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北海道公立高等学校における特別支援教育の現状と課題

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(1)Title. 北海道公立高等学校における特別支援教育の現状と課題. Author(s). 藤井, 美鈴; 細谷, 一博. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 62(2): 77-86. Issue Date. 2012-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2844. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第62巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.62,No.2. 平成凶年2月 February,2012. 北海道公立高等学校における特別支援教育の現状と課題. 藤井 美鈴・細谷 一博*. 北海道教育大学函館枚障害児教育臨床研究室 *北海道教育大学函館枚障害児臨床教室. CurrentCircumstancesandIssuesinHighSchooISpecialNeedsEducation A CasefromHokkaido Prefecture. FUJIIMisuzuandHOSOYAKazuhiro* DepartmentofSpecialEducation,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. *DepartmentofSpecialEducation,HakodateCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本研究は北海道内の公立高等学校を対象に特別支援教育の現状と実践上の課題を把握することを目的とし た。その結果,高い割合で特別支援教育コーディネーターの指名や校内委員会が設置されていた。しかしな がら,必ずしも全ての学校で,それぞれが機能しているとは限らず,特別支援教育コーディネーターや校内 委員会が効果的に活用されておらず,形骸化している可能性が示された。今後は各学校が柔軟に活用するた めの方法について検討を深めていく必要性が示唆された。また,実際の支援においては,中学校と生徒の情 報に関する連携や必要だと感じている支援内容が実際に支援をする際の困難な内容となっている等,学校間 における取組みの差が大きいことが推測され,支援を行う際の課題が明らかになった。しかしながら,特別 支援学校と連携を図り成果をあげている学校もあることから,高等学校で抱えている課題の解決策の一つと して,特別支援学校との連携の必要性が示唆された。. Ⅰ 問題と目的 中央教育審議会(2005)は「特別支援教育を推. 期中等教育との接続の在り方など,後期中等教育 における特別支援教育にかかわる諸問題について. 早急な検討が必要である。特に障害者の自立と社. 進するための制度の在り方について(答申)」に. 会参加を支援する観点から,中学校や関係機関と. おいて,今後,高等学校に在籍しているLD・. 連携しつつ,就労を目指した職業教育の充実を図. ADHD・高機能自閉症等の生徒に対する指導及. ることは重要な課題である。さらに,高等教育機. び支援の在り方や養護学校(特別支援学校)高等. 関での修学支援を図ることも重要であると述べ,. 部の充実方策や障害のある児童生徒にかかわる前. 高等学校をはじめとする後期中等教育における特. 77.

