精神薄弱研究法論考 : 精神薄弱の判別における異常性の問題
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(2) . 北 海道教育大学紀要(第一部C). 第 23 巻 第 1 号. 昭和47年9月. 精 神 薄 弱 研究法論考 -- 判別診断に おける 異常性の問題 --. 末. 岡. 一. 伯. 北海道教育大学旭川分校教育心理学教室. 1 くazunori s[ 丁BoにA ;. An 1dea for Reseaching Methods o f. MentaI Retardation - Abou i t the Abnonnal ty in the Diagnos ls -. 目. 次 1 . 外部の異常 2 . 内部の異常. はじめに 1 異常性とは何か 1 , 視点の性質 2 , 被視点の性質. m. 心理現象における異常性. 1 , 日標形成局面としての異常性 2 , 目標表象局面としての異常性. 3 , 同 質 性 4 , 非疎通性. 3 . 目標実現としての異常性 能力における欠陥. 5 , 異常と奇異 口 物理事象における異常性. N. おわりに. は. じ. め. に. 臨床家は, 大部分の精神薄弱児が, 身近の人々すなわち近親者等に よ って臨床家の手にかかる以 、 前にすでに精神薄弱としてではなくとも, 異常であると判断されていることを忘れてはならないの で あ る, こ の 異常 で あ る と い う 印 象 は, 一 体 い か な る 事 な の で あ ろ う か. こ こ で の 問 題 は こ こ か ら 考 え てみ る,. i i t この異常性を量的な方面からせんじ詰めていくと, それは平均からの逸脱(dev a on)というこ とになり, 他方質的な方面からおしてゆくと, 価値の欠損ということになる. しかしこのようにい ってみても問題は明確にならない, 何故ならば異常であるということは, 判定者と被判定者との間 に成立する事柄であり, その最も簡単な対応の場合においてすらも関与する事象は複雑多岐にわた たるからである. そこには判定者の時間的, 場的関数としての心理学的な全存 在か らの視点(Vi ew i t 場的に規定された被判定者の物理事象及び心理事象とし があり 同様に時間的 ) の被視 て o n p , , int 点 (Viewed po )が存在する. そして, この視点と被視点が同質的な基礎を有しながら, しかも 両者の間に非疎通性が存在する時異常であるという感じの心理学的局面が現われてくるのである. ‐ テ ストを使用 して判定する場合は, 勿論判定者をテストに置換えたものであり, この代置 (Sub - 39 一.
(3) . i lof Hokka ido Uni i i journa t ty of Bducat ver s o l l I C) on (See. Vo l .23 No .l. Sept , ,1972. i t tu t s e ) によ って視点は時間的, 場的制約を超越した安定 したものになる. さらに, この代置は, 判定者間の種々なる視点の差異の消滅をも意味し, その判定はこの均一化により不偏的なものとな る. テストに示される異常性は, このような視点と被判定者側の被視点との間のずれにおいて見い 出される. しかし, テストの視点の安定化, 不偏化は次のような事柄を少しも保証 しない, それは 視点と被視点の間の関係が同質的な基礎の上に成立しているかどうかということである. テストの 結果の異常性は, どの点におけるずれを示すのか全くわからぬ場合も有り得る. このような視点と 被視点の基盤の上に非同質性を防ぐ手段と して, 所謂統計的手法を用いるのであるが, これは根本 的な意味における同質化をもた らせるのではなく, 統計的典型にある現象のデータを類似させるこ とにより, この典型が得られた理想的現象の特性を仮定せんとするところにある. いずれにせよ, 精神薄弱が見い出されるのは異常であるという感じが 出発点にな っているといえ る, そ して, この異常であるという印象は, 判定者と被判定者との間に働き, 前者の視点と後者の 被視点との間に何らかのずれ, すなわち非疎通性が存在しているということなのである, 1. 