 す ることがわかった り、布製のおむすびをも (表
6)個
人 別評 価 表 【A児】 年 齢 障 害 知的 障害・ てんか ん 状 況 移 動 あ らか じめ分 か つて い る と自分 か ら移 動 が で き る 身 の回 り動 作 着 替 えは 見守 りが 必 要 コ ミ ュ ー ケ ー シ ョ ン 一 方 的 そ の他 沢 山の情 報 を一度 に抱 え込 ん で い る 実 態 音楽 に合 わせ て身 体 を揺 ら し 「歌 のお兄 さん」の よ うに振 舞 う。 「見てて よ―」 と声 は出て も、心 はそ こに な く、気持 ちは他 に向いて しま う。 目 的 音楽が聴 こえ る と身 体 を揺 らす もの だ と 自分 で決 め込 ん でい る。 音楽 そ の もの の 、 リズ ム感 や,拍子 感 を感 じ取 つ てほ しい。 心 か ら楽 しん では しい。 変 化 「○○ したい と思い ます」 な ど 自分 の気持 ちを伝 え る。予 定 が分 か らな くな る と、パ ニ ックにな つて周 りの人 に暴 力 的 に振 舞 い泣 い た り してい た。「○ ○ だ けです か ∼?」 な ど 自分 流 の質 問や 予 定 を予 め聞 く よ うに な つた。 聞 く 相 手 の 音 を 聞 く前 に 自分 の 身 体 を 揺 ら す。 動 く 自分 の リズム で 自分 だ けが動 いてい る。 見 る 分 か つ たつ も りに な っ て い る 感 じ る 自分 の世 界 に入 つ てい る。 触 れ る 何 回 叩 くのか 、何 回動 くか に こだわ る。 考 え 音楽 が鳴 る と身 体 揺 らす もの と思 つてい る。る 総 合評価 1人だ け台 本 を読 む役 を任 され た こ とで音楽 の 渦の 中か らはみ 出す。 心身 で受 け とめ る経験 が必 要。 【B児】
1年
齢 H歳 1障 害 1自閉 症 状 況 移 動 身 の回 り動 作 コ ミュニ ケー シ そ の他 敏 捷 着 替 え介助必 要 自分 な りの発 声 は あ る 回 る ものが好 き。 狭 い場所 で落 ち着 く。 実 態 回 る もの、 ね じ、 くぎ、 ス イ ッチ。 分解 す るのが好 き。 大 きな動 き激 しい 動 き、律 動感 の あ る動 きが好 き。 目 的 友だ ちや教 師 と一 緒 に音 楽 に合 わせ て身 体 を動 かす こ とで、周 りの友 達 の動 きに気 づ く。 変 化 感 覚 的 な体験 が 、 心身 で非 常 に大 き く体 感 で きるもの に変 わ つ て きた。 日層く 音 に気 づ き意識 で き、 よ り聴 こ うとす る。 動 く 音 と動 きがマ ッチ した活 動 で は 自然 に動 く。 見 る 楽器 の音や 人 に気 づ いて 見 る。 感 じ る 楽器 の音 の余韻 を感 じて聴 こ うとす る。 触 れ る 色 々 な楽器 に触 れ て、鳴 らそ うと意欲 的 。 考 え る 自分 の心身 リズム に任 せ てい る。 総 合 評価 心 か ら音 楽 を楽 しむ経 験 を積 んでい る。 嫌 い な ものな ら態 度 で表す。 選 択 で きる。 【C児】 年 齢 112歳 障害 1自閉症 。てんかん 。発 語 が な し 状 況 移 動 見守 り 身 の周 り動作 一 人 で着替 えが で き る よ うに な った コ ミュニ ケー シ ョン ク レー ン現象 で要 求 を伝 え る よ うにな っ た そ の 他 「キー」 とか 「ひ ―」 とか動 き に伴 い発 声 す る 実 態 ・好 きな音楽や躍動的な音楽 を聴 くと上下 に跳び、指 さした り片手 を上げる。ジ ヤ ンプ は 自分 の 好 き な 曲 で す る。 。これまで友だちとの関わ りがなかったが友だちの手を引いてキーボー ドの操作を して貰お うとす る。 ・ 自動車や食べ物 の広告が好 き。それ らをめ ざして鋏 で切 つた リマジ ックで印 を付 けよ うとす る。 目 的 本 人 の持 つ リズム をベ ー ス に人 と合 わ さつた経 験 を積 み重 ね感 じあ う喜 び 。音 楽 に合 わせ る喜び を感 じる 変 化 好 きな 由のボ タ ン を 自分 で押 せ る よ うに な つた。 友 だ ちの手 を取 つて キー ボー ドの操 作 を して賞 お うとす る よ うにな った。 聞 く 自分 の好 きな曲がわかると表情が明 るく変わる 動 く 好 きな音楽だ とジャンプす る 見 る 周 りの人 た ちの動 き に気 づ い て見 る。 感 じる 好 きな音楽 にジ ャ ンプ を合 わ そ うとす る 触 れ る ウ ッ ドプ ロ ックに続 けて打 ち付 け る時 間延長 考 え る 好 きで ない音楽 の時 は じっ と待 つ 総合 評価 ジ ャ ンプ は嬉 しい こ との表現 、 自分 の リズム と音楽 の持つ リズ ム とを合 わせ よ うとす る姿が見 え る。 に挟 む こ とが重 要 で あ つた。 「だ るま さん が」 で は、紙 芝居 の効果 で二人 の 「見 る」 こ とが伸 び た。 また、面 白 い擬 音 や 動 きの効 果 で 二人 は動 きが活発 に なつた が、逆 に
1人
は動 きが少 な くな つた。 「太鼓 」 で は、言葉 と リズ ム の効果 で二 人 の見 る こ とや 動 き を活発 化 させ たが、感 じ る事 が少 な か った。音楽 紙 芝居 を使 つた 「お むす び ころ りん」で は、感 じる・考 え る・ 見 る・ 動 く事 が どの児 童 も活 発 化 され た。 五感 を働 かせ て次 の行 動 へ と表 出 を導 い て い た姿 が見 られ た。 聞 く 。触 れ るに 関 して は二人 が活発 化 して も一 人 は変化 の ない結 果 が見 られ 、児 童 に とって音 楽紙 芝居 がす べ て の活 動傾 向 を増長 させ る もので はな い こ ともわ か っ た。 しか し、他 の活 動 に比 べ る と格段 に児童 の活 動傾 向 を増加 させ 、 更 に改 良す る こ とで効果 が見 られ る よ うにな る可能性 も高 い と思 え る。 音楽紙 芝居 を導入 した こ とに よつて、児 童 は 自分 か ら他 の人 と合 わせ よ うと間 を感 じ、 自分 の動 きを周 りと合 わせ よ うと待 つ よ うになつた。やがてそれは音楽 を挟 んで音楽 とも 合 う気持 ち よ さを引 き出 した。 思 わず発 した音声やつ い前 に出て楽器 を鳴 らす ことな どの 行動 が見 られ 、一緒 に始 め よ うと待 ち構 えた り、感 じ取 つた タイ ミングで一緒 に奏 した り、 それ らが合 わ さった感触 、同時 に終 わ る一体感 が見いだせたのだ と思われ る。 これ らの児 童 の行動 か ら、筆者 は 「見て もらいたい」 とい う児童 の思いを感 じさせ られ た。また一方 では、実際 に見せ た児童 の姿か ら、児童 の真 の力が垣間見 えた とも思 われ る。 異空間 に遊ぶ よ うな感性 の発達 は指示待 ち行動 で も、決 ま りに縛 られ る行動 で もない本 当の児童 の伸 び る姿 とな つた と思われ る。この研究 は、Co― Musict h erapyを参 考 にす るこ
とで児童 を見 る視 点 が多角 的 に広 が ったか と言 えるだ ろ う。
おわ りに
子 どもの集 団 づ く りを重 視 した本 校 で は
,生
徒 一 人 ひ と りを大切 にす る こ とは,バ
の発 達 が
,互
い が互 い の こ とを理解 し,了