(3) 藤井 美鈴・細谷 一博. 別支援教育の重要性を指摘している。また,平成. の必要な生徒に関する情報が途切れ,継続支援に. 20年度特別支援教育体制整備状況調査結果(文部. つながっていないことが考えられる。. 科学省,2008)では,小・中学校に比べ,幼稚園. 次に特別支援教育の対象生徒に関する問題につ. 及び高等学校は依然として体制整備に遅れが見ら. いて,中央教育審議会(2005)は,LD・ADHD・. れることや,公立高等学校においては,基礎的な. 高機能自閉症等の状態を示す幼児児童生徒が,い. 支援体制の整備が進み,平成19年度に比べ,地域. じめの対象となったり不適応を起こしたりする場. の差が小さくなりつつあると報告している。この. 合があり,それが不登校につながる場合があるな. ように高等学校における特別支援教育が制度的に. どとの指摘もあることから,学校全体で特別支援. 整備され,今後更なる推進が求められる。しかし. 教育を推進することにより,いじめや不登校を未. ながら高等学校の特別支援教育を推進する際に多. 然に防止する効果も期待される。さらに,これら. くの課題が報告されている。. の幼児児童生徒については,障害に関する医学的. 内野・高橋(2008)は,高等教育に直接責任を. 診断の確定にこだわらず,常に教育的ニーズを把. 負う都道府県・政令指定都市の教育委員会が,高. 握しそれに対応した指導等を行なう必要がある. 等学校における発達障害生徒の特別支援教育に関. が,こうした考え方が学校全体に浸透することに. わる問題をどのように把握・認識し,施策に反映. より,障害の有無にかかわらず,当該学校におけ. しようとしているのか,また高等学校の特別支援. る幼児児童生徒の確かな学力の向上や豊かな心の. 教育施策の進展状況について調査した。その結果,. 育成にも資するものと言えると述べている。また,. 入学選抜前には中学校側も情報は出しにくいこと. 高橋・内野(2005)は東京都の高校等への質問紙. や入試後,当該学校間で連携が図られている等の. 調査から,高校等に在籍する軽度発達障害児の数. 回答が多く,教育委員会としては連携の必要性を. は,実態よりも少ないと推測されるとし,多くは. 感じつつも検討中と回答するなど,教育委員会独. 障害や困難・ニーズに配慮されることなく「落ち. 自の取り組みは現状では見られず,各学校任せで. 着きのない学習不振児」「怠学」「変わった生徒」. あることを指摘している。また,内野(2009)は,. と見なされたり,あるいは「不登校」という形で. いくつかの都道府県・政令指定都市教育委員会等. 在籍していると述べている。さらに,東京都は高. での高等学校の特別支援教育に関する実態調査か. 校入試の際に「障害のある生徒に対する措置」を. ら,発達障害生徒の情報が十分に中学校から高等. 行っているが,医師の診断が出ている者は全体で. 学校へ伝えられていない問題を指摘している。さ. 21%であり,高校等で軽度発達障害への総合判断. らに,国立特別支援教育総合研究所(2007)では,. がどのようにできるようになるかで,在籍数の状. 各学校間の情報交換について,幼一小で63.2%,. 況は大きく変わってくるとしている。高橋・谷. 小一中で71.4%,中一高で13.3%と示しており,. 田・内野(2006)は,発達障害児への不適切な対. 発達障害生徒の中学校と高等学校との接続問題. 応や放置の結果において,しばしば不登校・ひき. は,高等学校の特別支援教育を構築していく上で. こもり,精神神経的症状,いじめ・被虐待,暴力. 大きな課題であると指摘している。菊地(2009). 的噴出,非行,後遺障害・触法行為などを含み,. は,中学校から高等学校へは,情報を伝えるシス. 対人関係・社会的行動面で著しい適応困難を示す. テムやルールが確立していないため,ほとんど情. 各種の「不適応問題」を引き起こすことが指摘さ. 報が伝わらず,特別支援教育の対象となっていた. れはじめていると述べている。さらに,杉山(2000). 生徒の支援も途切れてしまう現状を報告してい. は,大多数の軽度発達障害児は二次的に,反応性. る。. の情緒的な問題や精神科学的な問題を併発すると. 以上のことから,高等学校の特別支援教育を推 進する際に前期中等教育との接続に関して,支援. 78. し,このような問題は軽度発達障害が診断の軸と する問題の病因ともなりうると指摘している。.