異 常 性 と は 何 か. 異常であるという感 じが, 視点と被視点の基礎が同質であるにもかかわ らず, この間の非疎通性 の存在によるものならば, ここで, 視点及び被視点, 同質なる対応関係, 非疎通性等にりし ・て, 今 少し論ずる必要がある, 1, 視 点 の 性 質 判定者は, 意識として被判定者に関与する. 視点は, 意識が対象としての被判定者に関与する際 にあらわれる志向性に依存する. この場合, 対象に関与するものは 何ものかに関する意識, すなわ ち意識の志向性であるが, これが対象の局面を規定するのではない. 志向性が規定するのは視点で あり, 各規定された視点は即時にある対象の局面と対応関係にあるのである, 比職的にいう ならば 内外に向う志向性があり, 前者は視点の規定, 後者は対象自体に直接関与 し視点と被視点の関係を 支持する働きをするということが できよう. 2 , 被視点の 性質 視点の性質をこれ以上 孤立して述 べることは正当でない, 何故な らば, 視点は常に被視点との相 互関係の上に成立するものであり, 視点の分析の一半は, 被視点の解明が負うものであるからであ る. 被視点は対象の一局面として視点と関係する. 被視点は視点に対応するものと して, 物理事象 と心理現象とに分けられる. 視点と被視点との関係は被視点が物理事象の一局面でるか, 心理現象 の一局面であるかによ って異なる. 前者の関係が円滑にすすむとき理解関係となり, 後者の場合は 了解となる. 理解は意識が存在としての対象に関与する場合 であり, 了解は対象としての存在に関 与することである, 例えるならば, 前者の関係は静的で, 直接的なのに対 し後者の関係は力動的, 磁場的なのである, 3 ,. 同. 質. 性. 意識はそれ自体としての対象に対して直接的に関与する, この直接的な関与は視点及び被視点の 間の関係の成立の基礎にあってこれを支持する, このような関係に浸されて, 視点及び被視点の関 係すなわち意識に対象との間の間接的関連が可能になる. 直接的関連が有する大きな意味は, それ が意識と対象間の同質性と間接的に関連することを保証するということである.. - 40 -.
(4) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年9月. 4 . 非 疎 通 性 理解叉は了解は, この直接的関連及び間接的関連の2つの関連 が円滑に成立するときに生ずるも のである, 直接的関連が成立しないときには間接的関連も生じない。 叉直接的関連が成立しても, 間接的関連が同時に生じなければ同質性は働く中心点を失い, 前者の関連は微弱なものになるか, 叉は消滅して しまうのである. 関連が非疎通的であるということは, それが全然存在しないという ことではない. 非疎通的であるということは関連が円滑にならないことを意味するのである. この 場合の円滑になる関連とは相 互関連活動の存在を意味する. そして叉不円滑なる関連, すなわち非 疎通的関連とは相互の強度と同期性 (同時性) の問題としてとらえられる. 5 , 異 常 と 奇 異 異常であるということは, 直接的関連が円滑に成立し, しかも間接的関連が円滑に生じない場合 にあらわれる. 換言すれば, 意識と対象間の関連の同質性を保証 しているのに, 視点及び被視点の 関係が非疎通的であるときに存在する. 