解 し,合
意 し合 う関係 を通 じて進行 す る と も考 え られ て い る。 音 楽 の授 業 も,音
楽 紙 芝 居 や 音 楽 遊 び の場 も,集
団 で行 われ る。 そ こで の子 ど もの表 出 か ら子 どもの発 達 を読 み 取 る こ とを大 切 に し、独 りよが りにな らず に複 数 の 目で 見 、話 し合 うこ とが次 へ の読 み取 りへ の力 とな る とされ てい る。 た だ 、 これ ま で の実践 で は子 どもた ちの変 化 を見 い だす児 童評 価 を行 うこ とが困難 で あ つた。 様 々 な発 露 を見 出す た めに、今 回 は ダイ ヤ グ ラムや評価 表 を用 い て 、 同 じ授 業 に参加 した教 師 と意 見 を交換 し、子 どもの表 出の 中身 が どん な ものか確認 し合 つた。 筆者 は、音 楽 を用 い る こ とに よって児 童 が 自 らの力 を引 き 出せ る よ うな実 践 を継 続 す る こ とが 、 特別 支 援 が必 要 な児 童 の人 づ く りに繋 が る と考 え る。 音楽 を媒介 にす る 際 に は、「音 を処 方 す る (中 島,2002)」 とい う考 え方 を もつて実 践 す る こ とが大切 で あ る と実感 した。 ま た 、児 童 の実 際 に応 じて 、そ の場 で判 断す る柔 軟性 も重 要 で あ る。 この よ うな プ ロセ ス の積 み重 ね が 、児 童 の成長 に貢 献す る教 育活 動 を もた らす と思 わ れ る。 特 別 支 援 の必 要 な子 ど もは 、 障 害 の た め に発 達段 階 に応 じた ゆつ く りと した成 長 には な るが 、縦 の発 達 を求 め るあま り、我 々 が 見 えな くな つて い る横 へ の発 達 に も 目を向 けな けれ ば な らない だ ろ う。 横 へ の発 達 、つ ま り心 の膨 らみ が 、 特別 支 援 の必 要 な子 ど もた ちの発 達 に は不 可欠 で あ る。「字 が書 け る」「字 が読 め る」「お とな しく座 る」な どの子 どもの 「で きる」「で き ない」 に評 価 を置 く と、本 当の子 ど もの発 達 を見逃 して しま う。 見 えに くい もの を 見 よ うとす る努 力 は子 どもへ 返 って い く。 そ こで互 い に紡 ぐ関 わ りの 中で こそ見 え、 教 師 同士 で何 が大切 な の か を論 議 す る と少 しず つ わ か つて くる と筆者 は考 え る。 評価 の視 点 を変 え る こ とで見 えな い教 育 効 果 が確 か め られ 、次へ の手立 て が導 かれ る。何 よ りも子 どもた ち は、大 人 と深 い信 頼 関係 で あれ ば こそ 、自分 でや ろ うとす る。 歌 う、音 を鳴 らす な どの子 どもの発 信 は 、や が て周 りに気 づ き、合 わせ て い くよ うに な る。 それ らが将 来 の社 会 的参加 へ の一歩 とな る。 何 かの姿 を借 りない と自信 を持 てな い児童 には、心か ら楽 しめる活動 を体 中で感 じて もらえる体験が必要である。 引用 文献護
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(中 e10na Publishers,Spain ( 鈴 木 琴 栄・ 鈴 木 大裕 訳(2013) `文 化 創 遅旨,pp20‐21. (基金,pp.231-241. ュー ジ ック セ ラ ピー 」,春秋 社.p.55-59.p.217-228愕蒙締熙易を
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