(4) 北海道公立高等学枚における特別支援教育の現状と課題. 北海道に焦点を当てると,「平成20年度児童生 徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査 (北海道)」(http://www.dokyoi.pref.hokkaido.. 害を理解し,それに応じた指導」が多く,高等学. 校が特別支援学校に期待する内容については「指 導方法に関する情報碇供」等,様々訓育報提供に. 1g.jp/HokkaidoWeb/Templates/AuthoringTemp. 関する内容が多いと報告している。しかし,北海. latesokkai...2010/05/13)によると,公立高等学. 道の高等学校においては特別支援教育の進展状況. 校の不登校生徒数は,平成19年度は703人で1学. について全道的な調査や研究は見られない。. 年が367人,平成20年度は657人で1学年305人,. そこで本研究では,北海道内の公立高等学校を. 平成21年度は716人で1学年257人である。中途退. 対象に特別支援教育の現状と実践上の課題を把握. 学者数は,平成19年度は2,390人で1学年1,336人,. することを目的とした。. 平成20年度は2,149人で1学年1,179人,平成21年 度は1,934人で1学年1,111人である。不登校,中 途退学になったきっかけは「その他本人に関わる 問題」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学. 校生括・学業不適応」等があげられており,上位. Ⅰ 方 法 1.対 象. 北海道教育委員会のホームページに掲載されて. の理由で共通しているのが「学業の不振」と報告. いる公立高等学校251校(北海道教育委員会,. されている。. http:WWW.dokyoi.pref.hokkaido.1g.jp/HokkaidoWeb. これらのことから,高等学校においては発達障 害の診断の有無で支援の対象とすることの難しさ. /Templates/AuthoringTemplates….2010/04/30) を対象とした。. や不適応,不登校といった2次障害に発展する生 徒が1年生に多いことが明らかになっている。文 部科学省(2002)は,小・中学校について6.3程. 2.方 法 各高等学校長宛にアンケート用紙を郵送により. 度の割合で通常の学級に学習面か行動面で著しい. 配布し,同封した返信用封筒を用いて回収を行っ. 困難を示す児童生徒が在籍している可能性が示さ. た。調査期間は2010年8月下旬から2010年9月中. れていると報告している。さらに,特別支援教育. 旬の約3週間とした。. の推進に関する調査研究協力者会議高等学校ワー. キング・グループ(2009)は中学校3年生全体の うち,発達障害等困難とされた生徒の割合は約. 3.調査内容. 調査内容は,校内組織に関わる5項目(①回答. 2.9%であり,そのうちの75.7%が高等学校に進. 者の役職,②特別支援教育コーディネーターの指. 学しており,これらの高等学校に進学する発達障. 名の有無,③特別支援教育の知識,④発達障害の. 害等困難のある生徒の,高等学校進学者全体に対. 知識,⑤校内委員会の設置の有無)と生徒に関わ. する割合はZ.Z%であると報告している。これら. る1Z項目(⑥発達障害児の在籍,⑦発達障害児に. のことから,北海道の公立高等学校においても不. 関する中学校からの情報,⑧発達障害児への支援. 登校者や中途退学者の中に発達障害等の困難を抱. 内容,⑨発達障害児に関する相談先,⑲発達障害. えている生徒が含まれていることが推測される。. 児に対応する際の困難な内容,⑪気になる生徒の. 喜井(2007)は,北海道道南地区の高等学校に焦. 在籍,⑫気になる生徒に関する中学校からの情報,. 点をあて,軽度発達障害のある生徒の在籍状況,. ⑬気になる生徒,⑭気になる生徒の気付きから支. 支援の状況,生徒や教師の困り感について質問紙. 援,⑮気になる生徒への支援内容,⑯気になる生. 調査と聞き取り調査を実施した。その結果,軽度. 徒に関する相談先,⑰気になる生徒に対応する際. 発達障害のある生徒に対して必要と感じる手立て. の困難な内容),その他に関する記述1項目の全18. については「校内における支援体制の充実」「障. 項目とし,選択式と自由記述法により回答を求め. 79.