異常という感じと奇異という感じは, 区別されねばならな い, 奇異という感じは, 両方の関連において非疎通的である場合に生ずるものであるからである, 口, 物 理 事 象 に お け る 異 常 性 前章において, 異常性ということの概念的分析を試みたが, それでは精神薄弱における異常性は どのようにあらわれるのであろうか, 専門家というよりも素人が精神薄弱児 (者) に向う場合, 彼 がまず目に止めることは, 精神薄弱のあらわすところのものであろう, 精神薄弱の身体の可 視的な 現象の観察によ って, 種々の 身体的異常が見い出される. これは, 精神薄弱を物理現象として理解 しようとする場合にあらわれる異常 である. 物理事象における視点は, まず身体の外部と内部に向けられる, この場合, 被視点として, 身体 の各部分及び部分の働きの局面があ らわれてくる. 1, 外 部 の 異 常 身体の外部の異常としては, 頭蓋の形状, 顔の形状, 口唇, 歯それに舌の形状,目や耳の形状,体幹 )によると 頭蓋型の異常として 精神薄弱に と四肢の形状, それに組織状態等が 考えられる. 西,谷8 , しばしばみられるものとして塔形頭蓋 (頭蓋の前面と後面がきり立 ったように高く, 頭長高指数が . 大きく高頭型) ,短頭頭蓋 (年齢に比して小さく, 前後径と左右径がほぼ等しい. 頭部長幅指数が大 きい) ,大頭症 (頭蓋そのものも大きく, また脳も大きい, しかし脳は実質というよりも, 間質が多 (脳水腫は通常 「福助頭」 とか 「水頭」 といわれ, 脳室系に脳脊髄液が異常 脳水腫及び小頭症 い) , に貯留するためにおこる, 小頭症は頭囲が1 7イ ンチ以上のものを指すともいわれているが, 実際的 には直感的に, 身体と不釣合に小さい頭蓋を示す場合) ,顔の形状異常としては, ガーゴリズム, ダ ウ ン氏 症 (モ ン ゴ リ ズ ム) そ れ に ク レチ ニ ズ ム と い っ た 臨 床 型 を あ げ る こ と が で き る, 口 唇, 歯 や. 舌の形状異常としては, 歯並びの不整 (乳歯が長く残存して, 永久歯がはえ るのを妨げている) ・ ,ノ チソ 生精 ソ氏歯牙 ( 梅毒 口蓋異常としては ソ 神薄弱の特徴 ) 竜骨型口蓋やV字状 口蓋がみられ ッ , , る, 目や耳の異常としては, 小眼球症,白内障,黒内障, さらには強度の斜視, 眼球震湯等である, 耳については, 梅毒性難聴, 慢性中耳炎による鼓膜破損, ダーウィ ン結節, 猿耳, モレル耳な どの 耳殻異常等である, 四肢等の異常と しては, 多指症, 合指症, 裂手, 裂足, それに四肢 が特に短か いものがある. その他, ホル モン異常による巨人症, その逆の小人症, 組織異常としては, 出産時. - 41 -.
(5) . vo l ,23 NQ 1. ion (Sect l d i do Uni f Educat i i journalof Ho t on 工C) <a s ver yo. Sept . ,1972. にすでに恥毛がみ られる場合とか, 動物のような尾を形成していたり, 兎唇や口蓋破裂, さ らには 色素脱出の著 しい白色症 (しら子) 等である。 2 . 内 部 の 異 常 身体外部の観察による異常性の発見は身体内部の異常の原因の究明に向わせる. 身体内部の異常 性の確認は特殊な方法を有する専門家でなければ可能でない場合が多いのである, ここでは, 解剖 )(Lur i a 病理学的異常, 生理, 病理的異常についての一部について触れることにする. ルリャ7 , A, R) によると, 解剖病理学的面での異常性の研究は今日ではまだ十分に行なわれていないが, 精神 薄弱の解剖学的変化と しての一つは, 脳の未発達状態 (脳回の未発達, 大脳皮質層の量が少ないこ と, 皮質層の細胞が不正配列をしていること, 神経細胞の数が少ないこと, 白質の未発達, 白質に 細胞要素 があうわれること) ,さ らに胎児の発達の も っとも後の段階で, または出産後の早期におけ る器質的疾患の際には解剖学的変化はいく らか異 った性質を帯びる, この場合は脳膜が厚くなり, 脳軟膜が脳組織と合わさ って, 病巣の硬化, 限局性の萎縮がみられ, 脳膜が脳組織と癒合した結果 髄液の正常な通路が破壊されていることが明 らかにされている. さらに, このようなことは, 重症 の精神薄弱には顕著にみうけ られるが, 軽度のものにはほとんどみ られない. このような点をあげ て い る,. )によると, 60例の精神薄弱脳の解剖病理学的分析の結果, ①脳 に偶発的以外の形態的異常 島崎8 (鱗小 を認めないもの (ダウン氏症, 内分泌性精神薄弱, 非特殊性精神薄弱)17例, ②脳形成異常・ 脳, 緩小回転脳, 奇形) 3例, ③特殊病変 (結節性硬化症, 黒内障白痴) 2例, ④後遺症 (葉性硬 化, 孔脳等)38例であ ったと報告している. 生理, 病理的異常としては, その一例として, 内分泌 腺の異常がある.・これは, 甲状腺障害によるク レチニ ズムは明白なその例である, その他脳下垂体. 前葉や性腺の機能障害からくる小児症, 脳下垂体中葉及び後葉の障害によ り肥群性性器萎縮症がみ もいわれている, られ, また軟骨萎縮性精神薄弱では, 顎下腺ホルモン異常と関係があると・ m, 心 理 現 象 に お け る 異 常 性 精神薄弱を判定する場合の重要な異常性は, 主として心理現象に存在する, 心理現象の異常性は 精神薄弱の行動においてとらえられる, ここにおいては, 特に行動として目標完遂行動のみを取り 上げる. その理由は, 目標完遂行動は 生物学的にみて, 最も意味深いのみならず目標の発生から目 標への到達叉は獲得までの行動を 一単位としてみることを可能にするからである, 単位としての行 動は, 現象的にそれ以上 は分析できない. それは意識によ って分離できない一つの全体として把握 .行動 を記述する場合, それを全体と して記述することはできない. 行動記述 されている. しかし, が可能である場合は, 行動を記述するのではなく, 行動に関する記述ゴ 換言するならば, 行動の比 較的特徴ある局面に関する記述の前提条件として, 行動の特徴ある局面を分離する事が, 要請され る, このようにして, 内部に向う志向性により規制された視点に対応する 3 つ の被 視 点 と して, 3 つの局面が分離されるのである. それらは, ① 別票形成局面としての異常, ②目標表象局面として の異常, ③目標実現と しての異常である. 1, 目標形成局面としての異常性 対象は意識が要求ずるときに目標となる. 目標は意識に働きかけ, このようにして意識と目標と の間には相互関連が生ずる. これが目標形成局面である. 目標形成局面の異常は, ④発動性の異 常, ◎持続性の異常, 6制御性の異常の3種類の欠陥として示される.. - 42 -.
(6) . 第 卵 23 巻 第 1 号. 北海道教育大 悔〕 第一部C 第一部C) 字蛋 -′ 月 学紀要(. 昭和47年9月. イ, 発動性の異常 発動性は対象が意識に変るときには解発性として, 叉反対に意識が対象に変 るときは力動性叉は起動性として示される. この部門の精神薄弱関係の研究はほとんどみあた らな い, 今後検討を要するところである. 口, 持続性の異常 対象は目標完遂まで, 目標と して留まらねば行動は持続しない このような , 行動の持続性は目標の方に注意を向けると方 向性の問題となり, 意識側においては定着性の問題と なる. したが って, 持続性の異常は方向と位置と して示される, ハ, 制御性の異常 行動は目標完遂まで一様の強さで持続するのではない, 行動は時間的関数と して強度が変化する行動の起発時において, 発動力があまりにも強大である時にはこれをおさえね ば目標完遂は不可能となる, このようにして行動遂行の制御性の問題が生じる そ して, その欠陥 。 