(5) 藤井 美鈴・細谷 一博. た。なお,本研究で用いた「気になる生徒」とは,. 学校生括において「対人関係で問題が多い」「こ だわりが強い」「学習の遅れが著しい」「言動が幼. Ⅱ 結 果 本研究では北海道内の公立高等学校251校を対. い」「不登校気味である」等の生徒を示し,調査. 象にアンケート調査を実施した。その結果,158. 用紙においてその旨を記した。具体的な質問項目. 校から回答があり,回収率は62.9%であった。ま. をTeblelに示す。. た,本調査の回答者は,特別支援教育コーディネー. ター(69.6%),その他(30.4%)であり,約7 Teblel アンケート調査項目. 剥が特別支援教育コーディネーターであった。. No. 質問内容 【校内組織に関わって】 間1 回答されている方の役職を教えてください。 問2 特別支援教育コーディネーターは指名されています か。 (1)特別支援教育コーディネーターの役割は蔵内で認識 されていると思いますか。 (2)特別支援教育コーディネーターは校内で機能してい ると思いますか。 間3 貴彼の教職員は「特別支援教育」という言葉を知っ ていますか。 間4 貴彼の教職員は「発達障害」について知っています か。 間5 特別支援教育に関する叔内委員会は設置されていま すか。 (1)設置状況や設置予定についてお答えください。 (2)「設置されていない」と回答した場合の理由をお答 えください。 【生徒に関わって】 1 発達障害を有する生徒について 間6 貴枚に発達障害の診断を受けている生徒は在籍して いますか。 間7 中学校から発達障害の診断を受けている生徒の情報 はありましたか。 間8 あなたが発達障害を有する生徒に支援が必要だと思 うことは何ですか。 間9 貴彼の教職員は発達障害を有する生徒に関すること をどこに相談していますか。 間10 発達障害を右する生徒に対応する際に貴叔で困難な ことはありますか。 (1)発達障害を有する生徒に対応する際,貴枚として困 難なことはどのようなことですか。 (2)あなたが発達障害を有する生徒を支援する際に困難 だと感じるのはどのようなことですか。 (3)あなたが発達障害を有する生徒の進級に関して困難 だと感じることはどのようなことですか。 2 発達障害の診断は受けていないが「気になる生徒」につ いて 間11発達障害の診断がない生徒で「気になる生徒」はい ますか。 間12 中学校から発達障害の診断はないが「気になる生徒」 の情報はありましたか。 間13 「気になる生徒」と感じるのは入学後,いつ頃です か。 間14 「気になる生徒」に気づいてから,どのくらいの期 間で支援が必要になりますか。 間15 あなたが「気になる生徒」に支援が必要だと思う内 容は何ですか。 間16 貴彼の教職員は「気になる生徒」に関することをど こに相談していますか。 間17 「気になる生徒」に対応する際に貴枚で困難なこと はありますか。 (1)「気になる生徒」に対応する際,貴我として困難な ことはどのようなことですか。 (2)あなたが「気になる生徒」を支援する際に困難だと 感じるのはどのようなことですか。 (3)あなたが「気になる生徒」の進級に関して困難だと 感じることはどのようなことですか。 間18 「高等学校における特別支援教育」に関して,問題 点や課題,または貴校の取り組みや成果などがござ いましたらお聞かせください。. 80. 1.校内組織に関わる項目. 高等学校における特別支援教育コーディネー ターの指名について,指名有り(87.3%),指名 無し(12.7%)であり,8割以上の高等学校でコー. ディネーターが指名されていた。次に校内におけ る特別支援教育コーディネーターの役割の認識と. 機能の結果をFig.1に示す。特別支援教育コー ディネーターの認識について,十分認識されてい る(12%),ある程度認識されている(40.5%), あまり認識されていない(30.4%),全く認識さ. れていない(3.8%)であった。また,機能につ いては,十分機能している(5.7%),ある程度機. 能している(37.3%),あまり機能していない (36.1%),全く機能していない(8.2%)であっ. た。これらのことから特別支援教育コーディネー ターの役割については,5Z.5%と半数以上が校内. で認識されてい. るが,機能は43%と半数に満たな. いことがわかる。次に特別支援教育と発達障害の 理解の結果をFig.2に示す。特別支援教育とい う言葉の理解について内容もよく知っている (53.8%),内容はあまりわからないが聞いたこ とはある(4Z.4%),知らない(1.9%)であった。. また,発達障害という言葉の理解について内容も よく知っている(50%),内容はあまりわからな いが聞いたことはある(44.9%),知らない(2.5%) であり,特別支援教育と発達障害について,内容. もよく知っている教職員は5割,聞いたことはあ る教職員は4割を超えていることから,高等学校 においても,特別支援教育という言葉や発達障害 の理解が徐々に進んできていることが窺える。.

(6) 十分 されている (している). 認識. 12. 機能. 5.7. ある程度 されている (している). 40.5 37.3. あまり されていない (していない). 30.4 36.1. 全く されていない (していない). 3.8 8.2 0. 20. 40. 60. 80. 100. (%). 特別支援教育 53.8. 内容もよく知っている. 発達障害 50. 42.4. 聞いたことはある. 44.9. 発達障害. 13.3. 全員有. 気になる生徒. 5.1 1.9. 知らない. 2.5. 29.7. 何人か有. 0. 20. 40. 60. 80. 51.9. 100. (%) 21.5. ない. 29.1. 0. 20. 40. 60. 80. 100. (%).