はテ ンポのくずれと自律性の なさとして示される. この持続性の異常と制御 性の異常の部門に関する研究で, 最も秀れていると思われるのは, レヴ ) (Lewin K) の 古 典 的 研 究 を あ げ る こ と が で き よ う t ィ ソ6 en, , , 精 神 薄 弱 児 に カ ル ス テ ソ (Kars. A. ) が心的飽和の実験に用いた 「お月様の絵」 を飽きるまで描かせ, 正常児との比較 を試み, さら ) 5 ) に レ ヴィ ソの 弟 子 ク ウ ニ ソ4 ・ . (Kounin,j ,S) は 共 飽 和 の 実 験 を 試 み て い る, そ の 結 果, 精 神 薄. 弱児は飽和時間が長いことがわか った. この レヴィ ン等の研究結果は, 精神薄弱児が目標完遂まで の持続性があるというのではなく, これは精神薄弱児のも っている固執性 ( i i d i t r g y) によるもの である, すなわち適当な目標遂行 プロセスにおける制御ができないということになるのである, 2 . 目標表 象局面としての異常性 対象は目標として知覚叉は心像を通じて意識に表象されねばならない, 意識に表象された知覚叉 は心像に注意を向けるとき行動の目標, 表象局面があらわれる. 目標表象局面の異常は, ④体制性 の欠陥, ◎実 体1 生の欠陥, ⑭恒常性の欠陥の3種類の欠陥 として示される. イ, 体制性の欠陥 体制性は, 意識が対象 を目標として表象する場合の能率によ って示される , これは比鞍的にいうならば対象のいかなる面を選び出 したか, 叉それをいかに構成したかという問 題となる. 前者の問題は手がかり (Cue ) 利用の問題であ り, 後者の問題はゲシュタル ト心理学の 所 謂 知 覚 の 体 制 化 の 問 題 で あ る, こ の 部 門 に 関 す る 研 究 と して は, 1940年 代 か ら ウ ェ ル ナ 一 蹴・ 1 4 ) , o ) (Go (Werner l des tein, K) の 戦傷 兵 l ss , H) や ス トラ ウ スl) (Strat , K) 等 が ゴ ー ル ド ュタ イ ソー の研究に示唆されて行った MableBoard の実験がある これは2つのタイ プの精神薄弱児群 す. , , f l i l i注i なわち家族性 ( ami a ) 精神薄弱児群と脳損傷 (br j a ed n u r ) 精神薄弱児群に縦, 横1 0個の穴 のあいた一つの板に, パターンの通りに玉をはめ込んでゆく検査である, この検査では, 脳損傷精. 神薄弱児群の70%は しりめつれつなパ ータ ンを示 し, 家族性精神児群では逆に8 0%以上がうまくで きた, しかしこの家族性精神薄弱児群の中でも1 1%はしりめつれつなものであった. このようなこ とは視覚運動野に限られた差異であるか否かの間に答えるため, 彼らはさらに, 聴覚運動, 触 覚運 動をも検討している, 特に聴覚運動については聴覚運動作業の検査として ピアノの 音を用いたメロ プィ ーによる差異について検討 している, これらの結果から, 脳損傷精神薄弱児はその示された パ ター ンを完全な図 (負gu r e) として認知できず,.地 (g r ound) に妨害される傾向がある. このよう なことをさらに分析的に検討するために図と地の知覚の差異をタキストスコ← プを用いて, 例えも 一枚のヵ← ドに縦, 横の線でさえぎられた絵 (帽子とか舟等) を知覚する検査を行な った結果, 脳 損傷精神薄弱児群の反応の75 3 ,5%は地 (背景) にのみ反応 した, 家族性精神薄弱児群では1 ,9%で あ った. このようなことか ら, 脳損傷のあると思わ れる精神薄弱には特殊な知覚体制化の傾向が強 い と 報 告 さ れ て い る. こ れ ま で, 他 の研 究 者 に よ る 追 試, 反 証 も で て い る が, ウ ェ ル ナ 一 等 の 研 究 - 43 -.
(7) . Vo l .23 NO .・. i ion (Sec i id。 Uni t t s journalof H。耀く on IC) a ver y of Bducat. sept,1972. 結果が妥当なところであろう. 手がかり (Cue) の利用については, 秀れた研究はないようだが, 今後工夫をする必要のある点 と思う, 口, 実体性の欠陥. 目標の有効さは, その表象の帯びる実体性によ っても決まる. この実体性は 目標の方に力点を置く と誘発性となり, 意識の方に力点を置くと情動性となる. 前者は価値とつな が るから実体性の欠陥は価値感の異常及び情動の欠陥として示される. この部門での研究は, なか ) i l i (Pr ce な か み い 出す の が 困 難 で あ る が, しい て あ げ る と, プ ライ ス9 , A, D) 等 の 行 な っ た sp na. f t t(螺施式残像効果) の記憶再現の実験がある. これは対象が生き生きと知覚されるか ど c a ereHe うかということについて研究されたものであり, 特に脳損傷精神薄弱児の診断には有効であると報 告 さ れ て い る,. ハ, 恒常性の 欠陥 この恒常性は, ゲシュタルト心理学以後の恒常性の簡単な適用である, 目標 は行動完遂まで同一目標として表象されていなければならない, これは時間的変化に対す る恒常性 と位置的変化に対す る恒常性に分けることができる. そ して, これら2つの恒常性の 欠陥が存在す 935年のコフカ る. この部門に関する研究も少ないが, 正常児を対象と して研究 したものには, 1 がある てゆくと報告したもの 葺 k K K の恒常性は順次発達変化L の幼児期り大きさ ) ( O a . . これに , A i 2 ) t age, ) や ツ ィ グラ 端を発 して, 大きさと距離の判断における恒常性の研究では, ピア ジェ ) (Ze igl ) 等 の も の が あ り, ー15 er , H. D.. これらは皆一致 して青年期になると準恒常性 (near con‐. t ancy)に到達すると報告 している. 精神薄弱を対象と した研 t s anay) 叉は過剰恒常性 (overcons 2 N ) k i jen n 究では, ジェソキ ソ ( , )等のものがある. これらは, 器質的欠陥のある精神薄弱児では 大きさと距離の恒常性について同年齢の正常児群の判断と比較 して統計的に有意な差があ ったと報 告 して い る.. 3 . 目標実現としての異常性 目標完遂 行動は, 実際には意識 と対象を含んだ場において行なわれる. 場における行動は, 目標 と同時にこれに 適合した手段を必要とする. 目標行動が完遂するには, 場における目標の関係及び 目標に対する手段関係が意識によ って把握されていなければならない, 目標実現と しての局面の異 常性, これは関係 把握の錯誤と して示される, それは, ④自己一場関係把握の失敗, ◎自己-手段 関係把握の失敗, ◎手段-目標関係 把握の失敗の3種類として 示される. イ, 自己一場関係把握の失敗 行動が完遂するにあた って, 意識がまず動作者と しての自己を把 握しておかなければならない, この把握は, 目標を含んだ場との関連において行なわれる. すなわ ion) に お い て あ る 目標 に 到 達 す る に は, 自 己 は い か に 動 作 す れ ば よ い の か tuat ち こ の 場 の 状 況 (Si. を理解することである, この関係把握の失敗は状況における不適応行動として あらわれる. 口, 自己-手段関係 把握の失敗 この関係把握を 前項のに引き続いて述 べるな らば, この状況に おいてある目標に到達するには, 自己は動作者として何ができるのかという事の把握である, 勿論 この場合の 手段は, 自己が動作者と してする事が出来ることであり, 道具を用いる場合もそれで何 が出来るのかが問題となる, したが って, この場合の把握の失 敗は行動完遂を不完全にするか, 失 敗 に 終 らせ る こ と に な る か で あ る,. ハ, 手段-目標関係の 把握の失敗 前項のようにいえば, この状況においてある目標に到達する には, 自己は動作者として何と何が出来, その中の どの手段 が この目標に最適かを把握することで あ る.. 、. ) は義務教育 (中学校特殊学級) を終えた精神薄弱児の社会的予後の状況を調査した際 1 2 . 末岡=). - 44 -.