(7) 43.7. 学業の不振. 63.9. 気になる生徒. 10.1. 無気力. 発達障害. 29.7. 友人関係 の問題. 57.6 73.4. 親子関係 の問題. 14.6 22.2 19.6. 教職員の問題. 27.2 10.1. 非行. 17.7 22.2. その他. 15.8 0. 20. 40. 60. 80. 100. (%). 35.4 36.1. 特別支援学校. 発達障害. 10.1 5.7. 教育センター. 気になる生徒. 0.6 3.2 5.1 4.4 5.7 7.6. 大学 民間 保健所. 13.9 8.2 8.9 9.5. 児童相談所 教育委員会. 26.6 27.8. 医療機関. 3.8. 相談しない その他. 0. 14.6 19.6 25.3 20. 40. 60. 80. 100. (%).

(8) 10.8 14.6. 発達障害に関する知識. 発達障害. 校内支援体制の機能. 22.8. 特別支援教育の意識. 19 23.4 9.5. 否定する教職員 差別感 保護者の理解. 15.2 17.7 22.2 20.9 19. 情報. 気になる生徒. 32.9. 35.4. 24.7 32.9 39.9. 教員多忙. 8.9 12. その他. 0. 20. 40. 60. 80. 100. (%). 29.1. 授業 対人関係・社会性・コミュニケーション 不登校・問題行動. 21.5. 障害受容. 20.9 22.8. 保護者の理解・協力. 38.6 43. 発達障害 57. 気になる生徒. 31.6 32.9 35.4. 15.2 21.5. 校内の協力体制. 38. 進学就労. 44.3. 13.3 13.3. 中学校との連携 専門機関との連携. 7. その他. 1.9 3.8. 0. 10.1. 20. 40. 60. 80. 100. (%).

(9) 藤井 美鈴・細谷 一博. 普通科全日制で,気になる子どもを含めて特別支. 知っていると回答したのは2割に満たなく,自由. 援教育を進めるのが大変難しい状況にあったが,. 記述においても校内委員会がうまく機能していな. 今年度は校内体制を整え,担任教師が一人で抱え. い,学校として支援の方向にはいかないなどの記. 込まないサポート委員会を立ち上げ,特別支援教. 述があり,特別支援教育コーディネーターと教職. 育コーディネーターを中心に,管理職と連携しな. 員の連携が効果的に機能していないことが推測さ. がら外部連携を行ない,校内でのサポートを行. れる。しかしながら,校内研修を重ねることで,. なっている」「本校では発達障害診断は受けてい. 各教員が色々な手立てを考え工夫している学校や. ないが気になる生徒がかなり在席している。校内. 特別支援教育コーディネーターを中心にサポート. にサポート委員会を組織して学級担任や教科担任. を実施しているなど,特別支援教育の成果をあげ. と連携し,教育相談や教科指導などの充実を図っ. ている学校も存在することから,学校間における. ている。教科指導では各教科担任が生徒達の個別. 取り組みの差は大きいと考えられる。. の到達目標を設定し,評価する取り組みを行なっ ている。また,生徒の動向などの情報を共有する. また,特別支援教育と発達障害の理解では共に 「内容もよく知っている」が半数であり,教職員. ための会議を設定し,各生徒の指導方法などにつ. の共通理解の基で進めていくことの困難さや一部. いて検討している」などの記述があった。また,. の教職員がその役割を担っているという状況が推. ③外部機関との連携では,「近隣の特別支援学校・. 察される。さらに特別支援教育に関する校内委員. 高等養護学校等との連携で進路指導を行ってい. 会の設置状況からも,設置している高等学校が9. る」や「特別支援学校の協力を得て,教務内規の. 割近く有るが,その半数以上の学校が新たに設置. 整備に取り組んでいる」等の記述があった。. されていた。. 以上のことから,北海道の公立高等学校におい Ⅳ 考 察 本研究は,北海道内の公立高等学校を対象に特. ては,特別支援教育コーディネーターの指名や校 内委員会の設置は,全国と同様に進んでいるとい えるが,特別支援教育や発達障害の理解,特別支. 別支援教育の現状と実践上の課題を把握すること. 援教育コーディネーターの認識や機能については. を目的とし,北海道内の公立高等学校Z51校を対. 低いことから,特別支援教育コーディネーターや. 象にアンケート調査を実施した結果,158校. 校内委員会が効果的に活用されていない現状が明. (62.9%)から回答が得られた。. らかとなった。今後は,特別支援教育に関する組. 織を形骸化させず,各学校が柔軟に活用するため 1.校内組織に関する現状と課題. 本調査の結果から8割以上の高等学校で特別支. の方法について検討をする必要がある。特別支援 コーディネーターをキーパーソンとする校内委員. 援教育コーディネーターが指名されており,校内. 会を設置し,校内体制を整備することが大切(宮. 委員会も9割近く設置されている。平成21年度特. 地,2007)と指摘されていることからも,特別支. 別支援教育体制整備状況調査の調査結果(文部科. 援教育コーディネーターを中心とする支援体制の. 学省,2009)では,特別支援教育コーディネーター. 構築が求められる。さらに,特別支援教育コーディ. の指名が93%,校内委員会の設置が95.7%であり,. ネーターの存在と役割を校内で周知し,効果的に. この結果と比較すると,北海道の公立高等学校に. 活用するための方法について実践的に取り組む必. おいても同様に特別支援教育に対する取り組みが. 要がある。. 進んでいることが明らかとなった。しかし,校内 における特別支援教育コーディネーターの役割の. 認識と機能ではFig.1に見られるように,十分. 84. 2.支援に関する現状と課題 北海道の高等学校において発達障害を有する生.

(10) 北海道公立高等学枚における特別支援教育の現状と課題. 徒は約6割在席し,気になる生徒については「多. から,高等学校で抱えている特別支援教育に関す. 少いる」も含めると約9剖近く在席している。し. る課題の解決策の1つとして,特別支援学校と連. かし,これらの生徒について中学校からの情報提. 携を図ることが今後必要になってくると考えられ. 供があったのは2割に満たなく,高等学校側に生. る。特別な配慮を要する生徒の進路は,生徒自身. 徒の情報が十分にもたらされていない現状が明ら. やその保護者の努力に委ねられている部分が多い. かとなった。また,発達障害の診断名がなくても. が,これは学校側が十分な進学・就労に関する情. 6割以上の特別支援教育コーディネーターが入学. 報を持ち得ておらず,適切な進路指導ができてい. 後1∼2ケ月と早い段階で気になる生徒として気. なためである。学校だけで問題を抱え込まず,生. づいているが,この期間に支援に結びつくのは3. 徒の多様なニーズに応じて適切な支援を行うため. 割に満たないことから,高等学校においては,気. には専門機関等との連携が不可欠である(田部・. づきから実際の支援までは多少の時間を要する現. 高橋,2009)。. 状が明らかとなった。また,発達障害を有する生. 最後に診断が出ている生徒と気になる生徒が進. 徒や気になる生徒に対応する際の困難があるとし. 級に際して困難なことの上位に同一評価が上げら. た学校は,半数を超えていることから,中学校か. れたが,教員が個別に対応する等,物理的な余裕. らの情報提供の不十分さや特別支援教育コーディ. がないことや,保護者の理解を得ることの難しさ,. ネーターの気づきが支援につながっていないこと. また,生徒に差別感が生まれる危険性がある中,. が推察される。中学校と高等学校の接続について,. 高等学校としてダブルスタンダードに取り組むこ. 中学校側からの情報の送り出しと高校側からの情. とは容易ではないことが推察される。さらに校内. 報の聞き取りという双方向の取り組みが求められ. の支援体制が十分機能していない困難も半数を超. ている(高橋・田部,2009)。これらのことから,. えていることから,発達障害を有する生徒や気に. どのような情報が高等学校入学後に役立つのか,. なる生徒に,どのような支援や体制が有効なのか. また,具体的な情報の収集や内容等,中学校と高. 模索している状況が推察される。以上のことから. 等学校の効果的な連携の在り方についてさらに検. 高等学校では個々の教職員に負担のかからない支. 討が必要である。. 援の在り方や一部の職員に偏らない機能的で有効. また,必要だと思う支援内容では発達障害を有. な支援体制の整備が今後の課題である。. する生徒と気になる生徒共に「友人関係をめぐる 問題」「学業の不振」が高いが,支援する際に困 難だと感じている内容は「対人関係や社会性・コ. 謝 辞. ミュニケーション」「進学・就労」が上位を占め. 本研究の趣旨をご理解いただき,アンケート調. ていることから,必要だと思う支援内容が,実際. 査にご協力いただきました北海道内の公立高等学. に支援する際に困難だと感じていることが明らか. 校の先生方に記して感謝の意を表します。. となった。さらに,自由記述における実践上の課 題でも,支援が必要であると理解しても,教員の. 数も限られており,効果的な支援を見いだせない でいる,特別な支援を要する生徒が多く線引きが 難しいなどが記載されていたが,外部の相談先に ついて特別支援学校が一番多くあげられており,. 特別支援学校や高等養護学校等との連携で進路指 導を行っている学校や特別支援学校の協力を得て 取り組んで成果をあげている学校もみられること. 引用文献 1)中央教育審議会(2005)特別支援教育を推進するた めの制度の在り方について(答申). 2)北海道教育委員会;平成20年産児童牛徒の問題行動. 等生徒指導上の諸問題に関する調査(北海道). (http://www.dokyoi.pref.hokkaido.1g.jp/HokkaidoWeb /Templates/AuthoringTemplates/hokkai”2010/5/13). 3)喜井智章(2007)北海道道南地区高等学校における. 85.