(8) . 第 23 巻 第 1 号. 北海道教育大学紀要 (第一部C). 7年9月 昭和4. 現職場に不適応を示 しているもの, 転職回数の多いもの, 職場適応の失敗で失業 しているものの理 由の中に, 動作がのろい, 不器用である, はやのみこで困る, 機敏に行動できない. 集団に適応で きない, 持ち場を変えるとその仕事がスムー ズにできるようになるのに時間がかかるな どがみられ た, すなわち前項で述 べた3つの関係把 握の失敗によるものがみうけられた, だがも っと条件統制 を行な った状況での研究が必要と思われる,. W, 能 力 に お け る 欠 陥 人間を価値を荷なうものとして, 3つの面からみることができる. それは, ①表わすものと して ②持 ってるものと して, ③行なうものと してである. 我々は, これまでに精神薄弱における種々の 異異性について考えて来た, ここにおいては, これらの異常性が実際の生活においていかなるよう に評価されるかという価値の面 から精神薄弱をと らえようとすると, それは個人がも っている能力 ty) の み の評 価 と な っ て あ らわ れ る, こ こ で い う 能 力 は, 単 に 持 っ て る も の と して の 能 力 (Capaci. i l i t y)をも取 り扱うのであ ならず, これに加えて学習によ って獲得されたとい う意味での能力 (Ab ば能力は課題解決において確認さ かわからない なぜなら る, 能力の種類は細かくい うと幾つある . れるが, 課題は幾つあるかわからないからである, このように 無数にあるとされる能力をある人が 手ぎわよくある幾つかの群にまとめるならば, それはその人のすぐれた分類能力のなせるわざであ る, 能力が課題 解決の際にあらわれるならば, 課題を呈する場面で能力を分類する方法がある. こ のような仕方で分類すると生活能力, 学校における学習 能力,社会能力,仕事能力等に分類できる, このような分類によ っ て精神薄弱の能力を評価することができる。 しかし, このような分類方法 は 次の2つの点におい て批判されるのはやむおえない. それは個体ごとに接触している場面も, それ が呈するところの課題も一様でないということ, 叉これ らの異る場面においても同一種類 の課題が あり, したが って同一種類の能力が要請されるということである。 これらの批判に対抗するものと して種々なる検査が作成されたのであるが, それには人工的に作り出された幾つかの課題を含んで いる, その課題は, できるだけ多数の人々が接触している場面からの, できるだけ共通ずる課題の 応用的なものが選ばれる, しか し, このできるだけということは, あくまでも仮定である. これら の検査は能力 検査として程度の差はあるが,一応の目安をつけるという意味で有効で ある, しかし, これ らの検査は, たとえ測る べきものを測 っているとしても, 能力の質的な面の測定に関する工夫 は粗大にすぎる. 何故ならば, この種の検査では, 測 られるべ き能力が一定の課題によ って限定さ れてしまうか らである, 厳密にいうならば, 課題で測 られる意味での能力以外の物は無視され て し ive ect ま う の で あ る, こ の よ う な 欠 点 を 補 う 為 の 工 夫 は, 能 力 検 査 と して は 投 影 法(Proj , Method). l ing) において 非常 を用いることである. しかし, このような検査によ る能力検査は尺度化 (Sca に難 点がある. 何故ならば, どんな能力がでてくるかということは, 大体において被検者 の側にお いて決定されるからである, このような点を考えると, 能力の質的な面を細かくと らえることがで き, しかも測定結果の尺度化が比較的やりやすい検査の工夫の必要性が問題として出てくる, お. わ. り. に. 異常性とのかかわり合いか ら, 精神薄弱を考えてみた。 今一章, 表現現象の異常性についても論 考を試みようと思 ったのだが, 目下, 言語行動の研究・--言語連想反応における正常, 精薄との比 較-- (仮題) を次回に報告す べく準備中であり, そこで表現現象の異常性 (精神薄弱) について は改めて論考を試みたいと思 っている, - 45 一.
(9) . Vo l ・23 NQ I. d iver i J0urnaーof 日0l d。 Un i i く t ai s on (sect on IC) y of Educat 文. sepヒ リ ー972. 献. 1 i ) Goldstein, K. The organism.1939. Amer can Bo ok .(村上・黒丸 共訳, 生体の機構, みすず書房) r l in 2 ) 丁ei l { I Def se i st ze-Di l ance丁udgmentin or c Ment a ▽es ect t gani .A. Si ,N & Mor ,s ・ 1960 . Consu , ,J Psycho 1 1 暑 . Vo .2 . No .2 . 139-143.. fka く inc 3) Kof jP1 l t t Psycho e sof Ges ogy t al . Pr ,1 .1935. Harcour . くounin l l 4) 1 i Deve l tua di e ec opmentand Ri ldBehavi t gi ) Chi orand y ,J .S. 1nt . (m Barker . , R. G (Bd l Deve l l opmentl943. MCGr aw-Hi ,179-197). 5 ) Kounin,J.S, B×perin・entaIStudies of Rigidi t di l l ent of Ri ヒ y. (1) The Measurn gi y in Norma l and Feeb l eminded Per 41. CI son. 19 I raq. Z 1 and Pe rsona , 9. 251‐272 , く 6) Lewin l i l(相良 守 次 訳, パ ーソ ナ リテ ィ の l t 1 3 c Theory ofPer 9 5 sona y . A Dynami ,1 . , MCGrow-Hi. 力学 説 19 57 . 岩波書店). i 7) Lur a 9 62 , A. R 編 : 精神薄弱児--その高次神経活動の特質--山口薫他訳.1 . ニ一室. 8 ) 西谷三四郎 精神薄弱の医学, 19 59 。 創元社, l 9 ) Price i i I Af er t agnos sof 0rgani c t ra t er-E仔ec , A, D. & Deab y by Means 。f SPi , 日, L. Di . 1955. J . Consu比 Poychoi .19 , 227-302.. i m) Strauss l i in而 nen ln jured Ch i ー d ogy and Educat on of Br a , A. A. & Leht , L. E, P3ychopatho , 1947 , Gnume & St t ra[ on.. il ) 末岡一伯・柚木護, 札幌市における精神薄弱児の社会的予後( 1 } 1962 . 精神薄弱児研究 No.45,1~9. 12 ) 末岡一伯・柚木譲, 札幌市における精神薄弱児の社会的予後{ 2 )雇用主からみた職業適応, 精神薄弱児研究 1962, No 46.34-44. .. I Facヒ 3) Werner 1 f raL r s s orin Low Per ormance, 1940 , 日. & St , A. A. Causa . Ment , Amar j . De6c . , vo 145 . No.2 . 231冊218,. land Subnorma 4) werner di 1 I Ri C l gi l ol y , 日, Abnorma . 1946. J . Abnorm. Soc . Poyc . , 15‐24. ,41. ig l ibowi 15) Ze er ISi ー z i t ent Vi ldr sua ze as a Func t on of Di s ance for Chi en and , H. D & Le , H. Appar Adu l t s l957 , Poychol , Amer ,J , 105一109, ,70. - 46 一.
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従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ
問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ
見た目 無色とう明 あわが出ている 無色とう明 無色とう明 におい なし なし つんとしたにおい つんとしたにおい 蒸発後 白い固体
これらの先行研究はアイデアスケッチを実施 する際の思考について着目しており,アイデア
(注妬)精神分裂病の特有の経過型で、病勢憎悪、病勢推進と訳されている。つまり多くの場合、分裂病の経過は病が完全に治癒せずして、病状が悪化するため、この用語が用いられている。(参考『新版精神医
現実感のもてる問題場面からスタートし,問題 場面を自らの考えや表現を用いて表し,教師の
が作成したものである。ICDが病気や外傷を詳しく分類するものであるのに対し、ICFはそうした病 気等 の 状 態 に あ る人 の精 神機 能や 運動 機能 、歩 行や 家事 等の
であり、 今日 までの日 本の 民族精神 の形 成におい て大