(11) 藤井 美鈴・細谷 一博 軽度発達障害のある生徒への支援に関する現状と課題 一知的障害養護学校のセンター的機能に焦点をあてて −.国立特殊教育総合研究所研究紀要,34,1−127. 4)菊地信二(2009)定時制専門高校における特別支援 教育の実践.障害者問題研究,36(4),280−285. 5)国立特別支援教育総合研究所(2007)小・中学校に. おける特別支援教育への理解と対応の充実に向けた市 区町村教育委員会の取り組みに関する状況調査報告(速 報版).プロジェクト研究調査報告書,1−11. 6)宮地みち子(2007)東京都立世田谷泉高等学校にお ける特別支援教育の実践と課題.特別支援教育研究, 603,24−27.. 7)文部科学省(2002)「通常の学級に在籍する特別な教. 育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調 査」. 8)文部科学省(2008)平成20年度特別支援教育体制整 備状況調査結果について. 9)文部科学省(2009)平成21年度特別支援教育体制整 備状況調査結果について. 10)杉山登志郎(2000)軽度発達障害.発達障害研究,21 (4),241−251. 11)田部絢子・高橋智(2009)私立高校における特別支 援教育の実態と課題一全国私立高校悉皆調査から−. SNEジャーナル,15(1),63−92. 12)高橋智・内野智之(2005)高校等に在籍する軽度発. 達障害児の教育実態一束京都の高校等への質問紙調査 から−.SENジャーナル,11(1),26−40. 13)高橋智・谷田悦男・内野智之(2006)軽度発達障害. 児の学校不適応問題の実態と対応システムの構築に関 する実践的研究.明治安田心の健康財団,42,13−22. 14)高橋智・田部絢子(2009)高校特別支援教育の動向 と課題一発達障害生徒の高校教育保障を中心に.障害 者問題研究,36(4),242253. 15)特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高 等学校ワーキング・グループ(2009).高等学校におけ. る特別支援教育の推進について一高等学校ワーキン グ・グループ報告−. 16)内野智之(2009)中学校調査からみた発達障害生徒 の高校進学の困難・ニーズ.障害者問題研究,36(4), 254−262.. 17)内野智之・高橋智(2008)都道府県・政令指定都市 教育委員会調査にみる高校特別支援教育の動向.東京. 学芸大学紀要,59,311−362.. (藤井 美鈴 函館校大学院生) (細谷 一博 函館校准教授). 86.

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副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課

質問内容 回答内容.

問13 あなたの職種を教えてください? 

 筆記試験は与えられた課題に対して、時間 内に回答 しなければなりません。時間内に答 え を出すことは働 くことと 同様です。 だから分からな い問題は後回しでもいいので

1) 特に力を入れている 2) 十分である 3) 課題が残されている. ] 1) 行っている <選択肢> 2) 行っていない

社会教育は、 1949 (昭和 24